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シナリオ詳細

フライングムームーの羽毛をゲットせよ!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 幻想貴族の暮らしぶりは豪華だ。
 彼らは自分達の暮らしを良くする為なら、お金を使うことは惜しまない。
 国民のことをほとんど見向きもせず、選民思想を持って自分達が日々を楽しむことには全力を尽くす人種である。
 それが正しいかどうかはさておき、ローレットにとってはそうした人々もまた依頼人である以上は顧客として要望に応える必要がある。
「まあ、幻想貴族にどんな思いがあるかはさておき、依頼は依頼さ」
 『海賊淑女』オリヴィア・ミラン(p3n000011)は情報屋としての活動も長く、そうした相手に本音は見せない。
 彼らは自分に害する者であれば、殺人すらもいとわない。そうした人種を顧客とするからには自分の感情が邪魔になることだってある。
 とはいえ、今回は思うこそあれ、まだ穏便な内容の依頼であり、オリヴィアも笑顔を見せる。
「まあ、今回は気にしなくていいさ。単なる狩りの依頼だからな」
 どうやら、その狩りの対象は天義に生息しているということで、そこまで向かうことになる。

 狩ってほしい対象は、フライングムームーと呼ばれるふわふわもこもこした羊のような生物だ。
 この生物、見た目が羊であり大人しい生物かと思いきやそうでもない。
 群れて行動するそれらは自衛する本能も強く、直接体当たりしてきたり、鋭い角を突き出してきたりすることもあって迂闊に近寄ることができない。
 場合によっては、相手に悪夢を見せつけてくることもある。
 こちらは自衛だけでなく、群れから外れた個体が悪戯してくることもあるから害獣扱いされることもあるようだ。
「まあ、自然にいる以上、狩られるのは仕方ないけれど。相手も報復する狡猾さがあるから少し、同情できない相手だとアタシは思うね」
 とはいえ、その体の羽毛は利用価値が高く、狩る者もいるようだ。幻想貴族も今回の羽毛で布団を仕立てるつもりらしい。
 また、フライングムームーのお肉は美味であるという。
 乱獲さえしなければ、その味を堪能する楽しみもあると、猟師に狙われる存在であることに関しては、考慮すべき部分であるが……。
「生け捕りにするのは難しい相手だよ。仕留めてお肉を堪能するのが一番楽だと思うね」
 羽毛は3体分ほど必要となる。
 それだけの相手を生かしたまま幻想まで連れていくのは難しい為、やはり狩ってしまうのが手っ取り早いだろう。
 肉まで要求はされていない為、美味しい肉を堪能することはできる。ジンギスカン鍋を食する楽しみが依頼後にあってもいいかもしれない。
「以上だね。相手は草食動物だけれど、弱い相手ではないから痛い目に合わないよう気をつけなよ」
 話を締めくくったオリヴィアは、天義へと向かうメンバー達の為に馬車の手配も行うのだった。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様こんにちは。GMのなちゅいです。

●目的
 天義に現れるフライングムームーを討伐し、羽毛を奪うこと。

●敵……フライングムームー×複数体
 全長1.3m程度と普通の羊程度ですが、その重さは軽く、背に生やすふわふわした翼で空を飛ぶことも可能です。
 立派な角での体当たり、勢いをつけた踏みつけ、突風などを起こしてくる他、近くにいる者に悪夢を見せつけてくることもあります。
 基本は群れていますが、時折悪戯する為の個別に行動する個体もいるようです。

●概要
 幻想貴族からの依頼を受け、天義の平原に現れるフライングムームーの狩りへと向かいます。
 集団で行動している個体が多いですが、3体ほど狩ることで十分な羽毛が集まります。
 なお、お肉はジンギスカン鍋として食することも可能です。
 ふんわりとした食感がたまらないということですので、戦闘後に食してもいいかもしれません。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • フライングムームーの羽毛をゲットせよ!完了
  • GM名なちゅい
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年06月24日 22時15分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

アルペストゥス(p3p000029)
煌雷竜
ポテト=アークライト(p3p000294)
優心の恩寵
ヒィロ=エヒト(p3p002503)
瑠璃の刃
天之空・ミーナ(p3p005003)
貴女達の為に
美咲・マクスウェル(p3p005192)
玻璃の瞳
長月・イナリ(p3p008096)
狐です
陣雲(p3p008185)
忍び
シュテム=ナイツ(p3p008343)
久遠の孤月

