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シナリオ詳細

<Breaking Blue>ディーキー海賊団の義勇と末路

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●正義のディーキー海賊団
 青い海賊帽子に黄色いくちばし。あひるめいた白い毛皮をなでつけたディーキー船長は海洋王国でもちょっぴり有名な男であった。
 西に領海を侵す悪徳貴族があればいってこれを撃滅し、北に宗教侵略をしかける教会があればカリスマでこれを鎮圧し。
 ルールに縛られることをよしとせず海軍からの誘いを断り、おんぼろ船をおたおた漕いで、今日もどこかで戦っている。
 今日と明日にエールを飲むだけの金だけのこし、あまった金は港の孤児院に流してしまう。
 のろまと呼ばれ、国政には関わらず、いつもヘラヘラと笑っている。
 そんな彼が外洋遠征への協力を始めたのはつい先日。
 古くからの親友であった水兵ペンギーが外洋の海に散ったと聞いたがためである。
「悲しんでくれるなマイフレンド。夢はこのおれが継いでやる。まだ見ぬ新天地をカーボンスケッチにして、遺影の隣に飾ってやろう。さあ、碇をあげろ! 船をだせ!」
 尊敬すべき、敬愛すべきディーキー。
 彼は。
 いま。
「――■■■■■■■■!!!!」
 変異種(アナザータイプ)となって、水兵の船を破壊していた。

●変異、ディーキー海賊団
「今回の依頼は、このディーキー海賊団変異体の撃滅だ」
 いつもより一段低いトーンで、『黒猫の』ショウ(p3n000005)は資料の続きを読んでいた。
 アクエリア島を橋頭堡とした海洋海軍は、廃滅病のカウントダウンに追われながらも絶望の青をめざし進撃していた。これこそがアルバニアを引きずり出す最善にして最短の手であるがゆえである。
 外洋遠征は海洋王国全体の悲願であり海軍のみならず民間の協力船団や協力的な海賊なども名乗りを上げ進撃計画に協力している。
 そんなリストに、ディーキー海賊団の名は連なっていた。
「ディーキー海賊団は海軍船の随伴として参戦して、狂王種や幽霊船の撃滅にあたっていたんだ。けれどそのさなかで廃滅病に罹患。それでも前に進もうとした彼を、棺牢(コフィン・ゲージ)がおそった」
 棺牢(コフィン・ゲージ)とは絶望の青にさまよう怨念である。廃滅病におかされた人間に憑依することで、狂王種と同等かそれ以上の怪物へと変えてしまう。この状態を総称して変異種と呼んだ。
「ディーキーアナザータイプは幽霊船との交戦をやめ、味方の海軍へと攻撃を開始。
 幽霊船の撃滅には成功したものの、これ以上の戦闘は不可能であるとして海軍は撤退したんだ」
 現在当海域には自らの海賊船と部下たちを破壊したディーキーアナザータイプと元あった幽霊船の残存戦力が群れを作り居座っている状態にある。

 ディーキーアナザータイプは巨大な水鳥のボディに大量の首や羽根が生えた怪物になっており、水面からやや浮遊した状態で破壊魔法を込めた生体ミサイルをまき散らしている。
 その周囲を護るように、小舟で分散したアンデッド水兵たちが展開している状態だ。
「ディーキーの歴史を『怪物になって海軍を襲った裏切り者』というページで終わらせるわけにはいかない。依頼人の海兵はそう語ったよ。
 俺たちはこの依頼を受けて達成努力をはたすまでだけど……どうかな? どう思う」
 アクエリアに船は用意されている。
 あとは船を出し、戦いにいくだけ。
 重要なのは、何を思って行くかだけだ。

GMコメント

■オーダー
・成功条件:ディーキーアナザータイプの撃滅

 戦場は海。小島が近くにありますが、戦闘に影響するほどではありません。
 ディーキーアナザータイプと戦うにはまず小舟で展開した幽霊船団の防衛ラインを突破しなければなりません。
 突破した後は幽霊船団に対応しつつ、ディーキーアナザータイプを撃滅してください。

●幽霊船団
 小舟で展開したアンデッド水兵たち。
 中小の様々なぼろ船を使い海を移動し、広く展開しています。
 水兵は共通して水中行動をもっておりHP低めかつEXF高めになっています。一部飛行可能な個体もいるようです。
 武装は射撃とと近接戦闘双方が可能なようです。
 突入方法は主に二通りあります。
 主にAPをはじめとするリソースの管理が重要になります。後半戦に行く前にAPが尽きるなんてことにならないようにしましょう。

