PandoraPartyProject

シナリオ詳細

二枚の切符を忘れずに

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ある駅員の手記
がたん……ごとん……
駅員である私は当直として駅の仮眠室で寝ていました。その時、確かに聞こえたんです。
電車がこちらに向かってくる音が。
「この時間に電車の音……?」
眠い目をこすりながら時間を見れば、当に運転業務は終わっている時間帯。
仮眠室から出た私は暗い駅の中、懐中電灯の灯りを頼りにホームへと向かう。
やけに響く足音に、早鐘をうつ心臓の音が騒がしい。
生唾を飲み込み、ホームへと向かう階段を降りていく。ホームについてまず驚いたのは黒い影たちの存在。そして、見知らぬ電車に彼らは次々に乗り込んでいく。
「うわああああああっ」
その光景に思わず逃げ出す。足がもつれ階段が上手く上がれず、なんとか上に。逃げなければ。
その一心だった私は気付かなかったのだ。
「エキインさんも一緒にいく?」
背後から少女の声。振り向きたくない。振り向いたらいけない。そう、分かっているのに。
「あ、ああ……ああああっ」
見てしまった。もう私は戻れない。

●幽霊電車を追え!
「……というのが、ネットに出回っている話だ」
桜葉は淡々と告げる。草薙があからさまに嫌な顔をした。
「俺はパスだ。てか、ツカサの方が適任だろこの案件」
「そうですね……もしも、その黒い影が霊魂だったら私には対処出来ます。けれど……」
問題の駅はその一件が起きてから閉鎖されている。中で戦闘が起こった場合、ツカサ一人では対応しきれない。そして。
「黒子狐も一枚噛んでるな、この案件」
もう一つ転がっている案件もある。それもなんとかしなくては。桜葉はあなたたちに向けて告げる。
「今回の依頼は「ツカサの警護」、「幽霊電車を止めること」この二つだ。恐らく、黒子狐の奴らも見過ごさないだろう。戦闘が入る事になる。それを分かった上で力を貸してくれないか」

●喫茶あじさい再び
「やあ、前回から若干話が進んだようだよ。やっぱり君たちイレギュラーズの介入は物語に影響するようだ」
カストルがにっこりと微笑む。話が進んだように、問題も生まれたようだ。今回はどうしたんだと問うと。
「今回はアルバイトの女の子が主人公だね。幽霊電車を調査するようだけど。「彼」もイレギュラーズをご所望みたいだ。行ってくれるかな?」
カストルは答えなど決まっているかのように笑みを崩さない。
これは巻き込まれるほかないだろうなと貴方たちは覚悟を決めた。

NMコメント

*挨拶*
ホラーちっくなライブノベル目指してみました。頑張ります。どうも、唐草稲荷です。
今回も精一杯いい物にしたいと思っております。

*目標*
「南条ツカサの警護」、「幽霊電車を止めること」この二つです。
南条ツカサの警護が上手くいけば幽霊電車は止められます。但し邪魔をしてくる黒子狐のメンバーがいるので注意してそれをあしらってください。

*世界観*
現代日本ファンタジーです。妖怪と人間が対立していて、その中立側となり「協定を結ぶ協力」と「黒子狐の調査・撃破」をしてもらいます。対立させている「黒子狐」と名乗るものたちとの戦闘依頼が多めです。たまに非戦闘の依頼になります。

*敵*
黒子狐のメンバー三人程度
主導しているリーダー格の人間とリーダーからの指示で動く妖怪が二人、人間が一人います。
黒子狐リーダー格→魔術書を使い、後衛からバフを飛ばす。本人の攻撃力は低い。
妖怪→狼の獣人が二人。スピードが速い。攻撃力も高め。近接タイプ。体力は低い。
人間→魔術使いが一人。攻撃力は低めだがデバフをかけてくる。が、さほど影響はありません。

*持ち物*
・二枚の切符→途中下車可能な切符。幽霊電車の駅員に出した時点で元の世界に戻れる。
(一枚は南条に、一枚は任意のPCに)

*同行NPCについて*
・南条ツカサ
18歳の少女。魔を清める、妖怪を退治できる力を持つ。
性格は大人しく争いを嫌う。喫茶あじさいのアルバイト。
→非戦闘要員ですが、彼女には幽霊電車に乗車し幽霊たちの浄化をしてもらいます。浄化作業中は無防備になる為、一人は必ず彼女についてあげてください。