リプレイ


 ローレットで幻想貴族からの依頼を受けたイレギュラーズ達は、馬車などを使って天義を目指す。
 馬車など、というのは、体長3mある若い神竜、『煌雷竜』アルペストゥス(p3p000029)が引率の荷台に乗っていたからだ。
 ここに、目的の品を積んで帰る予定である。
「フライングムームーか……」
 マイペースな人妻樹精、『優心の恩寵』ポテト=アークライト(p3p000294)がぼんやりと呟く
「羊とは穏やかな生き物だと思っていたが、飛べるようになるとなかなか狂暴だな」
 物静かな黒い短髪の青年、『エアリアルホッパー』陣雲(p3p008185)は今回の狩り対象に対して、狂暴というかガラの悪さを感じていた。
「正直今思ってるのは、ジャイアントコロコロじゃなくてよかったって事だ」
 赤い翼の背に生やす『葬奏の死神』天之空・ミーナ(p3p005003)は以前、天義の草むらに隠れるくっそ恐ろしい生物……らしいが、今回はそれとは一切関係ない。
「羊を狩るのは分かるし、毛で布団を仕立てるのもわかるのだけれど、集めるのが羊の羽毛ってのが分からないんだよね」
 フライングムームーは羊のような生物に翼が生えている。
 一応、翼、体毛全てをひっくるめて羽毛ということで、ご理解いただければ幸いである。
「まあ羊『のような』って言ってるしね、いいけどね」
 そういう生物だと割り切る美咲。
 問題ない範囲で駆除を兼ねて狩り、報酬以外にも旨味のある依頼とくれば、仕事としては良い案件なのだ。
 そんなわけで、美咲は調理器具やタレ、付け合わせの野菜を用意してきている。
「依頼達成でローレットも万々歳で、皆幸せになれちゃうね! お肉料理、すっごく楽しみ!」
 狐の獣種の少女、『咲く笑顔』ヒィロ=エヒト(p3p002503)は少し前に美咲が話題に出したジンギスカン鍋に興味を抱いており、どんな味なのか想像してにぱーっと笑う。
 羊毛……ここは敢えて羊の羽毛で通させていただきたいが、それさえ依頼人に渡すことができれば、後は自由。
 美味というフライングムームーのお肉を存分に食べることができる。
「どんな肉質なのかね? 楽しみだわ♪」
 こちらの狐の獣種、金の長髪に瞳を持つ『狐です』長月・イナリ(p3p008096)もジンギスカンを食べるのは初めてとのこと。
 今回の肉を羊肉としていいかは微妙なラインだが、そちらも敢えて羊肉とさせていただきたい。
「……グゥ」
 聞こえてきたのは、アルペストゥスのお腹の音。彼もお腹を空かせているらしい。
「羽毛は上質、身の肉も美味い、まるで人に利用されるためにいるかのような生物だな」
 幻想出身の騎士、『久遠の孤月』シュテム=ナイツ(p3p008343)も初めて聞く生き物らしい。
 これで狩りやすければ文句はないのだが、さすがにそう簡単にいかないからこそ依頼となっているのだろう。
「ふわもこは心惹かれるが、もふもふ出来る相手じゃないみたいだな」
 ポテトが言うように、このフライングムームーは思った以上に攻撃性もあり、時に悪夢すら見せてくることもあるという厄介な一面も持つ。
 まして、基本群れている相手であり、3体だけを狩るというのは少しばかり頭を使う必要がある。
「やりがいがあればある程、その後に食べるお肉も美味しく感じられるというものだろう」
「そうだな、可愛げがない方が刃を振るいやすいというもの」
 見た目に惑わされて油断しないようにと言うシュテムに対し、その内面に注目した陣雲は躊躇いなく羽毛と肉を貰い受けるとのこと。
「ああ、ムームーには申し訳ないが、油断せずに倒させてもらおう!」
 ポテトがそんな2人に同意を示した丁度その時、馬車は天義への国境を跨いでいたのだった。


