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シナリオ詳細

<グラオ・クローネ2020>Chocolate games ~Breaking~

完了

参加者 : 9 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●Schokoladenspiel
 グラオ・クローネ。それは深緑に伝わる古い、古い、お伽話。大切な人へ贈り物をするこの日に──。

「あっちだ、追えー!!」
「はっ、捕まってたまるか!」

「えっ何これ何あいつら!」
「お2人とも下がって! ここは私たちに任せるんだ!」

 おおよそしっとりとした雰囲気に似つかわしくない光景が広がっていた。
 ハート型のチョコをこれ見よがしに割り、金に物言わせて屋台からチョコを買い占め、カップルへ悪戯を仕掛けて笑う者。
 ハートチョコを割られないよう守り、屋台のチョコを買い占めんとする輩を止め、悪戯者を取っ捕まえる者。
 中には何も知らず街へ入り、動揺するカップルたちもいるようだが、さておいて。
 この街では大きく分けて2者が争いを繰り広げる──という遊びをしていた。

 そう、これは遊びなのである。

 悪者たちは過ぎた悪事を──例えば怪我をさせるとか、チョコを食べられないほどダメにするとか──働いてはいけないし、捕まえる者もまた悪者にきついお仕置きをしてはいけない。今日この街にいるほとんどの者もこの惨状を了承の上で訪れているのだ。最も『争いが白熱すればするほど愛が深まる』などという噂もあるから、少しばかりはっちゃける輩もいなくはない。
 それもこれも、この街にはとあるジンクスが伝わっている故に。

 その昔、と言ってもグラオ・クローネのお伽話が伝わってチョコを渡すようになった頃。
 カップルのイチャコラを見かねた独身者が──もとい、リア充爆発しろ! なぼっちたちがひと騒動起こしたのである。それは今の『遊び』よりも残酷だったとか。
 ハートのチョコを、それこそ原型なきまでに叩き潰し。
 チョコレートの屋台をひっくり返してダメにして。
 カップルたちの心もバッキバキに折りまくったとかなんとか。
 けれども恋も愛も障害があるからこそ燃えるもの。
 恋人たちはあんな奴らに負けない! と愛を深めるきっかけにし、悪役一同はこんなはずじゃなかったのに! とひどく悔しがったそうな。

 そういったわけで、この街ではグラオ・クローネを迎えるたびにこの催しが行われている。今年も例に漏れず、また。


●悪者になりましょう
「皆さん、悪者になってきてください!」
 ブラウ(p3n000090)からの言葉に一同は身構えた。こんな可愛らしくて美味しs……丸々しt……ふわもふな生物から『悪者になれ』なんて依頼が出されるとは!
「何か身の危険を感じたんですけど気のせいですよね? ね??」
 そんな一同にブラウもまた身構えるものの、両者とも動かなければ話にならない。かといって構えを解いた瞬間に何が起こるかも分からず、ブラウはそのまま話し始めることとなった。
 ──なぜ味方であるイレギュラーズを警戒しなければいけないのか。それは考え始めるとどうしようもなくなりそうなので、考えないこととして。
「これは遊びです。良いですか遊びです。悪人ムーヴしたい! って人向けですからね」
 本気で悪いことしちゃダメですよ、と念押しするブラウにイレギュラーズたちがなぁんだと肩の力を抜く。一気に和やかになった雰囲気にほっと安堵したブラウは、ようやく本題に入った。
「皆さん、グラオ・クローネはご存知ですか?
 深緑に伝わるお伽話です。大切な人に、贈り物をする日……なんて、大人っぽくて僕はちょっと恥ずかしいんですけれど。そんなお伽話にあやかって、各地でイベントが開催されています」
 ブラウが皆へ紹介するのは街ぐるみでのイベントらしい。参加する者は2手に──わかりやすく言えばリア充を邪魔する集団と、それを阻止する集団に分かれる。
 前者はこれ見よがしにカップルの邪魔をする。
 後者はそれを阻止し、または防止する。
「街をあげてのイベントではあるのですが、当然そういったことを知らない方もいます。でもそこまではカバーしきれないので、チョコを持っていたら割って良いそうです。
 あっ、あまりにも悪質! って思われることはダメですよ!」
 これを知らなかったカップルには──知っていたカップルも──後ほど運営より謝罪のチョコレートなどを贈るとか。巻き込まれた側は良い迷惑だが、街の住民がその辺りの事情はすぐ説明してくれるそうなので大きなクレームは出たことがない。
「割られる側にも参加者がいて良いそうなので……というか、悪者に襲われることでお互いの仲を深めましょう、ということらしいので。普通に過ごしてきても大丈夫ですよ」
 カップルでいたりチョコレートを持っていると襲われるかもしれないことだけ覚えておけばあとは自由だ。悪役ムーヴも正義の味方ムーヴも、割られないようチョコと相方を守っても、割られて相方との仲を深めても良い。
「詳しいことはこちらに。あ、遅れましたが僕が案内するのは悪役側……というか【最終的にチョコが割られる側】です! 正義の味方がしたい方はあちらで紹介していますからね」
 チョコレートを割られたくない人はあちらですよ、とブラウは翼で示した。

