PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<虹の架け橋>スイカダンジョン!!!!!!!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●スイカダンジョンだつってんだろ!!!!!!!
「キシャー!」
 皆もよく知ってる深緑のモンスター作物デストロスイカが激しくバウンドしながら通りすがりの魔物をかみ殺した。
 かと思えばラサでおなじみサンドスイカが地面から飛び出しその大蛇のごときボディでもって通りすがりの魔物を絞め殺し、どさくさに紛れたミサイルスイカが通りすがりの魔物を爆殺し突然のボーリングスイカが通りすがりの魔物をストライクし急に来たばくだんスイカが意味も無く場を爆発オチにした。
 そうここは道の迷宮ヘイムダリオンの一領域こと『スイカダンジョン』。スイカ系モンスターがアニメの総集編かなってくらい大量に集まっては一斉に襲いかかってくるという深緑カオス面を象徴したかのようなダンジョンなのだ。
「よーしみんな、今からここを攻略して『虹の宝珠』ってやつをゲットすればいいんだよな! なんでかっていうと……えっと……なんでだ!?」
 自分が持ってきた情報書類をもっかい開いてみる出亀炉 スイカ(p3n000098)。

 かつてより妖精郷アルヴィオンからやってきていた妖精達は移動に用いていた門アーカンシェルが未知の魔物に突破され今まさにアルヴィオンのピンチとなっていた。
 直通機能が遮断されるわ妖精郷に魔物はなだれ込むは変態臭い眼鏡が行ったらしわで死ぬほど大変な昨今。当事者であるところの妖精達からローレットへダンジョン攻略の依頼が舞い込んだ。
 妖精郷のピンチとダンジョン攻略がどう関係あるのかっていえば、大迷宮ヘイムダリオンを攻略し虹の宝珠を沢山集めれば妖精郷への道を開くことができるからってえことらしい。
 かくしてローレットはヘイムダリオンの各領域へアクセスし攻略を目指すのだ。

「……なるほど」
 スイカちゃんはドシリアスな顔でつぶやくと、その顔のまま依頼書をぎゅって握った。
「『かつてより』のあたりからもう分からん」
 わからんのか。
「スイカをヤればいいってことだけは分かった」
 わかったのか。
「このスイカダンジョンは途中でバンバン襲ってくるスイカ系モンスターを倒しながら突き進み最終的にキングスイカを倒せば宝珠がゲットできるちょーシンプルダンジョンなんだZE!」
 スイカちゃんはビッを親指を立てると、ダンジョンの奥地めがけて走り出した。
「よっしゃあ行くぜみんな! スイカとくればあたいの出番! 最近バナーにもなって勢いのついてるアタイにかかればこんなダンジョンITIKOROに――ぎゃふん!」
 スイカちゃんは足下のスイカに躓いて顔から転倒した。

GMコメント

■オーダー
 ダンジョンの攻略(及び虹の宝珠の獲得)

 このダンジョンの仕組みはシンプル。低位のモンスターたちがビュッフェレストランにキャビアあったときの客くらいもりもり出てくるモンスター勢をちぎってはなげちぎってはなげしーの、ラストフロアに待ち構えるスイカの中のスイカことキングスイカを打倒することで攻略が完了するというものであーる。道もメッセージ送りしか要求してこないノベルゲームもかくやの一本道STYLEなので迷うことものうございます。

●エネミーデータ
 ダンジョンの途中でわんさか出てくるモンスターを倒しながら進んでいくのが前半の主な仕事になりますが、出てくるモンスターのうち一部は大雑把なスペックが判明しています。

・デストロスイカ
 全長2mのスイカで牛や馬を食いちぎるくらい噛みつきぢからがやべー。
 『噛みつき(【出血】【必殺】)』『体当たり(ダメージたかめ)』を使用。
 あと美味しいらしいけど食う暇はない。(持ち帰る余裕もない)

・サンドスイカ
 全身が砂粒でできた大蛇めいたモンスター。地面からボッて出てきて襲いかかるが奇襲攻撃をしない主義らしいので普通に構えて普通に戦える。
 基本的な攻撃レンジは近~遠。【飛】や【暗闇】といった効果がついた砂嵐と、噛みつき攻撃で戦う。
 美味しいかどうかは食べたことないからしらないけど多分砂の味がすると思うよ?

・ミサイルスイカ
 普段は風船みたいにぷかぷかしてるけど敵を見つけると汁ジェットですっとんでくるいかれたスイカ。ダメージ自体はそんなでもないけど追尾性能がつよいのでめっちゃ避けづらい。
 物超範【移】【ブレイク】【変幻50】が基本の攻撃方法。
 糖度が高くておいしいらしいけど大抵捕まえたときには中身空っぽだから幻の食材扱いされている。この情報要らなくね?

