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シナリオ詳細

<シトリンクォーツ2019>聖都豊穣祭

完了

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●聖人と御使に感謝を込めて
 春にしては少し、肌寒さを感じる日ではあったが、雲間から覗く太陽は、燦々とその恵みを知らせてくれる。
 格式を重視した街並みもこの時期には屋台が立ち並び、国外からの観光客も増えてくる。
 無攻性の色彩魔法が空を舞えば、目線は自然と一点に絞られた。
 パレエドである。
 先頭を歩く、稲穂を持った仮面の人物は聖人の役割だろう。
 都内の至る所で販売されていた、白い花がその人物目掛けてふわりと投げ込まれる。
 投げた少年少女に向けて聖人役が手を振ればまた歓声があがり、祭の盛況さをより濃いものとした。
 警護として配置されている聖騎士も、その様に厳しい顔を綻ばせている。
 今日は豊穣祭。
 恵みと、それをもたらした神の使いに感謝を贈る日だ。

●ツアーガイド狂信者
「シトリンクォーツって知ってるッスか?」
『可愛い狂信者』青雀(p3n000014)が指定されたかのようなテンプレート気味にシトリンクォーツが始まることを告げた。
 聖教国ネメシス。通称、天義。その聖都、フォン・ルーベルグ。
『南西門から入って三番目の交差路を右手に曲がって2ブロック行ったところにある聖堂』前集合、という分かりやすいんだか分かりにくいんだか判断し辛い説明を受けて向かってみたところ、『ローレットツアー御一行様』と書かれたミニ旗を振る青雀が目に入り、現在に至る。
「この時期に混沌で咲く花なんッスけどね。これの開花時期に、豊穣と労働に一週間を使って感謝する風習があるッスよ」
 ま、GWと勤労感謝の日がミックスって言えばわかる世界もあるッスかね、とのこと。
「ここ、フォン・ルーベルグでも豊穣の聖人にちなんだお祭りをやってるッスよ。あまりこっちで馴染みのない先輩も居るかもッスけど、せっかくのお祭りッスから、お仕事忘れて、楽しんじゃおうってことで」
 それに合わせてか、遠くで色のない花火の音がした。
 小さく湧く歓声。荘厳なイメージの強い天義でも、お祭り時ならば多少のハメも外すのだろう。
「え、僕? 僕は寺院めぐりッス。僕、この国の公的な訪問ってあんまり許可出ないんッスよねえ。楽しみッス。あれ、なんッスか先輩。変な顔して」

GMコメント

皆様如何お過ごしでしょう、yakigoteです。

天義ではこの時期、豊穣をもたらしたとされる聖人に感謝を贈るお祭が開かれています。
イレギュラーズのお仕事も今日はお休み。せっかくなので、観光と洒落込んでは如何でしょう。

以下、2つの項目のどちらかを選択してください。

【豊穣祭】
お祭りを楽しみます。
屋台が立ち並び、街を1日かけてパレエドが回ります。
至る所で聖騎士の姿が見られるため、治安はこの上なく良好です。

【寺院巡】
観光地ともなっている聖堂や寺院を巡ります。
歴史ある建造物や宗教画等を目にすることができるでしょう。
青雀はこちらに行きます。
各所の逸話や由来に明るくありますが、時折、言動がやや偏ったものになるかもしれません。
建物内の警備も、この時期はこの上なく厳重です。

  • <シトリンクォーツ2019>聖都豊穣祭完了
  • GM名yakigote
  • 種別イベント
  • 難易度VERYEASY
  • 冒険終了日時2019年05月16日 22時30分
  • 参加人数10/∞人
  • 相談7日
  • 参加費50RC

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(10人)

キドー・ルンペルシュティルツ(p3p000244)
社長!
アリシア・アンジェ・ネイリヴォーム(p3p000669)
双世ヲ駆ケル紅蓮ノ戦乙女
ゴリョウ・クートン(p3p002081)
黒豚系オーク
炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子
クリスティアン=リクセト=エードルンド(p3p005082)
煌めきの王子
ロク(p3p005176)
クソ犬
ペッカート・D・パッツィーア(p3p005201)
極夜
アイリス・アベリア・ソードゥサロモン(p3p006749)
<不正義>を知る者
フラン・ヴィラネル(p3p006816)
ノームの愛娘
白嶺 絆楔(p3p007126)
白樺のかすがひ

