＜魁メタリカ女学園＞都市伝説の娘

オープニング

●乙女の園
「ごきげんよう」
　黒髪の乙女が校門をくぐる。そよかぜに香る花の園を、中央に敷かれた赤煉瓦の道をゆく。
　淑やかに伏せた前をあけ、長い睫をたてたなら、乙女の清らかさそのものを象徴したかのような校舎が見えるだろう。
　いや。
　言葉は正確に、伏せることなく述べねばなるまい。
　校舎が表すのは。
　そびえる塔とトゲと大砲と歯車回転ノコギリと血染めの逆十字が示すのは。
　乙女の清らかさとそして――。
「ごきげんよう生徒会長ォ！」
　花園より鳥のごとく飛びあがった赤髪の生徒。
　紫ネイルは毒の色。十指全てを毒に覆った乙女はその抜き手を黒髪の乙女めがけて繰り出した。
「お亡くなりあそばせ！」
　たれた髪。黒いカーテンを腕が破るかのごとく。
　『とった！』毒の乙女が目を見開き叫んだその瞬間。
　彼女は自らが射貫いたのが乙女の残像であったことを知覚した。
「清楚なる乙女は常に一歩先をゆくもの。過去の影に爪をたてているようでは……乙女失格ですわ」
　生徒会長、月見草。彼女は既に毒乙女の背後をとり、パチンと指を鳴らしていた。
　おお。
　読者諸妹に乙女格闘術の心得があるかたはおられようか。
　心得を持つものならおわかりいただけよう。
　乙女が手を出したとき、それは既に『出し終えている時』であると。
　音よりも心よりも早く、そして無数に繰り出された月見草の打撃が、遅れて全て毒乙女へとめり込んだ。
「清楚委員長流奥義――葬流夢（ホームルーム）」
　気圧にひしゃげるペットボトルのごとくいびつにねじれた毒乙女は、ヒギュウと乙女らしからぬ悲鳴をあげて崩れ落ちた。
　落ちた乙女に、校門をくぐるいかなる乙女も振り返らない。
　ここは鉄帝私立メタリカ女学園。
　乙女らしさを失ったものは、床のシミ以下の存在と見なされるのだ。
　おっと、いけない。
　大事なコトを言いそびれていた。
　この学園校舎が示すのは。
　乙女の清らかさとそして。
　『強さ』である。

●乙女連続不登校事件、顛末
　鉄帝私立メタリカ女学園は、鉄帝の未来を担う強き乙女の学園である。
　乙女は鋼よりも堅くマグマより熱く白雲よりも清楚であれ。その教えにより育った鉄帝乙女たちは強き国の未来を担う軍人や政治家、そのた様々な役職につくと言われている。
　覚えておられようか。
　かつてローレットはメタリカ女学園の依頼を受けギャル派と清楚派の派閥争いに加担し、学園を淫らな退廃的学園へ変えようとしていたギャル派乙女たちを一掃した。
　最後の賭に出たギャル派の生徒会総選挙血選闘票の場においてギャル八天王を屠ったことにより清楚派が勝利。学園の清楚は守られたのだ。
　後に学園は怠惰な不登校乙女の続出事件が発生。学園見学会の折りに他国の工作乙女の存在を暴いたローレット乙女たちは彼女たちを排除。またも学園の危機を救ったのだった。
　そうしてローレットにより幾度も危機を救われたメタリカ女学園はついに、ローレットの『体験入学』を決断したのだ。

　体験入学。身体に剣を突き刺し己の強さを見せつけた学園ＯＧ乙女剱岳大剣山の伝説にならって生まれた『体剣入愕』を語源とする制度である。
「この学園にはいまだ病魔が巣くっています。
　不登校の怠惰毒をもる毒乙女。淫らな退廃を望むギャル派残党。そして昨今存在が確認されている『恋する乙女』……狡猾に潜り込んだ彼女たちを探し出すことは、目立つ立場にあるわたくしたちにはもはや困難。
　であれば、彼女たちにとって美味しい餌である『新入生』を仕掛けるのみ」
　乙女教育の浅い新入生は学外の悪乙女たちにとって絶好の餌。潰せば学園影響力の低下を、取り込めば自勢力の強化が見込める。
　だがそれが、彼女たちにとっての罠であることは……そうそう見抜けまい。
　生徒会長月見草は麗しの乙女さながらの制服をハンガーにかけ、あなたへと振り返った。
「今より、乙女となるのです。そして学園に潜入し、悪しき乙女をあぶり出すのです」

