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シナリオ詳細

ぶらり馬車のたび

完了

参加者 : 6 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


「やあ、探したよ。あんたがイレギュラーズだろう?」
 突然名前を呼び止められて、あなたは振り返る。
 目にした相手は、見慣れぬ男性だ。
 そこは幻想王国の王都メフ・メフィート。ローレットが拠点とする酒場である。
 そんな場所に突然見知らぬ男性が現れ名を呼んだということは、これはすなわち……。
「そう、依頼だ。依頼がしたいんだ。頼むから、少しだけ話を聞いてもらえないか」
 困り顔でそう述べる男性について行くと、そこは酒場の個室席だった。

「俺はボンドルト。商人だ。そしてこっちはキャシー。俺の娘だ」
 突然現れた男に突然娘を紹介されるという、なかなか体験できない奇妙な出来事。
 しかしこれにはどうやらワケがあるらしい。
「俺はこれから東部にある港街へ商品を売りに行かなければならないんだが……ちょっとした事故で足を悪くしちまってな。回復はするんだが、それまで商売をナシにするわけにもいかない。だから……」
「だから、私と一緒に商売の旅に出てほしいの! ……じゃなくて、ほしいんです!」
 後を継いだのは娘のキャシーであった。


 依頼内容は娘の護衛、兼旅の指南といったところだろう。
「ここから東部の港街テスリンまでの道のりはこんな感じだ」
 ボンドルトが広げた地図によれば、途中に川や森があり、それを経由してテスリンの港街にたどり着くということらしい。
 途中の平原にはモンスターの出没ポイントがあり、そこでは戦闘が避けられないということだ。
「このポッチ平原にはワーウルフという人狼型のモンスターが出現する。感知能力が非常に高く、避けて通るのはほぼ無理なんだ。だからこのルートを使う人間は必ず傭兵を雇うことにしてる。今回お前さんを雇う理由の一つもそれってわけさ」
 ワーウルフといえばローレットの資料庫にも記述がある。
 人間のように二本足で歩き、狼の頭をもったモンスターである。人語を解する亜人型モンスターで、人間を憎み殺して喰らうという性質を持っているらしい。
 このあたりの平原に現れるということは亜人集落のひとつでも近くにあるのだろうと見られているが、そこまでの調査は進んでいない。
 とにかく、集団で現れるのは間違いないだろう。
「スケジュールはこうだ。王都で工芸品の買い付けや旅の物資の買い出しを行って、東へ出発。
 平原での戦闘をこなしたら、森や川を経由して安全なポイントを見つけてキャンプで一泊。
 翌日はテスリンの町の露店で工芸品の販売を行うという流れだ。
 一緒に買い付けや販売を手伝ってくれると助かるんだが……勿論その間に観光をしていて貰っても構わない。テスリンはアイスクリームや海産料理が美味いと評判だからな」
 ボンドルトはそこまで話すと、あなたに前払い用のコイン袋を差し出して頭を下げた。
「娘のキャシーには家業を継いで貰うつもりでいるんだ。少しは商売のことを教えてあるが、まだ知らないことも沢山ある。どうか娘に経験を積ませてやってもらえないだろうか。どうか、よろしく頼む!」
「よ、よろしくおねがいします!」
 慌てて立ち上がったキャシーはあなたに向けて頭を下げたのだった。

