シナリオ詳細
髑髏牡丹・宵闇
オープニング
●墓所の斬劇
湿った空気がより一層の冷たさを帯びている。
ほう、ほうと夜鳥の声が聞こえた。
ささやかなノイズを吸い込むかのような深い帳は全く世界からこの場所を隔絶するかのようだ。人気の全く無いその墓所は、光の差さぬ真夜中――厚曇りの夜の風情と相俟って、まるで人の世からかけ離れた異界の如き風情を湛えていた。
――只の墓所がかような魔性を帯びる故は確かにある。
幻想北部に存在する小さな街――ラファメタは今、或る話題で持ち切りになっていた。
即ちその噂こそが『ほぼ』人通りの無い夜を『全く』人気の無い夜に変える理由である。
ラファメタの街を騒がせるトップニュースこそ、或る不吉な剣士の噂であった。素性の知れないその剣士は卓越した腕前を持ち、出会った人間を斬り殺すのだという。
この混沌においては、謂わば『そう珍しくもない』辻斬り事件の一つではあるのだが、幾つかの事実がこの事件に尋常ならざる印象を付与していた。
一つ目は領主たるウェロー・メルゼム男爵がこの事件に積極的対処していない事である。
二つ目は犠牲者の死に様が壮絶な腕前による仕業である事である。
三つ目は下手人と思しきその剣士が髑髏をモチーフにした装束と仮面を身に着けている事である。
……センセーショナルな複数の属性を持つこの事件は大いに人々の関心を買い、同時にゴシップ的な推測を呼ぶものとなった。
曰く犯人はメルゼム男爵とラファメタに恨みを持つ者であるとか、復活した死者の仕業であるとか、暫く前に幻想を激震させた砂蠍の残党が絡んでいるだとか――
その悉くは何の根拠を持たずとも、一定の信憑性を持って語られる。無責任な情報は山と積み重なり、小さな街を覆い尽くすには十分過ぎた。
『幸いに』髑髏の男――墓所の剣士が街の灯りに押し入ったという話は『まだ無い』。
だが、それがこの先も続くというのは希望的観測に過ぎまい。
住民達は無責任な噂を口にしながらも、内心は恐るべき不吉に震えている。
「――面白い。精々その技の冴え、このわしに見せて欲しいものじゃな?」
たったの一名を除いては。
白刃をぶら下げ、息を酷寒の夜気に吐き出す剣士がどうか我が家に来ませんように――
●二つの対処
「前もって念を押しておく。
この仕事について私は嘘を言わない。
しかしながら、この話を聞く諸君等にも堅く、堅く宣誓して貰いたい。
依頼の受諾に関わらず、この場で聞いた話は絶対に口外しないこと。
ローレットのマスターには話を通しているが、念の為、諸君等にも頷いて頂きたい」
その日、ローレットを訪れた依頼人は北部ラファメタの領主、ウェロー・メルゼム男爵その人だった。幻想貴族にしては趣味の良い、気品のある身なりをした男爵は金色の口ひげを蓄えたスマートな紳士だった。前置きと称した言葉からしても、ローレットを下に見ている風は無く、むしろこれまでの彼等の活躍を信頼してこの場に到った印象を与える風だった。
「受けるかどうかは別にして余計な事は言わないよ」
言っても立場が悪くなるだけ、信じて貰えるかも別の話――そんな打算的な言葉の後半は口にせず、答えたイレギュラーズに男爵は一つ頷いた。
「諸君を信頼していない訳では無いのだ。むしろ、信頼しているからこそ来た。
しかしながら、この事件は些か――いや、多分に大きな問題を孕んでいる。
本来からすれば口にするのも憚られるような事情が存在する事を分かって欲しい」
「大袈裟な」とは言わずイレギュラーズは先を促す。
僅かばかり逡巡した男爵は何とも歯切れ悪く、漸く覚悟したかのようにその顛末を話し出した。
「……この所、我が所領であるラファメタの近郊を辻斬りが騒がせている。
髑髏の装束を身にまとい、夜な夜な犠牲者を増やし続けている謎の剣士だ。
剣士の腕前は高く、武装した旅人や戦士が犠牲になったケースもあるようだ」
「ローレットへの依頼はその剣士への対処か?」
僅かばかりの疑問を感じながらイレギュラーズは問う。
「大まかに言えばそうなる。だが、諸君等はこうも思った筈だ。
『如何に手練と言えども、辻斬り位ならば私兵を動かせば対処出来るのではないか』と」
「……まぁ」
「同時にこうも思った筈だ。領主が辻斬りなる悪党に対処するに、何ら不都合は生じない。私がこのように気を揉む必要等ないのではないか、と」
男爵の言葉はまさにイレギュラーズの感じる違和感であった。
話がそれで終わるならば男爵は最初から持って回った言い方等すまい。
「合点の通り、話はそれで終わらない。
下手人――髑髏の剣士の正体に私は見当がついている。
彼は――、……うむ、彼は……恐らくは、その。
……………七年前に失踪した私の息子、エンディミオ・メルゼムであろうと。
そうあたりをつけているのだ」
「……は?」
「髑髏の鎧、というのは当家に因縁浅からぬ存在なのだ。
かの鎧は代々我が家が密かに封印してきた呪いの甲冑(カースド・アイテム)だ。
装着者に圧倒的な力を与えると言わしめたその呪いの呼び声に、武を嗜み、好んだエンディミオは応えてしまったのだろう。彼と、甲冑の双方が行方知らずになったのは同時の事だった。
