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シナリオ詳細

<ラケシスの紡ぎ糸>憤怒のナハトラーヴェ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●憤怒のハナトラーヴェ
「アルミシェンは言っていた。ファルカウを守ってと。『森』でも、アルミシェンの集落でもなく、だ」
 ビスコッティ=CON=MOS(p3p010556)は語る。それは真実の一端を映す言葉として相応しいものだった。
「ローレットの資料や森の情報を当たってみたが、確かに森の怒りは『ファルカウの怒り』そのものだったようだ」
 冬越 弾正(p3p007105)が言葉の後を繋ぐ。
「そしてそれは、今なお続いている……ということか」
 二人が振り返ると、自らを青白い炎に包んだ巨大な精霊めいた存在が宙に浮かんでいた。
 憤怒の表情を浮かべたそれは、森以外のすべてを焼き払わんと暴れている。それは集落に暮らし森を守ってきた人々であっても例外なく、だ。
「行こう。守ってと言われたのだ」
「なら、やらなくちゃあ、な」

 ナハトラーヴェ集落。そこは古くより深緑の迷宮森林内に存在する小規模なハーモニア集落だ。
 巨大な樹木の内側には直径数十メートルほどの空洞が存在し、そこを住居としていたナハトラーヴェの民は清らかな生活を送っていた。
 贅沢をせず、霊樹から齎される実りと水を生活の糧とし、その代わりに木が病気にならぬようケアを続けるという暮らし。
 霊樹と共に生きるという暮らし方。それがずっとずっと、続いていた集落だ。
「それが、なぜ……なぜ私達に牙を剥くのでしょう。ナハトラーヴェ様――!」
 霊樹の外へと逃げ出したハーモニアたちの中で、巫女を務めていたハーモニアのピピンが振り返り嘆くように叫ぶ。
 宙に浮かび、炎を纏った『大樹の憤怒』ナハトラーヴェは聞く耳を持たない。
 腕を振り、青白い炎を吹き付けてくる。
 炎の直撃コースにあったピピンを救ったのは、彼女を抱え横っ飛びに回避した弾正だった。
「ああなっては話は通じない。戦って倒すしか道はない」
 剣を抜き、構える弾正。
 同じくビスコッティもガトリング砲を構え、ナハトラーヴェめがけて射撃を開始する。
 青白い炎の壁がナハトラーヴェの前に展開し、射撃を遮った。
「一筋縄には行かないか」
 だが、負けはしない。そう確信したビスコッティは更なる射撃をしかけるべく走り出した。

●世界に滅びが迫っている
 絶対に外れない神託観測された超終局型確定未来――通称<D>の発生は未だ避け得ぬ事項である。まるで世界がそうある為に、滅びの軍勢を産み出したかのようでもあった。
 深緑で頻発する『大樹の憤怒』現象。これはファルカウそのものの怒りであるという。実際、ファルカウを名乗る存在が怒りを露わにイレギュラーズたちの前に姿を現したという情報もあるほどだ。
 そんな彼女の気持ちに添うように、深緑西部は来訪者を拒みすべてを滅ぼす炎の気配を宿しているとも。
 ここナハトラーヴェはそんな『迷宮森林西部メーデイア』に属する場所である。
 ファルカウからは遠く離れ、迷宮森林の中でも特に奥まったこの場所には旧時代の遺跡も数多く存在し、踏み込んだ者が迷うことでも知られている。
 本来ならばそこに住まうハーモニアたちならばまようことは 無かったはずだが、今ではハーモニアたちにすら行方不明事件が多発しているという。
 そう、今やナハトラーヴェは人の踏み入れる環境ではなくなってしまったのだ。
 空気には灰のかおりが満ち、紅い焔を思わせる幻影が漂っている。
 それはまるで大樹の怒りそのものであるかのように。

GMコメント

●シチュエーション
 危険地帯と化してしまったナハトラーヴェに踏み込み、『大樹の憤怒』ナハトラーヴェとその眷属たちを倒しましょう。
 そしてごく僅かに存在している住民である巫女ピピンたちを救い出しましょう。

●エネミーデータ
・『大樹の憤怒』ナハトラーヴェ
 青白い焔を纏った精霊にもにた姿の存在です。
 炎は森を燃やすことはありませんが、人間だけを燃やし殺してしまいます。
 その炎を自在に操り、このナハトラーヴェは戦うようです。

・眷属たち
 ナハトラーヴェの怒りに応じて出現した高位精霊たちです。
 炎でできた身体をしており、イノシシや鳥、犬などの姿をとっています。
 ナハトラーヴェと同じく炎を吹き付ける能力を有しており、そしてまたナハトラーヴェと同じく人間だけを殺そうと襲いかかってきます。

