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シナリオ詳細

<果ての迷宮>燃え滾る地熱を踏み越えて
<果ての迷宮>燃え滾る地熱を踏み越えて

完了

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●いざ前人未踏の地へ
 『果ての迷宮』。
 それは、レガドイルシオン国王フォンデルマンが代々使命として託された不思議な迷宮だ。
 これまで、数々の冒険者が挑み、幾度も失敗してきたこの迷宮攻略。
 しかし、ここにきて、総隊長ペリカ・ロジィーアンとローレットのイレギュラーズ達が未知の改装にまで攻略を進めており、幻想の貴族達も注視している状況だ。
 貴族達がスポンサーとして資金を投入しており、長らくの悲願を自分達の代で叶えられるかもしれないという淡い期待を寄せている。
 また、ローレット、イレギュラーズとしても、この迷宮に様々な思いを馳せる。
 迷宮の奥底で待ち受けているもの。
 それは、富か名声か。あるいは――。

●灼熱の迷宮へ
 水の迷宮を抜け、イレギュラーズ達はセーブポイントから新たな階層へと足を踏み出すこととなる。
 本格攻略に先立ち、ペリカがこの先の様子見へと向かっていた。
 ローレットのイレギュラーズ達は物資など、念入りに探索の為の準備。細かな部分は先の情報待ちではあるが……。
「暑い……だわさ……」
 ぐったりして帰って来たペリカに、イレギュラーズ達は水を差しだす。
 彼女はそれを一気飲みし、ふーと息をつく。
 さほど長くない探索だったにもかかわらず、全身にびっしょりと汗をかいていた。
「ふー、生き返ったわいね」
 先の探査を終えたペリカはひとまず、自分が見たものをイレギュラーズ達へと伝えていく。

 この迷宮は燃え滾るマグマが流れ出す領域。
 床の半分程度はマグマに覆われており、足場があっても全員が乗るスペースはない。
 入ってしばらくは、マグマの熱さに耐えながら進んでいくことになりそうだ。
「しかも、それだけじゃないわさ」
 その上でこの階層の迷宮の構造が実にいやらしく、攻略に挑む者の体力を容赦なく削り取っていく。
 この階層はどうやら多重構造となっているが、まず、目につくのはたくさんの下り階段。
 降りた先もまた一面の登り階段が広がる地帯ではあるが、どうやら上階よりも面積が狭まっていることから、さらに下層に向かう階段がどこかに1つだけあるものと思われる。

 この先は、『穏やかな心』アクアベル・カルローネ (p3n000045)の予知頼り。
 なお、今回の探索に彼女の姿はない。さすがの過酷な環境に、ついていけそうもないとの本人の配慮だ。
「話によると、階段地帯を過ぎると、今度は多数の分かれ道と小部屋が一行の行く手を遮るものと思われるそうだわさ」
 分かれ道から先はちょっとした回廊となり、曲がり角を曲がるとすぐに袋小路となる嫌がらせのような構造。
 小部屋も何もないことが多いが、どこかに下層に通じる階段がある可能性を考えれば、スルーすることは許されない。チェックを行ってしかるべきだ。
「それもうまくやり過ごして最下層まで行ければ、セーブポイントだと思われるさね」
 もっとも、そう簡単にセーブポイントまでたどり着かせることはないだろうが……。

 とりあえず、事前情報としてあるのはこんなところ。
「どうにかして、ダミーの階段と通路を潰してしまいたいねい」
 通常の迷宮であれば、悩んでいればそのうち先へと進めるかもしれない。
 しかしながら、この場は溶岩が容赦なくメンバー達の体力を削いでいく。
 火炎耐性などを積めば多少暑さの軽減はできるが、地熱の力であって炎ではないからか、完全にシャットアウトとはいかないようだ。
 倒れてしまえば、遺跡内の不思議な力が働き、強制的に入口へと戻されてしまう。出来る限り倒れぬよう先へと進みたい。
「とまあ、こんなところだわいね」
 こんな状況であれば、アクアベルが同行を断念したのも頷ける。
 まさに、上級者が臨むべき迷宮だ。ちょっとしたミスですらパーティーの状況をも悪くしてしまう可能性がある。油断は許されない。
「それじゃ、改めてよろしくねい」
 ペリカは同行するイレギュラーズ達に握手を求め、灼熱の迷宮へと足を踏み入れていくのである。

GMコメント

イレギュラーズの皆様、こんにちは。
GMのなちゅいです。

果ての迷宮、第5弾を担当させていただきます。
燃え滾るマグマの中、徐々に減る体力の中、行く手を遮るのは、ダミー塗れの迷宮です。
その中から、たった1本だけ通じるはずの奥への道を、皆様の手で探り当ててください!

