PandoraPartyProject

シナリオ詳細

森の外の世界を夢見て

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●夢見る少年少女の手助けを
 深緑、アルティオ=エルム。
 大陸西部にある迷宮森林。そこにある大樹ファルカウを中心とした幻想種達の国だ。
 自然と一体化して世界と結びつくという独特の文化、魔術的繁栄を築いてきた者達。
 冒険者、ローレット所属のイレギュラーズと、幻想種でも外に出る者もいるが、基本的には異種をあまり歓迎しない気風が深緑にはある。
 とはいえ、排他的というわけではなく、自分達の価値観、ルールを重んじる者であれば、むしろ友好的な種族だ。

 元々、深緑と傭兵は結び付きがあり、幻想種の子供達は傭兵の存在を通して伝え聞く外の世界に憧れる者がいないわけではない。
 森での生活は平穏が続くことも多く、刺激が足りないと感じることも多いのだろう。あれこれと問題を抱える他の国では、考えられないことかもしれないが。
 そして、ここにきて、深緑にはローレット……イレギュラーズが国内へと多数やってきている状況だ。
 イレギュラーズという存在は、混沌内のあらゆる場所から世界を救うべく無作為に呼び寄せられているが、それだけでなく他の世界から呼び寄せられた者達も多い。
 それもあって、幻想種の少年少女も深緑の外の世界、場合によっては、混沌の外の世界にまで興味を持っており、色々な地を見てみたいという夢を抱く者もいる。

「……なんて考えているのだけれど、どうかな?」
 ある日、活発な幻想種の少女クリスタは、同い年で幼馴染の少年スヴェンへと話を切り出す。
 彼女はこの所、そろそろ自分達も外の世界を見てもいいよねと、目を輝かせて主張していたのだ。
「いや、止めようよ……」
 大人しいスヴェンはクリスタが気になりつつも、彼女を止めようとする。クリスタがほって置けないからついていくといった様子だ。
 とはいえ、時に無鉄砲なことをしでかすクリスタ。
 スヴェンもやはり心配だったのか、大人達へとこっそり相談したらしい。
 クリスタの発言を本人から確認した大人達は、彼女の身を案じてダメだと引き留めるのだが……。
「嫌よ。私、絶対森の外に行く。例え止められたって、家出してでも出ていくんだから!」
 彼女の意志は固く、大人達が止めたところで強引に出るのは間違いない。
 そう判断した大人はやむを得ず、ローレットに相談することに。
 ここで、傭兵を選ばなかったのは、彼らが荒事を得意としているからだ。
 その点、比較的最近深緑にやってきたローレットなら、何でも屋のイメージがある。
 風の噂で、様々な依頼をうまく解決してくれているそうなので、今回も娘達ともうまく接してくれるだろうと大人達も考えていたのだ。
「わかった。ローレットに依頼する。彼らに外へと連れて行ってもらう。それでいいな?」
「……わかった」
 やや不服そうではあったが、クリスタにとっては一応の妥協ラインとなったようだった。

●少年少女と森の外へ
 朝早く、ローレットのイレギュラーズ達は、深緑の首都、アルティオ=エルムへと訪れていた。
 そこへとやってきた彼らは、すでにこの地へと依頼の仲介にと訪れていた『穏やかな心』アクアベル・カルローネ(p3n000045)と落ち合う。
 アクアベルはそこで、自分よりも少しだけ年下の幻想種の少年少女を連れていた。
「今回の依頼は、彼らを深緑の外の世界を見せてあげることですね」
「クリスタよ。よろしくっ」
「……スヴェン、です」
 彼らはそれぞれの性格を見たままに現しつつ、自己紹介する。
 アクアベルの話によると、クリスタが深緑の外の世界に強く興味を抱いているという。
 しかしながら、まだまだ子供な彼らを危険な場所に出したくはない。
 そこで、ローレットという保護者付きで深緑の外を少しだけ見せるという妥協案でクリスタも納得したらしい。
「だいたい半日かけて、深緑をから傭兵の方に一度出て、日が暮れる前にまたアルティオ=エルムに戻っていただければと思います」
 そこで、アクアベルはそっと猟兵達だけに聞こえる声で告げる。
「指定したルート上を歩けば、魔物と戦闘になると想定されます」
 これは、彼女が受けた別依頼の解決も兼ねている。
 ルート上、傭兵の領地に出たあたりで、魔物化した風の精霊が確認されているらしい。
 数は少ないが、放置すると人に害なす相手な為、討伐しておきたい。
 また、この戦いに同行の少年少女を参加させてもいいが、それはイレギュラーズに任せるとのこと。
 もちろん、彼らが大怪我するようでは論外なので、初の実戦に満足できる程度に戦わせてあげるといいだろう。
「以上ですね。……このまま出発していただきたいのですが、大丈夫ですか?」
 そうしないと、夜にアルティオ=エルムには戻ってこれないとのこと。
 イレギュラーズ達はお昼ご飯など簡単な準備を整え、幻想種の2人を連れて再度この地を後にしていくのである。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様、こんにちは。なちゅいです。
 たまには心情系のシナリオをやってみたいと思いまして、こんなシナリオを。
 幻想種の少年少女に、外の世界を見せてあげてください。
 合間に、のんびりと彼らに色々なことを語って交流していただければと思います。

