シナリオ詳細
空游ぐ海蛇
オープニング
●空游ぐ海蛇
連絡船シーサーペント。その名の通り海蛇のような長く柔らかいフォルムをしたこの機体は、練達の一都市内でごく最近から住人の交通の足となっていた。
実際のところ船とは名ばかりで、その形をより正しく表すとすれば――『車両を複数編成した列車』、なのだろうが。あくまで『船』だと言い張る設計者のウォーカー曰く、「目に見えるレールは走っていない、車輪に見えるパーツは空気を構成する要素を水車の如く『漕いで』進んでいるのだから実質船だ。何より海蛇という名前をつけたのだから列車より船がいい」という話らしい。
よくわからないが、とにかくこの街には空飛ぶ『海蛇』があるようだ。
●海よりの『海賊団』
「いつ来ても、よくわからない超文化ですね、ここは」
様々な出自を持つ8人のイレギュラーズ達をこの街へ誘ったのは、自らもまたウォーカーである『千殺万愛』チャンドラ・カトリ(p3n000142)である。チャンドラが迷いのない足取りで一行を導いたのは、最近運行を始めたという連絡船シーサーペントだった。
9人が乗ったシーサーペントは、いつものように他の住人達も乗せてゆっくりと『出港』していく。林立する高層建築や立体交差する道路が窓の外を流れていく中、チャンドラは徐に「ところで」と話を切り出す。
「この度、こちらへご案内したのはシーサーペントの観光……ではなくてですね。近頃、この船の運航航路付近に略奪組織が現れるそうで。……まあ、便宜上『海賊』と呼びましょうか。海ではありませんけど」
イレギュラーズへの依頼としては、その『海賊』を再起不能にして欲しい、というものだ。再起不能になってくれるなら、生死は問わない、とも。
「生かして更生を促してみるも、『物理的に再犯を防いでしまう』のも、皆さんの判断にお任せしますよ。あ、ところでその『海賊』ですが――」
ガクン、と突然『船』が止まる。慣性のままに乗客達は大きく揺れ、倒れ、車内の照明も消えて真っ暗になると乗客達はたちどころに混乱した。
車窓に近い者が外を見たなら、その景色からいくつか気付いただろう。
空を滑るように飛ぶ乗り物に乗った『海賊』――10人は下らないだろう。そもそも「人」と数えていいのか怪しい彼らは、皆イカやタコ等魚介類の頭を持った者達だった。
「……彼ら、やけに光に拘るそうで。略奪先の車両はまず照明を落として、外からの光も入らないようにして。真っ暗にした中でやりたい放題、という手口だそうですよ」
言っている傍から、まるで墨でも吹き付けられたように窓の一枚が黒い何かで汚れていく。既に照明が落ちた車内は、窓からの光も失われれば完全に視界が失われてしまうだろう。
「さて……如何しましょうか。我(わたし)は戦力としては期待なさらぬよう。何かをアイするくらいしか能がありませんので」
窓の一枚ずつ、徐々に光が失われていく海蛇の中で。イレギュラーズ達の即断が求められる。
- 空游ぐ海蛇完了
- GM名旭吉
- 種別リクエスト
- 難易度-
- 冒険終了日時2020年06月25日 22時11分
- 参加人数8/8人
- 相談8日
- 参加費---RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●練達の日常
『海賊』襲撃の少し前。
連絡船シーサーペントの車窓――もとい船窓は、練達の日常を映していた。何でできているのかわからない、どうして動いているのかもわからないあれやそれやが、イレギュラーズ達を含め他所から来た者の多くには不思議な光景に映ったことだろう。
「練達ってのは世界が違うって聞いてたが、こりゃ聞きしに勝るなぁ!」
「『SF』、というジャンルになるのでしょうか。その物語が形を持って動いているような、そんな感覚です」
食い入るように窓の景色に見入る『黒狼』ルカ・ガンビーノ(p3p007268)。そして、そんな彼の姿がある景色もまたひとつの『物語』として記憶する『レコード・レコーダー』リンディス=クァドラータ(p3p007979)。
