PandoraPartyProject

シナリオ詳細

1コインの卵を追え!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●準備は周到に
「我々はこの日のために努力してきた、そう言っても過言ではない……」
 薄暗い会議室で、社長が静かに口にする。
 其れを数名が、光を見上げるように静かに――聞いている。
「格安での仕入れ、棚の配置、開店時刻とセール時間の調整……出来得る限りすべての事をだ。フロア担当エイダくん」
「はっ! 指示通り目標地点までのフロアは棚によって複雑に通路を分断しました! これによってお客様の速力はダウン、他の特売品にも目が行きやすいかと!」
「宜しい。次、仕入れ担当ビイムラくん」
「はいっ! 幻想周辺、海洋までの鶏卵業者を当たり、最も安い業者から仕入れました! 質も万全です! ただし、鷲掴みされたときの強度は保証できません……!」
「構わん! その時は第2価格でお客様に購入をご検討いただく! 次! 広報担当シイノくん」
「はい! えっと、既に広告は朝刊に織り込み済みです……! あとあと、店内でのチラシのはけ具合もなかなか良かった、です! お客様は数量以上を見込んで良いと思いますっ! お会計で並んでいる間にセール時間の1時間は過ぎるかと思いますっ! そうすれば売り上げはぐぐんと伸びるかとっ!」
「よぅし!! 決戦は明日だ! 皆が出来る限りを尽くした、あとはお客様に買っていただくだけだ!」
「「「はいっ!」」」


●安いのは良い文明?
「という訳で、卵を買ってきて欲しいんだけど」
 グレモリー・グレモリー(p3n000074)はいつだって突然である。
「あ、私用じゃないよ? 勿論依頼。明日、スーパーで1パックワンコインの大安売りがあるらしくてね」
 其れを買ってきて欲しいんだって。
 グレモリーは幻想の地図を広げ、此処だね、と、とある建物に絵筆でマルを付ける。そして集まった者に、大安売り! と大きく書かれたチラシを配った。お一人様につき一つのみ、セール時間は開店後1時間のみ。割った場合やセール時間を過ぎてお会計された場合は通常価格でご購入頂きます。
「依頼してきたのは幻想にいる高齢の女性だ。彼女は体が弱くてね、大安売りの現場になんていったらおばさま方に轢殺されてしまう事を知っている。だから此処に依頼してきた。賢いね。1個あれば上等、多く買えた場合、欲しい人には差し上げるとのことだ」
 心が広いね、凄いね、と頷くグレモリー。でも、と続けた。
「件の店はそうそう巧く卵を取らせてはくれないし、このチラシは広範囲に配られているから混雑は必至だ。何人かずつの班に分かれて行動するのをおすすめする。あと、開店後1時間だけのセールだから、速度も大事だね」
 なにより、こういう時のおばさま方ってとても強いからね。突き倒されないように気を付けてね。
 グレモリーは至極真剣な目でそう言った。この戦場はヤバイ――そう、情報屋としての本能が告げているのかもしれない。

GMコメント

 こんにちは、奇古譚です。
 この度は地獄へようこそ。

●目標
 特売卵を手に入れろ

●立地
 幻想内にある小売店舗になります。
 割と手堅い安売りや、扱う品物の質の良さでおばさま方からの評判もそこそこです。
 そんな店が突然大安売りしたら……ねえ?
 どれだけ人が集まるかなんて……ねえ?