●フィールドデータ
・ナハトラーヴェ集落外部
 深く茂った森の中です。
 集落であるナハトラーヴェの外で戦うため、巨大な樹木を背景とすることになるでしょう。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • <ラケシスの紡ぎ糸>憤怒のナハトラーヴェ完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年12月14日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

クロバ・フユツキ(p3p000145)
深緑の守護者
ツリー・ロド(p3p000319)
ロストプライド
ジルーシャ・グレイ(p3p002246)
ベルディグリの傍ら
冬越 弾正(p3p007105)
終音
ヴァイオレット・ホロウウォーカー(p3p007470)
咲き誇る菫、友に抱かれ
アーマデル・アル・アマル(p3p008599)
灰想繰切
ビスコッティ=CON=MOS(p3p010556)
メカモスカ
火野・彩陽(p3p010663)
晶竜封殺

リプレイ


「罪を犯すのはいつだって人間です。しかしながら、「罰」の概念を持つのもまた人間のみ」
 ぺらり、とカードを一枚ひいて裏返す『水底にて』ヴァイオレット・ホロウウォーカー(p3p007470)。
「なれば森も怒りに染まり、誅するが為に暴を振るうのならば、そこには確かな思想がある。
 人間の抱く意思や願いと、何の違いがございましょうか……。
 害ありし者を徹底的に排除する為、暴威に身を窶した意思ある焔。
 ……随分と、「人間臭い」存在なことです」
「かもしれないな」
 『灰想繰切』アーマデル・アル・アマル(p3p008599)は腕組みをして、しかし首をかしげてみせる。
「だが人間と異なるメンタリティをもつ存在故に、経緯も手段もヒトから見て奇異にうつるようなことも多々起きる。俺の故郷の神霊の類はほぼヒト型ではないから、そういう伝承には事欠かない」
 『晶竜封殺』火野・彩陽(p3p010663)は手を翳す。
「……なぜ怒っているのか。どうしてほしいのか。
 何かしてほしいんやろうけどそれを上手く聞けないのがもどかしいっつうか……。
 何をしたらその怒りは解ける? ……知りたいんやけどもどうしようもないねんな……。
 うーん、先に頭冷やしてもらおうかな……?」
「まあ、いまはそれしかないだろう。これが仮にただの免疫反応なのだとしても、免疫の根源をみつけないとならない。そして眼前の憤怒は、鎮めなければならない」

 イレギュラーズたちはナハトラーヴェ集落の状態を察し、住民たちに被害が出ぬよう急いでいた。
「どうして、大切にされていた筈の大樹がこんなに怒っているのかわからないけれど……何の罪もない集落の人たちを、傷つけさせるわけにはいかないわ」
 『ベルディグリの傍ら』ジルーシャ・グレイ(p3p002246)の言うように、今目の前にあるのは被害に遭っている集落だ。森が燃えないのがせめてもの救いだが、だからといって人が燃えてしまっては元も子もない。
「巫女殿も村の人々も身を切る様な想いだろうな。俺達まで悲観にくれて立ち止まってしまっては何も救えない
 今はただ、一人でも多くを無事に避難させる事を考えよう」
 『『心臓』の親とは』冬越 弾正(p3p007105)はジルーシャの言葉に深く頷くと、集落めがけ走るのだった。
(大樹の憤怒。過去の依頼で色々と戦ったが結局わからずじまい何だよな…封印された精霊が起きたとかじゃないよな?
 取り敢えず戦おう。
 というか人間だけ燃やすなら、攻撃しなければ純粋に人外の俺は燃やされないと思うけど、こういう時て動物だろうが、ロボットだろうが、大抵生きてれば何故か人判定食らうからな、半分妖精、半分武器として解せぬ)
 そんなことを考える『カースド妖精鎌』サイズ(p3p000319)。
 一方で、『傲慢なる黒』クロバ・フユツキ(p3p000145)は強い決意を瞳に抱き走り続けていた。
「大樹の憤怒、ファルカウの精を友人に持つ身としては見過ごしてはおけない存在だ。
 話を聞いてもらえないのだとしたら鎮まってもらう他ない……が、森の住人を見過ごせはしない!」
 どちらも助ける! と強く吠えるように言う。
 その横を走りながら、『メカモスカ』ビスコッティ=CON=MOS(p3p010556)は集落に到着したことを確認した。
(大樹よ大樹、なぜ怒る。
 滅びの気配がわかって、恐ろしいのか。
 我も怒っておるぞ。
 お主達をそうまで狂わせる何かが。
 ギフトで心を共鳴させてやろう。我にその怒りを向けよ!)
 ぎゅっと拳を握りしめる。
「我はこのままナハトラーヴェを引きつける。皆は眷属に襲われている住民たちを助け、避難させるのじゃ」
「ああ、任せた!」
 クロバたちは素早く散り、それぞれの行動を開始するのだった。


