PandoraPartyProject

シナリオ詳細

アストロロギーで教えて

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●アストロロギーで教えて
 占いをしよう。
 さあ、星を見て――君の事を占おう。
 そうだ。
 君はね。
 美しくなるべきだ。
 さあ、願いを込めて、これを海に沈めよう。

 その時、君の願いを叶えて見せよう。
 女の子は誰だって『美しくなりたい』――そうだろう?

●パサジール・ルメスの少女
 混沌世界には主要的な国家が存在し、統治が行われている。
 それは幼い子供でも知っていることだ。特に、ギルド・ローレットの拠点たる『幻想』は分かりやすい王政をとっており、貴族連中の存在感も強く西洋の気配を濃く感じさせた。
 そんな主要国には数えられなくとも、国と国を渡り歩く少数勢力は多数存在している。
『パサジール・ルメス』――それもその一つだ。
 パサジール・ルメスの出身である『パサジールルメスの少女』リヴィエール・ルメス(p3n000038)は根無し草であり、日々を旅の中で送ってきたが特異運命座標とパサジール・ルメスを繋ぐのだと情報屋として活動していた。
 そんな彼女がふと、神妙な顔をして「占いって信じるっすか」と訊いた。リヴィエール自身は相棒のパカダクラ『クロエ』を撫でつけてどこか不安げに言う。
「偶然かもしれないんすけど、パサジール・ルメスのキャラバンに最近声をかける占い師が居るんだそうっす。『星を見て君の事を占おう』って。
 パサジール・ルメスは星を詠み、風を聞き、草木と歌って過ごす部族っす。でも、そうやって『占われる事』なんて街に居ないからそうそうないっすからね。女の子達はこぞってその占いを聞いたらしいっす」
 その男は自身を星占師だと名乗り天を飾った星のなぞりながら占いをしたそうだ。
 それを、パサジール・ルメスの少女たちは惚けた様に見つめた。そのロマンス溢れる美しい様子に心を躍らせたからだ。
 そして、占いの結果は口外してはならないと良い、男は占った記念にと少女たちに星のついたチャームを手渡した。
「その後っす。占われた少女たちがこぞって姿を消した。
 パサジール・ルメスは皆が家族っすからね。探したら、丁度天義と海洋の国境に少女たちは『いました』」
 リヴィエールの声音は固くなる。
「いたんです」
 繰り返して、唇を噛んだ。
 その国境は海ではなかったか、と特異運命座標が言った。
 それにリヴィエールは唇を噛んだまま「はい」と小さく呟いた。

 ――海に立てられた十字にその身を縛り付けられて絶命して居た――

 それがどれ程までに狂気的な状況であるかなど、言わずもがなである。少女たちは皆、喉を裂かれ、星を仰ぐ様に上を向いていたのだという。
 パサジール・ルメスのキャラバンは根無し草だ。皆が皆、大きな国家よりも足取りが掴めず、身寄りない者たちも多い。だからこそ、『発見が遅れ』、『星占師』の事もつかめない。
 だからこそ。
 ちゃり、と音が鳴ったのは星のチャームだ。
「パサジール・ルメスっすから。あたしも」
 リヴィエールは云う。
「占ってもらいました。内容は吉。海にこの星を沈めて祈れば願いが成就する。
 ……その海への行き方も地図で貰ったっすよ。丁度、屍骸が発見されている場所の程近い海っすね」
 自分が囮になれば相手に近づくことができるとリヴィエールは緊張した様に言った。
「あたしはアイツを見た時にこれは紛れもなく『魔種』だと、認識したっす」
 緊張に声が震える。彼女はパサジール・ルメスという『狙いやすい的』の一人として現場に赴くのだという。
 魔種――星占師と呼ばれた男は猟奇的な殺人を繰り返すだけの存在なのだろう。
 命を懸けてでもこれ以上を止めるべきであるとリヴィエールは『家族』を思っていった。
「ここで、この誘いに乗らずともいいとは思ってるっすけど、相手が出てこない可能性があるならチャームを貰ったあたしが行くべきかと思ったっす」
 どういう相手であるかは分からない――けれど、自分にも一応の心得はあるとリヴィエールは云う。
 それでも、少女は絞り出すような声で言った。
「……どうか、助けて」