リプレイ

●プラスミドシンパシー
 本を読んで、絵を見て、逸話に耳を傾けて。それで神様を信じられるかと言われればまた別の話だ。それでも過去に、傾倒し、熱狂し、執念と才能を費やした結果がそこにはある。意味を見出すのは学者の仕事だが、価値を感じるのは万人の権利だろう。

「お集まりいただき、ありがとうございますッスー!!」
 集まった皆々を、拡声器の必要もなく、大音量で元気いっぱいに迎える青雀。
 イベント事でもなければその騒がしさには眉を顰められたかもしれないが、今日は特別だ。
 祭の空気に誰も彼もが浮足立ち、騒がしさが一般的なボリュームとして受け入れられている。
 休日。観光。たまにはこういうのも悪くない。普段から命のやり取りをするような極限の状況に身も心も置いているのだ。どこかで一息つくことは必要だろう。
「それじゃあ、楽しんでいってくださいッスー!!」
 案内人がこれというのが、多少不安の残るところではあったが。

●クラスブオナローティ
 知識の役目とは、それを育み、後世に引き継いでいくことだ。それの善悪を問うのは別の問題であり、知識はただ知識としてそこにあるだけである。価値はこれから決まり、意味はずっとそこにいる。捉えるとはそういうことだ。受け入れるとはそういうことだ。

