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シナリオ詳細

<鎖海に刻むヒストリア>Shy-ny rhapsody

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●呉越同舟・『青』の向こうへ
 冠位魔種・『嫉妬』のアルバニアは当初、廃滅病に冒されたイレギュラーズ達の自滅を待つ算段で動いていた。それは、今までの行動や絶望の青の苛烈さからも明らかである。
 だが、橋頭堡を得、後半の海を怒涛の勢いで突き進み、海域を攻略することで仲間を助けると決意した彼らの勢いを、アルバニアは見誤った。
 破竹の勢いを緩めず突き進むイレギュラーズ、ゼシュテルを頼り引き出した援護による大艦隊の編成。
 これが攻略に向けた後のない一手であることは誰の目にも明らかであった。
「……ですので、相手としてはここで戦力を出し惜しみする必要がなくなったのでしょう。相当数の敵が待ち構えていることは疑う余地がありません」
 『ナーバス・フィルムズ』日高 三弦(p3n000097)は山と積まれた資料を一瞥し、小さく息を吐く。狂王種や変異種、魔種とて少なくない数が現れることは間違いない。
「皆さんには、断片的に情報が上がってきている狂王種を確実に排除していただきたいと思っています。不確定要素は積極的に潰さなければいけませんから」
 そう言うと、彼女は狂王種と思しき敵の資料を提示する。どうやら巨大な頭足類の触腕らしきそれが複数、海上に浮いているが……なぜか、本体に当たる部分が見当たらない。
 それどころか、それらの触腕は「同じ本体から生えているとは思えない」配置をしていた。
「この図だけだとどうみても複数個体がいるように見えますが、海洋側での推測によればこれはすべて同じ個体から伸びた触腕である、とされています」
 続く説明によると、どうやら問題の狂王種は本体の姿をなんらかの手段で隠しているらしい。加えて、その状態では一切の攻撃が通用しないのだという。
 同時に、『本体らしき敵』からの攻撃は報告されていないことから、触腕以外での攻撃手段は持たないとも考えられる。本体を叩くなら、触腕を潰して引きずり出すしかないのだろう。
「それと、本体を探そうと躍起になって探査能力を行使しすぎた海洋の兵士が複数名、精神に異常を来して同士討ちに走っています。敢えて鈍感である、というのも今回の戦いで必要とされるのかもしれません」
 探ろうとすれば精神を蝕み、触腕により蹂躙する。一般的な海軍相手なら、妥当な戦い方かもしれない。
 だが、ソレが相手にするのは運命を味方につけたイレギュラーズだ。勝負の趨勢は、まだまだ読めない。

●青を隔てて揺らぐ影
「船長、ヤツですかい、噂の『足だけ』は」
「あァそうだ、近づきすぎんなよ」
 イレギュラーズが戦場となる海域に接近するより僅かに前。見るからにボロボロの船が一隻、なにかから隠れるようにひっそりと航行していた。
 だが、船内の面々は精強そのもの。ドレイク配下の幽霊船であることは間違いない。
「俺達にとっちゃイレギュラーズだろうとあのクソ足だろうと邪魔なことには代わりねえ。が、あっちの足の方が面倒だ。状況を見ながらおちょくってやれ。けどお客さんが来るまでは手ぇ出すなよ」
「合点でさぁ。俺達も無駄死にはしたくねえ」
 ははは、と豪快に笑う海賊達の笑い声は、狂王種には届かない。
 だが、その砲撃は、いつか届く。

GMコメント

 シャイなんですよ、きっと。タイトルにもそう書かれている。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●勝利条件
 『無影の足』全撃破+本体の完全沈黙

●無影の足×8
 戦闘における前半フェーズです。これらを全部倒さない限りは本体を攻撃することができません。
 別々の個体から生えているかのようにランダムな位置に出現しています。
 通常攻撃(触腕)は遠貫・万能を標準で備えています。
 加えて触腕ごとに「Mアタック大・喪失」「邪道30・ブレイク」「火炎・毒」「不吉・麻痺」などの追加効果を持ちます。
 複数箇所から出現する為、「全ての触腕の射程外からの超射程オンリー」は戦法としての安全性を保証しません。
 HPは中程度。

