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シナリオ詳細

舞台『犯人は誰だ?』

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●舞台へGO!
「舞台を見に行って欲しいのです!」
 『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)の言葉にそれぞれ顔を見合わせるイレギュラーズ一同。
 彼女は依頼内容を楽しげにウキウキとした表情で話し出す。
 この依頼は劇場の支配人からだ。
 支配人のカルリは自分達の舞台をイレギュラーズが見に来てくれれば、劇団の名に箔が付くだろうと考えているらしい。つまりは客寄せである。
 『イレギュラーズの皆様方を楽しませて差し上げましょう』とまで言うのだから、応じた側も依頼人も得をする話だ。
「なので、いってらっしゃい!」

●舞台開演~終演
 テントによって簡易的に建てられた劇場へ様々な人達が入っていく。
 一見、大きなテントの中に広がる舞台の壇上の幕は下ろされ、舞台を囲むように360度観客席で埋め尽くされていた。
 イレギュラーズを含めた多くの観客が座ったと同時に開幕のブザーが鳴り、幕が上がる。
 ある男が舞台の真ん中に立ち、スポットライトが男に向けられた。
「紳士淑女の皆様方、私、支配人のカルリでございます。今日はイエロースターリリィクラスタの為にお越しいただきましてありがとうございます! 今宵は皆様に我らが紡ぐ物語へと御招待致しましょう!」
 カルリが頭を下げると観客の拍手が鳴り響き、スポットライトは消え、劇場内は暗闇に包まれた。

 前半の舞台の内容としては少女のメリスがある美術館へとやって来てそこでオークションを行うという内容だった。

「そろそろ時間だね」
「そうだね、楽しいことになればいいな」
 舞台が静かに暗くなり、しばらくしてから明るくなれば美術館の管理人の双子の兄妹、メリス、執事、メイド、双子の知人の大金持ち者、警備長、女医、美術品を撮っていた記者の8人が壇上におり、観客席には数人の警備員姿の役者達が配置してあった。
 まるで宝石が輝いているように見える白黒の宝石箱と、宝石が描かれた絵画が壇上の中央に糸で吊るされて、双子の兄妹のハクリとクロリは相変わらずぴっとりと引っ付いていて絵画の近くにおり、メリスは一番後ろにいた。
「「ようこそ、僕達のモノクロ美術館へ!」」
 ハクリとクロリは絵画を挟むように移動してから来た人達を歓迎する。
「商品はこちらです」
「僕らの先祖が描いてくれたモノクロ宝石絵画です」
「会場の人達も買えますよ」
「「さぁさぁ、この絵画をいくらで買いますか?」」
 管理人の双子がそう言うと、観客達はザワついてから観客の一人が金額を言うと舞台の上にいる人達も金額を言い出した。
 ある程度の高い金額が言い渡されると突然、照明が消えて悲鳴と誰かが倒れるような音が会場に響き渡る。
 照明が消えてから1〜2分で照明が点くと、一番後ろにいたメリスが倒れており、その場にあった絵画は消えて、会場は更にザワついた。
「しっかりしてください! 早く彼女を病院へ!」
 驚いて固まる人々の中でメリスの前に居た女医のマリウスは倒れた音で後ろを振り向いて、メリスに声を掛けながら近付いて自分の鞄から手当ての包帯やらを出しつつ他の人達にも言う。
「皆さん落ち着いてください! これで全員ですね? 警備員数人が美術館を巡回しておりますのでご安心を! メイドさんと執事さんは?」
「あの二人には盗まれた物がないかと照明の確認に」
 警備長のリッドの問いかけに答えるクロリはハクリを強く抱きしめていた。
「大丈夫だよ、ハクリ……」
 照明がついてから暫く経ってようやく落ち着いた時に執事のホタルが戻って来る。
「御主人様、こちらを」
 ブレーカーの状態の紙であろう物をクロリに差し出すと彼は首を傾げた。
「『機械的には問題なし 何者かによって消されたと思われる』?」
「あともう一つあります」
 メイドのニッキスが申し訳なさそうな表情をして小さく手を上げた。
「どうした?」
「あの白い拳銃が何者かによって盗まれたようです」
 彼女の一言に観客も舞台の人達もまたザワついた。
「オークションが始まる前、我々が見回ってみた際にはあったのですが、ガラスが割られていまして……」
「もしかして、さっきのガラスが割れた音はそれか?」
 ホタルの言葉に大金持ちのローバーは絵画が在ったであろう位置の目の前から床を伝って何かを探していた様子になっていた状態から立ち上がりつつ言った。
「確かに我々もその白い拳銃は一時間前にはちゃんと飾ってあったっという話があるし、さっきも見て来た者によると拳銃と絵画だけが盗まれていたそうだ」
「もしかしてこれの事?」
 その言葉に記者のモネを囲むように彼女のカメラ画面に何人か覗き込む。
「うん……本当に真っ白い銃があったね……あ、あと、マントを着ているような人物が映ってる! はっきりと見えないのが残念だけど……」
「でもこれじゃあ犯人がわからない」
 モネの言葉にホタルとリッドがそれぞれ同じタイミングで言葉に出した。
 一人の警備員がリッドに近付いて耳打ちで何かを話した。
「ふむ、銃と絵画以外は盗まれていない……一体、何のために、この2つを……?」
 リッドの言葉で舞台の幕は下りて劇は終わった。