●目的
 次の階層に進み、次なるセーブポイントを開拓することです。
 また、誰の名代として参加するかが重要になります。

※セーブについて
 幻想王家(現在はフォルデルマン)は『探索者の鍵』という果ての迷宮の攻略情報を『セーブ』し、現在階層までの転移を可能にするアイテムを持っています。これは初代の勇者王が『スターテクノクラート』と呼ばれる天才アーティファクトクリエイターに依頼して作成して貰った王家の秘宝であり、その技術は遺失級です。(但し前述の魔術師は今も存命なのですが)
 セーブという要素は果ての迷宮に挑戦出来る人間が王侯貴族が認めたきちんとした人間でなければならない一つの理由にもなっています。

※名代について
 フォルデルマン、レイガルテ、リーゼロッテ、ガブリエル、他果ての迷宮探索が可能な有力貴族等、そういったスポンサーの誰に助力するかをプレイング内一行目に【名前】という形式で記載して下さい。
 誰の名代として参加したイレギュラーズが多かったかを果ての迷宮特設ページでカウントし続け、迷宮攻略に対しての各勢力の貢献度という形で反映予定です。展開等が変わる可能性があります。

●溶岩の迷宮
・序盤~中盤
 通路は所々に溶岩が流れ出ており、踏むごとに体力が減少します。火炎耐性があっても、被ダメは減りますがダメージは0にはなりませんので、ご了承ください。
 足場もありますが、全員が乗れるほどの幅はありません。

 迷宮は数ある袋小路(少し行って折れ曲がった先が行き止まり)、数ある何もない小部屋、ダミー階段が皆様を惑わせます。
 また、不測の事態が起きる可能性も十分ございます。
 一つ一つはなんて事のないトラップですが、溶岩による体力減少、溶岩魚の襲撃が皆様を苦しめます。

 なお、この地点で脱落すると終盤ボス戦には参加できず、溶岩に流されて重傷状態で入口送りとなってしまいます(パンドラ復活はOKですが、戦闘不能はアウトです)。体力管理はくれぐれもご注意くださいませ。
 
・終盤
 ある程度進むと溶岩が流れなくなり、足場が安定し始めます。
 ですが、足場の両サイドにある溶岩溜まりから、ラーバウォームが襲撃してきます。
 これを撃破することで、セーブが可能となります。
 ボス戦でも、不測の事態は十分起こりえますので、ご注意くださいませ。

●敵
 迷宮序盤~中盤で溶岩魚の集団と。終盤にラーバウォームと遭遇します。

○ラーバウォーム×1体
 溶岩の中に住まう全長5mもある巨大な芋虫。
 そいつが暴れるだけで、迷宮を大きく揺れ動かします。
・噛みつき……(A)物近単・HP吸収
・溶岩流……(A)神遠貫・業炎・泥沼・窒息
・尻尾払いのけ……(A)物中列・飛
・地震……(A)神遠範・判別・万能
・溶岩の表皮……(P)火炎耐性

○溶岩魚×無数
 煮えたぎる溶岩の中に住まう魚達です。
・食らいつき……(A)神近単・HP吸収
・体当たり……(A)物中単・火炎
・火炎弾……(A)神遠範・火炎
・溶岩の鱗……(P)火炎耐性

●同行NPC……ペリカ・ロジィーアン
 タフな物理系トータルファイター。
 皆さんを守るために独自の判断で行動しますが、頼めば割と聞き入れてくれます。
 出来れば戦いに参加せず、最後尾から作戦全体を見たいと希望しています。
 戦いへの参加を要請する場合は戦力があがりますが、それ以外の危険は大きくなる恐れがあります。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はCです。
 情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • <果ての迷宮>燃え滾る地熱を踏み越えてLv:7以上、名声:幻想30以上完了
  • GM名なちゅい
  • 種別EX
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年06月28日 23時35分
  • 参加人数 10/10人
  • 相談6日
  • 参加費150RC

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(10人)

キドー(p3p000244)
緑色の隙間風
エマ(p3p000257)
こそどろ
ポテト=アークライト(p3p000294)
優心の恩寵
デイジー・リトルリトル・クラーク(p3p000370)
大いなる者
善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)
レジーナ・カームバンクル
エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)
夢終わらせる者
イーリン・ジョーンズ(p3p000854)
天才になれなかった女
アト・サイン(p3p001394)
観光客
エリシア(p3p006057)
鳳凰
如月=紅牙=咲耶(p3p006128)
暗鬼夜行

