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シナリオ詳細

<黒鉄のエクスギア>音もなく忍び寄りて事を成せ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


「みんなが働きものだったから」
 『そこにいる』アラギタ メクレオ(p3n000084)が神出鬼没だというのは本当らしい。
「ショッケンさんは強硬手段に出ちゃうみたいだ」
 場にいる者の顔つきを見て、あれ。と首をひねる。
「ショッケンさん。知らない? 第三次海戦でなんかイッツの街か知れーっと帰ってきて根回しにいそしんでた将校ショッケン・ハイドリヒさん」
 百歩譲って知っていたそして、そんなかーるく呼ばれていると誰が思うか。
「モリブデン地下に眠る巨大な古代兵器を手に入れるという作戦なんだって。地域住民には再開発事業によって生活を向上させると説明して掘り返し始めてー、埋まってるのが小鯛兵器っぽいって確信持ったらもう強硬策もいいとこだよね。非道!」
 実際、そういう話もローレットで処理されてきた。メクレオの言うとおりだが、軽い。
「で、最初に言ったとおり、みんなが働きものだったから計画はゾウガメの歩みと化し、このままいくと強行突破のしわ寄せがくるーってブチ切れて持てる限りの兵力を投入して古代兵器奪取に動き出した。向こうもケツに火がついてるってこと。ここまでいい?」
 よくなくても話すけど。という一言が余計だ。
「で、連中が絶対したくちゃいけないことは二つ。起動や操縦など中心的役割を担うコアルームを手に入れること。もう一つは――みんな口に手を当てて――そう。静粛を保つ努力をしてね――」
 メクレオは、珍しく言い渋った。
「古代兵器のエネルギー源を供給するため、大勢の人間――生命力の高い子供が望ましい――をコアルームにて虐殺する儀式を行うこと。あ、望ましいって言ったの俺の見解じゃないから。魔術的にそう言う様式なんだって! 専門じゃないからよく知らんけど!」
 静粛に。と、メクレオはもう一回行った。
「このままでは大勢のスラムの子供たちが虐殺されるのみならず、スラム街そのものが破壊されかねない。んで、相手は軍隊。国家権力。スラム民とスラムに拠点をもつ軍に批判的な宗教団体クラースナヤ・ズヴェズダーはローレットへの救援依頼。ローレットは依頼を受理しました。はい、経緯の説明終わり!」


「んじゃ、本題の中身行くよ。コアルームを目指すショッケンさん配下を待ち伏せしてボコる単純なお仕事です」
 メクレオが言うと全て簡単そうに聞こえる。
「待ち伏せ場所は、スラムの住人から情報提供された重要分岐点になります。そこを通りないとコアルームがあると思しき区域にいく非常に遠回りかつ不安定なルートを通らないといけないので絶対徹部隊がいると判断されました。たーだー」
 いやな予感がする。
「そこに到達するために選択されるルートがすごく狭くって、あんまり重装備だと通れない。ついでに戦場になりそうなとこもめっちゃ狭い通路が入り組んでる。天井は崩れてるからまあまあ高い! 膝への負担については安心!」
 そんなしょうもないことはどうでもいい。
「四人組×2で構成された部隊がショッケンさんの定番だから、ここにもそれが来る。だから、装備は薄く軽く。得物は短く。動作は俊敏、仲間と敵は間違えないのが理想なんで、そういう感じで」
 幼児に四角をたくさん書けと言ったらこういう風になりそうだという紙を目の前に出してきた。日本出身のウォーカーなら、崩れたみそ汁の豆腐のスケッチというだろう。
「スラムの民から聞き取って作った、現場になるだろう場所のスケッチ。これがみんなのアドバンテージになるから頭に入れておいて。物陰に潜んで通りかかったところを一人一人始末していってほしいんだ。大技使われると崩れるかもだし、そうすると下層に拉致された子供たちが危ない」
 メクレオは、すごく簡単なことのように言う。
「敵に大技を使わせない。こっちも使わない。こっそりこそこそよろしくね。場合によっては崩れるから気を付けてね。マジで」

GMコメント


 田奈です。
 入り組んだ細い通路で曲り道出た人影を素早く判別しなくてはならない暗くて狭くて怖い戦場です。
 派手なぶっ飛ばしではなく、小さくさっくり必殺系。もちろん魔法でも毒でも罠でも構いません。


