PandoraPartyProject

シナリオ詳細

ヤミプラス

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●もう仕方ないな、皆は。いつもこんなクソシナリオばっか投げてくるんだから!
 探求都市国家アデプト――通称・練達。
 無辜なる混沌においても異色異彩を放つこの勢力は、『元々この世界に存在し得なかったもの』が作り出したある種の特異点である。
 混沌においては当然例外的に『純種』ならぬ『外来種』――即ち旅人達を中心に形作られた練達は混沌法則の支配の及ばぬ、『混沌法則が目こぼしをする』最大限をもって、世界に大いなるアクセントとスパイスを加え続けている。
 かの都市『セフィロト』の技術はこの世界の水準をゆうに上回り、或いは科学が著しく発展した旅人達の元世界のそれさえ時に上回る。それでもその頭を抑えつける世界法則に、求道者達は今日も憤慨し、制約を打ち破らんと情熱を燃やしているのである。
 まぁ、但し――科学者というものは得てしてトンチキであるものだ。
 多くがそうであるとは言わないが、混沌世界において練達に集う者達はある種のエキセントリックを禁じ得ず、つまり、その、何だ。
 暗いコンピュータ・ルームでおもむろに。
「最新VRで超リアルな恋愛シュミレーションが出来る、との触れ込みです」
 夜乃 幻 (p3p000824)の放った一言にその場の仲間達はゴクリと息を呑んだ。
 VR、つまりバーチャル・リアリティ。
 バーチャル受肉とかも含めて異世界地球現代社会なる文化においても昨今、著しい勢いを見せる一大コンテンツである。特にネット界隈でも大人気なそれは社会現象にもなり、最初は有志がわいわいやっていたのに続々とこれ儲かるんじゃね、みたいな企業参画が進み色々と真深いうわなにするやめろ!
 閑話休題。
「今回、その試作機を……
 イレギュラーズのコネで使える事になった、であってるよね……?」
「ヒヒヒ、こりゃ役得だねぇ。未知は楽しいし、何より遊び出がありそうだ」
 アイリス・アベリア・ソードゥサロモン (p3p006749)の言葉に上機嫌の武器商人 (p3p001107)が笑う。
「うむ! 吾も知っているのである。これは所謂恋愛死ミュレーションというやつなのである。古より続く戦いの儀式、美少女ならば誰もが憧れようというもの!」
「マリアもこれには興味があるな。恋愛シミュレーションというのは良く分からないが」
 咲花・百合子 (p3p001385)の良く分からない論法(イントネーションがおかしい)にエクスマリア=カリブルヌス (p3p000787)の髪がはてなを作った。とはいえ小首を可愛らしく傾けた彼女もそれなりに楽しみにはしているようで一行の空気は華やいでいる。
 但し、
「……………(ごくり)」
 深く、深く息を呑んだ華蓮・ナーサリー・瑞稀 (p3p004864)と、
(こ、これは機械。あ、遊びだからいいわよね。
 そ、その、今日、今、この瞬間、私が、ちょっと不敬にも、本当に不敬なんだけど、頭の片隅にあの方を思い浮かべてしまったとしても、それは遊びで……
 ええ、遊びで。でも、その、遊びというと失礼かしら?
 他の誰かなんてまっぴらだし、でも、その、同意も得ずに――もうどうしたら!?)
 Erstine・Winstein (p3p007325)といったなんつーかガチ勢の方を除いてはメイビー。
「……はっ!? 思わずトリップしてしまっていたのだわ!
 だ、大丈夫。これはシミュレーション、大丈夫なのだわ。
 落ち着いて、エルスティーネさん! 私も落ち着くから! 落ち着いてないけど!」
「そ、そうよね。シュミレーション、ところでプライバシーは守られるのかしら!?」
 設定上はね。リプレイは全世界に公開されっけどね。
 まぁ、想像通りの姦しさ。ヤミプラス、集まったのは概ね女子かその類(ぶきしょうにん)。
 唯、一つだけ疑問があるんだ。
「……レオパル様……」
 ところで、何故君はここに居るんだい? リゲル=アークライト (p3p000442)君!←新婚