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第1章

第1章 第1節

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第一章受付開始
受付時間：ＯＰ公開時～2020/03/22 15時頃予定
採用人数：10～12予定
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第1章 第2節

　八田 悠子を知っているか。
　永久不滅の乙女と言われメタ女サバゲー部において伝説と化した転校生悠子はしかし、たった一日で姿を消してしまった。
　あれは清楚派のみた冬の日の幻だったとさえ言われたが……。
「この門を潜るのも久しぶりですね」
　散る桜の花弁に振り向いて、伝説の乙女悠子は再びメタリカ女学園へと降り立った。

　乙女、所作は優雅たれ。
　すれ違う皆に『ごきげんよう』と挨拶をし、慌てず焦らず、いつも春を待つ花のように余裕をもつ。
　つまり。
「ごきげんよう」
　中庭のベンチに腰掛け『常夏の扉』という本を開いていた悠子が、かざした二本指で毒矢文を止めるのは……自然な乙女の所作といえよう。
　殺気をたどり矢を放った校舎二階の窓を振り返り、微笑む。
　桃色のローブと仮面で顔を隠した乙女の刺客。
　彼女はすぐさま姿を消したが、追う必要などない。
　なぜならば。

　――拝啓、悠子様。
　あなたの伝説を殺します。
　かしこ。

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　刺客が現れました
　氏名不明『恋する乙女』
　乙女情報屋からのアドバイス
「彼女はMアタックや窒息系攻撃を得意とし、喪失系のフィニッシャーで乙女を殺す手練れのようですわ。明らかに悠子様を意識した刺客。ご注意くださいまし」
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成否

成功

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第1章 第3節

「ごきげんよう、新羅　快子さまですわね」
「ええ……」
　長いまつげ。麗しき赤い髪。首元に巻かれた鳥の羽と、背より伸びた秋の夕暮れめいた赤い翼。
　カイト――もとい快子はおっとりとした様子で応えた。
　すれ違う乙女がちらちらと振り返り、『まあ、素敵なお方』と小声で話すのが聞こえた。
　快子を案内していた乙女はしずしずと斜め前を歩き、表情を読ませない瓶底のような眼鏡をかけていた。
「バスケ部への体験入部をご希望、でしたわね」
「ええ……」
　多くを語らぬ快子の振る舞いに、乙女は頬を染めてうっとりと見つめた。
「乙女バスケの起源はご存じでしょうか」
「乙女バスケ……」
　聞き慣れぬ単語にぴくりと睫をふるわせる快子。
　がらがらと開かれる鉄門扉の体育館。
　木目張りの床を踏みながら、乙女は瓶底めがねを外した。
「乙女の首を切り落とし籠につめ遺族へ送りつけるという処刑法ですわ！」
　振り向きざまに繰り出される鋼鉄のバスケットボール。
　快子は咄嗟にそれを回避するが、後ろにあった木がひしゃげるほどの威力がそこにはった。
「さあ、あなたの首は誰に届けたらよろしいかしら？」
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刺客が現れました
『毒乙女』首縊塚・手鞠
情報屋乙女のアドバイス「首縊塚は追尾鉄球バスケの使い手ですわ。必殺の鉄球に当たらぬよう……」
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成否

成功

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第1章 第4節

「白百合清楚殺戮拳の学園から転校して参った！　咲花百合子である！　皆様方よしなに」
　ざわつく教室。伝説の乙女八拳将に数えられた百合子を知らぬ者は、どうやらこのクラスにいなかったようである。
「ふ、学校生活であるか……このヒリつくような殺気、闘志、何もかもが懐かしい……」
　うっとりと目を閉じる百合子。
　教師が『あの空いている窓際の席に』と述べた通りに歩いて行く――と、突如教室の窓全てが砕け散り窓枠ごとひしゃげ一人の乙女が突入してきた。
「ごきげんよう。咲花百合子様とお見受けする。いざ尋常に――勝負ですわ」
　吹き飛んだ無数の机と乙女たち。
　そのなかで燦然と立つ百合子の前に、巨大な書道筆を構えた乙女が立った。
　投げてよこされるはもう一本の筆。
「あなたほどの乙女であれば、可能でしょう？　乙女書道にて、果たし合いを！」
「……承知」
　百合子は筆で壁に『乙女道』と書き付けると、筆の先を相手に突きつけた。
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刺客が現れました
氏名：『恋する乙女』横恋慕・奪子
情報屋乙女のアドバイス「彼女は乙女書道の使い手ですわ。相手と滅殺し殺意の文字を書き付ける由緒正しき乙女の嗜み。ですが百合子様にとって書道は専門外。いかにして……？」
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成否

