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シナリオ詳細

<Sandman>狂信のピリオド

完了

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●『生きることに感謝を』――メラン
 強襲移動教会ホエールチャペル――砂漠を進む砂鯨とその背に建設された教会の中。
 12時の鐘が鳴る頃に、猫獣種のアリコ先生(ティーチャーアリコ)はテーブルにナイフを突き立てた。
「ついに見つけた。つきとめた!」
 ナイフの刺さったその位置と重なるように、地図の一点がマークされている。
 同じテーブルについていたイレギュラーズたちはその様子にぎょっとしたが、前列に座っていたジェック(p3p004755)とアベル(p3p003719)は平気な顔(?)でガスマスクのシュコーシュコーという呼吸を続けていた。
「そのテーブル誰が直しますの」
「うっ」
 後ろで本を抱えていたウサギ獣種のメラン先生(マスターメラン)が、釘を刺すようにアリコの後頭部にチョップをいれた。

 ラサと深緑の間で大事件が勃発した。
 これまで頻発していたハーモニアの拉致及び奴隷売買問題の黒幕と目されていた『ザントマン』オラクル・ベルベーグルス。
 魔種化したと噂される彼の深緑侵略計画。それに端を発したディルク派VSザントマン(オラクル)派の対立。
 ザントマンについてより大きな利益を上げたい悪徳商人たちと、そんな彼らを連合から排斥したいディルクはローレットに大規模な依頼をもちかけた。
 今回はその一端。
 であり、連合に所属する傭兵団『Liberation Medical Force(医師による自由のための解放戦線)』との大規模共同作戦の会議中であった。

 椅子に座ってしょんぼりと耳を寝かせるアリコに代わって、メランが肩に掛かるウサギ耳を払って語り始めた。
「わたくし達が追っていた『Bの奴隷商人』。このアジト……もとい首輪工場の場所を特定しました。
 ラサの首都ネフェレストに堂々と隠されたこの首輪工場を大隊を用いて制圧、破壊する計画でしたけれど……防衛に敷いている戦力がいささか厄介ですわ」
 情報屋からもたらされた偵察写真が並べられる。
「――これは」
 イレギュラーズの中で、アベルが口を開いた。
 隣に座ったジェックがフウと息をついて椅子の背もたれに寄りかかる。
「落ち着きなよ『ガスマスク外せる系男子』。殺気だだモレ」
「あなた方は、ご存じのようですわね――邪教団体『楽園の東側』」

●狂信のピリオド
 『楽園の東側』とは……生きることが罪であり、肉体という枷から解放されることで人間が楽園に至ると信じている宗教団体である。
 そのためには良き死(試練)を熟さなばならないとされており、『Bの奴隷商人』が量産する首輪を教団員にはめ、洗脳を深めるという活動も行なっていた。
 そのため、『Bの奴隷商人』不在時の防衛戦力として首輪工場に大隊規模で配置されていた。
「その数およそ50人。いち工場とは思えないほどの規模ですわ。
 おそらく傭商連合の決裂を受けて、襲撃を警戒したものでしょう……けれ、ど……!」
 メランは拳を握り、椅子の上に立ち上がり――。
「邪教軍隊なにするものぞ。子供が当たり前にすら生きられない世界を見過ごすくらいなら、工場もろとも叩きつぶしてくれますわァ!」
 突き立ったナイフを踏みつけ、より深くテーブルに打ち込むメラン。
「もうそれ抜けないでしょうが」
「あうっ」
 後ろに立ったアリコがメランの後頭部にチョップをいれた。

 しょんぼりしたメランの代わりに、再び説明を始めるアリコ。
 彼女が増えを吹くと、軍服を纏った子供たちが一斉に現われ、そして整列した。
 アサルトライフルとナイフによって規格された装備。訓練された立ち姿。
 紛れもなくそれは、戦闘訓練を受けた軍人のそれである。
 メランとアリコという『ただの大人』が、孤児や奴隷販売された子供たちを手当たり次第に引き取って『ただの子供』として生きていけるための金を稼ぐための傭兵団。LMFである。
「みんな、聞いて。この作戦は恐らく過酷なものになる。
 これまでの戦闘作戦とは異なる、『生きる希望』が必要になると思う。
 だから――世界の希望であるローレット。みんなの力を借りたいの。
 その対価として、私……。
 いや、我々LMFはこの軍隊そのものを貸し出すよ」
「これから行なわれる首輪工場強襲作戦の指揮を、あなたがたローレットに任せます。
 そしてあなた方一人につき5人ずつの分隊員をつけ、サポートさせます。
 わたくしたちが手塩にかけて育てた子供たちは、きっと役に立つ筈ですわ」
 メランもまた立ち上がり、分隊長の位を示す腕章を差し出した。
「『楽園の東側』が提唱する世界に未来なんてありませんわ。
 彼らに毒された子供たちがどんな死に方をするかなんて想像にかたくない。
 だから――」
「未来を守って、イレギュラーズ!」

