PandoraPartyProject

シナリオ詳細

リーディングゴーストを倒せ!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●その思考見させてもらう!
 幻想の南部ターガリエンの街では、今ある噂が広まっていた。
 街の外れにある貴族の別荘に、恐ろしい幽霊が住み着いたと言うのだ。
 最初こそ、噂を聞きつけて肝試しに来たカップルを脅かすような悪戯程度のものだったのだが、幽霊の悪戯は徐々にエスカレートし、ついに殺人にまで発展してしまった。
 別荘の持ち主である貴族としても、自分の持ち家が肝試しの場にされ荒らされたあげく、殺人の現場にまでなってしまい憤慨。これを討伐するように傭兵達を雇うのだった。
 そして、別荘へと足を踏み入れた傭兵二人は、住み着いた幽霊と対面する。
『YyyyHAaaaa!!! 久しぶりの獲物がやってきたなぁ!!』
 殺した人間の容姿を真似して、モヒカン頭の幽霊が中指を立てて歓迎してくる。
 傭兵達が武器を構えて、幽霊へと宣戦を布告しようとすると、幽霊がそれを制して声を出した。
『お前、いま俺様のことを下品な幽霊だと思ったな? 人のこと言えねぇ見た目のクセしてよく言いやがるなぁ???』
「な、こいつ、俺の思考を読んだのか!?」
『ヒャハハハ!! 読む読む、お前ら人間の考えることなんて全部丸わかりだぜ!! その戦い方も、お前の実力も丸わかりだぁ!!」
「ダマされるか! テキトー言ってるだけだろ! お前らいくぞ!」
 幽霊へと飛びかかる傭兵達。
 しかしその攻撃は悉く回避されてしまう。
「くそっ! あたらねぇ!!」
「なら、これならどうだ! 必殺アクセル・ラッシュ!!!」
『ギャハハ! わかるわかるぞその技の特性が!!
 絶対最強絶対無敵バリアー!!!』
 幽霊が叫ぶと、幽霊を守るようにバリアーが発生し、傭兵の必殺技を全て受け止めてしまった。
「ば、ばかな――!」
『さらに! 俺様ちゃんは増殖できるのだ!! ギャハハ!! 俺様ちゃん達無敵! さいっきょ!!!』
 五体に増殖したモヒカン幽霊が全員で中指立てて傭兵達を蹴り飛ばす。
『一昨日来やがれってんでい! ヒャッホー!! この家は俺様のだ! そして、そのうちこの街全てを手に入れてやるぜ!! 俺様ちゃんの世界征服がここから始まるっ!!!』
 とんでもない宣言を始めた幽霊に背中を見せながら、傭兵達は撤退する他なかったのだった。


「と、言う話で躍起になった貴族から幽霊の討伐依頼がローレットへ回ってきたわ」
 『黒耀の夢』リリィ=クロハネ(p3n000023)が事の顛末を話、回ってきたローレットの依頼書をテーブルの上に置いた。
「ひとまずこの幽霊をリーディングゴーストと名付けてみたわ。思考を読む幽霊なんて、なかなか厄介よね」
 確かに、思考を読まれるというのは戦い辛いことこの上ない。それに話に聞くとスキルに対する強力なバリアを使用するというから難敵の予感を感じる。
「イレギュラーズちゃんの実力なら力押しでもなんとか出来なくはないと思うけど、かなり長期戦になるでしょうね。
 そこで、思考を読まれないようにする素敵なお札を用意しておいたわ」
 何と便利なアイテムもあるものだ。これならば楽勝かと思ったが、そう都合良くはいかないようだ。
「守れる思考は一人三つまで、それ以上は相手に読まれると思ってちょうだい。自分の役割を考えながら必殺と思える行動にこのお札を使ってね」
 お札の使い方を教えて貰いながら、イレギュラーズは依頼書手に取る。
 思考を読む幽霊との戦いが、始まろうとしていた。