GMコメント

 商人の娘キャシーと共にゆったりとした馬車の旅に出ましょう。
 馬車は二台用意され、馬もついてきます。
 この際に自前の馬車を用意したい方も大歓迎です。

●王都パート
 買い出しと買い付けを行うパートです。手分けしていきましょう。
 馬車への運び込みを手伝ったり、まったり王都の雰囲気を観光していても構いません。
・物資の買い出し
 食料品などを王都の市場で買い込みます。これらを安く買えれば買えるほどポイントが高いでしょう。何のポイントかといえば、キャシーからの尊敬ポイントです。
・キャシーによる工芸品の買い付け
 キャシーが馴染みの工芸品店から買い付けを行います。今回のメイン商売アイテムです。
 交渉を行うのはキャシーなのですが、それを補助してあげるとポイントが高いはずです。
●平原パート
・ワーウルフ集団との戦闘
 人狼型モンスターの集団が出現します。彼らは爪と牙で攻撃してくるなかなかに侮れないモンスターたちです。
 こちらも力を合わせて戦いましょう。
●森林パート
・キャンプとその準備
 森でキャンプテントを建てて一泊します。
 食料を自給自足してみたり、キャンプの安全を確保してみたり、まったり星を眺めてみたりと出来ることは沢山ありそうです。
●港街パート
・工芸品の販売
 キャシーによる工芸品の販売を行います。
 露店に出て販売するのは絨緞や木工細工などで、芸術性の高い逸品を揃えています。
 キャシーは一応父ボンドルトのもとで商売の様子を見てきましたが、自分を主体に商売をするのはこれが初めてです。
 客寄せをしてみたり、価格交渉を手伝ってみるとポイントが上がるでしょう。
 勿論、この間に観光をしていても構いません。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • ぶらり馬車のたび完了
  • まったりとした旅に、出かけませんか?
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年12月08日 22時05分
  • 参加人数6/6人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 6 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(6人)

キドー・ルンペルシュティルツ(p3p000244)
社長!
エマ(p3p000257)
こそどろ
ヴァイス・ブルメホフナ・ストランド(p3p000921)
白き寓話
バクルド・アルティア・ホルスウィング(p3p001219)
老練老獪
華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)
ココロの大好きな人
エマ・ウィートラント(p3p005065)
Enigma

リプレイ


 飛んでいた蝶が指にとまる。すぐにそれは空へと飛んで行き、『こそどろ』エマ(p3p000257)はえひひと小さく笑った。
 そこは王都の噴水前。ベンチの並ぶ一角に腰掛けた彼女は、足をぶらつかせながら同じく集まっていた『社長!』キドー・ルンペルシュティルツ(p3p000244)たちとだらりとした会話を楽しんでいた。
「いやぁー……。今どき珍しいですね、こんな依頼。逆にいつもより難しいかもしれませんよ。えっひっひ」
 なんでも、商人の娘をつれて旅の護衛をしてほしいというものだ。護衛兼旅の経験積みといったところだろうか。
 単純に敵を倒して済む話ではない分、確かに少し難しいのかも知れない。
「こういう、のんびりした旅はあまりないわねぇ……楽しみね。
 私にできることが、どれほどあるかはわからないけれどね」
 なので、『白き寓話』ヴァイス・ブルメホフナ・ストランド(p3p000921)がこんな風に考えるのも無理からぬことだろう。
 馬車に乗ってのんびり旅をしてキャンプをして、工芸品を売って……というのは数年前のローレットにはよくあった依頼らしいが、最近ではあまり見ないらしい。
 世界の滅びがどうのと忙しくなった分、依頼の質も変わったということなのだろうか。
「久方ぶりの放浪ついでの依頼だ。ゆっくりするとするか」
 そう呟いたのは『蛇喰らい』バクルド・アルティア・ホルスウィング(p3p001219)だ。
「あら、旅慣れてるのかしら?」
 『蒼剣の秘書』華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)の問いかけに、バクルドはまあなと手を振って答えた。
 ローレットには色々な人材がいて、中にはこうして日頃から放浪の旅をする者も居る。
「ああ、久々にのんびりできる依頼でごぜーますねえ。
 旅自体はいつもの事なのでそこは置いておくとして。
 ふむ、商人との旅でありんすか」
 同じく旅慣れているらしい『Enigma』エマ・ウィートラント(p3p005065)がふむと顎に手をあてる。
 そうしていると、向こうから馬車を引く馬とそれを伴ったキャシーが歩いてくるのが見えた。
「あ、みなさん! おはよう御座います! 今回は宜しくお願いしますね!」
 元気よく挨拶するキャシーに、イレギュラーズたちもまた挨拶を返すのだった。


