シナリオ詳細
すてぃあすぺしゃる~ががーんでぎゅいーんでごーん
オープニング
●ナンイドナイトメア
「違うよ!? どうしてえええええ」
スティア・エイル・ヴァークライト (p3p001034)は叫んだ。解せぬ。解せぬ事態だ。
ここは聖教国ネメシスのヴァークライト家。その応接間である。
壁にちょっぴり出かけたサメちゃんが居るのは気になるが何時もの事なので親友ともなれば普通に会話できるというものだ。サクラ (p3p005004)は幻想国でも流行しているという紅茶を飲みながら「落ち着いて、スティアちゃん」とスティアを見遣る。
「まず、スティアちゃんは今日は何する予定だったの?」
「サクラちゃんに折角だから私の手料理を食べてもらおうと思って……。
そしたら、サクラちゃんが良ければってみんなを連れてきてくれたから頑張ろうかと思って」
腕によりをかけた料理を振舞うのだと張り切ったスティア。味見はしっかりするのでめちゃくちゃに食べられないものが出て来るわけではない。『ががーんでぎゅいーんでごーん!』な料理だと聞いたときにリースリット・エウリア・ファーレル (p3p001984)は目を閉じて空を仰いだものだが、まあ、そういう事もあるだろうと「サクラさん。それは食べても良いものなのですね?」と穏やかに(圧を感じた)問いかけてきたという。
美味しい洋食だ。大体は美味しい。ときどき勢いよく失敗するが。それも時々だ。
「普通にご飯をたくさん食べればいいんじゃな? なんじゃ……てっきり燃やすのかと……」
炎に魅入られているアカツキ・アマギ (p3p008034)にとって崇拝するべきスティア神の手料理だ。食べればもっと火のレベルもUPするかもしれないと何となくこじつけでアカツキも納得したのだろう。
「も、燃やすのは本意じゃないと思うというか!?」
「む、リンちゃんがそう言うなら今日は食レポに励むかの……」
ある意味で保護者枠な気がするリンディス=クァドラータ (p3p007979)は料理という者も世界各国様々代わる。そうした食事のレシピも重要な記録であるとワクワクしたようにそう言った。
「混沌世界では食文化も多種多様。とても食事が楽しみです!」
「そうですね。けど、サクラさんはどうして『そんなにいやそう』に……あと、壁に……」
サメが――と言いかけたドラマ・ゲツク (p3p000172)の口を塞いでぶんぶんと首を振ったクラリーチェ・カヴァッツァ (p3p000236)とエンヴィ=グレノール (p3p000051)。
苦い思い出が彼女たちにはあった。ローレットに居た筈が突然プールの中にぽいされてサメに追い掛け回されるなんてこと……会ってはならないのだ。
首を振り続ける二人にドラマは「兎も角」と気を取り直す。折角、親戚も含めてのお出かけだ。深緑(さと)を出て仲良く食事というのも悪くはないだろうとドラマはサクラにもう一度問いかけた。
「その……気になるわ。……スティアさんの手料理を食べるだけよね……?
