PandoraPartyProject

シナリオ詳細

花咲き乱れる園にて

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●不思議な花園のはなし
「皆さん、『花園』のウワサをご存知ですか?」
 『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)の言葉に一同は首を傾げた。最も──数名は知っているような反応を示しているようだったが。
「最近、夜にだけ綺麗な花園が現れるそうなのです。ラサにある、オアシスで」
 昼はただのオアシス。緑はあるものの、一面に咲く花など見つけられようもなく。当然、隠す場所だってあるわけがない。
「そこに足を踏み入れると、生きて帰って来られないらしいのです……」
「え、」
 じゃあどうやってその情報を得たんだ?
 ふるふると震えるユリーカに視線が集まる。どう見てもしがない新米情報屋、戦うなど──たまに真っ赤に染まったバールを持ってるとかなんとか聞くが──できるはずもなく。モンスターが出ているのならば、ここに戻っては来られなかったのではなかろうか。
 そんな問いかけの視線に答えたのは、2人のイレギュラーズだった。
「ボクたちで行ってきたのさ」
「元々、遠目からの目撃情報があった。同じ位置からであれば問題ないという判断だ」
 『Blue Rose』シャルル(p3n000032)と『焔の因子』フレイムタン(p3n000086)はユリーカの話を聞き、偵察役を買って出たのだそうだ。それは戦えるから、ということもあるが──。
「周囲の精霊が、騒ついている」
「ちょっと変だな……とは、ボクも感じてて」
 精霊種の青年と、元精霊の少女。どこか似たものを感じた彼らはラサの地へ赴き、目にしたのだそうだ。
「日が落ちて……光が咲く、って言うのかな」
 思い出しながら呟いたシャルルへ、怪訝そうな視線が向けられる。言葉を継いだのはフレイムタンだ。
「光の粒子が、花を形取るようだった。少なくとも現実に咲く花とは似て否なるものだろう」
「あれは遠目からじゃないと見られない……もっと近くまで行ったら、吸い寄せられそうな。それくらい……幻想的で……何だろうな。不快……? あまり、気持ちの良くないものだよ」
 自身の中の感情を図りかねたか、緩く首を振ったシャルル。ユリーカの「大丈夫ですか?」という問いには小さく頷いてみせた。
「話の通り、花園には何か不可思議な力があると見て良い。そしてそれを操るのは、恐らく花園にいる精霊だ」
 対話は距離的にも、遠目に見た様子からも不可能だったとフレイムタンは告げる。アレは正常ではなく──何かしらの対処が必要だ、とも。


●???
 ──お花。綺麗な、お花。

 ──木を隠すなら森の中。花を隠すなら花の中。

 ──綺麗な、お花。あげないわ。

GMコメント

●成功条件
 花園の消滅

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
 また、PL情報の取り扱いにお気をつけ下さい。

●花園
 日が沈むと同時、光る花がぽつぽつと咲くように花園が出現します。
 花園に入ればすぐわかりますが、花園のエリアにいると【恍惚】のクリーンヒット判定を毎ターン受けます。
 精霊がいる場所より4Rの範囲は花園となっているため、攻撃する際は必ず上記判定を受けると認識して下さい。

●精霊
 花園の中央におり、少女の姿をしています。会話は不可能ではありませんが、成り立たないことが想定されます。
 この精霊をどうにかすれば、花園は消滅すると思われます。
 攻撃手段等、詳細は不明です。

(以下、PL情報)
 精霊は以下のようなスキル(特殊なものも含む)を使用します。精霊が使ったタイミング、或いは予め予想をしていた等でうまくPC情報へ落とし込んでください。

・其は茨の道:自身より直線貫通。茨が対象の足元へ絡みつき、傷つけます。【万能】【流血】
・花の籠:自らを守るように植物が成長します。それは揺り籠のように。そして時として牙を剥く獣のように。防技上昇。【反】
・花乙女:花の精を3〜5体召喚します。これらはエネミーとして機能しますが、頻繁に使ってくることはありません。回避特化。

●ご挨拶
 愁と申します。ラサです。花園ですが。
 精霊はどのようにして頂いても構いません。対処は参加者様でご相談、ご決定をお願いします。尚、NPCは同行しません。
 ご縁がございましたら、どうぞよろしくお願い致します。