●本体
 足が全て撃破された後出現します。戦闘後半フェーズ。
 姿を消すのに使っていたESP能力を全て攻撃につぎ込んできます。至域・中扇・超単(すべて追撃50)のスキルを使いこなしますが、付随するBSはありません。
 足よりは幾ばくか戦いやすいと思われます。
 なお、本体出現より前に「探知系スキル(超〇〇・感情探知・etc)を活性化したPC」は3ターンに1回抵抗判定が発生し、失敗すると魅了か恍惚を付与されます。

●友軍
 海洋と鉄帝の軍艦が一隻ずつ随伴します。精鋭ですので事前指示(プレイング)によってある程度戦力になります。
 万が一、イレギュラーズの乗船が破壊されても1度だけいずれかの船に乗り移って継戦が可能です。
 海域には所属不明の船(幽霊船)も出没します。こちらはイレギュラーズ側への攻撃は行いませんが、積極的に参戦しないので信頼するのは危ういでしょう。

●重要な備考
<鎖海に刻むヒストリア>ではイレギュラーズが『廃滅病』に罹患する場合があります。
『廃滅病』を発症した場合、キャラクターが『死兆』状態となる場合がありますのでご注意下さい。

  • <鎖海に刻むヒストリア>Shy-ny rhapsody完了
  • GM名ふみの
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年05月23日 22時15分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

レーゲン・グリュック・フルフトバー(p3p001744)
希うアザラシ
ノースポール(p3p004381)
差し伸べる翼
フラン・ヴィラネル(p3p006816)
ノームの愛娘
ネーヴェ(p3p007199)
星に想いを
ルカ・ガンビーノ(p3p007268)
竜撃
雪村 沙月(p3p007273)
月下美人
ウィリアム・ウォーラム(p3p007502)
軍医
ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)
黒き葬牙

リプレイ


「あちらからも、足が出ていて。こちらからも、足が出ていて。本体は……どこ、なのでしょう?」
 『うさぎのながみみ』ネーヴェ(p3p007199)はどこか困惑したような表情で周囲を見回し、あちらこちらから姿を見せる触腕の全容をつかもうとする。だが、それはすぐに無意味だと分かるだろう。咆哮も距離感もてんでバラバラ、同一個体のものだと言われても信じられるわけがない。
「イカは胴体より脚の方が美味しいよねー。えっそういう話じゃないの?」
「おそらくは、異なるかと。ですが、幽霊船の動向を気にするよりは触腕の処理を考えるのが先かもしれませんね」
 どこかおどけたように(本人はしごく真面目に)首を傾げた『繋ぐ命』フラン・ヴィラネル(p3p006816)の問いに、『百錬成鋼之華』雪村 沙月(p3p007273)も調子を合わせるかのように応じる。沙月の言う通り、周囲をうろつく幽霊船の目的は見えない。だが、敵意を向けてこない以上は無闇に手を出すことも得策ではない。結果、日和見が最善、ということになる。
「倒し方が分かっているのなら怖くないです!」
「まあな。おとぎ話かよって言いたいところだが、実際に出てきちまったもんは仕方ねえ。ぶっ倒して報酬貰わなきゃな」
 『差し伸べる翼』ノースポール(p3p004381)と『軍医』ウィリアム・ウォーラム(p3p007502)はそれぞれ、自らを鼓舞するように声を張る。ノースポールが眼前の脅威に無頓着であろうはずもないが、それでも倒すと口にできる気丈さは特筆すべきものがある。
 ウィリアムはひとしきり呆れてから、倒さねばならぬ敵として認識した……そんなところか。
「ルカ、今回も派手に暴れてやってくれ。勝手に頼りにさせて貰う」
「オウよベネディクト、ぜんぶ叩き潰して進ませて貰うぜェ!」
 『特異運命座標』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)と『黒狼』ルカ・ガンビーノ(p3p007268)は、互いを知る者として敬意と信頼を込め、言葉を交わす。両者が轡を並べたことは、士気を上げる意味でも非常に有効だったのかもしれない。
「そういえば、あの方は……大丈夫、なのでしょうか?」
「本人の希望を無下にするよりは、自由に戦って貰った方が良いだろう。簡単な事じゃないだろうが」
 ネーヴェはふと、ひとしきり敵に対する不安を想ってから、仲間のことに想いを巡らせた。ベネディクトの反応はそっけないものだったが、かと言って仲間が無為に命を危険に晒したなどとは思っていない、そういう表情をしていた。仲間は信頼するもの。信念は尊ぶもの。ならば、彼が相手の信念を貶める理由がないのだ。
「レーさんは相棒の名誉の為に全力でを頑張るっきゅ!」
 ……その頃、『あの方』こと『ファニーファミリー』レーゲン・グリュック・フルフトバー(p3p001744)は、海入道海豹を操りながら仲間達の船から付かず離れずの位置をキープしている。
 アザラシらしきその外見はいかにも頼りなげに見えるが、レーゲンにとっては無二の相棒ともいえるのだろう。それを操り戦場へ出ることこそが誉であり、自信の一部であるのだ。
 だからというわけでもあるまいが。
 ゆるりと、おっかなびっくり持ち上げられた触腕は容赦というものをかなぐり捨て、レーゲンめがけて乱雑に振り下ろされる。
「っきゅー?!」
 果たして、彼の直感と相棒の動きとのどちらがそれを為さしめたのか。真っ先に振ってきた2本の触腕を、レーゲンは海豹の背に乗ったまま避けきったのである。
「人と話す時はちゃんと目を見て話しなさいってうちのおかーさん言ってたよ!」
「そういう話でもねえんじゃねえかな……」
「それも違うのー!?」
 フランは次々と振り下ろされる触腕を受け止め、やり過ごしながら、触腕の一本へと指をさして叫ぶ。ウィリアムが首を振って否定すると、彼女は愕然とした表情で向き直った。
 そんな冗談めかしたやり取りの中でも、容赦なく触腕は降ってくるが……海洋の軍艦から放たれた砲撃が、すんでのところで軌道をそらす。
「船を護りながら相手の手口を理解する、そして」
「――ぶっ飛ばす」
「打ち倒す」
 ベネディクトの言葉に応じるように、ルカと沙月が声をあわせる。槍と剣と武術。各々が身を任せるに足る『得物』を構えた姿は、身を寄せた船が違おうが確固たる信念を持つイレギュラーズのそれだ。海面から持ち上げられた触腕は、彼らへ向けて次の一手を振り下ろす――。


