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シナリオ詳細

<黒鉄のエクスギア>冷酷非道なる女軍人

完了

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 海洋対鉄帝の第三次海戦が終結した頃……。
 鉄帝首都に横たわるスラム街モリブデンでは、一部の鉄帝陸軍による大規模作戦が発動していた。
 国にいち早く帰還し、根回しを済ませていた鉄帝将校ショッケン・ハイドリヒ主導の元、モリブデン地下に眠る巨大な古代兵器を手に入れるという作戦である。
 介入当初、地域住民には再開発事業によって生活の質を向上させると説明していたショッケン一派。
 古代兵器の存在が確かなものとなれば、彼らは強硬策に出て地上げ屋などを使って人々を強引に一掃しようと強硬策に出ていた。
 ただ、その非道ぶりはあまりに目立ち、ローレットの介入、活躍によって計画が著しく遅延することとなる。
 痺れを切らせたショッケン一派は持てる限りの兵力を投入し、古代兵器奪取へと動き出す。
「ほら、早く歩きな!」
 軍服を纏う女将校が歩みの遅い子供を素手で殴りつける。
 子供は怯えながらも小さく頷き、少しだけ速く歩を進めていく。
 女軍人に挟まれる形で、地下遺跡の奥へと連れていかれる10名の子供達。
 隊を率いる女将校はうまくいっていると口元を小さく釣り上げて微笑むのである。

 ところで、古代兵器を手に入れる為、必要な要素は2つあるという。
 1つは、起動や操縦など中心的役割を担うコアルームを手に入れること。
 もう1つは、古代兵器のエネルギー源を供給する為、大勢の人間をコアルームにて虐殺する儀式を行うことだ。
 このままでは大勢のスラムの子供達が虐殺されるのみならず、スラム街そのものが破壊されかねない。
 軍が大規模に動いた状況もあり、スラム側は寄る辺を持たぬスラム民とスラムに拠点を持つクラースナヤ・ズヴェズダーは最後の手段として、ローレットへと救援依頼を発したのである。


 ローレットには、鉄帝スラムから多数の依頼が届いている。
 それらを、情報屋達がイレギュラーズ達へと紹介する場が散見され、『穏やかな心』アクアベル・カルローネ(p3n000045)もまた依頼の1つを集まるメンバーへと説明していた。
「軍の横暴の見逃すわけにはいきません」
 これまで、ローレットの活躍によって、スラムの子供達を始め、人々を救ったことで鉄帝将校ショッケンの陰謀を大きく阻害できたのは間違いない。
 痺れを切らせたショッケン率いる鉄帝群は、スラム街地下の巨大古代兵器を狙って動き出したようだ。
 現状、軍はコアルームを確保する為、進軍する舞台と、儀式に必要な子供達を運搬する部隊に分かれている。
「このままでは、子供達が虐殺されるだけではなく、スラム街そのものが破壊されかねません」
 スラムの人々を守る為にも、奮って関連依頼への参加を願いたい状況だ。

 アクアベルが頼みたいのは、ドーリスという名の女将校が率いる軍の撃破、並びに彼女達が連れている10名の子供達の保護だ。いずれもショッケンの部下に当たる。
 とある大きなフロアへと運び込まれている子供達を、ドーリスの部隊が守りに当たっている状況で、おそらくローレットに備えているものと思われる。
「彼女達はフロアに子供達を連れていき、何かをしながら待ち受けています」
 このフロアがコアルームという情報はなく、撹乱を狙っている可能性もあるが、いずれにせよ、子供達を保護せねばならぬ状況には変わりがない。
 敵も地下遺跡について完全に調べつくしている状況ではない。
 それほど時間はないが、うまく立ち回れば相手の虚を突くことができるかもしれない。
 そして、敵戦力だが、女軍人とゴーレムは別の依頼で子供達を監禁していた敵と同じ強さを持つ。
 それらを率いるドーリスは魔種となり、女軍人と戦法こそほぼ同じように戦うものの、身体能力やスキルの威力などが格段に上がっている。
 油断していると、あっさりと倒されてしまうことだろう。
「ともあれ、子供達の救出、敵の討伐とやることが多い状況です」
 ただ、この地下遺跡という場を活かすことができれば、相手を出し抜いて戦うことができるかもしれない。
「大変な状況ですが、どうか力を貸してください」
 アクアベルは改めてイレギュラーズ達へと願うのである。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様、こんにちは。なちゅいです。
 <黒鉄のエクスギア>の全体シナリオをお送りします。
 鉄帝地下にある地下遺跡。古代兵器を狙うショッケンの手先である軍人達の討伐を願います。