成功

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第1章 第5節

　ティスル――いやティス子は桜咲く並木道を優雅に歩いていた。
　桜はメタ女でも出会いや別れ、決闘や親の仇を討ち果たしたむなしさを象徴するとして長く愛されてきた花である。
　それゆえか、在校生の残した詩や、折れた刀や、樹幹に打ち付けられた人形などが今も残り乙女たちをいやしている。
「ティス子さま」
　そんな並木道のなかでひときわ大きな桜、『狂咲権現』の下でヤタイ・スイーツショップを営む乙女が、ティス子へと声をかけてきた。
　ぴたりと足を止めるティス子。
　ヤタイの看板を見れば、角砂糖『鬼卸』と書かれていた。
「スイーツはいかがでしょう」
「まあ、風流ですわね」
　ティス子は頬に手を当て、優雅に微笑んで見せた。
　見せた――と同時に跳躍。ターン。高速で空を舞い、枝の桜を激しく散らす。
　彼女のいた空間を角砂糖が高速で突き抜け、後方の樹幹をうがった。
　乙女を甘味で誘惑し屠る。これぞ鉄帝乙女しぐさである。
　腕輪を流体化させ素早く剣に変えたティス子は、翼を広げて構えた。
　空圧によって広がり散る桜花弁。
　指の間に三色角砂糖を挟んで構える毒乙女と、対峙した。
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刺客が現れました
氏名：『毒乙女』砂時計・蜜子
情報「蜜子さまは角砂糖暗殺術の使い手ですわ。非常識に高い反応速度にお気をつけを」
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成否

成功

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第1章 第6節

　メタリカ女学園図書室。
　広さに反して静かな、どこか空虚ですらある空間に、ひとりの乙女があった。
　『戦神』茶屋ヶ坂 戦神 秋奈（p3p006862）……いや秋奈子さまである。
　昼の光さす窓際で、『あるいは髑髏でいっぱいの海』という本を開いて物憂げに庭の木を見つめる、そんな乙女である。
　図書室には彼女と……そしてもうひとりだけの乙女があった。
「新入生の、秋奈子さまですわね」
　向かいの席に座る乙女。
　微笑む彼女に、秋奈子もまた微笑み返した。
　広すぎる部屋にてたった二人、机を挟んで向かい合うことは、乙女道において決闘を意味する。
　瞬発の斬激。鋼鉄のしおりを指にはさんだ乙女が、鉄の机と本と本棚をまとめて一刀両断したその瞬間。
　秋奈子もまた『抜き身の乙女心』をもって机と本と今月の推薦図書棚を両断した。
　破壊と破壊が交差し、空気がはぜる。
　至近距離でさらなる刃をぶつけあい、二人の乙女は額を打ち合わせた。
「「ごきげんよう」」
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刺客が現れました
氏名：『恋する乙女』焚書院・栞子
アドバイス「栞子さまはダメージ覚悟の捨て身戦法の使い手ですわ。より多く血を流したほうの勝利ですわね」
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成否

成功

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第1章 第7節

　難攻不落の乙女アルム子にとって、剣と盾と鎧をみにつけて歩くことは必然である。
「ごきげんようアルム子さま」
「ごきげんよう。鎧の磨きが美しゅうございますわね」
　笑顔で交わす挨拶もメタリカ女学園の日常だ。
　さて。
　花咲く庭をゆくアルム子の……その正面。
　黒い鎧に身を包んだ乙女が、道の中央に立ってゆっくりと剣を抜いた。
「鉄甲船・黒塗子と申します。アルム子さまとお見受けしますわ」
「……いかにも」
　すらりと剣を抜き。
　両者互いに顔の前に立てる。
　いかに相手が悪しき存在であろうとも、乙女の礼は欠かさぬもの。
「いざ尋常に」
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刺客が現れました
氏名：『恋する乙女』鉄甲船・黒塗子
アドバイス「黒塗子さまは攻防整った『高嶺の花』。防御を打ち崩し必殺の一撃をたたき込むほかありませんわ！」
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成否