GMコメント

※同時参加禁止設定について
 このシナリオは『<Sandman>砂仕掛けのブルース』と当時に行なわれる作戦であるため、どちらか一方にしか参加することができません。

■成功条件:首輪工場の制圧
 首輪工場は首都の地下に広がっており、その入り口を防衛する形で『楽園の東側』の信者たちが配置されています。
 皆さんは分隊長となって兵を率い、この大規模な戦力を壊滅させてください。
 工場そのものの制圧は隊員たちが凄まじい速度と効率でこなしてくれますので、皆さんは各分隊の戦闘指揮にだけ集中できます。
 またアリコが高所からのハイテレパス通信&望遠視力によって各分隊の通信交換と俯瞰視点によるオペレートを行なってくれます。
 そのため大隊規模での指揮を行なう必要もありません。

■分隊指揮ルール
 みなさんには1PCにつき5人ずつの兵隊がつき、一緒に戦ってくれます。
 彼ら分隊員の指揮はあなたに一任されており、基本的にあなたの行動を支援するかあなたの巧みな戦術を実行するために動きます。
 ですが向き不向きや趣味もあると思いますので、以下の2パターンのうちどちらかを選択して指揮を行なってください。

【士気向上】
 戦う前に気合いの入る演説をしたり、率先して前に出て戦ってみせることで隊員の士気を向上させます。
 この場合隊員たちはあなたの戦闘を支援する形で動いてくれますので、作戦指示としては『自分がどういうタイミングでどんな支援をされると一番戦いやすいか』という基準でだしておくとよいでしょう。

【戦術指揮】
 もしあなたが兵士に効率的な戦い方を指示したり、絶妙なタイミングを見極めたり、かわった作戦を実行したりするのが得意な場合、あえて率先して戦わず分隊員たちを前に出して彼らを上手に指揮するコマンダーになれるでしょう。
 このパターンで戦う場合分隊員たちは相応の戦力強化がなされます。
 どういう戦い方をさせたいか、どんな戦術を立てるか、分隊員に指示するプレイングをかけましょう。(台詞で書いてもいいですが、即キャパオーバーを起こすので地の文で簡潔に書くことをお勧めします)

■味方戦力
 皆さんに分隊員がついているように、メランも『うさぎさん分隊』を率いて一緒に戦います。
 彼女は前にでて戦う士気向上タイプの分隊長で、皆さんが動きやすいようにフォローする形で動いてくれるでしょう。プレイングによる方針の支持はいりません。一緒に戦いたいなあと思ったら、分隊を合流させてみるのも素敵かもしれませんね。

■チーム名のすすめ
 LMFの分隊はそれぞれ『こいぬさん分隊』『とかげさん分隊』『あひるさん分隊』といった具合に『ひらがな三文字+さん』で分隊を区別するというローカルルールがあります。
 別にこれにそう必要はありませんが、なんかおもしろいなと思ったらマネしてみると可愛くなれます。

■おおまかな作戦概要と敵戦力
 強襲移動教会ホエールチャペルを用いて首都の首輪工場に直接乗り付け、次々に降下していくことで襲撃をしかけます。
 降下時に『降下専用のジェットパック』が支給されるので落下ダメージはありません。
 着地を華麗にキメたいなと思ったら、なにかひねってみるのもおもしろいかも知れません。

 敵は『楽園の東側』信者のハーモニアたちです。
 魔術系の装備を多く整えており、戦って誇り高く死ねればいいという考えから強烈な猛攻を仕掛けてくるでしょう。
 牽制や呼びかけ、話し合いや説得といったものは一切通用せず、とにかく死ぬまで戦います。
 これにひるむこと無く勇敢に振り払うのも、皆さんの役目となるでしょう。

  • <Sandman>狂信のピリオド完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別EX
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年10月12日 22時10分
  • 参加人数10/10人
  • 相談6日
  • 参加費150RC

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(10人)

焔宮 鳴(p3p000246)
救世の炎
ウェール=ナイトボート(p3p000561)
永炎勇狼
ヨハナ・ゲールマン・ハラタ(p3p000638)
自称未来人
イーリン・ジョーンズ(p3p000854)
流星の少女
七鳥・天十里(p3p001668)
ゴリョウ・クートン(p3p002081)
ディバイン・シールド
弓削 鶫(p3p002685)
Tender Hound
アベル(p3p003719)
失楽園
ジェック・アーロン(p3p004755)
冠位狙撃者
ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)
奈落の虹

