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シナリオ詳細

小瓶の中の、揺れる思い

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●それは手のひらの中で
 日の光を受けてきらきらと煌めく小瓶。
 その中には色とりどりの花にビーズ。
 一心不乱に花を小瓶に詰めていた女性レーシアは、小瓶に詰める液体に手を伸ばして誤って倒してしまう。
「あぁぁー……」
 幸いしっかり蓋をしていたので中身が零れることはなかったが、レーシアの集中力は切れてしまった。
「あと一日で100本とか色んな意味で無理だわ……」
 時間も足りないが材料も足りない。
 それでも納品日は待ってくれない。
「買い出しと、手伝いしてくれる人プリーズ……!」

●揺れるハーバリウム
「ハーバリウムって知ってる?」
 簡単に言えば、小瓶にドライフラワーやビーズ等と専用の液体を入れたもの。
 完成度に拘らなければ材料さえあれば作るのはさほど難しくはないが、細かな材料を使うので長時間作業していると辛くなってくる。
「あるハーバリウムを作っている人が、人手を探しているの」
 急に一週間で300本作ってくれと頼まれたレーシアは、必死になって200本作り上げた。
 だけど睡眠時間を削り、ロクな食事もとれなかった反動で期限までに間に合うかと言われたら正直一人だと無理だ。ついでに材料も足りないので買いに行かないといけない。
「ハーバリウム作りの手伝いの他に買い出しとご飯作りもお願いしたいんだって」
 まずは材料の買い出しとご飯作り。その後はみんなで手分けしてハーバリウム作り。
「出来上がったハーバリウムは、妹さんの結婚式の引き出物の一つになるんだって。幸せな思い出作りのお手伝い、してくれない?」
 時間に余裕があれば、自分たちの好みで作らせてもらえるようだ。

NMコメント

 ハーバリウムを作ったことはありますか?
 花と色の組み合わせ、詰め方によって物凄く印象が変わるので中々奥が深いです。

●目標
・ハーバリウムを100本作る
 組み合わせや詰め方はレーシアが教えてくれます。
・材料を買いに行く
 花屋や手芸屋さんに追加材料を買いに行きましょう。
 頼まれたのは白、ピンク、青をメインにした加工済みの花に、完成したハーバリウムに結ぶリボンです。
 それ以外は皆さんにお任せ。どんな材料を買ってくるかで最後に作れるオリジナルハーバリウムに個性が出ます。
・オリジナルハーバリウム作り
 自分好みのハーバリウムを好きに作ってください。
(例:細長い角瓶に、青いアジサイに青いかすみ草をメインに、青系でまとめた爽やかなハーバリウム)

●その他
 分からないことはレーシアがアドバイスや手助けしてくれます。
 作り方も一人で全部作っても良いし、手分けして一人が材料を詰めて一人が液を詰める。などでも大丈夫。
 幸せな結婚式の為にも、皆さんで協力して残り100本、お願いします!

  • 小瓶の中の、揺れる思い完了
  • NM名ゆーき
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2019年12月05日 22時25分
  • 参加人数4/4人
  • 相談4日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

サイズ(p3p000319)
妖精■■として
ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)
願いの星
エッダ・フロールリジ(p3p006270)
フロイライン・ファウスト
ポムグラニット(p3p007218)
慈愛のアティック・ローズ

リプレイ

●休憩してください
「助っ人!? マジで!?」
 徹夜明けのハイテンションで、レーシアはやって来た四人を歓迎する。
「ぎりぎりのタイミングだけど助っ人よこしてくれて有難う神様……!」
 あっけに取られる四人だが、両手を組んで空中に掲げるレーシアを見て『祈る暴走特急』ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)が信仰心を刺激される。
「まぁ、レーシアさんは信仰心がおありですのね! 宜しければクラースナヤ・ズヴェズダー教に」「そこまでですヴィーシャ」
 自らが信じる宗教を勧めようとするが、その前に『フロイライン・ファウスト』エッダ・フロールリジ(p3p006270)に引っ張られる。
「何しますの!」
 当然ヴァレーリヤは抵抗するが、エッダはさらりとスルー。
「えっと……とりあえず、俺たちは何をしたら良いんだ?」
 『カースド妖精鎌』サイズ(p3p000319)がレーシアの前に行くと、レーシアは簡単な地図とお金を用意した。
「足りない材料買って来てくれる? 後何か食べ物。最近一日一食で限界なの!」
「十分元気そうだけど……。足りない材料に食べ物だな。買って来るから帰ってくるまで仮眠しておくと良い」
「かえってきたら はーばりうむの つくりかた おしえてね」
 レーシアは皆が買い物に行っている間も作る気だったが、『ゆるふわ薔薇乙女』ポムグラニット(p3p007218)がベッドまで連れて行くと、あっという間に眠りについた。