・ボーリングスイカ
 美しいフォワードスイングでスイカを投げてくるおじさん。……おじさん!?
 指ぬきグローブをしててやや頭髪は後退してるけどいまだ現役のまなざしが光ると評判。町内会ボーリング大会で堂々の優勝を毎年もぎ取るうえに主催もするので参加者たちからは軽くウザがられているが若き日の栄光を忘れられずに週一でボーリング場に通う姿が目撃されているって資料に書いてあるけどこの情報一番いらない。
 物中単【多重影3】【鬼道20】【崩れ】【体勢不利】
 ほらみろすごい重要なスキル情報がかすんでるじゃねえか

・ばくだんスイカ
 気配を消してそっと近づき突然爆発するスイカ。敵味方の区別なくレンジ2範囲内の全てに【飛】【無】の超高命中攻撃をしてくる。
 逃れられないわりにダメージがない。別名爆発オチ担当。

●キングスイカ
 8玉のスイカが合体してできあがるボスモンスター。
 HPがクソたけえことや案外多彩な技を持ってることを除けばそんなに脅威じゃない。
 すごい余談だけどボスフロアには沢山のスイカがいて『スイカー』とか叫んでるだけなんですが急にこれが合体してキングスイカになるもんだからきっと驚くと思います。そういう所見ロールプレイをあらかじめ仕込んでおくとよりお楽しみいただけます。

 尚、スイカちゃんは顔からイったため依頼には参加しません。かたきをとってくれ。

■■■アドリブ度■■■
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用ください。

  • <虹の架け橋>スイカダンジョン!!!!!!!完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年05月28日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

クロバ・フユツキ(p3p000145)
深緑の守護者
オデット・ソレーユ・クリスタリア(p3p000282)
鏡花の矛
杠・修也(p3p000378)
壁を超えよ
アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)
灰雪に舞う翼
夜乃 幻(p3p000824)
『幻狼』夢幻の奇術師
エリス(p3p007830)
呪い師
ソニア・ウェスタ(p3p008193)
いつかの歌声
胡桃・ツァンフオ(p3p008299)
ファイアフォックス

リプレイ

●スイカ!
「妖精郷も大変ねぇ……」
 『ファイアフォックス』胡桃・ツァンフオ(p3p008299)はスイカちゃんが落とした資料を開いてダンジョンのおさらいをした。
 スイカ系モンスターがとにかくもりもり出てきてそれをばったばったと倒して突き進めばゴールという、ギミックもへったくれもないダンジョンである。
 『こんなのもうモンスターハウスじゃん』とは誰の言葉だったろうか。
「スイカ、スイカぁ……。美味しいスイカがあったら食べたくなるのは、いきものの『さが』……。
 スイカちゃん、そなたの尊い犠牲は無駄にはしないの」
 なんかに躓いて顔からいったスイカちゃんの笑顔を青空(?)に浮かべ、一端追悼した気分になる胡桃。
「スイカダンジョンということは、美味しいスイカのモンスターもいるということでしょうか?
 味が気になりますが食べている暇はなさそうですねぇ……残念です」
 一方の『呪い師』エリス(p3p007830)はスイカちゃんのことをさっぱり忘れたようで、まだみぬスイカ食材と食べ得ぬ美味について思いをはせていた。
 逃した魚は大きいという言葉もあるように、人は手に入らないと分かったものほど価値を考えてしまうものである。
 『木漏れ日妖精』オデット・ソレーユ・クリスタリア(p3p000282)は小柄な身体でサイドテールの髪をゆらし、なんだかほこほこした空気をかもしだした。
「夏と言ったらスイカだけど……そういう時期じゃないよね、まだ。
 まぁ顔からいった可哀想な誰かさんもいるみたいだし頑張りましょうか」
「大丈夫でしょうか、スイカ様……」
 『『幻狼』夢幻の奇術師』夜乃 幻(p3p000824)は胸に手を当て、空(?)に浮かんでホットケーキとパンケーキの違いについてしつこく聞いてくるスイカちゃんの幻へしばし黙祷した。
「仇をとる、というのは自爆してしまった方にもするべきなのでしょうか。
 物質界は難しいもので御座いますね。
なんにせよ、ここを踏破せねば、妖精界へと行き着けないのですから、妖精様方の為に頑張らないといけませんね」
「あっ、そういえばそういう話だった」
 幻にいわれて思い出す、コトの重大さ。
 スイカとスイカちゃんのインパクトで洗い流されがちだが、ただいま妖精郷は魔物たちの被害に晒され大変な状態にあるらしい。一刻も早くたどり着き女王を助けたい妖精達からの依頼であることを、割とさっき思い出した。
「ところでさ」
 『猫さんと宝探し』アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)が資料にあるデストロスイカのスケッチを指さした。
「このモンスター、みんな知ってるの? 有名なの?」
「「…………」」
 きゅっと口を一文字に引き結んでなんともいえない半笑いを浮かべる仲間達。
 どうやらこの中にデストロスイカに詳しい方はいらっしゃらないようだ。(ぱっと見は)
「よかった、私だけじゃなかったんですね……わからないの……」
 『新たな可能性』ソニア・ウェスタ(p3p008193)がほっと胸をなで下ろした。
「私はまだこの世界に来て日が浅いので、驚かされることばかりですね。いずれ慣れるんでしょうか」
「オイラ二十年以上生きてるけど未だに慣れてないよ?」
「混沌世界の奥深さは他を圧倒しますからね……」
 そんなことを語る美少女たち。
 杠・修也(p3p000378)は美少女たちの様子をじっと観察していた。
 キリッとした目元。真剣な口元。曇りなきまなこ。
 そんな彼の脳内では。
 スプラッシュしたスイカ汁を浴びて服がすけすけになった美少女たちの姿があった。挿絵にならねえかなあこれ。妄想だけど。
「杠さん?」
「……なんだ」
 声をかけられ、修也は眼鏡のブリッジを中指で押した。キラリと反射する眼鏡。
「戦うだけとはいえ、大変なこともあるだろう。注意していこう」
「え? あ、はい……はい?」
「そう、注意していこう」
 『真実穿つ銀弾』クロバ=ザ=ホロウメア(p3p000145)はガンブレードのグリップを握り込み、同じようにキリッとした。
 このタイミングでキリッとすると同じようにスイカ透けピンナップを妄想してそうだがそんなことはないんだよ?
「さあ行こう。妖精達が待ってる。今日のダンジョンは……スイカダンジョンだ!」