リプレイ

●砂漠を走るクジラ
 巨大な鯨が砂を泳ぎ、ラサの首都ネフェレスト郊外に搬入口をもつという『Bの首輪工場』へと迫っていた。
 ラサでも知る人ぞ知る強襲移動教会ホエールチャペル。多くが子供たちによって構成された傭兵団『Liberation Medical Force(医師による自由のための解放戦線)』の拠点である。
 工場を防衛せんと郊外の砂漠地帯には約50人規模の歩兵部隊が展開。
 質素な僧服と入れ墨から、彼らが『楽園の東側』に属する邪教徒であることがわかるだろう。
 両開きになったステンドグラスの門を潜り、ジェットパックを起動させる子供たち。
 それぞれの先頭に立っていたのは、今回の要である『Tender Hound』弓削 鶫(p3p002685)たちであった。
 空に鷹を飛ばし、五感共有をはかって戦場を見通す鶫。
「戦術単位11組の突入準備完了。アリコさん、いつでも……」
『ありがとう。ホエールチャペル前進。接敵に備えて』
 教会の頂上からその様子を眺めていたアリコが、鷹ごしにテレパス通信を送ってくる。
「神がそれを望まれる」
 鶫との通信をオンライン状態にした『天才になれなかった女』イーリン・ジョーンズ(p3p000854)。
 おきまりの聖句を唱えると、『紅い依代の剣・真秀』を召喚。握り込んだ。
(子供を普通に育てられない時代か。前に仕事で子供を殺したのを思い出すわね。
 今度はそれと肩を並べるか……一人前の戦士、として扱わなくちゃね)
 振り返れば、小銃やレーザーブレードで武装した子供たちが整列している。
 彼らの目にあるのは人生への希望と執着。『楽園の東側』が死ぬための訓練を受けてきたのに対し、彼らは『生きて帰るための訓練』を受けた兵士である。
(だとしても……小さな子供が戦うという状況はあまり好きじゃないですね。
 自分の昔に重なると言いますか、よくある不運ってやつですよこの世界じゃ)
 ガスマスクをあえて装着しなおし、拳銃をホルスターに納める『未来偏差』アベル(p3p003719)。
(だからこそ、目の前の子供達を救えたら自分も救えるんじゃないかってそんな風に思うんですよ。
 最近懐かしい顔を見たせいかもしれませんが、ちょっとしんみりですね……)
 この戦いはアベルにとって少しだけ特別な意味をもっていた。
 『ある少年』との再会と、決別と、二人を別った狂気と……。
 世界を『ままならなく』した元凶を思って、アベルはただ、マスクの内で目を細めた。
「さあて、行きましょうか皆さん」
 『自称未来人』ヨハナ・ゲールマン・ハラタ(p3p000638)が自分の頬をぱちんと叩いて気合いを入れた。
「人命と尊厳救助だけでも万々歳な気分でしたが、先生たちを見ていたら俄然やる気が出てきましたっ!
 未来のために頑張る方に、ヨハナはいつでも味方しますよっ!」

 砂混じりの暴風が吹き抜けていく。
 教会の鐘が鳴り、子供たちの目に兵士の光がさした。
 ゆっくりと呼吸を整え、本を抱く『炎嵐に舞う妖狐』焔宮 鳴(p3p000246)。
 きっと狂ったこの世界で、正気と言えるものがなんなのか、鳴はその答えの一つを知っていた。
「首輪の工場。罪なき民を傷付ける要因、その一つ……施政者だった者として……いえ、私自身として、赦せない」
 本を握る手に力を込めて、鳴はもう一歩を踏み出した。
「全ての子供達の、全ての善良なる民の安寧の為に……邪魔をするのならば、焼き尽くしましょう」
 くるくると両手で拳銃を回し、腰のホルスターに納める『ガンスリンガー』七鳥・天十里(p3p001668)。
 目を瞑りあえて笑ってみせると鳴と同じ位置へと足を踏み出す。
 あとつま先一つ分踏み出せば落ちてしまうような板の上。眼下は広い砂漠。砂鯨のボオウという不思議な泣き声がこだまする。
 銃口の先にたつこと。
 高所に身をさらすこと。
 それでも笑うこと。
 きっとそれは狂気ばかりの世界の中で、おそらくは数少ない――。
「こんな工場さっさとぶっ潰しちゃわないとね」

