シナリオ詳細
ナハトラーヴェと70人の山賊
オープニング
●ナハトラーヴェ霊樹の危機
そよぐ清らかな風。集落防衛の依頼を受けて集まったイレギュラーズたちは、反響する音にどこか心をなだめられるような気持ちになった。
カラン、カラン……と清らかに鳴るウッドベルの音である。
「このベルは『ハナトラーヴェの鈴』と呼ばれていて、この集落の祭事に使われているわ」
プルー・ビビットカラー(p3n000004)はベンチに腰掛け、果実酒のカップを掲げた。
ヒカリゴケによって照らされた幅100m程度の巨大な筒の内側。
ナハトラーヴェという霊樹の、内側である。
壁面から伸びた枝に支えられるようにどんぐり型の小屋が点々と並び、それらを繋ぐように螺旋状の階段が頂上まで伸びている。
頂上にある小屋は霊廟と呼ばれ、祭事に参加する巫女と一部の者だけが入ることを許されるという。
「ナハトラーヴェの民はこの霊樹……筒状の世界の中で生まれ、この中で一生を終えるわ。
自分たちこの木の一部であり、共に生きているというのが彼らの信仰。
実際、この木から得られる恵みによって不自由なく暮らしているわ」
とは言っても、外界に全く触れずに生きているわけでも無いらしい。
時折やってくる商人や傭兵連合から派遣された傭兵たちと交渉し、ごく最低限の接続を保っている。
「けれど先日、この霊樹への接続ラインを守っていた傭兵チームが壊滅したわ。
敵もまた傭兵らしいけれど……重い罪を犯したりして連合から外れたいわゆる『山賊』ね。
本来ならこんな規模の山賊が突然襲撃してくることはないの。リスクに対して利益が少なすぎるからよ。
けれど……」
プルーは独自の情報網によって獲得してきた『山賊たちの狙い』を明かした。
「彼らはナハトラーヴェのハーモニアたちを拉致し、『ある人物』に売却することを目的としているの。これだけ大胆な行動を起こしてもいいくらいの額で、ね
明確な証拠は無いけど、最近頻発してるハーモニアを標的とした拉致事件やハーモニア奴隷売買に関するものとみていいわ」
●森の中の防衛
「依頼書で説明はされてると思うけど、今回の仕事は集落……つまりナハトラーヴェ霊樹そのものの防衛になるわ。ついてきて」
プルーに案内されるまま、トンネル状の出入り口を通って霊樹の野外へと出るイレギュラーズたち。
振り返って見れば、遠近感が狂うほど巨大な霊樹が聳え立っているのがわかった。
21世紀地球の日本出身者にあえてピンポイントに説明すると、東京タワーの足から足までの幅が約100m。ナハトラーヴェと同じくらいの大きさと言うことになる。周囲をひとまわりするだけでも結構な運動になるだろう。
「山賊団の人数はおよそ70人と言われてるわ。
結構な数よね。けど、一人一人は傭兵連合からはじき出されて戻ることも出来なくなったゴロツキよ。これまでひっそりと草を食んで生きていたような連中。戦闘力もたいしたことないわ。
いまここにある戦力だけでも充分に対抗できる。
それに、襲ってくるという情報がある以上、こっちは罠をはって待ち構えることも、隠れて奇襲をしかけることもできる。
私たちはありとあらゆる手段を用いて、霊樹とその民を守るのよ」
プルーはそこまでの説明をすると、依頼書と情報のファイルをあなたへと突きだしてきた。
「この霊樹と民がこれからも平和に暮らしていけるか、もしくは奴隷として売り払われるかは、あなたにかかっている。あとは、頼むわね」
- ナハトラーヴェと70人の山賊完了
- GM名黒筆墨汁
