PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<XEOIX>22219

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●恐怖かくありき
 老人と、本と、庭の光景であった。
 ウッドデッキに揺れる安楽椅子。
 葉の落ちきった枝の揺れようが、首筋を寒くさせるようだ。
 しかし男は木製の椅子に腰掛けて、半袖のTシャツと丈の短いジーンズパンツのみを纏っていた。
 遮光眼鏡のブリッジを押して、口の端だけで笑う。
 肌の皺の寄りようから七十台ほどだろうか。グレーの頭髪は豊かで、冬の突風に随分と乱暴に靡いている。
 同じく突風に靡いた本のページを押さえて、文章の一部をなぞる。
「母様は、なぜ我々をこんな風にしたのだろうな」
 文章の一部にあった『恐怖』という文字で指が止まる。
 男は苦笑し、本を放り投げた。
 上半身だけの男と、下半身だけの女にぶつかり、本は土に転がる。
 取り外された部位は、うずくまるフードパーカーの男女がそれぞれ貪るように食べていた。
「お前たち。なぜそんなにゆっくりと食べる」
「落ち着いて食べなさいと、スティーヴン……あなたが」
 食べかけの腕を握ったまま、振り返るフードパーカーの男。
 黒人男性に酷似した肉体。首から上が巨大な芋虫の頭。紛れもない怪物の男。
 顔を上げた女も、また同様であった。
 スティーヴンと呼ばれた男は、遮光眼鏡を外して振り返る。
 彼の目は。
 彼の目だけは、蝶のような複眼であった。
「そうだった。落ち着いて食べろ。人間はみなそうするらしい」

●情報屋は語る
「全く別の事件だったんだ。『恐怖公』を見つけたのは」
 夜更けの酒場。グラスの端についた滴がコースターへと落ちる。
 『黒猫の』ショウ(p3n000005)はフードの端をつまんで、苦々しく言った。
「芋虫の怪物。その『貴族級』と目される個体が発見された。いや、集団というべきかな」
 もとは巨大な芋虫であった怪物たちは、急速な進化によってまるで人間のような形態をとり、その中でもとりわけ優れた能力をもった者が集まり貴族を名乗った。
 兵隊たちはレギオニーター。貴族級の指揮官はアリストクリエイターだ。
 彼らはとある幻想領主の城を占拠。無数の芋虫頭の怪物たちは9体のアリストクリエイターによって指揮されていたという。
 彼らは城を守る6体と、城下町を蹂躙すべく出かけた3人に分かれ、さらなる行動を進めている。
 ローレットにもその討伐依頼が回り、このチームはそのうちの一つである『恐怖公』スティーヴンの討伐が割り当てられていた。

「おっと……そう、『恐怖公』の話だったね。
 発覚の始まりは死体だった。
 食い殺されたわけでも、殴り殺されたわけでもない。
 ショック死さ。恐怖に顔を歪めてね」
 調査と情報収集の結果分かったのは、『恐怖公』スティーヴンが対象の恐怖を反射する能力を持っているということだ。
「彼は潜在的恐怖にとりつかれ。それによって羽化した貴族級の怪物。アリストクリエイターだ。
 対象の精神を暴き、恐怖の幻覚によって支配する。
 恐怖を克服できなければ、群がる配下のレギオニーターたちにゆっくりと食い殺されることになるだろう」
 ショウはグラスを手にとって、少なくなったブランデーを傾ける。
「奴の攻略法はただ一つ。恐怖を克服するんだ。それも、己から出た恐怖をね」

GMコメント

 ごきげんよう。こちらは連動シナリオのひとつ。
 スティーヴン編です。

 オーダー内容は貴族級アリストクリエイター・スティーヴンとその配下2体の討伐となります。

【恐怖抵抗パート】
 スティーヴンは対象の恐怖を反射する特別な能力を有しています。
 それを用い、討伐に訪れたPCたちを恐怖にとらえます。これに例外や抜け道はありません。

 戦闘開始時、PC全員は潜在的恐怖にとりつかれている状態から始まります。
 通常であれば5ターン行動不能に陥りますが、『プレイングにPCが最も深く恐怖していること。自らを強く攻撃してでも脱したくなるようなことを書く』ことで行動不能時間を最短1ターンにまで縮めることができます。
 行動不能から解かれた状態を便宜上『正気に戻る』と表現します。
(※戦闘中ずっとこの判定を行なうのは無理があるため、開始時に一括で判定しています。メタですが)