「良き死か……その為に悲しみをばら撒かれるのを見逃したのか。同胞も砂の友も巻き込んで……」
 曲刀を腰にさし、暴風にマントを靡かせる『寝湯マイスター』ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)。
 自らの分隊に配属された子供たちへと振り返った。
「今日は来てくれてどうもありがとう。君達と共に戦えて嬉しいよ。
 今から行く工場が吐き出す首輪のせいで今も涙を流す人がいる。……もう悲しい事は十分だ」
 目線を合わせて語るウィリアムの灰色の目に、遠いどこかの光が見えた気がした。
「首輪を持ってはしゃぐ連中がこれ以上増えないようにどうか力を貸してほしい。
 僕は仲間といる時が一番強い魔法使い。君達が一緒ならいかれた連中が相手でも負けないよ。
 さあ行こうか。遅くても夕飯までには帰らないとね!」
「夕飯までか、ぶははっ! そいつぁいい!」
 『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)はでっぷりとした腹を平手で叩くと、あえて豪快に笑い飛ばして見せた。
 両脇に控えていた子供たちの肩を叩き、交互に頷いてみせる。
「オメェさんらへのオーダーはシンプルだ。
 俺に群がる蟻どもを確実に一匹ずつ潰してくれ。
 俺は耐えることしか出来ねぇ豚だ。攻撃に関してはオメェさんらに頼るしかねぇ。
 つまり……『俺の背中は頼んだぜ戦友!』」
 ニッと歯を見せて笑う。
 子供たちはどこか柔らかく笑い返してから、スカーフで口元を隠した。
 肩から提げた小銃を手に取る。
 子供の傭兵団という言葉とは遠いようにすら思える彼らの表情に、『守護する獣』ウェール=ナイトボート(p3p000561)は目を細めた。
 傍らに立ったサポートAIが腕から浮き上がらせた空間投影ウィンドウに分隊員たちの名前を羅列する。
 ウェールはそれを一人ずつ読み上げると、それぞれの顔を見た。
「……君達には生きる希望はあるか?メランさんやアリコさんのような頼れる大人になりたいとか、将来の夢や好きな物をいっぱい食べたいとか。
 俺はある。旅人の俺は混沌に召喚される前に大切な子を守る為に頑張ったら捕まって洗脳されてな、悪人の手駒として悪役をやってたんだ。
 でもある夜、息子が俺を止めてくれた。血の繋がりが無いのに、一緒に暮らせたのは数年だけだったのに。
 こんな俺をパパと呼んで止めを刺してくれて、気づいたら俺は混沌に召喚された」
 ウェールの目の中に光る変わらない輝きは、いつも彼を支えている。
 それが彼がもった無二にして絶対の才能であり、けっして折れない力の源である。
「俺は、この混沌に自分が必要無くなったら息子に会って、謝って抱きしめて撫でるその時の為に生きている。
 敵は死ぬ気で攻撃してくる。だから君達も生きる為、明日の為に俺と一緒に戦ってくれ。
 俺は君達の肉盾になるか回復しかできないけど、君達の痛みは俺が頑張って減らすから」
 あとは任せた。
 そう言って、ウェールたちは進んでいく。
 大人と子供。おなじ兵士であって、根本的に違う。『ガスマスクガール』ジェック(p3p004755)はそんな彼らの背をガスマスクのレンズに映していた。
「あなたはあんな風に演説しませんの? 『はずせない系女子』さん」
「ガラじゃないデショ」
 メランに言われて、ジェックは肩をすくめて見せた。
 だというのにメランは片眉を上げたまま微笑んでジェックを見ている。
 ジェックは……ふうと息をついて、ライフルを肩に担ぎながら歩き出した。
「相手は一見ツヨいように見えるケド、脅威となるのは死を惜しまないソノ精神性ダケだ。ヒルんだ瞬間に、マケるよ。
 だから足をネラえ。近付かせなけレバ、届かせナケればアタシ達の独壇場ダ
殺そうとオモわなくてイイ。ただ……」
 言うべきことは他にないだろうか。
 これが最後になるとしたら、伝えなければならないことはないか。
 ジェックは歩みを一秒だけ止めて、そして一言だけ加えた。
「マケるな」