 程なくして、天義の平原までやってきた一行。
「まずはフライングムームーを探す事から始めよう」
 そう告げた陣雲が空気を蹴って空へと駆け上がり、高い岩場へと上って超視力で捜索する。
 出来ればはぐれの個体がベターだが、それが稀だということで群れを探し当てられればと陣雲は平原を見渡す。
「ん……」
 彼が見た方向へ、地上40mの高さにまで翼を羽ばたかせて索敵していたアルペストゥスも視線を走らせて。
「ギャウ! ギャウ!」
 鳴き声を上げ、尻尾を使った指示で地上のメンバーへとその位置を伝達する。
「あっ、あれがフライングムームー、かな? ホントにもこもこー」
 地上ではヒィロがいち早く気づき、3~4m程度の高さをふわふわと浮かぶ羊のような生物の群れを発見する。
 全身ふわもこ、にっこりと笑って鳴きながら浮遊する20~30程のフライングムームーの一団だ。
「あんな可愛い見た目でも戦うと危険だっていうから、ホント人は見た目によらないよね!」
「群れに突進というのは出来れば避けたいな」
 ヒィロの言葉を受けたシュテムの主張に反論は出ない。見た目こそほのぼのする相手だが、攻撃性の高い群れに仕掛けるのは危険行為でしかない。
 一応、シュテムも名乗り口上による引きつけができる用意はしていたが、状況的に狙いを1体に絞るのが難しい。
「ボク、ちょっと飛んで上から眺めて、群れから離れた一匹狼……一匹羊を探してみるねー」
 ふわりとヒィロは浮かび上がり、自分の目ではぐれムームーがいないか確認に向かう。
 今回はヒィロに釣り出しを頼み、1体ずつ叩いて必要数を揃えるという作戦でメンバー達は臨む。
 ポテトは回復支援役とあって成り行きを見守ることにする。
「うーん、大人しく通常攻撃で対処しようかしら」
 火炎や斬撃を得意とするイナリは、羽毛やお肉を傷つける可能性が高いと踏み、そんなことを考えながら同じく仲間のおびき寄せを待つ。
「いたよー。さぁ、狩りの時間!」
 少しして、ヒィロはうまくはぐれムームーを発見したようだ。
「ヒィロ、見つけたー? おっけー、1匹抑えてねー」
 うまくヒィロが見つけてくれたようで、美咲もこの場は彼女にお任せすることに。
 陣雲も空から下りて合流したところで、一行は群れから1体のつり出しへと当たるのである。


 フライングムームーの群れからはぐれた1体を発見したヒィロは、超遠距離から闘志を発してはぐれた1体を引き付ける。
 こちらへと敵がやってくる間に、彼女は聖骸闘衣を纏って……。
「来るよ!」
 ヒィロの呼びかけの直後、フライングムームーが突風の如く飛来してくる。
「引き離された1匹くらいなら……手早く進めたいね」
 ヒィロの釣り出しを受けて、美咲が自身の魔眼で殺意を籠めた視線を投げかける。
 距離がある間はシュテムも妖刀を振るい、飛ぶ斬撃で相手の翼を切り落とそうと狙う。
「むー!」
 勢いよく近づいてくる相手をヒィロが抑える間、状況を見ていたミーナが無双の防御攻勢で攻め立てる。
「流石に電気や毒や炎はな……身とか毛皮とかダメになりそうだし」
 とりわけ、羽毛はある程度無事である必要があると、ミーナは使うスキルを選別していたようだ。
 思った以上にフライングムームーは素早い。
 時に疾風を発して攻撃を仕掛けてくるが、現状はヒィロが上手く引き付けているので、ほとんど仲間に被害はない。回復役のポテトは神子饗宴で仲間の強化を行い、戦況を見守る。
 何せ下手に近づかれると悪夢を見せつけられる。
 ともあれ、自由に行動されるまえに立て続けに叩きたいところ。
 イナリは自身の眼力で相手を捉え、至近から緩急をつけて出来るだけ羽毛を傷つけぬよう、少ない手数でかつ翼や喉元など移動力を奪うよう超高速の一撃で切りこむ。
「肉も傷めないようにしたいところだな」
 陣雲も攻撃は斬撃でなく刺突をメインに行い、体ごとぶつかって威力を重視した一撃を打ち込んでいく。
 弱ってきて地面に近い場所まで落ちてくれば、遠くからアルペストゥスがトドメを狙う。
「…………」
 あまり浮遊している相手を狙わないようにと彼が気がけていたのは、地面に落下した際に土で羽毛が汚れるといけないと聞いたかららしい。
 相手が悪夢を見せつけるということだが、アルペストゥスもトドメに使ったのはナイトメアバレット。
「むー……」
 目を回して地面へとへたり込んで倒れる1体を、アルペストゥスは自分で咥えて馬車の近くまで運ぶことにしたようだ。
「……♪」
 そんな彼の様子は、とても楽し気に見えた。

