シナリオ詳細
継承聖義ジャストライジング 目には目を剥き牙を剥け
オープニング
●聖義をもって奔れ
静謐な教会に集う人々。
心清らかに祈りを捧げる老若男女を、突如として暴虐が襲う。
「祈りをやめよ! 愚かで無能な天義の民よ!」
突然の爆発によって教会の壁が崩壊し、外より現われたのは悪鬼のごとき漆黒の魔鎧を纏った兵士――悪鬼兵。
悲鳴をあげて逃げ惑う人々を守るべく神父が剣をとり立ち向かうが、恐ろしき爪によって剣はたちまちにはじき飛ばされてしまう。
「無能! 脆弱! そして愚鈍!」
悪鬼兵は神父の首を掴みあげると強引に投げ飛ばした。
パイプオルガンへ激突。歪んだ音と共に神父は床を転がった。
「形無き神にすがる愚かな民よ。その信仰、我らデッドバタリオンへと捧げるがいい。甘美なる死と破滅が、あらゆる不幸を取り去るであろう!」
掲げた爪に魔力が集まり、おびえる民へと向けられる。
絶望にも似た光が放たれた――その時!
駆ける白馬の蹄音。
鞍に跨がる聖鎧の騎士が、跳躍と回転を持って民と悪鬼兵の間へと着地した。
『ジャストレイガン・カリバーモード!』
精霊のささやきと共に抜いた赤き光の剣が、悪鬼兵の魔力光線を切り裂いていく。
「ジャストライジング! また我らの邪魔をするか!」
「天義の民を脅かす限り、私は何度でも立ち塞がります!」
爪に魔力を纏わせ飛びかかる悪鬼兵。
聖鎧の騎士ジャストライジングは剣を握って迎え撃ち、相手の爪撃を次々に打ち払う。
そして懐へと潜り込み、至近距離でジャストレイガンを変形。
『ガンモード』という精霊のささやきと共に、悪鬼兵の胸部へ聖なる弾丸を連射した。
思わず吹き飛ばされる悪鬼兵に、聖力のチャージショットを叩き込む。
「これで終わりです――悪鬼兵!」
強力なショットが悪鬼兵を貫く。悪鬼兵は大爆発によって跡形も残さず散っていった。
「…………」
危険が去ったことに安堵し、肩をおとす。
そう、彼こそが天義聖ファング教会所属騎士、継承聖義ジャストライジングである。
●目には目を剥き牙を剥け
「昨今、破滅主義教団デッドバタリオンの教会襲撃事件が頻発している。
各地の騎士による迎撃でなんとか持ちこたえているが、じわじわと被害が蓄積し、民の不安も高まっている。
だがここに来て、騎士の一人がデッドバタリオンが拠点としている建物を発見した。
攻撃に転じたいが……その隙をついて各地の教会が襲われることは確実。教会騎士たちはそれぞれ防衛を続けるほかない」
聖ファング教会のキド神父は、重い怪我のあとをそのままに、眼前の者たちへと語りかけていた。
相手は片膝をつき頭を垂れる騎士ジャストライジング。
そして、あなたを含めたローレットのイレギュラーズたちだ。
「よって――教会騎士ジャストライジング。そして彼と交友を深めたギルド・ローレットのイレギュラーズたちに、拠点攻撃の任を与える!」
命令を受け、ジャストライジングはゆっくりと立ち上がり、あなたへと向き直った。
「あなたがたと再び戦えることを光栄に思います。依頼という形ではありますが……デッドバタリオンの野望を共に打ち砕きましょう!」
- 継承聖義ジャストライジング 目には目を剥き牙を剥け完了
- GM名黒筆墨汁
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2018年12月24日 22時20分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●ジャストライジング
天義に拠点をもつ破滅主義宗教組織デッドバタリオン。
全ての者は死によって救われると信じる彼らは、いわば大規模な無理心中グループである。
「天義みたいな信仰の強い国でもそういうのがいるのね。というか天義だからこそ……?」
『牙付きの魔女』エスラ・イリエ(p3p002722)の呟きに、かぶとの位置を直していたジャストライジングが小さく振り向いた。
