PandoraPartyProject

シナリオ詳細

紫櫻

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●紫色の
 嗚呼、これはどうしたことだろう。この花が咲くにはまだ早いというのに。
 男はただ、それの前で立ち尽くしていた。魅せられている、と言うべきか。
 見事なまでに咲き誇るそれは月明かりに照らされ、綺麗で──とても禍々しい。

 不意に、幹の一部が膨れ始めた。歪になったそれは人の形をとり、音にならない声を上げる。同時、それの枝は蔓のように伸びて男を絡めとり、引き寄せた。
 くぐもった声とともにその体は幹へ叩きつけられ──しかしゼリー状の何かへ包まれるが如く、ぬるりと幹に取り込まれる。
 そうして男の姿が消え、幹に現れていた人の顔もまた消えて。

 さわさわと風に枝を揺らされ、紫の花弁が散る。ひらり、ひらりと舞い落ちる。
 美しい紫の桜は、何事もなかったかのように咲き誇ったまま。

●人を呑む桜
「突然いなくなった、ですか」
 『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)は難しい顔をして街を歩いていた。今回ユリーカに寄せられた依頼は人探し、であったがどうにも腑に落ちない。
(調べれば調べるほど、いなくなった人が増えるのです)
 しかも身分も年も性別もバラバラ。共通点も見当たらないものだからさあ困った、というやつだ。
(皆さん、外には出られていたみたいですが……一体どこへ?)
 行方不明者の中にはちょっとそこまで、程度の散歩に出た者も少なくない。短時間の外出で行方をくらませるのなら、人が関与しているのだろうか。
「──この人を知っているのですか?!」
 人探しをして暫し、やっと手がかりらしき情報が掴めたユリーカは声のトーンを上げた。目の前の老人は「知っているとも、」とユリーカに頷く。
「化け桜に行くと言っておった」
「……化け桜……ですか?」
 なんだか嫌な感じの流れだ。自分だとどうしようもならない──人探しの範疇に収まらないことになりそうな。
「お爺さん、そのお話……出来る限り教えて欲しいのです!」

 ──かくして。ユリーカの予想した通り、以下の依頼があなた(イレギュラーズ)たちの元へ届いたわけである。

GMコメント

●成功条件
 化け桜の破壊

●情報精度
 当シナリオにおける情報精度はAです。
 不測の事態は絶対に起こりません。

●化け桜
 元は『早咲きの桜を見たら戻れない』という噂の肝試しスポットだったようです。
 今となっては人を飲み込み養分を得る、紫の花弁を持った大きな桜となっています。枝は蔓のように伸び、花弁は肌を傷つけます。
 養分となる人間をたっぷりと溜め込んだのか、イレギュラーズを取り込む動きは見られません。
 EXAに優れ、移動はしません。幹を狙う場合は回避が著しく下がる代わりに防御が上がります。

枝:物超貫。枝が突き抜け、貫きます。【万能】
花:舞い散る花弁は対象を切り裂き、惑わせます。【混乱】
声:神特レ。自身を中心として半径レンジ2。人の顔が幹に浮かび、音なき声を発します。【無】【不運】

●PL情報
 人が取り込まれたことについてはPL情報に該当します。しかし上記『声』の場合でなくともぽこぽこ人の顔が出てくるため、戦闘中に推測可能です。
 取り込まれた人間は助かりません。これは実際に助けるプレイングをかけ、結果として見えなければPCには落とし込めないものとします。ご注意ください。

●ご挨拶
 花粉にやられています。愁と申します。
 春が近づいてきていますね。桜前線、なんて単語もちらりと耳にしますが……当依頼の桜はさっさと枯らしてしまいましょう。
 ご縁がございましたら、どうぞよろしくお願い致します。

