PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<Abschied Radio>続きはCMの後で

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 ワイドショーで流れるニュースはチープなものばかりだが、Dr.マッドハッターは練達の午後を彩る『おひるサマTV』で特集されている内容に興味をそそられるとファンが淹れたばかりの紅茶を傾けた。
「実に興味深いとは思わないかね。麗しい午後、黄金色の昼下がり、眠気を誘うそんな時間にゴシップを交えて軽快なトークをするというのは実に羨ましい。それこそ、何気なく見てしまえば時間泥棒と操に叱られてしまうかもしれないね! 嗚呼、尤も彼女はこうした番組は見ないか。私も面白半分に見つめていただけだからね。それにしても、こうしたものに私が出てみるのも面白いではないか。そうは思わないかな?」
「ドクターが出演すると『尺』が足りないのでは?」
 さらりと返されたその返事にマッドハッターはからからと笑う。随分と相手に慣れられたもので、ファンは何も気にする素振りがないのだ。

 ――練達北西部では殺人事件が頻発してるようですね。怨恨での絡みだそうですが、昨日行われた『多世界評議会』での一件も気になります――
 ――いやはや、無差別殺人? というのが一つ起こればその絡みを気にしたくなるのも分かりますよ。ラサの方じゃ魔種が暴れてたそうじゃないですか!――
 ――幻想や天義もでしょう。……怖いですね。『魔種』は驚異的な力を持つと言いますから、皆さんも気を付けて夜道を歩いた方が。特に●●さんなんかは!――
 ――ええ!?――

 軽快なトークと共に続いていく番組を見詰めてマッドハッターは『魔種』と、そう口にした。
「実に面白いではないかな。私達は旅人で反転することはない。所謂、『狂気』の影響も請けずらい私達の近くで魔種が活動しているというのも面白い。興味深いのだが、さて、フィールドワークに」
 立ち上がろうとしたマッドハッターにダメですよ、とファンは彼を押しとどめた。ある程度の調査の結果、彼は『道化師姿の鉄騎種が魔種ではないか』という一つの推理があるとだけマッドハッターに告げる。
 ローレットの情報曰く、以前の多世界評議会では機械生物が『魔種の声』で呼び声をばら撒き続け混乱を起こしたのだという。起こる殺人事件もその一端だろう――何か、対処をしなくてはまずいかとマッドハッターは『妙案を思いついた』という顔をして「ローレットを呼んではくれないか」とファンへと告げた。


 セフィロト内部、マッドハッターが個人的に使用する植物園兼サロンで、常の通りの茶会の準備をしていた彼は「やあ、特異運命座標(アリス)。今日も愛らしい笑顔で私に会いに来てくれたというのならばこれ程という幸運はないさ」と軽口を叩いた。
「今、練達の北西部で起こっているという『殺人事件』は知っているね?
 どうやら魔種の手によるものだろうという事が『私達個人的な調査』でも判明している。同時に君達も掴んでは来てくれているだろう。いや、有難いことさ。『練達(わたしのねじろ)』での事さえ君達が調査・対処してくれるのだから、私は君達を愛さずにはいられないではないかね!」
「――コホン」
「……ああ、それでね。基本的な事の対処を願いたいのさ。
 練達内でそうそう殺人事件が多発するのも私は悲しい。その中には私の研究員もいるだろうし、嗚呼、知っている相手もいるさ。勿論、特異運命座標(アリス)、君達の知っている相手もいるかもしれない」
 マッドハッター曰く、練達北西部に住まうというとある電子基板の技術者との連絡が途絶えたのだそうだ。彼自身、正確には難があるが腕が立つ事でマッドハッターは贔屓にしていたのだが敵が多いタイプであったことは否定できない。
 彼の無事を心配している事もあるが、その無事を確認するまでに市民たちの衝突を見たというファンの情報により「できる限りの鎮圧」を頼みたいのだという。
「何、私も現地へ赴いたわけではないからね。特異運命座標(アリス)達に『眼』を任せたい。私謹製の魔法道具を渡すからそれを使用して北西部の調査と対処に当たって欲しいのさ。
 ……ああ、一先ずは技術者ランベルトの保護をオーダーにしようか。どうやら、彼、弟子には大層つらく当たっていたようで! ああ、昔話だが弟子に殺されるという事件もどこかで聞いたことがあったね!」
 話が長くなればランベルトが死んでしまうかもしれないとファンに助言されてマッドハッターは舌をぺろりと出して笑った。
 さあ、特異運命座標(アリス)、行ってらっしゃい――どうやら、一寸先は闇のようだが。