「信仰心が深いということは、そこにつけ込まれやすいということでもあります。科学信仰をもつ人々が科学的根拠という言葉に踊らされやすいのと同じです」
エスラは、ジャストライジングのきわめて『一般的』な回答に少しばかり驚いていた。もっと宗教家っぽいことを言うのでは、と思っていたからだ。
「日頃常々思ってるけど、天義の人達の目に私みたいな存在ってどんな風に映ってるのかしら」
「『私みたい』とは?」
エスラが鏡に映らない自分の性質や地元での評判について話すと、ジャストライジングは首を傾げて見せた。
「神のルールの範疇にあるものを、我々が忌避する理由がわかりません。あなたの故郷では、それは忌避されるべき特徴と信じられているのですか?」
天義。もしかしたら、思ったよりもずっと懐の広い国なのかもしれない。
会話を横で聞いていた『守護天鬼』鬼桜 雪之丞(p3p002312)は、刀の柄をそっと撫でながら思った。
(ジャストライジング様は、今まで会った天義の者より、毛色が違って見えますね。それに、その心意気は好ましいものです。故に、できる限り、共に帰還するまでを目標と致しましょうか……)
雪之丞が見てきた天義の風景とは、薬品で無理矢理思想を操作する者や罪に対する罰に執着し過剰な炎を燃やす者たちだった。
ジャストライジングやファング教会のありさまは、雪之丞から見てまっとうであると同時に、どこか浮いてすら見えた。
「信仰している人達を殺戮するのは確かに赦せないね」
『今回は殲滅だ、心置きなく倒せるだろう』
「うん、慈悲はいらないね」
そんな会話をよそに、『穢翼の黒騎士』ティア・マヤ・ラグレン(p3p000593)は自らの内面と会話をしていた。
もうじきデッドバタリオンの拠点に到着する頃だ。
「拠点のひとつ……けれど、潰せば確実にダメージになるよね」
「はい。戦力は限られていますが、力を合わせて戦いましょう!」
ジャストライジングは変形聖器ジャストレイガンを法衣の内側から引き抜いた。
「えへ! えへへ! たくさんアイしてあげようね。ボーくん!」
『矛盾一体』ナーガ(p3p000225)も楽しそうに大斧を握りしめている。
その様子に『黒鴉の花姫』アイリス・アベリア・ソードゥサロモン(p3p006749)はわずかに苦笑しつつも、ジャストライジングに目を向けた。
「こうして、一緒に戦うの、久しぶりだね。やっぱり、デッドバタリオンは気にくわないし、頑張って戦うよ」
そう言って、アイリスは担いでいた十字架を見せた。
「不思議な雰囲気を感じる十字架ですね。鈍器……ではないような」
「うふふ……この十字架、戦う所を見たら、きっとびっくり、するよ」
楽しげな様子。対してケイド・ルーガル(p3p006483)は口の中でマスカットキャンディを静かに転がしていた。
(なんかコイツの人生、ベリーハードじゃね? 会うたびに死亡フラグ立ってるとか、冗談じゃねぇよ。ヒーローが毎週命懸けとか、どんな特撮だ)
そんな風に想いながら、別の仲間の様子を見た。
『望の剣士』天之空・ミーナ(p3p005003)と『元。』美城・誠二(p3p006136)だ。
「ようやく借りを返せる時が来たな」
「ああ……以前の仕事で、『彼』を失ってしまったからな。せめてモノ罪滅ぼしだ、また失うわけには行かない」
「前代本人じゃねーのが心苦しいが……」
「いいえ、そんなことはありません!」
ちゃっかり聞いていたジャストライジングが、二人に向けてジャストレイガンを翳して見せた。
「『先代』の正義は私と皆さんの中にしっかりと受け継がれています。僕らが魔と戦う限り、ジャストレイサーは死んでいません!」
「……ああ、そうかもな」
誠二は深く呼吸を整えた。
「別世界でヒーローを名乗ったものとして、尽力する」
「こっちはヒーローじゃねーが、本気でやらせて貰うぜ!」
