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シナリオ詳細

<第三次グレイス・ヌレ海戦>クラレットは海に咲く

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 やってきたイレギュラーズの姿を真っ先に見つけたのは『焔の因子』フレイムタン(p3n000068)だった。
「こちらだ」
「? あ、来たんですね」
 フレイムタンが片手を挙げた様子に、『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)がその視線の先を見る。そしてイレギュラーズたちの姿を見ると「こちらですよー」とぴょんぴょん飛び跳ねた。
「フレイムタンさんくらいに背が高いと、皆さんの姿も見つけやすくて良いですね」
 ボクも大きくなりたいのです、とフレイムタンを見上げるユリーカ。最も、成人男性ほどの身長になれるわけもないのだが。
「貴殿ならまだ成長の余地もあるだろう。ブラウからもそのような話を聞いている」
「ブラウさん、ニワトリになるんです?」
「……さあ、どうだろうか」

 閑話休題。

「グレイス・ヌレ海戦、という言葉をご存じでしょうか」
 いくらかの人間は知っているかもしれない。海洋の民や、相手となった国の人間は耳にしたこともあるだろう。
「海洋にグレイス・ヌレという海域があるのです。ちょっと手狭で、海洋王国の拠点が多い場所……つまり、どこかの国と戦う時に地の利を得やすい場所なのですよ」
 海洋には小型、中型の木造船が多い。小回りが利くことに加えて、拠点の多さから友軍や援軍が出しやすい環境と言える。
「天義、鉄帝がそれぞれ過去に1度ずつ攻めてきているのですが……鉄帝が再び動き出したみたいなのです」
「理由があるとすれば……鉄帝の気候か、先日の大号令の件といったところか」
「はい」
 フレイムタンに頷くユリーカ。海洋が絶望の海の先──新天地を見つければ、かの国は豊かになるだろう。それを黙って見ていられる鉄帝ではないということだ。
「今回、皆さんには海洋の友軍として戦ってもらうのです。邪魔されず絶望の海へ行けるよう、コテンパンにしちゃうのです!」
 えいえい、とエアーボクシングするユリーカ。その傍らでフレイムタンが自らも同行することを告げる。
 鉄帝は強者の国だ。海洋も──そしてイレギュラーズも侮っているわけではないが、警戒してなお余りある。少しでも戦力となれるのなら、と言うことだった。
「海洋軍が敵を引き付け、グレイス・ヌレ海域に引きずり込む。砲撃による攻撃を行う間、我らで直接船を叩くそうだ」
 戦いに強い鉄帝ではあるが、数多くの船から攻撃をしかけられれば早々動けるものではない。その間にイレギュラーズたちが船員へ仕掛ければ鉄帝といえど少なくない痛手のはずだ。
「鉄帝の人はとても強いですから、無理に倒す必要はありません。引き返してもらえれば十分なのです」
 もちろん倒せるならそれに越したことはないが──それはイレギュラーズ側も、本当に死力を尽くすこととなるだろう。
「この戦いに海洋の未来もかかっているのです。フレイムタンさん、そして皆さん、よろしくお願いします!」

GMコメント

●重要な備考
 <第三次グレイス・ヌレ海戦>ではイレギュラーズ個人毎に特別な『海洋王国事業貢献値』を追加カウントします。
 この貢献値は参加関連シナリオの結果、キャラクターの活躍等により変動し、高い数字を持つキャラクターは外洋進出時に役割を受ける場合がある、優先シナリオが設定される可能性がある等、特別な結果を受ける可能性があります。『海洋王国事業貢献値』の状況は特設ページで公開されます。
 尚、『海洋王国事業貢献値』のシナリオ追加は今回が最後となります。(別途クエスト・海洋名声ボーナスの最終加算があります)

●成功条件
 鉄帝海軍を撤退させる

●エネミー
・船員×20名
 近接武器を持つ鉄帝海軍です。打たれ強く、状態異常に対する免疫も強いです。
 今回はとても士気が高いです。初期は半分ほどが海洋軍への反撃に回っています。

・『鉄華』ルメラ
 鉄帝人の女性。この船の指揮官です。見た目は流麗な女人ですが、彼女の持つ赤毛の髪と、通った後には赤の華がいくつも咲いたように見えることから『鉄華』の異名を付けられました。
 素早さと攻撃力に特化し、判断力もあります。