●スイカァ!
「スイカァ!」
 章タイトルと全く同じこと叫んで突っ込んでくる巨大人食いスイカことデストロスイカ。
 ハロウィンにしか見ねーよってくらいよくできたギザギザ口が開いて飛びかかる。
 オデットは飛びかかられるまま一歩も退くことなく、両手をぱちんと打ち合わせた。
「食べられそうで食べられないってなんか惜しいわよね……っと!」
 噛みつかれる寸前でぴょんと飛び退き、手の中から小さな花火ボールを出して放り投げた。
 デストロスイカの口の中で突如はじける妖精花火。
 びっくりしたデストロスイカにできた隙を、幻は見逃さなかった。
「何か、こういう雑多なスイカだけじゃなくボスみたいなスイカが現れる気がするので御座います……」
 そんな風に言いながら奇術『昼想夜夢』を発動。
 オデットの花火を無数に増幅させてデストロスイカの周りへ次々に打ち上げはじめた。
 目を回して砕け散ったスイカのその一方。地面から飛び出したサンドスイカが砂嵐を生成。
 竜巻のように渦を作った砂がクロバめがけて襲いかかる。
「くっ……!」
 直撃を受けて吹き飛ばされるクロバ。しかし転んでもタダでは起きないのが彼である。空中で器用に身を翻すと、二丁のガンブレード双方をサンドスイカへと向けた。
「アヴァランチ・ロンドォ!」
 装填された弾に魔力を込め、爆炎術式として連射。
 半壊したサンドスイカめがけ、エリスは弓をひいた。
「立ち止まっている暇もなさそうです。バンバン倒していきますよ!」
 絶妙に狙い澄ました矢は不思議な曲線を描いて飛び、サンドスイカの固い表面へ命中。その途端矢を構成していたエルフの血が呪いとなって装甲を螺旋貫通。サンドスイカを無理矢理に打ち抜いていく。
「その通り! とにかく強襲と攻撃ー!」
 アクセルは正面から次々と飛んでくるミサイルスイカに対し低空飛行で突っ込むと、翼の周囲に展開させた神気閃光の弾を戦闘機の機銃よろしく乱射。
 ミサイルスイカを撃墜すると、そんなアクセルに飛び乗って踏み台にした胡桃が更に跳躍してミサイルスイカの上をとった。
「コャー」
 拳に炎を燃え上がらせたこんふぁいやー。もとい。
「ふぁいあすと〜むっ」
 蒼い炎がミサイルスイカを包み込み、ぼっふんと激しい音を立てて爆発させた。
「突然果汁とか巻き散らかさないでほしいのよ、自慢の毛皮がスイカの果汁まみれになってしまうの」
 幸いにもミサイルスイカの中身はほぼ空っぽだったので汁まみれになることはなかったし修也は黙って眼鏡をちゃきってやった。
「……よし」
 なにがよしかはわからないが。
 そんな彼の心中を知ってか知らずか、指ぬきグローブをつけ顔前半分が完全にはげあがった『昔はモテたんだろうなあ』っていうおっさんがスイカに指を突っ込んでボーリングの構えをとっていた。
「…………」
「…………」
 目が合った。
 そっと距離をとるクロバとアクセル。
「ねえ少年。そこの美少女がおじさんのスイカストライクでびしょびしょになる様をみたくないかナ?」
「やめろおっさん構文で喋るな」
「フンッ!」
 華麗なフォームでスイカを投げてくるおっさん。
 修也は直撃をうけないようにジャンプと飛び込み前転で回避すると、スロー直後で隙だらけになったおっさんへと距離を詰めた。
「こんな攻撃当たるわけが――」
「甘いね少年」
 ビュッと音を立てて後方のボールが突如分身。かつ急速にターンして修也へとぶつかってきた。
「――何ッ!?」
 足や肩にぶつかったボールで無理矢理に姿勢を崩される。
「ボーリングは刹那のコントロールを要するパワフルな全身運動。油断すると……突き指するよ」
「一番ふざけた敵が一番厄介とかどういうダンジョンだここは!」
 地面にガンと拳をついてなんとか転倒を免れた修也。
 ソニアはその後ろからちらちら見ながら、『かいふくじゅもん』と書かれた教科書を開いて治癒の呪文を音読していた。
 ハッとして教科書をおろす。
「だ、大丈夫ですか杠さん。いま手当てしますね!」
 慌てて駆け寄り、ぶつかった箇所に魔道施術式絆創膏(エンチャンテッドバンドエイド)をぺたっと貼ってあげると、その様子におっさんもといボーリングスイカがにやりと笑った。
「今だ! スイカスプラッ――」
「させるかァ!」
 その辺に落ちてた重いスイカを魔力コーティングしてブンッてぶん投げた。
 割とあたっちゃいけない所に当たったようで、キュウとうなって倒れるおっさん。
「……死んだんですか? ただ、その……ボーリングスイカのおじさまは、なんというか、その……良心が咎めるので……」
「安心しろ、峰打ちだ」
「みね……うち……?」
 峰打ちの概念がくずれる。
 さておき。
 ウーンとうなってうごうごしてるおっさんにかがみ込み、ソニアはたれる髪を抑えて語りかけた。
「私たちは先に進みたいだけなんです。どうか、通していただけませんか……?」
「フッ……」
 ニヒルに笑うおっさん。
「この先は危険だ。それでも行くのかい? おじさん、心配だナ」
「おっさん構文で喋るな!」
 トドメの顔面パンチ(峰打ち)をいれて通り抜ける修也だった。