【エネミーデータ】
●スティーヴン
 形而面で羽化した『貴族級』アリストクリエイター。
 70台の老人に似た容姿をしており、目だけが蝶の特徴を残している。
 非常に俊敏で強力だが、相手が恐怖にとらわれている間は攻撃しないという修正をもつ。

●キャリーとクージョ
 配下のレギオニーター(計2体)。
 首から下が人間、上が芋虫の特徴を持つ。
 武器はもたず、それぞれ素手で戦闘を行なう。
 彼らはスティーヴンが恐怖に捕らえた対象をゆっくりと捕食することがある。

★飢餓感
・レギオニーター及びアリストクリエイターが戦闘開始からある程度のターン経過、ないしダメージを負うことで陥る特殊ステータス。
・主行動に追加で【捕食】を行います。
・一定回数の【捕食】を行うことでのみ解除されます。

★捕食
・周辺の木々、石、肉、その他口に入れば何でも食べようとします。
・HPが回復します。
・アリストクリエイターがこれを行った場合、追加でHP最大値、物理攻撃力、防御技術、命中が上昇します。
・肉を食べた場合、この上昇値が増加します。

【フィールドデータ】
 町中。ごく普通の一軒家。近隣住民の多くは殺害され、残りは退避した模様。
 スティーヴンは民家の庭におり、そこへ襲撃をしかける予定。
 庭の広さはそれなりにあり、路上にも出られるため戦闘に苦労しないものとします。

  • <XEOIX>22219 完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年01月16日 21時30分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

アト・サイン(p3p001394)
観光客
・基本
ローグライク系観光客
パンドラ使用

・恐怖抵抗
風の噂で聞いた
僕の調べていた魔種が現れたと

彼女はダンジョンを作る
それはとても悪辣なものだ
見ろ、僕の腕に緑スライムだ
間に合わない、このままスライムは僕の指から登っていき心臓まで届いて―――

なんて、あいつのダンジョンを踏破するまで死ねるか!
スライムのくっついた患部を弾倉一杯の銃弾ですべて吹き飛ばす。

・事前準備
つまり、だ
周囲のものを食べられなくすればいいんだろう?
そこで取り出したるはクラッカー
なんの役に立つかって?
これも使いようさ

「改造」で火薬量と大きさを調整し、「モンスター知識」で芋虫系に速攻で効く劇薬をチョイスし、紙を浸して乾かしてクラッカーに詰めれば出来上がり!
念の為2つほど持っていこうか!
毒の紙吹雪で汚染された土地をのたうち回るがいい!

・戦闘
っだぁ!生きてる!?生きてた!
じゃあこっから僕の手番だよ!

攻撃順は皆に合わせる
リジェネレート発動
前衛の味方がまだ目覚めてない場合は前に出て攻撃を受け止める
副行動は余ったら攻撃集中
距離が離れている場合はModel27による通常攻撃
近づける程度ならば観光客流剣術使用
APが150切ったら血意変換
追加行動が可能な場合は血意変換
体力が20%切ったら距離を取りながら自分にSPD

相手が周囲のものを食べようと捕食行動に移ろうとしたらクラッカー使用して土壌汚染
おめでとうございまーす!景品は劇薬さってねぇ!
アルテミア・フィルティス(p3p001981)
青き戦士
◇心情
想像以上にレギオニーターの進化が早いわね……
はやく『母体』を見つけ出さないと、手に負えない個体が出てくるのも時間の問題かもしれないけど……
考えても仕方がないわ、今は目の前の『貴族級』を討伐しないとね

◇恐怖抵抗
私を守る為に目の前に飛び出し凶刃に倒れ、血に沈み命を散らしていく大切な人
戦う力も無く、恐怖に脚が竦み逃げる事も出来ず、ただ震えて見ている事しか出来なかった
……私が剣を手に取ったのは誰かを助ける為であり、過去を繰り返さない為
だから、こんな事で立ち竦んでなんていられないのよっ
剣を脚に突き立ててでも無理やりにでも呪縛から抜け出すわ
騎士を舐めるんじゃないわよ!!