*特殊ルール*
特にありません。あなたたちは普段通りの力を発揮できるでしょう。

今回のシナリオでは戦闘描写があります。南条の警護と黒子狐との戦闘を同時に行いますので二手に分かれて頂きます。どちらも重要なポジションとなりますので、よく相談して決めてください。

  • 二枚の切符を忘れずに完了
  • NM名紅榴あきら
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2019年11月09日 22時40分
  • 参加人数4/4人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

サンディ・カルタ(p3p000438)
金庫破り
赤羽・大地(p3p004151)
彼岸と此岸の魔術師
如月=紅牙=咲耶(p3p006128)
夜砕き
仄 火燐(p3p007317)
メインヒロイン

リプレイ

夜も更けた時間帯。市街地は静まり返っていた。南条ツカサの案内で一同は噂の駅へと向かっていた。
「しかし不思議だね、被害者である駅員は無事で済まないはずなのになぜ噂になるのか」
そう言うのは『メインヒロイン』仄 火燐(p3p007317)。それに対して南条が答える。
「多分ですけど、駅員さんの話は嘘だと思います。でも信じる人は信じちゃうから……あ、駅への入り口開いてますね」
駅へと続く地下通路の扉はこじ開けられていた。やっと一人分通れそうな穴の中は真っ暗で少し寒気すら感じる。
「……いきましょう、皆さん」
懐中電灯の灯りを手に下へ下へと進んでいく。
「あの、そういえば私について来てくれるのは仄さんですよね?」
「それがどうかしたのかい?」
言い辛そうに南条は言った。
「いえ、皆さんの作戦は説明されたので分かっているのですが……電車の中からの脱出に切符を使わなきゃいけなくて……その、一枚は私でもう一枚は同行してくれる仄さんに渡していただきたいんです、大丈夫ですか?」
その視線は『彼岸に根差す』赤羽・大地(p3p004151)へと向けられていた。
「そういう事なら分かったぜ。俺達ハ、俺達の仕事をしてくるからヨ」
頷くと仄に切符を手渡す。ほっと安心したように南条が息を吐いた。

長く長く続いたと思われた階段も終わり、駅に到着したその時だった。
パッと駅構内が明るくなる。全員が緊張し、聞こえてきたのはノイズ混じりのアナウンス。
「……ザザッ……間もなく……四番線に電車が……到着しますザザッ……」
ぶつんと途切れたその音は、どことなく機械的に感じられた。
「四番線……早く向かいましょう!もしかしたら乗るべきではない人も乗っているかも……!」
「では、ここは拙者たちにお任せあれ!」
『暗鬼夜行』如月=紅牙=咲耶(p3p006128)が影に向かい語り掛ける。
「そこにおられるのであろう?黒子狐なるものよ!」
ホームへの出入口を塞ぐように現れたのは狐面を被った黒服たち。彼らはここから先は行かせないとばかりに構える。にっと腕試しとばかりに名乗り口上を高らかに上げた。
「やぁやぁ、我こそは紅牙の紅牙=斬九郎!命が惜しくない者からかかってくるがよい!」
それが合図のように黒子狐たちとの交戦が始まる。真っ先に飛び掛かった獣人を如月が軽くいなした。黒子狐たちが遠くに固まった所を赤羽の朱音色の恨詩が襲う。その一瞬の隙をつき、仄と南条はホームへと走り抜けた。
少し出遅れた南条に獣人が牙をむくが、それは届かない。
「ここはツカサ殿が戦の要、彼女へは指一本触れさせる訳にはいかぬ!」
弾かれた攻撃に彼らは唸りを上げる。
「さテ、幽霊の事はそっちに任せたゼ」
「左様!異世界といえど妖術、魑魅魍魎など恐れるに能わず。拙者の体術で全て捌ききってくれよう!」

走り抜けた先の四番線。電車はまだ来ておらず、南条は息を整える。
「な、なんとか着きましたね……」
「……安心するのはまだ早いみたいだよ?」
ブザー音が鳴り響き、電車が到着する。中には黒いぼんやりとした影たちが座っていた。
「さあ、いこうか」
「はい!」
仄と南条を乗せた電車は再び走りだす。行先は「黄泉」。ここからが本番だ。