お料理もうまくて貴族だなんて……妬ましいわ……」
「それじゃあ、エンヴィさんは今度一緒にお料理をしましょうか。けれど、私も気になります。『冒涜的な程に不味い』訳ではないんですよね?」
クラリーチェがきょとりとして問いかければサクラは頷いた。
「スティアちゃんは料理は上手だよ。ちょっと作業工程の音が工事現場かな? って感じだけど、ちゃんと味見もしてくれるし……けど、壊滅的な事が少しあって」
「「壊滅的な?」」
エンヴィとクラリーチェがハモる。それが何かというのが問題だ。
「……量が、多い」
めちゃくちゃに。
だからこそ、『スティアスペシャル』なのだ。
量が多い上に、食べきるまでスティア(と壁に居るサメちゃん)が見ているのだ。
「お残しはだめだよ!?」
「も、もももも、もちろんだよ。スティアちゃん。だから、お友達には帰ってもらって?」
親友は優しく言った。
「え!? 知らないよ!?」
サメは酷く悲しんだ。
「スティアちゃん、どうしてそういうこと言うの!?」
――サメは大口を開けた。
とりあえず料理を食べ切ろう。冷めてしまってはいけない。
こうして、スティアスペシャルに挑むことになるのだった。
- すてぃあすぺしゃる~ががーんでぎゅいーんでごーん完了
- GM名夏あかね
- 種別リクエスト
- 難易度-
- 冒険終了日時2020年05月07日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費---RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●
天義、ヴァークライト家に揃ったイレギュラーズ達の顔には困惑が浮かんでいた。どうしてこうなった、と言いたげな『蒼剣の弟子』ドラマ・ゲツク(p3p000172)は「ぐっどらっく……ああ、あの声が木霊します……」と酷く胡乱に呟く。どうしてこうなったかなんて分かり切っている料理を提供したらすべてが終わってしまう『新たな道へ』スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)の事を慮ってくれた優しいサメちゃん(関係者)のおかげなのだ。
「……なんてところに、来てしまったのでしょう」
がっくりと肩を落としたドラマの傍で『ふわふわな嫉妬心』エンヴィ=グレノール(p3p000051)はこくこくと頷いた。今日はスティアの手料理を振舞うからとの誘いに応じて『祈る者』クラリーチェ・カヴァッツァ(p3p000236)と足を運んだだけなのだ。
「壁にサメ、テーブルには山の様な料理の数々。天義の貴族のマナーについて、私は寡聞にして知らないのだけど……。ちょっと常識では考えられない量の料理を出しておもてなしするのが、天義では常識だったりするのかしら?」
その言葉に小さく首を振ったロウライト家孫娘、『聖剣解放者』サクラ(p3p005004)。そんな素っ頓狂なマナーは存在していない。寧ろ宗教色の濃いこの国では神よりの施しであると食事を楽しむ者も居るくらいだ。
「スティアさんの手料理を頂けると聞いてやってきたのです……。こうして手土産も準備して、皆さんと和やかに一日を過ごせると思ってきたのです……私が、甘かったのですね」
和やかに日々を過ごす。そんな穏やかな休暇に手料理を添えれば、きっと『女子会』が楽しめた筈なのだ。
けれど――ああ、クラリーチェの切ないまなざしにエンヴィは首を振った。
壁にサメがいる。当然のように。
「サメ召喚士としてこの世界に名を轟かせ始めたのは存じてますが、召喚というよりペットとして飼ってる状態なのでは……?」
「ええ!? さすがにサメちゃんが来るのは私も想定外なんだけど!?
ドレスに着替えてきたのに呼ぶわけないよね、皆信じて!! 気づいたらいたのー!」
叫ぶスティア。ベーシックなドレススタイルはヴァークライト家の令嬢としての礼儀の表れであったのかもしれない。叔母が「スティアも社交界でお呼びがかかるでしょう」と揃えてくれていたドレスの数々だ。サクラに「似合う?」と聞いて楽しい女子会を開催する予定だったのに――!
「今日は皆がいるから一段とスペシャルだね……」
死んだ目でそう言ったサクラの傍らで「お呼びいただきありがとうございます」と丁寧に礼を言って室内に入った『終焉語り』リースリット・エウリア・ファーレル(p3p001984) は唇を噤み、首を振った。
「どうして、というのは実際、誰が言うべき台詞なのか悩みますね……。
ヴァークライト家のお屋敷。規模はそれなりですから、維持の為にも屋敷の人手は相応にある筈。
その上で……ですね。このサメを屋敷の他の人達にばれないように隠し通すのは無理だと思うのですよ、スティアさん」
「このままじゃ叔母様に怒られちゃう……な、なんとか穏便に納めなきゃ……助けてサクラちゃん!」
リースリットの悲し気な眼差しから逃れるように泣き落としに走るスティア。そっと、自身の腕を掴んだ親友の手の甲を撫でてから、サクラは首を振った。
「スティアちゃん。後でエミリア様に今日のサメさんの事伝えておくね……」
――死刑宣告だった。
●
しっかりとしたドレスコードを確認して、準備はばっちり。前情報として「兎に角すごい」とは聞いていたが 『レコード・レコーダー』リンディス=クァドラータ(p3p007979)にとってはこうして招かれる事は吝かではない
「お誘いいただきましてありがとうございます、何かすごいとはお聞きしましたがせっかくのお料理ですし、美味しく……」
――そっと、目を細める。テーブルの上にずらりと並んだ『すぺしゃる』に頭痛がした。
「はい! 頑張っていただきましょう!
