シナリオ詳細
<秘密結社NF>カピバラレンジャー
オープニング
●君らの名は
冬の森。葉のない木々の間。口から出る白い息。
踏み荒らされていない新雪の上を走っている。
足首が埋まるくらいに降り積もった雪の上は、非常に走りづらい。必要以上に足を持ち上げてやらねばならぬその走法は、残り少ない体力をどんどん削り取っていく。
肺が限界を訴え、太腿の筋肉が悲鳴を上げていても、走っている。走らなければ、追いつかれてしまう。
「くそっ、くそっ、何なんだあいつら!?」
疑問というよりも悪態に近いものだったが、意外なことに返答があった。
「何なんだあいつらと聞かれたら――!」
…………。
しばらく待っても、その続きが来ない。
「…………おい、そんな台詞回し打ち合わせにあったか?」
「いや、ないな。またレッドが勝手にやったやつだ」
「くっそ、こいついい加減にしろよ! 今日は運悪くワインレッドばっかり反撃受けてさ、今にも死にそうなんだぞ!」
「い、いいんだ、俺のことは気にするな。俺たちは皆揃ってひとつじゃないか……」
「くそっ、しっかりしろワインレッド! ああもうレッド行きやがった! 続くぞ!」
なんだか間の抜けた漏れっ漏れの会話。
その後に、何やら五つの影が飛び出してきた。
「「「「「とうっ」」」」」
雪の上に華麗に着地したそれらは、目深に被っていたフードを一斉に取り払い、姿を現す。
それは――カピバラだった。
何やらビニールっぽいスーツに身を包み、それぞれのイメージカラーで構成されている。
それは一匹一匹がポーズを決めつつ、自分の名前高らかに宣言してみせた。
「カピバラレッド!」
「カピバラスカーレット!」
「カピバラボルドー!」
「カピバラガーネット!」
「カピバラワインレッド!」
そして扇状にびしっとポーズ。
「「「「「虹色戦隊! カピバラレンジャー!」」」」」
待って、どれも大体赤くて違いがわかんない。
「イエローバルカン!」
どれがレッドかよくわからない内の一匹が、ゴテゴテした銃を手早くガチャガチャ弄り回すとこちらに向けて引き金を引いてきた。
銃口から放たれた赤い光線は、男の肩を狂いなく貫いていく。
「ぐっ……くそっ!」
痛みに顔を歪めながらも、撃ってきた一体に反撃を試みる。使用された散弾銃を避けるのは難しく、カピバラ(何色だったかわかんない)に鉛の群れの尽くが命中した。
「ぐあああああああ!!」
「「「「わ、ワインレッドーー!!」」」」
銃弾にやられ、倒れ伏すカピバラワインレッド(他カピバラ曰く)。
すると不思議なナレーションがどこからともなく聞こえてきた。
カピバラワインレッドは死んだ。
仕事上がりのビールが好きなやつだった。
彼の魂はいつまでも仲間と共に生き続ける。
ありがとうワインレッド! ありがとうワインレッド!
男は肩の痛みも忘れ、同反応したらいいのかフリーズしていたが、なんとか被りを振って気を入れ直す。
わけがわからないが、一匹減ったことに違いはない。それは、自分の生存確率が少しでも上がったということだ。
連中が死んだカピバラワインレッドに縋りつき、男泣きをしている間に逃げてしまおう。
そう思い、体勢を変えようとした瞬間だった。
「とうっ」
木々の間から、また一匹の影が現れた。
そいつを見て、四匹のカピバラ共が声を上げる。
「お、お前は――カピバラエンジ!」
補充された。
こいつも赤いし……
●ところでさ
秘密結社ネオフォボスによって生み出された怪人への対抗。
それを幻想の貴族たちから依頼されたローレットは、事件ごとにイレギュラ-ズを募っていた。
「で、弱点ニャんだけど」
集まった面々に対し、プランクマン(p3n000041)がぶっちゃけた。
「こいつら、レッド倒されたら全員死ぬ」
マジで?