・方法A:一丸となって突入する
 一隻の船、ないしは小さく固まった数隻の船で突入します。
 前半の戦闘が容易になるうえ戦うべき敵も少数で済みますが、離れた幽霊船が後半戦になってやっと加わるため戦闘のリソースが後半に偏ります。
 スタートダッシュはゆるめでいきたい場合や、とにかく纏まっていたほうが有利な場合に採用しましょう。

・方法B:分散して突入する
 広く展開した幽霊船団にむけ複数ブロックに分かれて突入します。
 味方に対して戦う敵の数が増えますが、後半戦に混ざってくる幽霊船が激減します。
 スタートダッシュを激しくしてもOKな場合に採用しましょう。

・ディーキーアナザータイプ
 海賊ディーキーの変異種。白い羽毛の球体から大量の羽根と首があちこちに飛び出したような形状をしています。
 それぞれの首による打撃や噛みつき、爆裂魔砲が込められた生体ミサイル、全方位に向けた破壊魔法の乱発などが攻撃方法としてあげられています。
 能力は全体的に高く、八人全員が力を合わせてやっと勝利可能な戦力です。
 作戦の破綻には充分注意してください。

 戦闘難易度はHARD相当。
 プレイングリソース不足や空振りにはくれぐれもご注意ください。

●重要な備考
<Breaking Blue>ではイレギュラーズが『廃滅病』に罹患する場合があります。
『廃滅病』を発症した場合、キャラクターが『死兆』状態となる場合がありますのでご注意下さい。

  • <Breaking Blue>ディーキー海賊団の義勇と末路完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度HARD
  • 冒険終了日時2020年05月10日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

エイヴァン=フルブス=グラキオール(p3p000072)
戦気昂揚
十夜 縁(p3p000099)
幻蒼海龍
夜乃 幻(p3p000824)
『幻狼』夢幻の奇術師
イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)
業壊掌
仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
流麗花月
ハロルド(p3p004465)
聖断刃
天之空・ミーナ(p3p005003)
傍らへ共に
ゼファー(p3p007625)
never miss you

リプレイ

●ディーキー海賊団に捧ぐ一杯の酒
 封をあけていない酒瓶を置くと、『濁りの蒼海』十夜 縁(p3p000099)は船のデッキを歩いた。
「ディーキー海賊団なら、俺も客の噂話で何度か聞いたことがある。海賊にしておくのがもったいねぇくらい、気のいい連中がいるってな。
 機会がありゃぁ一杯酌み交わしたいと思ってたんだが……まさか、例の変異種になっちまっていたとはなぁ」
 誰に問いかけたわけでもない語りを、『聖剣使い』ハロルド(p3p004465)は沈黙で応えた。
 腕組みをし、船の手すりによりかかって空を見上げる。
(ディーキー。アンタの武勇は聞いている。アンタは紛れもなく“強者”だ。俺は強者に敬意を表する。せめて“怪物”としてではなく強者として、その冒険譚を終わらせよう)