 炎を吹きながら走る犬型の高位精霊。荒ぶる精霊は人間を目にとめると、まるでそれが大樹の意志であるかのように襲いかかり始めた。
「ひっ――」
 狙われたハーモニアの女性が転倒し、振り返る。今にもその喉元に食らいつかんと飛びかかった精霊が――。
「待たせたな!」
 クロバの『封刃・断疾風』によって切り裂かれた。
 『死炎銃刀・黒刃』を二刀流モードにして構えたクロバの流れるような太刀筋が精霊の牙を弾き、次いでその身体を切り裂いたのである。
「もう大丈夫だ。イレギュラーズたちのお出ましだぜ」
「イレギュラーズ! 来て下さったのですね……!」
「ああ」
 サイズは集まってきた精霊たちに向けて鎌を構えると、まずは自らに『氷棺人形』を付与した。妖精の血を活性化してサイズを作った妖精が習得していた氷魔術を疑似再現したもので、氷の棺を身体に纏った彼の防御は非常に堅い。
 鳥型の精霊が炎を吹き付けてくるが、それをなんなくいなして短剣を投げつけた。
 投げた短剣を魔力で操作して追撃を加えると、墜落してきた鳥型精霊を鎌で斬り付けてトドメをさす。
 再び飛行状態に入ったサイズは、遠方を指さして呼びかける。
「安全なルートは見つけてある。ついてこい」

 クロバやサイズが避難誘導を行っている一方では、それを狙ったナハトラーヴェの存在があった。
 そうはさせるかとばかりにヴァイオレットが強烈な『ソニック・インベイジョン』を叩きつけ、ナハトラーヴェを住民たちとは別方向へと吹き飛ばす。
 ふき飛ばしをくらったナハトラーヴェは怒りも露わにヴァイオレットをにらみ付け、両手に焔を湧き上がらせた。
 それでいい。そうこなくては。
(何。ここで躱してみせなければ、影を名乗る事など出来ますまい)
 連続で放たれた炎を華麗なダンスでも踊るように回避してみせるヴァイオレット。
 その隙を突く形で、物陰から飛び出した彩陽は剔地夕星の弓に穿天明星の矢を番え、素早く放った。
 ナハトラーヴェに命中し、込められた霊力を発動させる矢。
 が、ナハトラーヴェは封殺の力を振り払うと今度は彩陽めがけ炎を放ってきた。
「おっと」
 木の幹に隠れる形で炎をやり過ごす彩陽。
 そして今度は周囲の死霊たちから霊力を分けて貰い、矢にそれを込めて発射する。
 ハードヒットが難しいなら、こういうのはどうだ。
 彩陽の放った矢に込められていたのは災厄の霊力であった。
 激しい冷気と電撃がナハトラーヴェを襲う。
「良い調子だ。そのまま押さえ込むぞ」
 ビスコッティがガトリングガンを乱射しながらナハトラーヴェの行く手を塞ぎにかかった。
「来い、お主と同じように怯えた者を我は相手にした。守るべき物を見誤るなよ。来やれ!!」
 ビスコッティを邪魔者と見なしたナハトラーヴェが激しい炎を吹き付けてくる。
 常人であればすぐにでも焼け焦げ命を奪われるような炎だが、その中にあってさえビスコッティは自らの再生力と頑強さ、そして火炎のBSを無効にする特殊装甲によって耐え忍んでいた。