GMコメント

 夏あかねと申します。時には危ないパサジール・ルメス。

●成功条件
 ・星占師の討伐
 (リヴィエールに関しては生死は成功条件には含まれません)

●魔種『星占師』
 そう名乗る星詠みの男です。若い少女を狙い喉を裂いて十字に縛り付けるといういわゆる死者のオブジェを作り上げる外見の麗しい青年。
 その狂気的な行いと確かに響いた『呼声』よりリヴィエールは魔種であると認識しています。チャームを手にしたものにより自身の呼び声が聞こえやすくなるようにと何らかの魔法を働かせているようです。
 攻撃方法はBSを中心とした遠隔型のようです。
 呼び声は欲求に訴えかけるもの。素直になりましょう。楽しみましょうと、快楽の響きを感じさせます。

●人気のない場所
 それは、人気無い海洋との国境。海です。星が美しい場所であり、そこには十字が立てられています。
 障害物はなく、見晴らしがよい場所のようです。

●リヴィエール
 パサジール・ルメスの少女。パサジール・ルメスを狙った犯行に合わせて自身が囮として現場に向かいました。
 ある程度の戦闘はできます。遠距離シューター。
 彼女は純種であり、影響を受ける可能性もあります。また、星型のチャームを手にしているようです。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●Danger!
 当シナリオにはパンドラ残量に拠らない死亡判定が有り得ます。
 予めご了承の上、参加するようにお願いいたします。


 どうぞ、よろしくお願いします。

  • アストロロギーで教えて完了
  • GM名夏あかね
  • 種別通常
  • 難易度HARD
  • 冒険終了日時2019年09月29日 23時01分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ジェイク・夜乃(p3p001103)
『幻狼』灰色狼
ニア・ルヴァリエ(p3p004394)
太陽の隣
シラス(p3p004421)
竜剣
炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子
ユゥリアリア=アミザラッド=メリルナート(p3p006108)
氷雪の歌姫
リナリナ(p3p006258)
ルチア・アフラニア・水月(p3p006865)
高貴な責務
クリスティアン・メルヴィル(p3p007388)
Star Lancer

リプレイ


 ざざん、ざざんと寄せては引いて。繰り返す、その波の音を聞きながら『水面の瞳』ニア・ルヴァリエ(p3p004394)はリヴィエール・ルメスにぎこちない笑みを浮かべた、
 パサジール・ルメスの少女たちは皆、『国家に属さない以上』は何らかの事件に巻き込まれたとしても大きな問題にならない事が実情だ。そうした頭のキレる犯行に対抗するならばやはり、その手口に乗るしかないという判断を下したリヴィエールを見詰めてニアは「心配とか、言いたいことは幾つもあるけどさ」と小さく呟いた。
「とりあえず、あたしもアレは野放しにしちゃいけないと思ってるし。
 それに。リヴィの家族なら、あたしにとったって家族みたいなモンだ。
 だから大丈夫。あたしが……あたし達が、護ってやるから」
 リヴィエールさま、と小さく呼んだ『氷雪の歌姫』ユゥリアリア=アミザラッド=メリルナート(p3p006108)。穏やかな彼女の内心はその通り名が如く冷えた氷の気配を漂わせる。
 家族が為に自身を犠牲にしてでも特異運命座標の前へと標的を引き摺りだしたいという行いは勇敢だとユゥリアリアは称していた。それと同時に彼女のそれが蛮勇であるとされぬように魔種とはここで決着を付けねばならないとも彼女は認識していたのだ。
「……迷惑を、かけるっすね」
「大丈夫だよ、リヴィエールちゃんはボク達が絶対に守るから!
 その代わり、ボク達が危ない時はリヴィエールちゃんが助けてね――これ以上パサジール・ルメスの皆が犠牲にならないように、一緒に戦おう!」
『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)はカグツチ天火を手に笑った。その焔の気配を感じさせながら、潮騒を聴く焔は魔種というこの世界にとっての不俱戴天の仇と相対するために緊張をほぐし、息を吐く。
 リヴィエールの姿を見て、彼女達パサジール・ルメスの少女たちはほんの子供である事を 『『幻狼』灰色狼』ジェイク・太刀川(p3p001103)は甚く認識した。星を詠み日々を過ごす流浪の旅人たち。少女たちが淡く甘い占いに興味を持つことは当たり前の様にジェイクには思えた。
「星占師、ね。星に関わる者としては放っておけねぇ案件だな、こりゃ」
 星を詠む事は決して悪い事ではないのだと『Star Lancer』クリスティアン・メルヴィル(p3p007388)は認識していた。だからだろうか、それを犯罪に使用されることは見過せないと認識したのは。
『斜陽』ルチア・アフラニア(p3p006865)は結わえた赤髪を揺らして唇を噛み締めた。
「なにがアストロロギアよ。こんな、若い娘たちを殺して。絶対に許さないし、逃がすわけにもいかないわ」
 その胸に抱く怒りは確かな正義を燃やしている。何かを信仰し、何かを求めることは悪い事ではない――それを利用する悪人など以ての外だと苛立つように吐き捨てる彼女に『夜闘ノ拳星』シラス(p3p004421)は「行こう」と小さく呟いた。
 ざざん、ざざんと波の音がする。リヴィエールは手にした『チャーム』を手に特異運命座標に「いってきます」と告げた。
「行ってらっしゃい。すぐに行く。
 ……だから、さ。全部……また明日、だ。約束だよ、リヴィ」
 笑みを浮かべて。そうぎこちなくいったニアにリヴィエールは頷き手を振った。


