PandoraPartyProject

シナリオ詳細

ルーキートレーニング

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●某日某所にて
「まず思ったんだけどさぁ……やだ幻想国兵弱すぎ……?」
 貴族達の集まる場で発言する男がいた。
 青年の様な若々しさと、少年の様なバカ正直さで言葉を作る男は、ジト目を向けてくる周りを無視して続ける。
「なんかあったらうわーやられたー、で。助けてローレットー、じゃん。最近そうじゃん、私もそうしてるけどしかし!」
 バンッと机を叩いて、思ったよりも大きな音を出した事に自分で怯んだ青年は、手を揉み合わせて視線を泳がせる。
 そうして勢いを一度落として、いやまああのね? と前置きを差し出してから一息を入れて。
「そろそろここら辺で、お互いレベルアップの時期じゃないかなって、僕は思うんだよ」
「レベルアップ?」
 聞き返しの声に頷き、再度机に手を置いて、静かに言う。
「新人育成を兼ねて、合同訓練をしよう」

●その後日、ギルド・ローレットにて
 貴族からの要請を受けて、資料をまとめていた『黒猫の』ショウ(p3n000005)は、集まったイレギュラーズの来訪に顔を上げた。
「やあ、よく来たね。年も暮れだけど……そう、仕事だ」
 口を笑みの形に歪めて、ショウは早速と言葉を続けていく。
「今回は貴族達からの依頼だ。彼らが護衛や戦闘目的に私兵を持っているのは、もうみんな知っていると思うけど、それの育成を兼ねた模擬戦を申し込まれている」
 最近はローレットに頼れば解決されることも多いが、それではいけないと意見を出したものが居たそうだ。
 とはいえ、戦い下手を数だけ揃えた所で戦力にはならない。手っ取り早く鍛える為には実戦が一番だ、ということで。
「戦闘経験豊富なイレギュラーズの出番、というわけだ。実際、戦いに当たっての君達の動きは、素人目が見て参考になる部分も多いだろう」
 参考にならない所もあるだろうが、それらも含めて経験だ。
「それで、肝心の君達の相手だが……最近雇われた戦闘の素人達だ。数にして大体……30人くらいかな」
「結構多いな」
「まあ、数は、ね。さっきも言ったが、大半は素人だ、君達に対抗する力もほとんどない」
 少なくとも、今は。
 それを出来る様に踏み出させる為の一歩を、イレギュラーズが踏ませるという事だ。
「貴族からのオーダーはこうだ。雇われた私兵30人を、君達八人で、戦闘スキルを使わずに叩く」
「……それはつまり、武器だけで戦えってこと?」
「そう言うことだね。戦闘力の差を知って、それで辞めるならこの先続かないというふるいでもあるのだろう」
 ただだからといって、必要以上に心を折るような言動をする必要はない。
 スキルを使わない以外は、いつも通りに戦って、そして勝つ。それだけだ。
「詳細は書面にまとめておいた。現地に向かいながら確認しておいてほしい。それじゃあ、みんな。いってらっしゃい」

GMコメント

 ユズキです。
 年の瀬に一つ、暴れてみませんか?
 という依頼です。終始戦闘なので、戦闘プレイングの練習や復習にでもどうぞ。
 また、武器のみの戦いなので、普段より立ち回りを意識するとかっこいい描写になるのかなと思います。
 攻撃は自動的に不殺になります。

●依頼達成条件
 新人私兵30人を倒す(殺さない)

●特殊条件
 戦闘系スキルの使用制限(武器を使用した通常攻撃のみ)
 
●現場
 広い模擬戦フィールド。
 平地で障害物は無し。

●出現敵
 大きめの盾と模造剣を持った30人。至・近距離の攻撃と、盾を使っての全力防御が主な行動になります。

●その他
 難易度はイージーとなってます。
 強敵との歯応えある戦いではなく、これから兵士として強くなる人達を師事するつもりで事に当たることになります。
 かっこよく動いたり、叱咤激励の言葉やアドバイスなんかをすると、それっぽいかなと思います。

 以上、それでは、よろしくお願いします。

  • ルーキートレーニング完了
  • GM名ユズキ
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2018年12月27日 21時40分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

シュバルツ=リッケンハルト(p3p000837)
死を齎す黒刃
リチャード・F・ロウ(p3p000871)
law of jastice
久遠・U・レイ(p3p001071)
特異運命座標
武器商人(p3p001107)
闇之雲
クランベル・リーン(p3p001350)
悪戯なメイド
アト・サイン(p3p001394)
観光客
ニエル・ラピュリゼル(p3p002443)
性的倒錯快楽主義者
ニア・ルヴァリエ(p3p004394)
太陽の隣