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2019年08月31日 21時55分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
●ナハトラーヴェのある森
深く深く息を吸って、小鳥と虫の声を聞きながら吐息をもらす。
『御伽噺』ミザリー・B・ツェールング(p3p007239)は大きすぎるほど大きな木の前で、手を広げていた。
「やっぱり森の中は落ち着くのです。此処(深緑)はとっても良いところなのですよ。いいところなのに……愚かにもこの平和を脅かす人達が居るとか?」
ミザリーが振り返ると、彼女の長く伸びた影から多目大顎の怪物が顔を出した。
「ゴミ掃除、ですよ」
霊樹ナハトラーヴェ。女性のみが暮らすこの集落は、霊樹の恵みで生き、霊樹に尽くして死ぬ。それは形こそ違えど巨大な家族共同体であり、平穏に満ちたコミュニティである。
集落から借りた頑丈なウッドスコップを手に、『魔動機仕掛けの好奇心』チャロロ・コレシピ・アシタ(p3p000188)は霊樹の外へ通じる太いトンネルを歩いて行く。
「これまで売られてしまったハーモニアの人たちのことを思うと心が痛むよ。
そもそも、浚われて奴隷になってしまうひとが当然のようにいる世界なんだな、ここは……」
たとえば21世紀の先進国で暮らしていれば、奴隷はイコールで悪だと直感するが、たとえば17世紀でまでは公然と存在していた商売である。それも疫病による貧困人口低下による価格上昇という流れによって身分転換が進んだに過ぎないとも言われていた。
ある意味で人があふれ、文明が混雑するこの混沌世界において、奴隷商売は未だ横行を続け、それを制限するルールも世界規模ではないようだ。
「まあ、お金になるならやるヤツも出てくるよね……罰せられたりするわけじゃないし……そこはわかるよ。わかるけど……」
『エアーコンバット』ティスル ティル(p3p006151)は頭をがりがりとやって顔をしかめた。
「あー、イライラする! お金になるからって人さらいまでやろうとするってバカなの!? こんなやり方、いくらなんでも道を外れすぎでしょ!」
奴隷のある種の一般性を話したばかりではあるが、幻想種を含む各一般種族が同等に人間であるという概念は世界共通のものである。
それゆえ、奴隷制を採用してはいても、好意的に受け入れ上の階級の者が平和に管理するコミュニティも勿論あるだろう。
そこへくると自分と同等の存在を浚って金に換えようとする行為は、もはや普遍性の枠を超えているように、ティスルには思えた。
そしてその感覚は、おおむねローレット全体が持っている違和感である。
「あなたが来てくれましたか、姉妹焔」
にこやかにウッドスコップを手渡すナハトラーヴェの巫女。
『ナハトラーヴェの子』炎堂 焔(p3p004727)はそれを受け取ると、しっかりと頷いた。
「勿論だよ。他の人も来たがってた。
それにしても……少し前にもここを襲おうとしてた人達をやっつけたのに、また狙われるなんて」
「ひとつの森賊がこの場所をかぎつければ、その情報は広まるといいます。私たちも隠れてばかりはいられないのでしょう……」
悲しそうにいう巫女の手を、焔が強く握った。
「大丈夫。今度も霊樹さんと集落の人達を守る為に頑張るよ!」
「ん……」
一連のやりとりを横で見ていた『パッション・ビート』シラス(p3p004421)は、受け取ったスコップを肩に担いで歩き出した。
「そろそろ行こうぜ。ミサがもう一人で掘り始めてる。放っておくとあちこち穴だらけになるぞ」