GMコメント

 こんにちは。澤見夜行(さわみ・やこう)です。
 思考を読む幽霊が現れました。
 特殊なお札を駆使して、この幽霊達を倒しましょう。

●依頼達成条件
 リーディングゴーストを完全に消滅させる。

●情報確度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は起きません。

●依頼について
 このシナリオの敵リーディングゴーストは、プレイヤーのステータスシート及びプレイングを読み取り対策行動を取ってきます。
 これに対応するために、プレイヤーはプレイングの守りたい部分の行頭に『@』または『☆』を三つまで記入することで、リーディングゴーストに読み取られなくなります。
 但し、改行せずに長く記入するとお札が守り切れなくなってしまうので注意してください。
 なお、この対策を取らずとも倒すことは可能ですが、難易度は高くなりプレイングも要求が高くなるので注意してください。

●リーディングゴーストについて
 思考を読む幽霊。分裂しているため数は五体います。
 耐久力は高くないものの、相手の思考を読み、対策バリアを張るためダメージが通りづらい。
 また逃げ足も早いので、しっかりと対策して完全消滅を狙いましょう。
 なお、幽霊ですが実体化しているので物理攻撃も普通に効きます。

●戦闘地域
 幻想南部ターガリエンの街の貴族別荘になります。
 戦闘は室内ですが、障害物はなく視界も良好の設定です。自由に立ち回れます。

 そのほか、有用そうなスキルやアイテムには色々なボーナスがつきます。

 皆様の素晴らしいプレイングをお待ちしています。
 宜しくお願いいたします。

  • リーディングゴーストを倒せ!完了
  • GM名澤見夜行
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年02月28日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)
レジーナ・カームバンクル
アト・サイン(p3p001394)
観光客
ゴリョウ・クートン(p3p002081)
黒豚系オーク
仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
陰陽式
シラス(p3p004421)
超える者
グレン・ロジャース(p3p005709)
理想の求心者
カイト・C・ロストレイン(p3p007200)
天空の騎士
高槻 夕子(p3p007252)
クノイチジェイケイ