(義海賊とでも呼べば宜しいのでしょうか。
 ディーキー様の成されたことはディッキー様の人徳の表れで御座いましょう。
 その最後は汚したく御座いません。せめて美しい夢の中で……)
 併走する船の上。『『幻狼』夢幻の奇術師』夜乃 幻(p3p000824)はステッキを突いて遠くを見つめた。
 地平線を阻むように広がる幽霊船と水面から上を浮遊する巨大なアヒルの怪物。
 幽霊船は地球で言うところの11世紀初頭ヨーロッパのゴックスタッド船を縮小したような形状をしていた。
 オーク木材でできた背の低い船は、帆はなくオールを漕ぐ形でアンデッド兵たちが展開していく。
 弓矢とプラズマガトリングが同等の力をもちうるこの世界である。見た目で侮るべきではないだろう。だがそれを差し引いても弱く小さな船が、ひどく多数展開しているように見えた。
 彼らにとって海は自らの一部であり、船はただ水面にあがるための手段に過ぎない。ということなのだろうか。
 『二代野心』エイヴァン=フルブス=グラキオール(p3p000072)は船のかじをとり、どこか忌々しそうに歯がみしていた。
「ディーキー海賊団に汚名を被せようとするバカがいたら俺がぶっ飛ばししておくから、安心して海に還るんだな」
「……ったく」
 『傍らへ共に』天之空・ミーナ(p3p005003)は翼を畳み、剣と鎌をそれぞれ抜いて広く構えた。
(ああ、まったくもって。やりきれねぇ。
 己の正義と友情に熱く生きて……こんな形で終わるなんてな。せめて……)
 せめて、から小さくつぶやくミーナ。
「死神たる私が……送ってやるよ、友人の下へ」
「どんなに良い海の男であっても、廃滅病に罹れば此の始末ってワケね……」
 いろんなものを通り抜けて生きてきたゼファーは名誉にあまり興味をもたないが、それでも……。
「それでも、ねえ。汚名を背負って死ぬにはもったいないヤツもいるだろう……とは、思うかな」
「ま、そういうわけだ」
 船の面々は出自こそ大きく異なれど立場は同じ。そして今同じ目的をもって、ディーキーアナザータイプへと挑もうとしていた。
 ジェットパックを背負う『業壊掌』イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)。
「ただ倒すだけじゃナイ……」
 今は亡き者の名誉を護るため、引き継がれた夢を護るため。
 彼らは今、一丸となって突き進んでいた。
「正に電撃作戦だな。これは血が騒ぐというもの! ゆくぞ!」
 『五行絶影』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)は霊刀ふたつ抜いて一般的な二刀流上段構えをとった。
 船は速度をあげ、まっこう幽霊船団のなかへ。

●水兵をかきわけて
 広く展開した幽霊船団の中へ、一丸となってまっすぐ突っ込んでいくイレギュラーズたちの船。先陣を切るのは『砕氷戦艦「はくよう」』である。
「ミーナ、どう思う」
 舵を取りながらちらりと振り返るエイヴァンに、ミーナは首をこきりと鳴らして答えた。
「下手に回り込んでも陣形を切り替える時間を与えるだけだ。どうせ一隻で一点突破する作戦なら、脇目もふらずに突っ込んでいくほかないだろう」
「道理だな」
 船団の間を割るように、ないしは流氷を割るように豪快に突き進むエイヴァンの船。
 アンデッド水兵たちは船など知ったことではないといったふうに乗り捨てると、『はくよう』をよじ登って甲板へと侵入してくる。
 狙いはかじをとるエイヴァン。船の進行を遅らせて数の力で押しつぶしてしまおうという作戦だろうか。
 エイヴァンは『斧銃【白煙濤】』をとって応戦を開始。
 一方でミーナは群がるアンデッド水兵たちを魔剣のひと薙ぎによってまとめて破壊。炎上させた。
 黒い死神の炎に包まれ、もがきながら船から転落していく水兵達。
「連中、脆い割にEXFが豊富だからな。【必殺】攻撃のコストが安いならできるだけそいつで対応しておけ。それ以外なら今みたいにスリップダメージを複数回発生させておくのが割と有効だぞ」
「けど、船にこうまで群がられちゃね……」
 イグナートは水兵の頭をハイキックでおとすと、囲まれないようにデッキの高所へとジェットパックで飛び上がる。
「わかった。俺が船を一隻ずつ引き寄せる」
 ハロルドは手近な船めがけて『狂月』のオーラ斬撃を放つと、青い刃を雨のように降らせアンデッド水兵たちの注意を引きつけた。
 船をつけ飛び込んでくる水兵達相手に、ルーンシールドとマギ・ペンタグラムを同時に展開。
 繰り出されるサーベルや呪いの攻撃を、複雑に組み合わさった障壁で防御し始めた。
「これでしばらくはもつだろう。消費が激しい上にBS全般にまでは対策してない。長くもって2サイクルってところだ。それまでに突破のめどをつけろよ?」
「となると、御主ごと吹き飛ばすわけにもいかんな。よし……」
 汰磨羈はテクスチャー型結界を展開しつつ、群がる水兵の首を的確に切り落としながらもう一本の刀で魂魄をえぐり取って霊力変換。
 エネルギーの枯渇を起こさないように立ち回りつつも、俊敏な行動力でもって水兵達を蹴散らしていた。
「さぁ、成仏したい奴から掛かってこい。遠慮なく"飛ばして"やる!」

