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シナリオ詳細

ラサコレクション、開幕

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 ラサという国は、砂漠地帯を中心とした傭兵達の国である。
 それだけに、比較的動きやすい服装をした者達が集まる土地柄である。
 別世界の中東を思わせるトーブと呼ばれる民族衣装に近い衣装を着用するのは、やはり土地柄、気候柄似ている部分が大きいからであろう。
 なお、その生地はコットン……木綿が主流。
 乾燥地帯でも生育が容易なことが理由として挙げられる。
 ただ、ラサ国民にとって、人気の生地はレーヨンに近い高級な生地なのだが、繊維業は生産に水が不可欠であり、ラサでの生産は難しいとのこと。
 その為、布の生産は主に海洋などに頼ることとなり、行商人に運搬を願うこととなる。
 
 ラサのオアシスにできた夢の都『ネフェルスト』。
 今回、この地へと行商人達が大量の高級生地を運んできたことがきっかけとなり、ファッションショーが企画されることとなる。
 その企画者であるラサ人、程よく肌の焼けたお鬚のダンディであるナディムはショーを成功させる為、混沌中をあちらこちらと奔走していた。
「ええ、是非とも、運用方法についてご相談を……」
 幻想ローレットにも足を運んでいたナディムはフォーマススーツ姿の『ファンドマネージャ』新田 寛治(p3p005073)と話をし、マネーロンダリングの方法などを聞いていたようだったが、そちらはついでの話。
「本題いきましょう。実はファッションショーのモデルを探しておりまして」
 渋さ漂う男だが、低姿勢なのも相まって交換を抱かせる。こうした容姿や態度も、商売柄成功する為の秘訣なのだろうか。
 ナディムの話によれば、大量の記事がネフェルストに集まる状況にあり、それを高値で販売する為に人気の出るデザインの衣服を仕立てたいとのこと。
「皆さんの意見を交えて試作品を作り、それを使ってショーを行います」
 より人気の出たデザインの衣服を複製、さらにカラーリングを変えたものを合わせて仕立て、ナディムは販売を考える。
 販売相手は布を仕入れた行商人や、ラサ国民となるだろう。好事家なら他国でも高値で購入してくれるかもしれない。
「なるほど、でしたら……」
 話を聞いた寛治はすぐ、この場へと『熱砂への憧憬』Erstine・Winstein (p3p007325)を呼び寄せる。
 彼女はラサビジョンによってラサの一部では知名度がかなりあり、有名人となっている。
 Erstineが参加すれば、ショーの注目度も高まることは間違いないだろうが、話を聞いた当人はショーの参加に気乗りしなかったようで。
「いや、でも私なんかが……」
 すぐに辞退しようとしたErstineの反応を見ていた寛治は何かを察し、彼女を差し置いて話を纏めに入る。
「なるほど、是非参加したいそうですので、よろしくお願いいたします」
「おお、そうですか。それはありがたい」
 有名人の参加とあってかなり喜ぶナディムは、まだ行く先があるからと忙しないない態度でローレットを後にしていく。
「私、参加するなんて、一言も言ってないのだけれど……」
「さあ、あとは人数集めてですね。これは忙しくなりますよ」
 些か不貞腐れるErstineを宥めつつ、寛治は彼女と親交のあるメンバーを集め、男女8名で一路ラサを目指すことにしたのである。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様こんにちは。なちゅいです。
 今回はリクエストシナリオのご依頼、ありがとうございます。

●成功条件:
 指名当人であるErstineさんを含む最低1人がモデルを行うこと。

●概要
 ラサのご当地である衣装(+装飾品)を数着着用し、紹介することが目的です。
 Erstineさんのみ、モデル必須。
 それ以外の方はモデルでも裏方でもOKです。

 到着後、2,3日かけて下準備してから、本番のショーに臨みます。
 自身の着用する衣装のデザインを決め、ショーの段取りを確認しつつ本番に臨む形です。

 プレイングは当日ショー直前からスタートを想定していますが、事前の描写も欲しいということでしたら、お示し合わせの上でプレイングを手掛けていただければと思います。
 ステージは実在するショーの形式で問題ありません。
 前に進み出てアピール、ターンして戻る形です。