「あたしは毒見役! だから! ばっちこーい!」
 フランが叫ぶ。触腕が彼女の声を聞き届けたかは別として、持ち上げられた一本はその胴を横薙ぎに打ち据える。
「これは後回し! そっちのと、そっちを先に潰した方が楽だよー!」
「フランの戦い方は独特なんだな……だが頼りになる」
 ベネディクトは仲間の勇姿に驚愕の表情を隠さず、しかしよどみない動きで触腕の一撃をいなし、倒すべき個体を見定める。2本の槍はそれぞれが手の延長であるかのように自在に動き、降り注ぐ猛攻に抗う。
「纏めてぶっ飛びなぁ!!」
 ルカはベネディクトの脇から腕を振るい、手に集めたエネルギーを触腕に叩き込む。複数を巻き込むように放たれたそれは、さながら機雷のように水柱を生み出す。ややあって姿を見せた触腕は、それぞれがあらぬ方向へと飛んでおり、なおのこと本体の全容がつかめなくなった。
「さ、さっきより、足の位置が……!」
「こんなにバラバラな並びなのに同じ本体の足だなんて……!」
 ネーヴェとノースポールは当然ながら、眼前の状況に驚きを示すことしかできない。されど、やることが変わるか? と言われれば断じて否で。
 纏めて攻められるならそうするし、各個撃破しか道がないなら徹底的に攻める。驚き、混乱し、怯えるまではよくあること。それでも得物を向け、敵意を発揮できる姿こそが彼女達をイレギュラーズたらしめる要素なのだ。
「で、前から後ろから襲ってきて油断してたらケツを掘りに来るってか。嫌んなるぜ」
「それでいて本体は黙りなのですから、いい趣味をしております」
 狙うべき相手を定め、身構えた面々の背後からも触腕が伸び上がる。一瞬でも集中が途切れれば不意打ちがかなう、その厭らしい攻め手はウィリアムに妨害され、沙月の追撃により動きが乱れた。続けざまに触腕が伸び、両者を打ち据える。麻痺毒の類を備えたそれは、2人の動きを制限するには十分すぎる能力を有していた。ともすれば、一方的に打擲される事態もあり得た。
「大丈夫だよ! みんな強い! あたしも丈夫! だから勝てる!」
 ……フランがそこにいなければ、最悪は口を開けていた。彼女の強烈な言霊が、仲間の不調などはじめから無かったかのように癒やすのだ。
「どうだ、効いてきただろう。俺が見えるか?周りのクソ小せえ人間よりも、もっと優先して倒すべき奴が居るんじゃないのか? なあ!」
 そして、ウィリアムは眼前の触腕を挑発する。彼の流し込んだ毒が回ったか、触腕は彼を明確な敵と見定め、振り下ろされる。……まったくもって狙い通りだ。