「薪や野営道具、毛布みたいな寝具などの雑貨でも買っておきましょうか」
 そう切り出したエマに、キャシーがきょとんと首をかしげる。
「雑貨ですか?」
「なかったら寒いですからね」
「確かに……あ、できるだけ安いものを買っていけばいいんですかね」
「安物買いの銭失いしてもしりませんよ?」
 エマの言うように、安ければ良いというものではない。
 安くて良いものを探すというのは、旅をする上で……あえて主語を大きくするなら生きていく上で重要なことだ。
「それにしても、意外ですね。戦闘専門の方かと思ってたんですけれど、鑑定もできるんですね」
「意外ですか? ほらアレですよ。盗んだ代物が偽物だったりしないようにっていう。ひひひ」
「あ、ああ……」
 そういうお仕事もなさるんですね、と感心したようにキャシーが頷く。
 キドー含め、ローレットの懐の広さを垣間見る一瞬である。
 エマと一緒にこうして雑貨を買いそろえた後で、今度はエマ・ウィートラントとの買い出しが始まった。
「仕入れに関してはそちらに任せるとして。
 まずは食糧でごぜーます。
 こういう時は干物など日が持つ物を買うのが基本でござりんす。
 はっきり言ってしまえば保存食でごぜーますな」
 独特の口調で保存食の買い出しを始めるエマ。
「あとは……そうでごぜーますね。
 解体用の刃物も見ておきんすか。狩猟ナイフで大丈夫でごぜーますよ。
 これは、動物の血抜きやら皮を剥いだりするのに使いんす。
 あとは汚れてもいいような手袋とか。
 くふふ、旅をしているとね? 襲われるんでごぜーますよ」
「モンスターにですか?」
「野生の獣に、でごぜーますよ?
 倒した後はそのまま放置でも良いでありんすが……。
 わっちは新鮮な肉も食べたくなるので。
 解体するのに刃物がいるのでごぜーますよ」
 貴女も一本持っておきなんし、と差し出されたのは狩猟ナイフ。
 キャシーはウサギの彫り物が入ったナイフを受け取ると、大事そうに鞄へとしまい込んだのだった。
「安く買うコツはまとめて買うことだな、同じ店で多く買えば多少なりとも色を付けてもらえるもんだ。
 後は食料は日持ちのするものにするとかな、日持ちするものは大抵乾物だから量もあるし運びやすい」
 そうアドバイスするのは同じく旅慣れたバクルドだった。
「後は食料品と医薬品を代用できるもので嵩減らしする、酒精の高い酒とかが良い例だ」
「代用できるんですか?」
「割とな。それに、旅の仲間に治癒魔法使いがいれば色々節約できるだろ。時と場合を選んで、買いそろえるものを変えておくんだ。無駄が出ないように、かつ不足が出ないようにな」
「複雑なんですね……お父さんはいつもテキパキ買っていましたから、そこまで考えてるとは思いませんでした」
 感心した様子のキャシーに、バクルドは微笑んで見せた。
「親父さん……ボンドルトか。だいぶ旅慣れた商人って様子だったからな。直感で大体わかるのかもしれん。興味が湧いたなら、今度から旅についてってみるといいぞ」
 バクルドの言葉に、キャシーは『はい!』と元気よく答えるのだった。