リプレイ


 戦闘のイロハを知らない新人兵士、その教育を任されたローレットの八人は、並び立つ30人へと向かう。
 息を整えて揃え、
「よろしくお願いします」
 礼節としての一言を告げて、開始の合図とした。

「新米君たちへの訓練相手な」
 確かめる様に、両手を握っては開くを繰り返しながら、『死を齎す黒刃』シュバルツ=リッケンハルト(p3p000837)は頷く。
「俺も一時期は、部隊を率いる立場だったんだ。真似事とはいえ、教育の心得くらいはあるぜ?」
 右手を軽く握り、左手は浅く開いて前へ。
 そうして一歩を踏み出して、一気に距離を詰めに行く。
 新人達は、盾を前に固まる動きだ。
 迎撃でも無く、守りをただ堅くする。そういうことならと、シュバルツの選択は早い。
 足から滑り込ませたスライディングで掻い潜り、集団の内側に入り込む。
「っらぁ!」
 立ち上がりの動きで、相手の脇腹に肘を捩じ込んで怯ませ、下がった顔に掌底を打ち込む。
「どうしたどうした、守りも出来なきゃすぐやられちまうぞ!」
 引きこもっていてはダメだ。
 それを、シュバルツは動きで教える。
 もしもまた、砂蠍の様な勢力と相対した時、これではすぐやられてしまうだろうと、そう思う。
 だから、攻める手を少しずつ、慣らしながら増やしていった。
「おらぁ!」
 構えている盾を蹴り飛ばして身体を崩させ、見える顔面へとストレートの拳をぶちこむ。
 二歩、三歩と下がる所へ、追い討ちのボディブローを捩じ込んで、
「一方的に殴られてるだけじゃ、強くならねぇぞ!」
 兵士の中へ突き進む。
 暴れ回り、打撃を打ち込んでいくのだ。
 だがやられてばかりの兵士ではない。
「ちくしょお!」
 ヤケクソではあるが、背後に回って隙を討とうとする動きもある。
 盾を前にして突撃する、体当たりの動きだ。
 しかしそれを、止める者もいる。
 勿論それは、その場に参加したイレギュラーズの一人である、『特異運命座標』久遠・U・レイ(p3p001071)によるもので。
「一人に夢中で私をスルーなんて、悲しいな」
 後ろから差し込み、盾に引っ掻けた鎌を思いきり手前に戻す。
 そうすることで、バランスを崩した兵士は後頭部から倒れ昏倒した。
 攻撃に、久遠へ注目が集まり、一身に受けた彼女は微笑みを浮かべて構えを直し、
「私も戦闘は不馴れなんだ。だから、一緒に強くなろうね」
 前へ踏み出していく。
 縮こまる様に差し出された盾を、クルリと回した鎌の刃でカチ上げる。
 そうして柄の石突きが敵に向く様にピタリと止めて、がら空きになった鳩尾へと穿って意識を奪った。
「うん、みんなスゴい頑張ってると思う」
 周りから、兵士が攻め寄る。
 鎌をまっすぐに突き立て、そこを支点にして体を上空へと蹴り上げ、押し潰されるのを回避。眼下にある兵士の頭で一度着地し、蹴り飛ばして距離を取りつつ地面に降りた。
「よっ、と……」
 反動をそのままにしゃがむ動きで、刃を向けないように、地面スレスレを鎌で払って敵の足を引っ掻け転ばせる。
「……ええと」
 これでいいのだろうか。これが教えになるのだろうか。
 どうだろう。そう思い悩みつつ、久遠は転ばせた兵士へ鎌を打ち下ろし気絶させる。
「ん、まだまだいけるよね? 大丈夫、最後まで付き合うから、ね」
 応援と、経験を。それなら出来ると、久遠は鎌を握り直した。