リプレイ

●何も知らない幽霊達
 幻想南部の街ターガリエンの幽霊屋敷では、今まさに幽霊(リーディングゴースト)達による盛大なパーティーが開かれようとしていた。
「Hey! 兄弟達! これまで俺様ちゃん達を消そうとする人間達は根こそぎ排除してやったぜ-!」
 退治に現れる人間達を叩きのめして調子に乗ってるこの幽霊達は、まだこの家から一歩も出てないのにすでに世界征服したつもりでいる。
 とんでもなく思考レベルの低い下品な奴等だが、こんな奴等が相手の思考を全て覗き見るというのだからタチが悪い。
「YyyHaaa!! おいおい兄弟達よ、また俺様ちゃん達をどうにかしようとするつもりのおバカちゃん達がやってきたぜーー!! 世界征服の前の前哨戦だ! 全員ブチ転がしてやるぜーーー!」
『Yahoooo!!』
 騒ぎ立てる幽霊達の居る広間へと足を踏み入れたのは――我等がイレギュラーズに他ならない。
「歓迎するぜーー!! 愚かな生贄(ブタ)野郎共! 俺様ちゃん達の力に恐れおののき泣きべそかいて逃げちまいなぁ!!」
 ギャハハっと笑う幽霊達に、『不沈要塞』グレン・ロジャース(p3p005709)が耳に指を差し込んでその端正な顔を顰める。
「ったく死んでる癖にわーわーとうるせぇやつだぜ。
 殺した野郎の姿を真似してるんだって? 趣味の悪いこった、元の面はそれ以下か?」
「なんだてめぇ! イケメン気取りで自分の方が面がいいってか!? ボコボコにして鏡見られなくしてやるぜ!!!」
 グレンは思った通りに挑発を読み取られるが、それはわかっていたことだ。むしろ今ので本当に思考を読んでくるのだということがイレギュラーズ全員に伝わるようでもあった。
「なるほど、噂通りのリーディングゴーストか。
 やだなぁ、ぼくが先日読んだ同人誌の内容までバレてしまうのかい?」
 『六枚羽の騎士』カイト・C・ロストレイン(p3p007200)が爽やかにそんなことを言うと呆れたように幽霊達は首を振る。
「かーっ! 誰もてめぇのプライバシーになんざ興味ねぇよ! ナニか? そんないやらしいもんでも読んでたってのかい!? それなら大歓迎だ! ギャハハ! イメージしてみろ、お前のお気に入りのページを朗読してやるぜ!!」
 こんな幽霊に同人誌を朗読されるのは、絶対お断りだと誰もが思う。
 『クノイチジェイケイ』高槻 夕子(p3p007252)はまるで怖いものを見るかのように怯え竦みながら言葉を紡ぐ。
「幽霊……やだ、こわいよ。でも困っている人がいるんだからお兄ちゃんみたいに頑張らなくちゃ! 勇気を出して、夕子!」
「おうおう、可愛い子が勇気を振り絞ってえらいでちゅねー。もっと怖がらせちゃいまちゅかー?」
 その上目使いの夕子とそれを本気にしてる幽霊達に、仲間達は思わず噴き出しそうになるが、ここは我慢だ。
「おっとそこのお前……双子か? そっちは無粋だのなんだの言ってるのがわかるが……もう片方は頭イかれてるのか? どうにも心がなさそうな感じだなぁ?」
「ほぅ……そういう感じなのか」
 自らの分身をギフトで呼び出していた『レジーナ・カームバンクル』善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)は幽霊達の言葉に「なるほど」と頷く。どうやら従順な使い魔というものは、彼等リーディングゴーストのスキル適用外のようにも思われた。
「――って、オイ! そこのお前! フードかぶってるアト・サインとかいうお前だよ!! なに俺様ちゃん達の家に水撒いてんだ!! びしょ濡れになったらカビになっちまうだろうが!!」
 『観光客』アト・サイン(p3p001394)を指さし幽霊達が叫ぶ。
「いやぁ、常に水まきしてないと落ち着かなくてね。あとでちゃんと拭いておくから、見逃してはくれないかい」
 テキトーな返事をしながら部屋の四辺に水を撒き続けるアト。それに対して幽霊達は、
「F○ck!! 絶対あとで掃除しておけよ!!!」
 と激昂しながらもそれでいいのかという返事を返す。
 そこでイレギュラーズ達は理解する。
 アトが撒いているのは聖水であり幽霊達に逃亡させないための罠だ。それを見抜けないあたり情報屋からもらった『お札』は見事に機能している、と。そしてなにより、この幽霊達、相手の思考を読むこと以外は、基本的にバカであると。
「んん? お前、シラスとか言う奴。お札の何が便利だってぇ?」
 『ラド・バウD級闘士』シラス(p3p004421)の思考を読んで幽霊達が警戒する。
「おっと、いけな。便利なものを持ってるというのがバレてしまった」
「思考を読まれないようにするだぁ? ぎゃはは! そんな便利な物があるわけねーだろ!! だいたいそこの正義の騎士面のカイトとか言う奴とか、怯え震えてる夕子とかいう可愛い子ちゃんは思考ダダ漏れだっつーの!! 読まれないとかナイナイ、アリエマセーン」
 シラスをバカにしたように言う幽霊達は、お札がシラスのブラフだと考えている。
 その実、シラスの思考は紛うこと無き真実でお札のことを漏らしてしまうのはちょっとした油断とも言えたが、ほぼお札に頼らず全力で思考を読ませるカイトや、逆に完全に幽霊達を騙していく夕子の演技が、幽霊達にお札を真とは思わせないのだった。
「お前達の考えてることさえわかれば、俺様ちゃん達は絶対無敵だっつーの! ヘイヘイ! ビビったか!? ビビって逃げたくなったかぁ!?」
 ギャハギャハ笑いながら煽ってくる幽霊に、『五行絶影』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)が強気に笑う。
「ほぅ、面白い。
 思考さえ読めれば勝てるというその認識、この場で徹底的に覆してくれるわ」
 そんな汰磨羈があれこれ考え出すと、幽霊達はまるでバカにしたように笑う。
「あれがこれでそう、とかわざと考えてるフリして俺達をハメようとしてるだけだろぉ? その手はくわねーっつの! どうせ攻撃しようとしたときにホントの思考がでるんだからそれを読むだけよ!」
 汰磨羈があれこれ考えていたかどうかはともかく、なるほど、幽霊達の油断ならない部分はこの戦闘に長けた部分にあるのだろう。
 思考を読み相手の強みを潰してくる幽霊達は、確かに強敵と言えるかもしれない。
 だが、そんな調子づく幽霊達を前に、同じ以上に声を張り上げて『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)が笑った。
「ぶはははっ、要は読まれても問題ねぇくらいゴリ押せば大体よしってわけだ!」
「それが出来れば俺様ちゃん達とっくに成仏してるつーの! オーク如きが死を超越した幽霊相手にイキってんじゃねーぞ!」
「ぶははっ、言うじゃねぇか死に損ない共。迷ってあの世にも行けねぇ、現実も見れねぇ阿呆共に力の差を分からせてやるぜ」
 ゴリョウが大型ガントンファーと魔力展開式の防楯を構えると、幽霊達がモヒカンを逆立てて目を吊り上げた。
「この世界を奪わせはしない!! 勝負だ、モヒカン頭!!!」
「Yahaaa!! かかってこいやー!!!」
 五体の思考読むゴースト達が一斉にイレギュラーズに襲いかかった!