 そうしている間にも避難誘導は進んでいく。
 『天の瞳』で生き物の位置を把握し走るジルーシャ。
 同じく生き物の気配を察知して襲いかかろうとしていた猪型の精霊との間に割って入る。
 炎を纏った突進をもろに喰らうが、二重の無効化シールドを張っているジルーシャにとってはなんでもない。身体にまとわりつく炎も既に無効化済みだ。
「敵を引きつけるわ」
 『玉血』の力で周囲の精霊眷属たちの注意を引きつけ、襲いかかるそれらの攻撃を結界によってさばく。
 その間に、弾正は木の陰に隠れていた家族へと声をかけた。
「俺はピピン殿の遣いで、ギルドローレットの者だ。今のナハトラーヴェは怒りに我を忘れている。俺が避難場所へ導こう!」
 弾正の声は不思議と心に響き、不安に駆られていた人々の精神をプラスに導いていく。
 怪我をしているらしい子供を優しく抱きかかえると、アーマデルと共に走り出す。
「一体、ナハトラーヴェ様はどうしてしまったのでしょう。これまで共に生きてきたというのに……」
 不安に駆られる男性に、大丈夫だと呼びかけるアーマデル。
 その言葉には不思議と人の心を掴むカリスマ性が感じられた。
「この憤怒は一次的なもの。倒せば元に戻るだろう。今はとにかく、この場所から離れることだ。弾正、最後まで頼めるか」
 アーマデルが最も信頼を置く人物である弾正。彼に声をかけると、任せろと笑みを込めて返された。
「よし……なら俺はナハトラーヴェを鎮めに行く。弾正は残りの眷属を倒し安全を確保しておいてくれ」
「わかった、気をつけてな」
 一瞬だけふれあって、アーマデルと弾正は視線を交わす。そして、頷き合ったのだった。


 集落からやや離れた安全地帯。
 その場所へ人々を逃がした後に、弾正は来た道を戻って眷属たちを迎え撃った。
 仲間たちから託された大事な仕事だ。やりとげなければならない。
「さあ――かかってこい」
 哭響悪鬼『古天明平蜘蛛』参式にスピーカーを接続。流したロックミュージックは眷属たちの意識を強制的に弾正へと向けさせ、弾正めがけ無数の火の玉が飛来する。
 それらをジグザグに走って回避する弾正。並の攻撃であれば弾正を捕らえることなどできない。それでも彼の身体を炎がかすっていくのは、数の力もあるが眷属の固体性能がそれだけ高いということだろう。
 だがそれでも。
「伸ばされた手を掴む努力を、俺は諦めない!」
 平蜘蛛に接続した柄だけの剣から光の刃を展開し、次々に眷属たちを切り裂いて行く。

「おう皆、元気そうで何よりじゃ!」
 一方その頃ビスコッティは、ナハトラーヴェの猛攻によってもはやボロボロの状態にあった。
 全くもう、と『《香術》ガンダルヴァの香薬』を使い霊薬を手に入れるジルーシャ。それをビスコッティに振り掛けてやる。
 そして、ナハトラーヴェへ向き直る。
「……ね、よかったら聞かせて頂戴な。アンタたちが怒っている、その理由を」
「――!!」
 声なき声を上げて襲いかかるナハトラーヴェ。今度は大量の火の玉を創り出したかと思うと、両手に炎の爪を作って切りかかってきた。
 ビスコッティを庇い防御に入るジルーシャ。張っていた結界が一発で粉砕されるが、だからどうということはない。それでもしのげるのがジルーシャなのだ。
「カッコつけさせてもらうぞぉ、最後までな!」
 ビスコッティはジルーシャの回復を受けて元気いっぱいに復活すると、そのままナハトラーヴェをブロックする作業へと戻る。
 『TM-LG2・紋花』を盾のように構え、突進をしかけナハトラーヴェを押し込んでいく。
 炎の爪がざくざくとビスコッティに突き刺さるが、そのたびにジルーシャは霊薬を振り掛けることでビスコッティを治癒していった。
「一気に決めるぞ。時間をかければこちらが不利だ」
 ビスコッティたちが抑えてくれている間に勝負をかけるしかない。
 クロバは『死炎銃刀・黒刃』を合体させると『終ノ断・生殄』を解き放った。
 燃えさかる森の中を駆け抜け、繰り出されるガンブレード。
「お前らも人間の所業に怒っているのか。炎を模すなんて、どれだけの罪を被ったんだろうな」
 斬撃は見事にナハトラーヴェの腕を切断して飛ばす。
 そこへ更なる攻撃を仕掛けるサイズ。
 砲口が付いた謎のユニットを鎌に取り付け、魔力のビーム砲を放出する。
 『用途不明のユニットが接続されました、直ちに使用を中止してください』というユニットからの音声は当然無視だ。
 それを連発することでナハトラーヴェへと直撃させていくサイズ。
 ナハトラーヴェは悲鳴をあげ、砲撃を振り払おうと腕を振り回す。
 が、そんな動きを封じにかかったのが、彩陽であった。
 また力を貸してもらうぞとばかりに矢に霊力を集中させると、ナハトラーヴェの胸めがけて矢を発射。
 見事に突き刺さった矢は込められていた封印の力を見事に発動させ、ナハトラーヴェの動きをばきりと封じてしまったのだった。
「あ、あああ……!」
 ナハトラーヴェが声を発する。
「ファルカウが、怒っている。ファルカウが……!」
「その理由は分からんの!?」
「ファルカウが怒っている! ファルカウが!」
 だめだ、話にならない。ナハトラーヴェも怒りに触れて我を忘れているのだろう。
 ならばとアーマデルが走り、『英霊残響:妄執』をナハトラーヴェへと叩き込んだ。
 ここに弾正がいれば息をするように完璧なコンビネーションがとれたことだろう。が、いまは一人。互いに互いを信頼し任せ合った後だ。だからこそここは譲らない。
 『蛇巫女の後悔』『英霊残響:怨嗟』『デッドリースカイ』と次々にコンボを撃ち込んでいくアーマデル。
 『蛇銃剣アルファルド』を突きつけ、アーマデルは目を細めた。
「お前、アニサキスがいるかもしれないからマグロは全滅させるみたいな理論でブチ切れているのではあるまいな?
 一応ヒトの言語が分からないだけみたいな事は無いと思うが」
 などといいつつも、こうしてぶつかってみて分かることもある。ナハトラーヴェは本当に『我を忘れて』いるということだ。
 本来ならこんな風に暴れ回る性質ではなかった。それが、ファルカウの怒りに触れたことで暴発してしまったのだろうということである。
「BSが蓄積している……チャンスですね」
 ヴァイオレットがここぞとばかりに炎の中に身を躍らせると、『セレニティエンド』を叩き込んだ。
 放たれたタロットカードが回転しながらナハトラーヴェへと突き刺さり、蓄積された大量のBSを燃え上がらせるようにして内側からその存在を破裂させる。
「怒り狂い、猛り狂い。
 恵みなど有りはせず。
 ただ殺し、壊す事だけを選んだ存在。
 或いはこれも、「滅び」による影響なのか。はたまた、人の内に宿る滅びを、森は厭んだのか……」
 散っていくナハトラーヴェの残骸。それは火の粉となってちりちりと消えていった。