GMコメント

 YAMIDEITEIっす。
 ダメダメなリクシナ、それもマラソンしていたので受けてみました。
 以下詳細。

●依頼達成条件
・スーパーVRで遊んで帰る

●ルール
 NPC(男限定)と何かシチュエーション遊びをするVRです。
 練達の科学者が作ったアレな代物だそうです。
 OP中では恋愛とか言われてますが友情とかそれ以外とかでもいいです。
 相手役は練達ビッグデータの弾き出すシミュレーションですが、私が書くので精度は高いです。(関係は自分で任意で選べるので、現状に必ずしも即しませんが)
 プレイング記述含め、全て下記に従って下さい。
 不備不足がある場合、描写量他が下がる可能性があります。

・一行目記載
【NPC名】
 一人をご指名。男のみ。上記のみを書いて下さい。
 但し選べるのは運営担当NPCだけです。個別GMのはNG。

・二行目記載
【関係】
【】でくくり、希望する具体的な関係を記載して下さい。
 例えば幼馴染とか恋人同士とかライバルとか何かそういう。
 現状に即している必要、オフィシャルである必要はありません。

・三行目記載
【シチュエーション】。
【】でくくり、好きなものをどうぞ。
 レオパルが男子高校生とか無理なシチュでもなんでもいいです。

・四行目以降
 好きなように妄想でも台詞でも書き連ねて下さい。
 どうせシミュレーションなのでプライバシーも守られます。
 PCはともかくPL向けには全世界公開ですが。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

 完全にそれだけのシナリオです。
 八つのシチュエーションを勝手なオムニバスでヤミプラスします。
 ところでリゲル君はなんでここにいるんだろう???

 以上、宜しくお遊び下さいませませ。

  • ヤミプラス完了
  • GM名YAMIDEITEI
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2019年10月21日 17時30分
  • 参加人数8/8人
  • 相談11日
  • 参加費---RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

リゲル=アークライト(p3p000442)
白獅子剛剣
エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)
愛娘
夜乃 幻(p3p000824)
『幻狼』夢幻の奇術師
武器商人(p3p001107)
闇之雲
咲花・百合子(p3p001385)
白百合清楚殺戮拳
華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)
ココロの大好きな人
アイリス・アベリア・ソードゥサロモン(p3p006749)
<不正義>を知る者
エルス・ティーネ(p3p007325)
祝福(グリュック)

リプレイ

●与太
 勘のいい人間ならばタイトルを見た時点で分かるだろう。
 この世には大凡まっとうではない瞬間が多くあり、物事に常に理知・理性的な判断が働くと思っているならばそれは幻想だ。人間を人間たらしめる欲望が枷を振り切ってしまった時――幸か不幸か、天がその求めに従ってしまった時。通常有り得ざるその扉はきっと重く開くのだろう。
「……そ、そう言われると物凄く深刻な気がしてきたのだわ……」
「そうか? マリアは気楽で良いと思うのだがな」
『お節介焼き』華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)が押し殺した小声で呟き、『夢終わらせる者』エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)の長い髪が『?』の文字を作り出す。
 彼女の――仲間達の目の前に広がる電脳空間は混沌の何処の風景とも一致しない。
「わ、私にとっては中々重大なのだわ」
 つけるように命じられた専用のヘッドギアを手にした華蓮は幾度目か息を呑む。
「確かに果てしない業(カルマ)は覚えざるを得ないのです……」
「うむ! 人とは業、闘争とは業。即ち業こそ人生である。
 乙女(せんし)は戦うもの。故に今日もまた、これもまた美少女道なのである!」
「……わ、分からない……
 いや、だからといってやめるかどうかは全くの別問題なのですが」
 零した『黒鴉の花姫』アイリス・アベリア・ソードゥサロモン(p3p006749)にやたらめったらに力強く首肯したのは言わずと知れた美少女――『プリティーリリー』咲花・百合子(p3p001385)である。
(専ら)少女達が今始めようとしているのは練達によってこの程生み出されたという超ハイクオリティのVR体験――つまり都合の良い夢を見る、という『お遊び』だった。その内容が、女三人寄れば姦しい、とも言う通り――幾分か乙女の事情に根差した『傾向』となったのは当然の帰結と言えるだろうか。華蓮とエクスマリアで受ける重圧が違うのは要は感情の重たさの問題だ。
「うぅ……」
 ……で、千一夜風で良かったんでしたっけ?
「い、言わないで! ピックアップしないで!」
 珍しい大声を上げた『氷結』Erstine・Winstein(p3p007325)は内心で誰かさんに謝り倒している。
(うぅ……この不敬を…この不敬を今だけは……どうかっ!)
 ……これは、シチュエーションと登場人物を設定する事で、練達のビッグデータが『適切な反応を選び、一つの物語を構築するシステム』である。Erstineの言葉に露骨に視線を泳がせた数人の反応を見るまでも無く、そこに当人の許諾といったフェーズは無い。『あくまで設定されたシチュエーションに相応しい答えを返す』のだから、現実における彼我の人間関係は必ずしも重要では無いのだが、恋に恋する(?)乙女がそれに幾分かの『後ろめたさ』を覚えるのは致し方あるまいか。
「まぁ、現実には難しい――知的好奇心を満たす為のゲームですから」
「そうだねェ。旦那は嵐みたいなお人だから……ゆっくり茶飲み話も出来やしないし」
 乙女乙女しい少女達の一方で『『幻狼』夢幻の奇術師』夜乃 幻(p3p000824)や『闇之雲』武器商人(p3p001107)といった面々は飄々としたものである。とは言え、武器商人の方の執着たるや少女達に引けも取らず本人曰く「ヒヒ、恥ずかしいねェ」てな具合なのだが、それはそれとして置いておく。