敵・ショッケン配下歩兵部隊
 きちんと訓練されている正規の軍隊です。
 小銃・拳銃・軍用ナイフなどで武装しています。
 お互いの位置確認は密にしようとする半面、全体のために個を犠牲することも厭いません。
 崩落するかもしれないことは知りません。

●場所・スラム街と地下遺跡の結節点。崩落しかけの盗掘孔跡
 地下ですので、天候の影響はありません。
 暗所ですので、対策をお願いします。明かりは敵を呼び寄せることになりますがそれが有効になることもあるでしょう。
 自然にあった裂け目を無計画に掘り進めた、一人普通に通れるかどうかの細いアリの巣状の抜け穴が入り組んでいます。この階層は高さは5メートル以上あります。
 体形にフィットしていない鎧はひっかかったり通れなくなったりします。
 また、両手武器なども取り回しが厳しくなりますので、マスタリングで行動にマイナス修正が発生します。
 壁にくぼみがあるので、身をひそめたりするのは可能です。
 非常に壁が多く、路地も真っすぐという訳ではありません。
 射程は最も長くて中。この区域は構造物として大変もろく、単体攻撃より効果範囲が大きい場合は構造物を崩落させる危険があります。
 下層の保全の目的から、今作戦では単体攻撃以外は非推奨です。
 暴れれば、火葬にとらわれているスラム街からさらわれた子供達の命が危険にさらされます。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • <黒鉄のエクスギア>音もなく忍び寄りて事を成せ完了
  • GM名田奈アガサ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年01月29日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

エンヴィ=グレノール(p3p000051)
ふわふわな嫉妬心
キドー(p3p000244)
盗賊ゴブリン
ジル・チタニイット(p3p000943)
薬の魔女の後継者
アト・サイン(p3p001394)
観光客
シュリエ(p3p004298)
リグレットドール
黒金(p3p006988)
ちいさな元魔王
ソア(p3p007025)
雷虎
リコシェット(p3p007871)
跳兎

リプレイ


 無秩序に掘られたモグラ穴。息をすると砂より細かい乾いた泥の粒子で呼吸が苦しくなる。
 希少鉱物を求めて執拗に掘られた採掘場。
 靴の裏で剥離した壁の破片がゴロゴロする。
 ヒトなど寄り付かない区画。よどんだ空気が動いている。下の階層に向かうならば、ここは通らざるを得ない結節点だ。
 確かな情報筋から行くと、ここで片付けるのは八人。二人組が二つ。更にその倍。
 4人と4人に分かれたのを、こちらの4人と4人でそっと片付ける。派手な騒ぎにはしない。あてにしていたものがいつの間にかなくなっている方が敵への揺さぶりには効果的だ。敵の戦線は分断し、殲滅する。

「オウオウ」
『緑色の隙間風』キドー(p3p000244)が、壁にへばりつきながら空気の動きの元に鼻を鳴らす。
「また好き勝手やってくれてるじゃあねえの」
「こういう所を通るっていう情報が漏れた時点で、何というか御愁傷様って感じだにゃ」
『爆殺人形』シュリエ(p3p004298)は、にゃー。と、小さく鳴いた
「狭くて暗い場所はあまり好きじゃないんだけれど、得意といえば得意かな」
『雷精』ソア(p3p007025)は、手指を曲げ伸ばししながら言った。
「背は小さな方だし、何といってもボクの武器はこの手足、防具はこの体一つだもんね、えっへん!」
『シルクインクルージョン』ジル・チタニイット(p3p000943)は、三人に布を渡し、白目のない瞳でニンマリ笑い、同じ布を自分の首に巻き付けた。
「僕も首に巻いておくっすよ」
 そのあとフードをかぶり倒した。識別票代わりだ。
「そうそう。小さいってのは役に立つ。こーゆー狭くて暗い所はゴブリンの独壇場」
 キド―は腕に布を巻き付けた。
「ま、連中もプロだ。殺さずに済む相手じゃあねえ」
 サイバーゴーグルを起動する。
「サクッと始末してやろう」


