PandoraPartyProject

シナリオ詳細

DOKI☆DOKI 異性装コンテスト

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●カオスなブーム
 その街、リシャールでは、今とある行為が流行っていた。
 始まりは、旅芸人の一座がやって来た事から。
 見目麗しい旅芸人たちの芸は、華麗かつ上品で、街の人々の心を奪ったが、一番の人気の理由は彼らの特殊性だった。
 彼らは、自身の本来の性別の格好をせず、異性の格好をし、それぞれがその性別に成り切ったのである。
 普段は可憐な女性も、まるで輝くばかりの王子様になり、普段は浮名を流しているような色男が、妖艶な踊り子になる様は、市民にとってはとてもセンセーショナルに映ったらしい。
 瞬く間に異性の格好をする文化が広まった結果、街は性別不明な若者で溢れかえるようになった。
 勿論、全員が美形たちばかりではないため、似合わない者も多くいたが、彼らのコミカルな風貌も、実は結構人気があるらしく、外からやってくる観光客からは大人気だった。
 風紀を乱す内容であれば問題になっただろうが、楽しむ市民は犯罪を起こすわけでもなく、街はとくにトラブルになることもなかったため、むしろ栄えたこともあって、貴族たちも別段何も制限をしなかった。
 その後、旅芸人の一座が去ってからも、そのブームは衰えるどころか一層盛り上がり、終にはコンテストが開かれる事になったのである。

●景品がどうしてもほしい!
『蛍火』ソルト・ラヴクラフト(p3n000022)は、依頼書を見ながら、嫌そうに顔を顰めていた。
 依頼書には、「異性装コンテストの優勝賞品である、マジカルパレットを手に入れてほしい」と書かれている。
 依頼人は、ベン・テイラーと記載されていた。
「珍しいですね、ソルトさんがそんな嫌そうに依頼書を見るの」
 ユリーカ・ユリカ(p3n000003)が、そう声をかけると、ソルトが大きく伸びをした。
「ん、まぁ、な」
「そんな嫌な依頼ありましたか?」
 色々な依頼が舞い込んでくるローレットは、色物からシリアスな依頼まで様々である。
 ソルトの依頼は比較的どちらかと言えば色物だったが、それらを今までソルトは別段嫌がってはいなかったこともあって、ユーリカは不思議に思ったようだ。
「嫌、というか、我の好みの問題だな。我は男も女も年寄りも子供も、なんでも大好きだが、そのままの性別である姿が好きなのだよ。いや、勿論心が女性で女性の格好をしたいとかであれば、それは良いのだがな。我は心の性別の姿で愛したいのだよ」
 ユリーカは、ソルトの言葉に胡乱な視線を送った。
 否定する気はないのだが、ユリーカとしては、「そんなの知らんがな」と言う話である。
 依頼書の内容を覗き見ると、依頼主の奥さんが、今度やる異性装コンテストの優勝賞品である、マジカルパレットと呼ばれるものがどうしても欲しいが、どうも容姿が悪いらしく、代わりにローレットのメンバーにそのコンテストに出て優勝してもらい、ゲットしてほしいとの内容だった。
 旦那さんの容姿は、言っちゃ悪いが大きな熊であり、彼もおそらく優勝は難しいだろう事がうかがえる。
 ローレットのように人材が豊富であれば、優勝できる人がいると踏んだのは、中々の慧眼だろう。
「このマジカルパレットってなんなんでしょう?」
 ユリーカは依頼書の中身に不思議そうに首を傾げた。
 ソルトは、その言葉に顔をあげて、説明する。
「最新の化粧品らしい。我は化粧をしないので詳しくは分からないのだが、非常に高価らしく、貴族の娘でも中々買えないくらいの代物らしい。デザインを見たが、かなり凝ったデザインだったから、もしかするとそっちの関係で高価な代物になっているのかもしれないのだよ」
 見れば、アンティーク調のお洒落なデザインをした化粧品のセットが描かれていた。
 確かにこれは欲しいかもしれない、とユリーカは思った。