●友軍
・海洋軍
 船から砲撃による援護でイレギュラーズの接近を気づかせないようにします。
 接近の際は海洋軍の小型船で向かうことができ、縄を投げ引っ掛けて乗り込むことになるでしょう。(他のアイディアがあればそれでも構いません)
 鉄帝戦艦より離脱する際も、何らかの合図をすれば助けに来てくれます。

・『焔の因子』フレイムタン(p3n000068)
 精霊種の青年です。戦いはそこそこできます。
 指示があれば、無理のない範囲で協力します。何もなければ船員を相手しています。

●フィールド
 海です。鉄帝軍戦艦の甲板は広く、船が大きいため揺れも比較的少ないです。戦艦は砲撃にも強い設計となっています。
 イレギュラーズは海洋友軍による援助の元、鉄帝国戦艦へ接近。船へ乗り込み、船員たちを相手取ります。

●ご挨拶
 愁と申します。
 鉄帝との戦いとなります。鉄帝人はいずれも強敵です。指揮官ともなれば尚更でしょう。十分に気を付けて臨んでください。また、逃げ遅れにも注意しましょう。
 ご縁がございましたら、よろしくお願い致します。

  • <第三次グレイス・ヌレ海戦>クラレットは海に咲く完了
  • GM名
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年01月02日 22時45分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧 (8人)

シャルレィス・スクァリオ(p3p000332)
蒼銀一閃
アリシア・アンジェ・ネイリヴォーム(p3p000669)
Red Like Roses
ウィリアム・M・アステリズム(p3p001243)
生満つる夜の守人
ゴリョウ・クートン(p3p002081)
黒豚系オーク
ルナール・グリムゲルデ(p3p002562)
紅獣
炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子
アクア・フィーリス(p3p006784)
闇と炎
ソア(p3p007025)
虎風迅雷