リプレイ

●迷宮内に広がる溶岩地帯
 「果ての迷宮」。
 幻想の建国者たる伝説的勇者が生涯を掛けて踏破を目指したとされ、未だに成し遂げた者のいない大迷宮。
 新たな階層へと挑むべく、イレギュラーズ一行は前回探索後のセーブポイントまでやってきた。
「さて、此度もまたこの迷宮か……」
 毛先に向けて赤から七色へと変色する珍しい髪を持つ『鳳凰』エリシア(p3p006057)は、連絡通路を見回す。
「これがお伽噺でも聞く果ての迷宮……」
 小柄でのんびり屋のくの一、『暗鬼夜行』如月=紅牙=咲耶(p3p006128)も幼い時から、幻想地下に広がるこの迷宮のことを耳にしており、感慨深げに周囲を眺める。
「ここの探索に参加するとは、忍びの身には少々有り余る名誉にござるな」
 迷宮への探索は、それなりの力量、一定以上の名声、そして、限られた参加枠に入る為の運が必要となる。
「さて、果ての迷宮も4回目」
 太ももにかかるほどに長い薄紫の髪の『天才になれなかった女』イーリン・ジョーンズ(p3p000854)は傷を押して今回の探索に加わっている。
 4度も参加できているところを見ると、イーリンは相当に運が良いのだろう。なお、エリシアもまた4度で最多タイの参加だ。
「改めてよろしくねい」
「じゃ、ペリカ。今回もよろしくね」
 総隊長であるペリカ・ロジィーアンが今回の参加メンバー達へと声をかけると、イーリンがウインクして返す。
 ペリカは探索の状況確認もあって5回全てに立ち会っているが、今回は探索をイレギュラーズに任せ、後方からメンバー達の作戦を見守る形のようだ。
 それ以外は、初参加がちらほら。すでに1,2度別の階層に入っているメンバーもいる。
「星官僚とやらに作らせた、とのことだが……」
 赤銅色の肌、自由に動かすことのできる長い金髪の『沈黙の御櫛』エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)は淡々と語る。
「存命なら、本人の協力を求められないものだろう、か」
「それができれば、苦労はしないんだろうけどねい」
 エクスマリアの提案に対し、ペリカが両手を上げる。
 すでに、ペリカもそれを考え、断念していたことがその様子だけで分かる。
「そうか」
 エクスマリアは少しだけ、残念そうに瞳を伏せた。
 イーリンにとってエクスマリアは盟友であるが、彼女を始めとして今回の参加者はいずれも確かな力を持っており、信頼できる面子ばかりだ。
「今回も――暑っ!?」
 問題なくこの階層を踏破しようと言いかけて、イーリンは前方から吹き付けてくる物凄い熱気に驚きの声を上げた。
「竜宮城の次は溶岩か……」
 薄茶の髪に鮮やかな金の瞳を持つ樹精、『優心の恩寵』ポテト チップ(p3p000294)は事前情報を元に万全の準備を行っていたが、それでも多少の熱さを感じていた様子。
「陛下たちに、良い情報とお土産話持って帰れるように頑張らないとな」
 同じく、溶岩地帯を見回した『こそどろ』エマ(p3p000257)が特徴的な笑い声を上げて。
「溶岩……、一つ一つが別世界だといわれても納得できそうですね。えひひ」
 そのエマのそばにいたのは、メンバー達の半分程度の身長の小鬼、『盗賊ゴブリン』キドー(p3p000244)だ。
 今回、作戦の流れで2人一組になってバディを組もうという案が出ており、キドーがうまくスキルとメンバーの要望も合わせて割り振りを行っていた。
「命を預けた迷宮の伴侶ってね」
 こうした作戦を練ったのには、事前のペリカの偵察なども関係していた。
 足場はさほど広くなく、あちらこちらに溶岩が流れ出している。
 外側の溶岩だまりへと飛び込んでしまうと、傷を負いつつ入口まで流される危険がある為、誰かが落下した際に、すぐ救出できるようにとバディを組む案が出されたのだ。
「後は、敵や罠の対処といったところか」
 溶岩内には溶岩魚なる魚の魔物が住み着いている上、認識できていないトラップの可能性も否定できない。
 だからこそ、バディでそういったトラップに気付いた後はパーティー全体での情報共有。
 その後、問題対処というルーチンをスムーズに行えるようにしておきたいとキドーは主張する。
 なお、そのキドーは、そばにいたエマと組むことにしたようだ。
「俺がいれば百人力よ。そうだろ、エマ」
「えっひっひっひ。百人力が二人分で二百人力ですよ。ねぇ、キドーさん」
 笑い合う2人は全く異なる見た目だが、その本質的なところで意気投合しているようである。
「アトはバディとして、よろしく頼むのじゃ」
 豪華な衣装を纏うタコの海種の少女、『大いなる者』デイジー・リトルリトル・クラーク(p3p000370)が組む相手は、性別不詳のローグライク系の観光客、『観光客』アト・サイン(p3p001394)だ。
「ああ、世話になるよ」
 果ての迷宮を目指していたアトもまた重い怪我を押しての参加であったが、彼(と呼称する)は溶岩を目にしてやや苦い顔をしていた。
 続いて、エクスマリアはポテトと組む。
 こちらの2人は探索と戦闘に特化した形でバディとなっているが、果たしてうまく機能するかどうかといったところ。
「はてさて、この迷宮どう攻略したものか」
 咲耶は持てるスキルをフルで駆使しつつ、エリシアと組む。
 エリシアと咲耶は後々の為に、ロープで互いの体を結んでいた。
 そして、イーリンが組んだのは、ねじれた角とエルフの様な耳を持つ『レジーナ・カームバンクル』善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)だ。
「レジーナ、その厚着で平気なの?」
 こちらもワイヤーで互いを繋ぐのだが、司書の偽名を持つイーリンが気掛けるのは、レジーナの格好。
「これでも対策はしてるから大丈夫よ、司書さん。まぁ、暑いは暑いけど」
 ドレスに鎧を纏うレジーナだ。確かに、見た目はかなり暑そうにも思えるが、本人が良いというのだから良いのだろう。
「ま、始めましょう。……『神がそれを望まれる』」
 イーリンは一言呟き、仲間達と共に灼熱の迷宮へと足を踏み出す。

●上層:正解の階段は……?
 改めて、果ての迷宮の攻略だが、この階層の迷宮は数層で構成されている。
 見渡す限りの溶岩がメンバー達の体力を削り取っていくが、面倒なのはそれだけではない。
 まず、視界のあちらこちらに設置されている階段。
 それらの内の一つが下層に繋がっていると思われるが、それを探し出すまでの間、メンバー達は否応なく溶岩の流れる通路をあちらこちらへと歩かねばならない。
 歩く距離を少しでも少なくする為に、ポテト、レジーナのスキル、エコーロケーションを活かす。
「さて、下層はどこかしら」
 先に、イーリンがスピーカーボムで大声を上げる。
 これによって、反響音が違う階段をポテト、レジーナにチェックしてもらおうという作戦だ。
「ほとんど差を感じないな」
「同じね。距離の違いがあるくらい」
 音を聞き分けた2人の情報からすると、壁に反射し、さほど変わって聞こえないとのこと。
 ならば、次は一度適当な階段を下り、改めて同様の作業を行う。
「かすかに、反響している部分があるな」
「かなり遠いわね。ただ、下からの方が反応があるなんて妙ね」
 ポテトは多少の違和感があったようだが、レジーナは超聴力で僅かな差異を聞き逃さない。
「なるほど、上から降りると思わせて、下から一度登ってから降りるのね」
 イーリンの戦略眼と合わせ、正規ルートを導き出す為に大きく前進していたようだ。

