PandoraPartyProject

シナリオ詳細

最強、最速、カタツムリGP!!

完了

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 しとしと、しとしと……。
 混沌にも梅雨の時期がやってきて、このところあちらこちらで雨模様が続く。
「雨季……か」
 『黒狼領主』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)は雨雲に覆われた空を見上げる。
 丁度、彼は天義へと依頼で立ち寄っていた。
 行商人から、配達の手が足りない為に手を貸してほしいという依頼があり、天義内でもやや中央から離れた場所の孤児院へと配達を託されたのだ。
 配達と言っても、数日から十数日程度の食料に、衣服などの日用品、備品に資材などなど。孤児院には多数の子供達がいることもあって、荷物は荷馬車1台分に登る。
 ベネディクトは数人の仲間達と、荷馬車を使って荷物を運んでいた。

 程なく、一行は目的地へと到着して。
「皆様、お疲れ様です」
 孤児院のシスター2人がローレットから派遣されてきたイレギュラーズを迎えてくれる。
 生憎の雨とあって、体を冷やしていたメンバー達を見たシスターは身体を拭く為のタオルを差し出し、さらに温かいスープを振舞ってくれる。
 しとしとと降る雨を屋内から見ながら、スープで体を温めるメンバー達。
 別件で、近場の魔物退治を請け負った後で雨宿りに立ち寄ったイレギュラーズ達もおり、その数は10人と大所帯に。
 それだけの客が立ち寄れば、屋内の遊びに飽きていた子供達が目の色を輝かせて駆け込んでくる。
「ねえねえ、あそぼあそぼ!」
「他の国の話とか聞かせてほしーな!」
 子供達はイレギュラーズ達へと色々と話をするようせがむ。
 そこで、忙しい中で手を止めたシスターの1人がその様子を見て、イレギュラーズ達へと頼む。
「良ければ、相手をしてやっていただけませんか」
 シスター達も子供達の世話に手を焼いていた上、家事などの日常業務に加えて運び込まれた荷物を整理しなければならないと、大忙しなのだ。
 とはいえ、イレギュラーズ達も大所帯な為、屋内だとかなりシスター達の邪魔になってしまうことだろう。
 皆、どうしたものかと考えていると、ベネディクトがこんな提案を。
「皆でカタツムリレースなんてどうだろう」
 この孤児院の傍には、アジサイが満開の畑がある。
 それぞれ、イレギュラーズが子供1人とペアを組んで歩きながら語らい、カタツムリを1体捕まえる。
 そして、外にあるテーブルを使い、カタツムリを並べてレース開始。どのペアが最初にゴールへと到着するかを競うというものだ。
 再び外に出ることになるが、少なくともその間、シスター達は屋内でスムーズに仕事をすることができるだろう。
「「「わーーーい!」」」
 子供達もなかなか外に出られずにいたが、敢えて外に出て遊ぶとあって雨具を纏って楽しそうにはしゃぐ。
 あまりはしゃぐと転んで泥だらけになるよとイレギュラーズ達は注意しながらも、子供達とのふれ合いが楽しそうだ。
「それでは、少しの間、よろしくお願いいたします」
 シスター達に子供達を託され、イレギュラーズ達もまた雨具を使いつつ、孤児と一緒にアジサイ畑へと向かうことにしたのだった。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様こんにちは。なちゅいです。
 今回はリクエストシナリオのご依頼、ありがとうございます!

●目的、概要
 前半:子供と2人1組になって、アジサイ畑でカタツムリを捕まえる。
 後半:皆でカタツムリレース。勝つのは誰だ!?