●目的
 幻想種の少年少女に、外の世界を見せること。

●NPC
 いずれも幻想種。
 一応は戦闘訓練を受けておりますが、実戦経験はありません。
 敵は決して弱くはないので、
 戦いに参加させるなら、それなりのサポートが必要でしょう。

○クリスタ……13歳少女
 赤毛をポニーテールにし、そばかすがついたお転婆な女の子。
 今回は彼女の発案で森の外に出たいとのことです。
 ナイフを使った攻撃と、簡単な魔術が使用できるようです。

○スヴェン……13歳少年
 金髪で肩にかかるくらいの艶ロング。
 やや控えめな少年で、クリスタに引っ張り回されている子。
 回復支援の他、槍と弓を使えるようです。

●敵……魔物
◎風の精霊×3体
 混沌に生息する精霊ですが、
 異常な魔素に充てられて魔物と化してしまったようです。

・ウインドカッター……(A)神遠単・出血
・ウッディアロー……(A)物遠単・連
・コンフューズブリーズ……(A)神中範・混乱
・テンペスト……(A)神遠範・窒息・崩れ
・大気を取り込む(P)……充填

●状況
 深緑の森を、幻想種の少年少女と傭兵方面に向かって歩く形です。
 森から外、ラサ方面の荒野をしばらく歩いたところで、戦闘。
 その後、また森へと戻ります。
 戦闘自体はノーマル相当で判定しますが、
 のんびりと歩きつつ、同行の幻想種の子達に、
 混沌での冒険譚、別世界の話などすると彼らは喜びます。
 
●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • 森の外の世界を夢見て完了
  • GM名なちゅい
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年06月20日 21時35分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

鳶島 津々流(p3p000141)
かそけき花霞
クロバ・フユツキ(p3p000145)
深緑の守護者
ツリー・ロド(p3p000319)
ロストプライド
フロウ・リバー(p3p000709)
夢に一途な
トリーネ=セイントバード(p3p000957)
飛んだにわとり
セシリア・アーデット(p3p002242)
治癒士
ニア・ルヴァリエ(p3p004394)
太陽の隣
御天道・タント(p3p006204)
きらめけ!ぼくらの

