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シナリオ詳細

<黒鉄のエクスギア>迫る銀から救いしモノ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


「おい、これでガキは最後か?」
「はっ。この辺りでは全員かと」
 馬車の中を見る男に部下が敬礼する。彼らは──声を上げていない取り巻きも──軍人の出で立ちだが、馬車内から男を見返す視線はひどく怯えていた。
 その視線に男はふん、と鼻を鳴らすと扉を閉める。外からしっかり施錠すると馬車に背を向けた。
「さっさと行くぞ。ここはもう用済みだ」
 必要なのは子どもだ。スラムにしか行き場のない弱い残りモノなど、そこらでのたれ死んでしまえば良い。

「燃やせ。全て灰にしてしまえば良い」



「シグナル・レッドな依頼よ。鉄帝からね」
 『色彩の魔女』プルー・ビビットカラー(p3n000004)の言葉に表情を硬ばらせる。鉄帝と言えば第三次グレイス・ヌレ海戦で敵として相対し、17名ものイレギュラーズを一時的に拐った国だ。拘束されたイレギュラーズは全員無事に帰ってきたが──それでも皆にとってその記憶は新しい。
 イレギュラーズたちの様子にプルーは無理もない、と頭を振った。
「安心してほしい……と言っていいかどうか、わからないけれど。今回の依頼は鉄帝の、スラム住民から寄せられたものよ」
 国が関与しているわけではないのだと言うプルー。近頃スラム街で事件を頻発させていた鉄帝軍が、痺れを切らして動き出したという知らせだった。
「彼らの狙いは地下にある古代兵器。必要なのはパール・ホワイトな魂……と言ったところかしら。
 あなた達には囚われた子供たちを解放してほしいの」
 鉄帝軍は古代兵器を動かすためのコアルームへ向かう部隊、子供たちを移送する部隊で分かれているらしい。そこへ持てる限りの兵力を投入したため、スラム街の住民がローレットへ助けを求めたというわけだ。
 同時にスラムには火が放たれたようだが、すでにそちらは他の情報屋が依頼として対応している。こちらは子供たちの救出に集中できる、とのことだった。
「子供たちは捕まった後、ある建物に監禁されているみたい。狙うなら彼らが移動していない今よ」
 移動中に奇襲をかけたとして、もしも失敗してしまえば子供たちは連れ去られてしまう。しかしせっかく捕まえたのにそのまま連れて行かず、建物に監禁しているということは、移送の準備が整っていないということだ。
「彼らの言う『儀式』に必要なのなら、その場で大勢を殺すこともないでしょう。子供たちを人質に取るようなモス・グレイなことはしないと思うわ」
 けれど、とプルーはイレギュラーズを見つめる。だからといって子供たちを無碍にしてはならない。こちらが子供の命を天秤にかければ引くかもしれないが、それは子供たちにとって良いものではないと。
「子供は多感なの。きっとチョーク・ブルーの心地でしょうから、あまり刺激しないようにね」
 信頼しているわ、とプルーはイレギュラーズを送り出した。

GMコメント

●成功条件
 子供10名の保護・脱出

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 予想外の事態は起こりません。

●エネミー
 全員が建物内の巡回、及び移送の準備に取り掛かっています。見つかればすぐにその情報が広まります。

・軍人×10
 鉄帝の軍に所属する者たちです。脳筋です。リーダーの指示がなくともそれなりに動きますが、難しい戦略は立ててきません。
 攻撃力が高いですが、命中や回避はそれほどでもありません。

・『五月雨の』ユゥ・ロー
 この部隊のリーダーです。銃を扱います。戦闘において部下への指示はしません。
 反応、命中が高いです。

五月雨:物超域:雨の如く迫る弾幕。何処へでも届かせることが彼の強みです。【万能】

●子供×10
 建物の最上階で、後ろ手に縛られて部屋へ押し込まれています。足は縛られていませんが、何かあれば厳重に拘束されていたでしょう。
 抵抗できないようにある程度は痛めつけられているようですが、致命傷を負っている子供はいません。
 上記のことから非常に警戒心が強いです。

●フィールド
 3階建の建物です。使われていない刑務所を利用したようで、建物の中には頑丈な牢屋が多く存在しています。どれも鍵が壊れており、最上階の牢のみ無事だったようです。
 建物はコの字型になっており、中庭を進むと入り口があります。中庭は広めで、十分に距離をとって戦うことができます。室内はその限りではありません。
 最上階の牢屋の鍵はユゥが所持しています。