●状況
 前半は雨が降る中、天義の孤児院傍にあるアジサイ畑を、孤児と2人1組で歩く描写となります。他のペアと一緒でも構いません。
 子供は4~12歳くらい、天義内で孤児となった人間種の男女10人程度です。簡単でいいので、年齢、性別程度、ペアとなる子供の情報を決めてください。
(皆様で情報を示し合わせの上、年長組ばかり、女の子オンリーなど、偏りがない状況となりましたら幸いです)

 カタツムリは2~5cm程度の大きさです。
 名前を付けるのは自由ですが、使役したいなど特に理由がないようでしたら、終了後はリリースしてあげて頂ければと思います。

 後半は、捕まえたカタツムリ同士でカタツムリレース開催です。
 テーブルは外で子供達がランチを食べる用のもので、あまりり高くはありませんがかなりの大きさがあります。
 雨よけにテントを張るなど、事前準備は自由です。
 準備が整いましたら、全長50センチのコースでゴールを目指してください!
 勝利ペアにMVPと称号をお送りします

 皆様でワイワイと楽しく遊んでいただけたなら、子供達も喜びます。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • 最強、最速、カタツムリGP!!完了
  • GM名なちゅい
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年06月13日 22時10分
  • 参加人数10/10人
  • 相談7日
  • 参加費---RC

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(10人)

ポテト=アークライト(p3p000294)
優心の恩寵
リゲル=アークライト(p3p000442)
白獅子剛剣
スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)
天義の聖女
ノースポール(p3p004381)
差し伸べる翼
アレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)
蒼穹の魔女
サクラ(p3p005004)
聖奠聖騎士
カイト・C・ロストレイン(p3p007200)
天空の騎士
アカツキ・アマギ(p3p008034)
焔雀護
ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)
戦輝刃
マギー・クレスト(p3p008373)
マジカルプリンス☆マギー

リプレイ


 天義某所の孤児院。
「皆でカタツムリレースなんてどうだろう」
 そんな『ドゥネーヴ領主代行』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)の突拍子もない提案に、諸々の事情で集まったイレギュラーズ達は……。
「カタツムリレースだー!」
「「だー!!」」
 『新たな道へ』スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)が童心にかえって思いっきり叫ぶと、孤児の男の子達も楽しそうに叫ぶ。
 傍では楽しそうに、ベネディクトのファミリアー、ポメ太郎が楽しそうに子供達と一緒に室内を駆け回っている。
「ベネディクトさん、ナイスアイディアです!」
 『差し伸べる翼』ノースポール(p3p004381)も子供達が楽しそうにしていること、そして、安堵するシスター達の様子から一石二鳥だと考えてその提案に賛同する。
「良き提案を有難う。心温まる一日になりそうだな!」
 皆に挨拶し、騎士らしくシスターにも丁重に一礼した『死力の聖剣』リゲル=アークライト(p3p000442)は、『子供は遊びが仕事。この笑顔を守っていきたい』と楽しそうに語った。
「やったことはないけど、楽しみだね!」
「ボクも初めてです。ワクワクしちゃいますね!」
 『希望の蒼穹』アレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)も、『小さな決意』マギー・クレスト(p3p008373)も乗り気な様子だ。
「見た目が可愛いカタツムリで、レースは女の子も楽しめそうでいいよね!」
 一方で、『聖剣解放者』サクラ(p3p005004)は昔カブトムシを捕まえて戦わせたことを思い出しながら、きょとんとしている女の子達へとウインクする。
「最強にして、最速のカタツムリを競うカタツムリGPか」
 『放火犯』アカツキ・アマギ(p3p008034)は多人数で遊ぶ催し物に縁がなかったそうで、非常に楽しみにしていた。
「ああ、みんなで楽しめる遊びは良いな」
 それに、『優心の恩寵』ポテト=アークライト(p3p000294)も共感してする。
「梅雨、か。季節を愛でるのは悪くない」
 『六枚羽の騎士』カイト・C・ロストレイン(p3p007200)は窓を少しだけ開き、指先についた水滴を弄ぶ。
「提案してくれたベネディクト卿に、感謝しないとです」
「ベネディクト卿、感謝申し上げる」
 マギーに続いて礼を告げるカイトは、彼と遊ぶ機会が多いらしい。
 また、カイト天義の地で無邪気に遊んだことはなかったと思い返し、胸を躍らせていた。
「突拍子のない提案ではあったが、受け入れて貰えた様で何よりだ」
 皆の反応にベネディクトは笑みを浮かべ、良い思い出を作って帰ろうと促す。
「皆で仲良く楽しくできたら良いな!」
 折角だから、スティアは初めての催しをいっぱい楽しもうと考えながら、雨具に着替えて子供達と外に向かうのだった。