  • 紫櫻完了
  • GM名
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年03月17日 22時20分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)
白銀の戦乙女
アリシア・アンジェ・ネイリヴォーム(p3p000669)
双世ヲ駆ケル紅蓮ノ戦乙女
シュバルツ=リッケンハルト(p3p000837)
死を齎す黒刃
アルテミア・フィルティス(p3p001981)
銀青の戦乙女
クーア・M・サキュバス(p3p003529)
雨宿りのこげねこメイド
風巻・威降(p3p004719)
気は心、優しさは風
如月=紅牙=咲耶(p3p006128)
夜砕き
鴉羽・九鬼(p3p006158)
Life is fragile

リプレイ

●早咲きの桜を見たら
「戻れない……か」
 小さく呟いた『青き戦士』アルテミア・フィルティス(p3p001981)は隣を歩く『Life is fragile』鴉羽・九鬼(p3p006158)へ、気づかわし気に「大丈夫?」と声をかけた。九鬼は頷く──ものの、その顔色は冴えなく視線は落ち着かない。やがて、九鬼の口からは重い溜息が零された。
「うぅ……肝試しだなんて、皆さん怖いもの知らずの死にたがりです……」
 失踪事件から辿りついた化け桜の存在。繋がりが無いとしても桜を放置しておくわけにはいかないし、何より──。
(今回の失踪事件に関わっている可能性は高いでしょうね)
 行方の知れない人間は肝試しに行った者ばかり。言葉を返せば、肝試しに行った人間は確実に帰ってきていない。付随する噂にも合致しているのだから、桜自体に何もなくとも手掛かりはあるはずだ。
 警戒の色を濃くするアルテミアの耳へ、不意にのんびりとした声が聞こえた。
「拙者、少し興味が湧いてきたでござるよ。はてさて、正体は如何なるものでござろうか?」
「きょっ、興味……!?」
 楽し気な『黒耀の鴉』如月=紅牙=咲耶(p3p006128)。彼女に九鬼が『信じられない』というような視線を向ける。
 知らないものほど知りたくなるものであり、同時に知らないままでいたいと思うのも心理というやつなのだ。
「桜の木の下には死体が埋まっている、とは故郷の作家さんのお話だけど」
「聞いたことがあるのです。これは、そういうことなのでしょうか」
 『瞬風駘蕩』風巻・威降(p3p004719)と『こげねこ』クーア・ミューゼル(p3p003529)が視線を交錯させる。
 そういうことなのだろうか。そうなのだろうと何となく、予想している。
「今更な話だが、本当に混沌は何でもありだぜ」
 やれやれ、と言った風情で『死を齎す黒刃』シュバルツ=リッケンハルト(p3p000837)が肩を竦めた。敵が植物という珍しい部類だが、驚愕するというほどでもないのだろう。元より相手が如何なる相手だろうとシュバルツには関係ない。
「見えてきたわ」
 アルテミアが正面を見て声を上げる。ひっ、と九鬼が小さく悲鳴を漏らすが、ここまで来てはもう戻れない。
(怖いのは苦手だけど、妖の類は斬った経験もあるし……が、頑張らなきゃ……)

 かくしてイレギュラーズは、恐ろしいほどに美しい紫の桜へ到達した。


●妖しの紫
(早咲きの桜も風情があって良いと思うでござるが──)
 それにしたって時期尚早、と言わざるを得ない。咲耶は先ほどまでの穏やかさを潜ませ、僅かな違和感も見逃さまいと桜へ鋭く視線を向ける。
「延焼は気にしなくて良さそうなのです」
「そのようね」
 クーアと『ひとりの吸血鬼』アリシア・アンジェ・ネイリヴォーム(p3p000669)は周囲を見渡して互いに頷いた。アルテミアは警戒を解かず辺りを見て──地面でその視線を留める。
「これは……?」
「引きずられた跡、のようでござるな」
「こっちにもあるみたいだよ」
 威降が軽く手を上げてアルテミアと咲耶へ場所を示した。その足元にも2筋の、土が軽く削られた跡がある。皆で探せば──消えた痕跡もあるだろうから、恐らくもっと多いだろうが──複数見つかった。
「……桜に向かって……?」
 アルテミアは訝し気に木を見上げた。1歩、2歩とゆっくり近づいていく。