●参加者募集!
「おお、十分集まったな。集まってくれて感謝なのだよ」
 中々個性的な依頼だったが、ある程度の人数が集まり、ソルトはほっと胸をなでおろした。
 なにせ、最悪ソルトも借りだされる可能性もあったのである。
 他人の異性装に対してさえ、妙な拘りのあるソルトにとって、自分でやるなんてもってのほかである。
 何より嫌なのは、優勝もできず、笑いも取れない事である。
 残念なことに、ソルトの容姿は、女装したとしてもありはありだろうが、特別似合っているとも断言できず、お笑いになる程突き抜けてもいない仕上がりになるのは想像に難くないのだから、絶対にやりたくないのがソルトの本音だった。
 それゆえに、イレギュラーズたちへ押し付け、いやお願いを受けてもらえるのは非常に嬉しい事だった。
「内容は簡単だ。依頼書を見て分かったと思うが、汝たちには、異性装コンテストに出てもらい優勝してもらいたいのだよ。格好はどんな系統でも良いが、審査員の好みに合わせたりすることでポイントは高くなるだろうから、各自しっかりと考えてほしい。美しさ勝負なのか、ネタ枠なのかも重要らしい。場所は、ここな。馬車で2日あれば行ける距離なのだよ。あ、ちなみに汝らの雄姿は我がしっかりと絵に描き起こすので安心してほしい」
 ソルトは、審査員の好みなどの記載された紙を面々へと配りながら、にっこりと楽しそうに笑っていた。

GMコメント

ましゅまろさんです。
コミカルな依頼をお届けします。(`・ω・´)
シリアス要素はありません。

異性装コンテストでの優勝が、成功条件です。
勿論、一般の参加者さんもいるので、頑張らないと優勝できないパターンもあります。

男性は女装、女性は男装する必要があり、性別不明者についてはどちらでも良いですが、どっちかに寄せないと異性装にはなりませんので、普段のままでとっちにも見えるはNGです。
(化粧や仮装を頑張ってください!)

プレイングで熱い思いをぶつけてください。

審査員は、5人います。

・ロリショタ大好きな、マリー。(32歳・女性)
→可愛い恰好が好き。合法は正義との主張。
・個性的な衣装を好む、ジャック。(42歳・男)
→大人しいのはつまらない。斬新なデザインや言動、大胆なアピールが好き。
・趣味は大人の同性同士のラブロマンス小説執筆の、マリー。(21歳・女)
→キラキラ美しいのが好き。ガチムチ系は苦手らしい。
・ちょっとえっちなのが好きな、シエン。(28歳・男)
→男の娘や、僕っこに萌えを感じるらしい。ちょっと露出度が高いと高ポイントをあげてしまう傾向あり。
・おねぇな花屋の店長さん、エリザベス(本名不明・年齢不詳)
→超絶雑食だが、獣耳に萌えを感じる。

なお、アピールは人に危害を加えない程度に、OKです。
(剣舞とか)

楽しんでください!!

※注意※
相談期間、短くて4日ですのでご注意ください。

  • DOKI☆DOKI 異性装コンテスト完了
  • GM名ましゅまろさん
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年03月13日 22時20分
  • 参加人数8/8人
  • 相談4日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧 (8人)

透垣 政宗(p3p000156)
有色透明
八田 悠(p3p000687)
あなたの世界
クローネ・グラウヴォルケ(p3p002573)
幻灯グレイ
村昌 美弥妃(p3p005148)
不運な幸運
凍李 ナキ(p3p005177)
生まれながらの亡霊
アオイ=アークライト(p3p005658)
機工技師
ユー・アレクシオ(p3p006118)
不倒の盾
イーフォ・ローデヴェイク(p3p006165)
水葬の誘い手

リプレイ

●コンテスト会場
 美しく整えられた街並みの中、一際派手なデザインの舞台ステージが設置されていた。
 いかにもファンシーなデザインの舞台は、ピンクと白色を基調とし、ハートマークや大ぶりの派手な花でデコられている。
 広場には、よくぞここまで集まったと言わんばかりの人で溢れており、彼らがいかにこのコンテストを楽しみにしていたかが分かる。
 審査員たちは、すでに席に着き、参加者たちを迎える準備は万端である。
 舞台の袖では、参加者たちが、自身のアピールを、再度頭の中でシミュレーションしていた。