  • 花咲き乱れる園にて完了
  • GM名
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年08月10日 21時35分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

鬼桜 雪之丞(p3p002312)
白秘夜叉
グリムペイン・ダカタール(p3p002887)
わるいおおかみさん
アレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)
大樹の精霊
炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子
リナリナ(p3p006258)
ベッツィー・ニコラス(p3p006864)
ライゴーズ
ベンジャミン・ナカガワ(p3p007108)
 
恋屍・愛無(p3p007296)
終焉の獣

リプレイ

●noon
「──ここが、花園の中心となる場所でしょうか」
 ぐるり、と辺りを見回した『守護天鬼』鬼桜 雪之丞(p3p002312)の視線は、次いで足元へ。オアシスの傍であるここは、ラサの地でありながら緑があり、花も散見される。最も『花畑』と称せるほどのものではないが。
「水のあるオアシスなんだから、花くらい咲くのじゃ。ラサでは珍しいかもしれぬがのう」
 花の近くにしゃがみ込んだ『ライゴーズ』ベッツィー・ニコラス(p3p006864)はそっと花弁に触れた。小さく揺れる花弁にベッツィーは目を細め、「今日も1日頑張るゾイ」と呟く。
 一見、普通の花だ。そして足元には短い草が生えている。ここ一面が光る花畑になるなど、偶々通りかかった者なら思いもしないだろう。
「花園の精霊、ならばその花園が出る場所に花は咲くものなのか」
 花を立ったまま見下ろし、『わるいおおかみさん』グリムペイン・ダカタール(p3p002887)がそう呟く。何も分からなくとも結末は用意されているが──。
(……それでも。精霊というならきっと想いはある筈だ)
 グリムペインはどこにいるとも知らない精霊を捜すように、視線を上げた。
「なんでそんなことをしてるんだろう?」
「お花畑に出る精霊さんについても、少しわかったりしないかなぁ」
 『希望の蒼穹』アレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)と『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)は辺りをきょろきょろと見渡す。
 精霊の事は同じ精霊に聞けば何かわかるかもしれない。先に様子を見に訪れたフレイムタンも「精霊が騒ついていた」と言っていたのだから。
 ──そう、確かに精霊は騒ついている。彼らが、イレギュラーズがこの地へ踏み込んだことによって。
「あ、待って……!」
 精霊たちの気配に焔が声を上げるが、彼らは警戒しているのか──それとも怯えているのか。小さな光となってふわりとどこかへ消えてしまった。
(精霊、か)
 恋屍・愛無(p3p007296)はその光が消えるまで視線で追う。
 近頃その言葉を耳にすることが増えた気がする。精霊種という新たな種族も現れたのだから、きっとこれも世界の流れというやつなのだろう。
 愛無の視線は光の消えていった空から下りて、オアシスへ。
(何にせよ、鍵は花と夜、だろうか)
 花の近くではアレクシアがしゃがみ込み、植物たちと対話を試みていた。返ってくるのは断片的な言葉であれど、それぞれがこの状況のパズルを解く1ピースのようなもの。
「ここにいる精霊のことを教えてくれないかな? 精霊は何をしているの?」
 ──セイレイ。
 ──ハナ、セイレイ。
 ──セイレイ、ハナ、マモル。
「……守る?」
 人を襲いたいわけではないのだろうか。オアシスそのものに精霊へ影響を及ぼす原因がある可能性も考えていたが、これはどうも違いそうだ。
「じゃあ……最近来た人とかいるかな?」
 ──イル。
 ──セイレイ、キライ。
 ──ヒト、ユルサナイ。
 それらの言葉を残して黙り込んでしまった植物達に、アレクシアは礼を告げると立ち上がった。
(まだ、判断材料は少ないけれど……)
 だからこそ、精霊を殺してしまうのは早計だ。とにかく徹底的に調べねば。

 何か結果を求めるほどに、時間は早く過ぎていくもの。オアシスを見回り、植物や精霊との対話を試み、周辺の住民を捜して話を聞いて──そんなイレギュラーズへ時間を知らしめるように、太陽は橙色へと染まって行った。