あと、どのような工程で料理をすればそんな音になるのか是非レシピを。それから……ところでそのサメさんは一体……」
リンディスが首を振った。皆、一様に遠い目をしている事で『嗚呼、何かわからないけど受け入れておかねばならないんだな』という気さえしたからだ。
「リンちゃん? どうしたんじゃ?」と首を傾げた『放火犯』アカツキ・アマギ(p3p008034)は自身が『かみさま』と認識するスティアの手料理を振舞ってもらえると上機嫌に入室してくる。
「アカツキ・アマギ、参上じゃ! お呼び頂きありがとうございますなのじゃ……これ、お土産の菓子折りじゃぞ」
招かれた以上、礼儀作法はしっかりと。長きを生きてきたアカツキはしっかりと手土産を手渡してから、リンディスの視線を辿り「サメなんじゃな」と言った。
「妾、細かいことは気にしない幻想種であるからして……」
「気になりませんか!?」
リンディスの言葉に『細かいことは気にしない幻想種』はそそくさと料理の許へと向かっていった。かくかくしかじかで、と説明するエンヴィとクラリーチェの言葉もどこか重たげだ。
「……そうでしたか。サメ召喚として名高いのですね…ローレット・シャークサモナーさんだったのですね。サメ召喚の超音料理師……ふむふむ。え、これ御伽噺じゃないんですよね?」
「ええ。そうですね……事実は小説より奇なりとは言いますが――」
ドラマは首を振った。そんな御伽噺は書庫でさえ見た事がない。目の前に並々と盛られた料理を前に「……なんてところに、来てしまったのでしょう」とぼやいた自分の口をそっと押える。
「ええ、美味しそうですし、これはスティアさんの手料理……。
深緑を出てもう3年。生活習慣も変わり、運動をするようになって、しっかり食事を取るようになりましたが……それにしたってこの量は多すぎませんか!?」
今までは書庫の虫状態ではあったが、イレギュラーズとなったならば栄養もしっかり取って鍛えなければならない。量が多いからと引いている場合ではないのだ。
「――戦わなきゃ、現実と!」
堂々宣言した蒼剣の弟子。ぐ、とその白い指先に力を込めてフォークを握りしめ眼前に存在した鍋いっぱいのタリアテッレを睨みつけた。
「せめてリクエストした、タンシチュータリアテッレは減らさなければ!