GMコメント

●すること
 悪者ムーヴをしてリア充爆発しろ! な行動を起こす
 一般人を偽装し、悪者に襲われる(最終的にチョコレートは割られる)


●悪者ムーヴとは?
 非イレギュラーズの悪者さんたちはこんな事をしています。

・カップルの持っているチョコレートを半分に割る
 これ見よがしにバキィ!!! と割ってやりましょう。粉々は流石に可哀想だから半分こね。
 持ってなかったら次の標的を探しましょう。

・屋台で売っているチョコレートを買い占める
 ヒヒヒ、カップルにこれ以上チョコレートは買わせねえ!! と買い占めるやつです。甘い匂いいっぱいですね。

・カップルへ悪戯を仕掛ける
 あまり心身ともにダメージを受けない悪戯にしてください。屋根に登ってチョコをばらまくとか。肝試しよろしくコンニャクで驚かせるとか。
 ……ち、違うんです! 決してカップルの仲を応援したいなんてそんなことは!

 悪役ムーヴするときに大切なのは以下。
・食べ物を食べられなくしない(遊びが終わったあと食べられる状態でなければNG)
・怪我人を出さない
・器物損害ダメ絶対!


●一般人なにするの?
 ご自由にどうぞ。この催し『Schokoladenspiel』が行われている以外は至って普通にグラオ・クローネを迎えた街です。
 通りには屋台が点在し、チョコレートやホットドリンクを売っています。
 非イレギュラーズの一般人さんも、恋人や友人、家族と過ごしています。


●NPC
 私の所有するNPC(シャルル、フレイムタン、ブラウ)は登場する可能性があります。
 誰を同行させてもチョコレートを持っていたら割られますので観念してください。


●注意事項
 本シナリオはイベントシナリオです。軽めの描写となりますこと、全員の描写をお約束できない事をご了承ください。
 アドリブの可否に関して、プレイングにアドリブ不可と明記がなければアドリブが入るものと思ってください。
 同行者、あるいはグループタグは忘れずにお願い致します。


●ご挨拶
 愁と申します。この度は鮎川 渓GMとぷち連動させて頂きました!(ぴょこぴょこ)
 悪役ムーヴしたい、一般人でチョコ割られて仲深めたい! という方がこちらの対象になります。
 正義の味方ムーヴしたい、一般人だけど守ってもらったor撃退してやった! というような内容は鮎川GMのシナリオで描写可能です。
 ちなみにどちらもやりたい欲張りセットも可能です! ある場所では悪役ムーヴ、ある場所では正義の味方ムーヴという形での描写になるかと思います。
 ご縁がございましたらどうぞよろしくお願い致します。

  • <グラオ・クローネ2020>Chocolate games ~Breaking~完了
  • GM名
  • 種別イベント
  • 難易度VERYEASY
  • 冒険終了日時2020年02月24日 22時10分
  • 参加人数9/30人
  • 相談7日
  • 参加費50RC

参加者 : 9 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(9人)