●デッドバタリオンと悪鬼兵
森囲まれた、一見何の変哲も無い建物。
しかしその周囲を警戒しているのはデッドバタリオンの悪鬼兵であった。
独特の悪鬼めいた強化外骨格を装備した彼らは強敵だ。しかし見える限りの7人は色々な機能が取り払われた量産型の外骨格を装備している。
「どうする? 誰かに任せて突破しちまうか?」
「いいえ。協力してこの7人を殲滅しましょう」
「そういうことなら、任せて貰おうか」
誠二は指をこきりこきりと鳴らすと、ネクタイを締め直して茂みより姿を現わした。
「貴様――なにやつ。用が無いならここから立ち去れ」
魔力を帯びた爪を向けてくる悪鬼兵。
対して誠二は両手をポケットに入れたまま何気ない足取りで近づいていく。
「いいか? 俺は美城誠二……ヒーローをやっていた男だ」
「なんだと……?」
悪鬼兵たちが誠二に注目している。何事かと集まってきた悪鬼兵が警戒したまま、本能的に味方に近い位置をとる。
……それを、ミーナは見逃さなかった。
「貰った!」
跳躍によって茂みから飛び出したミーナは赤と青の剣をそれぞれ引き抜くと、悪鬼兵たちへと斬りかかった。
一体の胸部魔力水晶体を破壊。流れる動きで隣の悪鬼兵を蹴り飛ばし、さらなる剣で別の悪鬼兵の喉を突く。
が、それは悪鬼兵の爪によって差し止められた。
刃を直接握るように掴む悪鬼兵。
「我らに徒なす愚か者め。死の救いをくれてやろう!」
胸から放つ連続魔力弾。
ミーナと誠二は後ろ向きに飛び退いてそれを回避。
入れ替わるようにティアが空中へと飛び上がった。
死骸盾とディスペアー・ブルーを発動。
全く同時にエスラのルーン・Hが発動し、悪鬼兵たちを覆うように大量の霜と呪いの冷気が渦巻いていく。
「仲間がいたか……!」
一網打尽にされてはかなわないと散開する悪鬼兵たち。
彼らの魔術弾がティアやエスラたちへと乱射される。
「狙いがめちゃくちゃよ!」
エスラは防壁魔方陣を開いて防御。ティアも出現させたインスタントアンデッドに自らを庇わせるように防御した。
「にがさんぞ!」
スカイウェザーの悪鬼兵がティアに飛びつく。
もつれ合って地面へと落ち、バウンドする二人。
援護にあたろうとしたエスラには別のスカイウェザー悪鬼兵が飛びかかり、爪による乱打を繰り出してくる。
ミーナたちは別の悪鬼兵とぶつかり合っている最中だ。
「このまんまじゃマズいな。連中を引っぺがすぞ」
ケイドはライフルを構えてジャストライジングにサインを送った。
頷き、ジャストレイガンの狙いをつけるジャストライジング。
二人の集中射撃が、エスラたちに群がろうとする悪鬼兵を打ち払っていく。
「連中、範囲攻撃持ちの後衛から狙おうって程度の知能はあるってわけかよ」
「どうでしょう。偶然かもしれませんが……」
そんなケイドたちの間を抜けて、ナーガが悪鬼兵へと走った。
「こんにちは! またあったね! またキミたちをたくさんアイせそうでウレシイよ! たのしもう――ね!」
助走をつけて飛び上がり、斧を振りかざすナーガ。
慌てて飛び退いた悪鬼兵。それまでいた土面が盛大に破壊され、ばらばらの砂となって降っていく。
「はっ――!」
ナーガなりの笑顔で、吹き上がった大きな石を悪鬼兵めがけて投擲する。
大きな爪を交差してガードする悪鬼兵。
そのガードを強引に打ち抜いて、石は悪鬼兵の胸部魔力水晶を破壊した。
思わず転倒する悪鬼兵。
そこへ雪之丞が素早く滑り込み、小さく手を打ち鳴らした。
小さく打っただけだというのにリンという不思議な音をはなち、周囲で戦っていた悪鬼兵たちの意識を強制的に引きつける。
「何をした、小娘!」
爪による斬撃。
対して雪之丞は刀を翳して防御。相手の力を受け流し、逆流するように振り込んだ刀で相手の腕を切り裂いた。
アイリスが十字架をおろすと、ずんと音をたてて土に刺さる。
「見せてあげるね……『マグダラの罪十字』」