◇戦闘(パンドラ有、アドリブ歓迎
恐怖から抜け出し次第、キャリーに向かってヴァルキリーレイヴによる斬撃を叩き込み、以後仲間達が恐怖から脱するまでマークからの絢爛舞刀で抑え、仲間達が揃ったら攻撃集中の絢爛舞刀に切り替えて攻撃し、トドメの時はヴァルキリーレイヴで首を断つわ
キャリー討伐後には同様の流れでクージョを、その次にスティーヴンの討伐に移るわ
途中APが少なく(100以下)なったらマナスレイヴで幾度も一閃し、(AP500ほどまで)回復を試みるわ

相手が飢餓状態で私が標的なら、周囲の木や岩を捕食させるよう誘導
特にスティーブンに捕食される訳にはいかないから、その時は回避を最優先よ
そう簡単にあなた達の餌になるつもりはないのよっ
ジョセフ・ハイマン(p3p002258)
異端審問官
●恐怖
苦痛は恐怖たり得ない
たとえ貪り食われようと、私にとって苦痛は愉悦。そして愛。傷付け傷付けられ、印を痕を肉と精神に刻み込む
本当に恐ろしいのは何も残せぬことだ。印も痕も残せず『終わる』ことだ
終末も結末も嫌だ。延命、延命、延命!冗長と言われても、僕はまだ貪り足りない。もっと苦痛を!愉悦を!
刻み込め!

●戦闘
倒す順番はキャリー→クージョ→スティーヴン
集中攻撃で一体ずつ速やかに撃破していこう

恐怖から早めに復帰したら耐久性が心許ない仲間の前に出、リジェネレートを自付与。以降戦闘終了まで効果が切れるごとにかけ直す

皆が復帰したら、キャリーが倒されるまでの間クージョを抑える。ブロック+防御集中
決して離れず離さず。助けることも助けられる事も許さない
齎される愛を享受する。嗚呼!私から返せるのは抱擁程度。残念だ

連中が【捕食】行動に入ったら酸素ボンベを差し出す。喉の奥まで押し込もう
ボンベに圧縮された酸素が腹の中で開放されたらどうなるかな。風船のように膨らむのかな

キャリーが倒されたら私も集中攻撃に加わる。今度こそ私の愛を齎そう
基本は異端審拳+攻撃集中。APが半分を切ったらリジェネレートを優先。以降は異端審拳・威

レギオニーター、アリストクリエイター
君等は人に成ろうとしているのか?蝶として羽化はしないのか?だとすれば、残念、残念だ。私は君等の翅を見てみた……待て、その目、綺麗だな!一番ではないが。すき。ほしい
六車・焔珠(p3p002320)
祈祷鬼姫
これがレギオニーター……不思議な顔をしているのね。
それにしても残念だわ。言葉が喋れても一緒にはいられないのね。
貴方達は食べたいし、私達は食べられたくない。本当に残念ね。
これも世の習いかしら。さあ、どちらが弱肉か試してみましょう!

■恐怖『今日の友は明日の敵』
私の人生は出会いと別れの繰り返し。
これが旅なら再会も叶うけど、行き先は冥府だもの。二度と会えないわ。
だから私は怖いの。仲間と認識した人と戦う事が。お別れが怖いのよ。
もう一度そんな事になるくらいなら、この手足を傷つけるわ。刃を握れなくなればいい!

「――嫌な事を思い出させてくれたわね」

■戦闘
自傷で目が覚めたら周囲の状況を確認するわ。
ユゥリアリアやジョセフより早く目が覚めたらひとまず敵からは距離を取って魔弾で牽制。
皆の目が覚めたら事前に決めた通り【キャリー>クージョ>スティーヴン】の順で処理していくわ。
クージョとスティーヴンを抑えてもらっている間にキャリーを袋叩きよ!
キャリーが【怒り】状態なのを確認してから、ちょっと危ないけれど前へ出て魔力撃で攻撃ね。
もし敵が二人とか三人一直線に並ぶ事があったら魔砲で貫くわね。その際は仲間を巻き込まないよう一声掛けておくわ。

キャリーが倒れたらクージョへ。最後はスティーヴンね。
戦闘方法は変わらず、基本は魔力撃で、巻き込めそうな時は魔砲よ。
APが切れてしまったら魔弾に切り替えて中距離から援護しているわね。

ニエル・ラピュリゼル(p3p002443)
性的倒錯者で快楽主義者
目的
驚異的な進化速度を誇る種族の解明

動機
世界を救うための一手

行動
まず正気にもどれたらぁ、異世界の深淵をスティーブンの周囲に撒くわぁ。彼の捕食が始まった時に、これを一緒に喰らうように場を用意しておきたいからぁ。
戦闘は避けるわよぉ。私皆みたいに強くないしぃ。あぁ、でも明らかにヤバそうな状態の子にはナノマシン・リペアラーを投げるわぁ。
戦闘が収束…まぁ、あと一撃で倒れそうなやつに生殺与奪権の掌握をしましょう。出来るなら調査は生きた状態でやりたいからねぇ。できればスティーブンを確保したいわぁ。彼は進化種の上位だものぉ。じっくり、ざっくり、ねっとり調べたいわねぇ…?あぁ、生存、死亡に関わらず手術とアナザーアナライズで生体調査するわぁ。