「マジだともサ。ただし、レッド以外が倒された場合は無限に補充されるみたいだね。ま、色にも限界があるから、倒すほどに赤から遠ざかっていくかもしれニャアけどね」
- <秘密結社NF>カピバラレンジャー完了
- GM名yakigote
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2019年01月06日 21時40分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●心に赤い魂を
僕らだって分かっている。ちょっと僕らは多すぎるんじゃなかろうかと。普通五匹なんじゃないだろうかと。でも、そのことを博士に言ったら、博士はこう答えたんだ。予算が余って、作りすぎたって。
ここが戦いの場でなければ、眼の前に広がる圧倒的な死の光景に、目を奪われていたかも知れない。
骸が累々と並べられているのではない。詛いの怨嗟が渦巻いているのではない。ただそこには何もなかった。
一面の銀世界。立ち並んだ木々には葉のひとつもなく、全てが枯れ落ちている。獣の足跡すらない、視野いっぱいの処女雪は、ここだけがまるでキャンパスの額縁にに切り取られたかのようだった。
「確かに赤カピバラばっかだな……でも血の色は一緒だろう? とまあ冗談はおいといて」
状況を知らない人が聞けば、動物虐待以外の何物でもないようなことをいう『隠名の妖精鎌』サイズ(p3p000319)。五匹並んだコスプレカピバラと、死神が持っていそうな大鎌を想像してみよう。どっちが悪役なのか分かりやしない。なんておそろしい。命を刈り取る形をしやがって。
「何色でもプランAが通れば何色でも変わらない! それじゃあ行くぞ!」
「待てーい、カピバラレンジャー!」
ヒーローが登場するときのお決まりの文句で登場する『雲水不住』清水 洸汰(p3p000845)。ちょっと高めのところからの着地も忘れない。正義の味方が都合よく割り込む時に、「まてーい」は大事なのだ、「まてーい」は。
「このコータ様の目が黒いうちは、ネズミ一匹足りとも逃がさねーかんなー!」
一応、ステータス表を確認。【目の色】茶。よし。
「いざ、出会え出会えー!」
あれ、最後は悪役っぽかったな。
「紫のハートは知識の証! イレギュレンジャーシオン!」
カリスマ全力ウルトラミラクル戦隊ポーズをびしっと決める『天才になれなかった女』イーリン・ジョーンズ(p3p000854)。口上の際、胸の前に挙げた両手で作ったハートマークから、かっこいい姿勢に移行するのだ。この寒いのに、震えのひとつも見せることなく指先まできっちりと伸ばされている。
「さ、屠殺するわよ」
そして一気にクールダウン。ほんのり顔が赤いかも知れない。
「カピブタは置いてきたっす。味方の誤射が怖い……じゃなくて。この戦いについて来れそうにないからっす」
『他造宝石』ジル・チタニイット(p3p000943)はここには居ない自分の仲間のことを思い出して経緯を説明する。目をつぶれば、あのキュイーキュイーなく姿がその裏に浮かんでくるようだ。この戦いは敵の区別をつけるのが非常に難しい。そもそもカピバラが服を着てなかったら最初からそうそう見分けがつかないんじゃないかというのはおいておこう。
「赤い帽子は燃える心の証明、イレギュレンジャーレッド!」
七鳥・天十里(p3p001668)もまた華麗なジャンプと空中回転(横回転のスピンジャンプだ。スキル上、アクロバットな動きができないもので)を見せつつ、雪原に着地する。右左と狙いを定めた後、銃を顔の前に掲げ、組体操では真ん中に来そうなポーズを決めた。用意があれば、背後でどーんと派手な爆発が起きたかも知れない。
「僕の銃弾は全てを撃ち抜く!」
「秘密結社ネオファボスに怪人集団ね……」
『一刀繚乱』九重 竜胆(p3p002735)が関わっているこのカピバラだけでなく、同様の怪人事件は各地で起きていると聞いている。
「その内怪人の巨大化技術まで生み出したりしないわよね?」
そうなったとしても、こちらに巨大合体ロボットはない。