●ご挨拶
 愁と申します。
 手遅れになる前に子供たちを救いましょう。スラムの子供にも、帰りを待つ誰かがいるはずですから。
 『<黒鉄のエクスギア>揺れる赤より助けしモノ』と多少の関連はありますが、排他処理はないので同時参加も可能です。
 ご縁がございましたら、よろしくお願い致します。

  • <黒鉄のエクスギア>迫る銀から救いしモノ完了
  • GM名
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年01月30日 22時55分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

チャロロ・コレシピ・アシタ(p3p000188)
魔動機仕掛けの好奇心
ラダ・ジグリ(p3p000271)
剣砕きの
清水 洸汰(p3p000845)
理想のにーちゃん
ジェイク・夜乃(p3p001103)
『幻狼』灰色狼
ラルフ・ザン・ネセサリー(p3p004095)
我が為に
華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)
お節介焼き
ステラ(p3p005106)
未来へ
ラヴ イズ ……(p3p007812)
おやすみなさい

リプレイ

●希望への想いは遠く
「こんな事って……マジ許せねぇ!」
「軍にも事情はあるのかもしれないけれど、生贄なんて……そんなの許せるわけがないよ!」
 打倒軍人、と『雲水不住』清水 洸汰(p3p000845)と『魔動機仕掛けの好奇心』チャロロ・コレシピ・アシタ(p3p000188)が眦をつり上げる。自分たちより小さな、悪事を働いたわけでもない子供たちを生贄になんてさせるわけにはいかない。
 彼らの後ろでは『剣砕きの』ラダ・ジグリ(p3p000271)の入手した地図を見下ろしながら『『幻狼』灰色狼』ジェイク・太刀川(p3p001103)が何箇所かに印を入れていた。建物の中へ紛れ込んだ小動物は駆け回り、中の様子や見張りの状況などをジェイクに見せる。
「あとはここだ」
「全ての見張りと戦わない経路は……流石になさそうだな」
 地図を見下ろしラダが呟く。剣戟や声が聞こえれば、他の箇所を見張っている者も来るかもしれない。
 経路を確認する2人だが、その心持ちは対称的。軍人たちへの怒りが煮え立っているジェイクに比べ、ラダはひどく静かな面持ちだった。
 子供たちの命を軽く見ているわけではない。けれど戦争に捕虜は付き物で、そうなってしまうのは必然的に立場の弱い女子供だ。故に怒りというほどのものはそう抱かなかった。
 当然の展開。だから仕事として捕虜たる子供たちを取り返す。そういった認識である。けれども──頼まれた分、サービスは多めだ。
(それにしても……誰も出てくる様子がない、ということはユゥもあの中か)
 鋭い聴覚で周辺の音を探っていたラダは敷地から誰も出てこないことに気づいていた。願わくば敵将とも言えるユゥが不在の折に仕掛けたかったが──そう長い時間もかけていられない。
「注意の感情を持っているのは、あのあたりと、あそこだ」
 チャロロが感情探知でだいたいの位置を把握し、味方へ伝える。人助けセンサーは上の方で反応を感じるが、思いの他少ないようだ。
 諦めてしまっているのだろうか。もう助けがこない、と。
「急ぎましょう、子供たちが心配」
「ああ、今ならまだ間に合うからな。待っててくれよ、皆!」
 こんな場所まで連れてこられ、痛めつけられているという子供たちに笑顔はないだろう。『おやすみなさい』ラヴ イズ ……(p3p007812)は彼らが、弱き者が笑顔でいられないことが嫌だった。深く頷いた洸汰が建物の方を見やる。
 まずは入り口付近にいる男からだ。
 増強剤を打ったラブは拳銃の安全装置を外し、構える。おやすみなさいを呟いて──発砲音が、1発。