 後は、さらに下層へと続く階段を探し出したいが、その為にも、まずは溶岩ダメージへの対策が必須だ。
 先に説明した通り、バディを組むに当たって、キドーはその辺りを踏まえて編成を行っている。
 そのキドーとエマのペア。
「【火炎耐性】のおかげで、少しは長持ちできそうです」
 エマが言うように、ほとんどのメンバーが【火炎無効】のスキルを積んでおり、溶岩のダメージに備える。
 キドーもまた、防具にあるデザイアの魔炎でダメージの軽減をはかっていた。
 あとは、こまめな水分補給も、事前に対策しておきたい部分ではあるがそれは一旦置いといて。
 通路にまで流れ出す溶岩を2人は跳躍することで避け、出来る限り足場のみ移動していく。
 また、エマが先行する形で、外れの足場を見逃さない。
 彼女は温度視覚を使い、足場の温度をチェックしていたのだ。
 これだけ温度が高い場所だと、視界は真っ赤を通り越して真っ白。
「その分、温度が低いものは目立ちますからね」
 そして、エマが確認しているのは、足場だけではない。
 周囲の溶岩の海から、時折顔を出している奇怪な顔の溶岩魚達。
 久々の獲物だと言わんばかりに、そいつらは通りがかるイレギュラーズ達を注視し、襲撃のタイミングをはかっていた。
「エマなら、いち早く対処しやすいだろう。頼りにしてるぜ」
 キドーは彼女の体力を気にかけ、回復にも当たる。
 ただ、間に合わせ程度に当人は考えているらしく、場合によっては他メンバーの助けを請うことも想定していたようだ。
「えひひ、来ますよ」
 エマが注意を呼び掛けると、すぐさま溶岩の中から2体が大きく口を開いてくる。
 だが、キドーがエマの言葉を受けて対処し、魔力で造った「小鬼の懐鎖」を振り回す。
 それは、鎖状で、両端に錘がついており、振り回すだけで相手に殴打を浴びせることができる。
 エマもまた攻撃集中して、投げナイフをばら撒いていく。
 その怪魚にナイフが命中すると同時に爆ぜ飛び、見事に撃ち落としてしまう。
 数が少なければ、溶岩魚達はバディで十分対処できそうな相手のようだ。
 ただ、キリなく攻められれば、その限りではないし、キドー、エマコンビは気力的に最後まで持たないと判断している。
「急ぎましょう急ぎましょう」
「そうだな」
 エマに促され、キドーも急いでダミー階段のチェックを進めていく。

 この灼熱の迷宮において、涼しい顔をしていたのは、エリシアだ。
 彼女は元いた世界において、巨大な炎の鳥の姿をしていたという。
「鳳凰たる我に灼熱地獄など……堪えるとでも思ったか?」
 エリシアは低空飛行で移動し、溶岩を踏むのを避けつつ、高く飛ばぬよう心掛けて仲間と距離を開けすぎぬよう注意する
「……心頭滅却すれば火もまた涼し、とはいえ、限度があると思うでござるよ?」
 一方、水分をとる咲耶はやや不安がりながらも、早めの踏破をと心がけて進む。
 足場に関しては、エリシアが罠感知してくれ、それを元にして咲耶がジェットパックでの簡易飛行を行いながら進むといった形だ。
 視点を移し、こちらはデイジー、アトペア。
 デイジーは暑さ対策にと、フード付きローブで体を包む。
 確かに内部に熱は籠るが、それでも、直接焼かれるよりはマシだとデイジーは考えていたらしい。
 そんな彼女は道中、自らのパンドラ収集器である『大壺蛸天』を媒体飛行させ、宙を浮きながら進んでいく。
 余りに高い場所を飛ぶと熱が籠っており、かといって下すぎると溶岩の熱が伝わってくる為、彼女は冷たい水を少しずつ補給しつつ丁度良い高さを飛行していく。
 ペアになるアトはやはり、渋い顔をしたままだ。
(溶岩には、いい思い出がない)
 ある時、溶岩の上を浮遊の靴で歩いていたら、夢魔の魅了の魔法にかかってしまい、『服を脱げ』と言われて靴まで脱いでしまったそうだ。
 それ以来、彼は性別を隠しているのだという。
 基本的には歩きつつ、流れる溶岩などはジェットパックで飛び越えていくが、場合によっては燃料節約の為にデイジーにしがみついて低出力飛行も試みる。
 だが、その最中に溶岩魚が襲い掛かってくれば、アトはデイジーを巻き込まぬよう気にかけながらも、『黒坑人のピースメーカー』へと弾丸を装填していく。
 観光客流剣術奥義『盜火線』。
 物質を自己複製させる性質を持つ魔法。それが過充填された銃弾を薬室に込め、彼は周囲の怪魚どもを撃ち抜いていった。
 それでもしぶとく残る溶岩魚は、デイジーが神の呪いを与えることで仕留める。
 丁度、それが通路へと落ちてきたことで、アトは溶岩魚の死体を回収していたようだ。
「ちょっと思うことがあってね」
 さすがに道中では作業もできぬ為、彼もこの場は先に進むことを優先していた。

