PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<Gear Basilica>迫る歯車を退けるモノ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●大切な人、大切な時間
 ゼシュテル鉄帝国の冬は厳しい。幻想より北に位置する鉄帝は人の背丈を越えるほどの雪が積もることもあり、凍死する者や備蓄が尽きて餓死する者もいる。それは決して珍しいことではなかった。
「ほらほらみんな、集まって」
 老婆の言葉に子供達が「はーい」と返事をして、わらわらと集まる。家の中で灯りは暖炉の火しかなかったが、皆で集まれば十分暖かくて。
「さて、今日は何のお話しをしようかねぇ」
「おばーちゃん、ぼくあれがいいな。勇者がお姫さまをカッコよく助けるやつ!」
「ええー。わたしはガラスのくつのやつがいい!」
 おれは、ぼくは、あたしは。次々とお伽話の名前が挙がって、当然ながら子供達は喧嘩を始める。それを宥めるのも当然、老婆だった。
「喧嘩をするなら今日のお話しは無し。それでも良い?」
 老婆が問うと、子供達は一斉に黙り込んだ。

 温もりも、喧嘩も、お伽話も。全部引っくるめて大切な時間。大切な家族。


 ──昨日までは、そうだったんだ。


●侵略の手
「皆さん、鉄帝のスラムを……いえ、鉄帝を助けてあげてください」
 ブラウ(p3n000090)が慌ただしく書類を持ってくる。周りを見れば、どの情報屋も忙しそうだ。
「鉄帝で眠っていた古代兵器が動き出して、首都へ攻め入ろうとしているんです」
 それは自律移動しているようで、要塞のような規模を誇る。これをブラウは歯車大聖堂(ギアバジリカ)と呼んだ。
 ギアバジリカは自律移動のためにエネルギーが必要だ。それも巨体を動かすほどの、莫大なエネルギーが。それらを確保するためギアバジリカは歯車の兵や黒衣の兵団を鉄帝各地へ向かわせ、略奪の限りを尽くしているのだとか。
「知っている方々もいると思いますが、鉄帝は外洋遠征……海洋へ軍を動かし、また国境の警備にも人を割いています。
 鉄帝が武力の国と言っても、鉄帝だけでギアバジリカを倒すことはできないと思います」
 軍が敗北したら、首都が──ひいてはスラムが襲撃される。その前にギアバジリカを止めなくてはならない。
「皆さんにはあの巨体を動かすための、物資の輸送を止めてもらいたいんです」
 エネルギーとなる物資を運んでいるのはギアバジリカの兵だ。倒して物資が届かないようにすれば、そのうちエネルギー不足で止まるかもしれない。
 ちょうど兵から逃げてきたという住民たちから敵の情報が得られている。敵兵たちは物資を回収するためにそこはまだ止まっているだろう。
「こちらが敵兵の情報です。皆さん、……大切なものは絶対身につけて、離さないようにしてくださいね」
 取られちゃうかもしれませんよ、とブラウは羊皮紙を出しながら告げた。


●なのニャ

 ガション、ガション、プシュー。
 ガション、ガション、プシュー。

 誰もいなくなった街で、歯車の兵は彷徨っている。
 物資を探せ。物資を探せ。炉に溶かしてエネルギーを蓄えろ。

 ガション。
「なのニャ」

 ガション。
「なのニャ」

 プシュー。
「ニャー」


 スチームパンクなネコが、二足歩行で蠢いている。
 あるネコは扉を破壊し室内へ。
 あるネコは宝飾品を手に抱え。
 動くたびに──なのニャ、と不思議な鳴き声をあげて。

GMコメント

●成功条件
 MaschineCatsの撃破


●情報精度
 当シナリオの情報精度はBです。
 どこから敵が現れるかわかりません。気をつけて。


●MaschineCats × 20
 二足歩行するネコです。歯車など金属パーツで構成されており、ロボットのような感じです。時折蒸気を吐き出します。
 動くたびに「なのニャ」と鳴き声のようなものをあげますが、特殊な効果などはありません。
 イレギュラーズたちを発見すると襲いかかってきます。彼らは壊されるまで戦い続けます。
 爪で攻撃してくる他、目からビームを出すこともあるようです。ビームを出してくる頻度は高くありません。
 耐久力に長けていますが鈍足です。