☆潜在的恐怖について
ニエルが恐怖するものは孤独。それも一般人がよく想像するような人との交わりの隔絶を意味する孤独ではなく、全ての物事から隔絶される、完全なる孤独。
関わるべき人も。関心を向けるべき物も。感じるべき何もかもがない状態。彼女はそれを…転移前、世界の終わりを経験した。
何もかもを置き去りにして、自分だけが生きている。何も感じず、何も見えない。どれだけの時間がたったかわからず、自律神経は以上をきたし、汗は吹き出て、鼓動は破裂しそうなほどに。まるで、生きる意味はないと、体が自ら死へ向かうような。生きていたのは自らを殺せないほど衰弱していたから。なら…今は?
ユゥリアリア=アミザラッド=メリルナート(p3p006108)
氷雪の歌姫
以前に戦った時より、ずっと戦闘に適した形態…。
恐ろしいまでの進化速度ですわねー。
…魔のものだから、と言ってしまえばそれまでですがー。

◆心情
前回交戦した時より、さらに戦闘的に進化した形態に悍ましさが募ります。

◆恐怖に抗する
最も恐怖することは、『仕方がない』と悪行を認めてしまうこと。
悪に対し、膝を屈してしまうこと。
かつて婚約者と約束した、『りっぱなせいぎのきぞくになる』という誓い。
その誓いを守るために、その婚約者をも告発したのだから。

◆戦闘
全員が恐怖から覚めるまでは、ディフェンドオーダーと名乗り口上で敵の目を引きつける。
攻撃は最低限の通常攻撃による反撃のみ、基本的には防御を優先する。

全員が恐怖から覚めた後は、スティーヴンに接近戦を挑む。
敵が自分以外を狙うなら、マーク及びブロックで阻止。
自身に注意を向けて攻撃を仕掛けてくる場合、
ディフェンドオーダーによる付与効果が切れないように8ターン間隔で再付与し、
防御集中からの通常攻撃で対応する。

もし自身が次のターンに倒れそうな可能性がある場合、メガ・ヒールにて回復を行う。

◆飢餓感・捕食対策
増えるワカメのような、腹の中で膨れる物を小包にして携帯。
敵が飢餓感に襲われたら、齧られるまえにその小包を敵に食べさせる。
また、盾の一部や鎧の一部に、齧られても良い布束などを括り付け、
小包を食べない場合はわざとそれを齧らせる。

◆戦闘不能時パンドラ使用。アドリブ歓迎。
如月=紅牙=咲耶(p3p006128)
黒耀の鴉
パンドラ復活可

◆心情
潜在的、という事は無意識下でという事でござるな
恐怖の戦いとは己自身との戦い、でござるが...拙者が潜在的に恐れている物とは何でござろうか?

◆恐怖
喰われるのも恐ろしいでござるが何より己が己で無くなる事が一番恐ろしい
自分が何かよく判らぬ生物に内側からじわりじわりと変わっていくのは恐怖を感じるでござるよ
例えば今回のレギオニーターの様になど例え死んでも御免でござるな

恐怖と不安の余り変化した所を自傷して取り除こうとするやも知れぬ

◆戦闘
倒す順はキャリー→クージョ→スティーヴン

副行動を配下の時は防御集中、スティーヴン戦は攻撃集中

恐怖から早く解放されて敵をユゥリアリア殿とジョセフ殿が起きていない時は名乗り口上で配下二体を抑えて彼等が起きたら抑える役をバトンタッチ

彼らが先に起きた時はキャリーを先手が取れればマークして攻撃し、先手を取られた時はブロックで足止め
抑え役が他を抑えている間に味方と一気に攻撃して仕留める

攻撃時はブロッキングバッシュ、ノーギルティ、格闘

誰かが捕食されそうなら事前に用意したトリモチを敵の口を塞ぐ様に押し付ける
スティーヴンの抑え役が倒れたら代わりに抑える

それにしても、拙者個人としては奴が羽化する程の恐怖とは一体何だったのか、少し興味があるでござるな
「貴殿の様な者が羽化する程の恐怖とは一体?」
拙者等の恐怖をタダで見たのだから対価を求めてもバチは当たらぬでござろうよ
アルメリア・イーグルトン(p3p006810)
絵本の外の大冒険
(行動不能時)
くっ……こ、怖い、怖いこわい動けない!
これがショウの言ってたやつね……!?
恐怖を克服するのが大事って言ってた……このまま動けなかったら、目の前の化け物に食われて死ぬ、或いは心をつぶされて死ぬ。
それが一番怖いわよ!勝手に召喚されて、何も為せないままこんな若さでお母さんやお父さん泣かせたり、もう物語が読めないなんて……絶対ヤダ!こうなったら魔力を腹にぶつけてでも動かさないと……ッ!