●注意
 この依頼に参加する純種は『原罪の呼び声』の影響を受け、反転する危険性があります。

●目的
 敵全ての討伐。
 スラムの子供達の救出。

●敵
 人間は鉄騎種(オールドワン)、遺跡を守るゴーレムはモンスターの類です。
◎ショッケン派閥の軍人
 いずれも鉄騎種の女軍人です。出世の為、武勲を立てる為なら非人道的な行いにも手を止める連中です。
 女軍人、ゴーレムの能力は拙作『冷酷なる女軍人に率いられるゴーレム』と同等です。

○女将校ドーリス
 20代後半。ショッケンの部下。
 元は女軍人達と同等の能力でしたが、武勲を立てて昇進した際、さらなる武勲をと強欲の魔種へとその身を堕としてしまっています。
 サーベル、ハンドガンを所持。

・ドレインスラッシュ……(A)神近単・流血・HP吸収
・移動斬り……(A)物中単・移・飛
・災厄の連弾……(A)物遠貫・災厄・連
・舞踏乱撃……(A)神中単・崩れ・物攻+、神攻+
・冷酷さは刃となる……(P)反・凍結系、怒り無効

○冷酷な女軍人……5人
 いずれも20代女性、上司と同様にサーベルとハンドガンを所持し、鉄騎種ながらもしなやかな体捌きで襲い掛かってきます。
 基本、剣、銃どちらかですが、まれに剣銃合わせた攻撃を繰り出すことがあります。

◎ゴーレム……1体
 全長4mある人型のゴーレム。ドーリスが好んで使用します。
 腕が地面につくほどに長く、手がやや大きく球状になっており、それを振り回して攻撃します。
 他にも、顔面からのビーム、腹部からのロケット砲を使う他、奇妙な声を発してこちらの怒りを誘ってきます。
 
・ローリングアタック……(A)物自範・ブレイク
・アイビーム……(A)神遠貫・万能
・ロケット砲……(A)物遠単・炎獄・崩れ・溜1
・スケアリーボイス……(A)神中域・怒り

●NPC
 スラムの子供10名。10歳前後の子が多いです。
 子供達の中でも、生命力のある比較的元気な子供達が集められています。
 儀式に利用する為、部下である女軍人達は手を出しませんが、ドーリスにとっては備品程度の認識なので、その限りではありません。

●状況
 鉄帝内のスラム某所にある地下遺跡。
 虐殺儀式「血潮の儀」をコアルームで行う為、囚われた子供達が運び込まれており、儀式の準備を進めております。
 この部屋がコアルームかどうかは不明ですが、戦闘となる部屋は50m四方。天井はかなり高く、5~6m程あります。
 中央に向かってなだらかな段差があり、中央部分は10m四方の平らな場所となっています。入り口付近との高低差は5m程度あります。
 事前情報は以上ですが、軍人達もこの地下遺跡の構造を完全に把握しているわけではないようです。

 入り口傍に、門番としてゴーレム。
 その後ろに、女軍人達が立ち塞がって邪魔をしてきます。
 ドーリスはフロア中央で子供達と共におり、儀式らしき準備を進めています。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • <黒鉄のエクスギア>冷酷非道なる女軍人完了
  • GM名なちゅい
  • 種別EX
  • 難易度HARD
  • 冒険終了日時2020年01月30日 22時55分
  • 参加人数10/10人
  • 相談7日
  • 参加費150RC

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧 (10人)

アラン・アークライト(p3p000365)
太陽の勇者
デイジー・リトルリトル・クラーク(p3p000370)
共にあれ
銀城 黒羽(p3p000505)
ジル・チタニイット(p3p000943)
薬の魔女の後継者
ムスティスラーフ・バイルシュタイン(p3p001619)
HOSHOKU-SHA
イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)
業壊掌
レスト・リゾート(p3p003959)
にゃんこツアーコンダクター
プラック・クラケーン(p3p006804)
救海の灯火
アリア・テリア(p3p007129)
希望の紡ぎ手
エルス・ティーネ(p3p007325)
竜首狩り