「うきゅー、この数は面倒っきゅ~……」
 レーゲンは嵐のような触腕の暴威から奇跡的に逃れ、海豹に乗って海上を駆け回っていた。仲間達が引きつけてくれているのもある。レーゲン自身が、近付く触腕を風の力で退け、敵の行動をに強い制限をかけていることも一つの要因だ。
 が、それだけでは抗いきれないのは頑然たる事実。何本目かの触腕が彼を打ちすえれば、海豹ともども波と共に流され、大きくバランスを崩すのもまた、道理であった。
「レーゲン先輩、大丈夫?! 沈まない?」
「きゅ~……」
 あまりに激しく揺れ動くレーゲン(と海豹)の姿に、フランは困惑含みの声を上げる。二度や三度で沈められるほど相手も惰弱ではあるまいが、場合によっては救出を優先せねばならない。
「仲間を好きにさせるほど、俺達は甘くはないぞ!」
 ベネディクトは、新たにレーゲンへと近付こうとした触腕を船上から叩き伏せ、ルカに視線を向ける。素早く後退した彼の姿に、油断や躊躇の色はない。
「おうよ! そんなモン乗り回して暴れるような気合い入ってる奴をほっときゃしねぇぜ!」
 ルカは、阿吽の呼吸でその触腕へと一撃叩き込み、一気に船から引き剥がす。体制を整えるまでの一瞬が稼げれば上々。倒せればなおよし……その攻勢が奏功したか、弾き飛ばされた触腕は弱々しく海面へ叩きつけられ、波の奥へと消えていく。
「私の方が狙いやすいよ! こっちこっち!」
「回復をケチるつもりはないから、先輩達は遠慮せず全力で戦って! あたしに任せて!!」
 ノースポールは声を張り、軽やかなステップから宙を舞って己の存在感を触腕達にアピールする。フランもまた、治療と魔力供給を絶え間なく行い、仲間達が手を緩めぬように全力を尽くす。並の魔力量では幾ばくもなく枯渇するであろうが、彼女はそれ以上のペースで周囲から魔力を吸い上げている。
 仲間達が多少なり窮地に陥ろうとも、彼女が健在な限り壊滅はあり得まい。
「ほら、兎は、こちらです」
 ネーヴェは動きの鈍った触腕の間合いに踏み込むと、狂熱を思わせる足取りで相手を翻弄する。長引く戦闘で不調を抱え込んだ触腕にとって、その舞踏は存在そのものの波長を乱し、その生命をも奪い去った。
「コイツはもうそろそろ終わりだろう……沙月ィ!」
 ウィリアムは熟練者を思わせる身のこなしで当身をぶつけ、沙月目掛けて触腕を弾き飛ばす。すわ同士討ちか、と疑う者が居てもおかしくないが、実態はまるで逆。
「心得ました、引き受けます」
 自らへと向かってきた触腕を前に、沙月は腰を落とし、不動の姿勢をとる。吹き飛ばされるまま、彼女を打ち据えようとしたそれは次の瞬間、軌道が真上に弾かれたことを知覚する。弾かれた、否、打ち上げられたのだ。そして、それを成した相手は甲板にはおらず。僅かに凹んだ甲板の床を残し、彼女は触腕へと強烈な一撃を叩き込んでいた。不動からの高速移動、受けの構えからの苛烈な攻め。この緩急こそが『芒に月』の体現である。
「何本足があろうとて同じ事。我々の行く道を塞ぐなら、突破させて貰うだけだ!」
 ベネディクトが吼え、2本の槍を以て最後の触腕を吹き飛ばす。あからさまに動きを鈍らせたそれは、ノースポールがメアレートから放った一撃を以て完全に活動を停止した。
 海上に沈んだ8本の触腕と入れ替わるように、空気が揺れ、海が割れ、触腕達の根本が……本体が現れる。
 なお、ここに至るまでフランの思考へと度々投げかけられた狂気への誘いは、しかし彼女の前ではまるで無意味だったことを、一同は後で知ることとなる。