●nigth
 太陽が地平線へ消えると同時。どこからか、ふと光が舞い降りてきた。それは昼間に見た精霊の光にも似ているような気がする。
 それらが形作るのは、幻のような光る花園。
「おー、不思議の花園! 夜の人外魔境!」
 ぴょんぴょんと飛び跳ねて花園の向こうまで見ようとするのは『やせいばくだん』リナリナ(p3p006258)だ。仲間たちを振り返ったその瞳が「入って良い?」と訴えかけ──いや。
「入るぞ!  入るぞ!」
 1番乗りで踏み込んでいった。
 花園に入ったリナリナは「あれ?」と首を傾げる。その違和感は彼女に次いで足を踏み入れた仲間たちも同じで。
「これが言われていた、吸い寄せられそうな気配、でしょうか」
 無表情ながらも警戒する様子を見せる雪之丞。焔も険しい表情とともに頷く。
「何だろう。綺麗なお花畑のはずなのに、何だか嫌な感じがするよ……」
 仲間たちの言葉に、そして自らも感じる違和感にアレクシアは素早く魔力を練り上げる。それは癒しと浄化の力を宿した霧となり、一同を包み込んだ。
 違和感が和らいだところで、アレクシアは花園の中心を見据える。そこに居るのはこの花園の主と思しき少女。
「あなたがこの花園を作り出しているのね?」
 彼女の問いかけに、少女はゆっくりと振り返り──敵意に塗れた瞳で一同を睨みつけた。
「お花、あげないわ」
「花などいらぬよ。偽りの光による造花の園、蹴散らしてくれるっ!」
 真っ先に飛び出したのはベッツィーだ。光の花弁を散らしながら駆け、深く間合いに入って一閃する。確かな手応えとまではいかないが、それでも確かに剣へ触れた感触がした。
 そこへ火炎を纏った猛攻が加えられる。焔は槍を振って炎の余韻を消し、再び精霊へと向けて構えた。精霊は焔へ視線を向けようとしたが──。
「──拙は此処に。敵は、花泥棒は此処に居りますよ」
 鈴のような音が雪之丞の手より発せられた。それは、鬼はここにいるぞと知らしめる音。
 『花泥棒』という言葉に引っかかったか、精霊はまっすぐ雪之丞を睨み据える。そこへ夜よりも深い闇が降りてきた。
「大人しく神の供物になるがいいですぞ!」
 『正気度0の冒涜的なサイボーグ』ベンジャミン・ナカガワ(p3p007108)のキルザライトから抜け出し、精霊は雪之丞を指差した。同時、一直線に足元の植物が揺らめく。
「これは……っ」
 元々散開していた状態、植物の棘は雪之丞のみの足を傷つける。しかし同時、精霊が驚いたような顔をすると足を見た。
 雪之丞がくらったよりはずっと軽い──けれど確かに傷がついている。精霊は雪之丞を再び見ると険しい表情を浮かべた。その雪之丞の背後で、グリムペインの展開した多重魔術が光を帯びる。
「クハッ!! 砂漠に花園とは、いかにもな幻想風景じゃあないか!!」
 その声は愉し気に。精霊へ襲い掛かる光と共に、愛無がコンビネーションよく攻撃を加える。それを受け流した精霊は、人にもバベルにも解せぬ言葉を紡いで。
 ──アソビマショウ。
 ──アソビマショ!
 精霊から見て四方に現れたのは羽のついた小人──花の精。きゃらきゃらと笑い、イレギュラーズたちの元へ自由に飛んでいく。
 不意に声をあげたのはリナリナだった。
「リナリナ、わかった! わかった! 独り占め、良くない!  良くない!」
 何がどう分かったのか、独り占めとは──リナリナに視線が集まる中、彼女が再び口を開く。
「旨いもの!  凄く旨いもの!! せいれい、旨いもの隠してる! ドクセン!」
 違う気がする、と誰かは思っただろう。おそらく──いや多分きっと──彼女の願望も混じっているだろうから。
 誰も、それを口にはしなかったが。
 しかし願望云々は置いておいても、精霊に対するリナリナの観察眼は鋭かった。
