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シナリオ詳細

ぴざねこは移ろう

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●手に乗る! 乗れる!
「今日はぴざねこの生態調査に向かってもらいます。はいドン」
 『博愛声義』垂水 公直(p3n000021)はどこから用意したのか、『森で発見ぴざねこの亜種』と書かれた黒板を前にそう宣言した。色々危ない。
 そして「ドン」に合わせてひっくり返された黒板には、『手乗りぴざねこと乗れるぴざねこに会います』と書かれてあった。逆さに。
「えー、今回は以前情報をくださった貴族からの話なので確実です。彼は手乗りぴざねこに群がられて幸せで死にそうだと言っていました。嫉妬で人が殺せるなら『嫉妬』の魔種は居ねえんだよ」
 本音が漏れた。
「申し訳ないのですが、『ぴざねこ』とはなんでありますか? バザーでも王都でも見かけたことがないでありますが」
「ちょいブサな猫。ブサ可愛い。以上だ」
 『無明の明』ドルト・ペオン (p3n000035)の質問を秒で処理し、公直はいつもより高めのトーンで続ける。
「ぴざねこのイメージ画についてはちょうどそこらを歩いてた似顔絵作家に書いてもらった。再現度は非常に高い」
 そういって出されたスケッチには、不出来なスケッチめいた猫……得も言えぬ魅力を秘めたそれが鎮座している。公直の話す速度が上がっても気にしてはいけない。
「今回は生態調査だがうっかり周囲の危険を排除したり、さらにうっかり数匹連れ帰って繁殖の下地を作っても構わない。個人的に懐くかどうかは保証しない。そして、問題は『乗れるぴざねこ』だ」
 もうなんかしっちゃかめっちゃかだな。
「こいつは非常に気難しいうえに手乗りぴざねこにご執心なので、うまく説得する必要がある。態度で。もうめっちゃ態度で」
 二度いった。態度が大事なんだな。
「そんなわけで生態調査はコイツを連れていってください。喜びます」
「公直殿ォ!?」

GMコメント

 ドルトはたべられません。
 あとなんか、kiyoponmaruILには申し訳ありません。増えました。

●情報確度
 情報確度はAです。不測の事態は絶対に起こりません。

●達成目標
 『手乗りぴざねこ』と『乗れるぴざねこ』の生態調査を実施する。手段は任意。傷付けなければオッケー。ちょっと緊張感のあるハイキング程度に考えてください。

●手乗りぴざねこ
 体長10cmに満たない小型のぴざねこ亜種。
 鳴き声はトーンが高いが汚いのは変わらない。

●乗れるぴざねこ
 軍馬みたいな働きをするぴざねこ亜種。
 鳴き声は重低音で汚さ5割増しです。だがそれがいいという好事家多数。

●なんかぴざねこの天敵各種
 ちょっと凶暴な狐が居たり場合によっては熊も出ます。
 イレギュラーならパツイチでコロイチです。大丈夫大丈夫。

●目的地
 幻想の森の中。以前ぴざねこを返しにいったところとは別です。

  • ぴざねこは移ろう完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2018年11月11日 21時55分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

鳶島 津々流(p3p000141)
四季の奏者
清水 洸汰(p3p000845)
理想のにーちゃん
リカ・サキュバス(p3p001254)
瘴気の王
豹藤 空牙(p3p001368)
忍豹
セレネ(p3p002267)
Blue Moon
アーリア・スピリッツ(p3p004400)
キールで乾杯
炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子
藤堂 夕(p3p006645)
小さな太陽