 行商人やラサに集まる国民などに自身の着用した衣装を紹介し、
 一定の売り上げを出すことができれば、依頼人は満足してくれます。

○モデル
 ラサの衣装は基本、中東風、アラビア風をご想像くださいませ。
 基本的には主催が用意した衣装を着用しますが(こういう柄を着たいという希望にはある程度答えてくれます)、1着だけ自分の好みで服を着用できます(日取りの都合です)。
 ただし、裏方さんが思いもしない衣装を用意される可能性がありますので、悪しからず。
 どういう歩き方、見せ方をするかでも評価は変わります。

○裏方
 文字通り、裏方として働きます。
 全員モデルでも十分成果を出せる可能性はありますが、
 敢えて裏方としてモデルとなるメンバーの衣装を見立てると、
 モデル本人の想定以上の成果を出せる可能性があります。
 また、敢えて裏方として、仲間に着せ替え出来る楽しみも……。
 
●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • ラサコレクション、開幕完了
  • GM名なちゅい
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年04月22日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費---RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

夢見 ルル家(p3p000016)
夢見大名
ウィリアム・M・アステリズム(p3p001243)
想星紡ぎ
炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子
ジェック・アーロン(p3p004755)
冠位狙撃者
新田 寛治(p3p005073)
ファンドマネージャ
アイラ・ディアグレイス(p3p006523)
生命の蝶
エルス・ティーネ(p3p007325)
祝福(グリュック)
ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)
私の航海誌