●希望たる者は上へ進む
「ぐっ……敵襲だっ!」
 ラブの銃弾を受け、次いでジェイクが降らせる雨のような攻撃に呻く男。さらにラダが男を牽制する。突撃するイレギュラーズたちを追い抜くように、ワイバーンポーションで身体能力を底上げした『パンドラの匣を開けし者』ラルフ・ザン・ネセサリー(p3p004095)の光球が襲いかかった。
 男の振り下ろす剣を受け止めながら、『お節介焼き』華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)が自らへミリアドハーモニクスかけて癒す。こんなところで1人として欠けさせるわけにはいかない。目指すは最上階、子供たちのいる牢屋だ。
「子供達を泣かせる事は、私の正義が許容しないのだわ!」
「あたしが戦うのは正義感なんかじゃないけど……子供が酷い目にあうのは嫌悪感を覚えるし、許せないし、それは絶対に助けるよ」
 毅然と言い放った華蓮。敵の背後から『トリコロール』ステラ(p3p005106)が壁をすり抜け奇襲攻撃をしかけた。防具に守られながら振り返った男は、しかし洸汰の声にまた振り返りと翻弄されることとなる。
「ハイターッチっ!」
「は……?」
 気の抜けた声を出しながらも、ついつい出された手にハイタッチしてしまう男。元気チャージした洸汰に対し、体が重く感じる気がした男は気を取り直すように武器を構える。
 そこへ乱入してくるのは外にいた軍人たち。恐らく子供たちの移送準備に取り掛かっていた者たちだろう。
「ここではいい的だ、駆け抜けるぞ」
 ラダの言葉にイレギュラーズたちが建物へ入ろうと駆け出す。それを止めんと軍人たちも続いていった。それにより近くまで接近されたラヴは、咄嗟に1人を吹き飛ばす。
 ジェイクはちらりと中庭を、そして建物の窓を一瞥する。できることならここから銃弾をぶち込んでやりたいところだったが──さしもの鉄帝人も、窓の近くにいれば狙われると理解しているようだった。

 鉄帝軍人の攻撃はなかなかに痛いが、8人で応戦しているとなれば流石に数の利がある。倒れた軍人へ追い打ちをかけてトドメを刺しにかかったラルフは、流れ込んでくるそれに眉を寄せた。
 ギフト《ワイルドハント》によって知識は得られた。しかしそれはこの部隊が出発するという何気ない記憶だ。
(……だが、ユゥの顔を知ることはできたか)
 全く収穫がないよりは良い、とラルフは仲間たちの後に続く。
 見張りは1人か2人。小さな音はラダが鋭く察知し、身を隠していてもチャロロの感情探知には隠れられない。小さな交戦と近づく気配からラヴは敵の巡回パターンや連携の仕方を推察する。イレギュラーズたちはやがて最上階へ続く階段の前まで到達した。
 そこで待ち構えるは、軍の兵士数名と1人の男。その男の顔をラルフはつい先ほど知識として蓄えたばかりだった。
「来たか」
 ここへ来ることをわかっていた、というようにその男は告げる。その手元では何かを収めた袋がもぞもぞと形を変えていた。
 男──ユゥがそれを地面に置くと、開いた口からハムスター飛び出してくる。途中からファミリアーの視界が暗闇一色となったのはこういう事だったらしい。ジェイクはファミリアーである小動物を回収すると、どういうつもりだと睨みつけた。
「こんな場所に動物はいないものでな。だが、無用な殺生はしない主義だ」
「スラムの皆を殺すのは……無駄じゃないってこと?」
 ステラの言葉にユゥはその通りと頷く。ある者は眉根を寄せ、ある者は怒りを露わにし──ジェイクの怒号が響いた。
「ふざけるな! 大人が子供を生贄にするなんて許されるわけがない」
「許されるかどうかなど、関係ないのだ。ここは鉄帝。強さを求める国」
 そうだろう?
 問うたユゥは俊敏にラブへ銃口を向け、引き金を引いた。雨のような弾幕が彼女を中心に降り注ぐ。
「子供の命で動く兵器だなんて、そんなもの使うほど鉄帝は非道な国になったのか!」
「……軍人たる存在が守るべし最たる存在である子供を使うとはね。中々見下げ果てたものだ」
 チャロロが歯を食いしばって突撃していき、ラルフの身をゆらり、と魔力が包み込む。微かな追い風が、さあ行けというようにイレギュラーズの背を押した。