●所詮は多数決の自死
 教会の鐘にのせて、ジェットパックで飛び立つ約66人の大部隊。
 ホエールチャペルめがけて突撃を開始する『楽園の東側』勢力たちへ、イーリンは最初の迎撃行動に出た。
「やることは味方を守り、敵を討つこと。簡単でしょ、その代わり――超忙しいわよ」
 周囲を固める兵たちに牽制射撃を開始させつつ、アリコを通して鶴翼陣形の指示を飛ばさせる。
「全員作戦は覚えてるわね。各分隊は所定の分隊と合同で小隊を組み五半個小隊として防衛戦力を包囲、殲滅。地の利で負けても数ではこちらが上よ。足を止めないで」
 イーリンの支援効果を受けた彼女のおうまさん分隊及び鳴のきつねさん分隊は極左翼を担当。こちらの意図を察して展開を始めた邪教徒たちへ鳴が猛烈な先制攻撃を浴びせにかかった。
「『きつねさん分隊』の勇気ある子供達よ! より良い明日の為、ここでその力を振るうのです!」
 鳴の魔力が緋色の炎となって燃え上がり、渦を巻いて天を突く。
 そうして生まれた炎の槍が、邪教徒めがけて発射された。
 反撃の魔術砲撃。
 弧を描いて飛ぶ魔法の矢を、イーリン率いるおうまさん分隊が魔術シールドを展開して防御。その下に滑り込んだきつねさん分隊が炎のマジックライフルれ波状射撃をしかけていく。
「弾幕をきらさないで。敵の展開を押さえ込むのです!」
 一方、邪教徒たちを挟んで反対側。
 鶫率いるわんこさん分隊は長射程重火器を備え邪教徒たちへと絶え間ない砲撃を浴びせていた。
 カメラドローンよろしくはるか空中を旋回する鷹からは、赤い弧を描き邪教徒たちへ浴びせられる炎の群れが見えるだろう。
 対する邪教徒たちは剣を抜き、距離をつめようとわんこさん分隊へと迫っていく。
「攻略戦のカギは、見つけた敵を即座に且つ確実に潰す事。
 後退して態勢を立て直す機会を与えてはいけません。その為にも、見つけたら即座に最大火力を叩き込む事を意識して下さい」
 迫る邪教徒の一部をたちまちに撃退。邪教徒たちが回復によって立て直しをはかる一方、その時間を稼ぐために僅かな邪教徒たちが剣による突撃を仕掛けてきた。
「――いるかさん分隊、掃射」
 ジェックはごくごく冷静に、腕を台にしたかわった姿勢でライフルを発射。敵前で破裂した弾頭が横一列に激しく弾をばらまいていく。
 それに伴って、着弾箇所を中心とした一列エリアにサブマシンガンによる掃射をしかけるいるかさん分隊。
 回復する時間を稼ぐ暇を与えず、さらなる包囲を完成させる。
 包囲を守る接続部。右翼左翼の間接部とも言うべきB小隊およびD小隊は包囲陣形がもうじき完成するという連絡を受けて攻撃姿勢へとシフトしていった。
「さーさ、ことりさんチームのお通りだ!」
 二丁拳銃を連射しながら突っ込む天十里率いることりさん分隊。きわめて単体戦力としてバランスのよい天十里を防御、治癒、補充しつつ彼女の苦手とするタイプの封殺を狙う構成である。作戦名があるとしたら『天十里でいこうぜ!』か、もしくは――。
「笑顔がイチバン!」
 この状況にあってもにっこりスマイルを浮かべ『さあ笑って!』と言いながら邪教徒にヘッドショットを打ち込む天十里。
「所詮この世は死に絶えるまでの暇つぶし、なんて言いましてもね、周りにメーワクかけホーダイで生き急がれちゃあ困るんですよ。スマホの料金プランかってーんですよ」
 ヨハナは用意したオカモチを開くと、ライオットシールドとアーマーで防御をかためた分隊員に中身を分配。
「いきますよ、おさるさん分隊――ひっかきまわせぇぃ!」
 邪教徒めがけてクリームパイを投擲しはじめるヨハナたち。
 クラッカーを鳴らしたり愉快な音楽を吹き鳴らしたりと状況をかき回し始めた。
「誇り高く死にたいようですがそうは行きませんよ。くだらない戦場で生にしがみつくがいいのです。
 あなたがたは一分後にはこう言っていることでしょう。『こんな死に様まっぴらだ』、リピートアフターミー!」

「あっちはだいぶ賑やかだね……」
 ウィリアムはくすくすと笑いながら腰から剣を抜き放った。
「ひつじさん分隊……突貫!」
 剣にチェインライトニングの雷を纏わせ、並み居る敵を薙ぎ払いながら突き進むウィリアム。
 彼の周囲を固める兵士たちはシールドと小銃によってウィリアムを治癒および防御、ないしはエネルギー補給を行ないいわゆるひとつの装甲戦車状態と化していた。
 邪教徒たちはこれに対抗すべく範囲回復術式とシールド担当者およびウィリアム排除に集中した分隊をぶつけウィリアムの進行を阻止。ウィリアムの破壊力が勝るか、それを守る兵士たちが倒されるのが先か。
 しかしそんな状況をごりごりと押し通すのがウェール率いるうるふさん分隊であった。
 ウィリアムを含む兵士たちを天使の歌とミリアドハーモニクスで治癒しつつ、残る兵士たちに敵兵排除を任せていく。
 といっても、後衛ヒーラーとは根本的に役割が違った。
 サポートAIに体力状況を推察させつつ、ウィリアム自身が積極的に敵兵に突撃し、ヘイトを稼ぎにいったのだ。
「うるふさん分隊、援護射撃だ。この状況で俺を無視するような奴はいない。逆に言えば、俺が立っている限りこの小隊は止まらない」