●リーディング(できない)ゴースト
 中空を舞う半透明のモヒカン幽霊達が、広間を自在に飛び回る。
「へぇ……心を読む敵に対する対処法ねぇ……! 俺様ちゃん達のようなスキルを持つ奴が他にもいたってのかい!」
「そうさ。似たような力は古今東西様々な所で語られる。
 その中でも東方の伝承ではこんな技で幽霊を仕留めたとされるのさ」
 アトが懐か一枚のコインを取り出す。
「コインの裏表にかけて偶然を使って倒すか! ヒャハハおもしれぇ! どっちが出ようと俺様ちゃんのリーディングと、絶対無敵絶対最強バリアは破れやしねぇ!」
 幽霊が顔の真横で両手を広げてバリアを準備する。
「表が出れば死中求生を、裏が出ればスニーク&ヘルを使う!」
「さぁ! コインを飛ばしな!」
 アトの指がコインを弾く。回転するコインが音を立てて床に落ちた。
「裏だぁ! スニーク&ヘル――気配消失からの奇襲か! だが俺様ちゃんのバリアは全方位完全ばり――ぎゃあああああ!!」
 幽霊のバリアが糸も容易く打ち破られ、アトの剣術奥義『死中求生』が直撃する。
「おっと間違えた」
「て、てめぇ……間違えたわけねーだろ!! つーかなんで技の発動が読めなかった……!?」
 混乱する幽霊にシラスが肉薄し魔力纏う拳を叩きつける。
「ぐはぁっ」
「だから言ったぜ? 便利なお札があるってさ」
 ヒラヒラと手にしたお札を揺らすシラス。
「なっ? マジなの? 本当に思考が読めなくなるなんて便利アイテムがあるわけ?」
「さて、どうかな? お得意のリーディングで本当かどうか確認してみるいいんじゃないか?」
 得意げに笑うシラスが、さらに踏み込んで連打を見舞う。
 本来通常攻撃であってもリーディングゴーストに読まれればバリアによって無効化される。だがシラスは通常攻撃も含め、攻撃の手札はお札によってガードしている。ピンポイントに無効化するバリアは機能するわけもなく、良いように拳の乱打を叩き込まれ、幽霊は半透明の血反吐を吹いた。
「くそっ! だが、思考丸わかりの奴だっている! このオークだって!!」
「ぶはははっ! オラいくぞ! 全力攻撃だ!!」
「読めるぜ-っ! スナイパーアイからの全力攻撃! 今度こそ無効化で――!」
 攻撃モーションを取らないゴリョウが威圧を振りまく。室内に響き渡る力強い声と、鋭く突き刺さる眼光が幽霊達を威圧し、ゴリョウに対する危機感を高める。
「てめぇー! 殴りかからねぇで威圧しやがって――!」
「オラ、覚悟決めてかかってこいよ! 殴り合い上等だ!」
 お札によって本意を隠したゴリョウが見事に敵視を稼ぎ、幽霊達は怒りに我を忘れることとなる。
 レジーナが機を見て動き出す。幽霊の一人がレジーナの思考を読み取った。
「狙いは兄弟、お前だ! 狙われてるぞ、バリアを使え!」
 指示された幽霊がレジーナの思考を読み切って、オーラキャノンに対するバリアを生み出す。
 しかし――
『ぐわあ――!』
 周囲にいる幽霊達がレジーナの生み出した幻影に包み込まれ、放たれる黒の極光を浴びて悲鳴をあげた。
「どうした。
 心が読めるのではなかったのかな? 今の攻撃は防げたろう」
「くそっ! どいつもこいつも思考とは別の行動しやがって!!」
 読み切れない思考に、幽霊達に焦りが生まれる。そんな中、一人の幽霊が夕子に目を付けた。