●フィールド
 無人の市街です。建物が障害物となるでしょう。
 ネコたちは市街をバラバラに彷徨っています。


●ご挨拶
 愁と申します。
 普通に書いていたはずなのですが、大量のネコが迫ってくる夢を見てこうなりました。なのニャ。
 ……そうそう。何か大切に身につけているものがあるのなら、物資として盗られないように気をつけてくださいね。
 ご縁がございましたら、よろしくお願い致します。

  • <Gear Basilica>迫る歯車を退けるモノ完了
  • GM名
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年03月01日 22時06分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

グレイシア=オルトバーン(p3p000111)
勇者と生きる魔王
リュカシス・ドーグドーグ・サリーシュガー(p3p000371)
無敵鉄板暴牛
ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)
月夜の蒼
ジェック・アーロン(p3p004755)
冠位狙撃者
アオイ=アークライト(p3p005658)
機工技師
御天道・タント(p3p006204)
きらめけ!ぼくらの
カンベエ(p3p007540)
大号令に続きし者
ハルア・フィーン(p3p007983)
おもひで

リプレイ

●なのニャ
 物資を寄越せ。
「なのニャ」

 エネルギーをもっと寄越せ。
「なのニャ」

 もっともっと蓄えるのだ!
「ニャーニャーニャー!」


●なのニャ殲滅戦 Side:A
 頭上を鴉が旋回する。『きらめけ!ぼくらの』御天道・タント(p3p006204)は自らの飛ばした小鳥からもう一方のチームを視認できることを確認した。これなら状況把握も問題なさそうだ。豆に拘ったオリジナルブレンドのホットコーヒーも飲んで準備万端である。
「大丈夫ですわ」
「それじゃあ行きましょうか」
 『歯車の決意』リュカシス・ドーグドーグ・サリーシュガー(p3p000371)に従い、4人パーティとなったイレギュラーズはさして広くもない路地へ踏み込む。先頭を行くのはエコーロケーションで死角を探れる『知識の蒐集者』グレイシア=オルトバーン(p3p000111)だ。
「暗いトコは任せて。見逃さないヨ」
 目には自信があるのだと『ガスマスクガール』ジェック(p3p004755)はガスマスクの目元を指でトントン。少なくとも、彼女ほど正確に狙撃できる者はなかなか居るまい。
 ……それにしても。
「略奪を繰り返す機械仕掛けの猫とは、また奇妙な敵が居た物だ」
 そう呟くグレイシアにジェックは頷きながらそっとうなじのあたりを手で押さえた。
「ホントにね」
 対して聞き覚えもない筈なのだが、妙に嫌な鳴き声だと感じさせられる。聞くたびになんだか、首のあたりがぞわぞわするような。早く倒してしまいたいところだ。
「じぇっく様……なんで渋い顔(ガスマスク)をされておりますのニャ……?」
「ちょっ、タント!」
 何やらニマニマとしながら囁くタントにジェックはしゅばっと距離を取る。抑えながらも嗜める声に混じって「なのニャー」と小さく聞こえ。
「上から来ます!」
 リュカシスの言葉とほぼ同時に退くイレギュラーズたち。奇襲の可能性を考えていた彼らの行動は素早かった。
 パリン、と窓の割れる音が響き、次いでイレギュラーズたちがいた場所へその破片が落ちる。共に降ってきたロボットのネコは蒸気を吹き出しながら立ち上がった。
「なのニャ」
 その言葉に「うへぇ」とジェックが嫌そうな声を上げながら武器を構え、グレイシアが圧倒的な魔術攻勢で打って出る。
「やいやい! トロトロネコ! ちょうどいい物資ならここにありますよ!」