「あっ私罠のはりかたで思いついたことがあるんですけど……!」
『小さな太陽』藤堂 夕(p3p006645)はシラスたちについていきつつ、自分の考えを話し始めた。
そんな彼女たちを見送ってから、ナハトラーヴェの巫女は同じ集落のハーモニアたちへと手を振った。
トンネルを塞ぎ、しばしこの集落を封鎖するのだ。
皆が感じていた違和感を、より深い所で抱いていた者がいた。
『天才になれなかった女』イーリン・ジョーンズ(p3p000854)。
彼女は膝程度の(ないしは足首程度の)浅い堀の作成を指示すると、それらを隠蔽するかたわら『またぎやすい』位置になるように縄のトラップをはった。
仕掛け罠の基本で、またぐ習性のあるものを手前に置きその奥に本命を仕掛けるという手法である。
「捨て駒、逐次投入、統率もイマイチ……臭うわね……本当にこれで成功すると?」
情報屋から話を聞いた限りでは、無数の森賊が集落の位置情報を共有し、出し抜き合う形でここへ集まってくるということだ。
いくらなんでも効率が悪すぎる。情報を流した人間の不手際か、それとも意図してやったことなのか……。
「そんなに臭います? まー、たった70人じゃ何かの囮にも戦力測定にもなりゃしませんし大丈夫でしょう。難しいことは考えずにやっちゃいましょ、いつもの」
「そうね……『神がそれを望まれる』」
習慣のように呟いて、イーリンは木々の間にロープをはった。
●山賊のはじかれもの
どんな世界にもヒエラルキーはあり、たとえアウトローにだってそれは適用される。
山賊という『業界』は特に縄張り争いが激しいと言われ、ここ周辺を自由に暴れ回れる山賊は片手で数えられるほどらしい。
そんな世界にあって、世間からも山賊業界からも弾かれつつある弱小集団。その小規模集団の中でさえたがいを信じられないような連中が、いまやっとナハトラーヴェの前までやってきていた。
「他の連中を出し抜いて一番乗り、ってか」
「利益を独り占めにしてやろうぜ。これで俺らも名が上がるだろ」
さびた鉈や石と木の棒で作ったハンマーを持ち、森を進む……と。
「止まれ! それ以上は進ませないぞ!」
剣を構えたチャロロが、アーマーの各所から熱気を吹き出して威嚇した。
「オイ――」
「ひるむんじゃねえ、囲んで叩け!」
山賊たちはそれぞれの武器を高く振り上げ、しかしチャロロを囲むように散開することもせず、一塊になってまっすぐ突っ込んできた。
その一人が、草地にまぎれた頑丈なツルに足をひっかけ転倒。
仲間の転倒に驚いた他の山賊が足を止めた所で、チャロロは勢いよく突撃をしかけた。
「うお――!」
咄嗟に翳した鉈が切断され、燃える刀身が山賊の身体を派手に切りつける。
「夕さん、今だ!」
「伏せといてくださいね!」
夕は丸太を召喚すると、山賊めがけて発射した。
直撃し、吹き飛んでいく山賊。
その悲鳴が、視界の通らない森の先へと響いていく。
全く別の方向からナハトラーヴェを目指していた山賊グループは、誰かがやられたことを察して警戒を強めた。
投擲できる石斧をもった山賊が、木々の向こうにイーリンとウィズィの姿を確認。
「女二人だ、一気に行けば――」
目立つロープをまたぎ突撃……しようとした山賊たちが、足を伸ばした先に用意されていた浅堀に躓いて派手に転倒した。
一人が罠にかかるというのは、後から続く者に対して副次的な恐怖をもたらす。
ロープの前で足を止めた山賊たちめがけ。
「うっ──どぉりゃああああ!!!」
ウィズィは思い切りハーロヴィットを投擲した。
水平にかかげて投げつけた巨大テーブルナイフまとめて押し倒される山賊たち。