 何が起きたのか分からずザワつく観客達、幕が下りきった所で劇場の支配人カルリが現れる。
「皆様、我らイエロースターリリィクラスタの物語はいかがだったでしょうか? さて、皆様に舞台上の彼ら達の中に犯人がいらっしゃいましたので、誰が犯人か皆様が教えて下さればと思います。」
 カルリは深々と頭を下げてから頭を上げ、笑みを浮かべて言う。

「答え合わせは答え合わせ部屋へとおいでくださいませ。 勿論、もう一度来て構いませんし、後でお配りするパンフレットに皆様の考えのヒントになるような事を書いておりますのでよろしくお願いしますね」

GMコメント

皆様、初めまして、高嶺ゆいです
初依頼ですが御手柔らかにお願いします

以下情報はこちらです。

●目標
 劇中の犯人が誰なのかを推理しつつも客寄せもする

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。想定外の何かが起きる可能性があります。
 しかし、不明点がいくつかあるかと思います。

●パンフレット内容
《手がかり》
 高額価格の絵画を盗まれ、メリスが何者かによって刺された。
 現場にはガラスの破片と共に一発の銃弾が残されていました。

◆被害者、容疑者

☆被害者 メリス・メトリア
 貴族メトリア家の長女で劇場に縁があるらしく。彼女は招待され、何者かによって刺されてしまった。
 絵画披露の際には観客席の一番後ろで見ていたようで、照明が消え、次に灯りが点いた時には腹部に銀食器のナイフが刺さっていた。
 医師マリウスの救助により一命は取り留めたという。

『美術館の双子の管理人』 クロリ&ハクリ
 クロリが兄、ハクリが妹。絵画を挟むように立っていた2人。
 灯りが消えて震えていたハクリに声をかけつつ、クロリは執事のホタルとメイドのニッキスに照明のブレーカーの確認をお願いしていたと2人は言っている。

『執事』 ホタル
 クロリに頼まれ、出入口付近にいた。彼が言うには誰も銃弾や銃の持ち込みはしてないことを確認済み。
 照明が消えた際に命令されたのでメイドのニッキスと共にブレーカーの確認へと向かい、「何者かによってブレーカーケーブルを切断されていた」とクロリに報告している。

『メイド』 ニッキス
 ホタルと共に行動していた。
 照明が付き、戻る際に絵画の他に盗まれてないかホタルと確認すると展示されていた銃がショーケースから消えていた事に気付いた。

『警備長』 リッド
 オークション開始時点ハクリの近くで待機していた。それ以前に不審な所がないか美術館を巡回していたが、銃の所在は確かだったと証言している。
 照明が消えた時は落ち着いて客人達に落ち着くようにと声をかけていた。
 照明が再点灯した際、他の警備員に確認を取ったが展示されていた銃と絵画以外の物品は盗まれていなかった。