この練達はウォーカー達の国家。彼らは皆異世界からの来訪者であり、そのような文化が数多く集まれば空飛ぶ船の一つや二つ、きっと不思議はないのだろう。
「空を游ぐ船、と聞くと浪漫がありますね。実際の船とは少々異なっているようですが」
高層建築の並ぶ景色を見ながら『祈る者』クラリーチェ・カヴァッツァ(p3p000236)が言うのも無理はない。この自称『船』には、少なくとも乗客にとってはおよそ『船』らしい要素がどこにも感じられないからだ。目に見える海も、波に揺られる感覚も無い。
「格好いい乗り物で楽しそうではないか。マリナちゃんも興味あるじゃろ?」
「気にはなりますが……やっぱお高いでしょーし。私は海を征く船の方が性に合ってるので……しばらくはいいですかね……」
にやにやと愉しそうに『放火犯』アカツキ・アマギ(p3p008034)に尋ねられれば、気まずそうに答える『マリンエクスプローラー』マリナ(p3p003552)。悪気は無いのだろうが、彼女のこういう所がちょっとだけ苦手なマリナである。
「この……ウミヘビっつったか? 便利なモンだ! ラサにも走らねえかね?」
「柔らかく、多くの人を運ぶ、住人の足。ラサにあれば、きっと――」
ルカの言うように、人々の行き交うラサにこの船が走る様を思い描けば。それはきっと一層の繁栄を招く事だろう――リンディスがそう思った矢先だった。
『船』は突然止まり、灯りを失った海蛇は緩やかにその頭を『海底』へと下げ始める。
●襲撃
突然止まった船内では衝撃で多くの利用客が倒れ、混乱の最中にあった。
「依頼の内容を聞いている最中、とは……だが、奴らの目的は何としても止めねばなるまい」
突然の襲撃に驚きは隠せないが、なすべき事が明確であるならば迷う必要は無い。『ドゥネーヴ領主代行』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)がまず透視と窓からの直視で外の様子を確認すると、『海賊』達は空中を走る小型の乗り物で『船』を囲みながら侵入口を探しているように見えた。
「私達がいる事は知られてはいないでしょうが、あまりにも狙い澄ましたようなタイミング……! 襲撃の調べは着いていたという事ですか」
『終焉語り』リースリット・エウリア・ファーレル(p3p001984)は、この後に敵が取るであろう行動を予測する。
賊の目的は略奪。照明を奪った後にする事は内部への侵入、そして略奪の開始であろう。敢えて暗闇の環境を作り出してから事に及ぶという事は、あちらはその環境でこそ万全の振る舞いが可能なのだと考えられる。
(待っては受けになり、受けに回っては不利に過ぎる。即断即決、躊躇う時間は有りませんね)
「一足先に、屋根で賊を迎え撃ちます。車内の事はお任せしても?」
「承った。こちらももう少し落ち着いたら加勢する」
「助かります。では」
マナガルムと短く言葉を交わすと、リースリットは躊躇いなく窓の一枚へ緋色の魔晶核を向け。
「魔光……閃熱波!」
放たれた閃光が過剰な程に船の窓を打ち砕いて脱出口を作ると、必然的に『海賊』と乗客双方の注目を浴びる事になる。
「お~、カッ飛ばしてくね~! はいはいっ、皆大丈夫だよ~!」
リースリットが風精舞の能力で飛び出していった窓を塞ぐように立ち、『一兵卒』コラバポス 夏子(p3p000808)が乗客達に向き直る。自分達の通り道が、逆に『海賊』達の侵入口になってしまわぬように。
「あの、さっきの人は……あんた達は……」
「この船、街のど真ん中で沈むのかい!?」
未だ状況を飲み込み切れていない乗客達は、恐る恐る、やがて口々にイレギュラーズ達に詰め寄る。
「我々はローレットの者だ。これより、海賊の討伐に入る。乗客の皆は可能な限り、頭を低くし、隠れていてくれ」
マナガルムが『ローレット』の単語を出しながら告げると、乗客達はまだざわめきながらも言われるままにその場へしゃがんだ。
「騒がせて悪ぃな、巻き込まれねえように移動してくんな。前の方は危ねえから、焦らずに後ろの方へ行こう」
船は少しずつ傾き始めているが、まだ『沈没』するほどではない。不安を煽らぬよう、ルカを初めとしたイレギュラーズ達が乗客達を車両後方へと誘導してゆく。