(動けるようになった後)
も、もう最悪……。【シェルピア】しながらみんなの様子をみて、
後は打ち合わせ通り、私はまずキャリーを相手するみんなの援護に回るわ。
一番攻撃を引き寄せる味方(多分アト)にハイ・ヒール(副:防御集中)をかけて保たせるのが私の基本。
AP切れ、或いはBSで苦戦している味方には【緑の抱擁】、怪我したりBSがついた味方が多くなってきたら【シェルピア】するから、治してほしいなら私のそばに集まって欲しいわ。
それと寄生体で無理やり魔力を引き上げてるんだから、私いつにもまして脆いわよ!守ってね!
化け物が近づいたら【衝術】(攻撃集中)で吹っ飛ばしちゃいましょう。来ないと思うけど……。

手が空いた時、私は攻撃手段を持たないから、飢餓対策に手近な石とか家具とか、運んでおこうかしら。
重たいのは時間内から【衝術】で飛ばすわ。好きなんでしょ、食べるのがさ!

リプレイ

●きみはその名前を知っている
 石を踏んで進む車輪。雪になりかけた小雨が、馬車の屋根をはねた。
 『青き戦士』アルテミア・フィルティス(p3p001981)はローブの襟首をつまむように引いて、首元を吐息で暖める。
 馬車は一路、人食いの怪物が選挙したという領主の館……もとい、館から出て周囲の人間を襲い始めているというアリストクリエイター『スティーヴン』のもとへとはしっている。
「XEO……想像以上に進化が早いわね。はやく『母体』を見つけ出さないと。手に負えない個体が出てくるのも時間の問題かしら……」
「それよりもまずは、目の前の『貴族級』、アリストクリエイターですわー」
 『氷雪の歌姫』ユゥリアリア=アミザラッド=メリルナート(p3p006108)は確認するように資料の束を取り出す。風にめくれるページの中に、過去イレギュラーズたちが依頼のなかで遭遇したレギオニーターやゼノイーターの情報があった。
「以前に戦った時より、ずっと戦闘に適した形態。恐ろしいまでの進化速度ですわねー。魔のものだから、と言ってしまえばそれまでですがー」
「それにしても、残念だわ」
 『祈祷鬼姫』六車・焔珠(p3p002320)が、首を傾げるように壁にもたれかかった。
「言葉が喋れても一緒にはいられないのね。貴方達は食べたいし、私達は食べられたくない。本当に残念ね」
 まだ見ぬ、今から会いに行く相手に語りかけるように。
「弱肉強食。これも世の習いかしら」

 別の馬車は、少しばかり雰囲気が違う。
 『異端審問官』ジョセフ・ハイマン(p3p002258)は黙々と奇妙な器具の手入れをし、『性的倒錯者で快楽主義者』ニエル・ラピュリゼル(p3p002443)は深く被ったフードマントに全身を隠して卵のように丸くなっている。丸い卵が内側から柔らかい殻を押すような、そんな光景が馬車の壁際にある。
 『絵本の外の大冒険』アルメリア・イーグルトン(p3p006810)はそんな二人に前と横を囲まれ、居心地悪そうに膝を抱えていた。
 世の中には色んな人がいるというが、その極地を見ているような気分になる。
「ねえ、思ったんだけど」
 『観光客』アト・サイン(p3p001394)が劇薬の入った瓶を鞄から取り出して、小さく振った。
 いかにも毒々しいパープルの液体が、細長いガラス瓶の中でゆれている。
「芋虫にだけきく毒をクラッカーに混ぜて土や石にまけば、やつらのたうち回るんじゃないかな」
「えっと……」
 葉っぱを食べる害ある虫をよけるべく殺虫剤をかけるさまを、アルメリアは想像した。
「それですむなら、もうやってるんじゃないかな」
 空から殺虫剤をまき散らす飛行種の姿を想像しながら言ってみると、アトはスッと表情を真顔にした。
「それもそうか。殺虫剤で死ぬならダンジョン攻略なんてする必要ないもんね」
 アトは瓶を鞄に戻し、拳銃をかわりに取り出した。
 この人もこの人で、なにかの極地にいる人間であるらしい。