「さあ、豚のような悲鳴を上げなさい」
倒れた山賊へとイーリンがゆっくりと歩み寄り、紫色に光る目を大きく見開いた。
たちまち山賊は枯れ木のように細くしおれ、恐怖に口を開いたまま絶命した。
ろくな装備すら調えられない山賊たちを相手に、イレギュラーズたちは一方的な勝利を収めていた。
「欲をかいて死にに来たのか、引き返すなら今だぜ。さっさと尻尾巻いて帰んな!」
シラスは山賊たちをあおり立て、ムキになって斬りかかった彼らの攻撃をするするとかわしていく。
両手をズボンのポケットに入れたまま、半笑いの表情で攻撃を回避し続けるシラスに、山賊たちの怒りはまるでやむことがない。
「ま、逃がすつもりはないんだけどね。だろ? ミサ」
「その通りなのですよ――ローちゃん」
シラスの巧みな誘導によって直線並びになっていたことを、山賊たちはまるで自覚できていなかった。それだけ戦いに対して愚かであり、そして連携練度が低かったということだろう。
太い木の幹に寄りかかるように立っていたミザリーから『黒き森の怪物』が現われ、糸引くように大きな口を開く。
思わず振り向いた山賊たちが何かをする前に、彼らは怪物にまとめて上半身を食いちぎられていった。
一方、シラスたちとは離れた場所で木の枝に立っていた焔。
巨大なハナトラーヴェへ振り返ると、巫女から預けられた鈴を振って呼びかけた。
「ナハトラーヴェさん、山賊は?」
『まだ誰も、幹に触れることすらしていない。我が子焔、お前の近くにも輩は近づいている』
「ありがとう……」
森歩きが慣れていない者は、木の根や草に足をとられてついつい前屈みで歩いてしまうものである。
それゆえ、普通にしていればまず気づくような位置であっても、木の枝に立っているものに気づけないことがある。
無警戒にも横一列になって歩く山賊たちを見つけた焔は、早速槍を振り込んだ。
はしった炎が山賊たちだけを燃やし、後からついてきていた別の山賊が慌てて顔をあげ、焔を発見。
焔はすぐさま木から飛び降り離れていくが、それ自体が既に罠であった。
木の陰に隠れていたティスルが魔力砲を構え、彼らが通るのを待っていたのだ。
そして、ティスルのしかけたスネアトラップへ一斉に引っかかる。
足をとられ逆さ吊りにされた山賊たちに、ライフルの銃口がむいた。
「とっととぶっ飛べバカどもー!」
トリガーをひくと同時に発射されたマジックブレス(ささやき)が純粋な破壊の衝撃となって山賊たちを吹き飛ばしていく。
「罠もだいぶ効いてるみたい。この調子で行こう!」
ライフルを担ぎあげ、位置を移動するティスル。
焔も頷き、彼女と共に走り出した。
●ハイエナ
ヒエラルキーは、確かにある。
そして多くの場合、無自覚なまま上の者に利用されているものである。
山賊たちもまた、そうした関係にあった。
焦って先走った山賊たちが次々に倒される中、罠の位置やイレギュラーズたちの戦力を冷静に測っていたわずかな山賊たちが、ついにやっと動き出したのである。
「なるほど、ね。彼らはあくまで囮に過ぎなかったと……」
そこまでの内容を『知覚』したイーリンは、満を持して迫る山賊に身構えた。
それまでとは打って変わって装備の整った男が、ライフルを連射しながら迫ってくる。
「――ッ!」
間に立ちはだかるようにして魔術弾を切り落とし、対抗するように『紫苑の魔眼・泡沫』を発動。
木の陰から飛び出してきた二人目の山賊にも同じように魔眼を発動させると、イーリンは自分を囮にして山賊たちの攻撃をいなしはじめる。
「盾にしてごめんね司書さん!
今すぐ、こいつらブチ抜きますから!