私はこれまでにも彼の行方を探していたが、何かの事件が起きた時――公権の咎が下る事を考えるとこれを公表する訳にはいかなかったのだよ」
「無論、今回の事件の『髑髏』が同一であるかの確証はないが、その可能性は高いだろう」と男爵。
……そして理由は分からないが、この程七年振りに姿を現した『髑髏』は現在ラファメタを騒がせているという訳だ。
「公表を控えたのは家の為でもあり、息子の為でもあった」
「成る程、だから『何でも屋』で秘密裏に処理したい、と」
「そう。もう一つ注文を加えるならば『髑髏』がエンディミオだった場合、その身柄を無事に確保して欲しい。傷付けるな、とは言えないが命を奪う事は避けてくれ。
エンディミオは多少粗野ながら、決して悪い男ではなかった。かような凶行に及んだのも、全ては『髑髏』の故だろう。道義的に許される話でない事は承知だが、この件は秘密裏に処理し――犠牲者、そしてその係累には可能な限りこの私が贖罪せんと考えている」
親馬鹿と言ってしまえばそれまでだが、脂汗を隠せない男爵の面立ちには確かに苦悩の色が見える。正直に名家の恥を口にした事実と、彼の評判が幻想には少ない『比較的まっとうな方の貴族』である事を鑑みれば、言葉に大きな嘘はあるまい。
「オーダーは『髑髏』の対処と生け捕り。甲冑は壊しても構わないよな」
「うむ。呪われているとは言え、家宝ではあったが――最早そんな場合ではない。
ああ、そうだ。もう一つ、この仕事に注意点を加えたい」
「多いな」と苦笑するイレギュラーズ。
成る程、男爵の表情が示す通り『一筋縄ではいかない』依頼だ。
「懇意にしているサリューのクリスチアン殿から、連絡を受けた。
……ああ、彼には問題を大きくしない為、事情は話していないが周囲への抑えを、特にアーベントロート侯への釈明に協力して貰っていたのだ。彼は察しの良い人物だから私がこの事件を上手く収めたがっている事は分かってくれているものだと思う。
だが、この程、彼の客将たる剣士がラファメタに発ったらしい。どうもその人物は非常に好戦的な性格をしているそうで『止めたのだが、すまない。恐らくは個人的興味で辻斬りを仕留めにいった』との事だ。
諸君等からすれば大きな問題ではないと思うが、報告をくれたクリスチアン殿と不協和音を生じる事は避けたい。彼に事情を知られるのも忍びない。故にこの剣士には問題に立ち入らせないように、最悪痛い思いをさせて口止めを……
……む? どうした、特異運命座標。これまでで一番顔が引きつっているが」
――その情報、これまでで一番最悪だ!
喉まで出かかった怒鳴り声を飲み込むのに必死だったのは言うまでもない!
- 髑髏牡丹・宵闇Lv:10以上完了
- GM名YAMIDEITEI
- 種別EX
- 難易度HARD
- 冒険終了日時2019年02月23日 23時00分
- 参加人数10/10人
- 相談7日
- 参加費150RC
参加者 : 10 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(10人)
リプレイ
●墓所の香りI
経験は糧となる。
それがプラスのものであろうとも、マイナスのものであろうとも、人間は学ぶものであり、過去に自分が際した『似たような出来事』を物差しに状況を測り得るものである。それは時に危急への備えや覚悟となり、時に最悪の状況への確信とも成り得るだろう。
さて、霧烟り、肌を突き刺すような夜気の漂うこの夜に。
「冗談じゃないってヤツだよな、どう見ても……どう、聞いても」
呟いた『鳶指』シラス(p3p004421)に墓地の香りが届けた確信にも似た予感は幸運だったか。それとも、不運だっただろうか?
シラス以下、十人のイレギュラーズがこの夜に歩みを進めた理由はご多分に漏れず、仕事の依頼があった為である。仕事の内容は幻想北部の小さな街、ラファメタを包み込んだ恐怖の元凶――即ち髑髏の姿を取った辻斬り剣士へ対応する事。持ち込んだのは領主であるウェロー・メルゼム男爵であった。
それだけならば荒事に慣れているイレギュラーズからすれば――些か不幸な事に――『普通』の仕事と言えたのだろうが……
「どう考えても『普通』とは言えないよね、この仕事」
嘆息交じりのマルク・シリング(p3p001309)に周囲の何人かが曖昧な苦笑を浮かべた。
仕事に対して至極生真面目な彼に気疲れをさせる程度には、今夜に架せられたオーダーは重量があったのだ。
「熟練の方が一撃というのもね。調べた限りじゃ、特別な理由があると言うよりは単純な腕の問題かしら?」
一つ目の理由は辻斬り――髑髏の凶行に対して調べを進めた『優心のアンティーク・グレイ』白薊 小夜(p3p006668)がお墨付きを出す『敵の強さの問題』。
自身も相当の技量を持つ技巧派である所の小夜をして肩を竦めさせるような内容である。未だ会敵しては居ないが、もし髑髏の刃が容易く彼女を掠めるような事があるならば、実力派を集めたパーティと言えど命の危険はまるで他人事になってはいまい。
「ヒヒッ、流石にシュペル・M・ウィリーの作品っていう所かい?