 薔薇は外せないというポムグラニットと、向日葵が欲しいというヴァレーリヤの意見を聞いて、まずは薔薇と向日葵を選ぶ。その後は見た目や花言葉を元に花を決めて行く。
 材料を買い終えると今度は食料。
「わたし りょうりは できないから さんどいっちとか おそうざい かってくるわ」
 ポムグラニットがパン屋に向かうと、ヴァレーリヤとエッダが野菜と肉を求めて歩き始める。
 大量の材料を抱えたサイズは、特に料理を思いつかないので集合場所の目印としてその場に残ることにした。

 レーシアの家に帰るとレーシアはまだ眠っていた。
 起さないようにとヴァレーリヤとエッダが台所で料理を始め、サイズとポムグラニットは簡単に家の中を片付ける。
「凝ったものではなく、簡単に食べられて栄養価の高いスープが良いでありますな。そう、ポトフとか」
 手早く買ってきた材料を切って鍋に入れて、味を見ながら煮込んでいく。
「火の番くらいならヴィーシャにも出来るでありましょう?」
「まあ、お料理は好きだし火の番くらいは……。ってちょっとエッダ、味見にしてはあまりにも取り過ぎではなくて!?」
 思わずヴァレーリヤが叫ぶのも無理はない。味見と称してエッダがごっそり取ったせいで、お鍋いっぱいだったポトフはいつの間にか半分以下に減っているのだから。
「ぱんもあるから すこしへっても だいじょうぶよ!」
 満面の笑顔でポムグラニットがまだほんのり暖かいパンを見せれば、エッダはポトフと一緒に一つぱくり。
「パンとの相性もばっちりであります」
「そういう問題じゃないでしょう!」
 賑やかな漫才かポトフの匂いにつられたのか、レーシアが起きたのはそれからすぐのことだった。


●結婚式の為のハーバリウム作り
 食事を終えるとレーシアは早速ハーバリウム作りを再開した。慣れた手つきで加工済みの花を適切な長さに切り、小瓶に入れる順に並べて行く。
「こんな感じで、結婚式の引き出物の一つだから華やかな感じでお願いね?」
 完成したハーバリウムはどれも華やかで、披露宴会場にあっても可笑しくない仕上がりだ。
「ハーバリウムってこうやって作りますのね。 前々から作ってみたかったのですわよねー!」
「赤チリチリ頭に唆されてほいほい来たでありますが、自分がやるには些か乙女な気が……」
 わくわくした様子のヴァレーリヤに対し、エッダはどこか浮かない様子だ。
「大丈夫。エッダちゃんは可愛いし、綺麗に作れたら乙女とか関係ないから」
 にこやかなレーシアに続き、ヴァレーリヤも応援を送る。
「そうそう、メイドでしたらハーバリウム位作れませんと」
 二人の応援にエッダの気分は浮上する。
「いやまあ、超絶美少女エッダちゃんであることは事実なのですが、鉄の臭いが付かないように慎重にして差し上げたいでありますな。メイドとして。おい誰がメイドだコラテメエ」
 うん。やる気になってくれたようで何よりだ。
 賑やかな二人と向かい合うように座っているポムグラニットとサイズは、完成したハーバリウムを参考に見ながら感想を言い合っている。
「にんげんって おはなを さいたままのかたちで のこそうとするのが すきね。おはなのひょうほん というより おはなのひつぎ みたいだわ」
「棺なぁ……」
 そういう考え方もあるのかとサイズは感心する。
「でも、綺麗に咲いた後も長い間愛でて貰えるんだから、それはそれで幸せなんじゃないか?」
 普通に咲いて、「綺麗」と喜んで貰って枯れて終わりではなく、綺麗な状態を長く保ってその間喜んで貰い、愛でて貰う。
「……きれいと ほめてもらえるのは たしかに うれしいわ」
「良いこと言うね。花にとっては棺かもしれないけど、私は花たちの魅力を生かすための方法だと思ってるの」
 だから一番綺麗に見えるように仕上げたいのだと笑うレーシアに、ポムグラニットはそっと加工済みの花を撫でた。
 棺か、魅力を生かす方法かわからない。だけどハーバリウムを受け取ってくれた人が喜んで、ハーバリウムを大事にしてくれたら嬉しい。
「さ、今日中に残り100本仕上げて明日の朝一で納品よ。サクサク仕上げちゃおう!」
 気分を変えるようなその言葉にポムグラニットも頷いた。