 ネズミなどどこにでもいる。
 たまたまそれが 『跳兎』リコシェット(p3p007871)のファミリアーだったという話だ。
「来たようだ。向こうはもう動き出した」
「あっちからきたんだね」
『観光客』アト・サイン(p3p001394)は、支給された地図を指でなぞりながらふんふんとうなずいた。
「私もそろそろ通路に潜もうと思う」
 リコシェットの表情は硬い。
(普段ならあんまり、受けない仕事だけど、子供たちの命がかかってるなら、四の五の言う暇はない)
 さらわれた子供たちはスラムの孤児だ。時期がずれていたら、血の底に連れ込まれていたのはリコシェットだったかもしれない。
(子供を犠牲にして動く兵器。それを容認する軍人なら、もう盗賊と一緒だ。覚悟を決めて、終わらせる……!)
「僕もそろそろ罠を仕掛けるよ。これでまずは隠れ場所と一本道を作ろう」
 後が取り出したのは巨大な布だ。天井から吊り下げる泥のカーテン。
「出来る範囲で協力するわ」
『ふわふわな嫉妬心』エンヴィ=グレノール(p3p000051)が言った。
「隠れ場所は通路の天井側にするつもりだったからちょうどいいわ」
「なら、僕は余裕ができるな。陣地を構築して殺戮と混乱の中に叩き落とす」
 三人は、それぞれ地図の一点を押さえた。そこがおのおのが潜むところ。
 しくじった時にとっさに見てはいけないところだ。
「ぼくはみんなが騒ぎ立てて連中を誘導してくれると思うからその延長線に」
『ちいさな元魔王』黒金(p3p006988)はそれぞれが指さした場所から指を滑らせた。
「その最後尾の一匹をそーっと、ザクッと。味方と間違えないようにみんなの目印よーく見てよーく聞いて動くようにしなきゃね」


 知識は伝播する。異界の知識は拡散し、混沌は更に新たなマーブルを作る。
 ジルはアトにカーテントラップの作り方を習っていた。教わったことを実践する手指の確かさに学者の自負が宿る。
 その陰に潜み、サイバーゴーグルで視界を確保した。電子機器で再構成される世界は現実より精緻でほんの少しだけノイズが入る。
 的確なハンドサイン。規律正しい行動。警戒、確認、前に向かって進んでいく斥候。
 その背を援護する最後尾に陣取った歩兵はバディと視線を交わし、自分たちの前後左右の敵影はないと確認した。
 亀裂のようにしか見えないところを通らなくてはいけない。
 不自由な行軍。もし、これが屋外で幸運にも月夜だったなら、自分の陰にもう一つ小さな影が落ちているのに気が付いたかもしれない。だが、残念ながらここは地下で、当然月など出ていなくて、だから歩兵は自分の頭上に手足をつっぱらかしたゴブリンが手指の先まで力をみなぎらせながら薄笑いをしながら潜んでいるなんて気が付かなかったのだ。
 オマエヲコロスとあらん限りの意思の力を硬く硬く練り上げたそれを頭頂めがけて全力で振り下ろされた兵士には何が起こったかなんてわからなかったし、急に水気を含んだ音がしたことに気が付いたバディが周囲を見回したときに、音もなく飛んできたものがジルによって投げつけられた毒の結晶だなんてそれが首に刺さるまでは全く分からなかったのだ。
 ヒューっという風が通り抜けるような音がして、暗闇は死体を二つ飲み込んで、沈黙を取り戻した。
 闇の向こうの気配が少しわだかまった。
 様子を見に来るなら、ジルが泥を塗りこめたカーテンの向こうで毒の結晶を再凝結させていたし、先を急ぐならキド―がさらに追い込む。
 気配は動き出した。キド―が三角跳びの要領で壁を蹴っていったのがゴーグル越しに見えた。
 とても見事な跳躍だったので、自分以外の誰も見ていないのが残念だ。と、ジルは思った。

 板にはびっしり釘が打ちつけられていた。
「ペグとロープを使って、これをこう吊るしてほしいんだ」
 アトはエンヴィに手渡した。
 天井に仕掛けられる罠。準備は着々と進んでいる。