『髑髏』については直接的な情報は出てこなかったけどね、逸話やら伝説やら出るわ出るわ……あんまり愉快で寝不足だね!」
……何処か楽し気な『闇之雲』武器商人(p3p001107)の様相は、それが武器商人たる所以と捨て置いて。
二つ目の理由は髑髏を髑髏足らしめる鎧の作者の名前と存在であった。スターテクノクラートの異名を持つシュペル・M・ウィリーは伝説的なアーティファクトクリエイターとして知られた存在である。その作品の多くは特別過ぎる性能を持ちながら、彼の歪んだ性格を表すかのように何処か破滅を帯びた品であると言う。極端に言えば関われば大抵の人間が不幸になる代物である。尤も、レオン辺りは彼に対するコネのようなものを持っているらしく、ローレットで出回る一部の品――例えば特別褒章等に関しては、彼の手による『まとも』な品物であるとも聞いているのだが。
「それだけならまぁ良い――良くはないけど、良いんだけどな」
暗鬱たる墓場の風景を油断なく見回してポツリと『風読禽』カイト・シャルラハ(p3p000684)が呟いた。
良くはないけどまだマシ――まさに彼の言葉は大勢の代弁となるだろう。この依頼を単なる強敵との戦闘以上にややこしく――濃密なる死の気配を撒き散らす煉獄に変える最大の理由は三つ目の問題に由来する。
「……サリューの客人、噂の剣士ね」
久住・舞花(p3p005056)の言葉に一同の空気が一層引き締まった。
彼等が一様に脳裏に描いたのは長い黒髪に和装の剣客。鋭すぎる眼光を湛えた一人の男の顔だったに違いない。
直接相対した者も、報告書で知った者も最大限の警戒を禁じ得ないその存在はこの仕事を徒に難しくする最後のパーツだった。
依頼人のメルゼム男爵によれば彼――死牡丹梅泉は髑髏を仕留めるべく既にサリューを発ったという。男爵の求める仕事の結末が、髑髏の正体と思われる彼の息子――失踪中のエンディミオ・メルゼムの救済である事を鑑みればこの情報は最悪だった。髑髏を斬りに来る梅泉と髑髏を救わねばならないイレギュラーズの目的は真っ向から対立する。それは状況によっては彼等が最悪の二面戦を強いられる可能性を孕んでいるという事にもなろう。
(……それに、最悪に最悪を重ねれば)
舞花の柳眉が曇る理由は単に梅泉がやって来るから、というだけに留まらない。
(気になるのは、親馬鹿な男爵から見ても粗暴という為人の実際の所と今回の様に内々に処理したがる男爵の考え方……
男爵がクリスチアンと懇意だったなら……過去の御子息絡みの素行の隠滅で既に弱みを握られている可能性がある。
今回の件は使えば駄目押しな致命の札になり得る。杞憂で終れば結構な事、髑髏に関する全てがサリューに渡る可能性は排除すべきね)
梅泉と彼の後ろに存在しかねないあの――クリスチアン・バダンデールという『天才』の圧力を彼女はどうしても感じずにいられなかったのである。
言葉巧みに雄弁に。悪魔は美しい顔をして指先一つで混乱を繰る。『何の証拠も無いが』、天才の棋譜がもたらす極大の破滅(ジーニアス・ゲイム)を彼女ならぬイレギュラーズの多くは既に肌で『知っていた』。
「……………」
他方、『神無牡丹』サクラ(p3p005004)は薄い唇をキュッと噛み締めて舞花とは別の意味で思い患うような顔をしている。
「…………………あの人が来るのよね」
たっぷりの沈黙の後、吐き出された言葉は吐息のように夜に解けた。
全く厄介で迷惑。どうしようもなく胸がざわめく――その予感は他のイレギュラーズと同じだったけれど。
概してその理由は、恐らくは他のイレギュラーズとは全く別の部分に起因しよう。
さて置き。
「物が何であれ、無辜の民を害するものを捨て置くことはできませんが……しかし、何故今になって……」
聡明な『鉄血鋼姫』コーデリア・ハーグリーブス(p3p006255)の疑問は実にもっともなものだった。
エンディミオ・メルゼムが家宝の『髑髏』と共に失踪したのは七年も前であると言う。今回現れた髑髏の正体がエンディミオだったとした場合、タイムラグは単純に七年にも及ぶ。
「……」
コーデリアは「ひょっとしたら」の推論を持ち合わせていたが、一先ずこの場では口にしない。
「……全くだ。髑髏は何で今頃現れた?」
「――もしかして、寂しいんじゃないかしら。
哀れな凱旋の演出家はどこ? 暴きましょう。『神がそれを望まれる』」