GMコメント

 夏あかねです。マッドハッターからのお願いです。

●成功条件
 技術者ランベルトの保護

●技術者ランベルト
 旅人。元は電子基板を作成しロケットを制作する技術者でしたが、混沌肯定によりロケットは夢のまた夢。ほそぼそとマッドハッターの魔法道具制作に協力しています。彼の技術はマッドハッターお墨付きです。
 戦闘能力はありませんが基本的に性格がひね紛っているので口うるさくてとても職人肌。怨みをよく買います。

●弟子 3名
 カール、エリック、ハンネス。3名。純種です。鉄帝よりやってきて技術者を志弟子入りしました。
 師匠が割とつらく当たってくるので、苛立っています。戦闘能力がそれなりにあるようですが、彼らは最近何かの『声を聴いた』と言っていました。

●周囲の住民 5名
 ランベルトの工房近くに住む住民たちです。
 内訳は 仲の良い親子3名、親族を亡くした老婆1名、技術者の男1名。
 表立っては仲が良く見えましたが、それぞれの心の内では均衡が崩れています。
 老婆は親族を亡くしたところに仲の良い親子たちが現れた事。
 仲のいい親子三名にとっては、技術者の男に職を奪われた事。
 また、仲のいい親子の娘はランベルトの弟子カールに告白し、振られた事。
 技術者の男にとってはランベルトにはどうしても叶わない事。
 と其々が様々な場所に恨みや僻み、妬みを抱いています。何かの声を聞いたと言い街の中で言い争いをして居ました。

●ランベルトの工房
 ひっそりととても狭い工房です。ランベルトはその中で息を潜めて待機しています(マッドハッターの指示)
 彼を保護し、工房より抜け出す事が必要となりますが狂気に駆られた町の人々がかわるがわる工房に訪れます。(ランベルトを護り抜く為には周辺住民と弟子への対処/無力化が必要となります)

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 どうぞ、よろしくお願いいたします。

  • <Abschied Radio>続きはCMの後で完了
  • GM名夏あかね
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年11月23日 23時00分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

サンディ・カルタ(p3p000438)
ラド・バウC級闘士
スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)
新たな道へ
ジェイク・夜乃(p3p001103)
『幻狼』灰色狼
マルク・シリング(p3p001309)
ロク(p3p005176)
クソ犬
ローガン・ジョージ・アリス(p3p005181)
当たり前の善意を
ウィリアム・ウォーラム(p3p007502)
軍医
セレマ オード クロウリー(p3p007790)
性別:美少年