 荘厳な門づくりの玄関口をくぐり、逆凹型の寺院に囲まれた中庭に足を向けると、大きな台座の上に立つ聖人像が見えてくる。
 その足元から見上げてアイリスは、ほうとひとつため息をついた。
 台座には観光客に向けた真新しい説明書きのプレートが貼り付けられているが、彼女には不要なものである。
 そんな又聞きの知識を得ずとも、ここを彩る植物たちが、何よりも祈りを捧げる霊魂達が、その実態を教えてくれる。
 相棒に少しだけ身を預け、またひとつため息を。
 伝承の数々よりも、指先のひとつに至るまで精緻さを保つそれに、圧倒されるばかりであったのだ。
「ここは中央の聖殿から輪を描くように増築を繰り返しているッスね。ほら、この辺りから石材の質が変わっているッス」
「ええ、ええ。そのような手法もあるのですね。誠に勉強になります」
 絆楔は青雀の解説を受け、壁の一点に目を向ける。
 なるほど、言われてみなければわからないが、確かにある一点から微かに壁面の色が異なっている。指で触れて見れば、その違いはより如実だった。
 ここで、繋がっている。
 それを思うだけで、何か嗜虐的な喜びを感じずにはいられない。
 つつりと、指先でその境目をなぞる。
 触れて、なぞって。爪先で、かりかりと。
「……にしても、青雀よう。お前ほんとに詳しいよなあ」
 これも、それも、あれも、どれも。絵画に表された金貨の意味から、本殿内の柱の数に至るまで。寺院に関して青雀に尋ねれば何でも答えが帰ってくる。
 専門家であることは知っていたが、メモ書きのひとつもなく返答されれば、キドーといえ藪をつつきたい衝動に駆られたのだ。
「ないだ天義で監査の依頼があったろ。隠し階段だのなんだのと……ぶっちゃけ怖えぐらい詳しかったが、ありゃあどうやって仕入れてるんだい?」
 というか、どこまで。
 だが当の狂信者は、人差し指を立てて唇にあて、笑むばかりだった。
「力だけではなく普段から知識を積む事も大切ね」
 自分の身の丈よりも遥かに大きい壁画を前にしてアリシアは、青雀の解説に耳を傾けていた。
 花の一輪に至るまで意味を込められた絵画手法。単に精緻な技術に目を奪われるというのも貴重の経験だが、こうして知識を蓄えるという作業も心地よいものだった。
 ガチャ……ポン。
 何か不吉な音が聞こえた気がして、青雀の方を振り返る。だが彼女に変わった様子はなく、先までの自分と同じく、壁画を見上げている。
「大丈夫だと思いたいわ……」
 気づけば止まっていた解説が、再開されるところであった。
「そういや俺、天義ってほとんど知らねぇんだよなぁ」
 ならばせっかくの休日だ。この期に天義という国を学んでみるというのも悪くはないだろう。
 だからこのツアーは渡りに船だ。隣でステンドグラスに彩られた天使について説明する青雀を横目で見つつ、ゴリョウはそう思う。適任者がこれ、というのは少々不安の感じるところではあったが。
「この天使は豊饒をもたらしたとされているものの、当時頻繁であった小諸外国への侵略を正当化――」
 なんか不穏当なこと言ってる気もしたが、気にしないでいこう。
 大丈夫。気づかなかったんだ。気づかなかったんだったら。
 天義と青雀。というか、天義in青雀。
 この組み合わせには、焔も警戒せざるを得ない。
 青雀の人柄については焔だってよくわかっている。
 危険な思想を抱いたり……は、よくある。かといって、過激な行動に出たり……も、よくあるね。あれ?
「どうしたッスか?」
 頭に抱いた疑念を振り払うと、いつの間にか青雀が自分の顔を覗き込んでいた。
 屈託のない表情を向けてくる顔。だが嫌でも映える渦巻状の虹彩に、不安感を煽られる。
 何でもないので、話を聞かせてほしいと伝えると、彼女は上機嫌で解説を再開してくれる。
 だが焔の胸中で、不安の種は取り除かれなかった。
「こういうのって『何故か』なかなか見れないんだよなぁ……門前払いだぜ? 酷くねぇ?」
「え、ペッカート先輩門前まで来れるッスか? いいなぁ、僕大体国境入りの許可も下りないッスよ」
 そりゃギルドも警戒してんだろう、とはペッカートも口にしなかった。
 歴史ある寺院は柱ひとつ、壁の彫刻に至るまで、旧世代の技術を持って作成されたとは到底思えない程の精微、絢爛さを誇っている。
「何年かけて造ったんだろうな。それに何人こきつかったんだ……?」
「え、何人使ってるか知りたいッスか?」
 何か意味が違うきもしたが、ペッカートは気にしないことにした。
「はいはい先輩! あの絵は何を描いてるの?」
「これは『漁村の命名』ッスね。たまたま立ち寄った聖人が、生まれたばかりの赤ん坊に名前をつけているッスよ」
 フランが元気よく手を挙げて行った質問に、青雀が答えている。
「へー、その人って何した人なの?」
「最も魔女を仕留めた人ッスね。この時代だと、魔女というのは――」
 すらすらと説明する青雀に、フランは目を輝かせている。連れ立った仲間たちが不安げな顔をしている気もしたが、きっと気のせいだ。寺院関係者に聞かれたら大変なことを言ってそうなのも、気のせいだ。
 ガチャ……ポン。
「あれ、今なんか変な音が――」
 動きの止まった青雀を、クリスティアンとロクは警戒の意識で見守っていた。
 青雀の人格を信じていないわけではない。だが、彼女のギフトはそれを台無しにして余りあるのだ。
 皆も全自動型ギフトを作るときには周囲への確執に気をつけような。
「丸■■帯び■■白■の書……」
 そんな事を考えていたら、なんか青雀が聞き取りにくいことを言い始めた。混沌で聞き取れない言語はないはずなので、きっとこっちの脳が処理を拒否しているんだろう。
「優し■世■■滅ぼ■方。■■十三■案。七十■節――」
 あ、これアカンやつや。
 それを悟った王子と犬の反応は早かった。
「「あっ!! あそこに魔種が!!」」
 それを聞いた警備中の聖騎士の反応も早かった。
「「「何ィ!? 魔種だと!!!!」」」
 そこで王子がフラーッシュ。周りを犬が駆け回る。
「フッ……僕の神々しい輝きに、魔種は恐れをなして逃げて行った。安心するがいい……」
『神々しい』という単語に一瞬反応した聖騎士だが。
「ほら! 警備員さんたち! 王子の聖人オーラのおかげで魔種は尻尾巻いて逃げていったよ!」
 ロクが力強い力強さで力強く納得させた。
 聖騎士はうまく事態が飲み込めずに圧倒されている。
 皆、青雀は持ったか!
 よし、逃げるぞ!!

●ノンレリジオスクルセイダーズ
 何を残したかで価値が続く。何に染まったかで意味が決まる。

 僅かな時間だけ、警備の聖騎士達が妙なピリピリさを見せた気もしたが、祭は滞りなく進行していく。
 気づけば夕の時。沈みかけた日が、一日の終りを知らせるように最後のオレンジを見せてくれる。
 少しだけ長い休日も終わり。
 そう思うと寂しくはある。だが楽しい思い出が未来の糧となり、また思い出をと望む希望が活力となってくれる。
 少しだけ汗ばんだ首筋に、陽気もここまで来たのだと実感させられた。
 誰に言われるでもなく。
 確かにもうそこまで、夏が来ているのだ。

 了。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

最後のがSSR。

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