「乗客乗員の皆さまは落ち着いて妾達の指示に従って欲しいのじゃ。さすれば必ず無事に帰れるからのう」
アカツキの手に生み出されている小さな炎が、マナガルムのカンテラと共に光の標のように乗客達を導く。しかし、そうしている間にもまた1枚、窓が黒く塗り潰された。
「うわぁっ!?」
誘導されていた乗客が、襲撃に怯えてその場にしゃがんでしまう。このままでは敵の侵入までに避難の完了は難しいだろう。
「我々も外へ行こう。その方が敵の侵入を遅らせられる」
「屋内の照明はこちらでも用意できます。後のことはお任せを」
マナガルムの判断を、屋内へ残るリンディスが後押しする。彼と共に『船』の屋根での応戦に転じる事を決めたのはクラリーチェとマリナ、そしてアカツキだ。頼もしい光が失われてしまう事を乗客達は不安な様子で見ていたが、外へ出る前にクラリーチェが彼らに言葉を残していった。
「悪いことを企てる輩は私たちがお相手します。皆さんは必ず、ここから生きて戻れますから」
●一騎当千
「さて――『海賊』の皆様。ただで済むとは思わない事です」
船内で避難が行われている間、既に戦端は切り開かれていた。一足先に屋根へ上がったリースリットが、奇妙な乗り物で接近してくる『海賊』を見据えていたのだ。
「何だ? さっき派手に窓から出てきた奴か」
「構うか、俺達のお目当ては『中身』だ!」
相手を一人と侮った『海賊』達は、リースリットに構わず窓の塗り潰しを続行しようとする。しかしそれを許さなかったのが彼女の紅焔の刃だ。
「わかりやすく、言い直しましょう。――私が、ただでは済ましません」
反動の炎に灼かれながら、高らかに宣言する。刃を受けた『海賊』もまた纏わり付く業炎に焼かれながら、今度は真っ直ぐリースリットを睨み返してきた。
「舐めやがって……! 野郎共! こいつからやっちまえ!!」
その男がリーダー格だったのだろうか。声がかかると、近くにいた他の『海賊』達が一斉に襲いかかってきた。リースリットは風精の力で屋根を低く飛び回りこれをやり過ごしながら、自分へと注意を引き付ける。
「殺さないようには致しますが……死にたくなければ、落ちない努力はしてくださいね?」
忠告の後、彼女を中心に周囲をのたうつ雷撃の蛇。チェインライトニンングが乱れ飛んだ後には、『海賊』達はリースリットを脅威と見なしたのか彼女を避けるように距離を取っていた。
「そいつに構ってたら、いつまで経っても中に入れねえぞ! 俺達には足がある! そいつに近付くな!」
「誰に近付くな、と?」
男の声と共に、狼の遠吠えが響く。否、遠吠えのように聞こえたのは槍が空気を貫く音だ。その一撃にガルムと名付けたのは、加勢に現れたマナガルムだった。
ガルムの一撃を受けたイカ頭の男は、操縦する機体と共に大きく後退した。
「海であろうが空であろうが無法者は全て討滅でごぜーます。船と名が付くのなら、沈める訳にはいきません」
「人から何かを奪おうとする輩はのう、己の未来を奪われる覚悟をしておくもんじゃ」
続けて、マリナとアカツキが追い付く。特にアカツキの言葉は、リースリットやマナガルムの実力により既に裏付けがされており、『海賊』達にはかなりの説得力があったようだった。
「物事には順序があります。ここで大人しく投降すれば良し。さもなくば、最悪死出の旅路を歩むことになりますよ」
己の命と引き換えにしてまで、略奪を続けたいか――船内から屋根へ上がり、己の体とロープで固定していたクラリーチェの言葉は慈悲であり、最後通牒でもあり。
「……はっ」
リーダー格の『海賊』が、乾いた笑いと共に奇妙な銃を構える。
「確かにあんたらは強いかもしれねえ、だがなあ……ここでビビるなら、この国で『海賊』なんてやらねえんだわ。そうだろ野郎共!」
練達で『海賊』をやっているのも、何か思いがあっての事らしい。賊といえど腐っても練達人ということか。いずれにせよ大迷惑なのだが。
「……では、仕方ありませんね」
ミスティックロアにより、魔力がクラリーチェの裡に漲る。順序は経た。言葉に応じないのなら、行動あるのみ。
だが、イレギュラーズ達は『海賊』を積極的に殺めるつもりはなかった。