 『楽園の東側』勢力におけるこの戦いの達成条件はLMFおよびイレギュレラーズ中隊を撃退すること。その更に上位にあたる条件が首輪工場の防衛である。
 少なくともこの場から撤退することはありえない。
 であれば、包囲陣形をとったイレギュラーズたちに対抗する最大の手段は中央突破の後片翼で遅滞戦闘に努めその間集中させた戦力によりイレギュラーズの小隊を各個撃破。そのために生じる死傷者のリスクは、彼らにとってむしろ望むところである。ゆえに――。
「来るこたぁ分かってたぜ!」
 ガオォンと盾を棍棒で打ち鳴らし、C小隊の先頭に立ってみせるゴリョウ。
 死にものぐるいで襲いかかってくる敵集団めがけて単身で突撃すると、あえてタコ殴りにされ始めた。
 ゴリョウの大柄なボディに剣が刺さり、顔面を棍棒が打ち、魔術のナイフが四方八方から打ち込まれる。
 が、ゴリョウはそれらを自らの筋肉をズンと力ませることによってはじき飛ばした。
「かかったな――俺はただのマーカーだ」
 駆動星鎧『牡丹』が駆動。ゴリョウのボディを頭まで覆い始め、まるでダンゴムシのように丸く防御効率のよい形状へと変えていく。
「おーくさん分隊! 砲撃ィ!」
 ゴリョウが叫んだ途端、迫撃砲を備えたおーくさん分隊の兵士たちが次々と砲撃。
 激しい爆発に包んでいく。
 むろんその中心にいるのはゴリョウである……が。
 ゴリョウ自身のミリアドハーモニクスおよび支援回復によってダメージは緩和され、ほぼ確実に発生するダメージの大幅カットによってゴリョウだけが爆撃の中で生き延びるという仕組みである。
「こいつ自体が罠か……!」
 部隊を引いて立て直そうとする邪教徒たち……だが。
「逃がすわけ無いでしょう? こんな美味しい状況」
 撤退を始めた部隊の中で戦力の要になる人物を見抜き、ピンポイントで打ち抜いていくアベル。
 彼の『イグニッション』はきわめて正確。そして『当たったら終わり』の凶悪な封殺攻撃である。吹き飛ばされることによってケアが困難になり、泥沼状態や怒り状態によって行動の制約が重く課せられたためにほぼ浮き駒と化すのだ。
「さあ、心は燃やし頭は冷やせ、射線はきっと芸術のように美しくなるものです」
 アベルはちょいちょいとハンドサインを出して、部下たちに指示を出した。
「こねこさん分隊、ファイア」
「うさぎさん分隊、撤退を阻止。残らずいただきましょう」
 アベルとこねこさん分隊による射撃によって刈り尽くされた邪教徒たちの中央突破部隊。
 引き下がろうとしたところへ高機動装備を調えたうさぎさん分隊が回り込みマーク。飛び込んだメランが蹴り殺していく。
「『はずせる系男子』さん。どうやら彼らに思うところがありそうですが……」
「いえいえ、とんでもない」
 アベルは肩をすくめてみせると、別の邪教徒へ片手でヘッドショットをきめた。
「LMF。彼らが銃を持たずに住む世界ってやつ。俺もぜひ見てみたい。
 『あのとき』よりも『あそこ』よりも、そして『あいつ』よりも……ずっとマシな世界なんでしょうね」
「…………」
 メランはヒールガンで敵をなぎ倒してから、アベルへと振り返った。
「けれど……人任せでは見れない世界ですわ、それは」
 あなたは自力で見に行きなさい。メランがそう言ったように、アベルには思えた。