「へっへっへっ……君可愛いね、忍者系なんだって? つーか忍術使える? 分身とかでハーレムワンチャンよろです。つかドコ住み?」
 JKと見ればナンパを始める直結幽霊に夕子はどん引きしつつも、
「わ、私にだって分身の術は使えます! ……恥ずかしいけどっ!」
 と、複数の分身を生み出し色香交じりに接待する。
「キャッホー! いいね、この足止めいいよ。こう言うの大歓迎。あ、他にはなにもできないって? いいよいいよ、夕子(呼び捨て)はこれ続けてくれれば俺様ちゃん達気合いはいっからさ」
 調子づいた幽霊は気づかない。不意に夕子の視線が恐ろしく冷めてることに。
 何も気づかないエロ目線な幽霊その一が、夕子の魅惑の腰へと手を伸ばしたその時――夕子の身体が上空に軽やかに舞い、幽霊その一の背後を奪った。
「は?」
 閃くクナイの連撃が幽霊の生命力(?)を根こそぎ奪い取って消滅させる。エロ目線幽霊のみた最後の光景は、攻めすぎな夕子のスカートから覗くぱんつだったに違いなかった。
「えー? 心が読めるとか何言ってるのこのザコ。エロ目線で油断しすぎなんですケド。まじウケル。
 なくない? 絶対最強絶対無敵バリアーとかありえなくない?」
「兄弟――!!? いやつーか、JKの可愛い子ちゃんがなんかどん引きなくらいギャルになってんですけど……え? そう言うキャラなの? 清純陰キャ風な妹キャラの夕子ちゃんを返して?」
「いや、知らんし。勝手にあーしのキャラ付けしないでくんない? まじ引くわー」
 なにか大切な幻想を打ち砕かれて幽霊達は涙した。
「現実とは無慈悲なものだな。とはいえ、打ち拉がれてる暇など与えんぞ。
 ――では行くぞ、不浄なるモヒカンよ!」
 汰磨羈が武器を納刀して一気に幽霊に接近する。慌てた幽霊が汰磨羈の思考を読み込んだ瞬間――洪水のように猫ねこネコな思考が流れ込む!! プレイングの半分を埋める三百十四文字の思考の羅列は、モヒカン幽霊にとってもはや恐るべき雑念に他ならない!
「っていうか、最後クイズ!? ネコの学名!? 知るか! ネコはネコだろ!?」
「はい、間違い。答えは『フェーリス・シルウェストリス・カトゥス』、意味は『ネコ・野生の・ネコ』だ」
「ネコであってるじゃねーか!!!!!」
 無慈悲な回答に怨嗟の叫びを上げながら、抜刀した汰磨羈の連続攻撃にモヒカンを根こそぎにされ、幽霊その二は消滅していった。
「くそっ、俺様ちゃん達の兄弟が次々と――! 絶対最強絶対無敵バリアが機能しねぇ!」
「はっ! 最強だの無敵だの、技名にセンスがねえから役にもたたねえんだよッ!」
 徹底的に煽りながら戦うグレンが、不敵な笑みを見せて技名のなんたるかを語る。
「カッコいい技ってのは、こういうのを言うんだよッ!
 ――超・紅蓮斬(ハイパーグレンスラッシュ)!! 今命名ッ!」
 防御よりと見せたところからのレジストクラッシュは、当然お札ガードの上から放たれる。
「ぐわああ――ちくしょう、なんてだせぇ技名のくせに、威力だけはありやがる!」
「……え、ちょっとまて? いや、そんなわけないだろう」
 不服を申し立てるように、グレンが口を尖らせる。周囲を見ると、仲間達が目を背けた。
「思考を読まなくてもわかるぜ、今、お前が仲間からもダサいと思われたことがな!!」
「……おかしいな、言うほどダサいかね、俺のネーミングセンス」
「やばたにえん」
 夕子の突っ込みがグレンとのセンス差を物語っていた。