リプレイ

●空と海に広がるアクア・グリーン
 どこまでも、どこまでも広がる青に『カースウルフ』アクア・フィーリス(p3p006784)は小さく、けれど確かに目を見張っていた。
(海、おっきい……)
 太陽の光をきらきらと反射し、波が煌めく。澄んだ青はどこまでも続いていて、綺麗なのにどこか不気味で怖いような気もした。海洋という国は、ここに住む者はこんな所に囲まれているのか。
(凄いんだね、海洋って国……でも、)
 ドォン、と腹に響く重たい音が響く。びくりと小さく肩を竦めたアクアは、そっとそちらへ視線を向けた。
 船がある。何隻かの木造船。そこへ相対するのはとても大きく頑丈そうな戦艦──鉄帝の船だった。
(今は、戦うんだよね……)
 観光はこれが終わったら。そう心に決めるアクアはちらりと『黒焔纏いし朱煌剣』アリシア・アンジェ・ネイリヴォーム(p3p000669)の方を見る。彼女の手元には縄があった。乗り移るときに縄が引っかかるよう、結び目を作ったアリシアは顔を上げて戦艦との距離を確かめる。まだまだ乗り移るには早いが、かといって気を許してよい距離でもない。
「……まさか、生きている間に大規模海戦を経験できるなんてね」
 進んで戦争が起こってほしい、と思うわけではない。それでもめったに起こらないことではあるから興味は湧くのだろう。
 ほどなくしてイレギュラーズを乗せた船は、乗り移るには早くとも射程距離に戦艦を収める。『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)は「ぶははっ!」と笑い声をあげると仲間たちへサムズアップした。
「それじゃ、僭越ながら先鋒を任せて頂くとするぜ!」
 そう告げる彼の足元から駆動全身鎧が装着されていき──ゴリョウの体を打ち出そうと言わんばかりのバリスタ形態をとる。もちもちのお腹も詰まっているのでまるでお饅頭のようだ。
「頼りにしてるよ、ゴリョウさん。長く負担をかけさせるつもりはないからね!」
 にっと笑みを浮かべてサムズアップし返す『疾風蒼嵐』シャルレィス・スクァリオ(p3p000332) にゴリョウは笑みで返し、戦艦の方を向いた。
「さあ──射出だ!」
 溜めに溜めた力が放出され、空へゴリョウの体が飛ばされる。イレギュラーズたちの乗る船が後を追いかけるように海を進む中、ゴリョウは飛んで飛んで──戦艦の甲板へ。着地の瞬間閃光が放たれ、近くにたまたまいた船員たちが思わず腕を交差させる。
「なんだ!?」
「敵襲だ!」
「この程度で動じるな! 不意打ちに警戒しろ!」
 動揺の中で女の声が響く。その声に従って光が収まる同時、船員たちが武器を手に取った。緊張感の走る甲板でゴリョウが高らかに笑い声をあげる。
「ぶはははッ、イレギュラーズが一人、ゴリョウ・クートンだ!
 『鉄華』ルメラ殿だな! その名高き華を魅せてもらいに参った。……ってところかな?」
 その視線が女──ルメラの鮮やかな髪を映し、ニヤリと口角が上がる。ルメラはゴリョウの言葉を聞いて楽し気に目を細めた。
「オークが飛び込んできたかと思えば、イレギュラーズか。話には聞いていたが、いつか手合わせしてみたいと思っていた」
 すらりと剣を抜いた彼女もまた、口端に笑みを浮かべる。しかしすっと真剣な表情を作ると甲板全体へ響くよう声を上げた。
「総員、侵入者を撃退せよ! 動きの鈍い者からだ!」
 その言葉に大砲で海洋船と交戦していた船員も武器を持つ。縄を引っ掛けウィングシューズで隙なく降り立ったアリシアがつと目を細めた。
 彼らの隙もこちらから不意を打てるほどではなかったらしい。だが、突入の際の不意打ちを受けないだけでも十分だ。
 かけられたロープを登った『紅獣』ルナール・グルナディエ(p3p002562)が長剣をすらりと抜き、透き通った刀身が煌めく。
「さて、と……いつも通りにやるとしますかね」
 海洋と鉄帝、どちらの肩も持つつもりは元々ない。仕事として成り立っているのならば、その仕事を全うするまでだ。
 接敵し、フェアウェルレターで切り込むルナール。次いでアクロバティックに船へと乗り込んだ『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)が炎の斬撃を飛ばして敵をけん制する。船員たちも動き出し、甲板は乱戦となった。
「全く……普通に手を取り合って協力出来りゃいいのに」
 政治も軍事も難しい、と『希望の聖星』ウィリアム・M・アステリズム(p3p001243)はぼやきながら敵の攻撃を受け止める。敵に近づきすぎない距離を心掛けたいところだが、狙われるとそうもいかない。
(海上での戦いも、決して悪ではない人との戦いも苦手なんだけどな)
 できれば武力に頼らず解決してほしいところだが、向こうはそれで引き下がらないだろう、そしてこちらもまた引き下がる訳にはいかない。
 天使の福音が彼を中心に響き、傷つく仲間を癒していく。それでも尚狙われるアクアは悲鳴を上げながら魔力撃を放った。
「やだ、来ないで……来ないでぇ……!」
 狙われるのはすぐに倒せそうとでも侮られたからか。しかし彼女もイレギュラーズの一員、そう簡単には倒れない。敵の武器がアンデッドのなりそこないへとぶつかり、ぼろぼろと崩れ落ちていく。傍にいた──アクアが付いて行っていたとも言う──シャルレィスがそれに気付いて蒼き剣閃を向けた。
「まずはこの人から倒すよ!」
 自らが傷つくこともいとわぬ攻撃が相手の肩へとめり込む。しかし防具の下にある屈強な体故か、思っていたよりも傷は浅い。
(なら、倒れるまで剣を振るうだけ!)
 彼らとて人だ。いつかは倒れる。シャルレィスの声に呼応したかのように、アリシアの魔砲が甲板上を突き抜けていった。次いで『焔の因子』フレイムタン(p3n000068)が攻撃を仕掛けていく。
「ボクたちには絶望の青への挑戦が待ってるんだもんね、邪魔はさせないよ!」
 ひらりとその場に降り立ったのは『雷精』ソア(p3p007025)。彼女の操る雷光が船員の1人へと襲い掛かっていく。可愛らしい見た目にそぐわぬ苛烈なダメージを与えるが、それでも命を奪うほどでないのは彼女なりの想いだった。
 海洋の民も、鉄帝の民も人間だ。そしてソアは人間が好きだ。邪魔はされたくないが、決して殺したいわけじゃない。
 しかし鉄帝人はさすが鉄帝人と言うべきか──未だ平然とした顔でその場に立っている。イレギュラーズの攻撃に好戦的な笑みを浮かべ、彼らは武器をしっかりと握りなおした。