●砂への信仰
 科学的転生論の中に、人は必ず砂になるという考え方がある。
 例えば死した者が焼却や腐敗や動物についばまれることで分解され、長い時間をかけて変質していく。動物や虫を介して土となり、風に晒されて砂となる。
 砂は文明の残滓であり、いつか皆砂としてこの世界にかえるという砂漠の考え方だ。
 だがそれは、本来死に方になど左右されない。砂思想に則るならば、良き死などない。
「誇り高き死なんて、あなた方には与えない。一人残らず仕留めます……!」
 鳴の生み出した炎の矢が水平に何本も並び、屈強な邪教徒兵へと殺到していく。
 巨大な鈍色のハンマーを担いだ邪教徒兵は幾度も矢を浴びるも、歩みを止めること無く鳴へと迫る。
「隊長、さがって!」
 ライオットシールドを装備した兵士が鳴を庇うように飛び出していく。
 非常に高い火力と引き替えに防御面に不安のある鳴を治癒と防御および補給面でフォローするというのがきつねさん分隊の主な役割である。
 しかしそれも、戦いが続くにつれて徐々に頭数を減らしていった。
 戦力差が圧倒的でない以上、一人の脱落者もなく完封勝利できるということは、そうあるものではない。
 負傷した味方兵士が次々と撤退していき、メランのうさぎさん分隊は撤退支援へとシフトしていた。
 だが一方で、『味方が減ったときほど指揮能力が試される』とも言えた。
「良い? 敵の有利を奪い、囲んで叩き、こちらの退路は確保する。ゆ・か・たの三拍子よ」
 きつねさん分隊と合同で支援攻撃チームを組んでいたイーリン率いるおうまさん分隊が、残るメンバーによって戦術単位を再編成。素早く復旧し統制をはかると、邪教徒兵を扇状に取り囲んで集中砲火を浴びせた。
 『勇ましく死ぬこと』にとらわれがちな邪教徒たちに対し、いつまでも安全な勝利に拘るイレギュラーズ……もといイーリンたちの強みが出た形である。
「二個分隊編成方式が効いたわね……天十里! ラストダンスよ、突っ込むわ!」
 どんなゲームにも『詰め』というものがある。
 どれだけ勢いよく襲いかかってもスタミナ切れを起こしたり相手を過剰に硬くしてしまったりと、フィニッシャーを欠いて『勝利を逃す』ことが世の中には多いものだ。ある戦術家の話によれば、世の中の大半の勝負は『勝ちも負けもしない』結果に終わるという。
 そんな世の中においてイーリン・ジョーンズ、もとい『司書』が戦術教官やチェスプレイヤーと呼ばれていたのは、相手を『詰む』手順を作戦段階で設定できるがゆえであった。
「合わせるよ司書ちゃん。トップスピードはまだかもだけどね!」
 意志の力を弾丸に変え、天十里が徹底的な銃撃と断固とした前進によって邪教徒部隊へ突進していく。
 先程も述べたが、いまはお互いの部隊全体が疲弊した状態である。
 イレギュラーズ&LMF中隊も隊員の半数が撤退しおよそ2~3個小隊程度の戦力しか投入できていない。
 だが一方で『楽園の東側』部隊は兵の撤退を怠ったため、防衛に秀でた戦力の大半を失い、終盤にさしかかった現在、残る手段は破れかぶれの特攻をおいて他になかった。
 ゆえに、こちら側からの突撃に対して非常に無防備となったのだ。
 特にことりさん分隊&おさるさん分隊によるB小隊はヨハナ率いるおさるさん分隊が攻撃を引きつけたおかげで天十里という突入用のフィニッシャーを温存でき、終盤にいたって自己防衛能力の高い天十里単体で突入することが可能だった。
 更にここ最終盤においてなお、ヨハナを天十里のカバーにつけることで段階切り離し式の突入が可能。ダメージが蓄積すれば天十里以上の自己防衛能力を発揮するヨハナである。突入における相性は抜群を通り越してもはや反則だった。
「こんな戦いやってて楽しいですかっ!
 思考停止して生き急いで、結局やるべきこともやれずに負けるんですよっ! あなたたちは!」
 歯車型加速装置を起動。コマのように回転しながら襲いかかる邪教徒たちを次々にはじき飛ばしていくヨハナ。
 天十里は追撃とばかりに銃撃を加え、工場入り口めがけて突っ込んでいく。
 工場防衛を目的とする邪教徒たちは必然的に守りを入り口周辺に固めざるをえず、サッカーでいえば自軍ゴール前に全員が密集するような偏った陣形をとることとなった。
 そして、それゆえ。
「こうして狩られることになる」
 ヨハナのクリティカル回避をアテにして、あえて味方を巻き込んだ砲撃をしかけるアベル。
 空中で爆発したフレシェット弾が大量の釘をばらまき、邪教徒たちへ鋼の雨を降らせる。
 さしもの天十里ですら回避は困難だが、ゴリョウが飛び込み盾で庇うことでこれをカバーした。
 更にゴリョウは転がるように工場入り口前へと陣取り、邪教徒たちの立て籠もりを防ぐべくブロック姿勢をとった。
「詰みだ。もう逃がしぁしねえぜ」
「――!」
 邪教徒たちをLMFの兵士たちが取り囲み、小銃や拳銃で狙いをつける。
 が、突入するのはウェールたちの役割だ。
 爪に力を込め、獣のように切りつけるウェール。
「君たちがやったことは世界に対する嫌がらせだ。
 幸福に生きていた人々から人生を奪い、死という我欲のために踏みにじった。
 俺自身にそんな権利も義理もないが……依頼された……いや、『託された』者として言わせて貰う」
 傷だらけの身体で、牙を剥く。
「子供たちの未来に手を出すな!」
 途端、天空から落下した巨大な杭が、防御を固めた邪教徒を完膚なきまでにたたきつぶした。
 ウィリアムの作り出した魔術の水が周囲の砂をあつめ高硬度の杭を作り出したのだ。
 結合状態が維持できずすぐに砂と散る杭。
 防御もまるでできずに倒れた邪教徒たちを見て、ウィリアムは小さく首を振った。
「これが良き死なわけがない。そんなこと、みんなわかっていたはずだろうに……」
『総員防御! 何か来る!』
 アリコのハイテレパス通信がはしった。
 激しい口調に、咄嗟に防御姿勢を取るウィリアムたち。
 その瞬間、工場が突如として爆発。
 搬入路から飛び出してきた数頭の馬が都市部めがけて走り始めた。
「撤退か」
「いいえ、あれは――」
 メランが指をさす。馬にしがみつくようにして存在する邪教徒には、無数の爆弾がくくりつけられていた。
「この期に及んで自爆テロとは」
 鶫は飛行する鷹と自らの感覚をリンクさせ、それぞれの放つ高度な感覚能力を駆使して目標の位置を正確に算出。と同時に胸元に仕込んだ召喚スイッチを押し込んだ。
「出来立ての新兵器です。試させて頂きますね?」
 装置が発光し複数の魔方陣を形成。魔方陣から飛び出した霊子圧縮機が鶫の背に接触。飛び出した流体金属の固定化によってバックパックとして装着され、同じく飛び出した複数のパーツが連結。二メートル級の霊子砲となりバックパックに接続された。
「召喚式高圧縮霊子砲『天之瓊矛』――ファイア」
 馬も搭乗者もくくりつけた爆弾すらもまとめて破壊する巨大な霊子砲撃。
 それでもぎりぎり逃れた馬へ、ジェックがぴたりとライフルの狙いをつけた。
「がら空きになるのを待ってたヨ。ナニブン弾がスルドいんでね」
 スコープ越しに狙いをつけ、体感時間を停止させた。
 脳からライフルの先端にかけてまでがジェックの肉体であるかのようにきわめて正確に動作し、全てのパーツが意志にそうようにエネルギーを連鎖していく。
 最後にライフル弾の小さな爆発を引き起こし、筒を回転しながら進む弾はジェックのもつ全ての意志をのせ、回転しながらスローな世界を駆け抜ける。
 目標地点までの距離はおよそ40メートル。その間にある全ての障害物を破壊しながら突き抜け、あらゆる物理的影響を味方につけながら推進。そして慌てたように振り返る邪教徒の脳天へとめり込み、そして止まった。
 ずたん、と馬から落ちて爆発する邪教徒。
 ジェックはそうなることをまるで最初から分かっていたかのように息をつくと、ライフルを肩にかついだ。
「状況終了」