「さて、良い店を探すのだわ」
 華蓮が張り切って商店街の人々と会話を重ね、良い店探しをしていた。
 得意分野を生かして、というとちょっと遠回しだが、普段料理をする視点から安い食材店を。家事全般を日頃からこなす視点から安い雑貨店を……という具合に。
 元々商店街の人々とは仲良くしているらしく、店探しは案外上手くいったようだ。
「そうだ。私も工芸品を一つ買ってみようかしら。交易を体験してみたいのだわ」
「いいですね。一緒に買ってみましょうか」
 キャシーが王都で買い付けたのは宝石を埋め込んだ豪華なものから、木彫りの彫刻、絨緞といったものまで様々だ。
 特に王都は芸術に関しては優れているところがあり、他国への輸出にもよく見られる。
 海洋貴族などは好んで王都の工芸品を買うという話も聞くくらいである。
 華蓮がチャレンジしてみたのは工芸品の中でも比較的安価な木彫りの彫刻だった。ローリスクローリターン。交易体験には丁度良いアイテムと言えるだろう。
 その横で一緒に商品を見ていたのはヴァイスだ。
 鑑定眼を使って品物を見定めているらしい。
「失礼だけれど、リーディングはしてもいいかしら?」
「うーん、そいつは勘弁してもらえるかな。商売ができなくなっちまう」
「わかったわ。ならリーディングはなしで……」
 店員と何気ない会話を交わしながらも、価格交渉のアドバイスを送るヴァイス。
 キャシーにとっては初めての買い付けである。多少ふっかけられることは親も覚悟しているのだろう。店員もリーティングはなしでとわざわざ口に出して言ったあたり、キャシーに手心を加えようというつもりがあるらしい。初心者を泣かせて次の取引がなかったら将来損をすることになるのだ。
 そのあたりをなんとなく察して、ヴァイスはキャシーに価格の落とし所をアドバイスするのだった。


 荷物を満載にした馬車が平原をゆく。
 平原というのは分かりやすい土地だ。敵の接近がすぐにわかり、逆に言えば阻むものがない。
 馬車の到来を嗅ぎつけたであろうワーウルフの集団が森から姿を見せ、爪と牙をむき出しにして威嚇を始めた。
「食料狙いでごぜーますかね」
「大丈夫。渡さないし、キャシーさんにも傷は付けさせないわ」
 サッと展開するエマ・ウィートラントと華蓮。
 ワーウルフが飛びかかると、それを阻むように華蓮が割り込み弓で爪の攻撃を防御。
 はねのけると、『稀久理媛神の追い風』を初めとした支援効果を仲間へと展開した。
 これは助かりますと頷いたウィートラントは『アンジュ・デシュ』の魔術を発動。
 呪いの輝きが爆発しワーウルフの集団が目をくらませていると、そこに飛び込んでいって『神滅のレイ=レメナー』を至近距離で発動させた。
 ギャッと小さく叫んだワーウルフが吹き飛び、動かなくなる。
 それを見たワーウルフが警戒をしながらも回り込んでくる……が、それを見越したバクルドがライフルで思い切り殴りつけ、至近距離で発砲。
「普通になら脅威なんだろうが俺達を狙ったのが運の尽きだな」
 吹き飛んだワーウルフと入れ替わるように別のワーウルフがバクルドの腕に噛みつきにかかる――が、それは頑強な義手。残念だったなとばかりにバクルドは二発目の零距離射撃でワーウルフを吹き飛ばすのだった。
「手応え的には、簡単に済みそうだ」
「そうみたいね」
 ヴァイスが結界術『虹色庭園』を展開。自然界からエネルギーを引き出し、集約させ始める。
 何かが来ると察したワーウルフはそれをやめさせようととびかかるが、ヴァイスが術を発動させるほうが早かった。
 名は『薔薇に茨の棘遂げる』。集約させたエネルギーを暴風として発露させるそれは、ワーウルフ一体のみならずその先に控えていたワーウルフまでもを纏めて吹き飛ばしていく。
 連係攻撃を狙っていたワーウルフたちは纏めて地面を転がり、そこへキドーとエマが素早く飛びかかり剣でトドメをさしていく。
「折角のどかな旅だったのに、それだけでは終わってくれなさそうですねえ。えひひ」
 エマはザンッと地面を踏みしめると、音速を超える勢いでワーウルフの横を通り抜ける。
 ワーウルフがソレを感知した頃には、既に首を切り落とされていた。
 振り抜いた剣『メッサー』についた血を、ぶんと降ることで払うエマ。
 残るワーウルフたちは不幸だったと言わざるを得ない。
 大胆に動き回るエマの動きに対応しきれず、気付いた頃には全員の首が切り落とされていたのだから。