応じた『死を呼ぶドクター』レイチェル=ヨハンナ=ベルンシュタイン(p3p000394)の言葉に何処か冗句めいて『天才になれなかった女』イーリン・ジョーンズ(p3p000854)が続けた。
「成る程。王の凱旋にしちゃあ、傍迷惑だ。ま、人殺しを狩るのが俺の役目だが」。口角を上げたレイチェルが言えば黒い木立がざわざわ揺れた。
短い踊り場のような時間を過ぎ、夜は十分過ぎる程に不吉を孕んだ。
僅かな前置きの時間を飲み込んで――運命はきっと加速する。
「来た……!」
「さあ、いよいよお出ましだ」
カイトの鷹の目が闇を見通した。
目を細めたマルクの言葉に彼方を見やれば、墓地の向こうから――白い髑髏の影がやって来る。
不測の状況に心配を向ける余裕も無く、まずは目の前の敵こそが危険である。
魔性に魅入られた墓所の時間は肌を粟立たせるような『予感』ばかりに満ちていた。
「……本当に、随分いい仕事に『当たっちまった』もんだ」
ぼやくように呟いたシラスが捻れ七竈を握り直す。その手は微かな汗に濡れていた。
●墓所の香りII
(正直、墓所で戦うのは……)
事情的に仕方ないとは言え、天義的には余りにも冒涜的である。
故にサクラが保護結界を持ち合わせていたのは誰の気休めにもなった事だろう。
危険極まりない墓所の剣士――髑髏に相対するに辺りパーティが望む戦術は短期決戦である。
それは自己再生能力を持ち長期戦に強みを持つ髑髏と長くやり合えないという確信と、不確定要素である梅泉の参戦を嫌う当然の判断だ。
髑髏の仮面がパーティの姿を捉え、それはゆらりと動き出す。
「俺が行く――後詰めは頼むぜ!」
声と共に地面を蹴ったのは反応速度に優れるカイトだった。
ローレットのイレギュラーズの中でも間違いなくトップクラスと呼べる回避能力を誇る彼は強敵に対して徹底的に時間を稼ぐに最適である。
緋色の羽根の幻影が動き出したカイトを包み、守るだろう。再生(リジェネレート)と合わせ、今夜のリソースを徹底して防御に振り切った彼はパーティの楔であり、要である。一秒でも多く髑髏を引きつけんとする彼は退がらぬ限り、防御のみに集中する事を決めていた。
「任された。そう、簡単に行く相手ではないでしょうしね――」
「ヒヒ、そう『ひらひら』とは行かないけどねェ」
小夜、武器商人、更には質実剛健に攻めと守りを併せ持つサクラ、
「髑髏の剣士。私達を簡単に斬れるとは思わない事ね」
同様に流麗なる刀の使い手たる舞花も併せ、前衛達は基本的に髑髏を自由にさせまいと四方よりこれを囲む役割を得ている。敵の範囲攻撃をいなしつつ有機的な連携を行う事で、カイトが先に言った所の『後詰め』――即ち、ブロッカーのスイッチングも視野に入れた動きである。
「こっちも役割重要か」
「生命線、だよなあ――」
イーリン、シラスといった後衛陣も仕事は重い。
如何せん髑髏を仕留める為には事実上の時間制限がついているようなものである。
敵の猛攻を捌くのは前衛の役目だが、前衛が防御と同時に攻撃を機能させる為の支援――そして守りに入らざるを得ない前衛の代わりに主たる火力を担わなければならないのが後衛である事は言うまでもない。
髑髏の出現に呼応するかのように地面から生えた白骨の腕がイレギュラーズ達を奈落に捉えんと蠢いていた。
(落ち着け、冷静に――出来るし、これにかかってる!)
呪縛に石化、出血流血、手当が遅れれば致命傷に届く要因は山とある。
このシラス、そしてマルクの分析能力にパーティの攻勢は支えられる事になるだろう。
「……ま、やれるだけはやってやるさァ」
言葉とは裏腹に獰猛に鋭い犬歯を剥いたレイチェルの身体に刻まれた魔術式が緋の光芒を帯びていた。
「……吸血鬼が化けるのが蝙蝠とは限らねぇンだよ。さぁ、俺に平伏せ!」
金銀妖瞳の銀狼(レイチェル)の咆哮が鏑矢の如く髑髏を襲う。
威圧の中を駆ける髑髏とカイトがかち合った。
「――ッ!」
振るわれた死の刃に目を見開いたカイトが紙一重の回避を見せる。
赤い羽根を幾ばくか斬り散らされながらも必殺の刃をいなすカイトの技量は余人の思う領域にはあるまい。
「貴方は誰だ!? エンディミオ・メルゼムか!」
夜の空気を震わせて、マルクの問いが凛と響いた。
男爵のオーダーは髑髏がエンディミオであった場合、これを殺さず無事に回収する事である。
マルクは問いにリーディングを併せる事でその結論を急いでいる。
(……思考の反応が無い、より薄いと言うべきか……?)