リプレイ


 鉄帝、スラム某所。
 そこを歩くローレット、イレギュラーズ達の表情はかなり険しい。
「我欲まみれの軍人か……」
 オールバックにピアスを付けた大柄男性、『死を許さぬ』銀城 黒羽(p3p000505)は呟きながら眉根を寄せる。
「これ以上の血を、命を無駄に磨り潰させはしないっす!」
「鉄帝はオレの故郷だよ。そこを力で好き勝手にしようなんてヤカラを野放しには出来ないね」
 角、瞳、爪が宝石となっている白い髪と肌の女性、『シルクインクルージョン』ジル・チタニイット(p3p000943)が力強く意気込みを見せると、銀のショートヘアの元拳闘士、『無影拳』イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)が鍛え上げたこの拳で解決をと気合を入れる。
「難しい事はわからないけれど……子供達が大変な目にあっているのよね?」
 おっとりゆるふわな長い灰色の髪の幻想種、『遠足ガイドさん』レスト・リゾート(p3p003959)は仲間達へと問う。
 古代兵器の入手をはかるショッケン派の軍人達。
 その為に、そいつらはスラムの子供を地下遺跡へと連れ去り、儀式の贄としてしまうという。
「じゃあ、助けに行かなきゃ。皆も同じ気持ち……そうでしょ~?」
 状況を確認し、レストはさらにこの場のメンバーへと尋ねる。
「大人の事情に振り回されるのはいつも子供達よね……」
 黒髪の少女の外見をした長寿の吸血鬼、『氷結』Erstine・Winstein(p3p007325)が小さく嘆息する。
「10歳の子供達かあ。孫よりちょっと上の子だね」
 頭部に宝石の角を持つ白いお鬚の『ムスティおじーちゃん』ムスティスラーフ・バイルシュタイン(p3p001619)が亡き孫を思い浮かべ、反抗期に入って大変な頃だと懐かしむ。
「可愛いってのもあるけどさ。やっぱり、酷い目にはあって欲しくないよね」
 夢や希望を潰されないように、ムスティスラーフは必ず助けようと仲間達へと告げる。
「実力不足を痛感する出来事が続いてばっかだな……」
 赤髪をリーゼントにした大柄な少年、『蛸髭 Jr.』プラック・クラケーン(p3p006804)は独り言を発してから、吹っ切れたように笑って。
「まっ、良いさ。やる事だけは変わんねぇ、ぶん殴って護る! そんだけだ!」
 スタイリッシュな黒の衣装を纏う青年、『勇者の使命』アラン・アークライト(p3p000365)も、小さく頷く。
「人を助けろ。これが勇者の……オレの使命だ。待ってろよ、ガキ共……!」
 そして、音を愛する銀髪の精霊種、『その手に詩篇を』アリア・テリア(p3p007129。
「戯曲のネタにするには、残虐に過ぎるしなあ……。何よりものすっごく腹立たしい!」
 こちらもゆるふわ系の印象を抱かせるアリアだが、少しばかりご立腹のようで。
「さっさと終わらせないとねっ!」
 彼女の言葉に頷くメンバー達は、目的の地下遺跡へと突入していくのである。


 目的のフロアに到着したイレギュラーズ一行だが、すぐには突入せずに状態を整える。
 まず、海洋王国の名門の令嬢、紺の長い髪を2つのお団子にした『大いなる者』デイジー・リトルリトル・クラーク(p3p000370)がファミリアーで従えた蝙蝠を先行させ、五感を共有して中の様子を窺う。
 儀式場とされていた場所は中央に向かって、緩やかな段差で窪んでいる。
 入り口傍にはゴーレムが立ち塞がっており、その後ろに5人の女軍人達が侵入者に備えている。
 そして、フロアの中央、底となる部分に強欲の魔種となり果てた女将校が子供達を連れている。
 恐怖に体を震わせ、狂気の呼び声に苦しむ子供達の傍で、女将校は何かを地面に描いて儀式の準備を進めていた。
 他にもこのフロアへと至るルートがあるようで、ムスティスラーフが高機動を活かして先行する。
 軍人らに気づかれてはいけないので、目的のフロアを避けるように調査を進めるムスティスラーフは別の突入口を見つけて。
「僕はこちらから仕掛けることにするよ!」
 伝達はデイジーの蝙蝠を通じて行い、彼は時間差で出ることにする。
 その間、待機している他メンバー達は。
「……見ちゃいられねぇな」
 黒羽はフロアで起きている状況から思わず目を反らしてしまう。
「本来、軍人なら守るべきはずの国や民を蔑ろにして良いわけねぇだろうが」
「せめて……せめて、あの子達だけでも……」
 怒りを漲らせる彼に、物陰から身を震わせている子供達を目にするErstineも強くその救出をと誓う。
「子供達は護りきる! 絶対に失敗しねぇ!」
 さらに、怒りが収まらないプラックが声を荒げる。
 あまりにも理不尽。あまりにもクソったれな兵器のせいで、人の命が、まして子供の命が奪われていいはずがない。
「そんな事は神様、仏様が許しても俺が絶対に許さねぇ!!」
 プラックは子供達を守る為、自らの「BBG」……ブリッツボーイ・ガントレットに力を込めていく。
「子供達が危ないのだもの、早急に終わらせましょ!」
 改めて、Erstineが気合を込めて叫び、メンバー達は一気にフロアへとなだれ込んでいくのである。