「ねえ、どんなきもち……? なぶり殺そうとおもってたおこちゃまになぶり殺されるのって……?」
 黒金は兵士の耳元でささやいた。
 問うたところで兵士には応えようがない。静かに殺さなくては他のヒトの邪魔になる。みんなで静かに一人づつ片付けていこうと決めたのだ。だから、拷問器具でなぶり殺される兵士に声を出されては困るのだ。全部覆うことはできないのにその手に宿る力が兵士の顎、鼻、口の動きを阻害し、吐息一つ漏らせない。容易に声を出すこともできない苦痛が「こんなので生きられるわけがない」と諦観をあおって寿命をごっそり奪っていく。
 その様子をエンヴィは見ていた。
(暗く、狭い抜け穴……高さがあるだけ、まだ閉塞感が緩和されてるのが救いかしら?)
 エンヴィは壁の凹凸に体を預けるようにして身をひそめた。
 今、アトの手伝いで穴掘りをさせられたところだ。ほろほろと崩れやすい土質でよかった。逆に、メクレオがあれほど大技禁止と言っていた理由もわかった。少し乱暴したら下層まで崩落しそうだ。
(落とし穴一つくらいなら大丈夫だろうけど――あんなこと思いつくなんて妬ましいわ)
 嫉妬の気持ちは抑え込んで、標的に意識を映す。只の割れ目としか思えない通路に潜んでいる兵士。地図がなければ見逃していたかもしれない。
(よくこんな通路を見つけた物ね……妬ましいわ)
 始めは石を投げて相手を攪乱しようかと思ったが、この状況では難しい。だから、別のことで相手の気を引くことを考えたのだ。
 黒金が始末した兵のバディ。その視界から消えた仲間を探し、わずかな小石の反響音に顔を上げた瞬間、彼の視界が溶けて崩れてそのまま消えてしまってそれを認識する彼の意識も消えて戻らなくなった。
 お前の頭のただなかを悪霊が貪り食っていったのだと兵士に分かるように教えてくれる者は誰もいなかった。

 アトは、エンヴィが掘った穴に杭を突き立てた。この程度なら崩れないようだ。

 手触りの良い黒マントに身を包み、シュリエは気配を殺している。耳を鳥羽立てれば、一定のリズムで金属がこすれる音がする。狙いをつけた小銃持ち。
(何となく範囲攻撃持ってそうだしにゃ)
 生き人形の目玉はヒトではないので闇を見通す。人に似せた器の中に封じられた人ならざるものをほんの少しだけ取り出して、小さな球を作るのだ。
「残念、お前達の任務はここで終わってしまった……なんてにゃー」
 囁きは空気を震わせるまでには至らないが、兵士の生命活動には大きく影響した。
 体の痛みと共にまともに動かなくなる手指、視界を侵食する黒。膝から崩れ落ちる衝撃。引き金に指を置いたら敵ではなく自分の足を撃ってしまいそうな気がする。
「存外しぶといにゃー……」
 赤く錆びた砂地からヒトを貫くほどの水晶の槍が生える不思議。
 この兵士がこと切れたら、範囲攻撃しそうなやつを優先して倒す。
 シュリエは耳を澄ませて目を見張る。ヒトではないので暗闇は見通せる。

 兵士たちは知らない。視界が悪いのはこの階層の特徴ではなく、アトがほおった発煙手榴弾のせいだということを。

 気が付くと自分と相棒しかいない。
 どこかの分岐ではぐれたか? 装備が引っかかっているだけか?
 同胞の名前を呼ぶ。何度も。返事はない。自分の声が反響する。相棒が首を横に振った。もし、ここに敵が潜んでいるなら、今ので自分達の場所が知れた。まず――と思った瞬間。兵士にはなにが起こったかわからなかった。ただ、自分の命が脅かされているのはわかった。
 ソアはヒトを殺すのに抵抗があるが、この儀ばかりは仕方がないと思っている。
「よく分らない機械なんかのためにさらった子供を捧げてしまうなんて許せない」
 口の中で呟いてみる。確かに自分の考えだ。だからこれは狩りなんだ。と、ソアは思う。必要で大事なこと。そして、抵抗が興奮に変わる。息をひそめていたくぼみの前を叫びながら歩いている兵士が通りかかったのだ。叫んでいた兵士が不意に黙り込んだ。兵士が仲間から応答がないことに息をついた瞬間それが組み打ちねじ伏せるタイミングだった。
 兵士が我に返って凝視した時彼の上には少女がのしかかっていた。目が大きく口元から八重歯がのぞいている。愛らしい顔立ち。その目が直接眼球から視神経をからめとり叩きこまれる視覚情報に乗った魔力が脳髄にしみこみ機能を殺す。息を吸い吐き出す前に捕食者の瞳だけをそのままに少女はミチミチと通路いっぱいに膨れ上がってギリギリと押しつぶす虎となり、八重歯は牙で狭くてどうしようもタイから必然と言った風情で兵士の喉を噛みちぎった。