「……あはっ」
 歪な口を笑みに歪ませ、『性的倒錯者で快楽主義者』ニエル・ラピュリゼル(p3p002443)は歩行の音を鳴らしていた。
 両足の機械から擦れる音がする。
「教えてあげるわぁ」
 着の身着のまま、武器も持たずに兵士へと近づいていく。
「強くなってくれれば、仕事が減るものねぇ」
 彼女の参戦理由は、単純な動機だ。
 その為の教育ならば、進んでやる、そういう気持ちで。
「さて、勝つために何が必要か、わかるかしらぁ」
 行く。
 ニエルは自身の外見を客観的に理解している。
 見た目から、足の悪さはあるし、実際健常な体に比べれば動きは劣るだろう。
 しかも、見てわかる武器はない。
 それならば、どう戦うのか。
「……距離を取った戦いが模範的よねぇ」
 近づいていく自分に、どう攻撃するのか。
 それによって彼女も戦い方を変えるつもりだ。
 そして、兵士が選んだのは、接近からの迎撃だった。
「そう、それならぁ」
 模造剣を上段から振り下ろしてくるのを、ぼんやりと見える視線を向けて眺め、一息。
「ーー!」
 軽く前へ動いて間合いを少し詰め、兵士の手首を受け止める様に握って引き寄せる。
 足を払い、胴へ逆の手を当てて支えとし、回転させるように投げ飛ばす。
 敵の動きと重さを利用した攻撃だ。
「私達のように個人で動くなら自由な戦い方が出来るけれど、貴方達は兵だわぁ」
 全員揃って盾と剣の装備という、ある程度の型に嵌まった戦法を使わざるを得ない。そういう時が多いだろうと、そう思う。
「なら、生き残るために、考えなくちゃーー考え続けなくちゃあいけないの」
 だからニエルは、使える攻め手を何でも使って兵士との組み合いを続けた。

「はいじゃあ注目」
 パンパンと手を叩きながら言葉を作った『魔改造』アト・サイン(p3p001394)は、胸を張って言う。
「兵士諸君、いいかい? 諸君、僕は弱い! だって観光客だから! あの暴れまわってる七人と比べて最弱だぞ本当に!」
 そもそも本職は斥候だしおまけにスキルの使用は禁止と、不向きで不利で不適正だ。
 そう声高に叫んで、伝え、だからと前置きをして。
「というわけで本気だ」
 傾聴の姿勢だった兵士へ刃を投擲した。
 抜きから投げまでを、ほぼノーモーションで成したアトが使ったのは、薄められた毒の付着した苦無だ。
 それが複数、何人かの兵士へと突き刺さる。
「それ毒塗ってあるから、あ、ほらほら顔青くなってきたほら!」
 言葉で煽り、慌てさせ、注意の散漫になった隙に、細工をして持ち込んだ酒瓶に火を着ける。
 それを、放り投げた。
「ほらほら燃えるぞ燃えるぞ!」
 足元を狙って山なりに飛んだそれは、落下して砕けると同時に火を広げる。
 アトの動きは止まらない。
 火の立つ勢いと揺らめきを利用して、ロープを結んだ苦無を地面に向けて左右へ張り、足を引っ掻けて転ぶ様な簡易トラップを作る。
 そしてそれは、計算通りの結果となって起きた。
「卑怯とか卑劣とか下劣とかまあ言いたいことはあるんだろうけど僕に言わせれば、ばーか、だ!」
 転んで見上げる視線を真っ向から見返して言う。
 いいか?
 そう前置きをして、
「そんなバカでかい盾持って、大人数で一人を囲んで……お前達の方が強いのに僕が手加減する理由ないだろ!」
 叫ぶ。
「僕は、自分は弱いって信念がある。そしてお前達を弱くない、強いと思っている、だからどんな手だって使ってやるさ!」
 内心、盾でガン受けされて詰め寄られたらヤバイなーと、そんな冷や汗を流しながら。