 声を上げたリュカシスへネコが視線を向ける。その先はリュカシスの頭についているツノだ。彼が最も大切にしている物を視認したことで、ネコがそれを奪取せんと動き始める。……が、彼も挑発したようにいかんせん初動が遅い。
「どうも鈍足でトロトロしたお猫ですわね、じぇっく様!」
「そうダネ……ネエ、何かさっきから呼び方違わない? 気のセイ??」
 ジェックは弾幕をネコへ送りながらタントへ問う。普通に名前を呼ばれただけのはずなのに。おかしいな、あのネコに似た気配をタントからも感じる気がする。
「なのニャ」
 リュカシスの前へ迫ったネコが爪を振り上げ、すかさずタントが庇いに入る。彼女のまとうきらめきは確かな存在感を持って──それはもう、前から見ても後ろから見ても非常に目立った。彼女が大事そうに持っているぬいぐるみも、もちろん。
「なのニャ」
「!?」
 わしっとぬいぐるみを掴むネコ。ぎょっとしたタントが咄嗟にぬいぐるみを奪われないよう掴む。双方の力で引っ張られるぬいぐるみは悲鳴でも上げそうだ。
「は、離してくださいまし! このぬいぐるみは渡せませんわ!」
 ネコへ語り掛けるもタントは思う。このネコは恐らく離そうとしないだろう。タントが力尽きるより前にぬいぐるみの耐久力がなくなる可能性の方が圧倒的に高い。もはや確実と言っていい。
 そこへ放たれた銃弾がネコを襲い、その手がぬいぐるみから離れる。グレイシアが畳みかける中、しまわれていた爪を出したネコは「なのニャ」と奇怪な鳴き声をあげながら攻撃を受け止める。
 しかしいくら耐久力に長けていると言っても多勢に無勢。ボロボロになったネコは最後の力を振り絞ったのか、目からビームを放って力尽きた。
 天使の歌で仲間たちを回復したタントはぬいぐるみを見て、傷がないことを確認するとほぅと息をついた。このような場に持ってくるのだからある程度狙われることは織り込んでいたが、まさかこちらも気にせず手を出してくるとは思わなかった。
「カウント1」
 ジェックが空を見上げながら呟く。その頭上では鴉が旋回していた。リュカシスの行きましょうかという言葉に一同は再び前へ進みだす。
 後方と頭上を確認しつつ、角が近づいてきたら一旦止まってグレイシアのエコーロケーションによる索敵。移動中の音を極力立てないことは勿論、敵の蒸気音や鳴き声も漏らさまいと耳を澄ませながら4人は歩いていく。
 何度目かの角でグレイシアは曲がり角の影に何かがいることを感じた。よくよく耳をすませばガション、ニャーと聞こえてくる。
「……3体でしょうか」
「そのようだ」
 今度はこちらから奇襲を仕掛けるべく、4人でタイミングを合わせ──飛び出す。リュカシスの声に2匹ほどが振り向き、すかさずタントがその間へ入る。専ら火力係のジェックが弾幕を放ち、グレイシアがダークムーンで追撃する中で1匹のネコが3人をすり抜けてジェックの方へガシャコンガシャコンと近づいてきた。
 目の前までやってきたネコにジェックは「え?」と戸惑いの声を上げる。
「アタシにとって大切なモノは形にノコってないんだケド……」
 一体このネコ、何を自分からふんだくろうとしているのか。そう思った矢先にタントが「そのガスマスクは違いますの?」と首を傾げた。これは確かに大切だけど──などと言っている間にネコの手がガスマスクへかかる。
「イヤちょっとまってホシイ落ち着いて、このママはがすとアタシの顔までチョッまてこのクソネコ!!!!!!!!」
 この世界に来てから一向に離れてくれないガスマスク。世界の贈り物と言いながら呪いじみたそれにより、決してガスマスクを奪われないのは果たして幸か不幸か。
 ゼロ距離の曲芸魔射でネコを引きはがしたジェックはガスマスクを押さえる。顔がまだちょっと痛い。このクソネコ絶対撃ち抜いてやる。
 すぐさまジェックへ攻撃が向かないようにとブロックしてくれたグレイシアへ感謝を心のうちで告げつつ、ジェックは再び銃を構えた。