 ――各員、装着完了。驚天与太話システム、起動します――

 案内の機械音声が響けばもう口を開くものはいない。
 横たわるのは期待であり、不安である。
「……」
 目の前が電子光に明滅する。
 これよりファンタジー住民の諸君は酷く場違いな『フルダイブ』の世界へと飛び込むのだ。
(……レオパル様……)
 でもやっぱりもう一回、もう一個だけ確認させて?
 どうして君はここに居るの、『死力の聖剣』リゲル=アークライト(p3p000442)君!←新婚

●こんな感じで
「実は、お兄様って、憧れだったの」
 兄が出来る――そう聞いた時、アイリスは嬉しい気持ちを抑えられなかった。
「何だそれ」と自身を見返すリンツァトルテ・コンフィズリーの黒い瞳に自身の姿が映っている。
「私、一人っ子で……幼なじみはいたけど、ほとんど年が変わらなかったから……
 想像して、でも実際は分からなくて――だから、リンツァ様がお兄様になってくれて嬉しいわ」
 自分は『妹』だから。あまりに臆面もなく真っ直ぐに見つめてくるリンツァトルテにアイリスの頬が熱を持つのは当然であった。
(気になるお方といきなり恋人ごっこは……その。
 今度お会いしたときにどんな顔をしたらいいかわからないから……代わりに、お兄様になってくださらないかな、と思って機械にお願いしてみた、んだけど……)
 自身が設定を間違えたのか機械が変な気を利かせたのか――それは知れないが、この場においてアイリスは貴族の娘であり、白いドレスを着て眉目秀麗な兄にエスコートされる令嬢だった。
「そんなにいいものじゃないだろう? エスコート役が俺で……すまないが。
 とは言え、お前をエスコートしたいなんて男が居たら、まずは俺が見極める必要があるだろうが」
 リンツァトルテの言葉にアイリスは首をぶんぶんと振る。
 手を取られれば鼓動は高鳴る。『彼』に言っても仕方ないし、言う心算はないけれど。
(……白状します、私、リンツァ様のことが好きみたい)
 天に向けての告白は乙女の嘆息、乙女の懺悔。
 今は、今だけは、貧しい墓守の娘じゃない。彼の義妹。
 現実では言えない『お兄様』を繰り返してみたりなんかして。
 現実では着れない綺麗なドレスで舞踏会に出てみたりなんかして。
 それはそう、まるで旅人さんが教えてくれたシンデレラみたいに――今だけは。