●舞台袖の一幕
「しかし、似合うッスね」
 クラシカル系のゴシックに身を包んだ、『意味深百合クラスタのアイドル』クローネ・グラウヴォルケ(p3p002573)が感心した様子で、露出度の高い巫女服の格好をした、『しがない透明人間』透垣 政宗(p3p000156) へと声をかけた。
「まぁね。自分の魅力は理解してるつもりなんだ。だって僕は可愛いでしょう? 女装には慣れてるし、なんなら普段から間違えられるもの。それに、今日のためにハンマーして、クラスまで変えてきたんだから仲間にだって負けるつもりはないさ」
 政宗の言葉に、クローネが「すごいッスね」と呟いた。
 男性であれば、露出度が高いと、ごつく見えてもおかしくない筈だが、政宗の格好は一切違和感がないのが恐ろしい。
 しかし、政宗だけではなく、他のメンバーを含めて、その自信も決して過信ではないだろうとクローネは思った。
「本当に私達、男の方が多いんッスよねぇ……?イレギュラーズって本当に分からない……」
 イレギュラーズには、確かに年齢不詳や性別不詳は結構多いが、やはりこの任務につくだけあって、皆、中低的な容姿のメンバーばかりだ。
「でも、なかなか面白い大会デスねぇ。これは依頼抜きにしても優勝は狙ってみたいデスぅ!」
 『不運な幸運』村昌 美弥妃(p3p005148)もまた、意気揚々と抱負を語る。
 ゴシックロリータ系のファッションは、貴族の幼い少年を彷彿とさせる可愛らしい恰好である。
 服装こそ、クローネと似ているが、決定的に違うのは二人の持つ雰囲気だった。
 美弥妃は、明るく優しい可憐な花の様、クローネは儚くミステリアスだ。
 共通しているのは、二人とも胸が控えめだったことで、それが幸いし、すっきりと纏まっていた。悲しい事に。
 学生服もどきの服に身を包んだ『祖なる現身』八田 悠(p3p000687)は、複雑な面持ちで皆を眺めていた。
「異性装ねえ……」
 実感は無くても、かつては男子高校生だったと自認しているため、なんとも言い難い気持ちなのである。
 ただ、やるからには手をつくつもりはない。
 今の容姿はかつての男子の姿とも全く関係がない事は救いだった。
 『小さな亡霊』凍李 ナキ(p3p005177は、一般参加者と仲良く話している。
「ボクは男の子だから、女の子に間違われるたび、男の子らしくありたいと思ってたけど……。でも、こういうのが流行ってるなら、やってみてもいいかなって」
 なんでコンテストに出ようと思ったのかと尋ねられて、ナキはそう答えた。
 一般参加者と仲良くするのには意味がある。
 万が一、イレギュラーズたちが優勝できなかった場合の対策のためだ。
 ファンを増やせればなという思いもあったが、万が一一般参加者が優勝した場合は、何とか交渉でコンパクトを譲り受けられないかと話すつもりだった。
 『葵子さま』アオイ=アークライト(p3p005658)は、己の格好を見て、死んだ目で椅子に腰かけている。
「性装コンテスト……。なんでそんなのなんだ……」
 年齢の割に童顔の上、顔立ちも可愛らしいため、全く持って女装に違和感はない。
 しかし、似合っていると言われても複雑なのが男心である。
「仕事だ仕事、仕方ない。そうと決めたら全力で臨んで見せますわ!!」
 必死に己へと言い聞かせながら、アオイは拳を握りしめた。
 その様子を、『小さき盾』ユー・アレクシオ(p3p006118)が面白そうに見つめていた。
「口調まで女性になる必要ないんじゃないか?」
 その言葉にアオイがはっと顔を赤らめた。
「似合ってはいるけどな」
 そういうユーも、中々似合っている。
「女装には興味はあったからな、可愛い系に挑戦してみようかと思って」
「義肢って、色々な種類があるんだネ」
 『水葬の誘い手』イーフォ・ローデヴェイク(p3p006165)は、興味深そうにユーの手足を見つめて言った。
 今のユーの手足は、女性のようにほっそりとして綺麗なのである。
 見た感じ、作り物だとは気づかないだろう。
 イーフォは、容姿は端麗なものの、背が高いため、細身といっても女性のように細いわけではない。
 とはいえ、長身も立派な武器である。
 さすがと言って良いほど、スリットの入ったイブニングドレスは、その長身に映えていた。
「ぐ、この大人の色気は、女装していても羨ましい……!」
 アオイの言葉に、イーフォは楽しそうに笑った。