●なのニャ殲滅戦 Side:B
 一方、タントが小鳥を飛ばしているもう片方のチームはと言えば。
「カウント、5!」
 『屋台の軽業師』ハルア・フィーン(p3p007983)が大きな声で倒した数をカウントする。小鳥を通じてタントたちのチームに伝わるはずだ。
「ニャ、ニャ、と聞いているとその内うつりそうですね!」
 先頭を行く『名乗りの』カンベエ(p3p007540)はハルアのハイセンスや『月夜の蒼』ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)の操る精霊たちを頼りに進んでいく。最初は適当に進んでいても敵と遭遇できただろうが、カウント数が上がれば上がるほどその確率は低くなるだろう。
「またよろしくね」
 精霊たちへ手を振ったルーキスは彼らが戻ってくるとその情報を仲間へ共有。ハルアはふとすみれ色の瞳を建物へ向ける。
 ネコに侵入されたからか、それとも避難の際のものか。所々物が壊されている場所が目に付く。けれどハルアの視界に入ったそれは大分酷いようだ。
(……怪しい)
 ハルアは皆へ気づいたことを伝え、中も調べてみないかと提案する。一同が近づいていくと、その違和感に気づいたのはやはりハルアだった。
「機械の動く音……?」
「お手伝いロボとかなら良いんだが」
 『機工技師』アオイ=アークライト(p3p005658)はそう呟くものの、きっとそうではないだろうと肩を竦める。MaschineCats──「なのニャ」と鳴く猫型のロボット。略奪をするのなら倒すしかないだろう。
「猫を模したとて、大聖堂の手先ならばこのカンベエの心に容赦もなし、慈悲もなし! 打ち砕かれませい!!」
 壊れたドアを退かし、建物へ入るなり先に名乗り上げたカンベエ。奥の方から「なのニャ」と聞こえてきて一同は視線を素早く交わす。
 やはり、いる。
 さしたる時間も置かず蒸気音も聞こえてくるようになった。一同は息を殺し、その気配を逃さぬようにと距離を測る。少しずれて鳴き声が聞こえてくるから、恐らく2体以上いるだろう。
 そして──その姿を視認した瞬間、動き出した。
「なのニャ軍団に負けるもんかー!」
 しっかりと踏み込んだハルアはネコの懐へ飛び込み、ビートを刻むように加速品がら攻撃を加える。びくともしないあたりロボットの頑丈さが伺えるというところだが、それを打ち砕かんと言わんばかりの威力で連なる雷撃が蛇のようにネコたちへ襲い掛かった。
 その術者であるルーキスはネコをしげしげと観察して。
「機械式ケットシー……いや、そんな可愛いものでもないか」
 少なくとも、爪を出して蒸気音を鳴らしながらカンベエへ飛び掛かる様は全くもって可愛くない。そのダメージもまた然り。
「何度見ても、見た目や動きは可愛いんだけどな」
 アオイはすかさずカンベエを治療すると歯車を装着させた銃を向ける。高速回転する歯車は銃弾を視認できないほどの速度で発射し、金属の装甲などものともせずネコを貫いた。
「ヘッ、歯車vs歯車だ。どっちの方が強いか力比べといこうぜ!!」
「なのニャ」
「なのニャ」
 返事なのか鳴き声をあげるネコ。しかしその前には相も変わらずカンベエが立ちはだかっており、彼を倒さない限り先には進めない。
「わしにとって最も大切なのはこの命! 誰にも奪わせはしません!」
 取れるものなら取って見ろというように挑発するカンベエ。自らの命は外洋の、絶望の青の先を見るためにある。だからこそここで奪われるわけにはいかない。
 ネコはピカピカと目を明滅させるが、それはどうやらアクロバティックに動くハルアにある様子。しかしそのうちピカーと目を光らせ、ビームを発射した。
 巻き込まれた仲間をアオイが順番に治癒していく。その間にもハルアとルーキスがネコたちへと畳みかけた。
「カウント7!」
「よしよし、順調だね」
 ルーキスは契約した妖精をけしかける。突出した威力の持ち主である彼女によって、もう1体もさして時間をかけることなく動かなくなった。
 カンベエはお疲れ様ですと皆へ声をかける。まだまだ敵はいるようだが、あまり先走り過ぎてガス欠になってもよろしくない。
「ここはもういないみたい」
 耳を澄ませたハルアが首を横に振る。ルーキスが鴉の方へ意識を向けると「カウント4」の声が聞こえてきて。
「うん、もうちょっとこのまま探そうか」
 最後はまとめてしまいたいが、それにもまだ早い様子。4人は頷くと建物を出て、再び索敵しながら街を進んでいった。


●なのニャ殲滅戦 最終章
 相手のカウントがファミリアーを通して聞こえてくる。こちらと合わせて──15体。そろそろ集めてしまっても良いだろうとリュカシスたちが話す中、どこからかカンベエのスピーカーボムで大きくなった声が響き渡った。