 ポテトもジェットパックで移動しつつ、歩行するエクスマリアに進行を合わせる。
 エクスマリアはスキルと装備の火炎耐性もあって、この高温環境下の状況でもある程度普段と同様に動くことができていた。
 それでも、時折行う水分補給は、この暑い中における生命線。
「マリアもちゃんと飲んだか?」
「大丈夫。問題ない」
 そっけなく返すエクスマリアを見て、ポテトは周囲を氷の鎖で冷やせないかと試す。
 確かにピンポイントで凍らせて固めることはできるが、もって10から20秒といったところ。
 急場の足場くらいにしか使えないと判断し、ポテトは頻繁な使用は控えることにし、エクスマリアの足場づくりを助けることにする。
 とはいえ、エクスマリアもむやみに溶岩を踏んでいるわけではないものの、どうしてダメージを負うこともある。
 それもあって、ポテトは時折飛び出してくる溶岩魚から彼女をまもるべく盾にもなってくれていた。
「防御と回復は任せてくれ。代わりに攻撃は任せた」
 自らは庇えるタイプではないと考えていたエクスマリア。
 かといって、探し物も得手ではない為、彼女は火力で道を拓くしかないと結論付けていた。
 魔力を持つナイフ『GG』と神秘と魔術の物語『まほろば千一夜』。
 それらによって強い神秘の力を得た彼女は、暴虐極まる『業』そのもの……『鉄血・魂鋼』で怪魚を纏めて撃ち抜いていく。
 しかしながら、新手が一度に5,6体も溶岩から顔を出せば、さすがに対処できぬと判断し、その長い金髪が張り詰めてしまう。
「一度戻ろう」
「賛成、安全第一だな」
 この場は仲間と共に切り抜けることにし、エクスマリアはポテトと共に引き返すことにしていた。
 その先にいたのは、レジーナとイーリンだ。
 レジーナは溶岩対策として、2本の妖刀『不知火』を媒体とし、宙に浮く。
 イーリンはというと、武器に付与された魔炎のデザイアに加え、自身の纏う『イーリンの旅装束』によって、過酷な状況でも耐えられる力に守られていた。
 おそらくは、溶岩ダメージはイーリンが最も軽減できている状態だろう。
 そんな万全の対策をとる彼女達の探索能力は、非常に高い。
 元々、音響から先へと進む通路に目星をつけていたこともそうだが、レジーナが地図を書いて仲間達との情報共有、そして、イーリンの戦略眼にギフト『インスピレーション』。
 1日1つだけ、知らなかったことを知っていることにできるその能力も合わせ、彼女は正解ルートを導き出して見せていた。
 その前に、ポテト、エクスマリアの後をついてきた溶岩魚をしっかりと対処。
 彼女達を援護するように、レジーナが天鍵の女王なる本名が示す通りに、自らの前方より古今東西様々な武具兵器を召喚射出し、遠方から攻め来る怪魚の体を貫いていく。
 さらに、イーリンが魔力溢れる魔眼で怪魚どもを見つめ、弱らせてしまう。
 後は、集まってきたメンバー達でタコ殴り。ここでも、アトが溶岩魚の死体を回収していたようだ。
「こっちよ」
 先に進むルートを確信したイーリンは、仲間達へと登る階段を指示したのだった。
「さすがはローレットだわさ」
 イレギュラーズ一行のその手腕に、ピリカもにっこり微笑んで先へと進んでいくのである。

●中層:袋小路と小部屋
 イレギュラーズ一行は一度、階段を上って上層へ。
 そこは小部屋となっており、溶岩も入ってこない一種の休憩スペースのようになっていた。
 部屋の角にある階段から次の層へと進む前に、皆がヒールを掛け合い、さらに少し休むことで気力を充填させていく。
 その間に、アトが何やら作業を行う。
 彼はすでに動かぬ溶岩魚の体を、『探索者便利セット』を使って解体していく。溶岩に住まう生物とあって、その殻は多少硬いようだった。
「何を食べているのかが気になってね」
 腹を捌くアトは魚の腹の中、未消化で残されたモノを確認する。
 それは、溶岩の中にいる微生物。または、このような場所にも生息する虫などを食べていたようである。
「うわっ……、ちょっとグロいのじゃ」
 一瞥してしまったバディのデイジーは視線を逸らす。
 なお、タコも甲殻類や二枚貝を食用とするのだが、それはさておき。
「いや、これだけじゃ足りないな」
 アトが考えていたのは、溶岩魚の生息域。
 出来る限り情報を得ようと、彼は水でその死体を冷やしつつ生でその肉を食していく。ありとあらゆる生物を食べることができるギフト『万物の捕食者』があってこそだ。
「やはり、肉質がちょっと硬いかな。栄養は……悪くなさそうだね」
 小さく切り分け、彼はその肉を鞄に入れていく。
 さすがに、他のメンバー達はそれを食べようとは言わなかったようである。