 森に入り、安全を確保したところでキャンプを張ることになった。
「新鮮な食料はこっちで用意すれば荷物量が減るってわけだ」
 そう言って魚釣りを始めるバクルド。エマは野生動物を狩りに出かけたらしい。
「釣れるんですか?」
「運もあるが、多少はやれるもんだぜ」
 キャシーの純粋な問いかけに、バクルドがにかっと笑ってこたえる。
「野営というのは休養タイミングだが思いの外疲労は残るもんだ、寝床をしっかり見定めて確保するのも重要な仕事ってわけだ。
 放浪してると存外きついことばかりだが焚き火を弄りつつ眺める星空の下で飲む酒はいつだって旨いもんだ」
 そんな具合でバクルドの旅講座を聞いているうちに時間は過ぎ、野営地に戻ると既にたき火ができていた。
 エマがえひひと笑う。
「こうやって火を囲んで休息するなんていつぶりですかね」
「そんなに久しぶり? 確かに、そうそうないシチュエーションかもしれないけど……」
 ヴァイスが森でとってきたという木の実やらきのこやらをカゴいっぱいにして差し出している。
 それを受け取ったのは華蓮だった。
「魚に木の実にキノコに獣肉……これは良い料理が作れそうなのだわ」
「それはそれは。取ってきたかいがありました」
 エマ・ウィートラントの満足そうな言葉に、華蓮が頷く。
「ただ美味しければよいという訳ではないの、折角のキャンプでお上品なコース料理が出て来ても何か違うでしょ?
 お肉を焼いたりフルーツを添えたり…シンプルで素朴に見えつつ味付けはしっかり」
 一緒にやりましょうとキャシーを誘う華蓮。
 日頃の料理とはワケの違う、しかし新鮮な体験はかなり楽しかったようで、キャシーと華蓮はきゃっきゃしながらキャンプ料理を作り上げていった。
「旅は楽しくなくちゃね。これからの人生で何度も繰り返す事になるなら猶更なのだわ」

 その日の晩。
 ヴァイスは睡眠が不要ということで、他のメンバーに代わって見張り番をしていた。
 とはいっても、旅慣れたバクルドは寝ずの番ができるし、エマも夜の森の空気をむしろ楽しんで起きている様子だった。
「私、何もかもが終わって世界滅亡とか心配しなくてもよくなったらこんな風に陸路で旅をしてみようかなって思ってるんです。この依頼を請けたのは、その予行演習みたいな感じですね」
「何もかもが終わって、か……」
 今は世界の滅びがどうのと世界中が騒がしいが、確かにいつかは終わるのだ。
 いや、終わらせるのだ。
 そうなったとき、自分はどう過ごすのだろうか。
 バクルドやウィートラント、ヴァイスや薄目を開けた華蓮やキドーたちは考えた。
 これからどう生きていくのか、と。


 森を抜け暫く街道を行けば港街だ。
 港街についたキャシーたちは早速露店を設営し、その販売を始めるのだった。
 エマはそれがなぜ良いのかを鑑定眼で説明してみせ、華蓮はちょっとしたスイーツを配って客寄せをする。
 交易チャレンジにと買ってきた木彫り細工は無事完売。どうやら色々と上手くいったらしい。
 キャシーも初めての商売にしてはよくやったと、きっと親に褒められることだろう。

 一方で。
「美味しそうなものがあったら、キャシーさんにおすそ分けとして持って行ってあげましょう。
 現地のものを知るだけでも、人の反応は変わるものだから」
 カフェテラスでジェラートを食べながら、ヴァイスはのんびりと海を眺めていた。
 『商いは門外漢なんでな、適当にぶらつきながら帰り支度の準備でもしてるぞ』と言っていたバクルドも付き合って、コーヒーをちびちびと飲んでいる。
「しかし、土産はどうするかな。食いもんだと日持ちはせんし、持ち運ぶのに弄さない程度の工芸品……キャシーが仕事終えたあたりで聞いてみるのも悪かねぇな」
「仮にも商人の娘。いいアイデアをくれそうでごぜーますね」
 ウィートラントがこくりと頷き、それにキドーも同意した。
 もう一度海を見やれば、海鳥が羽ばたいて飛んでいくところだった。
 どこまでも和やかで、平和な空気をその翼にのせて。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ――mission complete

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