チャロロ・コレシピ・アシタ(p3p000188)
炎の守護者
リカ・サキュバス(p3p001254)
瘴気の王
ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)
願いの星
ヨルムンガンド(p3p002370)
暴食の守護竜
ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)
月夜の蒼
ルナール・グリムゲルデ(p3p002562)
片翼の守護者
ライセル(p3p002845)
Dáinsleif
クーア・M・サキュバス(p3p003529)
雨宿りのこげねこメイド
ラクリマ・イース(p3p004247)
白き歌

リプレイ

●やっちまえ!!
 さあ今年もこのシーズン! 暴れ回ってチョコ割るぜ!
「一般の人の迷惑になるのはいけないよ、ラクリマ」
 そんなラクリマの前に立ちはだかるライセル。おっと正義ムーヴか──。
「ちょっと? ライセルさんは何故俺のチョコを割ろうと?」
「真の悪役は身内っていうの王道じゃないか」
 まさかの悪役(対ラクリマ)だった。
 身近な所から敵が来るとは、と逃げ出すラクリマ。逃げられたら追いかけるだろうとライセルが続き、体力の圧倒的な差によってあっさり決着がつく。
 壁に追い詰められ、腕を取られ。一部の者が大変盛り上がりそうなシチュエーションであるが、ラクリマはそれどころじゃない。すでに息は切れているし、疲れているし、なにより。
(近い近い近い! そんな悪役になりきらなくても……!)
「……怖い?」
 涙目だよ、動揺してる? と顔を近づけられたラクリマは小さく悲鳴を上げた。
「も……も、もう降参なのです降参!!」
 そんなラクリマが可愛らしくて、ライセルはにっこり。ついでに彼のチョコはバキィ。半分こに割られたチョコはラクリマとライセルで分け合うことに。
 おかしい。俺はリア充のチョコ割りにきたはずなのに。何故──俺のチョコが割られているんだ!

「傷付けなきゃいくらでも飢えた男を食べ放題って聞いたのだケレド……」
「合法的にリア充とやらを焼却できると聞い……」
 言葉を途切らせ視線を交わす利香とクーア。
 ジョークでしょう? ええそちらこそ。けれど互いにその言葉を信用してはいない。互いに互いを監視し、ヤバめなこと──ナンパとか、焼却とか──をしようとしたら止めるつもりであった。
 とは言いつつも2人組なのでこれは紛れも無いデート。空中デートを楽しむ2人は恋など知らぬ身だが、こんな日だからそれらしくとクーアは利香の歩調に合わせる。利香のチャームに引き寄せられたカップルたちのチョコレートは2人によって割れていった。
(恋人ごっこならしてるケド)
 チョコを見下ろす利香。爪を使うと危険だから、代わりに尻尾でバキッと割る。
 サキュバスは愛を振りまけても恋は振りまけない。割ったチョコはそれでも甘そうであるけれど、そこに込められた想いが甘いのかまではわからない。
「ところでクーア、どっちが多く割れるか競争とかしてみない?」
 振り返っていひひ、と笑う利香に良いですよとクーアが頷く。そしてふと思い出したかのように取り出したのは──。
「取扱説明文に安全と書かれてるのであんしんなのです。いい時代になったものなのです」
 ひょいと放られる星夜ボンバー。パーティグッズであるそれは派手な爆発音とともに星がキラキラと飛び出して、驚いたその場のカップルたちは一目散に逃げ出した。
 割って、驚かして。そうしていると、次第に賑やかな声が2人の耳へ入った。
「……うん? 何でしょう、あれ」
 クーアが見つけて指で示す。それはどうやら人だかりのようで──何かのショーでもしているのだろうか。利香が楽しそうに「行ってみましょうか!」とそちらへ足を向けた。

「オーッホッホ、ついにこの時がやって来ましたわね!」
 日頃はクラースナヤ・ズヴェズダーの司祭として布教を行うヴァレーリヤ。その話を全く聞かずにイチャつくのは大罪である。殺人罪にも匹敵するのだ!
「さあ、日頃の罪を償いなさい! 具体的にはチョコレートを差し出しな……えっ、渡そうとしたけど失敗?」
 奪い取るどころか進んで差し出されるチョコレートにヴァレーリヤは目を丸くし、彼女が復唱した言葉で相手がさらにダメージを受ける。すでに男の片思いした人には恋人がおり、拒まれてしまったらしい。
 失恋したという相手にヴァレーリヤは思わず肩へと手を添える。
「……一緒にお酒飲む? ヤケ酒なら付き合いますわよ。ああもう、泣かないの」
 一途に思ってきたのならさぞショックだっただろう。少しでも吐露して楽になるならその方が良い。
 ハンカチを渡しながら、ヴァレーリヤと相手の姿は昼早々から酒場へ消えたのであった……。