湖面に僅かな漣の如く、マルクの捉えた髑髏の思考は酷く弱いものだった。
ならば、と彼はもう一言を紡ぐ。
「『お前』を着用しているのは誰だ!」
マルクの言葉の向いた先は『性悪なる鎧そのもの』である。
――なァんだ、やっと出てきた訳知り顔の連中な訳ね!
「インテリジェンス・アイテムってヤツだねェ!」
資料や、その構造の方が気にかかる武器商人の調べた通り。
空気では無い何かを媒介して一同の頭の中に響く『声』は機械的でありながらネチリとした悪意を垣間見えさせる酷く人間的なものだった。
男性『のような』声でイレギュラーズを軽侮するそれこそ『髑髏』の声になろう。
軽薄で性悪。場の誰をも煽るかのような物言いだ。
「――成る程、理由は知れず『既視感』のようなものさえ感じますね」
「はて、どうしてか」とコーデリア。彼女の二丁が美しき蓮華を咲かせ、「ヒュウ」と口笛を吹いた『髑髏』はこの猛攻を刃で次々と撃ち落とす。
「答えろ!」
強く言葉を重ねたマルクに『髑髏』は笑う。
――ハイ、そうですかって答えると思うかよ。バカくせえ。
聞くって事はお前達、知らなきゃ困るんだ。読みたがるって事はそれだけ重要なんだ。
ハー、こんなクソ野郎の事をね!
嫌だね。絶対教えない。だってその方が楽しいじゃねーか!
「……ッ!」
マルクが鋭く息を吐く。
『髑髏』の声は聞こえるが思考が見えないのは何らかの能力によるものか、それが生物ではなく『厳密な思考』を行っていないが故か。
実際、敵がエンディミオであるかどうかを知れぬのはパーティにとっての痛手になるのだが……
「問題ありません」
――ハ?
調子付く『髑髏』に間抜けな声を出させたのはコーデリアだった。
彼女の透視の双眸は敵の姿を真っ直ぐに射抜き、彼女の声は断固たる自信に満ちていた。
「『髑髏』の中身は成年男性、ディティールは兎も角、年格好、体格から間違いありません。
これだけ分かれば十分です。この期に及んで無関係の登場人物が現れる道理も無いでしょうし――現れたというなら『彼』は運が良かっただけ。
教えないと言うのなら、どの道、我々は仕留める手段を考慮すれば良いのです」
鉄血鋼姫の面目躍如――全くブレないその言葉に『髑髏』が思わず押し黙る。
「その反応からすれば、中身はエンディミオさんでしょう。
ついでに言うならその悪罵から考えるに――彼は貴方に『抵抗』していたのでは?
故に、これだけの時間、『髑髏』は表に出てくる事がなかったのでは」
冷徹にして冷静なコーデリアはその反応から更に結論を『看破』する。
――死にてェらしいな!
劇的な反応は言葉以上にパーティに状況を確信させた。
マルクのリーディングから隙を作ったお喋りがコーデリアに煽られた。
「頼む!」
「次はこちらよ」
白骨に足を掬われたカイトが一時退き、誘蛾の刃を優雅に備える小夜がその隙間を埋めるかのように――心理戦の連携も実に妙味を発揮していた。
100%の結論は無くとも状況がクリアされれば求むるは一つである。願わくば梅泉がやって来る前に、この髑髏を確実に仕留める。性悪な鎧を破壊し、(恐らくは)思ったよりずっと善良なエンディミオを救えれば十分だ。
「何を視たか、貴方も視るのか――聞かせて貰いましょうか!」
紅蒼二色――紫苑の魔眼(イーリン)が敵を見据えた。
パーティの攻勢としてやられた状況に怒る髑髏。
庶幾う傲慢を湛えた武器商人の重い一撃が他方より鎧を叩く。
「――――」
姿勢を低く飛び込んだ舞花の斬魔刀が雷と閃く。
敵方の乱れを撃ち抜いた神速の一打に『髑髏』が声にならない声で空気を震わせた。
緻密に状況を詰めたパーティの攻勢は、多数の手数を以て敵の強味を阻害し、決着までの時間を縮めるというものである。
やられているばかりではない髑髏が暴れるも、パーティ側の阻害ばかりは許さじとシラスとマルクがフル回転をもってこれに応対する。
「『あの人』の前で何度も負けていられないのよ!」
今日は何処か『感情的』に裂帛の気を吐き出したサクラが鞘走りの居合で桜花の如く火花を散らす。
「少しばかりはお返ししてやるぜ!」
更にカイトが禽眼を以て睨みつけ、その一撃を叩き込む。
まさに怒涛のような猛攻が髑髏を攻め、苛むが――
「……ッ……!」
身を屈めた小夜の頭上を死の刃が通り過ぎる。
少なからず傷んだ彼女をシラスとイーリンのハイ・ヒールが支援するが……戦いが続く程に状況は重みを増していく。
カイト、小夜、舞花、サクラ、武器商人――奇しくもこの依頼に集まった前衛は『極めて優秀な防御能力』を備えていた。