リプレイ

●少年少女へと夢を見せに
 早朝、深緑のアルティオ=エルムにて。
 依頼を受けたイレギュラーズ達は、情報屋のアクアベルに連れられた今回の護衛対象となる幻想種の少年少女と出会う。
「クリスタよ。よろしくっ」
「……スヴェン、です」
「外への止まらない憧れ、冒険心! 若いって良いわっ」
 外の世界に目を輝かせる彼らに、丸っこいメスのニワトリ、『慈愛のペール・ホワイト』トリーネ=セイントバード(p3p000957)が感心する。
「「ニワトリが喋った……!」」
 そんなトリーネに、2人は衝撃を覚えていたようだ。
「外の世界に行きたいか……気持ちはわかるぜ」
「あたしも、小さい時は里の外に出たかったものだよ」
 小柄な体に蝶の翼と大きな鎌を手にした『隠名の妖精鎌』サイズ(p3p000319)が彼らの考えに共感すると、砂漠の里出身の獣種『水面の瞳』ニア・ルヴァリエ(p3p004394)も同意してみせた。
「深緑にも、そう考える子ってやっぱりいるんだね」
 長い白髪から2本の枝角を『行く雲に、流るる水に』鳶島 津々流(p3p000141)も、昔の自分みたいだと親近感を抱いていたようだ。
 幻想種の2人に、イレギュラーズ達は皆総じて好意的だ。
「……うん! いいね! 未知に憧れる、うんうん分かるよ~」
 長い金髪を揺らす『治癒士』セシリア・アーデット(p3p002242)も大きく頷いて。
「色んな所を見て回るのって、楽しいもんね!」
 2人の頭をセシリアが優しく撫でると、スヴェンが頬を染める一方、クリスタは子供扱いしないでとむくれていた。
「オーッホッホッホッ! 外の世界を学びたいと!」
 そこで、高笑いして登場してきた、幻想種2人とさほど都市の変わらぬ金髪美少女が了承の言葉を口にして。
「このわたくし!」
 『きらめけ!ぼくらの』御天道・タント(p3p006204)が指を鳴らすと、どこからともなく声が聞こえて。
  \きらめけ!/
  \ぼくらの!/
\\\タント様!///
「――の! 冒険譚をお披露目ですわー!」
 告げながら、ブレイブサバイブアライブオーバードライブポーズ(本人談)をとって見せたタントに、幻想種2人も目を丸くする。
「初めてのお出かけだもの、折角だから良い思い出にさせてあげたいわ」
 誘いかけるクロバに、トリーネも大きく羽ばたいて己の感情を示す。
「外に憧れる気持ちはよく分かりますが、それを軽んじてはいけません」
 ただ、海洋の島育ち、絶望の青の先を目指す『夢に一途な』フロウ・リバー(p3p000709)はクリスタに感心するも、しっかりと釘を刺す。
 外出には、危険や不確定要素がつきもの。
 それを理解してもらえるかどうかと、フロウは考えていたのだ。
(あ、魔物との戦闘が想定されているんだ……)
 津々流もその出現こそ言わないが、冒険にはちょっとした危険がつきものと告げると。
「やっぱり、やめようよ……」
「何言ってるの、行くのよ!」
 後ろに下がろうとする少年スヴェンの腕を、少女クリスタがしっかりとつかむ。
「冒険を夢見る子ども達、か」
 半身を魔物と化した旅人『死神二振』クロバ=ザ=ホロウメア(p3p000145)は、勝気な女の子に引っ張られる男の子という組み合わせに因果めいたものを感じつつ。
「さて、冒険に行こうか」
「ええ!」
「は、はい……」
 そんな初々しい2人に、ニアは目を細めて。
「あ、パカダクラ、乗ってみるかい?」
「ええ、お願いするわ」
 彼らは早速、のんびりしたその生物に跨り、情報屋に見送られる形でアルティオ=エルムを出発したのだった。

●混沌という世界
 森を歩くイレギュラーズ一行。
 ある程度離れると、幻想種2人クリスタ、スヴェンも見慣れぬ場所に来たのかそわそわとし始める。
「色々見どころも多そうだから……楽しみにしとくと良いんじゃないかな」
 今回は良い機会。ニアは2人に期待を持たせようと、仲間達を指し示して。
「あたし以外はベテランばっかりだし。色々とすごいぞ」
 彼らも何が待っているのかと楽しみにしていたようだが、進む間に深緑の外の世界について、メンバーがそれぞれ伝え聞かせることにした。
 早速、我先にとタントが口を開いて。
「さて、陸上爆走マンボウに轢かれた話と巨大ミミズに轢かれた話と暴走クルマエビに轢かれた話、どれからお話致しましょうか?」
 かくかくしかじか。
「全部轢かれてるじゃない……」
「ええ、全部……吹っ飛ばされましたわ」
 呆れるクリスタの冷静なツッコミに、タントは頭上をしみじみと見上げて。
「それでもわたくしは、皆様を守るためにきらめき続けるのですわ!」
 今回の2人の勇気に敬意を評したいと、タントなりの気遣いを見せていた。
「この世界は広いわよー! コアラのアサシンとかペンギンの大神官とか色々いるの」
 てこてこ歩いていたトリーネも、スヴェンに抱っこされてから話す。
「でも、ナンバーワンにキュートでかっこいいのは鶏なのよ!」
 これを覚えておくと、世界に飛び出してもきっと大丈夫と、トリーネは太鼓判を押す。
「「えーっと……」」
「むむ。反応が薄いわね。ちゃんと朝ご飯食べた? よく眠れた?」
 戸惑う幻想種の2人に、理由が分からぬトリーネは真顔でそう尋ねていた。
「混沌での冒険譚、かあ……」
 続いて、津々流が改めて、これまで自身が受けた依頼について語る。
 とある錬金術師の依頼で素材集めたり、『空飛ぶ魚』を見に行ったり……。
「思い返せば、僕も色々冒険してきたんだなって……」
 語りながらも、津々流は自らの冒険譚の数に驚いていたようだった。
「世の中、色々ある物です」
 フロウが語るは、巨大な船の上の街、8mほどの鮫の海獣、希少鉱石を生成する魔物の坑道、死霊使いが支配する迷宮、古代の遺物を纏うかつての闘士……。
「私の冒険譚でも、混沌の極々一部に過ぎません」
「「わあ……」」
 まるでお伽話のようだが、いずれもフロウが実体験した胸を躍らせる冒険譚だ。
「次はどんな話?」
 未知の冒険譚に、少年少女も目を輝かせていたようだ。