私には戦いに生き残る心得があります。冷静な判断で、最前を尽くしましょう!」
「す、凄いわ……気迫が違う……」
エンヴィは慄いた。ドラマより感じる猛烈な勢いに押されぬ様にとそっと、スプーンを握ってから顔を上げてサメちゃんと目があった気がした。
「……もしかして、見なかった事にしようとしてるサメと同様、これもスティアさんの召喚結果なのかしら? こう、料理中にどんどん食材が出てきて、知らない間に量が増えてる的な……」
恐る恐ると言葉を口にしてからエンヴィはここでは余計なことを口にしては現実になってしまうとでもいう様に「ありえないわ」と何度も何度も繰り返す。怯える彼女に気付いて、平静を取り戻しながらクラリーチェは「エンヴィさん」とそっと彼女の背を撫でた。
「大丈夫ですよ。きっと。なんだかんだ言って夏子さんや新田さん以外は食われてません」
穏やかにそう言ったはいいが、プールの中に閉じ込められてサメちゃんに<思い出したくない記憶>をされて、<思い出したくない記憶>となり、重傷を負った記憶が蘇ってくる。
「帰っていい? だめ?」
サメちゃんがぴくりと動いた気配がしてリースリットは「美味しく頂きましょう」とそっと首を振った。
「だめですか……」
ある意味で、食べきらなければ出れない部屋withサメちゃんなのだ。
「えっと……とりあえず、美味しそうな料理であることには違い無いのだから……私も頑張って食べないと……」
「はい。お料理を頂きますね。温かいものは温かいうちに。冷たいものは冷たいうちに。
一番おいしい状態で出して頂いているのですから。サメの方さえ向かなければ、これは和やかな食事会。――これ、何人分あるんです? こんな沢山食べるのはちょっと無理かな……無理ですよね? お持ち帰りしていいですか? だめですか……」
食べきらないとサメちゃんが小突いてくるのだ。エンヴィは「頂きます」と呟き、クラリーチェはサメを視界の端から消し去るようにそっと体の向きを変えた。
●
味は良いという評価があるのならば存分に楽しもうというのがアカツキの方針だった。
「火とはつまり燃焼、そう、カロリーへの特効を持つ!」――現実逃避だった。
ギフトの焔がカロリーを焼いてくれればいいのにと言う気持ちで顔を上げる。どう考えても圧が強いサメが待って居るのだ。
「サメサモナースティア? ハハハかみさまは妾の想像を常に凌駕してくるのう!!
何か燃えてきたわ炎だけにな!!!! 妾の胃よ、燃焼じゃ、燃焼するのじゃ! 燃やすのは得意技!!」
「燃やす……?」
首を傾いだドラマにアカツキは「カロリーの話じゃ!」と誤魔化したのだった。サメが誤魔化せるのだからきっと放火魔なのも誤魔化せるはずだ……。
「あ、皆さん。戦闘前にはしっかりと準備をしなくてはいけませんよ。私からフォローをさせていただきますね」
そっと水を配り、フォローの気配りと共に食材を食べやすくという気配り。そして『ミリアドストマックニクス』にて胃の調子を整えるというリンディスの持ち得るすべてを使用しての支援技。
「リ、リンちゃん。食べ物を細かく咀嚼しやすくするって妾への介護かの?」
ちょっぴり気になってくる101歳児にリンディスは「サラダも合間合間に食べる事で胃が落ち着きますよ」と微笑んだ。
「……本当に、なぜあんな音でこんな……?」
「それは、謎だね……」
サクラは度重なるスティアスペシャルでの慣れがあるとお腹が精強でメガフィジカルでギガフィジカルでキャパシティも上限解放してるのだとそっと告げた。
「私が……私が頑張らないと……」
「サクラさん……」
ハイライトの消えた瞳ですてぃあすぺしゃるを眺めるサクラを気遣う様に、リースリットは囁いた。
「ともあれ、サメさんです…………非常に気にはなりますけど前とは違って特に襲ってくる様子も無いですし、かといってどうにかできた例もないので私達にできる事としては、出来る限り気にしないようにする位でしょうか……」
その視線から逃れるようにそっとスプーンを握った時、リースリットには天啓が下りた。
「…………はっ。もしかして……彼らはスティアさんのお料理が食べたくて出現したのでは?
1号も2号も仲間としてスティアさんのお料理を一緒に食べるというのは……だめですか?」
ダメっぽかった。サメにじりじりと迫られるスティアはにっこりと微笑みながら「あのね、サメちゃん」と宥める。
「サメちゃんは暴れずに帰ってくれないかな? ほら! お料理もあるし……いきなりお友達っていうのは突然だけど……その前段階として食事でもどうかな?
あ、エンヴィさんは見た目はお魚っぽいけど食べたらだめだからね。うんうん、食べたらだめだから、絶対に食べちゃダメだよ?」
サメちゃんの視線がエンヴィに注がれる。ぞ、としたようにエンヴィは振り返り首を振り続けた。
「ね……落ち着いて。食事の前だから淑やかに、ね? 淑女の礼儀だよ(?)
