PandoraPartyProject

シナリオ詳細

ヒマワリ畑と月の犬

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ユニバースカーニバル
「さあ、パーティーですわー! 見ている人を元気にするタント様ダンスのお時間ですわよー! オーッホッホッホッ!」
 まばゆく発光しながら両手を広げてくるんくるんスピニングするお嬢様をご存じか。誰あろう御天道・タント(p3p006204)である。
 そんな彼女の手のひらにのっかってダブルラリアット式メリーゴーランドを楽しむ妖精さんが今回の依頼人。ヒマワリ妖精のタネガシマ(性別不詳)さんである。
 二人とその場に居合わせたイレギュラーズはしばらくくるくる回って遊んだ後、花咲く楽園のような庭に座ってこんな話をはじめた。
「あんなー。うちお掃除を任されてるトビラがあるんだけど、最近ヘンなやつがトビラを壊そうとしてて近づけないんよー」

 タネガシマさんの話をまとめるとこうである。
 妖精郷アルヴィオンという場所からトビラを伝ってやってきたという妖精たち。彼らは『妖精郷の門(アーカンシェル)』というトビラでしかこちらとあちらを行き来することができず、それゆえに大事に管理しているのだという。
 アーカンシェルはいくつもの種類や形が存在し、それぞれに特徴が異なるが、その中でもタネガシマさんが管理しているのが『ヒマワリ畑のトビラ』である。
「うちのトビラはなー、ひろーいヒマワリ畑なんよ。そのなかをずーっとずーーーーっと歩いて行くと、いつのまにか妖精郷につくの。あっ、もちろんソトのひとらは入れないんだけどね」
 アーカンシェルを使えるのは妖精郷の住民だけ。よって妖精たち以外には無用の長物である……はずなのだが……。
「最近、こわいオオカミみたいなやつが沢山きてヒマワリをむしゃむしゃやるんよ」
 『ヒマワリ畑のトビラ』においてヒマワリは門のエネルギーそのものである。
 これを破壊ないしは収奪されるということは、門の機能もまた脅かされるのだ。
「追い払いたいけどオオカミまじ怖いし。このまんまじゃウチどんなお叱りをうけるか……なーなータントさまー、あのオオカミ追い払える?」
「余裕のよっタント様ですわ!」
 ぽぬんと自分の胸を叩くタント。
 タネガシマさんはうおーといって手を叩き、早速案内するよーと言って手招きした。

「ウチのトビラはなー。ずっと太陽がさしてるみたいに明るくてまぶしー所なんよ」
「まあ、まあ! それは素敵ですわね! わたくしも素早くおめかししてきたかいがあったというもの。ここはどちらのヒマワリがキラキラか勝……負……」
 そうして訪れた『ヒマワリ畑のトビラ』を前に、タントたちは足を止めた。
「真っ暗ですわー!」
 すってーんと転ぶタント。
「えっえっ、なんでだろ。こんなはずじゃーないんだけどな」
 タネガシマさんは慌てるが、闇の理由はすぐにハッキリした。
 がふがふと獰猛な声をあげ、濃い闇の中から無数のオオカミが姿を見せる。
 彼らの額には青黒い月のマークが刻まれ、そこからじわじわと闇が煙のごとくふきあがっていた。
 うひゃーといって背中にまわるタネガシマさんを庇って、タントは両手を広げて前に出た。
「話は見えましたわ! このオオカミ様たちが大事なヒマワリを食べて光を失わせ、かわりに闇でヒマワリ畑を覆ってしまおうとしているんですわね! そういうことなら――」
 パチィンと高く鳴り響くフィンガースナップ。

   \きらめけ!/

   \ぼくらの!/

 \\\タント様!///

「――と仲間の皆様が、ばっちり解決してヒマワリ畑を取り戻してみせますわーーーーー!」

GMコメント

■成功条件
・オオカミ型モンスター『マーナガルム』の討伐

 マーナガルムは『月の犬』を意味する言葉で、かれらは闇を力に変えるモンスターのようです。
 彼らは光を喰らって闇に変え、生み出した闇に紛れて人々に牙をむきます。
 そのほか闇そのものを剣や鎌といった形状に固めて切りかかったり、闇のツタをのばして相手にからみつけたりといった攻撃方法をとるようです。
 そして今現在は姿を隠してしまっていますが、マーナガルムたちを倒すとそのボスである巨大なオオカミ『アングルガルム』が出現します。
 攻撃方法はマーナルガルムをより協力に、かつ広範囲化したものになります。
 これに加え闇の衣を纏うことで【物無】を、月の皮を纏うことで【神無】を自らに付与するというスキルを持ちます。
 戦闘能力をまとめるとこのようになります