 深緑から傭兵へと移動の間、他にもクロバが各地の話を語っていく。
「そうだな、天義の月光人形の話からいこうか」
 彼は分かりやすく、語れる範囲のことを国別に語っていく。
 外の世界に興味を抱く子供達だ。ある程度の各国地域は知識として持ってはいたが、それでも、鉄帝のヤバいラーメンの話や、海洋の海の底。練達のVR空間でドラゴンと交戦した話は興味深そうに聞き入っていた。
「幻想の迷宮の話などどうだろう」
「それなら、俺がしようじゃないか」
 サイズが前に出て、果ての迷宮内部の話を行う。
 最近になって進み始めた内部の探索の中、サイズは室内なのに満天の星空にいるような階層に踏み込んだのだとか。
「……そして、上から星々の天井が降ってきて、素早く下に降りないと星に潰される危険な場所があるんだ……」
 ただ、その美しさを見るだけでも、危険を冒す価値はある不思議な場所だったとサイズは話す。
 彼らの語る数々の冒険譚は、これからクリスタ、スヴェンも自ら体験することになるかもしれない。
「冒険譚……ねぇ? ……ああ! この先のラサについてなら多少は話せるかな」
 ニアは少し考えて、自らの里がある傭兵という国について語る。
 有名なのは魔種絡みの話であり、決して楽しい話題ではない。
 それでも、普段聞くことのなかった臨場感ある話に、2人も興味を抱いていたようだ。
「外に出るなら、力ってのは付けといて悪いモンじゃない、と思うよ」
 イレギュラーズになり、そう実感したとニアは話を締め括った。

 その話の間にも、イレギュラーズ一行は森を抜け、深緑から荒野地帯である傭兵へと足を踏み入れる。
 森とは違って乾いた風、荒れた大地。幻想種2人にとって、当たり前のように身近にあった木々や動物の姿などどこにもない。
「何も、ない……」
「少し息苦しいですね」
 初めて目にする荒野に、深緑で育った2人は言葉を失う。
「私の番、って思ったけれど……」
 続いて、セシリアが話をしようとしたところで話を止め、戦闘態勢をとる。
 前方の空気が僅かにぶれる。
 目を凝らすと、そこには小さい人型の精霊達が怪しく目を輝かしていた。
 歪んだ魔素に充てられ、魔物化してしまった風の精霊達。別途その討伐がローレットへと依頼されていた相手だ。
 メンバー達はその討伐の為、各自武器を手に取っていくのである。