『大金持ち』 ローバー
 クロリとハクリの親戚で心優しいと評判がある太ましい富豪。
 彼は絵画の目の前にいたが、暗所恐怖症の気がある為に床を這いつくばって震えていた。
 銃声とガラスが割れる音を同時に聞こえたような……と、曖昧なことを言っています。

『女医』 マリウス
 リッドの幼馴染。緊急時に備えて待機していた。
 彼女はメリスの少し前、観客席の中央にいた所。暗闇で何も見えなかったと主張している。
 灯りが点いた後は大慌てでメリスの大急処置を施した。

『記者』 モネ
 絵画の良さやモノクロ美術館の良さなどを紹介して欲しいと言われて来たモネは最初つまらないと言っていたが、怪盗が来ると聞いて目を輝かせて美術館へと向かい、オークション開始の際には後ろの方で写真を撮っていたと言う。
 モネが撮った写真には飾ってある美術品、そしてショーケースに入った真っ白い銃の写真、暗くなった時に撮った写真にはハッキリと見えないが絵画を盗んだような黒いマントを靡かせるような写真と人が倒れるような様子があった。

 約8名が容疑者として上がっています。
 この中に犯人がいるでしょう。皆様で考えてみてください。

  • 舞台『犯人は誰だ?』完了
  • GM名高嶺ゆい
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年06月15日 22時30分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ラノール・メルカノワ(p3p000045)
夜のとなり
リュグナー(p3p000614)
虚言の境界
夜乃 幻(p3p000824)
『幻狼』夢幻の奇術師
ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)
願いの星
ラルフ・ザン・ネセサリー(p3p004095)
我が為に
アクセル・オーストレーム(p3p004765)
闇医者
ミルキィ・クレム・シフォン(p3p006098)
甘夢インテンディトーレ
シャルロッテ=チェシャ(p3p006490)
ロクデナシ車椅子探偵

リプレイ

●客寄せしよう
 舞台が終わってイレギュラーズはそれぞれ舞台の前に立つ。
 その中で『『幻狼』夢幻の奇術師』夜乃 幻(p3p000824)は舞台を囲むように車輪付き360度黒板とチョークを生成した。
 幻の行動にその場にいた客達はイレギュラーズに注目する。
「僕は皆様が謎解きするお手伝いを致しましょう」
 頭を下げて言う幻に『虚言の境界』リュグナー(p3p000614)が楽しそうに笑顔を浮かべた。
「情報屋たる我にとって情報の精査は何より重要視すること……面白い、受けてたとう!」
「演劇を兼ねた犯人捜しゲームか、随分と虚仮にしてくれたものだ。つまり我々に解けるものなら解いてみろと言う事だろう」
『イルミナティ』ラルフ・ザン・ネセサリー(p3p004095)が不敵に立ち上がった。
「メリスが刺されていたのは間違いなく演技だったか?」
 思い出すように首をかしげながら『闇医者』アクセル・オーストレーム(p3p004765)は呟く。
「まずは地道に現場調査! 情報は足で稼げと言うでしょう?」