●スイカスイカスイカー!
「スイカー!」「スイカー!」「スイカー!」「スイカー!」
 無数のスイカがスイカスイカいいながら飛び跳ねていた。
「スイカー!」
 胡桃もなぜか対抗してスイカスイカいいながらぴょんぴょん跳ねていた。
 なんだこの風景一生見ていたい。GIFアニメになれ。
「見る限りダンジョンの最深部のようですが……ハッ!」
 幻はスイカたちの様子がどこかおかしいことに気づいた。
「ところでなんでこんなスイカスイカ鳴いてるの……っていうかスイカって鳴き声なの?」
 オデットはそもそもスイカの鳴き声がスイカであることの違和感に気づいた。もはやみんな忘れるくらいモンスターのキャラが濃かったので、原点に立ち返った気持ちである。
「ん、まって」
 目を細める。
 と、あちこちのスイカたちがスイカスイカ言いながら集まり、二つのスイカがくっついて二倍のスイカに。四つくっついて四倍のスイカに。そんな具合でどんどんデカくなっていった。
「なんか合体してないかしら!? っていうかでかいわよ!!! 聞いてない!!!!!」
「――!?」
 修也の脳裏に浮かぶ、スラなんとかが合体する光景。
「まさか……キングスイカか!?」
「キングスイカ……合体? スイカが……?
 というかスイカが鳴くのもよく考えたらおかしいよね!?」
「なんてスイカだ……勝てるわけがない……おしまいだァ……」
 クロバが突然星の王子さまみたいになった。
「ハォァッ!? これからが本当の地獄だ……ッ!」
 一通り王子ごっこを楽しんだ後、スッと真顔に戻ってからガンブレードを手に取る。
「だがスイカの仇は必ずとる! いくぞうおおおおおおおおお!!!」
 ジャンピングダブルガンブレードからの徹底的な連続アヴァランチ・ロンド。
 あっこれまだ王子ごっこ続いてるやつだ!
 もくもくする煙の中から現れるスイカに『ダニ゛ィ!?』て叫ぶ匠の粋な遊び心。
 そんな中。
「皆さん、重要なことがわかりました……!」
 ソニアが顎に流れる汗を拭って、荒い息を整えた。
 集まる注目。
 ずれかけた眼鏡を両手で几帳面そうになおすと、ソニアは神妙な面持ちで語った。
「このキングスイカ……『食べられます』」
「「――ッ!!」」
 はい今画面にコマ割で全員のハッて顔入ったよ。