●人数分を捌く
「いや、分かるんだよ。
 恋愛シミュレーションでローレットの顔役だとか、表向き商売上手の名君とか天義の聖獅子っていうメンツを選ぶのは分かるんだ。でもね、旦那。何を思ってその中にヤバい人斬りを紛れ込ませたのか練達のコたちに小一時間聞いてみたくなるよね。隠しキャラか何かってやつ?」
「主が何を言うておるか分からんがな。それでそれを選ぶ主も生き様もよう知れぬわ」
 死牡丹遊戯とは、そう言った武器商人に苦笑した人斬り死牡丹梅泉が不定期に開催する謂わば生死を賭けて一時を踊る――イレギュラーズにとってのデスゲームである。
 意図的にイレギュラーズを育てたい、そんな雰囲気を醸す梅泉は当人の本来の性質から言えばかなり気が長い事に遊戯に絶対の必殺を与えない。つまる所、適度に手を抜いている。イレギュラーズ側も大概に大概な連中が多いから、それに嬉々として参加する者が多いのも確かである。
「駄目元でオーダーしてみたら、通っちゃったんだよねェ」
 だが、この練達VR――通称『ヤミ・プラス』のビッグデータに彼が収録されていたのはその中でも最も変質的に梅泉との死線を好む武器商人にとっても意外な事実であった。
「気の利いたやり取りも無く、周辺状況もそのまま。
 ……こんなもの、外で存分にやれば良いではないか」
「ヒヒヒ、いやだねェ、旦那。自覚も何もありゃあしないのかい」
『死牡丹遊戯を終えて、大の字に寝転んだ武器商人は嘆息する梅泉に呵呵と笑う』。
「旦那に花も実もあるもんかい。用が済んだらすぐ帰っちまうじゃないか。
 ここの場所なら、お茶の一杯位は付き合うんだろう?」
 たった今、武器商人が斬られた回数は七百回。←過負荷だと怒られてここで辞めた。
 呆れ顔の梅泉は「……まぁ、それも良い」と倒れた武器商人の腕を引く――

●山も落ちも無い
「この場所は耳触りの良い言葉を聞く為の場所だと思っていたのだが?」
「馬鹿な事を言いなさいますな」
「馬鹿な、と言うと?」
「僕がホスト通いなんてことをする理由なんて最初から一つ。
 知的な駆け引きをするに相応しい相手がここにいるから。
 第一、簡単に手玉に取れる男なんてつまらないでしょう?」
「本当に口の減らないお嬢様(おきゃくさま)だ」
 ムーディな室内灯に照らされた夜のサロン。煌びやかなナイトドレスの幻に応対するのは礼装(スーツ)に身を包んだクリスチアン・バダンデールである。
 現実世界でもやり合った経験のある二人である。
 腹黒と腹黒を掛け合わせれば、必然的に産み落とされるのは会話という名のコン・ゲーム。
「『虫ケラの君』も大変ですね。上客の指名は逃せませんから」
「いや、高い金を払って厭な男に会いに来る君ほど大変じゃない。
 嵐の君を適当にやり過ごし、今日も高いシャンパンを開けて貰う。簡単な経済活動に過ぎないさ」
「あらあら、お認めになりますのね。
 獅子身中の虫に金食い虫、そして悪い虫。うふふ、本当に貴方は僕についた悪い虫ですね。
 ええ、ええ。今日も僕と精々駆け引きして下さいね。
 上手にできたら、ピンドン入れて差しあげますから」
 幻がVRに望んだシチュエーションはクラブの客とホストだが、やり取りは抜身の刃で斬りあうかのような『知的娯楽性』に満ちていた。
「今日は僕以外の何人の女の方を落とされたんです?」
「三、四人だったっけ」
「尋ねておいて何ですが――他のお客様に言う事ですか?」
「聞きたがっているから言うのさ。言った方が得だから」
「……そうやって、口ばっかり達者な貴方が好きですよ」
 互いに嫌味と皮肉を連ね合う、毒花が揃えばこんな社交もいいだろう――