 2層のダミー階段フロアのさらに下層へと降りたイレギュラーズ達。
 そこもまた事前情報の通り、たくさんの分かれ道と袋小路が侵入者を惑わす構造だ。
 この為、メンバーは先ほど同様にエコーロケーションとスピーカーボムを合わせて、反響音を確認していく事になる。
 メンバー達はルートの特定を行う中、またも襲い来るのは溶岩魚達。
 エクスマリア、ポテト組が次の相手が2体とあって、落ち着いた様子で対処に当たる。
 相手が近場にいることもあり、体当たりしてくる怪魚の攻撃をポテトが防いでくれた直後、エクスマリアは純粋極まる『力』そのものを発していき、魔力のナイフでその体を切り裂いてしまう。
 もう1匹が口を開いて噛みつこうとしてきたが、エクスマリアはそれを甘んじて受けつつ、その口から尾まで一閃し、見事に解体してみせた。
「お疲れ様だ」
 ポテトは調和の力を賦活の力へと転化し、一戦を終えたエクスマリアを労いながら傷を癒していくのである。
 こちらも、探索に当たりながら溶岩魚へと絡まれていたエリシア、咲耶組。
 ジェットパックで空中を移動していた咲耶だったが、その途中で噴き上がる溶岩に巻き込まれかけて。
「……っと、あぶないでござるな……!」
 その溶岩に巻き込まれずに済んだのは良いが、咲耶は同時に飛び出す溶岩魚の体当たりを受けてしまい、体勢を崩してしまう。
「咲耶!」
 それを見たエリシアが咲耶の手を取り、足場へと引き上げる。
「助かったでござる、エリシア殿」
「大丈夫だ。それにしても……」
 さすがに、噴き上がる溶岩が相手では、エリシアも罠の解除も何もない。
 エリシアはそれを避けることを考えつつ、さらに姿を現す溶岩魚の討伐の為、燃え尽きることのない『獄炎の檻』を敵へと飛ばそうとしたのだが。
「いや、ここは拙者にお任せくだされ」
 やられた分は自分で。
 咲耶はさらに襲い来る溶岩魚を強く蹴りつけ、溶岩の中へと落としていく。
 蹴戦で敵を仕留めることはできないが、その溶岩魚は戦意を失って逃げてしまった。
「少し待っていてくれ」
 エリシアが練達の治癒魔術を使い、咲耶の回復に当たっていく。
「かたじけないでござるよ」
 その咲耶は時間が惜しいと感じたのか、近場の壁を叩き、その向こうに別の空間がないかと確認する。
「……もう大丈夫だ」
 治癒を完了したエリシアが咲耶へと告げると、彼女は首を小さく振って。
「外れでござるな」
「仕方ない、次に行こう」
 咲耶とエリシアは気持ちを切り替え、仲間の元へと戻っていくのである。

 キドー、エマペアは安定したコンビネーションを見せつける。
「ん、また来やがったな」
 キドーが敵の接近を察知すれば、またもエマがにやつきながら投げナイフを投擲していく。
 爆ぜ飛ぶナイフを受けてなお火炎弾を発してくる怪魚に向け、キドーが全てを蝕む深き闇を叩きこんで仕留めていく。
「んー、先ほど回復してもらいましたけれど……」
 エマはやはり、気力が枯渇する可能性を否定しない。
 先ほどみたいな休憩スペースがまたあるとは限らないと、彼らは先を急ぐ。
 ならばこそ、レジーナ、イーリンの探索能力に期待したいところ。
 ただ、彼女達もある程度の方向が分かっていても、後は回数を試して当たりの通路を探っていくしかない。
 その最中、小部屋で見つけた宝箱で、お金を発見したのは僥倖ではあったものの。
 イーリンのギフトはすでに使用済み。後はレジーナのファミリアーやギフトの使い魔を飛ばし、探っていく形だ。
「正しく迷宮だ。正解の道を探すことが困難ではあるけれど……」
 そう呟くアトと、そのバディのデイジー。
 デイジーの充填もあり、手厚い回復を受けることができていたアトは先に進めば進むほど、溶岩魚の襲撃が減ってきていたのを実感する。
「やはり、生息域は上層部……これは……」
 アトは何かを予感しつつも、先ほどの溶岩魚がくれたヒントから、答えを導き出しかけていたようだ。
「もしも、下層で何らかの生物と縄張りがかち合っているなら……」
 溶岩魚達は世代を重ねて下層に近づかぬよう学習し、回遊する。
「つまり、溶岩魚がいなくなってきていれば、正しい道ということかの?」
 デイジーの問いにアトは頷く。
「ふむ……」
 自分達の進む道が正しいのであれば、デイジーは蝙蝠のファミリアーへと偵察に向かわせることにする。
「危険が迫るなら、すぐ戻ってくるのじゃぞ」
 果たして、この先に何が待っているのか。
 蝙蝠が戻ってくるのを待って、デイジーは仲間の元へと報告の為に戻っていくのだった。

●下層:溶岩の中から顔を出す芋虫
 多数の袋小路と小部屋の層を突破したイレギュラーズ達。
「きっと、もう少しだわいねい」
 喜びの声を上げるペリカ。
 一行が果ての迷宮へと突入してからだいぶ経つ。
 気づけば、通路上に溶岩が流れ出すことが無くなり、溶岩魚の襲撃も止まった。
 それもあって、それまでバディ単位で固まっていたメンバー達は10人とペリカで固まり、移動することになる。