 しとしとと降る雨の中、30人近くの一団が孤児院からアジサイ畑へと移動する。
 さて、レースをするにも、カタツムリが必要となる。
 孤児院の子供は10数人いるが、今回はその中からイレギュラーズと個別にペアを組み、カタツムリ探し。
 他の子供達はポメ太郎と遊びながら、会場設営を当たってくれていた。

「私はポテトっていうんだ。名前を教えてくれるかな?」
 しゃがむポテトと視線が合ったのは4歳の少女オリビア。
 名前を教えてくれたオリビアの頭を撫で、ポテトは彼女とカタツムリ探し。
「俺はリゲル。君の名前は?」
 その夫、リゲルは4歳の少年、イアン。どうやら、オリビアとは双子らしい。
「カタツムリは、見た事はあったかな?」
 転ばぬように手を繋ぐリゲルの言葉に否定を示す少年だが、好奇心で目を輝かせる。
 目指すは優勝。イアンのから沢山の笑顔を引き出したいリゲルは、彼が雨に濡れないよう保護しながら元気の良さそうなカタツムリを探す。
「カタツムリ、どこにいるかな?」
 ポテトもまた楽しく過ごせるようにと、各地の可愛いものの話をしながらアジサイ畑を歩く。
 そんな中、オリビアが指さした先のアジサイの葉に、カタツムリの姿を発見し、ポテトはびっくりさせぬよう葉っぱごと連れていくことに。
「私達の都合で勝手に連れて行くんだから、出来るだけ優しくな?」
 こくりと素直に頷く少女はそっと葉っぱを根元から摘むと。
「いい子だ」
「リンリン!」
「可愛くて良いと思うぞ」
 優しく褒めた少女が名付けた名前に、ポテトはにこやかに笑う。
「そっと、殻の部分を持つんだよ」
 同じく、リゲルが力を入れないよう助言すると、イアンが両手に乗せて笑顔を浮かべる。
 そこで、リゲルがこの子にラテン語で元気を意味する『ヴィゴル』と名付けよう提案する。
「君のように元気一杯だし、良い相棒になるぞ!」
 イアンはその名前がすごく気に入ったようだった。

「私はスティアだよ、今日はよろしくね」
 すると、5歳の少年ウィルの挨拶を受け、スティアは彼をウィル君と呼び、打ち解けながらカタツムリ探し。
「やっぱり大きなのがいいのかなあ」
 男の子の方が詳しそうだとウィルの意見をスティアが素直に聞いていると、赤いアジサイに数匹のカタツムリが。
「君に決めたー!」
 その中で、ウィルが興味を示した1匹をスティアが捕まえ、すぐにガーベラと名付けようとして。
「花の名前なんだけど、希望って意味があるから勝てそうかなって!」
「じゃ、そのあとにWってつけていい?」
 自分の頭文字でウィルはWをつけたかったのだが、2つの希望、そして、白いガーベラと合わせた意味になったことに、スティアは少し驚きながら頷くのである。

「私はノースポール! ポーって呼んでね」
 折角なら優勝をと強く意気込むノースポールに、6歳の少女ルーナはかなりやる気を見せる。
 そして、普段来るルーナがノースポールを案内する形で歩く。
「近くに、こんな立派なアジサイ畑があって羨ましいなぁ♪」
 ノースポールの一言に首を傾げるルーナ。そんな立地を気にかける間もなく、カタツムリを発見。
「カタツムリ、触れる? ダメだったら私が捕まえるから安心してね!」
 うんと頷き、ルーナが恐る恐るカタツムリに降れると、ノースポールはうんと頷いて。
「よし、キミの名はツムだ! 少しの間よろしくね、ツム!」
 角を出すカタツムリは、やる気を漲らせているようにも見えた。