リプレイ

●ぴざねこをさがしにゆこう
「なー……ぴざねこってなんだ?」
 森へゆく馬車に揺られ、『雲水不住』清水 洸汰(p3p000845)は車窓に問いかけた。
 彼の脳裏に浮かんでいるのは、ブロック塀の上を歩く三毛猫や、オシャレな首輪をつけたアメショである。
「ぴざ……ぴざ……?」
 率直にイメージしたのはソーセージピザの上にネコがべたんと転がった謎の物体だった。なんだろうこれ。
「んな動物なのかなあ。ぴざねこさん……」
 コータとは異なりぼんやーりとネコ的なシルエットを思い浮かべる『行く雲に、流るる水に』鳶島 津々流(p3p000141)。
「『ぶさかわ』? らしいけど……」
「拙者と、同類みたいなものでござるか」
 『忍豹』豹藤 空牙(p3p001368)がきりっとした顔で振り返った。
「この流れで言うと『ぶさかわ』に共通点を見いだした……みたいにならない?」
「乗れる部分に共通点を見たでござる」
 ほぼほぼ豹の空牙に騎乗するのは相当な訓練が必要そうではあるが、本人がいうのだからモトの世界ではそうだったのかもしれない。
 『blue Moon』セレネ(p3p002267)は白い髪にまざったネコめいた獣耳を軽く握った手でくしくしとやった。
「どんなねこさんなのでしょうか……ドキドキします。ぬこまくらさんみたいなのでしょうか……」
 知ってる人は知っている、ぬこまくら。
 ぼてーっとしてやけにふかふかしたあの生き物を思いだし、それが手のひらサイズになったりベッドサイズになったりしたものを空想してセレネは一足先に心をほかほかさせていた。

 馬車は二台に分かれ、目的の森へとかたかた進んでゆく。
 こちらは後列の馬車。『無明の明』ドルト・ペオン (p3n000035)たちの乗る方である。
「小動物ってちょっとブサイクな方が可愛いって言いますよねえ」
 『雨宿りの』雨宮 利香(p3p001254)はフサイクなネコちゃんのシルエットを手で描きながらそんな風に言った。
 世の中には不細工でもかわいがられる動物がいて、そのトップスリーはネコ、イヌ、ニンゲンと言われている。
 容姿の整った利香からは縁遠い話のようにも思えるが、案外そうとばかりも言えぬものである。
 『永劫の探求<セラエノ>』アーリア・スピリッツ(p3p004400)が小さな酒瓶を片手に足を組み替えた。酒瓶には偽電気ブランとあった。
「お酒のアテも、珍味のほうが癖になるのよねぇ」
 崩す、というのは娯楽にとってかなり重要な要素である。
 酒の味をより深く味わうべく刺激の強いアテやかわった味のアテをそえることがあるように、ブサイクなネコは美観を整えるとして貴族女性にも割と人気があったりする。
「きっとぴざねこちゃんも癖になるはずだわぁ~」
「この際連れて帰って……うぅ、でも家を空けることが多いから飼うのは……でも連れて歩けばあるいは……」
 『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)が早くもぴざねこちゃんを飼う生活を想像し始めていた。
 これは実物を見たら『ガワ゛イ゛イ゛!』ってなるやつだなと察した藤堂 夕(p3p006645)が深くこっくり頷いた。
「縁結びならお姉さんにまっかせなさい!」
 自信満々に胸を叩く夕(実は焔の一個下)。
「今回、我に秘策あり!」
 そう言って夕は、白猫がキャタピラや大砲を装備するナゾの玩具を手のひらにのせた。
 よくわからないけど。
 その秘策、ちょっと興味ある。
 焔はひそかにそそられた。