●魔物との遭遇
「ま、まものっ」
「スヴェン、落ち着きなさいよ……!」
 現れた魔物にクリスタ、スヴェンの2人は体を硬直させるが、イレギュラーズ達は甘い態度は見せない。
「無理しない程度に、頑張ってもらおうかなあ?」
「危険だからと言って、実践の経験しないのは成長できないからね」
 津々流が仲間達へと同意を示すと、サイズも二つ返事で了承する。
「戦闘は参加しても良いかと存じますが……」
 仲間の主張に異論のないタントは2人に詰め寄って。
「あまり前に出過ぎないこと。わたくしの傍を離れないこと」
 できるだけ、待機しつつ前に出ぬよう、敵の動向を見てから行動するようタントは言い含める。
「さもなければ……、轢かれますわよ」
「「…………!!」」
 ほぼ同年代ながらも、冒険者の先輩であるタントの言葉に2人は圧力を感じて。
「腹をくくらないと」
「……スヴェン」
 冷や汗を流すクリスタの手を、スヴェンがギュっと握ってみせた。
「戦闘では、私達の指示に従ってもらいます。命懸けなので」
 怪我をさせられないからというフロウの気遣いも察し、2人は頷く。
 後方支援を任せるよう考えていたニアだったが、口を挟むことなく自らの役目を果たすべく動いていたようだ。
 さて、その間にも固まって迫りくる風の精霊達を後方のフロウが見据えて。
「来たれ、連なる雷、我らの敵だけを貫け!」
 敢えて2人に聞こえるよう詠唱し、フロウは雷撃を発していく。
(「たまには、格好つけるのも悪くないですね」)
 だが、魔物化した精霊達は荒ぶるままに、風の刃や木の矢を撃ち出してくる。
「お2人はわたくしが守りますわ」
 タントは怯えも見せる2人の不安を取り除くべく声をかけつつ、防御重視の態勢をとる。
 敵より早く動くサイズは浄化の鎧を纏ってそれを受け止めつつ次の攻撃に備え、ニアも惑わせる精霊の風を解き放つ。
「あたしはあたしのやれる事をやらせて貰うだけだね」
 クリスタとスヴェンを護る為、ニアは相手の注意を強く引きつけていた。
 そして、敵の攻撃は仲間に集まる中へとクロバが仕掛け、激しい風を吹かせながら両手の刃で精霊達へと切りかかっていく。
「さて、頑張って癒していくとするよ!」
 自身の役目は皆を支えることだと、セシリアは調和の力を持って仲間達の傷を手早く癒しに当たっていく。
 荒ぶる精霊達は嵐を巻き起こし、大きく思考を乱す息吹を吹き付けてくる。
 耐性のあるメンバーもいるが、全てに対処することは難しい。
 そのフォローへと、自らへと閉じた聖域を展開するトリーネが戦場をあちらこちら駆け回る。
「こけー!」
 トリーネの聖なる叫びは、混乱するメンバーを優先的に仲間達の悪しき気を払う。
 後方、津々流は2人と後衛につき、オーラの縄を投げつけて敵の動きを止めていく。
 スヴェンが構えた弓から矢を射放つ横、クリスタはまだ逸る気持ちを抑えられずにいて。
「え、えっと……」
「落ち着いて、周りを見て下さいまし」
 カバーに回るタントがクリスタをカームダウンさせるべく声をかけると、彼女はようやく魔弾を発して攻撃を始めていたようだ。
「とりあえず早く敵の頭数を減らして、ヒーラーたちの負担を軽くしたいな……」
 今回は庇うべき少年少女がいる為、十全に戦うとはいかない。
 だからこそサイズも妖精の血を使ってサイズ本体の一部である鎖を複製していく。
 その鎖を操り、サイズは至近にまで近づいた精霊の動きを封じていくのである。

●荒ぶる風を押さえつけろ!
 魔物化した風の精霊はあと数体増えただけでも、かなり面倒な相手だったはずだ。
 ただ、相手は3体。
 丁寧に対処している分には初戦闘であるクリスタ、スヴェンをフォローしながらでも十分対応できる。
 抑える盾役は、セシリアが天使の歌声を響かせて体力回復に当たっていく。
 ただ、彼女の回復は体力のみ。敵の悪しき風で惑い、呼吸を奪われたメンバーまでは癒やせない。
「わ、皆さんが混乱して……」
「落ち着いて! 一緒に鳴けば治るわ! せーの、こけー!!」
「こ、こけー」
 トリーネはスヴェンと合わせ、メンバーが全力で戦えるよう鳴き声を響かせていた。
 すると、我を取り戻したニアが相手に迫る。
 自らの血を媒介に短刃『胡蝶の夢』に精霊の風を纏わせ、一気に風の精霊を切り裂いて分断してしまった。