リプレイ


 それはどこかで聞いたことがある様な『良く或る話』だったのだ。『性別:美少年』セレマ オード クロウリー(p3p007790)は「作為的な何かを感じる」と小さくぼやいた。あらゆる種族圏からみても美の化身――美少年であるセレマはその美しい面立ちを顰め面に歪めた。
「例えばこれが兵士達の守る城とかでも、嫉妬や猜疑心を煽られたらどうしようもねえ。
 まぁ魔種がどうしようもねーのはサーカスの時から分かってはいるんだが……なんだかな」
 その性質を『歪められた存在』がどれ程までに異質であるのかを『アニキ!』サンディ・カルタ(p3p000438)は知っていた。彼の譬えは言い得て妙だ。兵士達の間で芽生えた嫉妬心や猜疑心が魔種によって増長したならば此度の様な事件は防げない。
「魔種だから、とか。今までの行いがそうだったから、とか。
 そんな事、理由になんかなりはしないんだ。……こんな訳のわからない狂気で命が失われることは、防がなきゃならない」
 マルク・シリング(p3p001309)は少しばかり手荒な方法をとるしかないかと小さくぼやいた。動乱に言葉で対処することが一番だと心優しい彼も認識しているが、此度はその方法だけでは解決は難しい。
 何せ、魔種だ。『軍医』ウィリアム・ウォーラム(p3p007502)は確かめるようにそう呟いた。
「『何かの声を聴いた』――ってのは穏やかじゃねえェな……面倒な事になりそうだ。
 魔種の手だって言われれりゃ納得もしようがあるが……飯の種に困らないのもいいが、もっと平和な依頼が増えないもんかね」
 やれやれと大仰に肩を竦めたウィリアムに『リインカーネーション』スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)はこくこくと頷いた。ある意味で魔種の狂気を近い位置で感じた事のあるスティアにとってはその影響力の強さを身をもって知っている。だからこそ、ウィリアムの云う『平和な依頼』という言葉には頷かずにはいられなかった。
「狂気に身を任せて暴れる人を減らせるように頑張ろう。できる限りの事をやらなきゃ!」
「そうだね! マッドハッターさんが贔屓にしている電子基板技術者だよ! それって絶対絶対、すごい人だ!」
 尻尾をぶんぶんと振り回しながら『クソ犬』ロク(p3p005176)はスティアを見上げる。マッドハッターからの直接依頼であり、彼が技術者として評価しているというのだ。『『幻狼』灰色狼』ジェイク・太刀川(p3p001103)は「腕は確かなんだろうぜ」とロクへと言った。
「マッドハッターお墨付きとなりゃ、優れた技術は後世に残すべきだ。
 ランベルトをこんな所で死なせるわけにはいかねえな」
「うん! それにね、メカ子ロリババア! 君の部品の一部に携わっているのかもね! これは絶対に助けなきゃ!」
 ロクが連れ歩くメカ子ロリババアたち。練達謹製、マッドハッター作成となれば、技術者たるランベルトがマッドハッターと協力した可能性も――あるのかもしれない……。
「まあ、自分より幸せな奴が羨ましいとか、自分より優れた人が妬ましいとか。
 よくあるのである――が、魔種の狂気がそれを引き起こすのであるのなら、止めねばならぬ!」
 マッドハッターは言っていた。特異運命座標(アリス)達に『眼』を任せたい。
 眼。勿論、マッドハッターが遠くに居ながら現状を確認したいという意味合いもあるのだろうが、連日練達を騒がせる茶の間ご淘汰しワイドショーのテンションで『当たり前の善意を』ローガン・ジョージ・アリス(p3p005181) は堂々と言い放った。
「悪が栄えることは無いとお茶の間に知らしめるべく、撮影開始である!」

 ――さあ、狙われるは天才技術者。Dr.マッドハッター御用達技術者の安否は!?――
 ――続きはCMの後で!――


「まずは、ランベルトさん本人と話してみようと思うの。私怨で突然ぶん殴られたって『意味わかんない』ってなっちゃわないように!」
 異常なカリスマ性は天義貴族としての心得か。空気を解す様なスティアの『世界からの贈り物』は効率よく作用するであろうとジェイクは考えていた。運よくマッドハッターより借り受けた魔法道具がランベルト謹製であったこともあり、その匂い――薄れてはいるが、工房の中に或る彼の匂いとは一致している。ただ、彼の匂いだという事もあり嗅覚だけで発見は難しいだろうか――を辿らんと、手始めにファミリアーの鼠を工房の中へと送り込む。
 工房の裏口の鍵をかちゃりと回して内部潜入するために周辺警戒するウィリアムをちら、と見遣ったローガンは近くに殺意はないのだと感情を探査しながら囁いた。
「お弟子さんがやってきたのなら明確な殺意や苛立ちを感じる筈である。そう言った刺々しい感情は現時点で至近には感じないであるな」
「こっちも物音はするが、それ程乱雑な……人が争うような音ではねぇな」
 ジェイクの言葉に頷いたサンディは表の扉前で住民対処するロクやセルマの確認を進めるとエネミーサーチを利用し――何かに気付いた顔をして囁いた。

 工房前に座ったロクとその隣で首を傾げるセルマ。その傍らにはメカ子ロリババアが悲し気な雰囲気でへたり込んでいる。
「メカ子ロリババア、元気がないみたいだけど?」
「なんだか元気がなくって! ランベルトさんにメカ子ロリババアのメンテナンスを頼みに来たんだけど……」
 セレマの問い掛けにメカ子ロリババアを伺うロクが悲し気な表情を見せる。まず近付いてきたのはどうやら技術者の男のようだった。
 ――一方で、工房の近くに立って居た最もランベルトに近しい存在、弟子の男、カールにはマルクが当たっていた。その様子を確認しながら息を潜めるサンディ。最も『魔種の影響を受けているであろう弟子』の対応はこの時点での最優先事項だ。
「実は、さっきね、ランベルトさんの工房にお邪魔していたんだけど。君に材料になる鉱石を買ってくるようにお願いしていたよ」
 今は手が離せないから、と願い出たマルクの言葉に弟子は幾許か時間を空けた後唇と手を震わせた。
「――またかよ」
「……また?」
 マルクが首を傾ぐ。そのあからさまな仕草を見詰めてサンディは小さく頷いた。カールの敵愾心が確かに強くなってきているのだ。
「そうやって、俺にはまだ早いとか力不足だとか言って工房から遠ざけるんだ! クソッ、ランベルトの野郎……!」
 苛立った彼の背後に回り込み、サンディが放つはSST――サンディ・スーパー・トルネード。
 突風に煽られた弟子が目を細めた刹那、マルクは輝きを持ってその視界を奪った。