もしこの仕事を請け負ったのが彼等でなかったとしたならば既に何人かが倒されていてもおかしくはない。
「十分に効いてる。倒せない相手じゃない!」
士気を煽るように放たれたマルクの言葉は十分な根拠(エネミースキャン)による裏付けを持っている。
詳細値は兎も角として、彼方の実力が此方と拮抗するならば後は手段次第である。
それだけの準備をしてきたと、マルクはそこに自信を持つ。遂行力の勝負ならば、この場は決して譲れまい。
とは言え、間違いなくローレットの一線級と言える彼等をもってしても髑髏は容易い相手では無い。
徐々に余力は削れ、天秤は傾く先を探すように揺れ始める。
そして、勝利の運命を強烈に引き寄せんと尽力するのは至近で刃に身を晒す前衛達だけでは無く、後衛陣も同じだった。
「後ろで撃つだけって道理でもないわよ」
敵を乱せばそれに留まらぬ――決死と飛び込んだイーリンが得物に注ぎ込まれた規格外の魔力を炸裂させる。
不意を打つかのように放たれた重い一撃は彼女の切り札とも呼べる『カリブルヌス』。
今度こそ『回った』コーデリアの蓮華が執拗に髑髏を追いかける。
(まだ――もう少し、もう少しなら――)
行ける。
小夜の誘蛾が敵を引きつけ、稼がれた時間の上で攻勢は積み重なり続けている。
勝敗の分水嶺の上で踊る戦いは短く、長く時を刻む。
果たして――果たして。
傷付きながら、パンドラにさえ縋りながらも徐々に趨勢はイレギュラーズ側に傾いていく。
後をそう長く戦う時間を持たずとも、パーティは髑髏を仕留める算段へと状況を寄せ。
それは何とかその状況を跳ね返さんと苦しい時間を必死に足掻く。
EX(おおわざ)を放てば隙が出来よう。生き汚いそれは性格故に不確かな勝利より、足掻きに入る。
故に決着の時間は少し、伸びた。
そして、そのたったの『少し』が――
「――わしを蚊帳の外にしよって。勝手に盛り上がっているでないわ!」
――イレギュラーズが最も聞きたくなかったその声の主を呼び寄せていた。
●墓所の香りIII
死牡丹梅泉。
サリューの剣客にしてパーティが最も警戒する人物だった。
その実力は知れないが、少なくともパーティはこれを最悪の相手と認識している。
武器商人が、サクラが振り返った先には抜き身の刃をぶら下げた彼が居る。
口元に不遜な笑みを湛える彼が居た。
「梅泉……でしたね。『あれ』の身柄には先約があります。お引き取り願いたいのですが」
「そうそう。俺らアーベントロート派の依頼で来てんだぜ。
そして噂の剣士は片付け中だ。理由も無くちょっかいかけたの暗殺令嬢にチクられたら後でクリスチアンが面倒臭えぞう」
「戯け。子供の遣いと思ったか。クリスチアンなぞ知るか。
アーベントロートを斬れるならそれこそわしの望外よ。主等こそ、とくそこを退け」
舞花やシラスの言葉に応じる梅泉はやはり目的を諦める様子は無さそうだった。
彼の全身より立ち昇るのはひとかどの使い手ならば見える――『可視化された殺気』である。
(怖気立つような使い手ね、死牡丹。
仕掛けられない限り今は戦うべきでない相手だけれど――こんな剣士も居る、なんて)
(クソが、嫌な汗が止まらねえ! ああ、帰って酒でも飲んで寝てくれ、頼むから!)
舞花とシラスの感想は相対して対照的である。
シラスは怯え、舞花は背筋を舐め上げるかのような或る種の予感に知らぬ内に口元を綻ばせていた。
「――だから、剣の道は面白い」
閑話休題。
――お、流れが変わったか!? 新手だぜ。逃げた方がいいんじゃねーの!?
状況は分かっていないだろうが、イレギュラーズの動揺を察してか、機を見るに敏感な『髑髏』が不快な軽口を叩く。
仕方ない事とは言え『まるで分かっていない』その言葉に小夜は肩を竦めた。
「完全に終わったのはあなたの方でしょうに」
呆れ半分の彼女は梅泉がイレギュラーズの敵であり、髑髏の敵でもある事を承知している。
むしろイレギュラーズを倒したとしても梅泉までをも退けなければ逃げ道はなくなった髑髏こそ文字通りに『詰んでいる』。
とは言え、パーティの仕事は髑髏ならぬエンディミオを確保する事だ。
彼等は事前の申し合わせでこの最悪の状況にどう立ち向かうかをも決めていた。
即ちそれは――
「押し切る! ――斬られる覚悟があれば、一手だけなら足止めできる!」
――マルクの一声が示す『後一歩ならば推し進む』という壮絶なる覚悟であった。
アテが外れた髑髏にパーティは再び猛攻を仕掛ける。
「意気や良し。そうこなくては、間違いじゃ」
梅泉は嗤い、そして凶相を顕にする。
「ならば、わしとやり合うで構わぬな?