 続いてそう言うと舞台に上がる『灼鉄の聖女』ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)はアクセルの言葉が耳に入り、メリスがちゃんと演技であることを彼に告げていた。
「むむむー、なかなか難しい謎解きだね! でも、とっても楽しそう♪ よーし、がんばって謎を解き明かすぞー☆」
 『チア衣装でジャンプし以下略』ミルキィ・クレム・シフォン(p3p006098)は満面の笑みを浮かべていた。
「さて…ボクは《起こった事》と《各登場人物ができる事》を纏めよう そうすれば、推理が苦手な者も楽しめるだろう」
 『ロクデナシ車椅子探偵』シャルロッテ=チェシャ(p3p006490)も笑いを浮かべつつ客達の事を考えてくれていた。
「私達の推理をヒントとして聞いてくれると嬉しい」
 客達へ語り掛けるように『濃紺に煌めく星』ラノール・メルカノワ(p3p000045)はまるで舞台の続きのように話し出す。
「折角のオークションだ、観客の皆に我々の誰が推理を当てるか競ってもらおう。的中させ、かつ一番高値を挙げた者が絵画の落札権利を得るのはどうかな? 君は我々を利用した、多少の無茶は聞いてくれるね」
 客達はざわめき始め、肩をすくませ困った表情を浮かべるカルリが現れた。
「君らにお願いしたものは仕方ない。そうしてあげよう……ただし、的中であればの話だがね」
 そんな会話を他所に幻が黒板に客が見やすいようにと黒板を回転させながら「停電前、停電中、停電後」と時系列を書き始め、手に持っているノートにも書き始めた。
「それではまず、時間事に考えていきましょうか」
「まずは停電前だね! みんなは知ってる?」
 幻とミルキィの言葉に客達は手を挙げてそれぞれ停電前の事を言い出した。
 イレギュラーズと客は何が起きたか、それぞれのアリバイを時系列順に黒板に書き起こしていく。
 客とイレギュラーズの間で質疑応答し、各役者達が演じる人物の行動や言動が8人のイレギュラーズとその場にいる客により次々と浮き彫りになっていった。
 こうしてそれぞれ、イレギュラーズとそれ以外の観客席にいた客は事件の推理を固めたのだった。
 イレギュラーズの考えとしては1人ずつ推理をしていくことになった。
 ラノールはメリスを殺すために仕組まれた完全犯罪として双子のハクリ&クロリを犯人だと推理した。
 リュグナーは客とのやり取りでメリスの近くにいた女医のマリウスが犯人だと推理した。
 幻は停電でも動ける事や全ての美術品の位置を把握しているなどを踏まえて執事のホタルとメイドのニッキスが犯人であると推理した。
 ヴァレーリヤは警備長のリッドに手伝ってもらいながら女医のマリウスが犯人だと推理した。
 ラルフは女医のマリウスと警備長のリッド、記者のモネの力を借りて自殺未遂を自演したとしてメリスが犯人であると推理した。
 アクセルはメリスが銃で誰かを加害する事を目論んで盗んでいた所を目撃したという事で自分かそれとも親戚かと考えた大金持ちのローバーが犯人だと推理した。
 ミルキィはラノールと同じようなメリスを殺害するために起こした事件であるとして双子のハクリ&クロリが犯人だと推理した。
 シャルロッテはメリスを殺害するために暗闇で動けた執事のホタルとメイドのニッキス、怪盗の存在を作り上げた双子のハクリ&クロリの3人が犯人だと推理した。
 推理が終わった後、イレギュラーズ8人とイレギュラーズ達のおかげで推理が固まった客達が答え合わせ部屋へと向かった。