(せいれい、会話は無理。でも思ってること、表情、態度、視線に出やすい!)
 特に大切なのは視線。隠した場所が見える場所なら、どうしても見てしまうのだ。そこにちゃんと存在しているか、見つかってはいないかと。
 これだけのことをして隠しているのだ、絶対見るに違いない──リナリナは精霊の目をじっと見つめる。
 不意に、精霊の視線が誰もいない場所へと動いた。それは本当に小さな動きだが、精霊自らの足元へと。
「おー、リナリナの目、誤魔化す無理! 旨いものここら辺だなっ!」
 きらりと目を光らせ、リナリナが精霊の足元へ飛び込む。光の花に埋もれ、しかし。
「むお~、なんだコレ、食えない。リナリナ、騙された!」
 見つけたのは周りと同じ、ただの光る花だ。同時、膨れっ面になるリナリナへ花の精が体当たりを加えた。
 ごろごろと花園を転がったリナリナは、素早く立ち上がると拳を振り上げる。
「騙された! リナリナ怒った! 怒った! せいれい、げんこつパンチの刑!」
 立ち向かっていくリナリナを──そしてイレギュラーズたちを、再び花園が惑わそうとする気配。アレクシアが再びそれを祓いながら声を上げる。
「あなたはどうして人を襲うの! 何がしたいの、教えてよ!」
「あげない。人には、あげないわ」
 繰り返す精霊。その周囲で花の精が飛び回り、アレクシアの霧に包みこみきれなかった仲間へ突撃していく。
「鬼桜君」
「承知」
 愛無の呼びかけに短く応え、雪之丞が再び鈴のような拍手の音を鳴らす。自由気ままに飛び回る花の精たちは、雪之丞を振り返ると小さく首を傾げてみせた。
 不意に精霊の周囲に咲く花が揺らめく。ベッツィーが驚きの声を上げた。
「植物が……成長するとな!?」
 うねり、ゆらめき、植物の蔦が籠のように精霊を囲む。その隙間からは植物の棘が見え隠れし、守るというよりは跳ね返してしまいそうな雰囲気だ。
「ふむ? ならば──」
 愛無がその近くまで踏み込み、ディスピリオドを叩きこむ。次いで雪之丞のバックハンドブロウが、花の籠の力を削いだ。
 すかさずベンジャミンが毒蛇を放ち、焔もまた攻撃に炎を纏わせる。
「あげない、あげない──あげない!」
 鈴のような拍手から逃れた精霊が茨の道を作り出す。その様子を見ながらアレクシアは眉根を寄せた。
 植物たちは花を守る精霊だと言っていた。人を許さないとも言っていた。そして精霊は人にはあげないと言っている。そこから導き出されるのは。
「……誰かが、花を持っていこうとした?」
 少なくとも、精霊にとっては大切な花。会話が成り立たないのは──怒り狂っているからか。
 焔が交代し、炎の斬撃を飛ばす。それは花の精をも巻き込み、小さな姿は掻き消えた。同時、ベッツィーが「パイルダーオ~ン!」と高らかに声を上げる。
「わらわに憑依せし鉄帝の悪霊の力で、キッチリ引導を渡してくれるわ」
 雰囲気を変えた彼女は残る花の精へと突っ込んで行く。花の精たちはベッツィーの姿に「アソビマショ!」と楽しげに笑った。
 短くない戦いに、精霊の傷が目立ち始める。それはイレギュラーズも同じことであったが──彼らは攻撃手段を少しずつ変えた。殺さぬ手段を持つ者はそれへ。持たぬ者は殺さぬように。
 硬質化させた手を鳴らしながら、雪之丞はつと目を細めた。
(……逃げもせず、ずっと『そこ』にいるのですね)
 執拗に鳴らされる拍手が精霊の注意を引き、アレクシアの魔術が花園の効果を祓う。ベンジャミンは残っていた花の精に体当たりされながらも、どこからかロケットランチャーを取り出した。
「ヒャッハー! 消し炭にしてやりますぞー!」
 放たれたロケット弾。けれども殺さぬ威力であるのは仕様である。焔のノーギルティも、愛無の組技による攻撃もまた然り。
「あげられない……あげられない、の」
 精霊は最後にやはりそう呟いて、その瞳を閉じた。