尤も、脇目も振らず逃げを打つような連中なら。一人残らず狩ってやった所じゃがな!」
「ヒヒッ、お手並拝見! 付き合って貰おうかね?」
後背より、刃をぶら下げ地面を走る梅泉をまず阻まんとしたのはそれに最も相応しい武器商人であった。
妖刀が赤い軌跡を描き、最短距離で『殺し』に来る。
「キェェェェェェェェ――!」
何の遠慮も無く唯殺す為だけに練り上げられた殺人剣が刹那、八つ閃く。
その斬劇は武器商人を一瞬でバラバラに解体した――
――かのように思えたが。
「おお、怖い。今のは我(アタシ)も八回は死んだかと思ったよ」
誰ものイメージの中で確かに八つに分解された武器商人は不敵な笑みを浮かべたまま、まだそこに立っていた。
梅泉の手応えは確かに『殺した』筈だった。
だが、結果は見ての通り――武器商人は飄々とした笑みを見せている。
「――ほう、面白い。主も中々練り上げられておるな?」
武器商人の真なる得手は必殺ならぬ致死攻撃の全てさえ、運否天賦で避けに避ける執拗さ(EXF)だ。
確実では無いが、彼我の実力差を以てしてもこれを瞬時に破るはまるで分の悪い賭けとなる。
まずは一手。
だが、一手止め、武器商人を残したのはパーティからすれば望外だ。
「ならば、次は『必殺』じゃ。まだ種の方は残っておろうな?」
「相手を代わるよ」
高揚と先陣への僅かな嫉妬を見せたサクラが早晩対策を口にした梅泉の前へ歩み出た。
種の割れた手品を仕舞えば、次はこの瞬間こそを待っていた――全ての我欲がここにあったサクラの出番だ。
まず初手で梅泉の殺気を爆発させ、上手くいなした武器商人は武器商人にしか出来ないファインプレーを見せたと言える。
口を利くより先に手を出した彼の一撃を耐え得たのは武器商人だからである。余人で同じ事が叶うかは分からない。
故に梅泉は退かせるべきなのである。
そして恐らくはこの面子の中で最も彼に語る言葉を持つのは、役割を請け負ったサクラだったに違いない。
「きっと貴方はこう思ってる筈。弱った相手にトドメ刺すだけなんて――楽しくない……でしょ?
だから、今日は時間じゃないのよ。こんなのは何も楽しくないから」
サクラの言葉の先にはパーティによって弱った――今、追い詰められつつある髑髏が居る。
同時に髑髏によって傷付き、疲労した自身等も居る。
まるでフェアではない戦いは、剣客がかつて語った『望外』からは程遠い。
「それは主等にその『価値』があるならの話――じゃな。価値あらばその通り。そうでなければその程度よ」
「逃げなかったでしょう? それに、見せてみせるわ」
聖刀【禍斬・華】が構えるは、麗しき武技――一菱流(桜花)の構え。
梅泉を前に正統を見せた彼女の構えが何処か眼前の邪剣に似ていたのは気の所為か――
「私は絶対に退かない。先に言っておくけれど――ああ、最後まで言わせてね」
すぅ、と息を吸い込んだサクラは一息に――爆発的に言葉を連ねて投げつけた。
「私だって……本当は貴方と戦いたいわ。
でもついでは嫌。邪魔されるのも嫌。仕方なく戦う、じゃ嫌!
心置きなく、私の全部で貴方と戦いたいのよ!
誰かに作られた状況も、目的もいらない!
ただ貴方と戦う! それだけで良い! それだけが良い!!!
それでも押し通るって言うなら、意地でも邪魔するわ! まず私を斬り捨てて進みなさい!」
紅潮した顔。口を突いて出るのは本人が自覚して『滅茶苦茶』な主張。
「はー、はー、はー……」
言ってやったとばかりに、毛並みを逆立てた猫のようなサクラが息を荒げている。
「……主は何を……ええい、訳が分からぬわ!」
冬の寒空も、墓所の冷たい風も乙女の熱を冷ますには至らず――梅泉はと言えば呆れたように珍しい顔を見せていた。
そんな、やり取りが奏功したと言えるのかも知れない。
僅かに毒気の抜けた梅泉がどう動くか、どう応じるかを思案したその時間の内に――
「これで――仕留めるッ!」
レイチェルの不死ノ王――這い寄る闇が髑髏を包んで地面へと叩きつけた。
――クソ、クソが……! 俺が、こんな連中に――
見苦しい悪態が辺りに響く。
肩で息をするイレギュラーズは何れも傷付き、疲れ果て、サクラの言った通り、万全からは程遠い。
「……この上、続ける意味が?」
至極冷静に、表情も変えずにコーデリアが問えば、梅泉は「戯け」と呟いて踵を返した。
望んだ敵は他方に斃され、その敵すらボロボロである。
成る程、サクラの言葉は正鵠を射抜いていたのだろう。
全くやる気を失くした梅泉の無防備であり、攻めれば攻められそうな姿ではあるが――当然ながら誰も一歩も動かない。
仕事の成功と梅泉の退却はパーティの想定した――想定の本当にギリギリを掠めた幸福なる結果論に過ぎまい。
故に今夜は手仕舞いだ。これ以上先には一歩も踏み込むべきでは無い。
「終わった……のよね?」