成功

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第1章 第8節

「秋宮史之子と申します……。皆様のように強く美しくなれるよう精進してまいりますので、ご指導ご鞭撻よろしくお願いいたします」
　乙女陸上競技用のウェアを纏い、史之子はポニテ髪を揺らした。
　様相からもわかるとおり、彼女が体験入部しているのはメタリカ女学園乙女陸上部である。
　乙女陸上とは皆も知っての通り陸上最強生物の座をかけて死のレースを行う伝統ある乙女競技である。
　スタートラインにてクラウチングの姿勢をとる史之子さま。
　そのすぐ横で、もう一人の乙女がクラウチングをとった。
　ざわつくトラック脇。
　乙女が同時にスタートラインにならぶことはすなわち死闘を意味する。
「体験入部早々に実戦とは、勇敢ですわね。その勇気、叩き潰すに値しますわ」
　空に向けて放たれる迫撃砲。
　同時に走り出した史之子と陸上乙女は、豪速で風を切りながら互いの眼球めがけて手刀を放った。
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刺客が現れました
氏名：『ギャル派残党』駅伝坂・匍匐子
アドバイス：「乙女陸上は何があっても走り続けねばならない乙女の競技。足を止めず死闘を繰り広げ、そして勝利し駆け抜けるのですわ」
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成否

成功

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第1章 第9節

「ボク…じゃなかった。
　ワタクシは新入生乙女の『リュー子』デスワ！」
　ごきげんよう！　といいながら腕に接続した火砲を打ち鳴らすリュー子。
　あらまあ元気な新入生ですわねと乙女の空気に包まれて、リュー子は頬に冷や汗を流した。
（ここは天下のメタリカ女学園。
　目が合うだけで戦闘開始するかもしれないし
　授業中に敵の強襲があるかもしれない……）
　鉄帝でも有名なこの学校に潜入したといえばクラスメイトにも自慢できよう。
　無論、『生きて帰れば』の話である。
「リュー子さま、よかったらわたくしのガン華道部をごらんになりませんか？」
　そう言ってひとりの乙女が示したのは巨大な剣山に大量のライフルが突き刺さり死に花散らした乙女が何人も掲げられた部屋であった。
「…………これは」
「ええ、もちろん、あなたが最後の『花』ですわ！」
　袖から無数の銃を取り出す和服の乙女。
　リュー子は首を振り。やれやれですわとつぶやいた。
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刺客が現れました
氏名不明：『毒乙女』
アドバイス「ガン華道部は数年前に潰れた呪われし文化系乙女道部。変幻自在のガン華道に負けぬ華やかなる武道で対抗するのですわ」
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成否

成功

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第1章 第10節

「ちゃろ子さま、一緒にお弁当を食べましょう」
「ちゃろ子さま、一緒におプリクラをとりませんか」
「ちゃろ子さま、抱き枕部に入りませんこと？」
「ううう……！」
　チャロロ、もといちゃろ子さまはは熱烈なお姉様たちの追撃（？）をかわし、ひとり図書室へとやってきていた。
　メタリカ女学園に三つあるという図書室のうちひとつ。乙女哲学や乙女歴史学の本ばかりがある学術的な図書室である。
「本をお探し？」
　縦ロールの乙女に『背後から』声をかけられ、ちゃろ子は背筋を伸ばした。
（気配を感じなかった！　感情センサを起動したオイラを相手に……！？）
　距離をとって振り返り、両手をかざす。
「乙女の作法やマナーを学び直したくて、そんな本があったらと……」
「ふふふ」
　縦ロールの乙女はちゃろ子へ超高速で詰め寄ると、髪をむすんだ青いリボンにてをかけた。
「ご無理をなさって……可愛い子」
　が、その瞬間。
　わずかに放った殺気にちゃろ子は素早く飛び退いた。
　きれて散る銀の髪。
　乙女がいつのまにかもっていたハサミ。
「切り刻んで、しまいたいわ」
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刺客が現れました
名称不明『恋する乙女』
アドバイス「乙女とは力が全て。力で奪われる前に、乙女力で滅殺するのですわ」
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成否

成功

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第1章 第11節

　白き清らかな絹のごとく、シルキィあらためシル子は学園の庭を歩いている。
「ごきげんよう」
　すれ違う乙女の優しい挨拶に、シル子もまたごきげんようと返した。
　自然体ですごすこと。それがシル子さまの目指した乙女の姿である。
　であるからして。
「まあ、クレープ屋さんですわ」
　シル子は『乙女クレープ』と書かれたワゴン屋台へ小走りに寄っていって、コインを出そうとポケットに手を入れ――
　ると、その手を誰かがそっと押さえた。
「新入生のシル子さまよね。どうかここは払わせて。お友達になりたいわ」
　目をぱちくりとした乙女が、シル子の顔をのぞき込んだ。
　目の中は、ハートの形をしていた。
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警報
きわめて危険な『恋する乙女』と遭遇しました
彼女の誘惑（洗脳）を逃れ、急いでこの場から撤退してください
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成否

成功

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第1章 第12節