●情報精度
 このシナリオの情報精度はDです。
 多くの情報は断片的であるか、あてにならないものです。
 様々な情報を疑い、不測の事態に備えて下さい。

●エネミー
 卵に至るまでの全て

1.開店時刻前に並ぶ
 まず並ばないと手に入らないでしょう。割り込みはいけません。
 しかし開店すれば列など関係なくおばさま方は後ろから殺到してきます。
 轢殺される危険があります。頑丈なイレギュラーズを配置することをお勧めします。
 幾つかに班分けしておかないと、此処で全員アウトする危険性があります。

2.卵と棚の配置
 卵は店内の一番奥に並んでいます。
 途中の棚はダイダロスの迷宮か? と思われるような複雑な作りをしており、初来店のイレギュラーズでは技能を使わなければおばさま方に追い抜かれてしまうでしょう。
 最奥の卵売り場は戦場、また、途中にも数量限定安売りのブロックがいくつかあり、おばさま方がたむろしています。
 うかつにおばさま方を刺激すると弾き飛ばされる危険があります。

3.お会計まで
 万が一卵を強すぎる力で握り潰した場合、通常価格100Gでのお買い上げになります。
 また、“卵だけではお会計できません”。何か他のものも買いましょう。
 セール時間は1時間。過ぎれば通常価格でのお買い上げです。
 依頼人に支払わせるなんて……混沌のヒーローであるイレギュラーズなら、しませんよね?

●心の準備
 パンドラが減っても重傷を追っても気にしない強い心を持って来てください。
 こういう時のおばさま方はモンスターより強いのです。


 アドリブが(今回特にギャグ方向に)多くなる傾向にあります。
 NGの方は明記して頂ければ、プレイング通りに描写致します。
 では、いってらっしゃい。

  • 1コインの卵を追え!完了
  • GM名奇古譚
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2019年10月07日 22時50分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧 (8人)

ウェール=ナイトボート(p3p000561)
守護の獣
レスト・リゾート(p3p003959)
遠足ガイドさん
アーリア・スピリッツ(p3p004400)
キールで乾杯
カナデ・ノイエステラ・キサラギ(p3p006915)
帰ってきたベテラン
メリー・フローラ・アベル(p3p007440)
躾のなってないワガママ娘
日車・迅(p3p007500)
狼拳連覇
ウィリアム・ウォーラム(p3p007502)
軍医
カンベエ(p3p007540)
大号令に続きし者

リプレイ


 戦いは、始まる前が肝要である――

 依頼を受けたイレギュラーズ達は、ローレットの扉をくぐった直後から行動を開始した。
 『追憶に向き合った者』ウェール=ナイトボート(p3p000561)が向かうのは件の店。恐らく準備は閉店後に行われるだろうが……彼の目的は迷路攻略ではない。真正面からぶつかれば四散するのは必至。ならば上から攻めて見せようというのが彼の意気込みである。つまり飛ぶのである。
「棚の高さは……成程」
 ついでに夕飯の具材も買いながら、棚の高さを確認するウェール。成程、この高さなら飛行しても天井でつっかえるようなミスはしないで済みそうである。問題は着地点があるかどうかだが、其れは当日の運に任せるしかないだろう。
 照明のとレジの位置を把握するように店内を歩き回る。此処はスーパーなので其れを怪しむ客はいない。お買い物もしてるしね。
「よし、……行ってくれ」
 そして店の一番奥――恐らく卵が陳列されるであろう場所に辿り着くとウェールはかがみこみ、指につかまっていた一匹の蜘蛛を壁に放した。『夢色観光旅行』レスト・リゾート(p3p003959)のギフトにより生成された、ファミリアーである。
「まだ棚の移動はしていないみたいだけど……棚にコマがついていたわぁ」
 共に店の下見に来ていた『キールで乾杯』アーリア・スピリッツ(p3p004400)、『帰ってきたベテラン』カナデ・ノイエステラ・キサラギ(p3p006915)が合流する。今の店内からは殺気は感じない(そんなものを感じるのが問題なのだが、其れはさておく)。恐らく閉店後、店の棚を移動させる心づもりなのだろう。
「今のうちに鳥を照明の影に隠しておいたわぁ。これで棚が移動しても大丈夫なはずよぉ」
「ああ。……向こうも本気という事だろうな」
「卵コーナーの場所はチェックしておいたけど……特売だから変わる可能性もあるわよね」
「そうねぇ。でも、無駄な一手にはならないはずよぉ」