 マギーは弟と同じくらいの7歳の少年、ライリーとペアに。
「ボクはマギーです。キミのお名前、聞いてもいいかな?」
 優しい声で語りかけて手を差し出すと、ライリーは物陰に隠れてしまう。
 お姉さん気質な子が多い孤児院では、マギーのようなタイプが珍しくて戸惑っているのだろう。
 それでも、躊躇いがちに手を繋いでくれたライリーと、マギーは転ばないよう足元がぬかるむアジサイ畑を歩く。
「天義騎士カイト・C・ロストレイン。今日は君だけのナイトだ」
 一方、翼を生やした天義の騎士に、12歳の少女エミリーが。
 普段はお姉さんの立場の少女も、カッコよく大人な男性が傍にいれば照れてしまう。
「黴菌とか……あっ、直接触ったら良くない!」
 彼女を気がけ、カタツムリを葉っぱに乗せたカイト。
 まだ、近場に数匹いることを確認し、好きなのを選んでいいとカイトが話す。
「きっと一期一会、君がいいと思ったカタツムリが最高の逸品さ」
 顔を真っ赤にしつつも、エミリーは1匹を葉に乗せて選ぶ。なお、カイトがマイマイと名付けていたようだ。
 その時、マギーの連れていたライリーがカタツムリを発見して走り出す。
「……わっ、まってまって、走ると転びますよ!?」
 ぬかるみに足を取られ、ライリーが転びかけたのをマギーが引っ張り、下敷きとなる。
 それに気づいたカイトだったが、間に合わなかった。
 泥だらけになったマギーが下敷きとなり、転んだライリーを抱えていて。
「かっこ悪い所をみられちゃいました……」
 みんなには内緒とマギーが口元に人差し指を当てると、ライリー、エミリーがこくりと頷く。
「そんな事はないさ、子供を庇ったのは何よりの勇敢さだ!」
 怪我はないかと泥を払うカイトに、またエミリーは顔を赤く染めてしまっていた。
 なお、その後マギーはライリーと協力し、無事にカッコいいカタツムリ、カールを捕まえていたようだ。

「私はサクラ。……キミの名前、スミレちゃんっていうんだ」
 サクラが声をかけていたのは、8歳の引っ込み思案な女の子だった。
 それもあって、サクラが主導権を握ってスミレを引っ張る形に。
「頑張って速いカタツムリを探そうね、スミレちゃん!」
 とは言ったものの、いざカタツムリを見比べても、サクラには一緒に見えてしまって。
「強い個体とかあるのかな……?」
 そこで、手を伸ばそうとしたサクラがすぐに引っ込める。
「大丈夫大丈夫! お姉ちゃんがついてるから!」
 負けても怒ったりしないから、一緒に頑張ろうとスミレが励ますと、サクラはおそるおそる再び手を伸ばしてカタツムリを捕まえた。
「名前はどうしよっか?」
 提案するスミレは、2人とも花の名前ということで、それにちなんで2000万フラワーズと名付ける。
 すると、スミレがくすりと笑い、「鉄帝の闘技場の出場者みたい」と小さく笑っていた。