 イレギュラーズ一行は、2班に分かれて対処することにしていた。
 作戦としては、手前、ゴーレムと女軍人達の対処をゴーレム班とし、イグナート・レスト・プラック・Erstine・ムスティスラーフが抑える。
 その間に、魔種となった女将校ドーリス対処をドーリス班とし、アラン・デイジー・黒羽・ジル・アリアが当たる。
 先陣を切ったのは、プラックだ。
「トロいぜ、ゴーレム!」
 声を荒げた彼は、入口傍に立ちはだかる腕の長い全長4mのゴーレムへと向かっていく。
「先に怒らせんのは俺の方だ!」
 ゴーレムはもちろんの事、軍人達も反応できずにいるところで、プラックは魔術を行使し、この場にドデかい先手の一発を繰り出す。
「蛸髭様を舐めんなよぉ!」
 威力こそ大きくはないが、それでもいきなり溢れ出した大津波は一気にゴーレムと配下の女軍人達を巻き込んでいく。
「グレイトォ!」
 纏めて巻き込めたプラックは渾身の叫びを上げた。
「何事だ!」
 女将校ドーリスが上を見上げて叫び、サーベルを構える。
 なお、ゴーレムや配下の軍人達はプラックへと注意を向け、戦闘態勢を取り始めている。
 そいつ目がけ、Erstineは氷刃「氷呪のペンデュラム」を手にして。
「雑魚は任せなさい! この大鎌で一気にいくわ!! 子供達をお願いするわねっ」
 彼女はそのままの勢いで、女軍人へと魔術を織り交ぜて切りかかっていく。
 少し距離を取るレストがそのサポートへと当たる。
「は~い、お手当てしましょうね~」
 初手は調和の力を賦活のそれへと変えるレスト。
 ゴーレムの殴り掛かり、女軍人の剣、銃と攻撃が集中するプラックへと、彼女は癒しをもたらしていた。
 ドーリス班のジルはまず、この場を突破仕様とするメンバーの回復支援に当たる。
「レストさん、手伝うっす!」
 他班が相手にしているゴーレムのローリングアタックが飛んでくる可能性も考え、巻き込まれぬよう距離を取っていく。
 応戦してくる敵はやはりプラックに攻撃を集中させていた為、ジルもまた練達の治癒魔術を振りまいていた。
 仲間を注視する最も奥にいた女軍人の後ろへと、イグナートは回り込む。
 気づいた女軍人よりも早く、イグナートは蹴りを叩き込んでいった。
「強さってヤツは、好き勝手出来るケンリなんかじゃ絶対にない!」
「…………」
 冷酷なる女軍人達は上体を煽られながらも、体勢を立て直す。
 そいつへとさらに攻撃を加えるイグナートは、鉄帝のヒーローの1人、コングの動きを模して攻めようと意識して立ち回っていた。
 デイジーも遠距離から軍人の排除をと、不吉の象徴たる昏く光る小さな月を現し、女軍人達を個別に動きを止めていく。
「後に備えて温存したいところじゃがのう」
 ただ、そんなに甘い相手でもないこともあり、デイジーもそれなりのスキル利用を考えながら攻撃を繰り返すことにする。狙うは各個撃破だ。
「……ん、そうじゃったな」
 コウモリの報告に、微笑むデイジー。
 そこで動き出したのは、別の入り口から飛び出したムスティスラーフだ。
「しっかり狙って……」
 大きく息を吸っていた彼は数を減らすべき女軍人を纏めて狙い、緑色の閃光……むっち砲で貫いていく。
「新手、だと……」
 女将校ドーリスはこの状況を冷静に見極めようとする。
 ――まだ援軍はいるのか。相手は自分よりもこの遺跡を知っている? ならば、奴らを捕らえて……。
 うまく仲間達が相手を抑えているなら好機。
「いけるっすよ!」
 この場のメンバーの回復に動いていたジルがそう判断して叫ぶと、一足早く、アリア、黒羽、アランの3人が敵の注意を欺き、間をすり抜けてドーリスの元を目指す。
「テメェ等は人として……いや、軍人としても失格だ」
 味方が切り開いた道を進む黒羽は、闘気を全て守りに使用して強靭な鎧を形成して。
「だから、テメェ等にはここで除隊を宣告してやるよ。名誉除隊なんて立派なもんじゃねぇ、不名誉除隊さ」
「く……」
 現状、ゴーレムも配下の軍人達も動かない、いや、動けない。
 黒羽は段差を駆け下り、子供達の救出を目指す。
「よぅ、あんなガキより俺と遊ぼうぜ。お姉さんよォ!」
 儀式とそれに利用する子供達を抱えて動けぬドーリスへとアランが近づき、ブロックして一層動けないようにする。
「てめぇの汚ねェ手でガキ使共に触んじゃねぇ、クソアマァ!」
 アランはフロアに響くほどの大声で叫びかけながら、自身のアドレナリンを爆発させていく。
 完全に出鼻をくじかれた形となったドーリスは歯噛みしながらも、攻勢を覆すべく叫ぶ。
「何をしている! ショッケン様への大切な供物、全力で護れ!」
 ある程度イレギュラーズの目的を察した彼女はそう叫び、勢いを込めてサーベルで近づいてきたメンバーを吹き飛ばしにかかる。
 女軍人達は上司の一喝もあって、我に戻る。
 それもあって、回復支援に動いていたドーリス班のジル、デイジーは突破から一手遅れ、足止めを食ってしまうのだった。