アイリスが『神よ罪深き彼女に贖罪の機会を与え給え』とコードを呟くと、十字架はぱきぱきと展開し、美しい女の人形へと姿を変えた。
「自動人形だと……!?」
咄嗟に魔術弾を打ち込む悪鬼兵。
自動人形は十字架の外装パーツであった金色のプレートを盾にして弾を防御。
強引に詰め寄ると呪術を込めた手刀を叩き込んだ。
胸を貫かれ、崩れ落ちる悪鬼兵。
アイリスが振り返ると、他の仲間たちもそれぞれ悪鬼兵を倒していたようだ。
「ちょっとだけ手こずらせてくれたわね」
「けど損害は軽微。まだいけるよ」
雪之丞は仲間たちの言葉に頷き、刀を再び鞘へと収めた。
「では、行きましょうか」
●拠点襲撃
通路を走るケイド。
スチール製の扉を見つけ、ドアノブに銃撃を打ち込んでから蹴り開ける。
打ち開き式のドアはいとも簡単に解放され、照明の灯ったままの部屋をさらす。
「こいつは……」
右から左へ視線をジグザグに動かし部屋の様子を探る。
だが細かく探るまでも無いのかもしれない。部屋のデスクや棚は焼け焦げ、燃えやすい油の香りが漂っている。
「バーベキューパーティーに失敗したんでも無い限り、知られてはまずいものを焼却して残すべきものを持ち去っちまったあと……ってことか」
「勘違いするな。この場所を知った貴様らも焼却対象だ!」
連射される魔術弾が壁にライン状の火花を散らす。
部屋内に飛び込んだケイドは壁で射撃を防御し、ライフルを連射モードにした。
「やってみな。出来るもんならな……!」
銃だけを壁から出して連射。相手が防御のために角に引っ込んだ所を狙い、アイリスが『マグダラの罪十字』をけしかけた。
アイリスと共に角へと飛び込んでいった人形はイバラのロープを展開。悪鬼兵に巻き付けて腕を拘束する。
綱引き状態になった所でアイリスが手のひらから呪術弾を乱射。
反応が遅れた悪鬼兵は防御しきれずに弾をくらった。
「どいて……」
のけぞる悪鬼兵に対し糸を強く引くようなジェスチャーをとる。
すると、人形がイバラのロープを強引に引いて悪鬼兵を壁に叩き付けた。
その衝撃で悪鬼兵は息絶えたが、先の通路のあちこちから三人の悪鬼兵が飛び出してくる。
「この先には行かせん!」
飛び出した悪鬼兵たちが胸の魔力水晶に力を集中。
攻撃が来ると察したアイリス――よりも早く、雪之丞が彼らの前に飛び出した。
集中魔力弾。
対し、虚空を切り裂くように刀を振り込む雪之丞。
生み出された漣の魔力波が魔術弾と相殺。余ったエネルギーが雪之丞の頬をかすめ、小さい切り傷を作った。
「もとより力尽くです」
さらに交差させるように斬撃を入れると、雪之丞の気迫そのものとなって悪鬼兵たちをまとめて吹き飛ばしていく。
大波に押されるように転倒した悪鬼兵たち。
エスラはここぞとばかりにライトニングの魔術を発動。
手のひらに纏うように雷を暴れさせると、至近距離まで近づいて悪鬼兵の胸元へ叩き付けた。
背中まで突き抜ける雷。
崩れ落ちる悪鬼兵。
「貴様――」
左右から迫る爪の攻撃を、ナーガの斧と誠二の蹴りがそれぞれ止めた。
相手を絡め取るようにパンチとキックを浴びせ、そのまま脇の部屋へと追い詰める誠二。
「なぜ逆らう。死はなによりの救いなのだぞ……!」
「俺はそうは思わない。それより、誰の命令でこんなことをしている」
「冥府の果てて教えてやる! まずは死ねィ!」
交差させた爪に魔力を溜め、怒濤の連撃を繰り出してくる。
誠二はそれを両腕のガードで耐えしのぐと突き飛ばすように蹴りを加えた。
そして、くるりと背を向ける。
再び飛びかかる悪鬼兵。
豪快な後ろ回し蹴りがカウンターのように炸裂し、悪鬼兵の胸を打ち抜いた。
一方ナーガ。
「アハッ――!」
水平に打ち込まれる斧が、悪鬼兵と壁を丸ごと破壊した。
証拠隠滅のために未だ燃え続ける部屋へと転がり込む悪鬼兵。
壁の穴をまたいで入ってきたナーガが、ごきごきと拳を作っていく。
「私を殺すか。だが貴様も道連れだ!」