「妾はアカツキ・アマギ。特技は……なんと手品じゃ」
 アカツキはギフトの炎を指先から出し、空中に自分の名前を描く。
 10歳の少女はうわぁと目を丸くしながらも、ソフィアと名乗った。
 ソフィアの心をつかんだところで、アカツキ達は張り切ってカタツムリ探し。
 アカツキもまた速そうなカタツムリ探しに頭を悩ませる。
「元気さを重視ということで、葉の上で動いているカタツムリを探すのはどうじゃ?」
 生態を把握しているアカツキによれば、軟体部が湿っていないと生きていけないとのこと。
 ならばこそ、殻の中で粘膜を張っていたり、寒暖を避けて物陰にいたりする個体は弱っていると判断する。
 ソフィアは「へー」と感心しながらも、雨に濡れるアジサイの葉の上を移動するカタツムリを1匹手に取る。
「おっ、見つけたようじゃのう……」
 そこで、アカツキが名付けでマイ太という名を提案するが、ソフィアは可愛くないときっぱり。
 超ダメ出しされてしまい、駄目な大人になった気分とショックを受けながらも、アカツキは気を取り直して。
「では、アフロディーテとかどうじゃ」
 美を司る神様の名前に、気を良くするソフィア。
 すると、暁には何となくカタツムリが美人な気がし始めたのだった。

 カタツムリレースの発案者、大柄なベネディクトが目線を合わせて挨拶を交わすと、自己紹介した10歳の少年フレッドへと笑顔を浮かべ、よろしくと言葉を交わす。
「カタツムリを探そうか。何処にいるのかな? 知っていれば教えてくれるかい?」
 さすが、孤児院の周辺を駆け回る男の子は胸を張って案内してくれる。
 雨は降っていたが、雨具もあって肩車などして普段とは違う景色をフレッドへと見せるベネディクト。
 いつもより高い視点から畑を見下ろすフレッドはカタツムリを発見して喜ぶ。
 決して大きくはないカタツムリではあったが、ベネディクトも可能性を感じて。
「これが俺達のカタツムリ、グローリアだ」
 彼は高く、そのカタツムリを掲げてみせたのである。

「アレクシアだよ、今回はよろしくね!」
 最後のペア、小柄なアレクシアは自分とほとんど背丈の変わらぬ11歳の少年ロナルドとペアを組む。
 年上のお姉さんに照れて、斜に構えがちなお年頃な少年だが、アレクシアはぐいぐいと彼を引っ張っていく。
「お姉さんこの辺りはあんまり詳しくないから、教えてほしいな!」
 そんなお姉さんにときめきながらも、ロナルド少年は横を向きつつ直感で選んだカタツムリをアレクシアへと差し出す。
「ロナルド君が選んだカタツムリだもん。きっと優勝間違いなし!」
 自分を直視しようとしないロナルドがかわいいと感じながらも、アレクシアはレースの主体は子供達だと考え、彼の直感に従うことにする。
 勝利を意味するニーケーと名付けたカタツムリが殻に引っ込みかけていたのを、アレクシアは見て。
「ごめんね、そしてよろしくね」
 その謝罪を分かってくれたのか、ニーケーはにゅっと角を出してくれたのだった。


 こうして、10組のペアのカタツムリが出揃う。
「こんにちは! 今日はよろしくね♪ ふふっ、お二人のカタツムリには負けませんよ!」
 ノースポールがリゲル、ポテト夫妻とペアとなる双子に声をかけ、カタツムリにもご挨拶。
「こっちの元気なお姉さんがポーで、格好いいお兄さんがリゲルだ」 ポテトのペア、オリビアは大人な男性であるリゲルに照れつつ、ご挨拶すると、微笑ましげにポテトは彼女の頭を撫でていた。
「ポテト、それにポーさん、お互いベストを尽くそう!」
 それぞれのペアが良い子だと感じたリゲルは、真剣勝負と意気込みを見せていた。
「ほう……、皆のカタツムリも中々立派な殻をしているじゃないか……。角の鋭さも申し分無い」
 そこで、現れたベネディクトが皆のカタツムリを目にして、驚いたように頷く。
「だが、勝つのは俺達のカタツムリ、グローリアだ。それは譲れんぞ」
「ふふーん。優勝を頂くのはスミレちゃんと私の『2000万フラワーズ』号だよ!」
 負けじとサクラもまた主張する。
 混沌としてきたこの勝負。誰か優勝するのかもうわからない状態だ。
「皆のカタツムリも速そうだし、緊張してきたかも」
 スティアの視線の先には、孤児達が庭に建てた運動会用テントの下にあるテーブルの上に、湿った布地が敷かれた全長50センチのコースが用意されていた。
 スタート地点に並べられたカタツムリ達は、雨に濡れた全長50センチのコースをゴールに向かって移動していくこととなる。