 ──枝がうねった気がした。

 やはり、と言うべきか。
「ただの桜じゃないわね……皆!」
 後ろへ跳び退きながらアルテミアは刀を引く。彼女がいた場所には一瞬ののち、紫の花弁が降り注いだ。
 『言うほどくっころしそうにない』シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)がアルテミアの名を呼べば、力強い返事が飛ぶ。心配なさそうだ、とシフォリィの視線は咲耶の方へ。
「先に私が」
「承知でござる」
 もはやここは戦場。長くは語らず示し合わせる。
 そんな彼らよりもひと足──いや、ふた足も早く飛び出す影があった。
「火事一犯はメイドの基礎なのです!」
 心底嬉しそうに──そして自らの欲する紅蓮を目指して赤を放つクーア。花や枝に移った赤が消えゆく頃、ぼこぼこと桜の幹が歪む。
 そこから発せられたのは、声。音として認識するものではなく、しかし声であると全員が認識した。同時にアルテミアの中で1つの仮説が浮かび上がる。
(まさか、失踪者たちは……いいえ、失踪者たちは、)
 その仮説はすぐに、仲間によって確かとなる。
「あれは……行方不明者の顔でござるよ!」
 記憶に残る情報と結びつけた咲耶が声を上げた。シュバルツは忌々し気に紫の桜を見上げる。
「ったく、こんだけ色鮮やかに咲き誇ってるのは"そういうこと"か」
「『人を喰らう桜樹』……"精神美"や"純潔"という桜の花言葉からかけ離れ過ぎてるわね」
 アリシアはどこかで知ったその知識と目の前の現状を比べて、小さく頭を振った。
 その切欠が何であるかは定かでない。けれども桜は咲くために養分を欲し──人間を喰らったのだ。
「皆さん、どうしますか……!」
 皆の後方から九鬼の声がかかる。その反応は全員からとまではいかないが、示された想いはどれも『助けたい』というもので。
「出来る事なら助けたい、とは思いますね」
「うむ。拙者も可能性があるままむやみに切り捨てれば、寝覚めが悪いでござるので」
「出来るだけやってみよう。駄目なら……早く楽にしてあげようか」
 仲間の意見を無碍にする者はいない。シフォリィは仲間が救助へ集中できるよう、桜の敵意を自らへ集めにかかる。
「数多の人を取り込んで咲かせた花は、全てここで散らせます!」
 ファルカウの加護を持つ大剣を掲げると桜がさわさわと揺れ、どことなく意識を向けられたことが肌で感じられた。
 素早く桜の根元へ踏み込んだのは黒の影──シュバルツだ。その手に持った儀礼剣は強力な呪いを帯び、取り込んだ者を離せと言わんばかりに桜という化け物を苦しめにかかる。そこで踏みとどまることなく引いたシュバルツにかわり、別の方向から肉薄したのは雷のような一筋の光。
「──はぁっ!」
 放ったのは笠を被った九鬼。浮かんだ顔の周りを削ぐように放たれた2度目の太刀風とほぼ同時に、咲耶が反対方向から接近してレジストクラッシュを叩きこんだ。その感触は本来の木より硬く思わされるが──。
 ひらりと花弁が舞う。否、舞ったのは無数の煌めきだ。アルテミアの持つ剣が桜の表皮を削ぐように、流麗な軌跡を描く。
 それでもまだ、桜が人々を吐き出す様子はない。
(正に桜の化け物、化け桜だ)
 何故こんなものを見たいのか、と威降は思わずにいられない。そして本当に助けられるのだろうか、とも。
 けれど、先ほど言葉にしたように──出来るだけやってみるほかあるまい。
 威降から飛ぶ斬撃が放たれる。同時、アリシアも桜へ肉薄した。自らの血を用いて放たれる剣技。薄らと紫を帯びた炎が武器にまとわりつき、それは勢いよく袈裟懸けに振り下ろされた。