・マーナガルム
 牙:物至単【出血】
 爪:物近単
 闇の刃:物遠単【万能】【暗闇】

・アングルガルム
 牙:物至域【出血】
 爪:物近扇
 闇の刃:物遠域【万能】【暗闇】
 闇の衣:自付与【物無】
 月の皮:自付与【神無】

 作戦前半は沢山のマーナルガルムとの戦闘
 後半はアングルガルム(単体)との戦闘になるでしょう

 戦闘が済んでトビラを守り切ることができたら、ヒマワリ畑のなかで休憩してもかまいません。その場合は休憩するためのアイテムなんかを持ち込んでみてください。

■■■アドリブ度■■■
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用ください。

  • ヒマワリ畑と月の犬完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年03月15日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

サイズ(p3p000319)
妖精■■として
ゴリョウ・クートン(p3p002081)
黒豚系オーク
アベル(p3p003719)
失楽園
アーリア・スピリッツ(p3p004400)
キールで乾杯
御天道・タント(p3p006204)
きらめけ!ぼくらの
アクア・フィーリス(p3p006784)
妖怪奈落落とし
アルメリア・イーグルトン(p3p006810)
緑雷の魔女
メルトリリス(p3p007295)
神殺しの聖女

リプレイ

●きらめけ!
「オーッホッホッホッ!」
 濃い闇に包まれたアーカンシェル。
 妖精にとって大切な門が奪われるという危機的状況において、しかし闇をつんざく光のように、絶望を切り裂く希望のように、高笑いは響き渡った。
「獣達よ! 太陽のきらめきに敵う闇など無いと知りなさい!
 さあ! このわたくし!」
 闇を切り裂き光り始める『きらめけ!ぼくらの』御天道・タント(p3p006204)。
 フィンガースナップと同時に、彼女を中心に集まっていた仲間達が一斉に展開。
 それぞれの武器を構えてポーズをとった。

   \きらめけ!/
   \ぼくらの!/
 \\\タント様!///

「──‬が! ヒマワリを守りにやって参りましたわー!」
 タントの横で『こうすればいい?』という顔でポーズをとっている『闇と炎』アクア・フィーリス(p3p006784)。
「ここを守って……妖精さんを……助けるの。
 わたしには分からない……けど、きっとここを……キレイって言う人が……いると思う……。
 だから……やらなきゃ……」
 『ヘイトレッドフレアー』のギフト能力によって身体から吹き上がる漆黒の炎。
 それが危険な感情によるものだと本能でわかるのか、闇から現れたマーナガルムたちは半歩ほど後退。本能的に飛びかかるのをやめ、群れでの戦闘へと切り替え始めた。
 マーナガルム。『月の犬』を意味する言葉で、一説には光を喰うとも言われる。
 光に満ちたヒマワリ畑のアーカンシェルを闇に閉ざしたのは、きっと彼らが光を……もといアーカンシェルのもつエネルギーを喰ってしまったからだろう。
「放っておいたらヤバそうってのは、一目瞭然だな。しかしよ……」
 『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)は腕から半透明な魔力防壁を展開。
 一方でガントンファーをホルダーから外し、右肩を突き出すような突撃姿勢で構える。
「月を名乗る割には太陽に対してのリスペクトが足りねぇなぁ! 太陽あってこその月だろうによ!」
「そーだそーだ!」
 タントの頭上を安全地帯だと思ったのか、ヒマワリ妖精タネガシマが拳を突き上げて賛同した。
「妖精さん、きらきら。そっか。妖精さんは本当にいるのね、御伽噺の世界だけかと思っていたわ。こうしてお会いできて、光栄です。
 ほわっ、タントさまのほうがもっと、きらきらしてる……!!
 困ってるのみたら、助ける、だいじ。頑張ろうね」
 それらを見た『聖少女』メルトリリス(p3p007295)も仲間と同じように戦闘の準備にかかった。
 ノーマルサイズで鎌『カルマブラッド』を握りしめる『妖精郷の門の門番』サイズ(p3p000319)。
(また魔種の仕業か!? と思ったら……これ明らかにただの野生の狼だよな。ひまわり食いに来ているだけと言う……まあ、弱肉強食だ、妖精のゲートに悪影響を及ぼすなら屠らせてもらおうか!)
 やれやれといった様子で身構えたところで、キュポンとシャンパンコルクを飛ばす音がした。
 しゅわーって泡が吹き出る瓶を片手に、腰に手を当てて中身をぐびる『キールで乾杯』アーリア・スピリッツ(p3p004400)。
「タント様とそのお友達のかわいい妖精ちゃんの頼みとあらば――」