●なべて世は
 『Bの奴隷商人』による首輪生産工場は制圧され、その機材の一切が押収された。
 工場そのものは隠された秘密がそのまま葬られてしまわないように念入りな調査の末解体され、機材も同一のが起きたときのために解析しきってから破壊するつもりのようだ。
 どのみち、それらの仕事はLMFに工場制圧を依頼したディルク派商人たちのものとなるだろう。
「ありがとう。長い仕事がやっと一段落したよ」
 握手を求めるアリコに、ジェックはウンといって応じた。
 鳴やウェールといった仲間たちも、一緒に戦った傭兵たちと健闘をたたえあっている。
 崩れたがれきに腰を下ろし、やれやれと帽子をぬぐアベル。
 何か言いたげに歩いてきたメランが、アベルの手前で足を止めた。
「これで、終わったと思いますか」
「さあ」
 肩をすくめるアベル。
 だがそれは、答えを述べたようなものだ。
「首輪工場を運営していた『Bの奴隷商人』も、ここを防衛していた『楽園の東側』も、なにか巨大なものに動かされていたように感じます。それはきっと、『ザントマン』よりも凶悪な……この砂漠そのもののような……」
 きっとまた、あなた方の力を借りることがあるでしょう。
 メランはそう言って、部隊の撤収指揮へと戻っていった。
「私たちの力が必要だと?」
 話を聞いていた鶫が、服に付いた砂を払いながら後ろに立った。
 遠くではゴリョウが鍋を広げて炊き出しをはじめ、ヨハナや天十里がにこにこしながら子供たちに料理を配っている。
 イーリンはイーリンで今回の反省点やら発見やらをメモにまとめているようだ。
 ひとつの状況は終わっても、世界が終わることは無い。
 ウィリアムが空を見上げると、不気味な青さが遠い深緑の地へ向けて続いている。
「次はどこへ誘われるやら、だね」

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ――mission complete!
 首輪工場の制圧が完了。『Bの首輪』の解明が進められています。

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