●dawn
 精霊が地に崩れ落ちると同時に、光が霧散していく。花園の消滅を確認した一同は、しかしまだ残る花を見つけた。
「リナリナ、さっき騙されたやつ! 食えない! 食えない!」
 見覚えのあるそれにリナリナが声を上げる。精霊の作った花園を『偽物』とするならば、足元に咲いていたそれは『本物』というものなのだろう。
「……昔、夜のみ咲く花があったそうだ」
 光る花を見下ろしながら、愛無が口を開く。
 このオアシスにのみ咲く光の花。夜には光をまとうものの、日中は何故かその花を見つけることができない。不可思議な力で視認できないようにでもなっているのか、或いは言葉通り夜にのみ咲く──日中は萎んでしまっているのか。
 何にせよ、その花はとうの昔に種が絶たれたはずだったのだ。
「──あげない、わ。精霊の、お花。あげないわ」
 イレギュラーズが視線を向ければ、意識を取り戻した精霊の瞳が彼らを射ている。そこから敵意は消えていないが、動くことは容易でないのだろう。焔はしゃがみ込むと、なるべく精霊と視線の高さを合わせるようにして口を開いた。
「この花のために、花園を作っていたの?」
「お花は、最後。あげられないわ」
 只々『あげられない』と繰り返す精霊。アレクシアはその姿に小さく目を細める。
「……守りたかったんだね」
 オアシスに花園──しかも光る花々となれば、目を引くのは必然だ。日中訪れた時はただの花も咲いていたのだから、精霊も普通の光景でないことは承知の上だろう。
 それでも光の花園を作ったのは、幻の中に本物を紛れ込ませるため。
「僕たちは花を盗みに来たわけではない。花園がなくなるのなら、それで十分だ」
 だが、と愛無は続ける。この花がある限り、精霊は花を守るために花園を作るだろう。今夜のみでは意味がない。
 だからこそ『どうしようもない時』を考えている者も少なくはないが──。
「ローレットで保護することはできない。だが、ラサには傭兵団がある」
 愛無の始めたのは交渉だ。その言葉に、精霊はつと視線を落とし。やがて「お願い」と小さく口にする。
「それならば、地平線に光が差すまで。それまでここで、見守って」
 言葉とともに、精霊の姿がブレる。淡い光が輪郭を少しずつ崩していく。
「そんな、」
 小さく呟いた焔に精霊は緩く首を振った。
「ほんの少し、休むだけ。ヒトで言う『眠り』」
 だから、おやすみなさい──精霊はそれを最後に空気へと溶ける。イレギュラーズは光の残滓を見て、それから互いを見合わせた。
 お願いと言いつつ、一方的に押し付けられたと思わなくもない。けれどこうして残されてしまった以上、待つしかないだろう。
(そうでないと、他の精霊たちが攻撃してきそう)
 花園の精霊がこの場から消えたことによるものか。他の精霊たちが寄ってくる、そんな気配がなんとなく感じられたのだ。
 グリムペインはやれやれ、というように小さく肩を竦めると、用意してあった花束を光る花のそばへそっと添えた。

 ふわ、と誰かが欠伸をした。
 すでに寝息を立てる者もいる。或いは花の近くで、全く別のことをしている者も。
 そんな彼らを、花を、曙の光が照らし出して──。
「……おや」
 雪之丞が小さく呟く。その視線は花の方へと向けられていたが、肝心のそれはどこにも見つからない。
「消えたようじゃのう」
 ベッツィーが眠そうにしながら、1つ伸びをして。

 さあ──帰ろうか。

成否

成功

MVP

アレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)
大樹の精霊

状態異常

なし

あとがき

 お疲れ様でした。遅くなってしまい、大変申し訳ありません。
 あとのことはラサが、ラサに属する傭兵団が何とかするでしょう。そのキッカケはイレギュラーズが作ってくれましたから。

 優しきハーモニアの貴女へ。仲間への支援と、精霊に対してのプレイングにより、今回のMVPをお贈りします。

 またのご縁がございましたら、どうぞよろしくお願い致します。

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