●手乗りのぴざねこがいるらしい
 ぴざねこってなんだよ。
 そうお考えの幻想ヘッズの皆様は、ぜひとも汚い声でなくデブネコちゃんを想像して頂きたい。多分愛せると思う。
「なあああああああう……」
 どこからともなく聞こえてくるきたない鳴き声。
 まさしくぴざねこの泣き声である。
 なんだかちょっと高いのは、手乗りぴざねこのものだろう。
「ハイキングみたいで、なんだかわくわくするねえ」
 津々流はどこかおっとりとした様子でぴざねこの声に耳を傾けていた。
「そういえば……生態調査なのにちょっかい出していいんですかねえ?」
 その辺から猫じゃらし的な植物をぺいっと引っこ抜いてみる利香。
 それを津々流に手渡してやると、二人して左右にひょいひょい振りながら歩き始めた。
「触ったりするのも調査……なんじゃないかな?」
「そういうものかなぁ」
 あたりをきょろきょろと観察しながら歩く焔。
 普段人の手が入っていない森なのだろうか。馬車がはいる隙間などまるでなく、焔たちは背の高い木々の間を進んでゆく。
 木漏れ日と鳥の声。草木と土の香り。
 どこまでも続くかのように見える森の風景は距離感を狂わせる。
 そんな森を進んでいくと、焔がふと大きな木の根元を指さした。
「あ、見て。あれがぴざねこちゃんじゃないかな」
 焔が指さすさきには、たしかにぶっくりとしたネコの姿があった。
 森の風景に遠近の感覚が崩れた目には普通のネコに見えるが、よくよく目をこらしてみるとそれが手のひらに乗るくらいのサイズだと分かる。子猫サイズだ。
「ちっちゃい……うわぁ、かわいい……」
 焔が両手を翳してぷるぷるしはじめた。
 一方のぴざねこは人間が珍しいのか、こちらをじっと観察している様子である。
 北極のペンギンは人間を知らないので無警戒に近寄ってくるなんて話があるが、それでもこちらを観察する段階というものはある。
 ならばと、津々流と利香はかがんでさっきまで降っていた猫じゃらし(的なもの)を小刻みに降り始めた。
 ネコの本能なんだろうか。それともぴざねこの習性なのだろうか。
 ゆれる猫じゃらしの先端を目で追い、やがて首で追い、やがて肩を低くして狙いをつけたかと思うとぽーんととんで猫じゃらしに掴みかかってきた。
「――――――!」
 こういうとき、人間はよく言葉にできない言語を発するものである。
「な゛ーう゛」
「声きたないですねえ、噂通り」
 利香は飛びかかってきたぴざねこを手のひらに乗せると、横っ腹をつついたりおでこを指先で撫でたりしてみた。
 ぴざねこの方は相変わらず『な゛ーう゛』とか言いながらされるがままである。
 焔たちを天敵では無いと判断したらしい。
「そうだ。パン食べますかね?」
 利香はそう言ってゼシュテルパンを出してきた。そう、防御技術のあがるやつ。ある意味利香の主食みたいなところがあるが、それはさておき……。
「な゛ーう゛……」
 ぴざねこは暫くにおいを確かめた後、何度かガッガッと噛みついたあと暫くしょりしょり舐めはじめた。
「硬すぎるのかも」
「ミルクに浸したらいいんですかね? それともすりつぶしたり……」
 子猫豆知識。まだハイハイ歩きの子猫は乾燥フードをそのまま食べられないので、ハンマーで砕いた後水でといてふやふやにしたものを食べさせるとよい。
 利香もそのノリでゼシュテルパンの硬いところを拳でガッとやった。
 利香パイセンの堅さがゼシュテルパンに負けるわけないだろ。粉々だよ。
 ……というのは冗談として、剣の柄や盾の端っこを使ってがしがし砕いてから水筒の水で溶かして食べさせはじめた。
「おー……」
 パン食べるんだー、みたいな顔で観察する焔たち。
「見て、この子、すごい飛ぶ」
 津々流が猫じゃらしを上下に振りながら、ぴざねこがジャンプするさまを見せつけていた。
 子猫みたいなサイズだが、それでいて1メートルくらいはジャンプできるらしい。
 手乗りぴざねこというだけあって、この状態で成体なのだろうか。
 ただぴざねこらしく暫くジャンプしたら疲れてその場にぺったりとしてしまった。
 無理に運動させすぎたか、と心配した津々流だが、どうやらただ休憩しているだけらしい。
 ネコってやつは本気で遊んでぜーぜーするもんである。
 草の上じゃつめたかろうと、津々流は手のひらにのせて両手で包むようにしてみた。ネコというかヒヨコの持ち方だが、ぴざねこは津々流の手の中でなんだか暖かそうに目を閉じて安らかにお腹をふくふくさせはじめた。
「ネコと同じでじゃらされる。多分雑食。運動はできるけどすぐにバテる……と」
 焔が調べたことをメモしつつ、持ち込んだ小さな七輪を地面に置いた。