 前線はなお、タントが精霊を抑え続ける。
 その後ろ、フロウは幻想種2人の位置を確認しつつ、敵の撃破を目指して。
「術式多重展開、連続解放!」
 毒霧に火球、渦巻く風に電撃と、立て続けに魔術を行使して攻め立てていくフロウ。
 それらを全て食らった相手の動きが鈍ったところで、防御に当たっていたサイズが魔力を纏わせた大鎌……自らの本体で精霊の体を両断してしまった。
 残る風の精霊は1体。
 仲間を失いながらも、狂ったように風を巻き起こす精霊へ、津々流は契約を交わした妖精を差し向け、勇敢な牙となって敵の体を傷つけていく。
 攻撃直後、津々流は傍の2人に視線を向けると。
 相手が減ったことで、仲間のフォローも必要ないと判断したトリーネが敵目掛けて思いっきり蹴りかかっていった。
「今よ」
「わ、わかってるわっ!」
 精霊の体勢が崩れたところでトリーネが促すと、クリスタは素早く魔力を纏わせたナイフで切りかかっていく。
 確実に、精霊の体に走らせる傷。
 そいつはすぐに大気を取り込み、風の刃を起こそうとしてくるが、クロバの動きが早い。
 左目の魔眼で相手を引きつけていたクロバは、両手の刃で敵の体を切り刻む。
 霧散していく精霊に、クリスタとスヴェンがホッと安堵の息を漏らすと、イレギュラーズ達は微笑ましげに笑い合って見せたのだった。

●異世界の話を聞きながら
 魔物達を討伐した一行は一通りラサの荒れた大地を見回してから、日が暮れる前にアルティオ=エルムへ帰る為、深緑へと引き返す。
 帰りに話題となっていたのは、混沌でない別の世界の話。
 それらは、幻想種の子供達だけでなく、イレギュラーズ達にとっても興味深い話と言えた。
「僕が元いた世界、元いた場所は、深緑みたいな森っていうか山深い所だったよ」
 津々流はだからこそ、深緑に親近感を抱いていると話す。
「今度こそ、私の話ね」
 セシリアは元々、自分の世界の話をするつもりでいた。
「ん~、そうだな。一面雪に覆われた銀世界の話しでもしようか? あれは凄いよ」
 何もない無音の世界。光り輝く雪の大地。
 空を見上げれば、光輝くカーテンの様なオーロラ。それはとても綺麗だったそうだ。
「別世界の冒険……か」
 クロバは、並行世界となる現代日本の出身。
 練達を思わせる機械製品の数々を口にした後、彼は話を変えて。
「君たちがもし冒険するというのなら、どうせなら伝説に残せるような旅を目指すといい」
 それは決して楽な旅ではないはずだが、絶対、得るものはあるとクロバは告げる。
 自分が憧れ、守ろうと思った破天荒な夢追い人のことをクロバは頭に浮かべながら、一言。
「夢って、そういうものだと思う」
「そうだな……」
 サイズはふと、住みにくかった前の世界についてさらりと口にする。
「実現するとは思わなかったが、別世界があるならそっちに行きたいと思ったこともあったぜ……」
 呪いの武器として生まれた彼は、すぐにこの世界に来たから、さほど語ることもないとのこと。
「……まあ、力なきちっぽけな妖精には、つらい世界だったのは覚えてるな」
 一つ、戦闘を潜り抜けた後だと、クリスタ、スヴェンが耳にする『つらい世界』というものの語感が変わる。
「外の世界には危険が多いからね」
 セシリアは彼らの表情が変わったことを察して。
「皆が子供だから止める……違うね。知識もなく力もなく、自分の身すら守れないと酷い事になるからだよ」
 自分だけでなく、大事な人の心にも傷を残すかもしれない。セシリアはそれを懸念する。
「……未来があるんだからね、後悔をしてほしくないようにしないとね」
 そこで、サイズが道中拾った綺麗な石を使い、休憩中に手早く仕上げたアクセサリーを2人へと差し出す。
「記念品として、持っておいてよ」
 それらは一足のブーツを象っており、片方ずつをクリスタとスヴェンに。
 これから始まる冒険の一歩を二人で踏み出した証明。そんな意味を込めて。
「ありがとうございます」
「素敵ね。一生の宝物にするわ!」
 喜ぶ2人はパカダクラに跨ったまま、手を握り合う。
 そんな彼らに抱かれるトリーネがぱたぱたと翼を羽ばたかせて。
「ピクニック……じゃなかった、帰るまでがお出かけよ!」
 たどり着くまで油断しちゃダメよと、彼女は注意を促す。
「……今日の晩御飯、何にしようかしら……こけっ」
 突然、トリーネが前のめりにこけてしまったことに、この場のメンバー達は皆、笑い声を上げてしまうのだった。

成否

成功

MVP

クロバ・フユツキ(p3p000145)
深緑の守護者

状態異常

なし

あとがき

リプレイ、公開です。
MVPは今回の2人を自分と思い人に重ね、
数々の混沌の冒険譚を語って彼らの興味を引いた貴方へ。
今回は参加していただき、ありがとうございました!

PAGETOPPAGEBOTTOM