「オッケー、中の様子はちゃんと見えてるわ、ウェールちゃん、ありがとね」
 レストはチラシを片手に店の外。蜘蛛と感覚を共有し、店の間取りをしっかりと調べ上げ、皆と共有する段取りだ。
「閉店後から朝が勝負ねぇ。おばさんはりきっちゃうわよ」
 棚が移動した後が彼女の仕事だ。持っていたペンをくるりと手の中で回すと、自宅へと歩き始めるのだった。



 戦いは、日付が変わった瞬間に始まる――

 翌朝、日が昇る前に目覚めた『名乗りの』カンベエ(p3p007540)は、店の前で開店を待つ。しかし、彼は先頭ではない。歴戦のおばさま方を甘く見てはいけないという事だ。先頭グループに入る事は出来たが、一番ではない。この戦いの行方を想像し、カンベエはごくりと唾をのむ。
「大丈夫? カンベエちゃん」
「レスト殿。うむ、矢張りこれもまた戦、つわものどもばかりであると強く実感させられたでござる……」
「そうねえ。前日から張り込むって言ってた迅ちゃんは流石に先頭だけど……」
 レストは先頭でそわそわしている迅、合流したウェールとアーリアを見る。
 今回イレギュラーズは2班に分かれている。『特異運命座標』日車・迅(p3p007500)、ウェール、アーリアのA班。レスト、カナデ、カンベエ、そして――
「いよいよ始まるな……天下を分ける大戦が」
 『軍医』ウィリアム・ウォーラム(p3p007502)を加えて、4人のB班。あとは『躾のなってないワガママ娘』メリー・フローラ・アベル(p3p007440)が残っているが、彼女は店内突入班ではないため行列に並ぶことはしない。合流するのはこの戦いが終わってからになるだろう。
「レスト嬢ちゃん、地図をありがとよ。軽く頭に叩き込んでおいたぜ。で、大事な事を聞いておきたいんだが……」
「大事な事?」
「……。店内って禁煙?」
 ……。いや、ウィリアムにとっては一大事である。レストは溜息をつきながら、煙草を吸っている客なら見かけた、と述べた。ははは、とまるで勝利したかのように笑うウィリアム。レストは既に彼を含めた全員に、棚移動後の地図は配布済である。ちらり、と先頭に並ぶアーリアと視線を交わして、2人頷く。
 棚移動は既に終わり、動く気配はない。卵は店の入り口から一番遠い最奥にあり、卵コーナーでの特売は行われていない(通常価格)また、迷路状にならんだ棚の所々で、菓子や日用品のセールが取り行われる。
「……それにしても、この待つ間って退屈よねえ。占いでもしてあげましょうか?」
「え? あら……占いが出来るの、あなた?」
「簡単なものだけどね? 暇つぶしくらいにはなると思うわ~?」
 後ろに並んでいたおばさまに、ふと話しかけるレスト。おばさまの前で持ってきたカードをささっと切ると、一枚引いて見せてくれと促す。
「あら! ふむふむ。今日は絶好調、望みはなんでも叶うって出てるわ~! ラッキーアイテムはチョコレートね」
「チョコレート? そういえば、チラシにも載っていたわね……卵ほどじゃないけど、安かったような……」
「卵のついでに買っていったら如何かしら」
 顔は笑顔、心は悪魔。1人と言わず2人、3人と、おばさま達の意識を卵からうまく逸らしていくレスト。こういう時のコツは、悪い結果が出てもそのまま言わない事だ。巧く言葉の真綿にくるめば、耳ざわりの良い言葉になる。
 アーリアたちは既に陣形を整えつつあった。迅とアーリアが前に、ウェールが後ろに。ウェールが壁役となり、おばさま達を抑える作戦である。レストも同じく壁役だが、無理におばさま達を押しとどめる事はせず、回復しながら皆を卵のところまで運ぶ役割を負っている。
 時間を確認した。あと数分で店が開く。レストは素早く仲間のところに戻った、だって、こういう特売の日は――

「お待たせ致しました! ただいまより開店致します!」

 時間通りに開店なんて、しないはずなのだ!