「あっ今のズリーだろ!! なしだなしー!!」
 戦闘中に似つかわない駄々をこねる声。更に上へ進む階段を背に、兵士たちを引き付けた洸汰が猛抗議する。
「体格の差だ、小僧!」
 にたりと笑う男が剣を振りかぶり──しかしその刃は彼まで届かない。再び華蓮が身を挺して庇ったのだ。ぐらり、と小さくよろめいた彼女はそれでも天使の歌で皆を、自らを癒す。
 戦う者、鉄帝軍人たちには彼らの正義があるのだろう。けれどそれはイレギュラーズも同じ──そしてそれが相反すると理解しているから、負けられない。
(あたしは、この国のスラム出身だから。他人事にしておけない)
 アクセルビートで兵士たちを翻弄しながらステラは心の中で独り言ちる。そう、戦うのは正義感ではなくあの場所への愛着。火を放たれたスラムはあんな場所でも故郷で、子供たちが今を生きている場所だ。そこを滅茶苦茶にしてほしくないから──ステラは武器を取る。
「兵隊さんにも子供がいたりしないの!?」
「残念ながら、独身でな」
 レジストクラッシュで執拗に仕掛けるチャロロへ、ユゥは肩を竦める。自らの行為に痛む心はないらしい。放たれた五月雨に巻き込まれながらも、ラダは身の丈サイズのライフルを構えた。
「雨模様なのは、そちらも同じだ。……勝手に他人の家族に手を出した見返りは受けて貰うぞ」
 降り注ぐ鋼の驟雨。体勢を崩し、ユゥの射線から逃れていたジェイクが射撃戦で相手の自由を奪う。ラルフが的確に貫手を見舞い、攻撃に攻撃を重ねたそこへラヴの魔砲が放たれた。
「これでおわりよ。おやすみなさい……」
 兵士たちが、そしてさしものユゥも巻き込まれ。しかし鉄帝人の丈夫さは異常と言っても差し支えないかもしれない──彼らはまだ、立っていた。
 最も与えられたダメージは少なくない。余裕をまだ感じられるのはユゥ1人くらいであった。戦況を見たユゥはふむと小さく漏らす。
「──これをやろう」
 彼が懐から放ったそれをラルフが咄嗟に受け止める。顔に当たりそうだったそれは、鍵だ。
「何の鍵か、察しはつくはずだ」
 彼の言葉に眉を寄せるラルフ。もちろん察しはつく。だからこそ、相手の意図がわからない。
「言っただろう。無用な殺生はしないと」
 撤退だ、という言葉とともに兵士たちがユゥを背で囲む。戦闘中は何も指示をしなかった彼の、初めにして最後の命令だ。
「必要になればまた狩りに来れば良い。子供など容易く捕まる」
「待て……っ」
 追おうとしたラルフ目掛けて五月雨が降る。避けるには難しい弾幕を耐え、顔を上げたラルフの前に敵の姿はなかった。


●ただいまを言おう
 追うか否か。一瞬の逡巡とともに、多くのイレギュラーズは否と選択する。
 此度のオーダーは子供の救出だ。戦闘に区切りがついたのならば、子供の元へ向かってやる方が良いだろう。
 ユゥが放った鍵を救出班へ渡し、ラルフは炎の剣で戦闘の残骸を焼き払う。子供たちが怯え怖がりそうなものは全て隠蔽するのだ。
 何名かがラダへ武器を預け、子供たちのいる牢へ向かう。ラダはそれらを落とさないよう抱え、ここまでの輸送車両を探そうとしたステラに「馬車がある」と声をかけた。
 頷いたステラはなら建物の中を見回ると行って駆け出す。その手には武器を持ったままだ。
(息のある兵士がいたらとどめを刺さないと)
 不意打ちなどごめんだ、と兵士たちを倒した場所へ向かうステラ。しかしそのどこにも、彼らの姿はなかった。
 おそらく、ユゥが叩き起こすなりして撤退させたのだろう。一通り見回ったステラは引き返すことにした。
 そろそろ子供たちは落ち着いているだろうか、と考えながら。