●苛烈なるクラレット
「その目……気に障るな」
 ルメラが瞳を眇めてゴリョウを見つめ返す。こちらを気にしてくれるのなら上々だ、と笑った彼は自らに回復を施した。
「それで? お前はただ耐えるだけか」
「ぶははっ、そうだな! オメェさんが俺を押しのけるか、それまでに仲間がオメェさんの仲間を無力化するかの勝負だ!」
 ゴリョウはルメラ以外の一切を相手取らない。仲間を信頼しているからだ。そして同じように信頼してくれる仲間を裏切らないため、なんとしても彼女を彼らの元へ通すわけにはいかなかった。
「ねえ!」
 不意に声を上げたのはソアだ。彼女の瞳の奥で揺れるのは人間を愛する想い。だからこそ、できれば早く撤退してもらいたい。
「難しい話は分からないけれど、知ってるよ! あなたたちも海洋王国のやってることに加わりたいんでしょう?
 本当にこんな方法しかないの?
 この船を動かす力で他に出来たことはないの??」
 必死な呼びかけに、しかし1人の船員が切りかかる。ソアは傷を抑えて真っすぐに相手を見た。
「俺も難しい話はわからねぇ。だが強い奴が弱い奴を従えるってのは分かるんだよ。他の方法を探すより手っ取り早いと思わねえか?」
 力は正義、力は全て。武力で解決するのが鉄帝流と言うならば、この方法は彼らにとって間違ったものではないのだ。
 けれどソアは頭を振った。そんなこと、わからない。思わない。
「なら残念だが、俺たちゃここで斬り合わなきゃいけねぇなぁ!」
 船員は刀を振りかぶり、ソアへ切りかかった。
 焔が放った緋燕が急所を敢えて外しながら数人の敵を巻き込んでいく。それでもなお向かってくる敵に焔は「もう!」と声を上げた。
「一緒に行きたいならそう言えばいいだけなのに」
 どうして頑張ろうとしている時に邪魔をするのか。憤慨する彼女の攻撃にフレイムタンが追随する。
「人間というものは難しいな。言葉で伝えようとする者もいれば、そうでない者もいる」
「素直になれなくてこんなことする人たちはお仕置きだよっ!」
 彼女は初めに力でねじ伏せるタイプではない。だからこそ鉄帝のやりかたに怒るのだろう。フレイムタンはそんな彼女に頷いて見せる。
「やれやれ、長期戦は好まないんだがな……」
 ルナールは自らの余力を鑑みて、攻撃スタイルを変えていく。どうしても燃費の悪さは目立ってしまうが、今のところはこの戦法がしっくりくると言うべきか。もちろん、何とかしなければいけないのはわかっているのだが。
 アクアは無人の砲台を見ると、そちらへ攻撃を向けた。空へと逃げたソアも砲台の方へと近づき、雷で破壊を試みる。
 戦力となるのは人だけではない。砲台を始めとした物も無力化できるならそれに越したことはないと。
 しかし目ざとく気づいたルメラから「砲台を壊させるな」と命令が飛び、2人へ船員が襲い掛かる。それを見届けたルメラは、しかし嵐のような斬撃に巻き込まれて息を呑んだ。
「よそ見ばかりさせないよ!」
 シャルレィスの剣は味方を切らず、敵のみを切り裂く。鉄帝の血が騒ぐのか、ルメラはシャルレィスの強い瞳に笑みを浮かべた。
 アリシアは不可視の刃で船員を甲板へと沈め、辺りを見回す。確実に敵の数は減っているが、同様にイレギュラーズも厳しい状況へ置かれていた。アリシアはウィリアムへと加勢すべく駆け出していく。
「っち……!」
 ウィリアムは追いかけられながら、時に傷を負いながら味方を癒し続けていた。イレギュラーズの中でも主だった回復手であるからか、追いかけてくる船員は多い。敵の剣がウィリアムの背中を袈裟がけに捉える。
(──倒れてたまるか!)
 得意運命座標の持つ力。パンドラという可能性でもって攻撃を回避したウィリアムは自らの傷を癒す。同時にアリシアの魔砲が船員たちを巻き込み、その先の砲台まで巻き込んだ。その傍で攻撃から逃れた船員は、ソアによって海上へと弾き飛ばされる。