「負けた怪人の巨大化ってある意味お約束だし……って、流石に現実じゃ早々そんな事は起こったりしないわよね、平気平気」
嫌な想像を打ち払うように手を振った。
「……ん」
『狼少女』神埼 衣(p3p004263)の口から出ているのは吐く息が急激な気温変化で白くなったものではない。ヘビースモーカー故の紫煙である。
「れ、レンジャーホワイトー……!」
何人かがしたそれに合わせて、自分もポーズを決めてみる。動けばこの寒さも紛れるかと思ったが、まるでそんなことはなかった。冬にマラソンしても寒いもんは寒いもんな。
「……ってなにしてるのこれ」
表情のないまま、首をかくり。
「全員似たようなな配色ですね……今すぐ虹色戦隊の名を階調戦隊と改めることをオススメしますよ」
誰かが突っ込んでおかないといけないことを、『最後の戦友』ワルド=ワルド(p3p006338)が言ってくれた。色味で言えば、イレギュラーズ側の方がよっぽどバラエティに富んでいる。どこを指して虹色だと言うのか。
「ああ失礼、もう彼らが名乗る機会は無いですね。今日で終わりですから」
怖えよ。どっちが悪役なんだよ。
さて、と。足を止める。報告ではこのあたりだ。
周囲を見渡しても、風景に特殊な変化はない。
だが、せっかくの絶景を台無しにするかのように、その声は響いた。
●5人揃って
決めポーズの練習を頑張っている。とりあえず、ポーズ直前に「ハイッ」っていうのは辞めようと皆で誓った。流石にそれはダメな気がしたんだ。
「まてーい!」
声はすれど姿は見えない。
「おい、なんだあの掛け声。また打ち合わせにないぞ」
「いや、さっき向こうの奴らが言ってたから、言ってみたくなったんだろ」
「くっそ、いつも気分で台本変えやがって、合わせる身にもなれってんだ」
「そんなことよりおい、あいつ行っちまったぞ」
「ああもう、追いかけろ!」
「「「「「とうっ!!」」」」」
そして奴らが現れる。
「カピバラレッド!」
「カピバラスカーレット!」
「カピバラボルドー!」
「カピバラガーネット!」
「カピバラエンジ!」
そして扇状にびしっとポーズ。
「「「「「虹色戦隊! カピバラレンジャー!」」」」」
●6人目の悲劇
ナレーションのひとがどこもいるのかは僕たちもわからない。あれはどこから聞こえてくるんだろう。どうやって僕たちのプロフィールを微妙に知ってるんだろう。
想像すると、少々ひどい光景かもしれない。
幾度かの攻防の後、サイズの本体がカピバラレンジャーの一匹にクリーンヒットを見舞ったのだ。
俊敏に動くカピバラに襲いかかる大鎌。動物愛護団体が見ていませんように。
吹っ飛ぶカピバラ。崩折れ、そして、
「「「「ぼ、ボルドー!!」」」」
仲間を思う他カピバラの悲鳴。そしてBGMとナレーションが流れ……なかった。
数瞬の静寂。まだかな、まだかなー? って顔で辺りを見回しているカピバラ達。
「こ、これはまさか!」
「「「知っているのかエンジ!?」」」
「嗚呼、これは打ち消しスキルや不具合なんかじゃない。これは――峰打ちだ」
「「「な、なんだってー!?」」」
そう、峰打ちである。刃による致命傷は与えていない。つまり死んでいない。よってレンジャー最大の能力が発動しなかったのだ。
「馬鹿な、このままでは仲間の補充ができないぞ!!」
「どうするんだ、あっちでスタンバってる皆が出てこれないじゃないか!」
「今日は奮発してイエローやピンクも来てるんだぞ! 赤からは遠すぎるって断られてたのを無理言って承諾してもらったのに!」
「仕方ない。このまま四匹で戦うしか無いぞ!」
「おのれ、おのれー!!」
「イレギュレンジャーブルー!!!! ここに参上だぜ!」
名乗りあげが耳に残ったのか、構え直したカピバラの内の一体の視線が洸汰に集中した。
戦隊スーツに身を包んだカピバラとバット担いだ少年が対峙する。ここに足りないものがあるとすれば教育番組だろう。
グリーンソードとバットが交錯する。打ち合う度に起きる火花。グリーンソードに切られても血は出ないぞ。爆竹みたいな音と小さな爆発が起きるんだ。