 続き、ヒィロが再びはぐれを釣り出そうと動いていたのだが、今度は4,5体が別個についてきてしまう。
「さすがに、追い払っちゃいたいな」
 やむなく、幻影を使ってでっかい熊の幻を見せつけることで、彼女はムームーを追い払おうとする。
「狙いを絞れないかな……」
 そちらに気を取られる間に、シュテムが名乗りを上げての引き付けに当たって。
「ほら、こっちだよ……」
「むー!」
 すると、ヒィロが抑えるうちの2体がシュテムへと近づいていく。
 一瞬高く跳び上がったムームーが踏みつけると、別の1体が角を使って体当たりを繰り出す。
 ポテトが回復の為にと調和の力で癒しに当たるが、思った以上にムームーの攻撃によるダメージは大きい。
 シュテムも至近から暗闇を纏わせた獲物で攻撃を仕掛けるものの、直後に悪夢を見せつけられて。
 可愛らしい見た目にそぐわぬ、おどろおどろしい悪夢。
 シュテムは想像以上の衝撃に、パンドラを使って正気を保とうとする。
「目を覚ますのよ!」
 一方で、傍にいたイナリがシュテムへと目覚めの打撃を叩き込もうとしていて。
 予め、こうした場合は目を覚ましに向かうとは言っていたものの。イナリも本当に行うことになるとは思ってもみなかったようだ。
 そのイナリはすぐさま、攻撃に戻って敵の翼を狙って斬撃を繰り出す。
 ふらふら動いていたそいつの行く手を、ミーナが遮って。
「おっと、こっから先にはいかせねぇぜ?」
 丁度、もう1体を巻き込む形で、ミーナは創り出した闇の領域にムームー達を纏めて飲み込んでいく。
 1体は逃れたようだが、ぐったり力なく倒れた1体を、ミーナはパカダクラの砂駆に命じて戦場外へと運ばせていた。
 2体同時出なければ、あとは最初の1体と同じ要領だ。
 地上へと降りてきていたアルペストゥスが神聖の光を激しく瞬かせ、陣雲が続けて体ごと刺突を繰り出して相手を弱らせる。
 状況が整えば、ヒィロが怒涛のオーラによる青き咆哮で相手を弱らせ、敵に隙を作る。
「死ねよやぁー」
 後は、美咲が一睨み。彼女の殺意の視線でとどめを刺せば、肉も羽毛も傷むことはない。
 ぱたりと相手が倒れたのを確認し、ヒィロはサムズアップして。
「いぇい!」
 見事なコンビネーションで最後の1体を仕留めてみせたのだった。


 3体のフライングムームーを倒したイレギュラーズ達。
「奪った命に感謝だな」
 ポテトは命のありがたみを感じながらも、仲間達に解体を促す。
 まずは毛刈りだが、その前にとシュテムが羽毛に手を触れる。
 ふんわりとしながらも、吸い込まれそうな触り心地は癖になってしまいそうだ。
「……確かに、これで作った布団で寝ればいい夢が見られそうだ」
 次、布団を買うときにはコレを使った物にしてもいいかもしれないと考えていた。
「ボク、テクニックには自信があるんだ!」
 シュテムが1体を刈り始める間に、ヒィロが出発前に用意した毛刈りバサミで綺麗に刈り取っていく。
 残りの1体には、ミーナが担当していたのだが、使っていたのは戦闘と同じ剣。
「なに、いっつも剣使ってんだからミスはしねーよ」
 心配する仲間の視線を余所に、ミーナは卒なく毛刈りをこなしてみせていた。
 それらの羽毛を馬車へと運ぶのと同時並行し、羽毛を刈り取ったムームーのお肉の解体に移る。
「……ところで、ジンギスカン鍋がいいって聞いたけど、肉はちゃんと羊なんでしょうね」
 翼を生やした羊のようなフライングムームーのお肉が、鶏肉であったならキレ散らかすと美咲は考える。ジンギスカンを食す上で、これは譲れない部分なのである。
 仲間が解体する肉を少しだけ拝借し、美咲は発火で炙って一口。
「……うん、羊肉ね」
 味は美咲も知っている羊肉そのもの。
 なお、味を確かめた主目的はタレの調整の為。合わせる野菜の選択にも必要なのだ。
 そんなわけで、率先して力仕事を請け負う陣雲と、引き続き剣で解体するミーナが血抜きしてから解体を進める。
「皆の解体スキルは凄いな。売り物みたいだ」
 仲間達が肉を用意している間、解体は不得意というポテトはジンギスカン鍋に使う野菜の下ごしらえをする。
 仲間達もある程度用意してくれてはいたが、樹精であるポテトはギフトによってあっという間に野菜を成長させてしまう。
「キャベツに玉ねぎ、ニンジン、ピーマン、長ネギ、もやしと後は何か欲しい野菜あるか?」
 彼女は早速それらを切り始めると、ある程度肉を解体し終えた陣雲が野菜の皮むきの手伝いへと入る。
 予めジンギスカンについて調査、学習していたイナリも戦闘以上に調理を頑張ろうと、調理のお手伝い。
 用意していた調理器具の準備や、獲れたて野菜の下ごしらえ、塩や甘タレなどの用意とイナリは忙しなく動いていた。
 その間に解体を終え、肉の用意を進めていたミーナに視線が集まる。
「あ、その目、信用してねーな? 私はそこそこ料理できるんだぞ? いやマジで」
 それだけ、普段の死神としてのイメージが強いのだろう。
 ある程度、食べやすい大きさに切ったら、シュテムが即席で作ったかまどにアルペストゥスがギフトで種火の発火を行う。
 調理の間は所在無さげな彼だったが、野外で食べることができる為、隅っこで香箱座りせねばならぬ状況にはならずに済んでいたようだ。