 何度目の後退になるだろうか。
「シフォリィ殿!」
「はい、お願いします!」
 咲耶が桜の注意を引きつけたことを見届け、シフォリィが一旦下がる。回復手が少ない以上、おのずと回復手段は限られる。常より殊更、1人でも欠けてはいけない。
 シフォリィは白き炎を手から武器へ纏わせ、桜の中心となる幹へ向かって行った。
 一方、桜の敵意を一心に受ける咲耶は度重なる攻撃を躱し、いなし、受け止める。しなやかな猫のように動く様は、確実に忍者としての実力を取り戻している証であろう。
「まだまだ、このような動きでは拙者を捉えられぬでござる」
 咲耶が桜の注意を引き続ける後方ではアリシスが柔軟に回復手へ回っている。傷が目立ち始めれば仲間へハイ・ヒールを。そして──。
「あわわわわ……!?」
 舞い散る花弁に目を白黒させる九鬼、何か違うものを見ているかのように適当な場所へ──それこそ仲間へも──刃を向ける。
 幹に浮かんだ人面が音なき声を発したのを身で感じ、アリシアは咄嗟に超分析で仲間をフォローにかかった。クーアの蹴りが鋭く入り、咲耶が再び注意を引きつけていく。
 だが。
「──皆! 恐らく取り込まれた人間は助けられないでござるよ!」
 そう声を発したのは攻撃を重ねつつも注意深く桜を、そして人面を観察していた咲耶だった。──そして、それは薄々イレギュラーズが感じていたことでもあっただろう。
 体は木と一体化し、その顔から自我は感じられず。咲耶や九鬼が助けられないかと試してみたことは悔しいながらも残念な結果に終わってしまったのだ。
(これ以上は、私たちが倒れて依頼を遂行できないかもしれない……)
 九鬼は静かに目を閉じ、しかしすぐに覚悟を秘めた瞳が露わになる。
「せめて、魂に救いがありますように……」
「ええ。手向けは私たちで、やりましょう」
 アリシアや他のイレギュラーズたちも九鬼同様、すぐさま気持ちや意識を切り替えた。シフォリィはB・フェニックスで木に現れた顔を容赦なく叩き潰す。
「……人を取り込み、あまつさえその尊厳すら愚弄するのなら。たとえ花を咲かせるためであろうと、決して許されはしません!」
 シフォリィが離れるとすぐさま、クーアがひらりとその根元へやってきて。
(助けるためには火は良くないと思っていましたが)
 助けられないのなら、解禁だ。
「──この桜諸共焼き尽くして餞とするのです」
 嬉しそうに笑ったクーアの手元で赤が揺らめく。紅蓮の炎が桜の花弁を、そして人面を生やした木の幹を燃やす。
 まるで悲鳴のような──けれどやはり音にはならない──声が響き渡った。体が鈍重になるような、嫌な事が起こりそうな感覚。咲耶の脇を枝が貫き、ぐっと歯噛みしながら反撃を飛ばす。
「あともう少しです……!」
 九鬼が幹へ鋭い一撃を叩きこむ。それは目に見えるものだけでない。精神、絆、縁──見えぬものさえも断ち切る超常の剣技。
 荒ぶるのは自らの命が危機に晒されているからだ。枝をしならせ、花弁を舞わす桜へ、その隙を突いた刺突が加わる。それは威降の持つ技──風巻流小太刀、奥伝の一。さらに溜めていたアルテミアが収束させた魔力を一気に解放し、あらゆるモノを断ち切る斬撃を放つ。
 半分ほどが抉れるように裂かれ──しかし、まだ魔の気配は消え去らない。
 執念、執着と言うべきか。
「季節巡り、春の僅かな時期に精一杯咲き誇るからこその桜なんだよ」
 シュバルツはそう告げ、剣呑に桜を見上げる。──その影が、伸びる。
 どんなに花が綺麗だろうが、人間を喰らい、いつまでも咲き続けるこの桜は桜でない。ただの、化け物だ。
 不満を漏らすようにざわざわと枝を揺らす桜へ、シュバルツは不敵に笑ってみせた。
「散るのがそんなに未練かよ。良いだろう、俺が──俺らが引導を渡してやる」
 その、足元から。影で構成された無数の刃が、桜を切り裂いた。