 静寂は焦燥を煽り、判断力を鈍らせる。
 だから、兵士が自分の足元に潜んでいるモノに気付くのが遅れたのも仕方のないことだったかもしれない。
 ガリリと音がして野戦ブーツをかきむしる振動。巨大な鼠が兵士の爪先を一心不乱にかじっていた。
 反射的に鼠を蹴り飛ばす。脳裏に伝染病の恐怖がよぎる。悲鳴やましてや怒号を上げなかったのは褒められてよかった。ホルスターから銃を抜き鼠に照準を合わせる。兵士としてありえない悪手だ。実践訓練で教えられているはずだ。妙なタイミングで現れる小動物は――
「軍人なら己の命を使うのも当然。けど、軍人じゃない人間。それも子供を狙うのは、違うだろ……?」
 使役獣である可能性が高く、そばに術者が潜んでいるはずなのだから。
 リコシェットは格闘で挑んだ。撃ってしまえば簡単だったが音は立てずにやると決めていた。
 兵士は撃った。教練書通りの二点射撃。黒いジャケットに条痕が刻まれる。
 その手首があらぬ方向を向き、更に兵士の呼吸を止める衝撃がたたきつけられた。雷がそこに落ちたように。

 観光客は、果てのない迷宮を目指す。ここもその一つの道程で先に進むには片付けをしなくてはならないのだ。
 十分デストラップを作る余裕はあった。泥のカーテンの向こうで掘った穴に連動する天井の仕掛け。一人また一人と戻ってきた仲間が兵士を追い込んでいく。
 最後に残った兵士は姿を見せぬ敵に追い立てられて袋小路に追い詰められた。
 銃を構えながら後ずさりする兵士は、地面に偽装された布を踏みぬいた。背中から穴に落ちた。
 背から腹に杭がささる。突き通るには至らないが背骨や肋骨が嫌な音を立てる。
 無防備にさらした腹に重しをたっぷりつけられた釘だらけの板が突き刺さる。杭よりも兵士の視覚に死をたたきつける。
「上下から串刺しにされるタイガートラップ。成功だ」
 袋小路の「奥」。泥布のカーテンの向こうから現れたアト。
「後は手はず通りに」
 兵士が最後に見たのは、自分を袋叩きにしようとしているイレギュラーズがのぞき込んでくる顔だった。


 それぞれが倒した数をすり合わせて、攻撃目標の完遂を確認する。
「……ところで、殺したヤツって血飲んでいーい?」
 黒金が問うたところで誰も答えない。悪くはないが。
「あーでも鉄帝のやつって中身機械油だったりするのかなあ……」
 そこだ。『白い信仰』に貫かれた傷口も血の色が何色なのかも判別はつかない。
「まずそうかもー」
 黒金はう~んと唸った。
「しかし……こういう時にくしゃみをしたくなる現象って名前あるのかにゃあ?」
 シュリエは鼻の頭をこすった。出そうなでなさそうな微妙な感じ。
「あー、お口チャックする時間が本当に長かったっす!」
 ジルは、キド―の傷をふさいでやりながら大きく息をついた。
「メクレオは言った。エネルギー源だって」
 あの仲介役がこれは確か。と言って持ってくる情報はまっとうなのだ。態度はともかく。
「燃料は、消費するもんだ。ここで止めなきゃ、虐殺が、今だけで終わるはずがない……」
 リコシェットは黙り込んだ。怒りも悪態もとりあえずは押し込める。
 この場所を確保し続けよう。やがて、別動隊が仮装で囚われていた子供たちを救出して上がってくるはずなのだ。
 戻ってきた子供たちを抱きしめよう。そのためにここで戦ったのだから。

 お疲れさまでした。この階層を無事確保することができました。敵の戦線は分断され味方の往来は容易になるでしょう。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

お疲れさまでした。この階層を無事確保することができました。敵の戦線は分断され味方の往来は容易になるでしょう。
ゆっくり休んで、次のお仕事頑張ってくださいね。

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