知らないっていったこと謝るからー! ごめんなさいー! だから、ね!」
スティアは使用人たちを巻き込まないようにと気丈にもサメと対話を続け続ける。こんなこと叔母にばれたらなんといわれるかわからないのだ。
スティアが食べたいだけだけれど、ととタンシチュー、ローストビーフにアクアパッツァを準備していた。タリアテッレも準備済み。サメちゃんにはきっと俺がいいぞとトマトとモッツァレラのカプレーゼ、サーモンのカルパッチョ、コブサラダを手に彼女は微笑んでいる。
(サメがお刺身を食べるのはある意味普通そうですね……?)
リースリットはそっと席について、タンシチューをゆっくりと口にした。
「成程、これは美味しいですね。……ですが、ここまでそれぞれ量の多い一品一品を見るのは初めてですが、なかなか、こう、圧巻ですね」
これぞう噂のすてぃあすぺしゃる。それを胃腸で感じながらリースリットは気遣う様に「サクラさんは、よく……」と囁いた。
「あ、あはは。味が美味しいのが救いだけど、どれだけ美味しくてもお腹が苦しくなってくるとそれどころじゃないんだよね」
食事ではなく作業として考えればいけるとでもいうのかサクラはリースリットに食べ方を伝授する。
「やっぱり量の手加減は早く覚えさせないと……」
「ええ……そうしてくださるとありがたいです」
勿体ないから食べなければという何かを超えたサメのアプローチを請け乍ら、近接戦闘(食事)を卓越した箸運びでこなしていくサクラ。
「美味しいものを美味しいうちに食べたいというか……お腹がいっぱいになってきてる時に味の濃いものを詰め込んでいくのは……本当に……キツイ……」
「先に、味の濃い物ですね。分かりました……とりあえず、そうですね。
お飲み物で一息して、最後にデザートをいただきましょう」
極めて破壊的な魔術を以ってまで、デザートを食さねばならない現実! 飲み物を飲むと言いながら魔力を吸収するその準備。
「そう、その調子。心が折れた人から脱落していく……負けられない……
サメとスティアスペシャルには負けても自分だけには負けられない……!」
サクラの中で親友の料理がサメと並んだ瞬間だった。
「大丈夫です、一気に食べるのは難しいかもしれませんがペースをつかんでしっかり相対すればきっと!」
生存優先、そしてサバイバー。これぞすてぃあすぺしゃるを乗り切る秘策なのだ。懸命に食べるリンディスの限界も近く、そっと箸をおいて食べ休みを取ろうとしたところで――
「え、サメさん待ってくださいその大きな口を開けないでください待っ……皆さんあとはお願いします信じていますから!!」
「いやそれはダメじゃろ、そこのサメちゃんリンちゃんは喰っても美味しくないぞ!
こちらのスティアスペシャルを食べるのじゃ!! むしろお主達も手伝うべきでは???」
アカツキは胃もたれしそうな料理を見極め逃れ、そして最終的に無事であろうとするせせっこましい悪意と共に料理を平らげる――カロリーチェイサーを利用しながらびしりと指さした。
「い、いいんですよ……皆さんがんば……って……」
「リ、リンちゃーーーん!? な、なんじゃ、妾をどうしてみる!? 食べておる! 食べておる!」
実はアカツキ、瞬間的に擬似生命を生み出し、皆に見つからないように料理を食べさせ消滅させるという『エメスドライブ』悪用中だったのだ。サメちゃんはそれを見逃すわけもない。
「ああ、なるんですか!? ……む、むぅ。この身は未だ成長途上、押し込める量にも限りはあります。
大変心苦しいですが、此処は脱兎で戦略的撤退を……あっ駄目だサメちゃん2号が見てるじっと見てる!?」
リンディスされる。ドラマはそう思った。この儘ではサメちゃんにサメられてリンディスしてしまいそうなのだ。
「逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ……サメてしまっては美味しくなくなってしまいますものね。それに残してしまっては、勿体ないです。もし次があるとしたら、せめて30人依頼で……」