リプレイ


 時は少し前に遡り、幻想ローレットにて。
 ラサコレクション主催のナディムと『ファンドマネージャ』新田 寛治(p3p005073)から事情を聴いたイレギュラーズ達。
「やれやれ、今度はファッションショーか」
 縁もゆかりもないと思っていた仕事が増えてきたと『希祈の星図』ウィリアム・M・アステリズム(p3p001243)が感嘆する。
「おや、何か思うことでも?」
「……いや、嫌な訳じゃないさ」
 寛治の問いかけにウィリアムはまんざらでもない反応を見せて。
「色んな衣装の……まあ、女の子を見れるのは、悪い気分はしないし。……って、変な意味じゃないからな?」
 女性陣の視線を一点に集めて狼狽する彼に、笑いが起こる。
「にしても、流石ラサの情報通。拙者という宇宙の宝石に目をつけるとは流石と言わざるを得ませんね」
 『求婚実績(レイガルテ)』夢見 ルル家(p3p000016)は鼻息を荒くして。
「任せて下さい! 拙者が宇宙警察忍者美少女代表として紙面を輝かせて魅せますよ!」
 意気揚々と仲間達へと語っていたルル家だったのだが。
「え、拙者はエルスティーネ殿のついで……? あ……そうですか……」
 最初に声がかかったのは、『Ultima vampire』Erstine・Winstein(p3p007325)であったことを知り、拍子抜けしてしまっていた。
「ファッションショーかぁ、モデルをやったらいろんなお洋服が着られるんだよね!」
 その誘いに、『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)は目を輝かせ、モデルをやってみたいと挙手する。
「才色兼備完璧美少女の拙者ですから裏方でも余裕でパーフェクトな結果を出せるのですが、やはり? 拙者のような美少女がモデルをやらないとか? 世の? 損失? ですからして?」
 ルル家もすかさず、やる気を見せる。
 華麗な衣装を着ることができる絶好の機会。女の子なら是非とも体験したシチュエーションだ。
「一緒に頑張ろうね、エルスちゃん!」
「最近モデルの仕事が増えてきてるけれど……。ま、まぁ……その、受けたからには……やるけれどもっ!」
 当のErstineは声をかけられたことに戸惑いながらも参加を了承し、ナディムも喜んでいたようだ。
「今回のアタシはスナイパーじゃナイ……スタイリストだ」
 『ガスマスクガール』ジェック(p3p004755)は過去、Erstineのプロデュースを行ってきた経験もあり、任せてほしいと胸を叩く。
「ジェックさんにまた衣装を選んでもらえるなんて嬉しいわっ!」
 Erstineも一つ、楽しみが増えたようだ。
「衣装の希望かぁ」
 以前少しだけ、踊り子の衣装みたいなものは着用した焔だが、ナディムが持参した資料には素敵なのが色々とあって悩んでしまう。
「コンカイはルル家と焔のもイッショに考えるよ」
 そんなジェックの提案は焔にとって渡りに船となって。
「決めきれないし、お願いしちゃってもいいかなジェックちゃん?」
「ジェックP殿にお任せします! 乱暴する気でしょ! 同人誌みたいに!」
 快諾する焔に続いたルル家の叫びに、周囲から「いやいや」とツッコミが入ったのはさておき。
「拙者はジェックP殿の手腕を信じています! ガスマスクだけは勘弁してください!」
 しっかりと自分の希望も伝えるルル家だが、さすがにないないとジェックが手を振っていた。
「今回の主役はエルスちゃんだし。我々は出しゃばらないようにしましょうね……」
「うんうん、目立たないようにしたいですね」
 ねーと笑いかける『虹を齧って歩こう』ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)に、『君に幸あれ』アイラ(p3p006523)がうんうん頷く……と思いきや。
「……などと言うつもりはさらさら無い!!」
「!?」
 突然、がおーっと猛獣のポーズで威嚇するウィズィに、Erstineが驚く。
「私達もモデルやるので、やるなら、やるからには! 目立つぞ! 主役を食っちゃるからなー!」
「って、わわ!?」
 驚くアイラも、確かにその気持ちは大事かもと考えを改めて。
「こうなったら、やれるだけやってみましょう。お星師さまは、お洋服は詳しいですか?」
「……お星師さま? って、俺か」
「ボクはあまり解らないので、良ければ力を貸してくださいね」
 アイラの頼みに、お星師さまことウィリアムは少し唸って。
「うーん、俺も服装は詳しくないからな……。ま、アイラなら何着ても似合うと思うぞ?」
 そんな彼の言葉に、アイラは照れてしまっていたようだ。

 そんなわけで、話を持ち掛けた寛治、半ば招待客のような扱いのErstineを中心としたメンバーはラサ、夢の都『ネフェルスト』へ。
 3日後に本番を控えたラサコレクションの会場までやってきたのだ。
「ふむ、舞台衣装の方は整っているようですね」
 会場の控室に用意される衣装をチェックする寛治は、この企画のテコ入れに回ろうと思案する。
 ナディムがこのファッションショーを開く目的は商材であるコットンや高級生地を使った衣装の販促だ。
「であれば、『ファッションショーだけでは届かない層へのアプローチ』が私の仕事でしょう」
 その一方で……。
「エッ、期限は3日後? 制作のツゴウでデザインは明日マデ!!? ちょ、す、スグ考えるカラ! マッテ!!!」
 想像以上の過密スケジュールに、ジェックは目を回してしまうのである。


 本番までの3日、招かれたイレギュラーズ達はそれぞれ準備の為の時間を過ごす。
 ステージ制作にはウィリアムが裏方として参加する。
 昼間の野外ステージなのだが、舞台上は日陰になることもあった為、ウィリアムは自らのギフトで光量控えめに輝く小石を作り出し、モデルが目立つことができるようステージやランウェイを飾り立てていく。
「ファッションショーって、ちゃんと見たことないんだよね」
 ステージを見上げていた焔はまだ時間はあると判断し、自分達以外に集まっているモデルに聞いてみようと、控室へと向かっていった。
 そのステージには忙しなく段取りを行う寛治の姿も。
「まず、このファッションショーを一過性にしない事が重要です」
 ショーに来場する行商人やラサ国民達に生でこそ味わえる熱量、空気を感じてもらいたいが、悲しいかな会場には定員が存在する。
「それ以上の多数に届けるには、もうひと工夫必要です」
 顎に手を当てて小さく唸った彼は手早く自身のコネをフル活用し、何やら人員を集めていたようだった。
 もう1人、ジェックは3人分の衣装づくりで大慌て。
「服のタイプは何でもいいけど、色は赤系がいいかな」
 焔のみそんな希望を出していたが、ルル家とErstineは完全にお任せかつ当日まで秘密という徹底っぷりであった。