それを望まない仲間が今、船内にいるからだ。
●暗中防戦
暗くなった船内で、夏子はある子連れの女性乗客を宥めていた。
「上で……何が起きてるんでしょうか……本当に、私達戻れますか……?」
「うーん……ちょっと難しいかもね」
「えっ!?」
真剣な顔の夏子に言われれば、女性はたちまち怯えた表情を浮かべる。しかし、夏子はすぐにへにゃりと表情を崩した。
「お母さんが僕らをもっと信じてくれたら、そりゃあもう完璧にやれちゃうんだけどな~」
「わ、私は本気で……!」
船内では未だ戦闘の気配はない。照明もリンディスの魔晶式信号弾によりいくらか明るさを取り戻しており、夏子に宥められていた彼女のように不安に思う者も少なくはないものの、大きな混乱は起きていなかった。
「船内の見回り行ってきた。侵入してきた敵はいねえみたいだし、俺も屋根の方に加勢してこようかな」
「屋根の方は……」
見回りから戻ってきたルカと共に、リンディスが窓の外を見る。『海賊』達が高速で乗り回す機体が風を切ってそこかしこで音を立てる中、銃撃と魔法、剣戟がぶつかりあう音が響く。侵入を試みる敵を最優先で排除する作戦は功を奏しているようだ。
「万が一の時の攻撃手段はありませんが……夏子さんもいますし、何とかなるかと――」
ドン、ガシャン、と音がする。ルカが窓を破った音ではない。そも、ガラスの音ではない。もっと大きな――機体ごと突っ込んで、ドアを破った音だ。
前方車両から響いた音に、待機していたイレギュラーズ達の間に緊張が走る。
「わり、さっきの話やっぱ無しで」
「ほんっと、やることなすこと奇抜だよね」
前方へ意識を集中するルカと夏子。夏子はキャッスルオーダーの構えを取ったまま、乗客達を覆える保護結界を敷いた。
「公共の乗り物の中では暴れない、大きい音を立てない! 教わらなかったのでしょうかね」
怯え出す乗客達を宥めながら、リンディスが未来綴りの羽筆を取り宙へ字を連ねる。『海を駆けし戦武者の奇譚』の一節を構成した魔力のインクが解けると、ルカと夏子に力となって注がれていった。
そして準備が整ったのは、あちらも同じようだった。車両の接続部の扉を乱暴に開けると、前方から異形頭の『海賊』達が数人侵入してきたのだ。
「よう、ご機嫌だな。しかしちぃっとばかりおいたが過ぎた。ラサの傭兵、ルカ・ガンビーノ様の折檻は痛ぇぞ?」
「そんな凄そうな得物持って、すること略奪ぅ? ダッサ。悪いけど、夏子様の敵じゃないんだよね」
二人が挑発も込めて見据えれば、『海賊』達はまず光線銃を撃ってくる。夏子がシリウスの盾で壁となり銃撃へ対応する一方、ルカは射線を見切ってその距離を詰める。
「盗賊にかける情けはねぇけどな。仲間が命を奪いたくねえっつーからよ。感謝しろよ!」
言いながら、『黒犬』によるH・ブランディッシュが振るわれる。レプリカとは言え両手剣サイズの剣から繰り出される技はそれだけで小さな嵐のようで、壁や窓に叩き付けられる者が続出する。
「奪わない。奪わせない。……今時は結構、当たり前の事なんだぜ?」
金品だけでなく、命も。賊からも、一般人からも。それを言い出したのは、握った拳の中で今火花を散らしている夏子だ。
「爆音閃光雨霰! 浴びちゃってど~ぉぞっ!」
横薙ぎに払われた拳から、強烈な光と爆音が広がる。目の前で爆弾を爆発させたかのようなそれは、彼のギフトを最大限に活かしつつも相手を殺さない事を重視する、彼らしい『闇を劈く爆裂音』の炸裂だった。
●不殺結戦
船内への侵入を一部許してしまったものの、そこまで想定した上で布陣を組んでいたイレギュラーズ達に動揺はない。
「あんた達が暗闇に拘るのは何故なんです? 種族の特徴? それとも……暗闇でしか動けない臆病者なんですかね?」
「なっ……! ふっざけんな!!」
「悔しかったら小娘一人くらい軽く捻ってみやがれです」
マリナの問いは純粋な疑問でもあったが、それ以上に煽りとしてあまりに効果的であった。銃を向けて機体ごと突っ込んでくる海賊に反撃するのは、マリナ――ではなく。
「そうして捻りに来た輩を焼いていくのが妾、じゃな」