●Fight
「うおおおおおおお……!!」
 ウェールは大波を前に、両足を鉄にも変える覚悟であった。何よりも迅とアーリアを店内に入らせる。そのために、可能な限りおばさまの攻撃に耐え、
「ちょっとー!!!邪魔よ!!!」
「どきなさいよー!!!!」
 耐え……
「卵おおおおおお!!」
「今日のご飯はオムライスよー!!!」
 ……今日のごはん、か。
 そういえば、俺が梨尾と暮らしていた時、買い物はいつも梨尾の役目だった。なぜかぼろぼろになって帰って来るから、気が気ではなかったな。
 息子はいつも、こんな激戦区に身をさらしていたんだ……俺は父親として、お前に何がしてやれただろう。お前の望む事が一つでも出来ていただろうか。美味いパンケーキを、……ああ、そうだ、蜂蜜とバターも買わなきゃな……
「はっ!?」
 走馬灯を見たのと、気を失ったのと、小さな奇跡を起こしておばさま方の猛攻に耐えて意識を取り戻すのはウェールにしてはとても長い時間に思えたが、時間にすればたったの一瞬だった。後ろを振り返れば、ウェールを薙ぎ倒す勢いで走りゆくおばさま方の人波の中に仲間の姿が見える。
 仲間を庇うという最初の任務は果たした。ならばこうしてはいられない。ウェールは今から壁ではなく鬼パパとなって、卵をゲットするために動くのみなのだ!

「よっ……と!」
 壁を透過ですり抜けて、迅は最奥へと急ぐ。おばさまが固まりそうなところは事前にレストから地図付きで聞いているが、情報と実際の状況がかみ合わない事もある。注意しながら焦らず急いで、迅は最奥を目指す。まさに迷路のような棚の並びも、方向感覚を研ぎ澄ました彼には通用しない。最短ルートで卵の元へと駆ける。
「僕は情報戦ではあまり役に立てなかった、から……! 此処で踏ん張らないと……!」
 あと2つ。あと1つ。そう、そしてこの棚を抜ければ――!
 最後の棚をすり抜けた迅が見たのは、
「ひぇぇぇぇ……!?」
 戦場であった。
 おばさまがひしめき合い押し合いへし合いしながら、卵に群がっている。
「卵1パック1コイン! お1人様1つまでです!」
 店員の叫びが、まるで霞のように動乱の中に消えていく。迅はその一番外側で――ぐっと顎を引くと、突入を覚悟した。
「迅くん、お先に行くわよぉー!」
「あ、アーリアさん!」
 その時飛来したのは、箒に乗って文字通り飛んできたアーリアである。彼女は着地を諦め、ぐっと身を屈めると、急カーブついでに卵をかっさらい、もう片手に持っていた籠に詰め込んでレジの方角へと飛んでいく。
「よし、僕も……!」
「悪いな、先に行くぞ!」
「う、ウェールさん!?」
 気を取り直して突入しようとした迅に、またしても上空から声がかかる。鬼パパである。じゃなかった、ウェールである。
 翼をはやし、アーリアと同じく文字通り飛んできた彼は、保護結界を展開しながら卵を鷲掴みにしてレジへと飛んで行った。成程、保護結界なら卵も割れない。
「……ぼ、僕だって!!」
 2人が飛んで行った方向を頭に焼き付けて、迅はおばさま方の波へ飛び込んだ。ジェットパックはレジへ向かう為の虎の子だ。今はおばさま方と押し合いながら、卵の方へと向かうのみ!