――きっと、30人の皆にご飯を振舞うと更に倍量になったすてぃあすぺしゃるが待って居る。
それに気づきながらもドラマはデザートは別腹なのでとサメちゃんに『デザートを選ぶようなしぐさを見せて』逃れていた。
「そうですね。サメに皆が襲われようが、逃げまどうことになろうが、美味しいご飯には変わりませんから……」
「ク、クラリーチェさん……ええ……サメを抑えてくれているスティアさんの為にも、残す事の無いように……頑張らないと……」
お魚ぽいエンヴィはそっとそれから逃れるように目を伏せた。スティアはサメちゃんとの対話を頑張ってはいるが時々仲間に流れ弾が来そうな雰囲気が漂っている。
「あ、お刺身美味しいですよね。サメのお刺身が食べたいとかじゃなく!」
サメちゃんがスティアの後ろに隠れた。「ええ!? 私が盾!?」と驚くスティアにサメちゃんは尾をゆらゆらと揺らしたのだった。
そして――無事、完食し異様な音を響かせていた『スティア様のお料理』が終わったと使用人たちが片付けにすごすごと入ってくる。
「み、みんな、よくぞ無事で……!」
スティアは感涙した――が、「おかえりなさいませ、エミリア様」という声が響き、その顔色は一気に変化したのだった。
「ああ……」
リースリットの呟きと共にスティアは蒼褪め、首を振る。
「スティア……? サクラ嬢、これは……?」
広がる死屍累々と大量の皿、そして、二匹のサメはエミリア・ヴァークライトと見つめ合ったのだった。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
あとがき
サメちゃんって優しいんですよ!
GMコメント
美味しいごはんですよ!夏あかねです。
●サメちゃん
スティアさんのリクエスト文章の一部を抜粋します。
「ぶっちゃけスティアのプレに書くこと思いつかないんですけど何書いたらいいですかー?
たすけてー!」
助けました。
・スティアさん:お友達じゃないと言われたサメちゃんが常に追いかけてきます。
・スティアさん以外:サメちゃん2号がお残しは許しません。
●プレイング
スティアさんは『洋食でもどんな料理を供給する』かと『サメちゃんとの戦い』をご記載ください。あとは、まあ、好きな食べ物とか沢山書けば仲間が苦しむんじゃないかな……。
スティアさん以外はたくさんの食事と格闘してください。スキル関係はお食事と合わせてそれっぽく判定されます。サクラさんのメガフィジカルが腹の事だったりする感じで何とかそれっぽくなります。
このスキルはこうだ! とかこじつけてください。
あとはお嫌いな食材とお好きな食材を宣言してもいいかもしれません。
食べたいものも大歓迎です。サメちゃんも居ます。サメちゃんへの想いもどうぞ。
関係ありませんが、夏あかねはトマトをこの世の食べ物だと思ってません。
また、お残しをするとサメちゃんが齧ってきます。サメちゃんは戦闘でも斃せますがナンイドナイトメアですって。
●お料理
ががーんでぎゅいーんでごーんでごごごごーんでがいいいーん!って感じに作られている豪華お料理フルコースです。
スティアさんが作成した料理はサメちゃんの圧もありいつもよりたくさんです。
前菜からデザートまでしっかり食べ切りましょう。
ちなみに、サメちゃんの圧がなかった時のサクラさんが食べていたスティアスペシャル(想像)
・サラダ(フレンチドレッシング)
・シーザーサラダ
・豆腐サラダ
・コーンポタージュ
・オニオンスープ
・オムライス
・ボロネーゼ(パスタ)
・ドリア
・ミートボールのトマト煮
・ハンバーグステーキ
・カツレツ
・海洋風エビフライ
・練達風カレーライス
・ピラフ
・九龍球
・ティラミス
・マフィン
・季節のタルト
・クリームブリュレ
・イチゴのムース
(あとは気分による)
今回は何時もより多いそうなのでもっとたくさんのレシピがあるかもしれませんね!
●情報精度
このシナリオの情報精度はEです。
無いよりはマシなサメです。グッドラック。
Tweet