 いよいよ始まるカタツムリレース。
「レディ……GO!」
 競技の進行を取り仕切る子供達によって、戦いの火蓋が切って落とされた。
 …………………………。
 出だしは静まり返って雨音だけが聞こえる中、カタツムリ達は至ってのんびりと進む。
 元の大きさもあり、その歩みは決して早いとは言えない。
「そこだー! がんばれー! 私達の絆の力を見せるんだー!」
 スティアは少年ウィルと一緒に、まだ知り合って間もないガーベラWの力を信じて声援を送る。
 折角だから、勝ちたいと考える彼女だが、それ以上に皆が楽しめる雰囲気を作ろうと場を盛り上げる。
「がんばれマイマイ! 応援している、僕は君を信じてるぞ!」
 カイトもエミリーと一緒に自分達のカタツムリを応援していた。
 小手先でどうにかして進ませようとは思わず、カイト達はマイマイの力を信じる。
「信じるものは救われる、そう神も説いていたはず」 
 そんなカイトと隣では、ベネディクトは自分達がグローリアを選んだのは偶然ではないと言葉をかけていた。
 自分とフレッド少年がこいつしかいないと思ったのは間違いでなかったことを証明する為に。
「いけ、グローリア! 俺達が最強、最速だと皆に知らしめるんだ!」
 反対側では、アカツキがにこにこしてソフィアと成り行きを見守る。
 一方で、孤児院内で泥を洗い落としてから参戦しにやってきたマギーがライリー少年に状況を尋ねると。
「あ、あ、そっちは逆走……!」
 彼女達のカールが反転したのを確認し、慌てて軌道修正していたようだった。

 それから20分ほど経過したが、観客であるイレギュラーズや孤児達のボルテージは上がる一方。
「ほら、リンリンも頑張っているぞ」
「頑張れ、ヴィゴル! 君ならやれる!」
 ポテトはペアとなるオリビアをおんぶし、リゲルはイアンを肩車。
 年少である双子2人は楽しそうに高い位置からレースを観戦する。
 レース展開がどうあれ、選んだカタツムリが一等賞を取れるようにとしっかりと声援を送るメンバー達。
 ゴールまではあと少し。勝負は3匹に絞られつつあった。
 まず、ノースポール、少女ルーナ組のツム。
 サクラ、少女スミレ組の2000万フラワーズ。
 そして、アカツキ、少女ソフィア組のアフロディーテだ。
 少年組が悔しがって追い上げを信じて声援を送る状況だが、この3匹はすでにゴールまで僅かな位置まで迫ってきている。
「いけー、そこだー! その名前は伊達じゃないって見せてやれー!」
 アレクシア、ロナルド組のニーケーが僅かに遅れ、少年組でトップの位置にいたが、アレクシアは勝ちにこだわりすぎず、実況も担当していて。
「おおっと、ここでツムが前に出た!」
 だが、アフロディーテと2000万フラワーズだって負けてはいない。
「いけー! 2000万フラワーズ号! ぶっちぎれー! フラワーパワーを見せてやれー!」
 サクラが力の限りスミレと応援し、後はレースを走るカタツムリを信じて祈る。
「いけーっ! ツム、頑張れーー! そのまま真っ直ぐ! いい感じだよ!」
 ノースポールも腕を振り、ルーナ少女と一生懸命応援する。
 大人げないと分かっていながらも、こうして全力で楽しむのが良い大人だと、ノースポールは疑わない。ルーナもちょっとだけ真似して腕を振るっていたようだ。
「ゴールまであと少しだ! ラストスパートだ!」
「さあ、ゴールラインへと最初に足をかけたのは……!」
 リゲルの声に続き、実況もしていたアレクシアが叫ぶ。
 最初に白いラインを踏んだのは……ノースポール、ルーナ組のツムだった。