爪がまっすぐに突き出される。
ナーガは。
しかし。
よけなかった。
腹へ深々と突き刺さる爪。
あまりの自然体に、悪鬼兵は呆気にとられていた。
口の端から血を流し、ナーガは笑う。
「そうだね。アイしあおうね」
次の瞬間、悪鬼兵の顔面がはじけ飛んだ。
室内の通路で飛行し続けるのは帰って不便だ。
ティアは床すれすれの位置を平行移動しながら、死骸盾によるインスタントアンデッドをはべらせていた。
ドアを開いて現われる悪鬼兵。繰り出される爪をアンデッドで防御し、至近距離から漆黒の魔術で打ち抜いていく。
それを援護するように聖なる光線を連射していくジャストライジング。
ミーナはその横を駆け抜けながら悪鬼兵を切り裂き、更に加速を加えた。
暴風を纏うミーナ。
両開きの扉が見えてくる。
その手前には二人の悪鬼兵。
「ここは通さ――」
「鬱陶しいんだよ、雑魚がっ!」
暴風を纏ったままタックルをかける。
爆発のような衝撃が走り、悪鬼兵もろとも背後の扉を破壊。
ミーナは転がるように、広い部屋へと突入した。
背徳的なシンボルの前で祈りを捧げていた幹部悪鬼兵が、ゆっくりと振り返る。
「何かと思えば……ファング教会の犬か。それと、貴様は確か『茜色の恐怖(マーダードレッド)』」
「マー……なんだと?」
ミーナは小首を傾げたが、どうやらデッドバタリオンでの通り名であるらしい。
「素晴らしい死と暴力だ。どうだ、我が教団に加わりあまねく死をもたらさんか」
「死によって救われるなら、ご自身でお確かめください。拙が、魂の逝く果てを。地獄をお教え致しましょう」
割り込むように飛び出した雪之丞。そして誠二がそれぞれ幹部へと飛びかかっていく。
先程まで転倒していた部下の悪鬼兵たちが起き上がり、それを阻もうと床を蹴る。
が、アイリスの人形がそれを阻んだ。
巻き付くイバラが悪鬼兵をほんのわずかに拘束し、高速で回転する腰のリールによって引き寄せられていく。
咄嗟に向き直って放つ魔術弾を、ティアが手刀で打ち落とした。
ナッシングネスの魔術を打ち込み、攻め込んでいく。
「少しは広い場所に出てきたわね。やっと思い切り撃てるわ!」
エスラはライトニングの射程制限術式を解放。壁まで穿てとばかりに雷を発射する。
悪鬼兵に穴をあけて壁までぶつかる雷撃。
それは幹部にまで届いたが、幹部は自らを覆う球体状の魔力障壁で攻撃を防いだ。
「流石に幹部、ってわけか」
ケイドがライフルを水平に構えて連射。
「それでも、攻撃を集中すれば打ち破れる筈です!」
ジャストライジングも射撃を集中。
防御に集中していた幹部は飛びかかる雪之丞の斬撃と誠二のパンチをそれぞれ受け止め、競り合うように障壁に力を込めた。
とめきった。
そう考えた幹部の頭上を、ナーガがとった。
フリーフォールアックスチョップ。
相手の肉体を真っ二つにするような強引な斬撃が、障壁を破壊。
続くミーナの剣が二本とも幹部の胸を貫き、魔力水晶を破壊した。
「クク……この私を倒したところで、デッドバタリオンの歩みは止まらない。いずれは全ての民を殺し尽くすだろう!」
捨て台詞を吐いて、幹部は激しく爆発四散した。
こうして、デッドバタリオンの拠点をひとつ潰すことが出来た。
「しかし、『歩みは止まらない』とはどういうことなのでしょう」
「考えすぎじゃない?」
「何をされてもぶっつぶすだけだ」
それぞれ拠点を出て、振り返る。
重要な情報を持ち去ってどこかへ逃げてしまったのだろう。だが残る情報から足取りを追うことはできる。
「彼らが民を危険にさらす限り、私は戦い続けます。これからも……私と一緒に戦ってください。イレギュラーズ!」
あなたを見つめて言うジャストライジングに、あなたは……。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
――mission complete!