 相手の奇襲はうまくいったものの、実際に交戦するとなれば実力は十分の軍人や地力だけなら個々のイレギュラーズよりも上なゴーレムもやられてばかりではない。
 以前、ゴーレム、女軍人を多く相手にし、引き付けを行うのはプラックだが、その負担はかなり大きい。
 子供達から十分距離はあると判断し、プラックは位置取りを続けながら猟犬の如くゴーレムへと拳を打ち込む。
 位置取りは、ゴーレムの攻撃に女軍人を巻き込む狙いもあるが……、プラックは出来る限り中央を背にしないようにしていて。
(「子供達にビームが飛ぶのだけは避けてぇな」)
 現状、うまくゴーレムの気を引いているが、相手が冷静さを取り戻した場合、敵は人質もろとも撃ち抜く可能性は否めない。
 再度集める手間はあるだろうが、この軍人達にとって、スラムの子供達の認識などその程度のものだ。
 そんなプラックに繰り出されるゴーレムの拳。
 さらに、女軍人は真顔で彼へと斬撃を、銃撃を浴びせようとする。
 レストはプラックを助けるべく回復にも当たるが、ゴーレムは遠距離攻撃だけが怖いわけでない。
 発する叫び声がこちらの狙いを狂わせるようならば、レストはすぐに大号令を放つ。
「しっかり気を持ちましょうね~」
 そうして、彼女は戦線の維持をサポートする。
 その間、女軍人をメインで相手にしているのは、イグナート、ムスティスラーフ、Erstineだ。
 なお、依然として、ジル、デイジーが突破の機を窺う。
 女軍人を手早く倒すべく、Erstineは仲間と共闘を心掛け、大鎌で切りかかって体力を削る。
「Zawbieat ljalid……」
「「…………!!」」
 Erstineが巻き起こす氷の旋風。
 体を凍らされた女軍人達は動きを鈍らせてしまい、顔までも凍り付かせてしまっていたようだった。