 その間、モデルとなるメンバーは元々用意された衣装合わせを行う。
 某世界における中東、アラビアと似た服装を、アイラはウィズィと共に一足早くチェックを行っていた。
「丈夫な身体が自慢ですから、こき使ってください」
 アイラはそう言うものの、自作の衣装もあって予定はカツカツだったようだ。
 また、指名されての参加であるErstineも大忙し。
「煌びやかなイメージが強かったけれど、実際着てみると肌触りもいいのね……」
 着用する全ての衣装に袖を通して着心地を確かめるErstine。さすがに練達式VRゲーム内とは勝手も違ったようだ。
 そして、そのままステージに出て、実際に歩いてみる。
 ジェックの衣装は着衣時まで秘密だが、彼女の要望としては『背中を意識』、『スカート捌き』を重視してほしいとのこと。
「背中……ターンの時とかに意識する感じかしら……。スカート捌きはこうかしら……?」
 衣装が映えるよう、Erstineはクルッとターンしてヒラヒラ衣装を翻す動きを取り入れてみていた。
 ルル家や焔も用意された衣装を着用しつつ、ステージで予行練習。
 ランウェイを歩く練習をしていた焔は、長身な上に筋肉で引き締まった体を持つウィズィへと視線を向けていた。
 そのウィズィとアイラは互いの衣装を考える手はずとなっていたので、普段の衣装で立ち位置の確認。
 どんな衣装かはこちらも当日のお楽しみだ。


「ここに、ラサコレクション、開幕いたします!」
 進行役として寛治が開会を宣言すると、会場には盛大な拍手が巻き起こる。
 なお、寛治自身もドレスコードを乱さぬよう頭から足首まである白の貫頭衣……ディスターシャでお出迎え。生成りは基本的な衣装に合わせて綿だ。
 なお、その寛治は事前に組織した撮影班を観客席の両サイドとステージ正面後方に配備していた。いわゆる記者席である。
 彼が僅か半日で組織した撮影班が動画、写真として記録に残すことで、時間をかけてラサ全土へと広がっていく。
 特に服飾はじっくりとデザインを見ることができる写真があると、行商人も国民もありがたがるだろう。
「さあ、それではまいりましょう」
 寛治の声で、ラサ国内や他国から招待されたモデル達が姿を現す。もちろん、その中にはイレギュラーズ達の姿も。
(前にライブとかやった時は、パルスちゃんのライブに何回も行ってて雰囲気がわかってたから大丈夫だったけど……)
 高まる緊張感は本番だからこそ。焔は少し硬直しながらもステージに立っていたようだ。
「ラサのお国柄か、露出多めが多いような……ちょっと、目のやり場に困るな」
 後の為に燕尾服を着用していたウィリアムは皆似合っていると、素直な感想を口に出す。
「ま、皆のお墨付きだ。堂々とするのが良いと思うぜ?」
「ええ、自信を持つわ……ありがとう」
 ウィリアムに背中を押され、Erstineもまたステージへ。
 全身をゆったり包む衣装もありはするが、こうした煌びやかなファッションショーとあってアラビアンな衣装も多い。
 現状は元々用意された新作衣装を披露している真っ最中だ。