 準備の間に日が傾きかけ、夕日がメンバー達を照らす。
 そのかまどの上にイナリが用意した鍋をかけ、イレギュラーズ達は早速肉や野菜を並べて。
「よーし、どんどん焼くよー」
 ジンギスカンは鍋の周りに野菜を敷き詰める。
 中央にお肉を豪快に焼き、タレを野菜にかけていくのが本場の食べ方なのだとか。
「そうそう。肉と野菜は一緒に焼くなよ?」
 ミーナの話によれば、血の匂いが野菜に染み付くとのこと。
 一般的な焼肉の話ではあるのだが、別々に焼くのが美味いということなので、多めに用意されていた鍋で分けて焼く方法も試すことにする。
「いよいよ……ごくり」
 食器を並べるシュテムの傍で、周囲の片付けなど雑務をこなしたヒィロが美味しそうな匂いに鼻をひくひくさせ、喉を鳴らす。
「ジンジンジンジンジン……♪」
 イナリが楽しそうに歌を口ずさむと、皆が注目していたことに彼女は気づいて。
「あぁ、この歌? なんでもこの料理をする時に歌うと美味しくなる歌らしいわ、詳しく知らないけど?」
 肉を焼きながら話すイナリの隣、美咲が焼いていた肉は頃合いのようで。
「一仕事終えた後の美味は、人生のご褒美だよね!」
「ヒィロは数の制御で貢献したしね、どんどん食べるのよー」
「美咲さん、どの辺が火通ってそう?」
「はい、こっちはよさそうね。横のもやしも一緒にね」
「それじゃいただきまーす!」
 全員分の用意はあったが、美咲が指し示すところのお肉をヒィロはひょいと皿に取り、美咲手製のタレをつけて一口。
「美味しーい! えへっ」
「あ、そこは私の!」
 2人は楽しそうにお肉をつついて食べ始める。
「これがフライングムームーのお肉か……何だか不思議な食感だな」 ポテトがしっかりと噛みしめると、独特の風味が鼻へと突き抜ける。
 ふんわりしているが、しっかりした噛み応えもありって美味しい。本職に作ってもらったタレも実に肉とマッチしている。
 また、美咲やイナリもタレにこだわっていたが、それもまた格別の味だ。
 陣雲も焼きあがったお肉を次々に皿へとよそう。
 元々好き嫌いの無い彼だが、仲間達の料理の腕が見事であり、量も結構あることから、黙々と食べていた。
 なお、アルペストゥスは生でも問題なく、切り分けられた半端分も余すことなく食べてはいた。
 それだけではなく、ポテトが平皿へと一切れを大きく切ったものを丁寧に焼いてタレにかけ、野菜も詰め合わせて差し出していた。
「……??」
 盛られた皿を興味深げに覗き込んでいたアルペストゥスは立ち上る匂いに釣られて一口。
 その美味しさに、彼は目を輝かせる。
「……グルルルルルル……」
 アルペストゥスは嬉しそうに喉を鳴らしていた。

 たっぷりあったお肉をあらかた食べ終えたイレギュラーズ一行は満足感を覚え、すやすやと眠る者の姿も。今夜は野宿するか、交替で馬車を引いて幻想に戻るか悩みどころだ。
「あの……もしお肉が余ったら、少し貰っても良いだろうか?」
 残っていたお肉は、ポテトが家族に食べさせたいと持ち帰ることに。
 いい土産ができたと、彼女は嬉しそうに微笑んでいたのだった。

成否

成功

MVP

ヒィロ=エヒト(p3p002503)
瑠璃の刃

状態異常

なし

あとがき

リプレイ、公開です。
MVPは遠距離からうまく敵を釣り出したあなたへ。
美味しいお肉を堪能していただけたなら何よりです。
ご参加ありがとうございました!

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