 刹那、皆の思いがひとつになった。
 持ち帰れない美味しいスイカ。
 中身が空っぽになるスイカ。
 スイカとみせかけたおっさん。
 スイカどころか砂。
 顔からイッたスイカちゃん。
 そんなおあずけをくらい続けた彼らに差した希望は、真っ暗闇に差し込む朝日のごとく皆に力をみなぎらせた。
「うおースイカちゃんのかたきー!」
 全方位にミサイルを放つキングスイカの円周軌道上を高速で飛行しながら魔力弾幕をたたき込むアクセル。
 逆回りに走りながら脱いだシルクハットをステッキで叩く幻。
 ハットから飛び出した無数の鳩がキングスイカへと群がっていく。
 ある説によると、マジシャンが鳩を取り出す際七羽を越えると観客は『多く出た』と感じるという。幻は自在に幻術を操るが、本当に操っているのは見る者の感性と感情なのだ。
 多すぎず少なすぎず、それでいて避けられないと感じてしまうように数と軌道を整えていた。
 ドッと音をたて、キングスイカが爆弾スイカを無数に吐き出していく。
「クッ、妙に出てこないと思ったら……よし、ここは任せろ!」
 クロバは剣を交差する防御姿勢で飛び出し、爆弾スイカを切り払った。
 交差する斬撃が爆弾スイカだけを切り裂いていく。
 が、残った一個の爆発によってクロバがきりもみ回転しながら吹っ飛んでいく。大乱闘クロバブラザーズである。
 いまブラザーズって誰だよってワードとクロバはスマッシュ率稼ぐのうまそうな玄人向けキャラだなっていうワードが浮かんだけどこれは横においておきますね。
「急患急患ー!」
 オデットが吹っ飛んできたクロバ(わりと無事)の両足を掴んで引きずる負傷兵回収スタイルで離脱。待ち構えていたソニアが『大丈夫☆ 安全な回復薬だよ!』って書かれた髑髏マークの瓶をきゅぽってあけた。
 からの顔面にバシャー。
「クロバさん生き返って!」
「わっぷ! 苦!」
「私と杠さんで活路を開きます。トドメは任せましたよ!」
 エリスは片膝立ち姿勢で弓を構え、修也はグローブから魔力を引き出して突撃。
 追い払おうと吐き出した砂の竜巻。エリスたちを巻き込み、狙いを定めづらくさせた。
 対して。
「ここは任せて!」
 オデットはギャッと振り返ってどこからともなく取り出した大きなうちわで竜巻をかき消してしまった。
 視界がクリアになったところで放たれた矢とパンチ。
 キングスイカはスイギャーというえもいえぬ悲鳴をあげた。
「チャンス! コャーコャー」
 胡桃は絶妙なスタートダッシュによって距離を詰めると、拳に蒼い炎を纏わせた。
「こんぱんち」
 膨大な炎がそのままプレッシャーとなり、キングスイカを殴り飛ばす。
 何度かのバウンドの後、壁に激突したキングスイカは宝珠を口からペッて吐き出し、そのまま力尽きたのだった。
「みなさん……」
 誰かが『わかるな?』的な囁きをして、同時に皆、頷いた。





 後日談じゃあない。
 ダンジョンを攻略し宝珠を持ち帰ったイレギュラーズは、自分がまるごと入れるんじゃないかってくらい巨大なスイカを切り分けて御神輿スタイルで持ち帰ってきた。
 おでこにバンソーコーつけたスイカちゃんがヒャッホーといって飛び上がったのは、言うまでもないことである。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ちなみに、とっても美味しかったそうです。

PAGETOPPAGEBOTTOM