グリーンソードを厚いキャッチャーミットの革で受け止め、逆に前足を取って関節技を狙う。
カピバラにかける有効な関節技なんて知らないが、問題はない。目当ては別にあるのだ。
むんずとフードを掴む。だが次の瞬間には別の個体に入れ替わっていた。
自分と戦っていたのは。そう思い視線を巡らせると、いた。明らかにこちらに視線を送っている一匹。自分の名乗りは、そこまで耳に残ったのだろうか。ともあれ隠れ鬼、みいつけた。
\其処までよ、秘密結社NF。いいえ、カピバラレンジャーっ!/
「だ、誰だっ!?」
眼の前の竜胆に向かって、ノリの良い返事をするカピバラ(たぶんエンジ)。
「誓った願いはこの胸に、イレギュレンジャーブルーっ!」
腕を大仰に振り回してポーズをとる竜胆。
「馬鹿な、ブルーが二人だと!? どっちを倒せば両方死ぬんだ!?」
まさか同系統の能力かと驚くカピバラ。ただのネタ被りである。
「あんた達色が似たり寄ったりで分かり辛いのよ。私達が見分け易い様に仕分けしてあげるから覚悟しなさい」
気にしないというのは社会を生きる上で必要なスキルだ。ブルー二人までなら許容範囲に違いない、きっと。
イエローバルカンによるビームっぽい攻撃を避けると、背後で爆発が起きる。原子分解でも起きてんのかその武器。
間合いを詰め、連ねた双刀を八相に構える。カピバラは慌てグリーンソードに持ち替えようとするが、竜胆の斬撃は既にその毛皮を捕らえていた。
イーリン乗る軍馬が後ろ足で蹴り飛ばしたカピバラを、仲間の得物が追撃する。
だが刃を使わない、急所を狙わない攻撃はカピバラの命を刈り取ることはなく、そのまま地面に倒れ、動かなくなった。
気絶しているのだろう。ぴくりとも動かず、しかし事前に聞いていたBGMもナレーションも流れない。
これで二匹目。既に相手方の反応で分かってはいたことだが、これを持って確信とする。カピバラレンジャーは、死なない限り補充されない。五匹揃ってさえいれば、能力のトリガー条件を満たさないのだ。
会話から読み取るに、レンジャーの死亡に合わせて発生するのではなく、あくまで戦っているこの場に参加できるのが五匹までということのようだ。
いったいどういう改造を施せばこのような能力に仕上がるのか。どう考えても、纏めて一気に出てきた方が戦力は大きい。
興味は尽きないが、戦闘に集中力を戻す。
残り三匹。そろそろどれがレッドであるか、目星がついてもいい頃だが。
「綺麗なお花にも棘はあるっす! イレギュレンジャーローズっす!」
ジルが片足立ちの両腕を斜めに大きく広げたポーズで名乗りを上げた。精一杯考えたかっこいいポーズである。
「そんな、こっちの予定と被ってるじゃないか! 次はローズが待機していたんだぞ!」
「落ち着け! 一番憤っているのはカピバラローズだ! あいつ、能力塞がれて出てこれないのにレッドが死んだら一緒に死ぬんだぞ!」
えらい理不尽な能力である。改造したやつはカピバラ嫌いだったんじゃないか。
「カピバラレッド、なかなかやるっすね!」
たぶん最初に憤った方がレッド。勘で決めつけたジルは一匹のカピバラに指差し、適当な因縁をつけた。
「ば、馬鹿な! どうしてわかったんだ!?」
確率は大体33%。確信無くいい加減なことを言っても当たるときは当たる。
「くそう、まだだ、まだ俺たちにはホワイトマントがある!」
フードを被り、入れ替わる。次はどれを指差そう。また3割3分当たる。
「悪者の癖にレッドを名乗るやつは逃がしてあげないからね……!」
ホワイトマントで隠れても、レッドを言い当てられた動揺を抑えきることができなかったのだろう。
天十里は内心で心臓ばっくばっく言ってるレッドを見つけ出し、そいつをびしっと指さした。
「しまった! 心を読む能力者か!」
「こうなったら、ひとつに集まれ! 気持ちが落ち着くまでレッドへの攻撃を分散させるしかない!」
「やめろよな。自分勝手だけど一旦崩れたら精神的に脆いんだぞ、うちのレッドは!」
三匹で寄り添って人間たちを睨むカピバラ。くそう、まだ負けてないぞにんげんめ!