●コンテスト開始!
「さて、はじまりました! 司会はわたくし、マリーが進行させて頂きますわ。では、一番の方どうぞ”!」
 趣味は大人の同性同士のラブロマンス小説執筆の、マリーが明るい声で1番を呼ぶと、彼らのアピールが始まった。
 背の高いすらりとした体躯の女性や、男の娘のような綺麗な男性、はては受ける事を狙った美しいとは言い難いマッチョな男性のフリルドレスなどが順番に披露されていく。
 審査員たちの趣味が反映されるポイントは、やはり比較的王道なほうが高いようだ。
 時に大歓声の黄色い声、時に野太い男の絶叫、時に爆笑だったりと、相当なタイプの面子がいるらしい。
 順番に出ていき戻ってくる参加者たち。
 そして、イレギュラーズたちの出番がやってきた。
 腰までの長い黒髪のウィッグがさらりと風に靡かせながら、颯爽とした足どりで舞台へと進んでいくのは、政宗だ。
(見せる所はガッツリ見せて、見たい所は見えそうで見せない! それが僕の戦略さ。今日だけは、脇もお腹も太股も惜しげもなく出すよ……!)
 中々、えぐい事を思いながらも、政宗の仕草は清楚かつ洗練されていた。
 巫女と言うモチーフのためか、清純派を狙いつつも、あざとく程よい露出を混ぜているのは、男の娘大好きなシエンには大好評だったらしい、彼の笑顔は華が咲くようだった。
「見て見て、可愛いでしょう? これ、僕が作ったんだよぉ!」
 極めつけに、犬耳についたフードを被れば、会場からは男の野太い声が響き渡る。
 儚さを前面に出しながら、甘い声で囁く。
「僕にいーっぱい、(得点を)くれませんか……? お願いしますっ!」
 上目遣いに、政宗が言えば、ロリショタ好きのエリーが鼻血を抑えていた。
 次に出てきたのは、学生服を着た悠だ。
 中身が男子高校生と言う認識があるためか、その仕草は様になっていたが、不幸な事に(?)豊満なナイスバディは、少しばかり男装には不利なようだった。
「デンジャラスバディがサイコーですわ!」
 マリーのテンションがあからさまに上がる。
 この女の子が男装を無理矢理している感じがいいのです! とは彼女の熱い弁である。
 シエンは、これは男の娘ではない、と不満げに呟いているように見えるが、ちゃっかりと豊満なバストに視線がいっているのはバレバレだった。
(……もう完全に女を楽しんでないかって? うっさいな、仕事だよ! )
 ノリノリな様に見えて、実は結構やけくそだったりする悠だった。
 入れ替わるように、クローネが舞台へと進む。
 ちらりと見えた悠のグラマラスな体系を見て、ううむ、と思わず唸る。
 しかし、クローネの魅力は、その少し病的な退廃的な雰囲気にあった。
 会場の若い女性たちは、うっとりとした目でクローネを見つめている。
「……ああ、渇いた……。今宵、私の糧となる女は誰であろうか……?」
 貴族の品格を醸し出しながら、白い手で虚空を掴む様に、黄色い悲鳴が聞こえる。
 マリーのテンションは高く、小説のネタにでも使うのか、鼻息荒く、必死にメモを取っていた。
(……こんな感じッスかね…創作の吸血鬼って奴は……)
 決めポーズは、隠していた翼と尻尾だ。
 オネェのエリザベスが、力強く机に置いてあるベルを連続で強打している。
「いいわぁ! 女の子にはあんまり興味なかったけど、この子はイイ! 人外萌えよっ!」
「これぞ、闇の貴族というわけだな!」
 個性大好きなジャックの心もわし掴んだようだ。
 次の出番は、美弥妃だった。
 三つ編みにした髪と、小さな可愛いハットが、少しいたずらっ子そうな雰囲気を醸し出しており、愛らしい妖精の様だった。
 舞踏を披露するために、相手を軽やかに募れば、自分が自分がと男性の客が色めき立つ。
「さぁ、お手をどうぞ?」
 選ばれたのは安全面も考慮した、10代前半くらいの少年だった。
 にっこりと冗談めかして微笑みながらリードすれば、少年の顔は真っ赤に染まる。
「お上手デスよ!」
 少年ぽさを意識しながら、美弥妃が楽しそうに言うと、少年もまた満面の笑みを浮かべた。
 微笑ましい光景に、会場のボルテージは上がった。
 審査員の方へと、笑顔でアピールも忘れないそのパフォーマンスに、エリザベスが感心した様子で、激しく頷いていた。
「女は、そうやってアピールするべきなのよ!」
 エリザベスは、前向きだが、決して変に媚びないそのストレートな色気を気に入ったらしい。
 ナキは、仲良くなった一般参加者に見送られながら、薄手の透明感のあるロリータ服を翻しながら、優雅にターンをした。
 下手に女性のふりをするつもりは無かった。
 自然体でいく事こそが、良いのではないかと言うのが、考えた結果だ。
「あの子可愛い! 本当に男の子なの?」
「ちっちゃいなぁ!」
 一際小さいその身体は、本当に愛らしく、女性陣営も男性陣営も、デレデレとした顔でステージに釘付けである。
 手にしていた花束の花を一輪ずつ配れば、審査員たちもデレデレである。
「点ください!」
 ハートがついたその言葉は、言う人間が変われば、媚びているとも取られかねないが、幼い可愛さの前ではそんなフレーズは全く浮かばない。
 エリーに関しては息をしていない。