 馬車は、寒空を割いて進む。
 浅い、雪と氷のあいだにあるような路面を、『黒耀の鴉』如月=紅牙=咲耶(p3p006128)は御者席から見つめていた。
 路面には無数のわだちが残るが、その左右への乱れようから住民たちの混乱がうかがい知れる。
 この場にはもう、人など残っていないのだ。
 あるとすれば、死体か虫か、自分たちだけ。
「恐怖。恐怖……で、ござるか」
 口にすると不思議な言葉だ。
 恐怖そのものをイメージするとき、必ずなにかの象徴をとる。
 しかし本当の恐怖とは、本人しか感じ得ないもの。
 木の棒や鞠ですら恐怖する者がいるように、他者から簡単には観測はできないものだ。
「恐怖の戦いとは己自身との戦い……拙者が潜在的に恐れている物とは、何でござろうか?」
 アリストクリエイター・スティーヴンは、それを教えると言うのだろうか。

●語る前から、それはある
 老人と、本と、庭の光景であった。
 ウッドデッキに揺れる安楽椅子。
 この寒空の下、男は木製の椅子に腰掛けて、半袖のTシャツと丈の短いジーンズパンツのみを纏っていた。
 アリストクリエイター・スティーヴン。
 サングラスを外し、こちらを見る。
 口の端が僅かに上がったように、見えた。
「やあ」
 瞳が。瞳だけが蝶のような複眼の、得体の知れない視線。
 視線を感じる。
 否、何も感じない。
 視界が歪み、五感が狂い、脳が世界への認識を狂わせる。
 まるで自分の眼球の中身を見ているようなゆがみの中で。
 己を、見る。

(怖い、怖いこわい動けない!)
 アルメリアは、自らの全身が拘束されたさまを意識した。
 立ったまま身動きのとれない自分に、レギオニーターがゆっくりと歩み寄ってくる。
 フードパーカーを纏った男女。しかし首から上は巨大な芋虫のそれである。
 ぐわりと開いた芋虫の口が、アルメリアの腰や指や、耳や髪の毛をはうように食い始める。それこそ緑の葉を虫食いにしていくようにだ。
 このまま虫に食われて死ぬか、心を潰されて死ぬのか。
(勝手に召喚されて、何も為せないままこんな若さでお母さんやお父さん泣かせたり、もう物語が読めないなんて、絶対、絶対……!)
 見開いた目の奥に、死と『なにもできなくなる恐怖』が映り込んだ。

 ニエルは地面に横たわっていた。仰向けに、空だか天井だかを眺めていた。
「…………」
 人間は人間を見て己の形を認識するという。
 であるならば、人間を見なくなった人間はどのように自己を保てばよいのか。
 こどく。
 孤独という言葉ですら、人間の形をしている。
 しかし本当に誰も、なにも、一切がなくなったとしたら、それはもはや孤独ですらない。
 ない。
 時間の流れも、血の流れも、眼前に映る物体の色彩ですら、価値をなくす。
 世界の終わりとは、こんなものだろうか。
 だというのに。
 なぜ自分は今すぐに終わらない。一瞬が、永遠のように引き延ばされていく。
 ニエルの瞳の奥に、『おわらない恐怖』が映り込んだ。

 朝起きると、咲耶は虫になっていた。
 硬い背をまるめ、無数の足をおって布団に横たわっている。
 声を出そうにもぎいぎいという音が歯から発せられるのみであった。
 自分の姿が変容することが恐ろしいのか。
 が、そうは思えない。不便や恥を感じても、それが恐怖だとはとても。
 ……それから数ヶ月して、咲耶は虫になりきっていた。
 以前は他人を慮ったり、身なりを気にしたりしていたはずだが、何も気にならなくなっていた。
 ……それから数年して、咲耶はなりはてていた。
 目の前の餌と外敵から身を守るすべ以外考えなくなっていた。安全な場所で身を丸くすることで得られるのはただ身を丸くしたという事実であり、安心も恐怖もなかった。
 咲耶の目の奥にわずかに、『きえてしまう恐怖』が映り込んだ。