「燃料が欲しいか! ならば来い! このカンベエの命を焼べて見せろ!」

 どうやら向こうも同じ心積もりらしい。「あちらのようだ」とグレイシアが大まかな方向を示し、4人はそちらへ続いた。走っていくと、やがて残ったネコたちと交戦する仲間たちが見える。きらりとタントの瞳が輝いた。
「ファンの皆様お待たせしました!」
 高らかに鳴らされる指パッチン。待ってました!
   \きらめけ!/
   \ぼくらの!/
 \\\タント様!///
「──‬この大音量でお猫を集めますわーー!」
 もちろん此度もポーズをバッチリ決めて拍手喝采大歓声。それを聞いてジェックがおお、と小さく歓声を上げる。タントと仲良しなジェックだが、実はギフトを聞くのはこれが初めてなのだ。
「助かります!」
 カンベエの引き付けていた敵を数体リュカシスが受け持ち、マークで押さえながら全力の攻撃を叩きつける。耐久力のある敵だが、ならばそれ以上に耐えて力で削り切れば良いという大変鉄帝らしい考え方だ。
「負けませんよ! 鉄帝を守るんだ!」
 耐え忍びながらも攻撃を向けるリュカシス。仲間を庇いながら敵の足止めもするカンベエ。2人を癒すのはアオイとタントだ。
「もう少しですわ! このきらめきで! 応援しますわよー!!」
「俺の目の黒いうちは近くの味方をやらせなんかしねーっての」
 きらめきと応援の声で味方を鼓舞するタントの傍ら、アオイがメガ・ヒールで傷ついた仲間を癒す。このままだとラチがあかないと思ったのか、ネコたちが一斉にビームを発射した。
「くっ……まだ倒れないよ!」
 ハルアはよろける膝を叱咤し、ネコへ肉薄する。強かに投げを打たれた敵はとうとう脆くなったのか体が崩れ、動けなくなった。
 ジェックの強装弾が残るネコを撃ち抜き、ルーキスのチェインライトニングが敵陣を蹂躙する。追ってグレイシアのダークムーンが彼らの運命を弄ぶ。
「……殲滅するまでに、答えを得られる機会はなさそうか」
 グレイシアは徐々に倒れていく敵を見ながら残念だ、と小さく肩を竦めた。
 なぜ略奪を行う機械が猫型二足歩行なのか。なぜ常に「なのニャ」と鳴くのか。永遠の謎となりそうだが──奴らを倒すことが優先だ。
 最後に残ったネコへ、ゴンッとレンチが投げつけられる。ネコが視線を向けるとアオイが真っすぐそちらを睨みつけていて。
「これで……最後だっ!」
 召喚されしは高速回転する歯車。放たれたそれは再起など許さない、と言わんばかりにネコの体を両断したのだった。


 街に静けさが戻る。カウント20、の言葉が誰からか漏れて。
「ふぅ、これで全部か」
「これで終わりダネ」
 やれやれと空を仰ぐジェック。アオイがネコたちの身に着けていた誰かの物資を回収し、リュカシスがドスコイマンモスに奪取した物資を積む姿を見て、ハルアが「私も載せていい?」としっかり身に着けていた物資を出す。
 その傍らでルーキスは「これ持って帰っていい?」と興味津々な様子だ。
「動力云々も含めて興味がだね」
「それはちょっとボクも気になりマス! あの器用さはどうなっているんでしょうね」
「俺も欲しいな。お手伝いロボとして修理してやれば可愛いやつになるかもしれないだろ?」
 リュカシスとアオイも興味ありげに近づこうとする。見方を変えれば結構可愛いし器用で、アオイの言う通りお手伝いロボになるならとても良いと思うのだ。
 だが不穏な音を聞いた彼らはぴたりとその動きを止めた。ルーキスもおや? というように目を瞬かせ、そっとネコから距離を取る。
 ピ、ピ、ピ、ピ、──ピーー。
 電子的な音と共にネコの目が光り、その体が爆発に包まれる。咄嗟に腕をかざしたイレギュラーズがその場を見る頃には何の残滓もない。
「えぇ……?」
 爆発で消えたのか、それとも今の隙に乗じて撤退したのか。まったくもって不明だが──あれだけコテンパンにしたのだ。長く動けるとも思えない。
 ひとまずオーダークリアである。さあ、奪い返した物資をローレットへ持ち帰り、持ち主へ戻してあげよう。

成否

成功

MVP

ハルア・フィーン(p3p007983)
おもひで

状態異常

なし

あとがき

 お疲れさまでした、イレギュラーズ。
 またのご縁がございましたら、よろしくお願い致しますニャ。

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