「あれ、が、本体……でしょうか」
「足8本ってことはタコなの? イカじゃなくて? タコって胴はどうだったっけ……あ、今のギャグじゃないよ!?」
 足を全て落とされ、攻撃手段を失った狂王種は、ついにその姿を海上へと浮かべる。歪んだ球形をしたそれに叩き込まれた戦艦の射撃は、いかにも心もとなく。
「あと少し……もう少しなら戦えるっきゅ?」
 レーゲンは海豹に問いかけながら、本体から大きく距離を取る。キュウキュウと鳴く相手の返事はいかにも心許なく、無理をさせられる様子ではないことが伝わってくる。
 レーゲンにも自分なりの意地があるが、身の危険を晒してまで張るものではない。海豹と頷き合うと海面すれすれを飛び、仲間の待つ船へと急ぐ。
「こんだけデカけりゃ当てるのもラクで嬉しいねぇ!」
「面倒なのを倒したからラクになると思ったんだがね。こいつぁもうひと仕事、ってサイズじゃねえぜ……?」
 現れた本体に対する認識は、ルカとウィリアムで正反対の様相を呈していた。それぞれのスタンスというか、生き方の差であろう。それでも双方、諦めや勝利に対する諦観など微塵も感じられぬのは、それだけ修羅場を潜ってきたからでもある。
 イレギュラーズの乗る船は、本体からおおよそ20mほどの距離をとって旋回する。船を追いかけるように大雑把に放たれる衝撃波は、船尾を掠め、船上のイレギュラーズに襲いかかり、船体までもを強く苛む。
 長期戦になれば、随伴艦諸共無事では済まない……そう考えた一同が下した決断は、当然であり狂気でもあった。
「搦め手で来ないならさっきのうにょうにょの方が強いじゃん! ……強いよね? とにかく突撃だー!」
「海軍諸君は戦闘区域から離脱しろ! ここからは俺達で叩き潰す!」
 フランが叫び、ベネディクトが随伴艦に届くような大音声で続ける。そう、彼らの選択肢は突貫一択。もとより沙月やルカ、ネーヴェらの実力を十全に発揮するには接近戦しかなく、極論、沈められる前に潰せばいいのだ。
「そんな攻撃、当たらないよ!」
 ノースポールは宙を舞って相手を挑発し、自らに狙いを向けるようアピールする。その間も、両手の得物を巧みに操り、的確に傷を増やしていく抜け目のなさは健在だ。
 されど、強烈な一撃が当たれば状況はひっくり返されない。己の能力への自負と、自己犠牲めいた意思が彼女の翼を支えている。
「兎は、軽やかに、舞うのです」
 ネーヴェは言葉通りに、甲板上を舞い、魔力を籠めた足取りで相手を幻惑に落とす。
 彼女もまた、飛び来る念動力をすんでで躱し、次の動きへと繋いでいく。
 槍が、魔術が、弾丸が格闘術が、襲いかかる念動力の倍に比するペースで次々と本体へと叩き込まれる。的が大きく、避けるという行為を忘れた横綱相撲めいたその動きは、並の相手と軽装の船ならひとたまりもなかっただろう。
 だが、相手はイレギュラーズで、乗艦は腐っても軍艦だ。
 正面切って推し合うには、狂王種とて相手があまりにも悪かった……そう言わざるを得ない。
「ラサの傭兵、舐めんじゃねえぞぉ!!」
 ルカが剣を振り下ろし、当たるを幸いに乱雑に攻撃を叩き込んでいく。自らに浴びせられる攻撃を一顧だにせず、殴る、殴る、殴る。

 やがて、波を割らんとする重低音が海域に響き渡り。
 それに合わせ、巨体は静かに海へと沈み始めた。
「……酢だこ、食べたいなあ……」
 沈み行く姿を見てポツリと呟いたフランに対し、ベネディクトが向けた表情は、取り敢えず察してほしいものである。

成否

成功

MVP

ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)
黒き葬牙

状態異常

レーゲン・グリュック・フルフトバー(p3p001744)[重傷]
希うアザラシ

あとがき

 お疲れ様でした。狂王種討伐、成功となります。
 感知系スキルが~って書いてから、プレイングを見て「人助けセンサー……は関係ないだろ、エネミースキャ」まで独り言吐いてからの記憶がありません。

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