 一通り、参加者が新作を披露し終えた後、今度はそれぞれデザイナーが気合を入れて作成した渾身の衣装を披露する。
 まずは、ウィズィ、アイラ作。それぞれが相手の衣装を見立てた形であり、2人同時に登場する。
 ウィズィは蒼を基調とした男装。
 カフェオレの髪は金の装飾を施した瞳と同色のターバンで纏め、アメジストの飾りで巻いた部分を留めていた。
 インナーは黒のアメリカンアームホールに、ボトムズはサルエルズボン。ラサという土地柄、涼し気に白系統で上下を合わせる。
 靴はベアフットサンダル。脚にはアンクレット、腕はブレスレットで装飾していた。
(ただ、これだけだとどこぞの蠍男さんそっくりですから)
 そう考えたアイラは、大きめのストールでウィズィのボディラインを隠し、大胆に布地を見せていく。
 背筋を伸ばすウィズィはキリッと涼やかな笑顔で、アイラに手を差し出す。
 ウィズィの手を取り、ふわりと微笑むアイラは纏うは、ラピスラズリのネックレスで胸元を控えめに彩りつつ、おへそ出しの白地のドレス。
(おへそがすーすーして、なんだか擽ったいかも)
 極薄い蒼色の布を何枚も重ねることで、蝶のようにひらひらと蒼がグラデーションしており、見る者の目を引く。
 感触にして華やか。ラサ風にして涼やか。ガーリーにしてセクシーな一品である。
 ステージ上で素敵な女性たらんと微笑みを湛えるアイラを、ウィズィがエスコート。
 ランウェイの端まで着くと、ウィズィはアイラの腰を抱いて身を寄せて。
「大丈夫、私に身を任せて……」
「……っはい、ウィズィさん」
 アイラはウィズィに体を預け、頬を朱に染める。
 しばし、じっと見つめ合う2人の姿は社交ダンスでいうピクチャーポーズのよう。
 さらに、アイラはドリームシアターによって赤いバラの花びらを舞い散らせ、ギフト「氷蒼の蝶」の効果でウィズィへの感謝の思いを込めて煌びやかな蝶を舞わせる。
「「わあっ……」」
 その光景に、色めき立つ観客席。主に女性客が真っ赤にしてしまっていたようだ。
 ロマン溢れるラサの地。こうした夢物語の一幕だってきっと大事なのだと、アイラは確信していた。

「ここからは、こちらもローレット所属、ジェック氏デザインの衣装をいくつかご紹介」
 寛治のアナウンスによって姿を現したのは、ルル家、焔だ。
 ルル家のテーマはアラビアンと華のコラボ。
 セパレートタイプのアラビアン衣装にマーメイドスカートで、白が基調だが、翠を交えた黄色の花をデザインし、微妙に異なる色の紗を重ねた生地が目を引く。
「拙者これでも宇宙警察忍者ですから! 演技力も最高です!」
 傍に控える練達のカメラを抱えるカメラマンに対し、ルル家はジェックP発案の最重要ポーズを。
 コンセプトは「後ろ姿で座った時が一番美しくなる」とのこと。
 ルル家が床に座り、スカートの後ろ側、大きくなった裾を広げてみせると、まるで地面に広がる大きな黄色の牡丹が咲いているかのよう。
「「おおー……」」
「ふっ、拙者の輝きにはディルク殿もにっこりですね」
 この場にいない『赤犬』は後でどういう反応をみせるだろうか。
 再び立ち上がるルル家。花の中央に一層濃い黄色の花々があしらわれており、歩く度に花が揺れているようだ。
 3日貫徹でふらふらなジェックだが、モデルとなる仲間がステージに出るギリギリまで衣装の着付け。そして、送り出した後はしっかりと見守る。
 続いて、登場する焔のテーマはアラビアンと和のコラボ。
 セパレートタイプで赤貴重で黒、所により白を散りばめたアラビアン衣装で、大胆に肩を出したトップスは和柄の生地を共衿のように前で重ねたデザインだ。
(ファッションショーなんだから、服を魅せることを意識してっと)
 腕は内袖となっており、改めて、今度はジェックに見立ててもらった衣装を綺麗に揺らすべく焔は腕を振る。
 下は和柄の布に紗を重ねたオーバースカート。
 向かって左側には深めのスリットが入っており、歩くと和柄スカートから焔の健康的な脚が覗き、彼女自身も綺麗に見せられるようにとアピールする。