 七輪の中に適当な草を放り込み、特別な火をつける。
 ここでいう七輪は古式ストーブとしてのアイテムである。昔の日本人は一部屋に一台の勢いで七輪があったそうな。 
 普通なら火事や熱や炭に苦労するからと持ち込まないが、焔のつける炎はなんにでもつけられるかわりになにも燃やさない、暖かいだけの炎である。
 ……なかなか遠回しな言い方をしたが、要するに焔は野外でストーブを焚いたのだ。
 丁度寒い季節になったからか、木の根っこのところで集まって暖を取っていたぴざねこたちがよじよじと出てきてストーブの周りに集まり始めた。
「こういう所もネコっぽい……」
 ちょっと近すぎるんじゃないかって距離に並んで暖を取るぴざねこたち。
「おー。煮干しくうかな」
 洸汰が手のひらに煮干しをのせて近づけてやると、なんだかちょっとずつではあるがカリカリし始めた。
 この勢いで連れてきたパカお(パカダクラ)に乗せてみようかと掴んで近づけてみたら、ピャッといって暴れ始めた。
 どうやらデカい動物は恐いらしい。
「うちのパカおはもこもこで暖かいんだぞー?」
 洸汰はちょっぴり残念そうだが、これも生態調査。(なんとなく忘れがちだが)ちゃんと記録しておいた。
「動物同士なら通じ合うものがあると思ったんだけどなー。なに考えてるかわかるか?」
 洸汰がアドバイスを求めたのはセレネだった。
 セレネは水をすくうように両手をあわせ、乗せたぴざねこと動物疎通で会話をしていた。
「えっと……ぴざねこさんにとっては、別の動物さんなので……」
「あ、そっか。うっかりしてた」
 洸汰のフレンズたち(ぴょんぴょんたろー、子ロリババア、パカお)は種族を超えて仲良しっぽいのでうっかり忘れていたが、手乗りぴざねこからしたら人間もパカダクラも『自分たちと別種の動物』という分類になるのだった。というか、人間も割と動物である。
 セレネは継続して持ち込んだ保存ツナを食べさせてみた。ネコっぽい食べ物を普通に食べる……というか、雑食なので大体のものは食べるらしい。チョコレートやタマネギ(ネコにとって毒な食物)がどうなのかは気になる所だが、実際に食べさせる人はいなかった。そりゃあそうだ。
 お腹いっぱいになったぴざねこに、セレネは靴下をあげてみた。
 もぐるのに丁度いいサイズらしく、頭からもごもご入ってターンして、最終的に顔だけ出して目を閉じた。
「みんな仲良くなれたみたいねぇ」
 アーリアが引率のお姉さんみたいなことを言った。
 そうなんですと振り返ると、ネコバニースーツ(要するにネコオプションのついたレオタード)姿でばっちりきめていた。
 引率のお姉さんっていうか夜のお姉さんみたいな格好だった。
 別の意味でドキドキするセレネである。
「まずは形から入ってみたわぁ。にゃん」
 ぴざねこに通用するのかはわからないが(ここまでの流れを見る限り通用しなさそうなきはするが)、見た目がよいので止める理由はござらぬ。
「スルメたべるかしらぁ? あら、食べるのねぇ。珍味珍味」
 『珍味』を『ブサカワ』と同じトーンで使いつつ、アーリアは鼻歌で子守歌を歌い始めた。
 見た目は夜のお姉さんだが振る舞いはやっぱり引率のお姉さんだった。
「なんだか、一匹くらいお持ち帰りしたくなってきたわぁ」
「――楽しんでいるところ、恐縮でござるが」
 空牙が茂みからぬっと出てきた。
 急に出てきたもんだからびっくりしてぴざねこを取り落としそうになる洸汰たち。
 同じ茂みから夕がぬっと顔を出す。
「『乗れるぴざねこ』がこっちに近づいてるみたいです」
 ど~やら、空牙は森の中でひたすらじーっとし続けることで『乗れるぴざねこ』を観察し続けていたらしい。
 気配遮断で気配をかなり消せるといっても、相手はなんだかんだで野生動物。じっとしているのをやめるとすぐバレてしまうものである。それゆえとにかくじっとしていた。
『まず、拙者の思い受ける大きさでござるが、手乗りは、ほぼ全てが天敵と言って差し支えない気がするでござるよ。逆に、乗れるのは、少なくとも、拙者と同じレベルの大きさだと考えられるでござる。下手すると、拙者たちが襲われることになるかもでござる』
 という、空牙の予想による行動なのだが、手乗りぴざねこは案外すぐになついたし、『乗れるぴざねこ』は気むずかしいだけで急に逃げたり襲いかかってきたりはしなかった。言い方を変えると、気づいていながら無視している感じがした。
 洸汰も『こりゃパカおたちを近づけても同じっぽいなー』と察して仲間に判断を任せてみた。
 仲間というか、セレネにである。