 クロバが確認して回った所、巫女ピピンをはじめとして住民たちは皆無事であるようだった。
「森の異変、終焉獣の存在……気がかりが多いことだ、クソっ」
 そんな風に毒気付きながらも、住居もまた無事であることを確認する。
 一方でサイズは消えたナハトラーヴェのいた場所に残った残骸へむけてアナザーアナライズをかけていた。特に分かったことはないが、逆に言えばここから得られる情報がないことがハッキリしたといえるだろう。必要な成果だ。
 そのまた一方でジルーシャは精霊疎通によってナハトラーヴェや周囲の高位精霊たちにコンタクトをとっていた。
「どうやら、精霊たちは静まってくれたみたいね。もうすっかり元通りだわ」
「そうか……」
 なにか悩んでいる様子の彩陽。ジルーシャがどうしたのと尋ねてみると、彩陽は腕組みをして振り返った。
「ファルカウの怒りを解決したい。どの様にするかは分からないけど……」
「なるほどねえ。そのことについても聞いてみたけれど、ナハトラーヴェは心当たりがないらしいわ。もしかしたら、深緑西部がリュミエさまですらコンタクトをとれなくなったことが影響してるのかもしれないけれど」
「深緑西部……か」
 この場所も西部に位置するが、もっと深部に進めば何かあるということなのだろうか。
 謎はまだ、深いままである。

「我が神はもとはと言えば巨大な樹木でな。
 あらゆる薬効の葉を花を実をつけ、それを眷属の夜告鳥が採集してヒトへ流していたという。
 ……つまり、まあ、神がそうしろと言ったわけではない気はする」
 そんなことを話しながら住民たちの手当をして回るアーマデル。弾正もそれに付き合って回っていた。
「ところで人間だけっておかしくないか?」
 ビスコッティが声をあげると、弾正とアーマデルが振り返る。
「魔種になるのは人間だけではあるまい、動物なんぞも呼び声で狂う可能性はある。
 それがなぜ「人間だけ」なのじゃ?
 害を避けるなら、人以外も追わねばならぬ」
「まあ、それは確かに……ファルカウに人為的な意図があるかもしれないってことか」
「そうだとしたら、嫌な話だな。元凶がどこかにいるってことになる」
「…………」
 ヴァイオレットはタロットカードをさらさらと混ぜ、そして一枚だけをひいて見た。
 そこに描かれているのは、滅びの予感。
「世界には、滅びが迫っている……」

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ――mission complete

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