 ハロルドが引きつけきっていない、ないしはひきつけようがないほど密集してしまい本質的な効果を失った集団に対して、ゼファーやイグナートは船から飛び出す形で水兵の処理を行っていた。
 槍のこじりをついた棒高跳びの要領で敵船へとダイブ。
 放たれる弾丸や矢をたくみにすり抜けると、敵船へ着地し咄嗟にサーベルをぬいた敵の腕をまるごと切り落とした。
 槍による突きと払い、そして蹴りを多用して水兵達を船から蹴散らすと、さらなる船めがけて跳躍。
 その上を高く飛んでいくイグナート。ジェットパックで敵船へ乗り移ると、高速の連続パンチによって水兵達を殴り飛ばしていった。
 ボッという音をたてて水柱をあげ、船ごと破壊していくイグナート。
 幻はハロルドに敵が群がりすぎてかなりの混雑をみせた船の中、ステッキを握ってぐっと姿勢を低くした。
 次の瞬間激しく残像を残しアンデッド達の中を駆け抜け、仕込みステッキの刃で切り捨てていく。
(海の男ならば海で死ぬのが幸福なのでしょうか
 死ぬことが僕には分かりません
 どうして善人が死なねばならぬのでしょう
 どうして善人を殺さねばならぬのでしょう
 僕は依頼だから、なんて、おためごかしをする気は御座いません
 僕はこの依頼を好き好んで選んだのです
 死を知りたいから
 死を知れば、あの方の気持ちも少しは理解できる気がしたから……)
 どこか悲しいまなざしの幻。
 そんな彼女をフォローするように、舞い戻ってきたゼファーがハロルドもろともアンデッドたちをなぎ払い始める。
 対多戦闘においてコスパがよくその割に【必殺】【不殺】だけをのせた『SweetBloom』はハロルドの純ダメージ無効のスタイルに対して相性がよく、いわゆるハイEXF型とは真逆の連携プレイを見せていた。
 特にハロルド『以外』を的確に抹殺できるため、芝刈り機のごとき爽快さでアンデッド水兵たちを切り払っていく。
「そろそろ、出番かね」
 十夜がゆらりと足を踏み出した。構えと呼ぶにはあまりにリラックスしすぎた彼の動きは目にもとまらぬ打撃によってアンデッドの顔面を粉砕していく。
(皮肉なモンだ。
 女王陛下のためでも、ましてや国のためでもなく、ただ、あの日の罪から目を逸らしたくて戦い続けてきた俺の方が――。
 どうせ世界が滅ぶんなら……それまで、今までのゆるーい暮らしを続けられる程度にやりゃぁいいって、端っから諦めていた俺の方が、まだこうして生き延びてるんだからよ。……やりきれねぇってのは、こういう気持ちを言うのかね)
 張り付いてくるアンデッド水兵たちを今度こそなぎ払い、強行突破をかけるイレギュラーズ。
 ついに至ったディーキーアナザータイプを前に、ミーナは顔をしかめた。
 巨大なアヒルめいた身体から大量の首がはえたそれは、神々しいような禍々しいような、しかしなによりもひどく悲しそうな声で叫び、天空に大量の魔方陣を生み出した。
 『九つの目』のついた卵が大量に空に生み出され、魔力噴射によって船へと殺到する。
 その様子に恐ろしいなにかを察したハロルドは咄嗟に身構え、そして叫んだ。
「俺から離れろ! 巻き添えをくうぞ!」