 くう、と腹を鳴らして『やせいばくだん』リナリナ(p3p006258)は首を傾ぐ。
「ましゅ、魔種!  星占師! えーと、パサリ、パセ、パ、パ……おー、パルメザンチーズ!
 パルメザンチーズの女の子達騙してオブジェにしたヒドイヤツ!! おー、リナリナ戦うゾッ!  任せろ!」
 野性的な彼女にとっての一番の欲求は食欲であった。それでも尚『パルメザンチーズ』――パサジール・ルメスの少女たちを騙して殺す酷い奴が相手である事にリナリナは憤慨していた。
 遠距離型のファイターである所を考えれば相手を動かす事は褒められた手ではない事をシラスは認識していた。
「動き回られたら厄介だ、それに絶対に逃がさねえぞ」
 そう呟き、リヴィエールと星占師の接触を確認する。全てにおいて一段上の技能となる視力、聴力、嗅覚を駆使したジェイクは自身の第六感的な『獣の嗅覚』に死の気配が近づくことを感じ取る。
「全員戦闘配置!」
 索敵により戦闘配備を取る様にと指示を下したジェイクの言葉に頷くクリスティアンがリヴィエールへと浄化の鎧を召喚する。
「な――」
 星占師と名乗った男は『狩り』の失敗を悟ったかのように顔を上げリヴィエールを見下ろした。
「『何を連れて来た』――!」
「何って、その子の『お友達』とやらだろ」
 吐き捨てた言葉と共に井宿星槍《天狼噛牙》を構えたクリスティアンが躍り出る。次いで、持ち前の反射神経を活かして前線へと躍り出たニアは風に乗せ全てを奪取するが如く短刃を振り翳した。
「……リヴィはあたしの友達なんだ。魔種なんかに、絶対に、指一本触れさせてやるもんか」
「お友達同伴とは! 此度のレディは随分用心深い」
 パサジール・ルメスという『根無し草』ならば殺しやすいと考えていた星占師に「よーじん? んー? それっておいしいのか!?」とぱちりと瞬き肉に噛みつく様に星占師に牙を剥く。
「大丈夫、貴女のことは絶対に殺させやしない。……この身にかえても」
 リナリナとニアが星占師の意識を逸らした事を利用してルチアはすぐ様にリヴィエールの許へと滑り込んだ。Anulus martyrisを飾った指先をきらりと煌めかせルチアは確かめる様にリヴィエールとその名を呼んだ。
「離れないで」
「……あたしも、戦うっす」
 緩く、頷いた。チャームを破壊しなくては呼声はより響きやすいのだ。チャームを受け取ったルチアはそれを壊さなくてはと力を込める。
(固い――)
 ちら、と視線を向ければ星占師がにたりと笑みを浮かべている。彼の背後より迫る冷気が凍て付く気配を感じさせ、一手下がった魔種の視界にユゥリアリアの笑みが飛び込んだ。
「まあ」
「……手痛い歓迎だな」
「聞きましたわー。美しくなりたい。ええ、そうですとも、そうでしょうけれども。
 ですが、それは誰のためにかしら? 申し訳ございませんがわたくし、貴方のためになど御免被りますわー」
 乙女たちは皆、甘言に乗せられた。穏やかでありながら芯の強いユゥリアリアにとっては御免蒙ることなのだと言う様に彼女は柔らかに笑みを浮かべる。
「ですので、お帰り頂きたくー」
「帰るのは『別の所になりそうだけど』ね?」
 ユゥリアリアの冷気を避けた星占師の至近距離、ちらつく炎が槍に乗せられ振り翳される。焔が放つ一撃は災厄の炎を乗せて星占師のその身を蝕んだ。
 シラスの魔力により具現化した仮初の鉄鎖が振り翳される。それは自己暗示によって更なる高みを求めた一撃か。
「ちょこまか動くなよ」
「生憎、男性は及びじゃないんだがね?」
 は、と鼻で笑ったシラスは「オンナノコじゃなくて悪かったな」と毒吐き星占師より放たれる不吉の気配に眉を寄せた。