帰ったら一杯付き合ってよね!」
巨大テーブルナイフを槍のように構え、山賊に突撃を仕掛けるウィズィ。
「あら、それならカクテルがいいわ。私がシェイクされすぎないうちにね」
イーリンは山賊の繰り出す剣を戦旗の柱で受け止め、小さく笑った。
魔術の冷気を身体に纏い、猛烈な速度で突撃してくる山賊の男。
その巨体を、チャロロは真っ向からパンチによって受け止めた。
熱気と冷気がぶつかり合い、爆発のように周囲に散っていく。
「そいつと遊んでな。俺はそっちのカワイコちゃんをいただくからよ」
ナイフを舐めながら横をすり抜けていく別の山賊。
チャロロは歯を食いしばって剣を抜き、山賊の首元に翳した。
「ぐっ……!?」
「近づけさせない。夕さんにも、ナハトラーヴェの人々にも……!」
その、直後。
「チャロロさん、いま!」
夕の呼び声と共にチャロロは素早くかがみ込み、振り子運動によって迫る山賊数人分の死体が彼の頭上を抜けた。
重量をまともにくらってよろける二人の山賊。
夕はすかさず立ち上がり、両手を高く掲げた。
「『我が子らに牙を向けたことを、土になって詫びるがいい』」
異界から飛び出た巨大な女性の手が、山賊たちを握り、地面へと叩き付ける。
木々の間を巧みに移動し、拳銃を撃ち込んでくる山賊。
焔は銃撃をなんとかかわしながら反撃の機会をうかがっていた。
「集落の皆を傷つけようとするなら、ボクが相手になるよ!」
「へえ、どう相手してくれるって?」
焔の放った炎を木にかくれてよけ、さらなる射撃を加えてくる山賊。
「くっ……」
焔は反撃を諦めたようにナハトラーヴェ側へと走り出した。
チャンスだ、と考えた山賊たちは焔を追って走――ろうとして、人為的に発動したスネアトラップにひっかかった。
足首をとられ逆さに吊るされる山賊。
が、そうなることを予め想定していたのか、すぐさまナイフでロープを切って離脱した。
「雑魚どもと一緒にするんじゃねえ。こんなトラップ」
「こんなトラップ?」
簡易ギリースーツを脱いで姿を現わすティスル。
向けたライフルに対抗して銃を撃とうとした山賊たちだったが、地面の柔らかさに強い違和感を覚えた。
ティスルは足下にある縄と杭によるスイッチを蹴りつけ、スイッチ式の落とし穴を発動させた。
転落する山賊。
打ち込まれる砲撃。
そして穴めがけて飛び込んだ焔の槍が、山賊の身体を貫いて底の土に突き刺さった。
「ありがとう、ナハトラーヴェさん。いい罠が仕掛けられた」
雑魚を放って疲弊させ、守りが薄くなった所を破壊する。
そんな山賊たちのもくろみは、もはや失敗したと言っていい。
「どうした? まさかガキ相手にビビってんじゃねえだろうな? 来いよ!」
未だハンドポケットのまま攻撃をかわし続けるシラス。
まるで雑魚を相手にするのと変わらない振る舞いに、熟練の山賊はみっともなく怒り散らしていた。
「クソッ……たった一人に、この俺様が……!」
振り込んだ斧を、上半身ののけぞりだけで回避してみせるシラス。
「あーあー、可哀想になあ。弱い者いじめしかしてこなかったんだろ? 俺にかすり傷ひとつつけられねえなんてなあ」
「テ、テメェ……!」
怒りが頂点に達し、斧を高く振り上げた……その時。
山賊の手首に『影』が巻き付いた。
「……あ?」
伸びた先を振り返る。
両手を腰の後ろで組んだ、幼い少女が立っていた。
少女の後ろに伸びる木の陰が、大きく膨らんだように見えた。
まるで大蛇のように鎌首をもたげた『影』の塊が、大量の目を一斉に開く。
その赤い目ににらまれた瞬間、山賊は全身のあらゆる穴から血を吹いた。
にっこりと笑うミザリー。
「さあローちゃん、ごはんにするのです」
「あっ首は残しといt……あー……ペッしなさい、ペッ!」
こうして、70人もの山賊によるナハトラーヴェ霊樹への襲撃は失敗に終わり、70体の死体はそれぞれ土へと埋められた。
巫女によれば、死した者はその魂がなんであれ、土となり草や水となり循環し、清らかなるものへと変わるのだという。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
――霊樹の防衛に成功しました。
――山賊たちに情報を流した人間について調査を進めています。
GMコメント
■依頼目的