 全てのカタツムリがゴールするのをメンバー達。
「よく頑張ったな、ヴィゴル。君の勇姿を見ていたぞ!」
「リンリンもお疲れ様だ」
 リゲル、ポテトは自分達のカタツムリを掌にのせて労う。
 サクラはスミレと一緒になって、3位となった2000万フラワーズを褒めてあげていた。
「グッドゲーム! というやつじゃ」
 2位となったアフロディーテを擁するアカツキだが、互いの健闘を称え合う。
 皆、優勝者であるペアへの祝辞も忘れない。
「おめでとうございます」
「しばらく、感想を言い合いたいな」
 マギーもまた祝辞をと1位ペアに言葉をかけ、スティアはしばらく互いのチームのいいところを褒め合いたいと語る。
 その前にと、ノースポールはルーナ少女とツムを抱え、白雪の翼を羽ばたかせて空へと舞う。
「やったね~!」
 彼女の声が響く空はいつの間にか雨がやみ、虹がかかっていた。
「あそこまで行ってみるかい?」
 カイトもまた、年長の少女エミリーを抱えて高く跳び上がる。
 孤児院の周辺を見下ろし、空を仰ぐ少女の笑顔を、カイトは護っていくべきなのだろうと再確認して。
「そうですよね、我が王。天義の、教皇よ」
 聖都フォン・ルーベルグの方角を向き、彼はそう仕えるべき王へと小さく告げた。
 そんな仲間達の姿をベネディクトは見て呟く。
「少しでも皆で楽しめただろうか?」
「楽しかったよ」
 すると、ペアの少年フレッドが満面の笑みを浮かべて答えたのだった。

 感想会も終わり、メンバー達はカタツムリ達をアジサイ畑へと返す。
「ありがとう」
 頑張ってくれたニーケーに、アレクシアはお礼と別れを告げる。
 そばでは、リゲルがヴィゴルを、ポテトがリンリンに礼と労いの言葉をかけ、野に帰す。
 ただ、別れの言葉を告げるのはカタツムリだけではない。
 イレギュラーズと孤児達もまた、別れの時間が迫っていたのだ。
「また遊びにくるからなー!」
「また遊ぼうね。シスターや皆と仲良くね? 元気でねっ!」
 リゲル、ノースポールが見送りに来た孤児やシスター達へと大きく手を降る。
 イレギュラーズ一行の乗せ、動き出す馬車。
 メンバー達は孤児院が見えなくなるまで、大きく手を振っていたのだった。

成否

成功

MVP

ノースポール(p3p004381)
差し伸べる翼

状態異常

なし

あとがき

リプレイ公開です。

以下、孤児の年齢性別、名前とカタツムリの名前のまとめです。
孤児の名前、名前のないカタツムリはこちらで設定いたしました。

   ポテト 4歳 少女オリビア、リンリン
   リゲル 4歳 少年イアン、ヴィゴル
   スティア 5歳 少年ウィル、ガーベラW
1着 ノースポール 6歳 少女ルーナ、ツム
   アレクシア 11歳 少年ロナルド、ニーケー
3着 サクラ 8歳 少女スミレ、2000万フラワーズ
   カイト 12歳 少女エミリー、マイマイ
2着 アカツキ 10歳 少女ソフィア、アフロディーテ
   ベネディクト 10歳 少年フレッド、グローリア
   マギー 7歳 少年ライリー、カール

これだけの数のプレイヤーの方とNPCを詰め込んだ通常シナリオも珍しいかと思いますが、その分濃いシナリオになったかと思います。

長文、失礼しました。
リクエスト、並びにご参加、ありがとうございました!

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