 ――手を出しちゃいけない感じが、たまらない!

とは、彼女の弁である。

 明るく踊りだしたのは、アオイだ。
「葵子(あこ)でーす」
 かつて依頼で変装したものと同じセーラー服を着用し、上からカーディガンを羽織った格好をしている、所謂女子高生風。
 メイクで目の下のクマはばっちりと隠れている。
 色々と吹っ切れているのか、仕草も口調も女性らしい。
 乙女らしい仕草や喋り方は、軒並み高評価だったが、その清楚なセーラー服は、シエンの心を掴んだ。
「あと、少し露出があれば完ぺき……!」
「分かっていないな、あの黒のタイツが良いんだよ」
 シエンの言葉に、ジャックがすかさず口を出した。
 見えない感じが良いらしい。
 可愛らしくアピールのターンをする時に、癒しの光の力を使うと、輝く光はスパンコールのように彼女を彩った。
(ぐ……っ、やっぱり恥ずかしい!)
 終始、演じているアオイだったが、男性陣の欲望交じりの視線を受けると、さすがにたじろいだ。
 しかし、真っ赤に染まるその表情に、男性陣は萌えたのだった。

●大人の色気組
 ここまではタイプは違えど、皆、可愛い系であり、少年や少女を狙ったものだった。
 しかし、残り2名は少し方向性が違った。
 ユーは、衣装も髪型も女性らしい可愛らしいものではあったが、人工的に作られている義肢が不思議な雰囲気を、ユーに持たせていた。
 内面のシニカルさが、良い感じに仕草に現れているのもあるが、色気があった。
「ポイントは、やはりこの身体でしょうか?」
 スカートの裾を掴みながら、ゆっくりとお辞儀をする。
 普段の男性口調ではなくなっている事もあるだろうが、そのフレーズにはどきりと男性陣は胸を高鳴らせる。
 少し無表情系なのが、ギャップがある。
「満面の明るい笑みもいいですが、あの余裕がある感じがいいです」
「あんた、何、ですます口調になってんの!? きもいわよ!」
 なんでか真剣な眼差しで、ですます口調になったジャックに、エリザベスが突っ込んだ。
「さっき、口調まで女性にならなくてもと言ったのに……!」
 ユーが女性口調で話す様を見て、アオイが唖然と呟いた。
 だが、いくら同じ仲間とはいえ、これもまた勝負である。
「ロリでもショタでも、どっちでもおいしいわね」
 エリーは、ユーの様子にやりと笑い、軽やかにステップを踏むユーを熱い目で見つめた。
 踊りが終わると、激しい拍手が行われた。
 最後は、イーフォの出番である。
 結い上げたウェーブのかかったウィッグに、スリットドレスを選んだイーファの一番のアピールポイントは、やはりその長い手足だろう。
 赤いルージュも妖艶であり、大人の色気を思わせる。
 キラキラ輝くラメも、ステージに反射して、美しかった。
「ふふふ、おれの演技力はちょっと自慢だヨ?」
 嫣然と微笑むその姿には、若いお嬢さんも目がハートである。
 アピールでは、異世界の人物が残した喜劇を演じる。
 ステージ映えするその体躯は、観客を魅了し、ほうっと熱いため息が会場から漏れた。
 気づけば、男連中も目を奪われていたのは、彼の不思議な魅力だった。
 その一幕が終わると、わっと会場が沸き、ステージ袖の参加者たちも大きな拍手を送った。