だが悪者に対する慈悲はない。天十里はカピバラの一匹に蹴りを見舞う。身長差もあって完全にヤクザキック。突き刺さるつま先、えぐられる鳩尾。カピバラに鳩尾があるのかは知らないけど。
跳ねるカピバラ。直前で入れ替わられた為、あれはレッドではない。だがこれで、残り二匹。絶滅の危惧。
衣の蹴りもまた、残念ながらレッドには当たらなかったようだ。
レッドっぽい方を狙ったのだが、思いの外雪が邪魔で狙いが外れたのである。
おかしい、狼パワーがあれば雪なんて気にならないはずなのに。本能パワーで誰かが何とかしてくれるはずなのに。
雪対策とか教本に書いてあった気がするのに、どうしてうまく攻略できていないんだ。やはり基本ばかり身につけても仕方がないのだ。実践で必要なのは応用力なのだ。
雪に埋まった足を引っこ抜きながら、衣はそういうことにする。おのれ自然め、まだ人類は克服できないのか。
足を抜いた勢いで尻餅をつくと、丁度目の高さが一致して、カピバラと視線があった。
最後の一匹。たぶんこいつがレッド。腕をぷるぷるさせながら、必死にファイティングポーズをとっている。
「ぼ、ぼくはカピバラレッドじゃないよ」
いやもう無理がある。
「……カピバラ肉」
ぽつりと呟くと、レッドが明らかにびくってした。びくって。
ワルドの銃口が最後に残ったレッドの頭に照準を定めている。
動けば撃つ。動かなくても撃つ。どちらにせよ、お前に未来はないのだという明確な意志がそこにはあり、冷酷で静かな殺意が冬に寒さに拍車をかけていた。のだが。
「悪を誅するイレギュレンジャーシュアン!! 貴様等の血を俺色に染めてやるぜぇヒャッハーッ!!」
冒頭のダークヒーローっぽいムーブはどこへやら。赤い塗料で荒々しく『凄惨』と書かれた仮面を被り、モヒカンでも似合いそうなテンションのワルドがそこにいた。これが放送後半の追加レンジャー枠だったらテレビの前の子供達は泣く。
話とか通じなさそうな言動に、カピバラレッドは青ざめた顔に絶望のレイヤーを乗算する。ヒャッハー系のモヒカンにこめかみ狙われたらこうなるのも仕方がない。
にんげんに囲まれ、死期を悟るカピバラ。違うんです愛護団体さん。このカピバラ悪いやつなんです。
トリガーが引かれる。放送コードの関係で、血の描写は控えめだった。
●必ず愛は勝つ
僕ら、怪人側でいいの? そういう疑問は浮かべないことにしてた。じゃあ、後は頼んだよ。ブルー。
「「「「「「「「「「「「ぐああー!」」」」」」」」」」
森中に悲鳴が響き渡った。きっと、待機していた残りのレンジャーも同時に死んだのだろう。
そして流れる物悲しいBGMに、俺は自分の仕事をするだけだと言わんばかりのナレーション。
カピバラレッドは死んだ。
アイデア商品でブルーオーシャンを狙っているやつだった。
彼の魂はいつまでも仲間と共に生き続ける。
ありがとうレッド! ありがとうレッド!
了。
成否
大成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
ギミックの封殺、お見事です。
GMコメント
皆様如何お過ごしでしょう、yakigoteです。
カピバラレンジャーなる怪人が現れました。
これらを討伐してください。
【エネミーデータ】
●カピバラレンジャー
・五匹のカピバラ。それぞれが『イエローバルカン』『グリーンソード』という二つの武器を持っている。
・五匹のステータスは全く同じ。すばしっこく、クリティカル値が高い。
・レッドが倒されると全員死ぬが、戦闘中は動き回ることもあり、判別することは非常に難易度が高い。
・以下の能力を持つ。
□五匹でひとつ
・ターン終了時、カピバラレッドが生きている状態で、カピバラレンジャーの数が五匹よりも少ない時に必ず発動する。
・カピバラレンジャーの数が五匹になるよう、どこからともなく新しいカピバラが現れる。仮に、ターン終了時にレッドだけが生存している場合、カピバラは四匹現れる。
・この効果で登場したカピバラは全て赤に近い色をしているが、全く同じ色のカピバラが補充されることはなく、徐々に赤から遠ざかっていく。そのため、判別難易度は次第に下がっていく。
□BGMとナレーション
・カピバラが死ぬと、なんだか物悲しいBGMと共にどこからともなく追悼のナレーションが聞こえてくる。
・この声が戦闘に影響を与えることは一切ない。
□ホワイトマント
・ターン終了時に必ず発動する。
・カピバラ達が一斉にフードを深く被り、それぞれの配置を互いにランダムに入れ替わる。
・また、フードを取った際、見た目上の傷や汚れ等は消えいている(回復はしない)。
・ようは毎ターン、配置が入れ替わって綺麗さっぱりするのでどいつが何色か見極め直しになる。
・『五匹でひとつ』が発動する場合、その直後にこれが発動する。
・この能力はマーク・ブロックの影響を受けず、間に障害物があっても無視する。
【シチュエーションデータ】
・真冬の森。
・足首まで埋まる程度に雪が積もっている。
・もうじき夕方。
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