「星占師、アウト!!」
 宣言と共にリナリナは肉を喰らう。『リベリベ』がこうして戦場に飛び出したことがリナリナにとっては気がかりで会った。『パルメザンチーズのリベリベ』がこうして戦場に出てくるという事は危機と隣り合わせだ。ユゥリアリアが言った『蛮勇になり得る』というのはまさにそう言う事である。
 しかし、必ず守ると決意したニアや焔、そして、咄嗟にチャームを壊すという判断に至ったルチアのおかげでリヴィエールの危機は薄い。9人での戦闘となるが――癒し手であるルチアとその補佐に回るユゥリアリアは遠距離型のファイターであるという星占師が近距離で迫りくるシラスや焔の動きを阻害しているのだ。
(後衛タイプトなりゃ、前衛が嫌いか。『確かにそう』だな?)
 最後尾よりアウローラから鋭き射撃術を放つジェイクはシュータータイプの不利をよくよく理解していた。後衛より戦闘を得意とするという事は彼は前線で立ち回れるだけのステータスをしていないということか。
「てめえの犯した罪は、てめえが死んでも償いきれねえぜ!」
 ならば――と引金を引いた。それに合わせて星占師が声を張り上げる。

 ――素直になりましょう。楽しみましょう! さあ、君の望みを――!

 ジェイクは小さく舌を撃つ。脳裏に浮かんだのは愛おしい恋人の姿であった。
(俺は彼女と共にこの世界で行きていくんだ。俺が魔種になれば、彼女は悲しむ。
 ――こんな所で、魔種になってる暇はねえのさ!)
 美しい彼女であれば、魔種となった自分の事も受け入れるだろう。然し、世界はそうは赦さない事を彼は知っている。
 頭が痛い、と。ニアは思った。それでも尚、リヴィと友人の名を呼び風による守護をその身に纏う。呼び声を発したそれこそが彼にとって窮地に立たされている事なのだとシラスは認識していた。
「ハンッ! わざわざ人間やめなきゃナンパひとつも真面に出来なかったか?」
 魔力を纏う拳を固めてその距離を詰める。ぎちり、とその身を苛んだ痛みが自身が魔種へと食らわさんとしている苛であることも理解していた。