 困り果てたロクとセレマの様子に気が付いたのか、技術者を名乗る青年は「どうかしたのかい?」と優し気に声をかけた。風貌は優しいが、ちらりと何度もランベルトの工房を見るあたり、彼が意識しているのは明確だ。
「実は……」
 現在、工房ではランベルトが弟子と喧嘩しているのだとロクは告げた。実際は弟子の無力化に向かったサンディとマルクからランベルトを引き離す為に仲間が潜入しているのだが――外から見ればロクとセレマの言葉が全てだ。
「こんな弟子たちと折り合いのつかない工房にメカ子を預けたくないなァ、どこかに良い技術者いないかな」
「技術者、ねぇ……」
 何か負い目があるのだろうか。男はちらと背後を振り仰ぐ。その様子を眺める三人の親子の姿が印象的であった。
「実はボクはこういうもので………Dr.マッドハッターのお使いでランベルトさんの所に来たんですけど、『眼』の役割を担ったボクたちが子の工房にお世話になりたくないんです」
 それは実質、マッドハッターの名代であるかのように。セレマが柔らかに告げた言葉に技術者は「そのメカ……何とかは、簡単に整備できるのか」と苦し気に吐き出した。
「うーん、どうだろう? でも、技術者さんなら大丈夫じゃないかなっ?
 あ、でも、技術者さんにもお手伝いが必要じゃない? 誰か心当たりとか……!」
 ロクは彼を見詰める親子たちに手伝いを頼めないだろうかと示唆するように言った。僅か、眉を寄せた技術者にセレマは「あのマッドハッターの手掛けた作品なんです」とメカ子ロリババアを紹介する。
「一人で不安ならば、三人寄れば文殊の知恵ともいいます。ロクさんの言う様に助手を付けてみればどうでしょうか?」
 恨みが強ければ、と不安げであったがロクやセレマの言葉を聞いていた親子たちからすればマッドハッターに目をかけて貰える『機会』に等しい。協力を申し出て来た親子たちに高慢であった男は「よろしく頼む」と肩を竦めてそう、頼んだ。
「この仕事のデキが良かったらわたしからマッドハッターさんに伝えるね!」
 にんまりと笑ったロクの隣でこっそりとセレマは「クたちが望むのは確かな実力を持つ試金石。夢ではなく現実をリードする技術者。これ程の才能を埋もれさせるのは惜しい」と二組に対して声をかけた。
 詳しい話をする場所を、と言えば使わなくなった工房があるからと申し出た親子と共にロクとセレマは移動した。

 外での会話を聞きながらジェイクは弟子はある程度対応が済んでいそうだとスティアを振り返る。
 全く話には関与してこない老婆の存在を心配しているが――逆恨みが逆恨みを呼ぶ街で仕方がないのだろうが、親子たちが移動してしまった以上現時点で行動を起こすことはないだろう。
 工房の奥、作業テーブルに向かった背中を見かけジェイクが静かに息を飲む。裏口より潜入した特異運命座標の他、眼前の男の他、背後よりがたりと何か音がしたからだ。
「エリックとハンネスがまだ対応が終わってないのであるな?」
「ああ、ならその何れか、若しくはどちらもが入ってきた可能性はあるだろな」
 背後に視線を送ったローガンに頷いてウィリアムが警戒心を露わにする。逆恨みで襲うとなれど、裏口からランベルトを探す時間で少しは彼の保護に時間が掛けられるだろうか。
「……ランベルトか? マッドハッターの依頼でお前を助けに来た」