後始末に辻斬りは消えたと情報を流せばそれで完了、とイーリンは考えた。
生きた心地のしないこの夜も数時間の後には雲散霧消するのだろう。
人知れず紡がれたイレギュラーズ達の激戦と覚悟の刻、墓所に現れた不吉な剣士の噂と共に――
成否
成功
MVP
状態異常
あとがき
YAMIDEITEIっす。
非常にプレイング頑張ってたと思います。
成功に十分なので成功なのですが、このシナリオ一個だけ想定地雷がありまして。
成功条件達成前に梅泉に遭遇した場合、即座に逃げると危険度EXというアレでした。
その辺も華麗に回避していましたし、何より武器商人さんが面白かったです。
最適な係だったと思います。
今回、EXシナリオかつ条件を満たしているという事で、武器商人さん及び装備が刀かつ剣士系の方にちょっとした新要素を加えています。
シナリオ、お疲れ様でした。
GMコメント
YAMIDEITEIっす。
純戦と言えるかどうか分かりませんが、戦闘っぽいハードです。
以下詳細。
●依頼達成条件
・エンディミオ・メルゼムの身柄の確保
・事件の顛末が公的に広く明らかにならない事
※但し『髑髏』の正体がエンディミオで無かった場合は『髑髏』の破壊
●ラファメタ
幻想北部に位置する小さな街。
現領主はウェロー・メルゼム男爵。
比較的真っ当な統治がされており、メルゼム男爵の評判は然程悪くありません。
『髑髏』事件により夜間の人通りはほぼ無い状況です。
●ウェロー・メルゼム男爵
スマートな体型をした口髭のダンディな貴族。年齢は五十代。
アーベントロート派に属し、サリューのクリスチアンとは懇意であるらしいです。
比較的真っ当な価値観を持った幻想には珍し目の貴族。但し、自身の言う通り愛情を差し引いても親馬鹿と言わざるを得ない部分はあるでしょう。
●エンディミオ・メルゼム
ウェロー・メルゼム男爵の一人息子。
本来ならば男爵家を継ぐ人物ですが、七年前に『髑髏』と共に失踪。
どちらかと言えば知的で穏やかな父には似ず、武を嗜み、好む性格だったとの事。
活力的でそれなりに粗野な人物だそうです。父曰くそう悪い男ではないそうですが。
●『髑髏』
メルゼム家に密かに伝わってきた呪いの甲冑。
その名の通り髑髏をモチーフにした甲冑であり、見るからに不吉です。
スターテクノクラートと称される大アーティファクトクリエイターが生み出したとも。
意思を持つタイプの装備で波長の近い人物を誘惑するそうな。
故にメルゼム家では非常に厳重な封印を施していましたが、メルゼム男爵曰く、息子のエンディミオがこれを解放してしまったのだろう、という事です。
多分性格は悪い。メイビー。
●墓所の剣士
ラファメタの墓所を中心に出没する事から。
エンディミオが『髑髏』を纏ったと思しき辻斬り。
熟練の冒険者や戦士を一撃で仕留めた痕跡すらあるかなりの手練です。
呪いの自律型アーティファクトと一体化している為、人智の範囲というよりはモンスター染みていると言ってもいいでしょう。
以下詳細。
・HP、防御技術、特殊抵抗がかなり高い。
・CT、EXAが高い。
・性能の高い恒常的な自己再生能力を保有している。
・白骨劇場(特殊パッシヴ。自身の半径20メートルに存在する敵対対象はターン開始時、【呪縛】のBSを受ける(補正+-0で特殊抵抗判定をしなければならない。成功すればかからない))
・奪命剣(物至単・威力大・連・HA回復大)
・薙ぎ払い(物近範・威力大・出血・流血)
・ボーンドカース(神中域・威力中・石化・停滞)
・EX 奪命死刻陣(物至域・???)
●死牡丹梅泉
サリューの客将。辻斬り(本職)。
詳しくは<ジーニアス・ゲイム>他を参照して下さい。
止められてもやって来た二つ目の災厄。彼の目的は『噂の辻斬りを斬り捨てる』事ですので、依頼達成条件とは真っ向から対立します。これまでにイレギュラーズと関わった事はありますので会話自体は成立しますが、どう転ぶか分からない超危険人物です。
イレギュラーズが墓所の剣士と交戦後、12ターン目以降から毎ターン確率判定により戦場に出現する可能性が生じます。ターンが経過する程、確率が上昇します。
12ターン内に決着した場合、事後に出現する可能性がありますが、場合によります。
●情報精度
このシナリオの情報精度はC-です。
信用していい情報とそうでない情報を切り分けて下さい。
不測の事態を警戒して下さい。
●Danger!
当シナリオにはパンドラ残量に拠らない死亡判定が有り得ます。
予めご了承の上、参加するようにお願いいたします。
これまで関わりが多かった人を一名だけ招待しておきます。
以上、宜しければご参加下さいませませ。
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