「お待たせ、ヒーロー達が助けにきたわ。悪い人たちは、もうみんな倒しちゃったから平気よ」
 武器を置き、血を拭いて。笑顔で登場したラブに、牢屋内の子供たちは警戒心を向ける。
 何も言わずに睨みつける子。その背に怯えて隠れる子。どの子供も傷が多く、何ともいたたまれなかった。
 ポロポロと涙をこぼし始めたラブに、子供たちはぎょっとした表情を浮かべる。彼らからしてみれば知らない人が訪れてきて、突然泣き出したのだから自然な反応だろう。
 涙をこぼすラブは、それでも笑う。涙を止めることはできないけれど、それが世界に与えられた贈り物(ギフト)だから。
「もう、大丈夫。安心していいの」
 ラブの言葉に目を瞬かせた子供たち。洸汰が牢の鍵を開け、にっと笑みを浮かべる。
「痛かったな、怖かったな……だけど、待っててくれてありがとうな」
 同じ年頃の少年、に見える洸汰に興味の視線が向いた。それもまた、世界の贈り物。
 鍵の開けられた牢へ入り、彼らの目線へ合わせるように華蓮が膝を折る。
「皆、こんにちは」
 再び警戒の色を見せる子供たち。1人ずつと目を合わせながら、華蓮は優しく声をかける。少しずつでも心を解きほぐさなくては、と。
「大丈夫……私達は助けに来た。貴方達を傷つける人はもう居ない……たとえ居ても、必ず守るのだわ」
 救急箱を開き、触ってもいい? と1人に問いかける華蓮。一瞬ビクッと肩を震わせた子供は恐る恐る頷いた。それを確認した彼女は前から抱きしめるようにして、後ろ手に縛る縄へ手を伸ばす。他の子供も同じように。
「もう大丈夫だよ。よく耐えたね」
 チャロロもそう声をかけながら縄を解く。手が自由になった子供たちは不思議そうにチャロロを見た。洸汰の方もだ。
 同じ年頃の子供がやってきた、と。同じように捕まって来たというわけでもないのに、と。
 天使の歌で傷を癒した華蓮は、残る小さな傷の手当てしようと順番に子供を呼んだ。手当てとともに手作りの菓子を食べさせる。
 残る子供たちを引きつけるのはピョコピョコと踊るダンシングフラワーくん、通称ダンくんであった。何これ、という言葉に反応して踊る手乗りペットは、子供たちの良い興味対象となったらしい。
「……おかあさんみたい」
 ポツリと子供が呟く。中には親を知らない子もいるようだが、呟かれた言葉に賛同する子も複数いた。
 そうかしらと華蓮は小さく笑って、子供たちを抱きしめる。怖かったねと、頑張ったねという言葉をかけられて、ようやく強張っていた子供の体から力が抜けた。
 その足元をたたた……と走るのはダンくんではない。暖かくてふわふわな……そう、ハムスター。荒くれ者が近づけば怯えさせてしまうだろうというジェイクなりの気遣いであった。

 牢屋から出てきた子供たちと、戻ってきたステラが鉢合わせる。飴欲しい? と問うと次々手が上がった。
「全員分はないんだけれど……」
 ええ、と声を上げる子供たちはだいぶ緊張がほぐれてきているようだ。ぱらぱらと手を下ろしたのは中でも年長な者だろう。
 少し苦いよ、と言いながらギフトで出したコーヒー飴を渡すステラ。その隣でラルフは子供たちと目線を合わせた。
「君達は悪い夢を見ていたのさ。早く家にお帰り、きっと心配している人達がいる」
 うんと頷く子供たち。じゃあ行くぜ、とジェイクがハイセンスとファミリアーで戦闘跡のない場所へ誘導し、ラダの馬車へ連れて行く。外に出たラルフはゴーレムを呼び寄せ、馬車の中ではラダがホットミルクを用意して待っていた。
「寒かったろう?」
 渡されるマグカップは冷え切った指先を温めて、それがどうしようもなく子供たちの目を潤ませる。そんな子供たちへステラは口を開いた。
 飴がどうとか声をかけてみたけれど、本当に言いたかったのはこれだけ。

「──おうちに帰ろう」

成否

成功

MVP

ラヴ イズ ……(p3p007812)
おやすみなさい

状態異常

なし

あとがき

 お疲れ様です、イレギュラーズ。
 ユゥ及び配下の軍人は撤退しましたが、子供たちは全員無事に保護することができました。

 笑顔の国から来た貴女へ、今回のMVPをお贈りします。
 母のような慈愛を持つ貴女へ、称号をお贈りしています。ご確認下さい。

 またのご縁がございましたら、よろしくお願い致します。

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