 ようやく、この溶岩地帯の最下層にまで到達し、一行は左右の大きな溶岩だまりに挟まれた通路の向こうにセーブポイントらしきものを目視で確認した。
「あれは、セーブポイントだわさ!」
 ペリカが大声で喜ぶが、この迷宮は最後まで侵入者に突破させまいとしてくるようだ。
「何かいるぜ。溶岩の中だ」
 キドーが仲間達へと注意を促すと、エクスマリアやエマも周囲から漂う殺気を感じ取っている。
 突如、右手側から顔を出したのは、溶岩を吸収して真っ赤になった表皮を持つ巨大な魔物だった。
「大物だ。なに食べたら、こんなにでかくなれるんだろう……ふむ?」
 アトがそいつの姿を見て、唸りこむ。
 しかし、この場のメンバー達が完全に戦闘態勢を整える前に、敵は勢いよく溶岩の中へと潜って周囲へと溶岩流をぶちまけてきた。
 備える間もなく浴びせかけられる大量の溶岩に対し、メンバー達は空に逃れたり、防御態勢をとったりしてやり過ごすことになる。
 流れ出す溶岩流は後方にいたペリカにまで及んでいた。
「危ないだわさ!」
 叫ぶペリカが後方に下がりつつ、現れた魔物の姿を注視する。
 この場の関門として一行の前に立ち塞がるのは、真っ赤な溶岩を纏う5mもある芋虫ラーバウォームだった。
「コイツを倒さないと、進めないってことですね」
 温度視覚を使い、エマはその動きを追っていく。
 いくら体表面が熱いとはいえ、溶岩に比べれば温度は低い。
 それもあって、エマは相手が顔を出したタイミングで跳躍してその体へと乗り移り、素早く集中してから隼の名を冠する短刀『ペレグリン』で切りかかっていった。
「ひひひっ。速すぎて、凍り付いちゃいそうでしょう?」
 相手が完全に、溶岩から姿を現そうとしないのが面倒なところ。
 溶岩を纏うことで、やや硬くなった体表へとキドーは全てを蝕む深き闇を浴びせかけ、敵の体を内部から破壊していく。
「普段は一歩引いて戦うが、今は前衛。特別だぜ?」
 キドーは仲間を護ることができるようにと、耐久性高めの装備で臨んでおり、この戦いは一行の前に出るようにと努めていた。
「溶岩の中から出ないとは面倒ね……」
 レジーナはこの状況までは想定してはいなかった。
 まして、メンバー達は通る通路の真下の溶岩内は通れるようになっているらしく、後ろからも姿を現すことがある。
「きっちり攻略して、お嬢様への土産話にしてあげる」
 レジーナは相手がこちらのメンバー目掛けて噛みついてきたのを見計らって。
「如月! 挟みこんで、敵の意識を分断しましょう!」
「御意。ここまで来たからには戻るなど絶対御免。少々、真面目にいかせて貰おうか――!」
 レジーナは咲耶へと呼びかけ、顔の左右を挟み込む。
 そして、敵の体の節となる部分を魔術と格闘を折りまぜて攻撃していく。
 同時に、呼びかけに応じた咲耶が手にする盾で殴り掛かり、相手の体を押さえつけようとしていた。
「前面は任せてちょうだい!」
 レジーナは自信ありげに声を上げると、後方からイーリンが応じて。
「大丈夫、落ちはしないわ。ね、レジーナ?」
 すると、イーリンが仲間達の体力を見ながら、不可視の刃を飛ばし、ラーバウォームの体を切り裂いていく。
「ええ、落ちないわ。優秀な後衛もいるしね? 後ろは任せたわ、司書さん」
 彼女達のコンビネーションはバッチリ。
 直接攻撃を行うタイミングであれば、問題なく対処していたようだ。
 中央から後衛にいる回復役となるメンバー達は、ラーバウォームがいきなり仕掛けてきた溶岩流による怪我から仲間を癒やすべく、回復スキルを行使していく。
 エリシアは低空飛行を続けたまま、紡いでいくのは天使の歌声。
 神聖なる救いの音色を響かせることで、彼女は仲間達の傷を塞いでいった。
 同じく、ポテトもまた癒しに当たるが、溶岩流によってその身の周囲に残る溶岩によって動きを封じられたり、息ができなくなったりしていたメンバーに対して大号令を放つ。
「皆、溶岩などに負けないでくれ……!」
 ポテトの上げた号令が、戦うイレギュラーズ達の状態を万全なものへとしていく。
 仲間達の回復支援に感謝しつつも、エクスマリアは一気にこの場を切り拓く為に、敵へと立ち向かう。
(普段、溶岩の中にいるなら、此方の感知は視覚、嗅覚とは考えにくい)
 こちらの立てる音や振動で、相手が反応しているのは間違いない。
 エクスマリアはそれもあって、激しく立ち回って敵の気を引こうとする。
 仲間達が気を引く間は、ラーバウォームも溶岩の中へと戻ろうとしないらしい。
 続いて、デイジーも冷たく輝く小さな月を出現させ、敵の巨体を凍らせつつ動きを止めようとしていく。
「出来れば、早く動きを止めておきたいのう」
 情報に乏しい状況では、相手が何をしてくるのかわからないのが怖いところ。
 ジェットパックジャンプで敵の溶岩流をやり過ごしたアトは、仲間達が交戦している間もラーバウォームの動きを注視していて。
「予測が正しければ……」
 彼は上層で手に入れた溶岩魚の死骸を、溶岩へと投げ込む。
 すると、ラーバウォームがそちらへと向かい食らいついていく。
「今の内に態勢を整えるべきだろう」
 エリシアが仲間達へと告げ、足場の確保を含め、戦闘の準備へと当たっていくのである。