アカツキである。今も、ダブルクリメーションの炎の追撃に苦しむ『海賊』が機体から墜ちそうになっているのを少し心配げに見ている。
「私はアカツキさんをちゃんと守っているのですよ」
「マリナちゃんの煽り力が強すぎるのじゃよ。ま、妾もやりやすいがのう」
ころころとよく笑うアカツキ。その彼女を回復面で支えつつ、一定以上は敵を近付けさせないようにしているマリナ。ある種、攻守でとてもバランスの取れている二人である。
「――10人と……中へ入った分を合わせると、何人くらいになるでしょうか」
見つけた『お友達』を雁字搦めに呪ってしまう黒い嗤い声を、頃合いと見て鎮めて。クラリーチェはリースリットに確認した。
「15人はいたかと。空中を移動する相手を、全員確実に生かすのはやはり難しかったですが」
魔光閃熱波を当てた何人かは、直接殺しはしなかったが機体ごと下へ落としてしまった。彼らがどうなったかはわからないが、そこまで責任は持てないし取る必要も無いとリースリットは思っていた。元より『再起不能に』という依頼なのだ。
しかし、何とか残せた命は。
「船内の仲間も失敗したようだぞ。この期に及んで、まだ戦うか。頭はお前だろう。投降するというなら、俺達も悪い様にはせん。返答は如何に」
透視で船内の無事を確認したマナガルムが、リーダー格と思しき『海賊』に槍を向けながら確認する。
「畜生……ここまでしといて、殺さねえのかよ」
「殺しませんよ。この国の法の裁きを、正しく受けて下さい」
そして、可能なら更生してください、と。クラリーチェが厳しく言うと、リーダー格の男は舌打ちしつつも受け容れた。
●救出完了
「人なら、やり直せる筈だから。できればちゃんと、やり直して欲しいんだよね」
『海賊』の無力化を終え、あわや沈没の危機にあった連絡船シーサーペントは無事牽引され、目的地へ到着する事ができた。『海賊』の一団もそこで引き渡しを終え、連行されていく後ろ姿を夏子が見送っていた。
ここまでの道中で彼らが語っていた内容を事実とするならば、彼らは種族としては皆ウォーカーであり、皆研究者の使い走りの出身であったようだった。使われるだけの生活に嫌気が差し、自由の身になりたかった、というのが言い分だ。それでも『海賊』という行為は許されないが。
「私なら縛って蹴り落とすか、戦いの中でぶち転がすかしたでしょうけどね。『うっかり』」。
『海賊』という存在を激しく嫌悪するマリナ。さらりと物騒な単語が出てくる彼女に、夏子は苦笑するのだった。
練達の空には、今日も海蛇が游ぐ。
水無き海をゆく海蛇を襲う『海賊』は、もう無い。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
初めてのリクエストシナリオにして初めての戦闘シナリオでした。
皆様のステータスに合わせて、海賊側もそこそこ強めにせっt……人数も当初の予定より盛っt……はずですが結果はご覧の通りです。
強い。
またのご縁を頂ければ幸いです!
GMコメント
初めまして、旭吉(あさきち)と申します
この度はシナリオのリクエストをありがとうございました
●目標
連絡船シーサーペントへ略奪に来た『海賊』を再起不能にする(生死問わず)
●状況
練達のある一都市の夜。シーサーペントの形状は空飛ぶモノレール(長め)のようなものと思ってください。
車内は照明が落ち、窓も外から墨を吹き付けられ視界が0に近付きつつあります。窓やドアを破って外へ出る事は可能でしょうが、一般の乗客もいます。
まがりなりにも『船』ですので、時間がかかると『沈没』するかもしれません。
車内が狭ければ、屋根に登るのもありでしょう。
●敵情報
頭が魚介類の『海賊』×10体以上。
広範囲の視界を妨げる墨を発射するアイテムを全員が装備。
他にも個体によって触手や光線銃、短剣などを装備しています。
『海賊』が乗っているのは空飛ぶ水上バイクのようなものです。
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
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