●答え合わせをしてみようか。
 答え合わせ部屋でイレギュラーズは集まって答えを聞きにいく。
 部屋に入ると先程までいたカルリが机の上に座っている姿が目に入る。
「やぁ、イレギュラーズの皆さん、とっても楽しく面白い推理をありがとう。ここに来たということは答えがわかったんだろう?」
 楽しそうにそして何か企んでいるような口調でカルリは立ち上がり机の前に立つ。
「この中に犯人はいないのであろう?」
 そのリュグナーの言葉にカルリは目を丸くした。
「ちゃんと犯人はいたよ。だからこそ、君らは惜しかった。君らの推理通り、犯人は1人ではない。しかし、それは《一つの事件》として考えていたんじゃないかな?」
 首を横に振りつつカルリはポケットからメリス、ハクリ&クロリ、ホタル、ニッキス、リッド、ローバー、マリウス、モネのそれぞれのトランプサイズの写真カードを出した。
 机の上に8枚のカードを並べる様子をイレギュラーズは見ていた。
「なるほど……そうすると、同時に別々の事件が起きていたということだろう?」
 カルリの言葉にラルフはカードを見ながら言った。
「その通り、ある一つの事件が起こりました……なんて誰がいつ決めたんだい」
 言われてみれば舞台上でもパンフレットにもそんなことは言われても書かれてもなかった。
「君達の知っての通りメリスは何者かに殺されかけたけど自作自演ではない」
カルリは写真カードをイレギュラーズの前へと出した。
「ですが、不可能ってわけではないですわよね?」
 ヴァレーリヤが首を傾げながら、メリスの写真カードに指をさすと彼女の言葉にカルリは頷いた。
「確かに、不可能って訳じゃない。けれど絵画を盗んでどこかに運び込み、自分で刺すなんて事は共犯以外誰もいないだろう? ましてや、今回は彼女にとって皆、初対面だ。対してローバーはメリスと一度会っている」
「じゃあ、私の推理なら……」
「アクセルくんは彼女の殺人未遂の犯人をローバーで考えたそうだがその通りだ。だが、メリス本人にとってはローバーも初対面に変わりない」
 アクセルの言葉を遮るようにカルリはローバーの写真カードをメリスの写真カードの隣に置いて話を続ける。
 話によるとローバーはメリスを殺そうと企むがそうそう上手くいかず、丁度そこに停電が起きたのだから、これは好都合ということで偶然にも自分の直線上の一番後ろにいた彼女に襲い掛かった。
 暗いところでトドメを指すことなどできる訳もなく、彼女の倒れた所を確認する為と他に彼女を殺せるようなモノがないかと探していた為に床で捜し物をしていた。
「と、これが殺人未遂の事実さ。殺人未遂事件の犯人はローバーだ。殺人未遂の犯人を的中したことに褒めてあげよう」
「…………」
 アクセルの方に拍手をするが、彼は納得のいかない顔をしていた。
 それもそうだ、「偶然」と「丁度そこに」という言葉が引っかかったのだろうか他のメンバーも表情を曇らせる。
 それにローバーは絵画を盗んでなければ、銃も盗んでいないし、メリスが盗んだ話もないし、そんな細かい話はパンフレットにも舞台上にも言われてなかった。
「だとすると、他のものがローバーにと考えたのだろう? 残念、それは不正解」
「だが、そうでないと銃声は聞こえなかったはずだろう?」
 ラルフの疑問にカルリは首を横に振ってはローバーの写真カードとメリスの写真カードを端へとやった。
 この行動が何を示すのか、イレギュラーズの8人はカルリの手元に注目する。
「言っただろう? この舞台は偶然の重なりを描いたものなんだよ。絵画を盗んだ者、ブレーカーを落とした者、銃を盗んだ者……そう、さっきも言った通り、それぞれ別のものなんだ」
「さて、それはどういうことかな? 共犯であればブレーカーを落とし、絵画と銃を盗んで置くのは簡単なはずだよ カルリ君はそう考えてないということだよね? ましてや、まさか、偶然なんてことがありえる話なんて誰も考えてないはずだよ」
 ギフトを使用し不思議そうな表情を浮かべつつ、カルリと写真カードをそれぞれ見つつシャルロッテは問いかけてくる。
「シャルロッテさん、それだよ。予想外の答えで客の殆どが驚きを隠せないそんな表情を僕は見たいんだ。だから、偶然が呼んだ事件を主とした舞台の脚本にしたんだよ。わざと情報が足りなくしたのは皆の想像力を広げて欲しかったんだ」
 嬉しそうなカルリの顔、支配人が舞台の脚本を手かげていたことをイレギュラーズは此処で知ったのだ。
「偶然が呼んだ事件……?」
 ミルキィが疑問符を浮かべるとカルリは頷いて嬉しそうに続きを話し始める。
「そう、僕は必然的に偶然を作り上げたのさ! まずはブレーカーを落とした者、それはリッド……ではなく、リッドの部下なんだよ。だが、ローバーとリッドが共犯でもなければローバーが殺人を犯そうとしていたら警備長である彼は黙ってないはずだろう?」
「確かに……ローバーとリッドが共犯だとしても、リッドのメリットなどないはずだ。初対面であればすぐに信じるほど馬鹿な者はいないだろう」