 時に賑やかに、時に黙々と作業を進めて数時間。最後の小瓶にリボンを結び、数を数えて行く。
「目標の500本完成! 有難うみんな! おかげで何とか間に合ったわ!」
 一人一人に握手をして、レーシアは感謝を示す。
「こちらこそ、中々ユニークな体験でした」
「そうですわ! やってみたかったことが出来て楽しかったです!」
「こういう手先を使った細かい作業は得意だからな。役に立ったなら良かったよ」
「わたしも このこたちのみりょく いかせたなら うれしいわ」
 テーブルの上に並ぶ100本のハーバリウムを見て思い思いに笑う。
「まだ時間はある? 良かったら好きにハーバリウム作ってみない?」
 その言葉に、待ってましたと全員の目が輝いた。


●あなただけのハーバリウム
「いっぱいつくっても いいかしら?」
 ポムグラニットの言葉にレーシアは笑顔で頷く。それを見てポムグラニットはいそいそと材料を選び始めた。
 作るのは三本。どれにするか決められなかったので、全部作るつもりだ。
 まずは白。小瓶は角フラスコのような物で、鈴蘭の花をメインに白い薔薇の花びらを可憐に散らして。どちらも花言葉は『純潔』。
 次はピンク。試験管の様な小瓶でピンクのシルバーデイジーをメインに、ピンクの薔薇の花びらが可愛らしい。
 最後は青。小瓶は丸底フラスコのような瓶。ブルースターをメインに、青い薔薇の花びらを散らして爽やかな色合いだ。
 どれもポムグラニットのようにふんわり可愛らしい。

 ヴァレーリヤは彼女らしく明るい向日葵をメインにしたハーバリウム。
「太陽に向かって咲く花のハーバリウム、とっても素敵だと思いませんこと? 花言葉も『あなただけを見つめる』だし、結婚式にもピッタリだと思いますの!」
 そう言いながら作ったのは、丸みのある瓶の底に小石をイメージしたビーズを入れて、向日葵をメインに白系の小さな花を入れた華やかで明るく纏めた物。
「出来ましたわー! どうですのコレ? 初めて作ったにしては、結構いい出来だと思いませんこと?」
 隣で作っていたエッダに見せると、エッダはスッと作ったハーバリウムを見せる。
 エッダが作ったのは星空をイメージしたハーバリウム。
 薄青のフラスコのような小瓶にはハランを中心に、ブルースターやホワイトスターで飾られている。
「ハランは『強い意志』、そしてブルースター、ホワイトスターは『信じあう心』が籠められた言葉であります。結婚生活の現実は容易くはいかないものであるからこそ、その心を大事にしてほしいであります」
 エッダのハーバリウムに、そこに込められた願いに、ヴァレーリヤは驚きを隠せない。
「エッダは…意外とまともですのね? もっと闇鍋みたいなのを作るかと思っていたのだけれど」
「どういう意味でありますか。フラウ・ヴァレーリヤ」
 じろりとねめつけられ、慌ててリボンの色は何色にするのかと誤魔化すヴァレーリヤ。
 エッダはあえて誤魔化されつつ、納品を待つ500本のハーバリウムを見た。
(それにしても結婚でありますか……。幸せそうで大変結構でありますが、自分らには機会があるのでありましょうか)

 思い思いの花を選んで詰める女性陣と違って、サイズは鍛冶スキルを使い凝りに凝ったハーバリウムを作っていた。なんと花も自作する凝り具合。
 小瓶を試験管のような細い筒状にすると決めたサイズが作り出したのはメインの花。銀色に着色したガラスで、見事な百合の花を作り上げた。しかも小瓶の細さに合わせて細く精密な作りだ。
 冷ましている間に道具と片付けると、砕いた青いガラスを小瓶に詰め、その上に百合の花を置く。
 割らないように慎重に置くと、青いかすみ草を細かく切ったものを散らす。
 ハーバリウムとは何か違うけど、その細工の腕は凄かった。


「今日は本当に有難う! 今これぐらいしかお礼になる物がなくて……」
 そろそろ帰ろうと席を立つと、レーシアが可愛らしいハーバリウムを差し出す。
 実は一つ記念に欲しかったヴァレーリヤは大喜びだ。
 それぞれの手の中で揺れるハーバリウム。そこに込められた思いは、喜びと感謝。

成否

成功

状態異常

なし

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