 イレギュラーズ達としては、戦闘態勢を整え直す時間ができたのは良かったが……。
 一度、溶岩内へと戻ったラーバウォームは溶岩流を発するだけでなく、地震を引き起こしてこの場のメンバー達を攻め立ててくる。
 立て続けに広範囲に及ぶ攻撃を行われると、イレギュラーズ達も防戦一方となってしまう。
「後ろだ!」
 エネミーサーチを常に働かせるキドーは、背後からの奇襲を逃さない。
 敵は尻尾のみを溶岩から突き出し、通路の上を払いのけていく。
 メンバーは飛ばされながらも堪えるが、空中にいたメンバー達はそれによって大きく飛ばされることとなってしまう。
 イーリンは先ほどの言葉通りにレジーナを支えるべく後方で彼女を支え、強く殴打された彼女の傷の回復へと当たる。
「あうっ……」
 一方で、立て続けに攻撃を受けていたデイジーに尻尾がクリーンヒットしており、彼女は意識を失いかけてしまう。
 パンドラの力に頼り、なんとか倒れずに済んだデイジーは、大きく飛ばされた身体をジェットパックで飛ぶアトに助けてもらうこととなる。
「これでおあいこだね」
 道中デイジーのタコつぼに捕まる機会も多かったアトだ。借りをしっかりと返せてよかったと感じていたらしい。
 そして、失ったデイジーの体力の為、回復役メンバーが癒しに当たっていく。
 調和の力を使って癒しに当たるポテトは、声をかけて。
「誰も倒れさせはしない。次に繋げて全員で帰ろう!」
 低空飛行したままのエリシアもまた、練達の治癒魔術でデイジーの傷を塞ぐ。
「『鳳凰』たる私の前で仲間を倒そうだなんて、いい度胸をしているな」
 相手の巨躯に対して、堂々とした態度のエリシア。
 それは、元の自身の大きさが目の前の芋虫と変わらぬ大きさをしていたからだろう。
「助かったのじゃ」
 この場の仲間達の助けを受け、持ち直したデイジーは黒いキューブで敵を包みこんでいく。
「…………!?」
 明らかに、敵の巨体に異変が起こる。
 頭を通路の上へと乗せるようにして動きを止めたラーバウォーム。
 そいつへとアトが己の身を顧みず、『波間に没したる国の剣』で切りかかっていく。
 反動も小さくはないが、赤い傷口から流れ出す赤い血もまた、沸騰しているかと思わせるほどに熱い。
 その傷を狙い、攻撃集中するエマはさらに斬撃を浴びせかけ、ラーバウォームから生命力を奪い取っていく。
 それでもまだ、敵が動き出す様子はない。呪いによって、動かぬ身体を駆け巡る麻痺によって動けずにいたのだろう。
 また、その体には、毒や痺れ、足止といった状態に陥っており、動きを鈍らせていた。
「今よ!」
 レジーナは再度、左右でラーバウォームを挟み込む。
 今度は溶岩の中へと逃さない。レジーナはその侵攻を止めるべくしっかりと相手をマークしつつ、2本の不知火で連続して切りかかり、硬い表皮を切り裂いていく。
「如月=紅牙=咲耶でござる。お命、頂戴いたす!」
 逆サイドからは咲耶が相手の感情を煽って強く気を引くと、ラーバウォームの体が揺れ動き始める。
 仲間達の攻撃の合間を見て、デイジーが神の呪いを浴びせかけていく。
 その身を呪いに侵されたラーバウォームの動きが止まれば、キドーは敵の傷口を「小鬼の懐鎖」で痛めつけていく。
 敵が動き出す前にと、イレギュラーズ達は攻撃を繰り返す。
「迷宮を揺るがすほどの巨体が激しく戦闘を行えば、周囲への影響も大きいはず」
 現状は大丈夫だが、これ以上ラーバウォームが暴れるようだと、この場の通路も溶岩の中へと落ちてしまいかねない。
 エクスマリアは敵の攻撃の合間に流れ出す溶岩を、自らの金髪でその身を持ち上げることで避けてみせた。
 ある程度足場から溶岩が流れ出し、安定したところでナイフを手に切りかかる。
 『鉄華・緋陽色金』……純粋な力を持って、彼女は敵の体深くまでナイフを突き入れる。
 吹き出す灼熱の血液。
 エクスマリアがそれを浴びぬよう、己の髪を使って飛び退くと、ラーバウォームは通路の上に頭部を乗せたまま力尽き、動かなくなってしまったのだった。

●溶岩地帯踏破……!
 イレギュラーズ達は動きを止めたラーバウォームの体を乗り越え、さらに下層の通路を進む。
 溶岩地帯が完全に終わり、連絡用通路にまでたどり着いたところで、ようやくセーブポイントへと一行は到達した。
 皆、熱さから解放され、冷たい空気を体の中へと取り入れていく。
「改めて、お疲れ様だわいね」
 ペリカの労いにメンバー達はそれぞれ挨拶を返すも、体中汗だくで不快感を感じていたようで。
「終わったら、お風呂ね!」
 レジーナは大きく背伸びをしながら、仲間達に呼びかける。
「そうだな。私も同伴していいだろうか?」
 それに同意するポテトを始め、イレギュラーズ達は身体を洗いたいと口々に主張し、近場の浴場へと向かうことにしていたのだった。

成否

成功

MVP

イーリン・ジョーンズ(p3p000854)
天才になれなかった女

状態異常

なし

あとがき

リプレイ、公開です。
MVPは、ダミー階段を避け、先に進む道を発見したあなたへ。

こうした本筋企画のシナリオだと、
練られたプレイングをお預かりできるので、
見ていてすごく嬉しいですし、楽しいです。
とても楽しんで執筆させていただきました。

余談ですが、今回の迷宮のイメージは、
某竜を倒しに行くRPG2作目の海底神殿をモデルにしております。

今回はご参加、ありがとうございました!

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