 ぼうっと立ち尽くす咲耶たちを、スティーヴンは椅子に腰掛けたままじっと眺めていた。
 レギオニーターのキャリーとクージョが襲いかかろうとするも、それを手で制して止める。
「見ろ。恐怖を喰おうとしている者がいる」

 ジョセフの全身を棒状のドリルが削っている。
 その事実を観測してなお、ジョセフには一切の痛みがなかった。
「苦痛は恐怖たり得ない」
 破壊される頭蓋骨。舌と眼球だけになりながら、ジョセフは語る。
「たとえ貪り食われようと、私にとって苦痛は愉悦。そして愛。恐るべきは、無」
 何者でもない、なんでもない物質になりはてる事実を恐れ、ジョセフは脳から指令をおくり自らの眼球にドリルを打ち込み始めた。
「僕はまだ貪り足りない。もっと苦痛を! 愉悦を! 刻み込め! 僕の全てよ、消えぬ疵痕となれ!」

 焔珠の周囲には死体。
 手には血。
 暮れる黄昏の平野のように、あたりは赤く染まっている。
「お別れは、つらいわね」
 人間は今に生きていると誰かがいった。
 過去の全ては今の経験によって上書きされる。あんなことがあったねと笑うように、あんなことがあったのにと泣くように。
 その今を全て破壊する死と別れ。過去の累積が多ければ多いほど、それは悲しい今で塗り変わる。
 目の前に倒れる死体。見覚えの深い顔。
「嫌なことを、思い出させてくれたわね」
 焔珠は手首をかざし、刀の刃をそえ、目を瞑る。
 鉄のつめたさ。
 呼吸をとめ、一息に引いた。

 裏路地でパンを盗んだ少年が殴られている。
 奴隷の作った服が山と積まれて売られている。
 縛られた異種族の夫婦に石を投げる祭りが開かれている。
 メリルナートはラッパとバイオリンによる陽気な祭り囃子の中を、バスケットを手に歩く。
 健康煙草を吸う少年。
 経済的効率と奴隷商売を語るカフェテラスの男女。
 豊かな暮らし。平和な日常。
 歩く際に虫を踏んでしまうのは仕方の無いことだ。きみもそう思うだろう。
 シルクハットの紳士が言う。花を売る少女に1セント相当の硬貨を投げることを善行とせよと。
「ええ。ええ。きっと多くの人は、そう言うのですわ……」
 けれど。
 決めたはずだ。
 手にした剣が、自らの胸に突き立てられる。
「日常(これ)を壊してでも」
 悪を裁くことに、決めたのだ。

 守る力があることと、守れることは別。
 守る意志があることと、守る力があることは別。
 アルテミアの手が熱い血で汚れている。
 それが『あのひと』の体温であると知って、アルテミアは目を見開いた。
 冷たい外気に逃げていく温度が、命の失われるさまに似て、アルテミアは手を伸ばした。
 意志があり、力があり、それを実行する手立てがあるのなら。
「もう、立ちすくんだりしないわ」
 冷たい血のついた手で、自らの剣を抜く。
 振り込むべきは自分の足。
「震えてないで、うごけ!」

 彼女が現われた。
 彼女が現われたと聞いた。
 アトの血がふるえ、魂が沸いた。
 だが知っている。こういうとき、運命は全てを台無しにすることがある。
 絶好の機会を前に何もかもが終わることがある。
 積み上げた努力が一瞬で消え去ることがある。
 知っている。
 それの名前を、アトは知っている。
 あらがうすべは、ひとつだけ。
「絶対値――!」
 自らの腹に銃口を押し当て、親指でトリガーをひく。
 くたばれダイスの女神(クソビッチ)。この機会、絶対に逃したりはしない。