●ディーキーアナザータイプ
 対抗して放ったハロルドの『狂月』がオーラの刃を降り注がせる。
 合流してきたアンデッド水兵たちが編隊を組み、集中砲火を狙ってきたからだ。
 これで打ち止めとなる障壁を展開しつつ、エイヴァンのそばへ。
「ははははっ! さぁ! 死合うとしようぜ! ――行け、“月影剣”!」
 ブレイクによる引き剥がしはもちろんのこと、APコストの問題から防御を固められない。なのですっぱりと切り捨て、防御の固いエイヴァンに庇われる形でアンデッド水兵の引きつけを再開したのだった。
 ダメージ無効処理に莫大なコストを要する一方で遠範【万能】【怒り】付与という便利なスキルをノーコストかつ高命中で放てるというのが、ハロルドのきわめて巧みなポイントであった。
 大量に浴びせられる砲弾と飛びかかってくるアンデッド兵。
 それを斧で防御しつつ、氷塊弾によって反撃を仕込むエイヴァン。
 空から降り注ぐ卵が直撃し、エイヴァンと彼の周囲に群がるアンデッド水兵へまとめて奇妙な液体を浴びせかけていく。液体は瞬時に炎上。エイヴァンのたぐいまれなる耐久力を持ってしてもかわしきれないほどの威力が、その攻撃にはあった。
 だが最も注目すべきは、ディーキーアナザータイプがアンデッド水兵の味方であるように見えてナチュラルにフレンドリーファイアを仕掛けている点だった。
「魔種の手先になったにしては、攻撃に変な一貫性があるな?」
「怪物となっても、まだ魔と戦っているつもりでいるのでございましょうか……」
 幻は船から跳躍し、無人となった小舟を次々にとんでいくとディーキーアナザータイプへ斬撃をたたき込み、そしてそのボディを蹴りつけることで大きく離脱。
 ハロルドたちが作った敵の空白地帯へと飛び退いていく。
「後の客がつかえているのでね。さっさと落ちて貰うぞ!」
 汰磨羈も幻を見習うかたちで船から船へ飛び移りディーキーアナザータイプへと急接近。
「ふわもこは大好きなのだが、御主の様なキモいのは勘弁だな?」
 豪快な斬撃によってディーキーアナザータイプの首一本を切り落とすと、返す刀でさらなる首を切り落とす。
 一方でミーナは『死神の領域』を発動。
 闇の領域を作りだしディーキーアナザータイプの肉体を蝕み始めた。
「これだけの精度で打ち込んでおいて耐えしのぐか……」
 背後から飛びかかろうとしたアンデッドを振り向き一回転で切り払うと、ミーナは顔をしかめた。
 ミーナの攻撃は高い精度を誇る。アンデッド水兵程度なら一発斬り付けただけで相当高い確率で彼女のもつ闇や炎の力を乗せられる。しかしディーキーアナザータイプはそれを空中に生まれた魔方陣や首振りによって払いのけてしまうケースが多々見られた。
 それでも戦いはいつかは終わるもの。
 やや長引いてしまった戦いも、ディーキーアナザータイプに船をぶつけ豪快に殴りかかることで決着がつきつつあった。
 ゼファーの槍がディーキーアナザータイプの身体に突き刺さり、一方でゼファーを巨大なくちばしが挟み込む。
 そのまま肉体をプレスしかねないパワーだったが、ゼファーはそれを両手でしっかりと掴んでこらえる。
「元の顔なんて知りやしないけど、見るにも無残な姿に成った、ってのは分かるわ。
 ま、今日は感傷に浸る余裕もあんまりないの。……一気に行くわよ」
 口内を蹴りつけ、強制離脱。
 そのすきに十夜とイグナートがそれぞれディーキーアナザータイプへと乗り移り、同時に拳を振り上げた。
 十夜の目に、わずかに、しかし鋭い光がさす。
「老い先短いこの身じゃ、夢を継いではやれねぇが……最高級のエールをお前さんの遺影に備えてやるよ、船長」
「そうだよ船長。あんたとペンギーの夢はオレたちが引き継ぐよ。まだ見ぬ新天地をカーボンスケッチにして二人の遺影の隣に飾ってやるさ。だから、アンシンして眠りなよ船長!!」
 ボディに向けてたたき込まれる拳が、ディーキーアナザータイプの巨体をどうんとなみうつように弾ませる。いくつも切り落とされわずかとなった首がおかしな方向に暴れ、周囲にうかぶ無人の幽霊船を破壊していく。
「もう一発!」
 イグナートは十夜へとアイコンタクト。
 十夜は苦笑し、しかし何も言わずにもう一方の拳を掲げた。
 たとえば命を燃やすべき場所があるとしたら。
 たとえば長い人生の昼寝から目覚めるときがあるとしたら。
 きっと今がそうなのだろう。
 目を見開き、突き進まねばならない時が、いまなのだ。
「あばよ、船長」

 海へ沈む巨体。
 ぷかぷかとむなしく浮かんでいた無人の幽霊船たちも、ディーキーアナザータイプが撃破されたことを知るや同じように海の底へと自ずと沈んでいった。
 あの無人船さえも沈みゆき、あとに残ったのは静かな静かな波と風の音だけだった。
 傷ついた仲間達を手当てしたうえで、酒瓶の封をといた。
 一口もつけることなく、瓶ごと海へと放り投げる。
 きっとこの先の戦いも勝ち抜いて、まだ見ぬ新天地を踏んでやるとばかりに。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ――任務完了

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