 納得したようにリュグナーが言うとメモをしていた用紙と写真カードを見比べていた幻が口を開く。
「ならば、何故リッド様の部下がブレーカーを落としたのでしょうか?」
「それは簡単さ、リッドの部下は新人が多かったのさ。それでいてリッドは警備隊の中の一番下のランクの警備長で新人の面倒を見ていたんだ」
「その中で新人警備員がブレーカーを落とすなんてことがあり得るのか?」
 ラノールがカルリの言葉を遮るように疑問を問いかける。
「新人研修はしてあったと思うが、実際に現場に向かうと緊張してうまくいかない事があると私は思うのだが……」
 彼の疑問にアクセルが答え、カルリも頷いた。
「まぁ、此処の部分はパンフレットに書き足そうとしたんだけど、文字数で書ききれなくてそこは申し訳ないよ。あ、だったら劇に組み込めばいいのになんて思っただろう?」
 図星を突かれたイレギュラーズの中でヴァレーリヤは不満そうな表情を浮かべた。
「そうですわよ! 何故、組み込まなかったんです?」
「そりゃあ、文字数と同じだよ。時間が足りなかった。人手も足りなかった……まぁ、リッドの部下なんて所詮モブだしいいかなって……そんな感じで話を進めてしまったわけだけどね……あ、言うの忘れていたけれど悲鳴は双子のハクリの方だよ」
 苦笑いを浮かべて困ったように頭を掻きつつ話を続けた。
 カルリが言うにはリッドの部下の中で何をしてもダメで何故かよく事故を起こす部下がいた。
 その部下が勝手に彼の許可なく外の巡回をしている最中、ブレーカーの線に足を引っかけてブツッと切ってしまい、困った所に後からやって来たホタルとニッキスに「ブレーカーを切ったことを誰にも言わないでほしい」と泣きながら言われ、仕方なくそれを遂行してしまったホタルは報告書に「機械的には問題なし 何者かによって消されたと思われる」と書いてしまったのである。
「と、いう事は……執事は嘘をついていないってことだな……じゃあ、リッドはこの事件に関わっていない線もあるわけだ」
「その話からすると、ブレーカーは外にあったということだな?」
「うんうん、ラノールくんとアクセルくんの言う通りさ。ホタルは嘘を一切ついていないし、リッドは仕方なく部下の世話をしていたわけだけど、一人に付きっ切りなんてことできないだろう? だから彼の管理不足という点では彼も関わっていることになるね」
「なるほど、それなら話の筋が通るね」
「ではこの舞台の主となるでありましょう、絵画と銃を盗んだのは誰でしょうか?」
 納得したシャルロッテの後に幻がカルリに問いかけると、カルリは待ってましたとばかりに満面の笑みを浮かべた。
「絵画を盗んだのは記者のモネ、銃を盗んだのはマリウスの2人だ。ラルフ君とヴァレーリヤ君とリュグナー君が的中してくれちゃったけど、理由は外れだね」
「ほう……理由はなんなんだい?」
 ラルフが興味深々にカルリに問いかけるとカルリは話を続けた。
 怪盗であったモネは記者と偽って招待状を偽造し、そして予告状を送ってから偽の招待状で美術館に入り自分が怪盗である事を隠すように黒のカーテンをマントに見せかけ写真をオークション前に取っていた。
 それから停電したと同時に絵画を盗み、自分以外にわからないような美術品と壁の隙間に一旦絵画を隠していたのだった。
 銃を盗んだマリウスは銃を集めるのが趣味だったらしく、真っ白い銃を見た際に回りを見てから子供の頃に覚えたピッキングで盗んだという。
 その後、停電して悲鳴が聞こえるとその悲鳴が誰かに襲われていると勘違いをし、入っていないと思っていた弾が偶然にも入っており、自分の前の方に打ち込んでしまった際に窓ガラスが割れてしまった。
 カルリが言うにはショーケースのガラスではなく、美術館の窓ガラスが割れた音だというのだ。
 こうして、悲鳴声は双子の妹のハクリ、殺人未遂を犯したのはローバー、ブレーカーを落としたのはリッドの部下、絵画を盗んだのは怪盗のモネ、銃を盗んでガラスを割ったのはマリウスという事が事件の真相で正解であった。
「クハハハハ!……全然違った」
 答え合わせ部屋から出て真っ先に言葉を発したのはリュグナーだった。
「さて、イレギュラーズが苦戦した舞台って事で劇団の名が広まるぞ!」
 カルリはイレギュラーズが去るのを見送ってから嬉しそうにその場を後にした。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

イレギュラーズの皆様、お疲れ様でした。
そして遅くなってしまい、申し訳ありません。

足りないことが多数だったことででしょうが、それでも推理をしてくださって本当にありがとうございました。
楽しんでいただけたら光栄です。
機会があればその時はよろしくお願い致します。

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