   \へべれけ!/
   \おれらの!/
 \\\あーりあ様!///

「――がばっちりしっかり協力しちゃうわよぉー!」
「自主的に後追いするとは……やるわね」
 『かつての隠者』アルメリア・イーグルトン(p3p006810)が『さすがアーリアさん』と言いながら顎に流れた汗を拭った。
「と、ともかく」
 アルメリアは気を取り直してマーナガルムへと構えた。広げた手のひらに攻撃用魔方陣ターレット式パレットを形成し、もう一方の手にはカイトシールド型魔法障壁を展開。
「光を喰らう魔狼……対するは煌めけ僕らのタント様ってところね。ふっ、勝ちは見えたわ。そうよねア……ベ……る?」
 すぐそばに居たはずのアベルへ振り返ると、金髪のよく知らない人が肩をすくめていた。

 本物の『未来偏差』アベル(p3p003719)がどうしているかというと。
(過去との決着、そのための決戦。
 『呼び声』に引っ張られた自分を呼び止めてくれたあの声に
 彼女には恩を返さなければならない……)
 木の陰に隠れ、帽子を目深に被っていた。
「だから、ちょっとぐらいは役に立たないといけませんね?」
 いつでも撃てるように、ライフルのセーフティーを外した。
 彼の意思はいつも、弾頭の形をしている。