「さて、っと」
 頼もしいもんだ。
 戦う仲間達を見た『水面の瞳』ニア・ルヴァリエ(p3p004394)は、簡単な感想を抱く。
「見知った顔もあるし、な」
 安心して背中を任せられる。
 思い、短剣と小盾を装備して向かう。
「悪いね新人さん達。あたし、ちょっと虫の居所が悪くてさ」
 八つ当たりだなぁ。
 胸中で苦笑いしつつ、先の北部戦線での戦いが頭を過る。
 情けない思いをした、と。
 そう思う。
「だからま、覚悟が出来たヤツからかかって来な! 来なくてもこっちからいくけどな!」
 言って、自分から飛び込んで行った。
「勢いの良いことです」
 その背中を、『law of jastice』リチャード・F・ロウ(p3p000871)は後衛から見ている。
 両手でようやく構えられる重火器を向け、射撃の体制を整える。
「訓練……ええ、丁度いい機会です」
 リチャードが思うのは、やはり先日起きた砂蠍との戦の事だ。
 戦いへのブランクを感じる結果となってしまったと、そう思う。
「お仕事のじかーん! って、私も新兵みたいなものだし、一緒に頑張って行こー!」
 と、思考に耽るリチャードを、少し離れた位置にいる『忘失の過去』クランベル・リーン(p3p001350)の声が引き戻す。
 おにゅーの武器をお披露目だー! と楽しげな声に頬を緩ませ、頷きを一つ。
「では、行きますよリーン」
「はい! ご主人様!」
 息を合わせて、援護射撃を開始した。
「ヒヒ、我も動くとするかね」
 さらに、『闇之雲』武器商人(p3p001107)もそれに追随していく。
 正面、ニアが暴れ、隙を埋める様にリチャードとクランベルのゴム弾射が打撃している状態だ。
 だから、武器商人が狙ったのは、体力を減らされた兵士への止め。追撃の動きだ。
 手にしたタクトを揺らしながら近づく。
「ほらほら守ってばっかりかい!」
 そこではニアの猛攻が目立つ。
 バカ正直に盾を構えた兵士へ、叩きつける様に小盾で衝撃を加える。
 威力をまともに食らう体は、ダメージを防げてもかかる力を逃がせない。
 だから、弾き飛ばされ体勢を崩したところに、
「おやおや、危ないよ」
 武器商人がタクトを振る。
 波打たせる様に横への一振り。指揮するような動きに合わせて魔方陣が描かれ、単純な物理の衝撃波が叩き込まれた。
「ニンゲンは脆いからね、死なないように立ち回らないと」
「というか真正面から受けてどうするのさ! 攻撃はいなして捌く、防御の基本だよ!」
 暴れ回る。
 二人の立ち回りに感化され、死角からの接近を試みる兵士は少なからずいるが、
「危ない危ない!」
 クランベルのゴム弾に足を撃ち抜かれ、動きを止めていた。
 膝立ちにして体の揺れを抑え、スコープを覗きながらボルトを起こし、引いて戻す。
 淀み無い動作での装填を完了させ、ニアと武器商人の戦闘を補助していた。
「ーー」
 勿論、そんな厄介なスナイパーを兵士は放っておかない。
 真っ先に倒すべき対象は、新人にだって理解は出来る。
 だから近づき、倒そうとするのだが、クランベルはスコープから目を離さない。
 なぜなら、
「近づかないでいただきましょう」
 リチャードが打ち出す、クランベルが使っているものと同じゴム弾が、狙ってきた兵士にぶちこまれて無力化するからだ。
 と、不意にクランベルは照準をリチャードへ向けてトリガーを引く。
 それは体の横を通りすぎ、リチャードの背後から迫っていた兵士の額を弾いて倒した。
「さて、ご覧の通り近接戦闘は得意ではない私です」
 近づいてくる兵士をクランベルが倒している隙に、リロードをしながらリチャードは言う。
「今回、私たちの様射手との距離を詰めたい場合、どういった手段が有効かわかりますか?」
 構え直し、射撃を継続しながら答えを待つ。
「数は力、皆で協力出来るといいよねー? バラバラになっちゃダメだよー!」
 答えたのはしかしクランベルだ。
 だが、概ねはその通りだ。
 付け加えるとするなら、もう一つ。
「今回は平地でしたが、遮蔽物や地形を把握し、利用するのも忘れては行けません」
 盾で防ぐには限界もある。
 その場に利用できる物があるなら使う、そういう心構えも必要だ。
 しかし現状それは無く、だから兵士は列となってスナイパーのクランベルへ殺到していく。
「まあ固まると範囲攻撃の的、なんだけどねぇ」
 そこを、横手に回っていた武器商人が衝撃を放つ。
 狙いをそこへ絞ったせいでその他への対応が疎かになってしまったのだ。
 その結果として、吹き飛ばされた一人が他を巻き込み、ドミノ倒しの様に転がされる事となった。
「大体、あたしらがいるのに行かせるわけないだろうに」
 立ち直ろうとする兵士へ、跳躍からの踏み潰しで気絶させたニアは、一息吐きながら言う。
「自分のやるべき事、やらなきゃいけないことは常に変わってくもんだ、考えを止めちゃいけないんだよ」
「そうそう、敵が嫌がる事は進んで実行する様に」
 遠近の連携を上手く取りながら、兵士を寄せ付けない動きで戦いは終局へと向かっていく。
「でも動きはどんどんよくなっていってるね!」
 超遠距離から広い視野で見るクランベルは思う。
 戦闘の効果は確かに出ている、と。
 負けてられないなと、そうも思い、
「私ももっと、強くなっちゃうぞー!」
 容赦無くゴム弾を叩き込んで行った。

 そうして、戦闘が終わる頃には兵士達はボロボロになってしまっていて。
 打撲に骨折、切創、毒と火傷と怪我の博覧会状態だ。
 結局、イレギュラーズは治療や片付けに終われることになるのは、またいい教訓というのが、一つのオチとなった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

新人教育お疲れ様でした。
その後彼らが活躍するかどうかは……今後また知れる機会があればいいなーと妄想しつつ。
またの参加をお待ちしています。

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