●優勝!
 結果発表の時がやって来た。
 参加者が、横一列に並びながら報告を待っている。
 イレギュラーズは、内心ドキドキはしていたが、皆が高評価だった事もあって、焦りはしていなかった。
 勿論、一般参加者も強敵だったため、結果は分からなかったのだが、精一杯やった結果なのだから、受け止めるつもりである。
「結果を発表します!」
 マリーの声が響くと、周囲がしんと静まり返った。
 観客たちも、固唾を飲んで審査員たちの様子を見つめている。
 マリーが、にっこりと笑みを浮かべて、優勝者の名前を読み上げる。
「優勝者は、艶やかな美女を演じた、イーフォ・ローデヴェイク!」

 ――総勢36人の出場者の中で、その栄光を手にしたのは、長身の美男子だった。

 その言葉に、イーフォが妖艶に緩やかにお辞儀をすると、観客たちから割れんばかりの歓声が上がる。
 優勝を逃してしまった出場者たちは、少しの悔しさを抱きながらも、大きな拍手を送った。
「おめでとうございます」
 優勝のトロフィーと、商品を手渡しながら、マリーが満面の笑みで握手を求める。
 その手を握り返しながら、イーフォがにこやかに会話の応酬をする。
 優勝の決めてなどを審査員たちが述べ、観客たちが、なるほど、と感心の声を上げているのを見て、ナキが大人の魅力系か、と少し納得した様子で呟いた。
 優勝は僅差だったとシエンが言うと、優勝できなかった参加者の少年が泣く。
 仲良くなったナキが、慰める様に少年の背中を撫でると、少年が泣きながらも快活に笑う。
 そんな彼らの奮闘を称えるように、観客たちは暖かな声をかけ、会場の熱気は最高潮に達した。

 こうして、コンテストは無事に成功をおさめ、依頼の品を手に入れる事に成功したイレギュラーズは、無事に帰路へとついたのだった。

●永遠に残るでしょう
「そういえば、ソルトさんが後ろの方で描いてたッスね」
 帰りの馬車で、クローネがそう零した。
「あとで、一枚くれると言ってたデスよ!」
 美弥妃が、ダンスを踊った少年から、別れ際に貰った花束を嬉しそうに眺めながら、そう返すと、アオイだけがびっくりした様子で大きな声を上げた。
「雄姿を書き起こすって何!? ちょっと待って! ねえ!!?」
 アオイがそう叫ぶと、他のメンバーは顔を見合わせる。
「え、気づいていなかったの? 結構、目立ってたよね」
 政宗が、信じられない、と愛らしい目を瞬かせる。
「そういえば、アオイは結構てんぱっていたよな」
 コンテスト中の、様子を思い返してユーが言うと、皆がなるほどな、と呟いた。
「俺のは捨ててもらいたい!」
 アオイがそう慌てるも、しかし、時は既に遅すぎた。
 ソルトによってしっかりと描かれた絵たちは、もう街の目立つところに飾られてしまっていたのである。
「下げてもらうのは無理だと思うッスよ」
 クローネが、そう言うのには理由がある。
 審査員たちは、事の他イレギュラーズたちの異性装が気に入っており、個別に声をかけられていたからだ。
 絵姿を飾らせてほしいと、真摯な態度で言われて、クローネも許可した。
 よく見ると、皆中々に精巧な珍しい品を抱えているではないか。
「私は、この懐中時計を貰ったッス」
 アンティーク調のその品は、中々値の張るもののようだ。
 アオイが俺は貰ってない、と言おうと口を開こうとしたのを、イーフォが指をソルトのほうへ向けて止める。
 視線をやると、ソルトの頭にかなり高価だと分かるお洒落な帽子が乗っていた。
 出場していないのに、こんなものを持っている理由は一つだけである。

 瞬間、声にならないアオイの叫びが、空気に溶けた。

 他のメンバーが、慰める様に話しかけたが、アオイの付近だけしばらく暗かったのは言うまでもない。

成否

大成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

依頼お疲れ様でした!(`・ω・´)
皆さんの異性装に対する熱い思い、確かに受けとりました!
皆さんを優勝にしたかったですがそうもいかず……!
ありがとうございました!

今回、体調不良にてリプレイ返却が遅くなってしまい、大変申し訳ありませんでした。

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