●ファーストステップ
「そんじゃあ――フルスロットルでいくぜぇ!」
 マーナガルムたちが大地を踏み込み飛びかかろうとしたその矢先。
 ゴリョウは駆動滑鎧『牡丹』のスラスターから魔力噴射を行うとマーナガルムたちのもとへと突入。
 自分たちと派手にすれ違ったフルアーマーのゴリョウを振り返るマーナガルムと、小さく振り返りヘルメットの下でにやりと笑うゴリョウ。
 振り向きざまに繰り出された闇の剣をエネルギーシールドで防御すると、ガントンファーを天に向けて連射しながらマーナガルムたちを引きつけ始めた。
 自分から注意のそれたマーナガルム。
 アクアはここぞとばかりに急接近をかけていく。
「あぁ、オオカミたちと、少し……似てるね……でも、似てるだけ」
 漆黒の炎を刀に纏わせると、豪快な回転切りによってマーナガルムたちを炎に巻き込んでいく。
 火のついたマーナガルムが身体を振りながら飛び退き、身体から吹き出た闇を鎖鎌の形にして発射した。
 が、そこへ割り込んでいくサイズ。
 アイススフィアによって妖精の血を活性化させたサイズは、習得していた魔術を疑似再現し氷のバリアを展開。
 相手が放った闇の鎌をはじくと、魔力撃を直接放って叩きつけた。
 そこへさらなる追撃をはかるメルトリリス。
 ゴリョウと連携して名乗り口上を行使すると、壱式『破邪』を放ってマーナガルムを攻撃した。
 汚れある者を破る聖なる術式がマーナガルムの鼻先をかすめ、反撃にと牙を剥いたマーナガルムに第二の刃を打ち込んでいく。
 連発された壱式『破邪』がマーナガルムの肉体を打ち払い、霞のように消し去っていく。
 その様子に顔をしかめるサイズ。
「なんだこいつ。ただの野犬じゃないのか? 闇を凝固して放ってくるし死ぬと消えちまう。どういうことなんだ」
「考えるのは後ですわ!」
 タントはちょあーといいながら発光度合いを高め、頭上でシュッシュとシャドウボクシングしていたタネガシマへ呼びかけた。
「チカチカしますわよ、タネガシマ様はわたくしの後ろに……いえ、安全な場所に!」
「ホイサー!」
 タネガシマは敬礼サインをとると、しゅいんとタントのくるくるヘアーの中へと潜り込んだ。
「えっそこですの!? ま、まあよしですわ! 皆様いきますわよ、ちょあー!」
 より強い点滅発光がマーナガルムたちを照らし、さらには仲間達の傷を温かな光によって治癒していく。
 流れた血は止まり、毒は癒え、錯乱した者は正気を取り戻すような、それは太陽の光であった。
 古来より、太陽は悪を払うのである。
「「――!」」
 マーナガルムたちはそんなタントをにらみつけ、牙をむき出しにして襲いかかった。
 急接近をかけるマーナガルムたち――の横っ腹を、無数の銃弾が貫いていく。
 茂みや木々に隠れていたアベルが連射モードにしたアサルトライフルを構え姿を見せていた。
「アベル様!」
「隙は作った。あとはできますね?」
 アベルがウィンクをすると、カラッポになったシャンパンの瓶を放り投げたアーリアが『とーぜん』といって二本指を唇につけた。
「みんな並んで。ちゃぁんと相手してあげるわねぇ」
 アーリアの投げキスによってマーナガルムたちの存在する空間に甘い香りがうずまいた。
 彼らの耳元にささやきかける誘惑の声を、彼らは首振りによって打ち消そうとする。
 しまいには囁き声をやめさせようと、闇で作ったナイフでもって美女の幻影を突き刺した。
 ……が、それが仲間のマーナガルムであると、突き刺した感触によって知るのだ。
「あらあらぁ。割り込むからよぉ? イタズラする子は、魔女にオシオキされるんだから」
 クスクスと笑うアーリア。
 アベルの射撃との相性は抜群であった。
 引きつけや遊撃、そして連携された攻撃によってマーナガルムたちの数は減り、そして脅威は薄くなっていく。
「敵の動きが単調になってきたわね」
 発射される闇のダーツをマジックシールドで防御すると、アルメリアは魔方陣を天空に向けて起動。
 魔方陣から飛び出すように突き立ったコイル状の魔術媒体が、荒れ狂う雷を直接引き起こした。
 といっても、周囲に集まるマーナガルムだけを対象として電流移動である。
 青紫色をした『龍の巣』が抜けた頃には、マーナガルムの姿はひとつたりとも残らなかった。
 ふう……と息をつくアルメリア。
 無事な仲間達へと振り返り、タントの髪から顔をだしたタネガシマを見た。
「これで良いのよね」
「の、はずだけどー……闇晴れてなくない?」
「確かに……」
「どうなってやがんだ?」
 サイズやゴリョウが、今だ晴れぬ不穏な空気に構えを解かずに周囲を警戒――していると、闇を貫くように巨大なオオカミ型のモンスターが飛び出してきた。
「あいつらのボスか!」
 ゴリョウがシールドを広域展開。
 巨大オオカミ型モンスター『アングルガルム』は咆哮と共に大量の『闇の剣』を作り出すと、ゴリョウたちめがけて発射した。
「ぐおっ!」
 剣は切り裂いた相手に『闇』を纏わせ、視界を少しずつ薄暗く変えていった。
「光を喰うってのはマジらしいな……」
 大丈夫か? と鎌を構え直すサイズの横で、ゴリョウはゴーグルをぬぐって息をついた。
「俺は平気だ。けどこいつは厄介だぞ。見ろ」
 ゴリョウがガントンファーを試し打ちしてみると、アングルガルムが纏った闇の衣がオートで弾をはじいていった。
「物理的な攻撃が効かねえ。サイズ、メルトリリス、神秘型の攻撃で削るかBSあたりの特殊ダメージで削っていけ。でもってアクア!」
「……」
 アクアは『そうくるだろうと思った』という目をして漆黒の炎で『異形の手』を作り出していた。闇の衣を切り裂いて排除するつもりのようだ。
「月だなんて、まるでタントさまと逆位置の敵ね。でも月は太陽あってからこそ輝くの。戦場に咲く我らが太陽に、月の牙は届かせないわ!」
 メルトリリスは回り込んで壱式『破邪』を連発。アングルガルムに聖なる術式を打ち込んでいく。
 物理的なオートディフェンス効果を持つ闇の衣を抜け、アングルガルムの肉体に突き刺さる壱式『破邪』の力。
 が、対するアングルガルムは体表に月の光を纏い始め、メルトリリスの攻撃をもはじき始めた。
「そっちも完備か、けど剥いじまえば関係ねえ! アクア!」
 ゴリョウやサイズたちによる味方の連続攻撃でアングルガルムの回避能力を弱めたところで、アクアはマリシャスクラッシュによって闇の衣と月の皮両方をまとめて剥ぎ取っていった。
「今だ!」
 サイズは呪血鎖を発射。
 アングルガルムの足へ複製された鎖を巻き付け始めた。
「余計な動きをするな!」
 サイズの攻撃にひるんで下がるか……と思いきや、アングルガルムは大きな咆哮と共に飛び退き闇の剣を大量に生成。発射してきた。
 さしものゴリョウたちも流石に体力を削られすぎる。
「こいつはいかん!」
「お任せですわ! チェーンジ――!」
 タントは発光しながらジャンプ。
 回転をかけてアングルガルムの鼻っ面にドロップキックをたたき込むと、すぐさま起き上がってアングルガルムの頭にしがみついた。
 それを払おうと頭を大きく振り、爪を立てるアングルガルム。
「ヒマワリ……即ちサンフラワー! わたくしの一番好きな花!
 妖精様とヒマワリを守るためならば! 太陽は決して墜ちないのですわー!」
 傷ついても離れないタント。
 アルメリアは魔方陣を回転させてヒールの回路を組むと、タントめがけて治癒の力を電流のように流し続けていた。
「このままじゃラチがあかないわ。無効化能力をまた使われれば剥ぎ取るのに時間がかかるし……」
 ブレイク効果は発生させるのにクリーンヒットを条件とする。アングルガルムの戦闘力から察するに、味方がそれなりのフォローをしないとそう簡単にたたき出せはしないだろう。
 何かいい手は……とアルメリアは考えた、ところで。
「そんなときこそ、魔女(ワルいおねーさん)の腕の見せ所!」
 アーリアは手袋の裾をきゅっと引っ張り、小指から人差し指までを波立たせるようにきゅきゅうと動かしてみせた。
「それは?」
「ふふ、『おまじない』」
 アーリアが手を突き出し、何かをぎゅっと握りつぶす動作をしたそれだけで、アングルガルムは目を見開き、新たに纏っていた闇の衣と月の皮を消滅させてしまった。
「……おまじないっていうか、『呪い』ね」
「おなじでしょ?」
 今よ、とアベルにウィンクをするアーリア。
 アベルは口の端だけで笑うと、アングルガルムの脳天めがけて『パラダイスロスト』の弾丸を撃ち込んだ。
 悲鳴をあげ、飛び退くアングルガルム。
「ぎゃー! はなせー!」
 偶然はずみでくわえられたタネガシマが牙のあたりに引っかかったが、タントが素早くひっこぬいて回収。
 アングルガルムはというと、これ以上のダメージを恐れてか一目散にその場から逃げ出してしまった。
「危ないところでしたわ……」
「けど、タントー!」
 ハッとして振り返るタネガシマ。
「髪が!」
「……ん?」
 ふと見ると、タントの縦ロールヘアーの一房がもぎっと食いちぎられていた。
「んみゃーーーーーーー!?」