 女将校ドーリスに接敵した3人。
 突然攻め込まれた彼女は些かイラつきながらも、力を放出して。
「図に乗るな、人間如きが……!」
 すでに人間を辞めたドーリスは、人離れした身体能力で切りかかってくる。
 それらを受け止めるのは、アランだ。
 自らのアドレナリンによって、ベストコンディションとなったアランはしっかりとドーリスの刃と弾丸を受け止める。
 氷の闘気を纏い、繰り出される攻撃はかなりの威力。
 しかし、アランはそれに耐え、攻撃のチャンスを見出せば「星界剣〈アルファード〉」を握りしめ、強い踏み込みから神速の刺突を放つ。
 それでも、ドーリスも攻撃の度にしっかりと氷のオーラを刃と変え、反撃を見舞ってくる。
 そんな敵の能力を封印すべく、アリアは簡易封印をと試みるが、さすがにそう簡単にかかってくれる相手ではない。
 だが、わずかに一時でもその力を封じることができれば、それが大きな転機となって。
「何……!?」
 アリアは立て続けに蛇神の詩を……忌むべき連鎖を断ち切る為、故郷に火を放った男の詩を紡ぐ。
 ――凍る瞳は狂気、零れる涙は正気。
 ドーリスの氷のオーラはその詩歌が及ぼす悪影響に耐えきるが、その隙にアリアが声を上げて。
「ここから逃げて、帰ったらお姉ちゃんと元気の出るお歌一緒に歌おうね。約束だよ!」
 さすがに、魔種を完全に束縛するとは至らず、すぐに体勢を立て直すだろうが、子供達を逃がすには十分と判断したのだ。
「子供たちを安全なところまで守ってもらえますか!?」
 アリアはさらに、仲間へと子供達の避難を促す。
 それを予め察して……いや、最初から子供達を見ていた黒羽。
「もう大丈夫だ。俺達イレギュラーズが、お前たち全員を守るからよ」
 彼は恐怖し、狂気に苦しむ子供達を勇気づけ、いつでも逃走できるようにと機を窺っていた。
 そして、目指すは、ムスティスラーフが出てきた別の入り口。
 突入前は隅で脱出の機を窺おうとも考えていた黒羽だったが、そこなら、ゴーレムや女軍人の邪魔が入る可能性が減る。
 儀式に利用すべく、集められた子供達は気力を振り絞って出入口へと駆け出す。
 アランも子供達を連れていく黒羽の援護の為、ロバ・ロボット「メカ子ロリババア」を行かせて移動の補助をさせていた。
「させるか」
 だが、強い抵抗力ですぐに動き出すドーリス。
 移動斬りでアランを吹っ飛ばし、さらに子供を捕えようとしたところでジルが挑発ついでに呼びかける。
「これ以上遅れを取ってる上にショッケンに怒られたら、儀式成功しても絶対に昇進なんて無理っすね~」
 意識をこちらに向けたその隙に、アリアがドーリスの前に出て。
「儀式の邪魔をしないでもらおうか……!」
「ここがコアルーム? 私の知ってる情報と違うなあ?」
 子供を追おうとしたドーリスに対し、アリアは追いすがって。
「いいの? ここで子供たちを殺しちゃったら、大切なものを壊した将軍に怒られちゃうよ。『昇進』に響くかもねえ!」
 煽りながらも、アリアは衝撃を発してドーリスを吹っ飛ばそうとするが、敵は踊るように幾度も斬撃を浴びせかけて。
「図に乗るな……人間」
 血をまき散らして倒れるアリア……、いや、パンドラの力にすがり、彼女は倒れることを拒絶して。
「お生憎、人間じゃないのよね」
 精霊種のアリアは遺跡の床を剣で突き刺し、身を起こす。
 さらに、そこでアランが回り込み、再度ドーリスをブロックする。
「俺と遊ぶんじゃなかったのかよ」
 庇われた形の子供はアランの目配せを受け、黒羽を追いかけていく。
 それに、ドーリスはきりりと不快そうに歯ぎしりするのである。