●恐怖に打ち勝つ、唯一の手段
 老人と、本と、庭の光景であった。
「恐怖は自覚することでしか観測できない。自分自身にしか、打破することはできない。
 頭を撫でる母も、安全を保証する兄弟も、恐怖を取り去ってくれなどしない。
 それを知らぬ者は……私の前に立ち続けることすら、できない」
 本を閉じ、スティーヴンは椅子から立ち上がる。
 一段高いウッドデッキに腰掛けていたレギオニーターたちも、同じように立ち上がった。
「ここがスタートラインだ。私ときみ、どちらが新たな恐怖たりえるか……決めようか」
 意識するよりも早く眼前へと接近。本能的に身構えたメリルナートの両目を覆うように、スティーヴンはそっと右手をそえるた。
 それだけでメリルナートの心臓がどくんと吠えるように動き、身体が冷たくなった。
 崩れ落ちそうになる身体。胸に手を当て、治癒術式を打ち込む。それでもこらえきれず、メリルナートはその場に崩れ落ちた。
 歯を食いしばって立とうとするメリルナート。追撃のために走り出すキャリーとクージョの前に、咲耶とアルテミアがそれぞれ割り込んだ。
「貴殿の相手は拙者でござる!」
 二本指で短く印を結んだ咲耶の正面に術式障壁が発生。
 障壁にはねのけられたクージョへ向け、逆手に握った忍者刀を繰り出した。
 刀身を素手で握り止めるクージョ。人間のそれとはまるで違う硬質な皮が、咲耶の刃を押し止める。
 一方で焔珠はキャリーと至近距離の位置で抜刀。抜いたそばから刀身を鬼火が覆い、振り抜く動作そのものが巨大な炎を生み出した。
 ダッシュの動作をキャンセルし、素早く飛び退くキャリー。
 もう一本の刀を抜き、焔珠は追撃の炎を放った。
 巨大な蛇のように姿を変えた炎がキャリーへ迫る。
 キャリーの左右から迫るアルテミア。
 舞うように水平に繰り出された剣を、キャリーはかがむことで回避。
 直後に彼女を飲み込む炎。
 剣の柄を逆手に握ったアルテミアは、剣に青白い魔力の燐光を纏わせた。
 クイックドロウ。キャリーの肩を切り裂いた燐光が、キャリーのエネルギーを吸い上げた。
 転がるキャリー。さらなる攻撃のために距離をつめるアルテミアに、キャリーは両手を伸ばし、ぐわりと口を広げた。
 キャリーの手首を切り落とすアルテミアの剣。
 アルテミアも腕を食いちぎるキャリーの口。
 バランスを崩して転倒。雑草のはえた砂利道を転がるアルテミア。
 アルメリアは急いで彼女へ駆けつけ、取り出した包帯と薬剤で止血処理と強制再生処理を施した。
 肩の傷を再生し、さらなる攻撃をしかけようと迫るキャリー。
 が、アルメリアは恐怖しなかった。
 アルテミアの突き出す剣がキャリーの腹を貫き、焔珠の添えた刀がキャリーの首を切り落としたからだ。
 ばしゅんと血のふく音をたてて落ちる首。
 一方。
 咲耶の刀を握り込んだクージョは鋭いハイキックを繰り出した。
 側頭部への直撃。ぐらつく咲耶。
 が、目は見開いたままクージョをにらみ付けている。
 襟首をつかむジョセフ。親指だけを立てた右手が、クージョの耳らしき場所へと豪速で突っ込まれた。
 握り、掴み、引きちぎる。
 ぼじゅんという奇妙な音をたててはじけるクージョの側頭部。
 そこへアトは拳銃の銃口をねじ込み、引き金をひきまくった。
 不自然に膨らみ、爆発するクージョの頭。
 どさどさと砂利道に落ちる人間めいた肉体。
 スティーヴンはそれを一瞥し、顔をしかめて首を振った。
「ああ」
 絞り出すような声。
 ニエルはすかさず迫り、強く握り込んだメスをスティーヴンの胸へ突き立てた。
 刃に塗りつけた危険物質がスティーヴンの肉体へ浸食するが、スティーヴンはニエルの頭を片腕で抱くように強引に引き寄せ、耳元に小さく何かを囁いた。
 ばぎんと音が聞こえるほどの強烈なショックがニエルにはしり、右目だけが明後日のほうこうをむく。
 耳と片目から血を吹き、ニエルはおおきくよろめいた。
 うつぶせのメリルナートが手を伸ばす。スティーヴンの足首を掴み、引き倒すためた。
 崩れるバランス。同時にとびかかるアト、咲耶。
 彼らの手に握られる剣のすべてが、スティーヴンの背から胸へと突き抜けていく。
 焔珠とアルテミアの剣がスティーヴンの首にかかり、半分まで切り込んでいく。
「ああ」
 苦しげに眉をよせ、口を不自然なほど大きく開くスティーヴン。
 そこへ、ジョセフとアルメリアは二人がかりで酸素ボンベを叩き込んだ。
 はじける音。首から千切れ、吹き飛ぶ頭。
 ウッドデッキのうえをバウンドし、安楽椅子の足下へとスティーヴンの首が転がった。
「やはり……人間は、こわい」
 片目から涙を流し、スティーヴンは、ついに動かなくなった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 アリストクリエイター、スティーヴン――討伐完了

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