「ネコさんにはネコさんです。……や、やってみます!」
 セレネはぽふんと白猫に変身すると、『乗れるぴざねこ』のそばへと近づいて見た。
 ごくりと息を呑む仲間たち。
 セレネは暫く『乗れるぴざねこ』を見つめた後。
 『背中に乗せてください!』という気持ちを込めてツナ缶を献上した。
 普通にお近づきの挨拶みたいになった。
「ネコにはネコ、ねぇ」
 アーリアは髪をふぁさっとかき上げると、『乗れるぴざねこ』の前へと歩み出た。
 自慢の性的魅力と誘惑術の合わせ技である。
 これで落ちない男はそうそういないぞ。
「……な゛あ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛」
 しかしネコには効かなかった!
 効いたらそれはそれで恐いので、むしろ効かなくてよかった気もする。
 が、夕たちが『ネコだもんねー』と納得する中で、『乗れるぴざねこ』はハッと目を見開いた。
 注目するはアーリアの大胆に開いた胸元の谷間部分。
 すわ誘惑が種族を超えて効いたのかと思ったが……。
「な゛ーぅ゛」
 谷間から顔を出した手乗りぴざねこ。
 そう、手乗りぴざねこに注目していたのである。
 と、その時。
 空牙が何かに感づいた。
「どうやら危険が迫っているようでござる」
「いわれてみればっ」
 夕も額にぴきーんと何かを走らせて振り返った。
 特別な感覚がなくてもモロわかりなくらい、ガオーと派手な声を出して駆け寄るでっかいヒグマがいた。
「天敵だー!」
「ぴざねこさんに限らずみんなの天敵なのでは?」
 身構える空牙たち。
 別の方向からはひたすら凶暴さをむき出しにしたキツネが手乗りぴざねこを喰う勢いで駆け寄ってくる。
「こっちは確かに天敵っぽいわねぇ」
「ぴざねこさんたちには、指一本触れさせませんよ!」
 セレネはネコ状態を解いて飛びかかり、襲いかかるキツネにネコキックを浴びせて追い払った。
 更に空牙の追撃ネコパンチ。
 いやネコパンチじゃないかもしれないが、狐を追い払うには十分なパンチである。
 そして最終的にアーリアのネコパンチ(ネコスーツを着て拳で殴るやつ)がキツネに直撃し、森の彼方へ吹き飛ばした。
「ぴざねこさんが集まってるのが気づかれたんだ。ここは危険になるね」
 津々流が威嚇術を放って熊を攻撃すると、焔に手乗りぴざねこを預けてこのあを離れるように指示を出した。
「わかった。えっと……」
 焔が振り返ると、『乗れるぴざねこ』が「乗りな!」みたいな顔でこっちを見ていた。
 あとアーリアとセレネ(猫変身状態)がちゃっかり乗っていた。
「ぴざねこさん、私、いいこと考えました!」
 夕が目をキラッとさせて詰め寄った。
「乗れるぴざねこが武器を装備して、ヒグマをやっつけるんです。手乗りぴざねこにいいところを見せてモテモテになれますよ!」
 『そんなこといわれてもうちぴざねこやし』みたいな顔で見返す乗れるぴざねこ。
 夕はその意図をくんだのかくんでないのか、天嬢不知を腕にがっしょんと装着してぴざねこに跨がった。
 天嬢不知が『いくぜ相棒』みたいな雰囲気を出してくる。うっかり動物疎通と間違えて無機疎通を持ってきたせいである。むしろよかった。
 乗れるぴざねこはなぜか乗り気でターンすると、襲いかかるヒグマに『わ゛な゛ー!』と威嚇の声をあげた。
 それにあわせて盾をシュートする夕。
「オレはシミズコータ! ぴざねこー、お前たちとトモダチになるためにやってきたぜ! 見てろよ、オレのかっこよくって頼れるところー!」
 タイミングをあわせ、バットを振りかざして突撃する洸汰。
 そこへ利香も一緒に突撃し、盾でヒグマの頭をぱこーんとやった。
「こらっ! 食べようとしたら駄目ですよ!」
『すみませんー、ついー』
「かえりなさい!」
『はいー』
 みたいなやりとりが、利香とヒグマの間で交わされた。言葉は通じなかったが目で通じたのだ、なにかが。

 それから、イレギュラーズたちはしばらくぴざねこたちと戯れ……じゃなくて調査をして、ちゃっかり手乗りぴざねこを一匹ずつお持ち帰りしたのだった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 お疲れさまでした。シナリオの代筆を担いました黒筆墨汁でございます。
 この度は弊社クリエイター都合によりお客様には執筆担当変更のご迷惑をおかけしました。

 皆さまの素敵な冒険がこれからも続きますように。
 楽しんで頂ければ幸いです。

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