・ナハトラーヴェ霊樹の防衛
70人の山賊から霊樹を守り切ってください。
山賊たちはいきなりごっそりやってくるわけではありません。
いくつかのグループにわかれて森を抜け、ある程度バラけた形で霊樹へとやってきます。
このことからも分かるように統率は乏しく、数ウェーブにわけて戦いがおこると思ってください。
シナリオ的には『事前準備パート』『ウェーブ前半のパート』『ウェーブ後半のパート』といった別れ方をします。
それぞれのパートごとにプレイングをかけていくことになると思いますので、順に解説をしていきましょう。
■事前準備パート
皆さんは事前の準備として『チーム分け』と『トラップの設置 or 準備運動や武器の手入れ』を行なってください。
ナハトラーヴェの一族は霊樹を封鎖し、内側に籠もるかたちで守りを固めます。万一皆さんが敗れた時のためにバリケードを組んだりなんだりと色々するので、霊樹外部での防衛において彼らの手は借りれないものと思ってください。
●チーム分け
霊樹の外周は軽く600m以上あるので、仮に機動力が10あっても一周するのに数ターンかかってしまうでしょう。
よって、東西南北に2人ずつくらいの割合でチームを分割し、襲ってくる山賊たちをそれぞれのチームで対応する形になると思われます。
そのために、チーム分けを行なって置いてください。これはプレイングというより事前相談で行なうことになると思います。(もしその段階で決定できなかった場合それらしいチームをアドリブでセットアップします)
●トラップか準備運動か
そして襲ってくるまでにそれなりの時間があるため、トラップの設置を行なうことができます。
設置自体にスキルは必要ありません。また、トラップのための資材は一般的なものであれば用意できているものとします。
プレイングには「こういうトラップを仕掛けるよ」とざっくり書いてください。詳細な設置方法や作成手順はプレイングを過度に圧迫するため書かなくて結構です。
※『罠設置』のスキルがある場合、スキル所有者数に応じてトラップによる足止め&ダメージ効果にボーナスがかかります。
※特殊化されたアイテムフレーバーを用いたトラップはなんか元アイテムから便利に代わりすぎてるなあと思われそうなものはカット判定されます。
また、トラップの設置を行なわずに準備運動や地理の把握、武器の手入れといった自身の能力を引き上げるために時間を使っても構いません。
その場合は準備プレイングに応じて自身のダイス判定にボーナスがかかります。
■ウェーブ前半パート
山賊の中でも、手柄を焦って周りよりも早く突入しちゃった連中が霊樹へとやってきます。
彼らは基本的に実力が乏しく、かつ1チームの数が多い特徴があります。
範囲攻撃による効率的な撃破や、防御や回避を用いて盛大に引きつけて戦うなどのプレイで蹴散らしていきましょう。
よほど油断していない限りは、このウェーブ中に倒されるってことはないんじゃないかなあと思います。
彼らの攻撃射程は大体0~2くらいとされています。
■ウェーブ後半パート
愚かな連中が先走り、防衛隊がある程度は疲弊した所に満を持してそこそこ実力のある山賊たちが攻めてきます。
彼らはチーム人数が2~3人と少なく、個人ごとの実力もそこそこあるという特徴があります。
戦闘能力はまちまち。そこまで致命的に相性の悪い奴がやってくることはないだろうな、と思っておいてください。
■余談と解説
ナハトラーヴェ霊樹には強い精霊がついており、成人女性と同じくらいの会話能力があったりします。これは精霊疎通と植物疎通の両方で対話が可能です。
ナハトラーヴェは遠くの森まで見渡せているわけではありませんが、すぐ近くに迫っている存在を感知できます。敵の接近を知るための手段として役にたつでしょう。
周辺の精霊もそこそこ位の高いものが漂っていますが、いっても小学生低学年レベルの知能しかないものがまばらにいる程度で、あとは下位精霊ばかりです。
■■■アドリブ度■■■
ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用ください。
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