 遠近両方をそつなくこなし、攻撃を仕掛けてくる配下の女軍人を相手にするメンバー達。
 デイジーが赤と青、2つの月で女軍人の動きを止める中で、順調に相手を切り崩す。
 ムスティスラーフはゴーレムが天井に引っかかることを期待し、床が高い入り口よりで戦うよう気がけていた。
 再度、むっち砲を発射したムスティスラーフ。
 女軍人1体がそれをもろに受けて倒れたところで、彼は別の入り口へと駆けていく。
 この隙を突き、ドーリス班のデイジー、ジルがこの場を駆け抜け、ドーリスを相手にするメンバーの援護へと向かっていった。
 ムスティスラーフは遅れていた子供を追っており、むっち砲に耐えた女軍人もまたそちらを追っていく。
 その女軍人をさらにイグナートが追って。
「このオレたちの力は自分よりも弱いモノを、未来を担うイノチを守るためにあるんだよッ!!」
 そいつに対し、イグナートはゴーレム側へと押し込むように軍人を殴りつけて地へと伏してしまう。
 一方、少し遅れていた子供の保護に向かっていたムスティスラーフ。
「大丈夫」
「う、うん……」
 抱きかかえられた少年は小さく頷く。
 ムスティスラーフは出入り口まで運び、少年を下ろす。
「最後まで送ってあげたいけど、戦ってる仲間をおいておくにもいかないから、ごめんね」
 子供達に一言誤った彼はまた、フロアで繰り広げられる戦いへと戻っていく。
 しばらく交戦が続き、イグナートが2体の女軍人に乱撃を叩き込んで1体を倒すと、巻き込まれた1体をデイジーが遠距離から魔力を発して倒してしまう。
 なお、イグナートは集中攻撃を受けるプラックを気がけ、囮となるようゴーレムをメインに撹乱にも動いていたようだ。
 残る1体には、戻ってきたムスティスラーフが躍りかかって。
「銃と剣で遠近使い分けられるのは、お前達だけじゃないぞ」
 鋭い刃と化した「終極幻想」を一閃させ、彼は残っていた女軍人を倒してしまった。

 ドーリスの方へと抜けたデイジー、ジルの2人。
 先にこの場にいた3人の後方へとついたジルは到着して素早く、傷つくアリアに医療知識を併用してメガ・ヒールを施す。
 同タイミング、デイジーは再度赤い月を叩き込み、不快な表情のまま戦い続けるドーリスを牽制していく。
「次はお主なのじゃ」
 デイジーの言葉に、強欲の魔種となった女将校ドーリスは一層不快感をにじませるのだった。