 ――さあ、さあ!――

 その声が響き続ける。ユゥリアリアは穏やかな笑みの下から粗忽な淑女の貌を覗かせて溜息を交らせる。
「残念ながら意固地でね。……愛しの君すら追いやった俺に、今更素直になれってのか」
 愛おしい人との約束が自身が可能性を蒐集する為に所有するものになるだなんて、何の因果だとユゥリアリアは毒吐いた。普段の優し気なその声音は消え去り、凍て付く冷気と共に魔種を狙うそれがぴきりと音を立てる。
 逃がすわけにはいかないとルチアは認識していた。前線を奔るリナリナのその身が可能性を燃やした事を見遣りながらクリスティアンは小さく舌を撃つ。
「例え星の導きがあったとしても、最後にモノを言うのは何時だって"自分の意志"だ。それを忘れんな!」
 星々は美しく照らすために存在している。導きを信じるかどうかも人の意志――彼に誘われた事でその甘言に踊らされた少女たちだってその意志を選び取っての事だ。
「星の導きってのはな。人に幾つもの運命を知らしめ、選択を促す為にある。
 決して、死へ導く為にあるモノじゃねぇ。分かるか?」
「ならば、死へと導くその星を選び取った彼女らもまた選択したことにならないのかな?」
 さあ、アストロロギーで教えよう。
 その響きにルチアが唇を噛み締める。リヴィエールから奪ったチャームを壊したそれを見かねてか、彼女に向かった攻撃が回復手である彼女の体を傷つけた。圧倒的な歌声と共に自身の魔力を枯らすことなく戦うルチアが「最悪だわ」と毒吐く。
「この身に変えても救って見せると誓ったわ。ならば、迷うことはないの――主よ!」
 彼女の信ずる導きはただ一つであった。ユゥリアリアの支援で長期戦となりつつある戦場で、シラスが感じた焦燥は魔種という強敵を相手にしたことではなかったのかもしれない。
(見晴らしがいい海――そうだな、『逃げる可能性は高い』か)
 魔種と堕ちても尚、彼は『根無し草たる少女』を狙っていた。そのことからも狡猾な男である事位百も承知だ。
 神々の加護を身に纏い焔は少しでも遠くを狙う気を削ぐ様にと足元で立ち回った。後方で狙うジェイクを支援するようなその動きが自身の行動の幅を狭めたとしても、だ。
「ッ――女の子の気持ちを弄ぶなんて許せない! だから、ここで痛い目に合ってもらうから!」
 吼える様に。焔から炎が飛び散った。


 闇夜に飾られた星を詠み、日々を過ごす。星は全てを見通して教えてくれるのだという者だっていた。
 嗚呼、けれど――死へと導く一等美しい星など、赦せるものかとクリスティアンは歯を食いしばる。
 クリスティアンが支援を続ける。血反吐を吐いたとしても星の導きは確かに輝いているのだから。
「テメェに、星占師を名乗る資格など無いって事だ!!」
 可能性が燃える。その感覚を感じ取りながらニアは、風を纏いなおも、前線へと進んだ。
 大切な、友達。
 明日を誓い合った――大切な。
「……!」
 は、と息を飲む。飛び込んだ魔弾を受け止めた焔が「駄目だよ」と囁いた。
「誰一人欠けちゃいけないんだ」
 その言葉と共に焔を纏う。魔種はその行動を阻害されながらも尚、『こちらの狙いと同じ様に』して特異運命座標を翻弄していた。『不運』にも、シラスの拳が一度星占師より離れる。
 その事に彼が顔を上げれば、肉を喰らうだけではその身を保てないリナリナがかくりと膝をついている。
 ジェイクの弾丸を受けとめて、魔種はふと何かを思い立ったように「そうだ」と呟いた。
「逃がさねえ――!」
 追い縋る様に手を伸ばす。シラスと共に走る焔が「ここでおわりだよ!」と低く囁くその声を聴きながらクリスティアンが苛立ったように「テメェ!」と声を荒げる。
「占ってやるぜ、テメーは地獄行きだ。この俺が保証してやるよ」
 シラスのその言葉に星占師は小さく笑う。
 ざざん、ざざんと音立てるその海へと身を投じる様に――『嗤いながら』星占師は彼の目を覗き込んで言ったのだ。
 びくり、と肩が硬直する。そして、その身が地へと叩きつけられた。
 追い縋る様に焔が伸ばした手を掴み、それ以上はダメとユゥリアリアは首を振った。
「また」と。逃がすわけにはいかないとルチアは小型船へと乗り込もうと走り出す。然して、回復手の彼女がその場で一番理解していた。
 疲弊が強い仲間たちの中で、これ以上を求めればもっと被害が拡大することなど、分かり切っていたのだ。
「星占いというのは悪戯なものですのー。……どうしようもない程に、外れる事もある位に」
 ユゥリアリアは吐き捨てた。
 波の音がやけにうるさく感じる。
 潮騒の向こう側、其処には十字に張り付けられた少女たちが望んだ星を探す様に空を仰ぐだけで会った。

成否

失敗

MVP

シラス(p3p004421)
竜剣

状態異常

ニア・ルヴァリエ(p3p004394)[重傷]
太陽の隣
リナリナ(p3p006258)[重傷]
ルチア・アフラニア・水月(p3p006865)[重傷]
高貴な責務

あとがき

 お疲れさまでした、イレギュラーズ。
 あと一手、でした。しかし、明確な殺意、素晴らしいものだったと思います。
 MVPと称号、差し上げます。
 ご参加ありがとうございます。どうか、傷を癒してください。

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