「ギャァァンッ!」
獣人の一体が倒され動かなくなると、その姿は影のように掻き消える。
「……妖怪であるお前ハ、何故今人間に従っているんダ?人間と妖怪を引き裂くつもりでいるお前達ガ、何故今手を組んでいル?」
赤羽が訊ねる。それに答えたのはリーダー格と思われる人間だった。
「全ては我らが神の為!!」
それ以上言うことはないとばかりに、残る一体の獣人にバフをかける。それでも尚、二人の攻撃に緩みはない。フレンジーステップでの呪殺を図り、攻撃の手を止めない如月。遠距離からの攻撃を行う赤羽。
黒子狐たちに勝ち筋は見えなかった。それでも彼らは戦い続ける。まるでこれが自分の役目と言わんばかりに。
「分からないナ、いや、分かりたくもないナ」
ぽつりと赤羽が呟く。残るはリーダー格の人間。
「色んな人間がいるけれどそんな生き方、人間としてどうかと思うね」
そう大地が言った時、勝負は決した。跡形もなく消えた影に振り向かず、彼らもホームへ向かった。

「ツカサちゃん、君はどうやってこの魂たちを浄化するんだい?」
「えっ、えっと……!?」
訊ねられた内容に驚きつつも南条は答える。
「……浄化の基本は魂との対話なんです。事情を説明して分かってもらうこと、その上で道を指し示してあげること。この二つなんですが……今回はもう概念となった魂たちを強制的に道に送り出してやるって感じで……うーん……上手く伝えられないです、ごめんなさい」
しゅんと肩を落とした南条に仄は頷く。
「それじゃあ、手伝える事はなさそうだね」
「はい……あ、でも何かあった時対応出来ないのでその時はよろしくお願いしますね! それじゃあ、始めます……」
すっと目を閉じた南条が文言を唱え始めると、足元に魔方陣のような文様が浮かぶ。少し距離をとった仄はそれを興味深く見ていた。
自然と重苦しかった電車内の空気が軽くなるような感覚。そして、黒い影は椅子から立ち上がり南条の元へと集まっては掻き消えた。
それからどのくらい経っただろう、時間が流れ、南条にも疲弊の色が見え始めた時だった。
「お客様……おやめください……お客様……」
ノイズの入ったアナウンスと共に電球がチカチカと点灯する。電気の消えた車両から現れたのは顔色の悪い駅員だった。瞬間的に恐怖が襲ってくるが、仄は南条の前に立ち、庇う姿勢を取る。
仄の目の前でピタリと動きを止めた駅員は黒い影となり掻き消えた。目を丸くしていると。
「……お、終わりましたぁ……」
小さな声で南条が言う。
「お疲れ様、ツカサちゃん」
一瞬ひやっとしたが無事に終わって良かった。と、へこたれた彼女に手を差し伸べる。
「……お客様」
突然話しかけられ、後ろを振り返ると黒い影の頭をした駅員が立っていた。
「切符を拝見いたします」
そう言われ、訝しくも持っていた二枚の切符を駅員に渡す。駅員はああ、と声をあげパチンパチンと切符を印を付けた。
「現世へはこちらへどうぞ」
そっと案内された車両、そのドアの上には『途中下車車両』と書かれている。開くと眩い光が辺りを照らした。思わず眩しさに目を閉じる。背後から『ようやくこの電車も終われます、ありがとうございます。最後のお客様』と聞こえ、目を開けるとそこは。

四番線のホームに立っていた。仄と南条は顔を見合わせる。どうやら目的は達成したようだった。
黒子狐たちとの戦闘が終わり、合流した赤羽と如月が二人の様子に驚いた顔をする。
「ああ、二人とも待たせたね。無事終わったよ」
「? 拙者たちも黒子狐らを倒してからすぐ向かったので、来たばかりでござるよ?」
どうも話が噛み合わない。あれだけの時間、電車の中にいたのに?と疑問を抱いていると。
「きっと、あの電車の中とこちらの世界では時間の違いがあったのかも……まあ、でも! これで帰れますね!」
疲れてるのを見せずにこっと笑う南条に、一同も安心したように笑う。
「仕事の合間に此方の世界の甘味も探してみたかったのでござるが別の機会でござるな。ツカサ殿、また会える機会があればその時は宜しくお願いするでござるよ」
「もちろんです! 喫茶あじさいの定番お菓子フルコース振舞っちゃいますよ!」
「うんうん、それは是非ともいただきたいね」
「お前たち、元気だな……」
こうして、幽霊電車の噂は幕を閉じた。あの電車はもう動かず、静かな眠りにつくのだろう。そう、あったらいい。南条は一同と話しながらそう思った。

成否

成功

状態異常

なし

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