●オムニバス
 ~ときめきスチールグラード・初恋(けっせん)はレモンの香り!!!~

 長い、長い戦いだった。
 引き締まり過ぎ、膨張した筋肉を。
 元のぷにぷに♪でキュートな二の腕に戻すにはまさに血反吐を吐くような努力が必要だった。
 全てが矛盾しているが百合子だから問題ない。
 百合子が今、再び点描を纏わねばならない理由等、最初から一つしか有り得ない!
「この時、待ち詫びたのである! 皇帝!!!」
 風雲急を告げ、トーストをくわえて街角を曲がったが如し彼女の前に立ちはだかるのは『麗帝』の異名を持つヴェルス・ヴェルグ・ヴェンゲルズ――言わずと知れたゼシュテル皇帝その人である。
 事これに到るまでの薄氷のルートを辛うじて超えてきた百合子に歴戦が漂う。
 それもその筈。
 戦略を尋ねられ、「真正面から全力で」。
 君主について、「一度は話してみたい」。
 選択肢で悉く正解を引き当て、更には山場。
 決戦を5T以内に決着、ザーバ隊を撃破しない、ラド・バウを占拠する、ヴェルス隊を撃破、その場は見逃す……プレイ時間にしたら六十時間、単行本にしたら全十八冊は堅い長い長い戦いを経て今ここにあるのだから当然である。
「共に! 覇道を!」
 ヴェルスルートに進むにはこの説得イベントが重要だ。
「俺にゃアンタが何を言ってるかさっぱり分からないんだが……」
 瞳に星を瞬かせた百合子に頭を掻いたヴェルスが苦笑する。
「負けちまった以上は聞くのが筋だよな。いいぜ、世界征服でも何でも一緒にしようじゃないか」
「応!」と拳と拳をぶつけ合い、咲花百合子は覇道を行く!
「そうと決まったら進軍! だが、その前に一休みである!
 食べたら少し休まれるか?それとも吾と……と・う・そ・う?」
 咲き誇るは白百合のオーラ。「休めてねえよ」と真顔のヴェルス。

 ……これ一体何の話なの???(プレイングに書いてあったよ)

●なので
 ――れ、冷静に考えれば物語通りなら。私は王様に本を読み聞かせるだけだもの!
   ええ、ええ!何も不敬ではないわね!?

 Erstineはそうたかをくくっていた。
 少なくとも自分自身を言い聞かせようと必死にそう騙していた。
 千一夜物語に自身をなぞらえ、かのシェヘラザードのように『王』に寝物語を紡ぐだけなのだと。
 しかし、しかし――練達のビッグデータは非常に優秀で、彼女が望んだのは『よりによって』ディルク・レイス・エッフェンベルグであった。
「……で?」
「……………!? !? !!!?」
「続きは? 喋れない、話が上手くない語り部なんて――
 実際、大臣(あいつ)も俺を甘く見たもんだな?」
 天蓋つきのベッドに寝転んでいた王様の顔がErstineを見下ろしている。
 引っ張り込まれたのは彼女が幾度目か話を『噛んだ』時だった。
「アンタ、俺の事を何て聞いてる?
 夜毎、違う女を引っ張り込んではとって食っちまう怪物か?」
『面白そうに退屈そうに』。矛盾した顔をしたディルクは彼女に問い掛ける。
 ……千一夜物語は機転を利かせた大臣の娘が王の怒りをかわし、最終的には再び愛を思い出させる話である。『Erstineの願望を少なからず反映させたこれ』はイコールではないが……
「そ、そそそそそのような不敬は、決して! ええ!
 ぃ、いけません! いけません!! そ、想像でも不敬です!!!」
 目をぐるぐるにした彼女は当然のように上手い切り返し等出来よう筈も無い。
 乙女ゲー特有の変な距離の近さと『本来の』ディルクの風情は恐らく手加減をして貰ってきたErstineの許容量(キャパシティ)を一瞬で上回り粉砕している。


「お仕置きが必要だな、アンタにも大臣にも」
 長い髪の毛が垂れてErstineの頬をくすぐる。
 不敵に笑ったディルクは――この先を読むにはもっと課金(RC)が必要です!

●やる事やったら
「……ん」
 ああ、幸せなのだわ。
「……………蓮」
 レオンさんがいて、マリアちゃんがいて。これは間違いなく幸せ家族なのだわ……♪
「華蓮」
「……ふぁい!?」
 目の前にぬっと顔を突き出したレオン・ドナーツ・バルトロメイに我に返って飛び上がった華蓮は反射的に大声で返事をしていた。
「オマエね、折角ピクニックに来たのにボーっとするんじゃねぇよ。
 つーか、眠いのに付き合って来たんだぜ。あんまりオマエ達がせがむから」
「そ、そうだったのだわ! これは幸せ家族には必須のイベント!!!」
 頷いた華蓮にレオンは呆れ顔、一方でエクスマリアは「うんうん」と何度も深く頷いていた。

 ――故郷の一族も、家族ではあるが、父や母という関係性ではなかった故、興味深い、な。
   とりあえずはレオンと華蓮……否、パパとママに、思う存分甘えてみるのも良いか。