 すでに子供達がフロアの外へと退避したこともあり、レストはゴーレムと戦う仲間の回復支援を続ける。
 しかしながら、イレギュラーズ達は徐々に消耗し、特にプラックの疲弊が激しい。
 以前の依頼では、数人がかりで抑えた記録が残っているゴーレム。
 プラックは折を見て津波を起こしつつ抑えていたが、1人ではやはり厳しい。
 長い腕での叩きつけによって薄れかけた意識を、彼はパンドラの力を借りて繋ぎ止めていた。
 女軍人達を倒したことで、イグナートも手早くゴーレムを倒そうと全身の力を雷撃に変えて渾身の一撃を打ち込んでいく。
 しかし、プラックが倒れかけたことで、イグナートは正気に戻ったゴーレムのロケット砲をもろに浴びてしまって。
「ここまでカソクしたのに、当ててくるなんてね」
 運命の力に頼って身を起こし、口元の血を拭うイグナートをムスティスラーフが蒼碧の光で治癒に当たり、レストもまた調和の力での回復に当たり続ける。
 レストは子供達を気にかけながらも、ゴーレムを倒せず回復支援の手を外せず、動けずにいた。
 荒ぶるゴーレムは攻撃力、命中率の高さをとスペックの高さを見せつけ、イレギュラーズ達を攻め立てる。
 だが、こちらのメンバーも女軍人が倒れたことで、攻撃の手数が増えている。
 プラックも体勢を立て直しながらも、敵の胸部……心臓を殴りつけて態勢を崩しかける。
 そこへ、Erstineが追撃をかけ、縫いつけるか如く、氷の刃を振るってゴーレムの体を切りつけ、その胸部を装甲ごと切り裂いてしまう。
 動力を失ったゴーレムは頭部から光を失い、立ったままうな垂れるような体勢となって動かなくなってしまったのだった。
「これで残ったのは……」
 刃を振り下ろすErstineの視線の先、段差の途中で仲間と交戦する女将校ドーリスの姿があった。
 仲間達が駆けつけるまでの間、黒羽が全身に傷を負っていたアランと入れ替わりでカバーへと入っていたが、その黒羽とて、抑えに当たるには厳しい状況が続く。
 鋭い刃を踊るように振るうドーリスの姿は魔種でありながらも、無駄のない動きで斬撃を繰り出す氷の精をも感じさせる。
 守りに徹して敵のブロックに動く黒羽はパンドラを使いながらも、仲間の護りを続ける。
 アランも後方から、星界剣での刺突をドーリスへと叩き込む。
 そんな仲間達を癒すレストは、敵に語り掛けたかったことがあって。
「ねぇねぇ、お聞きしたいのだけれど……ここがコアルームでいいのかしら~?」
 2度目の質問。ドーリスは表面上冷静に取り繕うが、いくら軍人とはいえ、その思考を無にすることなど出来ない。
「貴様、私の心を読んだな……?」
「やっぱり、ここはフェイクだったのね~?」
 リーディングによって、相手の思考を読むことに成功したレストが微笑みを湛える。
 この場所は、ローレットの目を欺く為のものだったのだろう。
 だが、この作戦の最中で魔種として力を得たドーリスとしては、この上なくプラスとなったと感じていたようで。
「この力があれば、貴様らなぞ……!」
 ドーリスは回復に立ち回るムスティスラーフに狙いを定め、氷のオーラを纏った斬撃で体力を奪ってくる。
 運命の力を砕くムスティスラーフ。
 プラックは攻撃に立ち回りつつ、敗北した場合のことを脳裏に過ぎらせる。
(子供達は護りきらねぇとな)
 その為には、仲間達を逃がす必要がある。
 ジルもまた可能性の奇跡にすがるほどの強い想いを抱き、戦場で傷つく仲間に癒しをもたらす。
「これ以上の血を、命を無駄に磨り潰させはしないっす!」
 自らの体力を仲間に分け与えるジルは、仲間を傷つけるドーリスを注視して。
「災厄の連弾……くるっす!」
 敵の攻撃モーションを確認し、呼びかけるジル。
 デイジーがそこで、夢へといざなう冷たく輝く小さな月を敵の頭上に出現させ、戦意を削いでいく。
 ダメ押しにデイジーが神の呪いを与えれば、さすがにドーリスの顔色も変わる。
「ぐううっ……」
 体力回復が一時でもできなくなれば、イレギュラーズ達も一気に攻勢を強める。
 Erstineによる氷の旋風がドーリスの周囲に吹き荒れれば、凍らぬ敵は些か呆けた表情をしてしまって。
 そこで、アリアが絶対不可視の刃を飛ばし、魔種の身体を深い傷を刻み込む。
「バカ、な……」
 口から血を吐き、崩れ落ちるドーリスの体は徐々に灰と化していき、消え去ってしまった。
 そんな敵を見下ろすErstineが一言。
「あなたが何を思おうと知ったことではないけれど……やり方は、気に入らなかったわ」
 魔種となったドーリスはその身を狂気の呼び声に堕としてしまうほどに、武勲を求めていたのだろうか。
 自業自得と疑わぬErstineではあるのだが……。
「反転はそれ程に脅威的で、狂気的なのね……」
 その恐ろしさを感じ取った彼女は仲間と共に、通路へと向かわせた子供達の元へと向かっていくのである。


 生命の危機から解放された子供達。
 彼らは通路の先へと進むにしても場所が分からず、動けずにいたようだ。
「皆、無事かしら? 怪我はしてない? ……もう大丈夫よ……」
 子供達に駆け寄ったErstineが安心させるべく、優しく頭をなでる。
 すると、中には泣き出す子供もいたようで、アリアが優しくなだめる。
「大丈夫? 怖かったよね。もう大丈夫だからね」
 傷がないかと確認するアリアは、怪我を発見すると包帯を取り出し、止血を行っていた。
 とはいえ、戦っていたイレギュラーズ達の方がボロボロなのは言うまでもない。
「こんな傷、お前らが受けた痛みに比べりゃ大したことねぇ……よく耐えたな。ガキ共……!」
「うむ、よく頑張ったのじゃ」
 あまり慣れないことではあるが、アランは護りきった子供達を精一杯励ます。デイジーもカリスマを発揮させ、ここまで恐怖と狂気に耐えた子供達を勇気づけていた。
 そして、レストが改めた先程まで戦っていたフロアを通路から見回して。
「この場所の情報はローレットに報告が必要ね」
 この儀式場はフェイクだったが、本当の場所がどこかにあるはずだ。
 ともあれ、無事に事件を解決したこともあり、イレギュラーズ一行は子供達と共にこの地下遺跡を後にしていくのである。

成否

成功

MVP

アリア・テリア(p3p007129)
希望の紡ぎ手

状態異常

なし

あとがき

リプレイ、公開です。
MVPは子供達から本命の気を引き離し、結果的に本命を撃破したあなたへ。
今回は子供達の保護、魔種となった軍人撃破お疲れ様でした。
ごゆっくりお休みくださいませ。

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