――good end
GMコメント
天義カテゴリー『デッドバタリオン編』シナリオ。
依頼目的は敵拠点の攻略です。
【オーダー】
成功条件:敵拠点の攻略
オプションA:ジャストライジングの生存
オプションB:?????
天義の民を皆殺しにしようとしている教団デッドバタリオン。
その拠点のひとつを発見しました。
拠点周囲を守っている悪鬼兵を倒し、拠点を攻略しましょう。
【おおまかな流れ】
●野外パート
拠点の野外で警備している悪鬼兵を倒し、拠点内部へと侵入します。
このとき『全ての警備悪鬼兵を倒す』か『少数の仲間に任せて残りを先行させる』かを選択できます。
前者を選ぶと安全に進行でき、後者を選ぶと敵の戦闘準備や機密破壊のリスクを減らすことが出来ます。
・敵戦力
悪鬼兵(量産型)×7
バランスタイプの能力値で、遠術・近術・魔力撃を使い分ける。
ブルーブラッド、カオスシード、スカイウェザーで構成されている。勿論飛べるのはスカイウェザーだけ。
OPでジャストライジングが一人で倒していたのと同タイプ。
大体二人くらいまでなら相手にできそう。
●屋内パート
襲撃を想定して作られているため、戦闘がちょこちょこと面倒です。
まず横幅の広くない通路や、近接攻撃しかできなさそうな部屋がこまかく分かれており、襲い来る悪鬼兵(量産型)を倒しながら突き進むことになります。このとき攻撃レンジにはくれぐれもご注意ください。
最後の部屋では拠点を任されている悪鬼兵(幹部仕様)との戦闘になります。
『最後の部屋』は広い地下室で、レンジ3までの攻撃が可能です。
・悪鬼兵(幹部仕様)
通常の悪鬼兵に狼のような造形が加えられている。
きわめて俊敏。魔力をもった剣を扱い、近接戦闘においてとても高い能力をもつ。
スペックは反応、機動力、攻撃力、回避、EXAが高い。
戦術レベルも高く、ある程度作戦の着地点を定めそれに向けた工夫をしないと途中で弾かれることがある。(例:BSを起点にした作戦を立てるなら陣形と待機を駆使して回避ペナルティを貯めてから打ち込まないとかわされる)
※また、『最後の部屋』には悪鬼兵(量産型)が増援として現われます。
増援の数と頻度はたどり着くまでに悪鬼兵(量産型)をどれだけ倒したかで決まります。
●攻略後
拠点の攻略が完了したら教会関係者たちが占拠し継続的に調査を行ないます。
そのため拠点の調査その他は必要ありません。どうしてもなんか調べたい場合はプレイングに書いてください。ただし調査部分が多くなりすぎると戦闘がおろそかになるのでご注意ください。
【デッドバタリオン】
破滅主義をかかげる教団。天義における異教徒であり邪教徒。
全ての者は死によって救われると信じており、天義の民をことごとく殺した後に自分たちも死ぬことを最終目的としている。
教団の戦士はみな『悪鬼兵』と呼ばれ、専用の強化外骨格を装備している。名前の通り悪鬼のようなフォルムをしている。
【ジャストライジング】
ファング教会に所属する天義教会騎士。
先代騎士ジャストレイサーから受け継いだ聖鎧を改造した『ジャストライジング』を纏って戦う。本名は分からないためそのまま聖鎧の名前で呼ばれている。
武器を聖銃モードと聖剣モードに切り替えて戦うオールレンジファイター。
能力は平均的でレンジ0~4までまんべんなくダメージを稼げるのが強み。
参考:『聖義戦士ジャストレイサー』
https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/1017
参考:『継承聖義ジャストライジング』
https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/1156
【ファング教会】
天義に数ある教会のひとつ。
教会に所属する騎士たちを戦力としてデッドバタリオンと戦っている。
管理者はキド神父。
【アドリブ度】
ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用くださいませ。
Tweet