 時間は開店の時まで遡る。
 開店の声が響いた瞬間、カンベエたちは列に従い店内へ飛び込んだ。ほぼ先頭グループだったのが幸いして、前を遮るものはほとんどいない。しかし、後ろからすさまじい圧を感じる。追いかけてくる。彼女らが。おばさま達が、怒涛のスピードで追い上げてくる……! 店内に入ってしまえば、もう並んでいた列など関係ない!
「皆! このまま進んでくだされ!!」
 最初に足を止めたのはカンベエだった。棚の迷路の行き止まりに自ら移動し、己の声を爆発させる。
「なんとぉ! 此処で早朝限定、鶏卵の追加販売をさせて頂きます! お値段は同じ、数量はお1人様2つまで!」
「な、なんですって!?」
「号外!? 号外だわ! みんな、こっちよ!!」
 鬼の形相をしたおばさま方が、カンベエの声に引き寄せられる。
「カンベエちゃん!」
「行ってくだされ、レスト殿……ウィリアム殿、カナデ殿、……後は任せたでござるよ……!」
 進む仲間の背を見送り、カンベエは行き止まりにあったチョコ特売棚の影に隠れる。けれど、其れも儚い抵抗。追加販売という甘い蜜に誘われた猛獣たちは、カンベエがいる場所に一つの波となって押し寄せ、蹂躙した。
「ぐわーーーーー!!!」

「カンベエちゃん……」
「なあに、あいつにもパンドラはある。心配する必要はねえよ」
 そう口にするウィリアム。異常に足の速いおばさま達に突き飛ばされ、吹き飛ばされ、適宜味方を回復しながら3人は進んでいた。
「だが……足止め役はまだ必要みたいだな」
「ウィリアム?」
 ウィリアムが足を止め、おばさま方――入口の方を振り返る。なあに、心配ねえよ。そう彼は言った。
「レスト嬢ちゃんとカナデ嬢ちゃんが卵を手に入れれば、其れでミッションコンプリートだ。アーリア嬢ちゃんたちも卵を取ったら完璧さ」
「ウィリアムちゃん、あなた……」
「考えはある。だから心配すんなよ」
 ああ、おばさま達が向かってくる。戦ってきたモンスターたちと比べても遜色ない恐ろしさだぜ。だけど――こいつを食らって、まだ立っていられるかな!?
 レストたちが駆けだしたのを確認してからウィリアムが取り出したのは、液体の入った小瓶。中身を躊躇なく振りまくと、眠気を誘う香りが周囲に満ち満ちた。
「うっ!? こ、この香り……は……」
「た、卵……卵が……」
「悪いな、眠っててくれ。あんたらに轢かれたら、俺も無事じゃすまなそうだしな……!」
 ばたばたと倒れゆくおばさま方を見ながら呟くウィリアム。そんな彼の肩をぽんと叩く手があった。
「お客様。バックヤードまでご一緒願えますか?」
「えっ」
「憲兵には既に通報してあります。逃げるところはありませんよ」
「ま、待て! 誤解だ! いや誤解じゃないが、あれは依頼を達成するために仕方なく……」