●調子に乗った幽霊の末路
 追い込まれる幽霊達が次々と消滅していく。
 残るリーダー(?)幽霊は危機的状況を察知して状況を分析していた。どうにかしてこの場を離脱したいと考えていた。
「へ、へへへ……てめぇらは強かったよ。俺の負けは確定的だ」
「おや、潔く負けを認めるのかい? なら大人しくこの剣のサビになってもらおうか」
 カイトが武器を振るい構える。
「へっ、冗談じゃねぇ! 負けは認めるが、俺は消えねぇ!
 カイトとか言ったな、てめぇはマヌケだぜ! 思考を読ませないブツを持ってるわりに、思考が全部筒抜けだ! そう攻撃方法も、仲間との作戦も全てな!!」
 まるで真実を見破ったかのようにいう幽霊に、しかしカイトは冷静な笑みを崩さない。
「なら、次どう動くかも分かるだろう? 逃げれるなら逃げるがいいさ。けど、残念だけど逃げることはできないよ。罠が張ってあるからね」
 カイトは言う。最初にアトが撒いた水が、逃亡阻止を齎す聖水であると。
 しかし、幽霊は笑った。
「表情も変えずによく嘘をつけるもんだ、お前の思考が”ただの水”であることを証明している! その手には乗らねーぜ!!」
 脱兎の如く逃げ出す幽霊が、壁をすり抜けようとした瞬間、雷に打たれたように硬直し弾かれた。
「熱ぃ! マジモンの聖水がぶっかれられてるじゃねーか! なんで!?」
「あはは、だから言っただろう?」
 薄く笑ったカイトの思考を覗き見る幽霊。
 そこから流れてくる思考は、今まで通り真実を伝えてるように思える。
「いや、だが、嘘なのか? わ、わからねぇ、本当のことなのか嘘のことなのか……人間が表情にも出さずにこれだけの嘘を並べられるのか!?」
 それはペルソナを身につけた故の真実(虚構)。思考の真偽が判断つかなくなった幽霊は混乱する。気づけば、居並ぶイレギュラーズ全ての思考が判断つかなくなった。
 ――中には、その人物の本質に至る内面も流れてくる。
 叛逆の汚名を濯ぐために剣を振るう者。生きながらにして人間を解体し尚殺さない外道
。延々とネコを啓蒙する者。その他にも見える――見える。
「思考の渦に飲まれたようだね。そりゃそうだ。アイテムで思考を隠すなんてのはおまけさ。僕達は心を読むものに対して嘘をつくことができるんだ。
 ――何が正解で、何が不正解なのか。果たして、消滅する前に答えることができるかな?」
 幽霊でありながらアトの言葉に背筋が震えた。
 思いがけず手にした力で人間をおもちゃのようにしていた幽霊は、ここで人間の本質――恐ろしさを感じ取ったのだ。
 もはや身体が焼けようが知ったことかと逃げを試みる幽霊。
「おいおいあんだけ俺をボコっておきながら逃げんのか? 存外非力だねぇ!」
「逃がすものか、組み付け――!」
 ゴリョウの煽り――思考――を聞きながら「知ったことか!」と叫ぶ幽霊は、壁を抜けきるより先にレジーナの使い魔にその身体を押さえられ、続くレジーナ本体の双撃によってその生命を燃焼させ消え去った。
「ばいばーい、JKを相手にするには、おこちゃまだったわね」
「やれやれ、厄介な敵だったね……それにしても」
 と、シラスがカイトを見る。
「ん? なんだい?」
 和やかに笑いながら剣を収めるカイトを見て、腹の探り合いは勝てそうにないなと苦笑するのだった。

成否

成功

MVP

カイト・C・ロストレイン(p3p007200)
天空の騎士

状態異常

なし

あとがき

遅くなりまして、申し訳ありませんでした。

依頼お疲れ様です。

MVPはカイトさんに送ります。ペルソナは良い対策でしたね。おめでとうございます。

素敵なプレイングでご参加頂きありがとうございました。
次は遅れないように気をつけます。

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