 彼らの消えた通りはまだカップルが多く、そこに一陣の風が吹く。
「おまえらは独り者の気持ちを考えたことはあるのか? オイラにゃそういう甘いことなんて縁がないんだよ!」
 いつもは正義の味方、けれど今日だけ非モテの代表。チャロロは心の中でカップルたちに謝りつつ、しかし容赦なく全力でチョコを割っていた。
 だがカップルもやわじゃない。殆どのカップルは割られることをわかっていてこの街にいるのだ。
 負けるかとまだ甘くイチャつこうとする彼らにチャロロは秘密兵器を投入する。
「だったらさらに甘ったるくしてやるー!」
 デロデロとチョコにかけられる練乳。甘い香りとともに見た目も甘ったるくはなるが、彼の虚しい心は埋められない。
(オイラも甘い恋をしてみたいよ……)
 そうは思えど、簡単に相手など見つからないから──今日は割って割って割りまくるのである。

「……分厚くない?」
「砕けぬ想い、というやつだ」
 手渡されたチョコを不思議がるシャルルにヨルムンガンドが微笑む。割られないよう分厚くしてやろうという悪戯心もあるが、気持ちがこもっているのは間違っていない。
「シャルルは私にとって大切な人だからな……良かったら受け取ってくれ」
 その言葉に彼女は目を丸くして、視線をウロウロ。ん? と顔を覗き込めばどうしよう、と小さく呟かれる。
「……ボク、何も持ってないよ。用意しとけば良かった」
「何だ、そんなことか。それならこの後チョコの食べ歩きをしよう……!」
 一緒に過ごせれば、きっとチョコの有無など関係なくなってしまうから。そう告げるとシャルルは目を瞬かせて、そっかと頷いた。
「じゃあ、行こっか……あ、」
 ヨル、と呼ばれてヨルムンガンドは目を瞬かせる。いつもと違う呼び方に視線を向けると薄青の瞳がこちらを真っ直ぐに見ていた。
「これ……チョコ。ありがとね、ヨル」
 小さく微笑んだシャルルにヨルムンガンドも笑い返して──さあ、何の屋台から巡ろうか。

「うーむどう見ても逃亡者と軍警」
 追いかけ追いかけられ、買い占め奪い返され。普通にイチャつくカップルもいるが、大抵そういった者はチョコ割り隊に目をつけられている。
 おかしいな、こんなに愉快でアクティブな日だっけ?
 まあいつも通りに満喫しよう、とルーキスが箱を渡そうとして──あれ、ない。
「おっと?」
 気がつけばそれはチョコ割り隊の手元に。目を瞬かせた彼女は敢えて動かず。
 バキィ。
 高笑いしながらも律儀に返してくれたチョコは見事なまでに真っ二つだ。
 渡されようとしていたルナールはと言えば、唸りながらも納得しようと努力はしている。こういう遊びなのだ、割られても仕方ない。
 しかしそれで納得できているかと言えば、うーん。
「味に変わりはないから拗ねない拗ねない。いつも通りのお手製ですよー」
「……割れただけ。割れただけでルーキスの手製だもんな」
 そう言い聞かせるものの、チョコを食べさせても彼の表情は晴れない。その頭を撫でていたルーキスは彼の様子を見ると、不意に唇へキスを落とした。
「っ……ルーキス?」
「折角の祝日にへこんだまま外出もなんだからね」
 チョコの味がする、と自分の唇をペロリと舐めるルーキス。背後で「あ"ー!!」と2人を見ていたチョコ割り隊の叫びが聞こえるが、気にしない。

 彼らになんぞ、見せつけてしまえばよいのだ。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 お疲れ様でした、イレギュラーズ。
 良きグラオ・クローネをお過ごしください。

 またのご縁がありましたら、よろしくお願い致します。

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