「カンベエちゃん、ウィリアムちゃん……」
「仕方ないわ。私たちだけでも卵を手に入れましょう」
 レストとカナデは最短距離で棚の迷路を攻略し、卵販売の戦場へと突入する。
「この中に入るのは気が引けるけど――」
「まって。卵の数が少なくなってるわ……こっち!」
 カナデがレストの手を引いて、バックヤード入り口付近に移動する。まさか、とレストがカナデを見上げると、そのまさかよ、とカナデは頷いた。
「卵も無限じゃない。これだけの数が持っていけば必ず店頭分は売り切れる。そうしたら――」
 在庫補充が必要になるのは、必然!
 卵の棚を引いてバックヤードから現れた青年に、カナデは素早く歩み寄った。
「お兄さん、大変ね……? 卵一つ、頂けないかしら……」
「うっ……!? な、なんてお色気のある女性なんだ!」
「そんな説明口調で言わなくても!? と、兎に角、卵を2人分頂戴。ほら、2人いるでしょ?」
 自分とレストを指差すカナデ。だが――
「ずるいわ! アタシにも頂戴!」
「卵! 卵! 卵!」
「イエス卵! ウィーキャン卵!」
 おばさま達がなぜか服を脱ぎながら、カナデとレストの後ろから襲い掛かって来る。
「ちょ、な、なんで脱いでるのよ!?」
「誘惑よ! あなただってほとんど脱いだような格好してるじゃない! 風邪ひくわよ!」
「引かないわよ! 寧ろこの人込みで暑すぎるわ!」
 其の間にもお洋服をどんどん脱いでいくおばさま。服を着なさい、とカナデが声を荒げようとしたとき――ちょんちょん、と背中をつつかれた。レストである。
「うふふ、卵2つ取ったわよ~。行きましょ」
「えっ!? ど、どうやって……?」
「カナデちゃんがおばさまを相手取ってくれてるあいだにささっとね~。あとはお会計だけよ」
「……そうね! 早く行きましょう!」
「店員さん! どういうことなの! ほら、脱ぐから説明して!」
「ちょ、お、お客様、いけませ、あー!? それはいけませんお客様、お客様ー!」
 店員の尊い犠牲に感謝しながら、レストとカナデはレジへと走る。

 時間は数分前に遡る。とあるおばさまは卵を無事に手に入れ、ほくほくと帰路に就こうとしていた。
「ちょっと」
 だから、其の怜悧な声にも特に気分を害さずに振り返る。メリーだった。
「一つ、ご相談があるんだけど……良い?」
「? 何かしら」
「その卵、100Gで買ったのよね? 倍の200G出すから、譲ってもらえない?」
「ええ!? だ、駄目よ! これはさっき私が買ったものよ!」
「他に買ったものはある? 買ったものの分上乗せしても構わないわ」
「た、確かに、バターとお野菜も買ったけど……でも……」
「……1000G」
「うぐっ」
 おばさまの心が揺れる。1000Gあれば、何が買える? 新しい下着とまではいかないが、卵なら特売じゃないものを余裕で買える……
「どうしてもだめなら、他の人を当たるわ。残念だけど……」
「待って!」
「……」
 身を引こうとしたメリーを、おばさまが引き留める。
「せ、1500G」
 ……。沈黙。
「いいわ、買いましょう」
 手持ちの約半分が出ていく事になるが、仕方ない。おばさまは特売卵より、高級感のある通常販売卵を取った。

 無事に交渉と交換を済ませたメリーが振り返ると、仲間たちが疲労困憊で店から出て来るのが見えた。中には重傷を負い、肩を支えて貰っているものもいる。
「みんな、お疲れ様。私も1個手配出来たわ」
「やったわねぇ! これでおばあさんにも良い報告が出来るわぁ!」
「なんとかお役に立てて良かったです! カンベエさん、大丈夫ですか?」
「なんとか、でござる……ぐふっ」
「店員さんには悪いことをしてしまったわね……おばさま、ちゃんと服を着てくれたら良いんだけど」
「一体何があったんだ……? 服?」
「あら? ところでウィリアムちゃんは?」


●憲兵詰め所にて
「俺は悪くない! ローレットの依頼なんだよ!」
「でもねーお兄さん。其の見た目もワルそうだし、ワルい事はだめだよ~」
「見た目は関係ねーだろ!」

成否

成功

MVP

ウィリアム・ウォーラム(p3p007502)
軍医

状態異常

カンベエ(p3p007540) [重傷]
大号令に続きし者

あとがき

 お疲れ様でした!
 本当はフライングおばさまとかスニーキングおばさまとか出したかったんですが、シナリオの都合上まきまきになってしまいました。くっ。
 尊い犠牲は出ましたが、依頼成功です!
 MVPはどなたにあげようかものすごく迷ったのですが、テロ行為をものともしないウィリアムさんに差し上げようと思います!MVP分の名声は悪名になります。その勇気、イイネ。
 ご参加ありがとうございました!

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