●春はすぐそこに
「これは……」
 化け桜だったモノの根元で、アルテミアは息を呑んだ。手伝っていた咲耶とアリシアも言葉を失う。
「恐らく行方不明者のもの、でござろうな」
 骨、骨、骨。表層にあるものはまだ肉が腐り落ちる途中だろうか。すっかり白骨化した死体から金属のネックレスを外し、アリシアはその胸に掻き抱く。
 これを、これらは遺族へ返してやらねばならない。死んだ者を家族の元へ帰して、見送ってもらわねばならない。
 ──もう少し早かったら、誰か1人でも生きていたのだろうか。
 そう考えてしまうのは仕方ないこと何かもしれない。
(最期を見送る側は、何時だって苦しいものだわ……)
 ごめんなさい、という謝罪の言葉は誰へ当ててのものか。
「……ここから少し離れたところに昔、とある魔術師さんが来たそうです」
 アルテミアと咲耶がはっと振り返ると、地面へ視線を落とした九鬼がいた。
 魔術師は村の住民へ、どこぞより持ってきた木の苗を植えたいと言ったそうだ。すげなく断ったが、魔術師が去って数年後、ここには小さな木が伸びていたと言う。
「どうして断ったのかはわかりませんでしたが……その時の村長さんが死ぬ間際に「あの木には近づくな」って言っていたらしいです……」
 木の由来などを予め調べに回っていた九鬼だが、その魔術師が関わっているであろうことしか知り得なかった。けれども今なら分かる。
「なので、そこから見えてるそれが多分……」
 九鬼が指差した先は、丁度桜の真下に当たる部分。最も深く掘り返され、見つかったのは白骨死体と──抱きしめるようにしている、ソレ。
「これが……この、杖が?」
 アルテミアはそっと人骨の腕を退け、小さな杖を見下ろした。咲耶が「成程」と小さく呟く。
「魔術師が最後にかけた魔術……いや、呪いでござろうか」
「ええ……浄化か、封印を依頼した方が良いでしょうね」
 杖へ伸ばされた手は、しかしそれを掴むことができなかった。
「……あ、」
 誰の声であっただろうか。触れようとしたアルテミアだったかもしれないし、傍らで見ていた咲耶やアリシアのものだったかもしれない。或いは、更に離れた場所で見下ろしていた誰か。
 杖は誰の手へ渡ることもなく、砂となって零れ落ちたのだ。
(2度と同じことが起こらないように、と思ったけれど……もうそんな力もなかったのかしらね)
 アルテミアは緩く頭を振り、遺品集めへ取り掛かる。
 そんな彼女らの姿に──否、そこへ横たわる亡き行方不明者たちに、威降は目を伏せた。
 肝試し、と自らの意思でここへ赴いた者が殆どだろう。自業自得、自己責任という言葉が脳裏に浮かばないわけでもない。けれどそんな言葉で片づけてしまうには、此度の件は酷いと思うから。
(安らかに眠れるといいな……)
「……助けられなくて、ごめんよ」
 零れ落ちた呟きは巻き上がる風がさらっていく。きっと天まで届けてくれることだろう。

 春の訪れを感じさせる風が、イレギュラーズたちを包み込んだ。

成否

成功

MVP

シュバルツ=リッケンハルト(p3p000837)
死を齎す黒刃

状態異常

なし

あとがき

 お疲れさまでした。
 継戦能力に重きを置いたタンク、そして貫通攻撃対策が見事でした。
 ラファールの貴方へ。不吉を撒き散らす桜に対しヒット&アウェイの動き、それを可能にするEXAの高さ。今回のMVPをお贈りするのに相応しいと感じました。

 それではまたご縁があれば、よろしくお願い致します。

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