 エクスマリアは恋愛VRというのはサッパリ良くは分からなかったが、乗りかかった船である。幸せなお嫁さんvを望む華蓮と取り敢えず父母(らしきもの)に甘えてみたいというエクスマリアの目的は綺麗に噛み合い、結果として同じ世界観を共有するに到ったという訳だ。
「眠い、疲れた、等と。それでは駄目なパパなのだぞ。
 娘に構うのも父の仕事、だ。おい、パパ。折角だから抱っこしてくれ」
「はいはい、仰せのままに」
 良い天気の昼下がり、草原にシートを広げて緩やかな一時を過ごす。華蓮の作ったお弁当は豪華で本格的で、たまに些か雑なエクスマリアの作りが覗くのがむしろ微笑ましい。
「口を開けろ、パパ。あーん、だ」
「助けてよ、華蓮」
「今日はちょっとだけ意地悪するのだわ。覚悟してね、レオンさん」
 エクスマリアの天真爛漫(?)な様子に押されるレオンを華蓮はにこにこと笑って眺めている。
 それは何処までも幸せで穏やかな空間だった。
 一番なりたいお嫁さん。良妻賢母に彼を支えてたまにはデートしたいと困らせる。
 これ以上の願いが一体何処にあるだろう?
「私も甘えてしまうのだわ。こ、これはやきもちではないのだわ!」
「何だ、ママも一緒か」
 娘と奥さん両方にひっつかれ、何とも困った顔のレオンが嘆息する。
 しかし彼はVRでも彼なのか――「ちょっと」と呼ばれた華蓮が耳元を寄せれば、彼はこんな風にも言ったのだ。

 ――出来れば、向こうの俺にも宜しくね。

●いきなり終わる。完!
 リゲル=アークライ子は憂鬱でした。
 幸せな彼女の日常は父シリウスが何をトチ狂ったか母ルビアと別れ、ベアトリーチェと再婚するとか言い出したその時からgdgdのメタクソになっていた。
 父はンな謎ムーブをかました挙句、「ちょっとイェルハルド殿と大間にマグロ釣りに行ってくるわ」等と軽率に異世界転生をかまし。
 後に残されたリゲルはと言えば、継母に灰どころか暗黒の汚泥を浴びせられ、義姉のリーゼロッテには何の恨みがあるのか(多分ぱんつ)「画鋲ダンスですわ」等とぴょんぴょん跳ねさせられ、その妹のリンツァトルテには「君を助けると俺がタゲられるから耐えてくれ」等と宣告される始末!
 ネメシス編の感動巨編を台無しにする日々を送っておりました。
 しかし、そんなリゲルにも転機が訪れるのです。
 王城で王子レオパルが開催するという舞踏会は女の子にとって夢の舞台。
 心イケメンのケツ顎王子は国中の女の子の憧れの的でそれはリゲルにとっても例外ではありませんでした。
「ああ、でも俺にはドレスも聖剣もない。舞踏会に行くにはどうしたら」
 そんなリゲルの悩みを解決したのはサワミマンに狩り尽くされ絶滅危惧種となっている長耳の少女でした。
「貴方には胸は無いけど、気立てがある。大丈夫胸が無くても姉さんには負けないから」
 長耳の魔法使いの協力を得たリゲルは何とか舞踏会に乗り込みます。
「このゴリラ殴っても倒れないから嫌なんですけど!?」
「おお、卿は!」
 根を上げたリーゼロッテに代わり参戦したリゲルは王子との一騎打ちに臨みます。
 凄まじい攻防が長きに渡り繰り広げられる、夢のような時間!
 いよいよ決着かと思われたその時、無情にも0時の鐘が鳴ってしまいます。
「待たれよ、卿!」
 レオパルの制止の声を振り切って階段を駆け下りたリゲルの残したのは28センチのガラスの靴。
 王子は国中を探し、ガラスの靴の似合う娘を……

 ……おまえら、いいから俺に謝れ。完!

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 YAMIDEITEIっす。
 一日計算間違えてました。ごめんなさい。

 字数に余裕が全くなかったので投げっぱなしになりましたが
 オムニバス形式で一通り書いたと思います。
 あやまれ、とかネタで書きましたが謝って下さい!

 シナリオ、お疲れ様でした。

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