 ――練達北西部では殺人事件が頻発してるようですね。怨恨での絡みだそうですが、――

 テーブルの上のラジオから響くニュースキャスターの声を聴きながら振り仰いだ男、ランベルトは「マッドハッター? やれやれ、心配性だな」とぶつくさと呟いた。何所か鬱陶しそうな反応を見せたのは彼が現状を把握しきれていないからか。
「こんにちは。マッドハッターさんから依頼を受けて派遣されてきた彼の『眼』です。
 ……ええと、端的に言えば『ラジオの件』です。それで――弟子の方の行動について言われてきました」
 淡々と説明するスティアの穏やかな声音にランベルトははたと気付き手を止める。やれやれと肩を竦めた彼は『弟子』という言葉に反応したのだろう。
「言いたいことはあるだろうが、危険もある。さっさとこの場所を抜けるぞ」
 ジェイクの言葉に頷かんとしたとき、弟子が「ランベルト」と叫びながら室内へと飛び込んだ。
「もう来やがった」と呟いたウィリアムが顔を上げる。ローガンは弟子を受け止める様に前線へと飛び出し、ランベルトがなんてこったと宙を仰いだそれに「項垂れてる場合か」と叱咤する。
「普段から辛くあたってなかったら今回のようになってないかもしれないしね。
 また命を狙われたりするのは嫌だよね? 叱るべき事とそうじゃない事の区別はして、お互いに思いやる気持ちを大事していかなきゃ」
「俺ァ、あいつらの為だと思って厳しくやってんだ。この国じゃ突出した技術力が無きゃ埋もれんだろ。俺なんざ越えて貰わにゃいけねェんだよ……」
 項垂れ、椅子に腰変えた儘のランベルトの腕をぐい、と引く。スティアが振り向いたそれをサポートするようにジェイクは弟子へと向かって距離を詰めた。
「ランベルトがお前らにきつくあたったのは、お前らを一流の技術者にしたくての事だろうが!
 そういうのを世間一般で逆恨みって言うんだよ」
「何て言われようが関係ねぇ! 師匠だからって!」
 噛み付く様にそう言ったエリックとハンネス。彼らは師に憧れ狭きその門を越えて弟子入りしたが思う様に才能が伸ばせなかったのだろう。
 噛み付く様にそう言った彼らの命を奪わぬようにと対応するジェイクと共にスティアは一気に工房を抜けると走る。
「敵が前からくるって思ってるだけじゃ視野狭窄って言うんだぜ」
 ぐん、と距離を詰める様に暴風が吹き荒れる。それは弟子カールの対応を終えたサンディのものであった。
「待たせたね」と顔を出すマルクの閃光が迸り、一気に外へと飛び出したその前に立って居た老婆は狂気を孕んだ瞳で「誰も彼も『一人ぼっち』にゃ厳しいねぇ!」と唸る。
「家族を亡くして誰かに当たる時って、段々虚しくなって怒りが続かないものであるよ。経験談である」
 受け止めると腕を開いたローガンに老婆は目を見開き涙をぼとぼとと落とす。その意識をゆっくりと刈り取った白き閃光がその身体に影響を与えなければと願う様にと彼は目を伏せた。
「……大丈夫さ。処置をすれば、何らかの影響が出る事もないだろう」
 ウィリアムの、医者のその言葉にローガンはゆっくりと頷いた。
「……で、このありさまだが、きつい言葉は恨みを買いやすい。以後気をつけるこった」
「ああ」と唸ったランベルトにジェイクは頬を掻いた。
 誰もが、誰かの為に。そして、自分の中に燻った感情を掻き立てる様に魔種は動く。何も失うものがないとでも言う様に力強くその狂気を駆るという事はどれ程に罪深い事だったであろうか。
 後程、ロクとセレマより他の技術者たちとも連携し、街を盛り立てて欲しいという話が持ち上がった。無論、ランベルトは弟子や技術者たちをマッドハッターへ紹介し、この街で更なる事業拡大と、メカ子ロリババアの部品の作成を行っていければいいとどこか反省したような顔をして宣言した。


 ――次のニュースです。練達北西部にて――

 頬杖を付きながらティーカップを転していたマッドハッターは「さて」と小さく呟いた。
 傍らでファン・シンロンが面倒だという表情をしたそれを見ないふりをしてマッドハッターは奇妙な色のスコーンを口の中に放り入れる。
「魔種か。やれ、私達のフィールドに来るとは面白いね。さて、今後はどうなることかな」

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 お疲れさまでしたイレギュラーズ!
 ふみのGMより始まりました練達の魔種です。マッドハッター的にはとても興味がある相手のようですが……。

 ランベルトをありがとうございました。メカ子ロリババアにパワーアップキットとか作ってもらえるといいですね!
 またお会い致しましょう!

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