「っ……まだ、俺は退かせねぇぜ」
 鋭いルメラの攻撃にゴリョウが膝をつきかけ、けれどしかと地を踏む。それと同時に彼の後ろから声が飛んだ。
「ねえ、このままだと船を動かすのも大変になっちゃうんじゃない?」
 焔の声に視線を向ければ、そこには半数ほどになった船員とイレギュラーズたちがいた。
「決着がつくまで戦い続けてもいいけど……それじゃどちらにもメリットがないと思うな」
「これ以上戦いを続けて、無理に消耗する事も無いだろ」
 シャルレィスとウィリアムも彼女の言葉に続く。
 イレギュラーズを倒したところで自分たちは海洋の戦力というわけではなく、またイレギュラーズとしても鉄帝軍を全滅させる理由はない。殺し合いをしたいわけではないのだ。
 鉄帝軍が撤退を決めるのなら追いかけはしない。イレギュラーズも引き上げることとなるだろう。
「倒れてる人たちも早く治療してあげた方がいいんじゃない?」
「冷静な判断を期待したいな。どう?」
 倒した船員たちへ視線を向ける焔と、ルメラへ回答を促すシャルレィス。紅の武人は視線を甲板に巡らせた後、くっと口角を上げた。
「……鉄帝人を侮られては困るな。今この状況で、まだ決着は見えてなかろうよ」
 船員10名と、将であるルメラ。対してイレギュラーズは8名だ。それに、とルメラが続ける。
「私たちは皇帝の意に従い軍を進めている。同時に──戦いたいから戦うのだ。血と闘争を求め、戦場へ出ている」
 戦いを求めるルメラの瞳は苛烈に、獰猛な光を讃えていた。
「……命あってのなんとやら。素直に従った方が賢いとは思うがね」
 やれやれ、と言わんばかりに肩を竦めたルナールが剣を構える。再開された戦いのさなかでよくよく見れば──鉄帝人である誰も彼もが、闘争に嬉々とした目を向けていて。
 ──引き際だ。
 アリシアがシャルレィスを呼ぶ。名を呼ばれた彼女は1つ頷いて懐からある物を取り出した。
 手元にあるのは簡易打ち上げ花火。海洋の船で渡されたもので、紐を引くだけで花火が打ちあがる仕組みだという。シャルレィスはそれを打ち上げると、ルメラたちへにっと笑って見せた。
「私たちの時間稼ぎは十分! さあ、撤退するよ!」
 その言葉はこれから海洋が何か仕掛けてくると言わんばかりだが──もちろんハッタリだ。それでも鉄帝人が警戒して撤退してくれるならそれに越したことはない。
 花火を見て海洋船がこちらへと向かってくる。イレギュラーズは最低限の退路を確保しながら、船が到着するとそちらへと飛び移った。追おうとする船員たちを止めたのは他でもない、彼らの指揮官であるルメラだ。
「指揮官!」
「行かせておけ。不要な追い打ちはこちらも痛手となりかねん。それに……いや、」
 何かを言いかけたルメラが小さく頭を振る。そこへルメラ殿、と声をかけられた彼女はずっと目の前に立ちはだかっていたゴリョウへ視線を向けた。ぼろぼろになったオークは、それでもニッと笑みを浮かべてみせる。
「良い華を魅せてもらったぜ! 次は横に並んで観たいもんだな!」
「……ふん。お前がこちらへ来るというならすぐにでも観られるだろうさ」
 ゴリョウはそれは残念と肩を竦め、戦艦から飛び降りた。その先にあるのは迎えに来た海洋船。最後の1人が乗り込んだことを確認するや否や、海洋船は勢いよくその場を離脱した。


●グレイス・ヌレより
 ルメラは思考する。『此度の損害は撤退に値するか?』と。

 ──答えは否だ。

 決して小さな損害ではない。イレギュラーズが鉄帝軍に与えた傷は浅くない。しかし鉄帝人は──もちろんルメラも含めて──屈強だ。北の過酷な大地で生き、戦い抜いている。船内での治療で戦線復帰は可能だろう。イレギュラーズの1人が気になることを告げて撤退していったが、海洋にやられるほど船も人もヤワではない。
 ぼろぼろの副官へ指示を与え、余力のある者に怪我人を運ばせる。そして船を海洋船から引き離しつつ、ルメラはイレギュラーズの乗り込んだ船を見た。
 彼らは再び向かってくるだろうか。
「……その時はまた、打ち負かすのみか」
 鉄帝の民が背を向けるなどあってはならない。ただひたすら、障害は自らの力で以て切り開くだけだ。

成否

失敗

MVP

ゴリョウ・クートン(p3p002081)
黒豚系オーク

状態異常

ゴリョウ・クートン(p3p002081) [重傷]
黒豚系オーク

あとがき

 お疲れさまでした、イレギュラーズ。ルメラの乗る船の離脱は一時的なもので、完全撤退とはならなかったようです。
 まずはお大事に、傷をしっかり癒してください。 

 オークの貴方へ。敵将を徹底的に抑えようとした果敢な姿にMVPをお贈りします。

 それではまたのご縁がございましたら、どうぞよろしくお願い致します。

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