 そして、大トリを飾るのは。
 燕尾服を来たウィリアムがエスコート。お相手は今回の主役、エルスことErstineだ。
「お手を拝借」
「あら、顔が赤くなかったら決まってたかもね? ……なんて、ふふ!」
 ツンとするウィリアムを笑うErstineが上機嫌なのは、ジェック自作の衣装の影響が大きい。彼女のセンスを信じていただけに、心から感激したのだろう。
 テーマはアラビアンと妖精のコラボ。青をメインに白を配置、赤をアクセントとして利用している。
「今回は生地を見て買ってもらう為のショー。衣装を全面的にアピールしていかないと……!」
 ジェックからの要望通りに彼女は背中を意識して。
 胸部は綺麗に見せるホルスターネック。
 背中が大きく開いた部分から、紗に宝石を縫い付けた布が4本ほど伸びている。
 それはErstineが歩く度、妖精の羽のように光を反射してはためくのだ。
 また、スカートは足に纏わりつつ揺れ、宝石が煌めくマキシ丈スカート。
 こちらも生地の質感が分かるよう動きを大きめに見せ、ターンの時にスカートを捌くよう、Erstineはランウェイ端で優雅に回る。
(どのモデルも良いと思うけど、一番の主役はエルスティーネだろう)
 ウィリアムはそう疑わず、彼女が目立ち、皆の目に留まるよう最後までエスコート。
 存分に衣装を披露したErstineは彼に手を引かれ、ステージ袖へと下がっていったのだった。


 ショーは大盛況の中、閉幕。
 人々は満足げに多数の荷物を抱え、会場を後にしていた。
 思った以上の効果はあったと頷く寛治とナディム。緊張の糸が切れたジェックは疲れて眠ってしまったようだ。
「いやあ、なんて言うか……凄かったな」
「皆のお洋服も素敵だったし、ボクも今日着たのが欲しくなっちゃった」
 様々な衣装にウィリアムが圧倒される一方、焔はいくつか目につけていた衣装があったようだ。
「拙者もプリティーキュートビューリホーなのは間違いないのですが、ほかの皆さまも流石の逸材ですね!」
 一方で、ルル家は衣装そのものよりも、衣装で着飾ったモデルに着目していたようで。
「是非、拙者のコスプレ喫茶店にスカウトしたいものです!」
 先程の記者が描いた雑誌の記事を読んだ人々が集まることで、ルル家の店にも集客が……。
「おっとよだれが……」
 口元を拭おうとするルル家を含めたメンバーに、焔がぽんと手を叩いて。
「そうだ! 皆でお洋服屋さんに寄っていかない?」
 ルル家の提案に、まだ着るのとの声も上がっていたが、モデルとなったメンバーを中心として楽しそうに向かっていく。
「ラサの為にと受けただけの仕事だったけれど……。誰かが期待してくれるなら……悪くない仕事、ね……なんて」
 Erstineはモデルという仕事を前向きに捉えつつ、仲間の後を追っていくのである。

 後日。
 ラサコレクションは動画や写真を通じ、行商人や国民達の口コミもあって情報が広まって。
 主催のナディムもその後しばらく、服飾の需要が絶えぬ状況にあったと、寛治に対して感謝していた。
 状況が許せば、次の開催も検討したいと、ナディムはかなりやる気を見せていたのだった。

成否

成功

MVP

エルス・ティーネ(p3p007325)
祝福(グリュック)

状態異常

なし

あとがき

リプレイ、公開です。
MVPはやはり主役へ。プレッシャーの中、お疲れ様でした。
今回はリクエスト、並びにご参加ありがとうございました!

 以下、OP訂正です。
 行間後 9行目、交換→好感
    11行目、記事→生地
 大変失礼いたしました。

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