「アフターケアくらいはしたいよな」
 サイズはそんなことを言いながらヒマワリ畑の見回りをしていた。
 闇の払われたヒマワリ畑はその場所だけがこうこうとまぶしく、光り輝いて見える。
 中央でタントがくるくる踊っているのでなおのことピカピカだった。
「うふふ、すごい、時期が外れているのに咲いたのは、妖精さんの力なのかな? ひまわりかあ……しゅごい」
 ふとメルトリリスがゴリョウの方を向いた。
「ゴリョウさま、わたし豚汁が、たべたい、な。おなかがぐうーてなって、いよいよ活動限界。ご飯ができたら、妖精さんたちも誘ってご飯にできるといいね」
「おう、そういうことなら任せとけ」
 ゴリョウは魔力コンロ(いつもの)をポンと出すと、早速お米をその場で炊き始めた。
「何を作るの?」
「作るのは俺自慢の混沌米を用いたおにぎりに、メルトリリスのリクエストこと豚汁だ!
 しかし材料がもうちっと欲しいな……」
「例えばこういうの、ですか?」
 ふらりと現れたアベルがすっかり下処理されたウサギを吊して見せた。
 それだ! と指を鳴らすゴリョウ。
「しかしいつの間に狩りに出たんだ? 働き過ぎってもんだぜ」
「まあ、女性陣の役に立つというのも男の本懐ですよ」

 アクアたちはできあがったゴハンをそれはもうもりもり食べまくっていた。
 特にアクアは大食いなようで、おにぎりを何個もぱくぱくといく。
「ひと仕事終わった後の一杯withゴリョウ飯は最高よねえ」
 一方のアーリアはお菓子を布の上に広げ、分け合って食べていた。
「料理上手っていいわねぇ……」
 ふふ、と笑いながらご飯やおやつをいただくアルメリア。
「そういえば数日前、気になる噂があったわね。
 妖精の門を狙った敵が、イレギュラーズの血や何かを奪っていったって」
「奪われ……てはない、わねぇ。誰かそういうのあったかしらぁ?」
「髪?」
 おにぎりをもふもふ食べていたタネガシマがタントのほうをみた。
 ふぁさぁっと髪を払ってみせるタント。美しく流れる縦ロール。
「それならつい先ほど完治いたしましたわ」
「なんでやねん」
「さておきそれでは皆様ご一緒に!
 勝利のポーズ! ですわー!」
 フィンガースナップを鳴らすタント。
 八人と妖精は、一斉にふりかえって勝利のポーズをとった。

成否

成功

MVP

アーリア・スピリッツ(p3p004400)
キールで乾杯

状態異常

なし

あとがき

 ――きらめけ!

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