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シナリオ詳細

再現性沖縄20XX:鍋奉行がやってくる

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●再現性沖縄とは
 そこはまるで……《沖縄》であった。
 練達の一区画に存在する再現性沖縄。さらにその一区画には翔波と呼ばれる地域が存在する。
 それは異世界『地球』よりこの世界に召喚された人々の言う《沖縄》を何か凄い勘違いして、「大体こんな感じだろう」というイメージで出来上がった魔境である。
 沖縄にはあらゆる夢がある。沖縄は食べ物が美味しい。
 そんなイメージを植え付けられた料理人たちは「沖縄こそは料理人に約束されし聖地である」と思い込み、事実翔波ではあらゆる食材が手に入る。
 そして全ての物事は料理でのみ解決され、あらゆる暴力は此処では排除される。
 料理こそ全て。料理が世界を救う。
 火と油、水と調味料に囲まれた世界こそ我が人生……それに気付かないなど料理人として愚かだし何なら皿洗いからやり直せばいい出直してこいやド素人が……その境地に至らなければ料理人としては未熟に過ぎ、究極の一皿になど永遠に届きはしない。だからこそ、街は今日も料理バトルの音が鳴り響いているのであった。

●鍋奉行が来るぞ
「んー……3GOLD!」
「2GOLDじゃないか?」
「残念……1GOLD、ですの!」
「びっくり……その価格で……この味……」
 カフェ・ローレット。再現性沖縄にも存在するローレットの出先機関で『エッジランナー』佐藤・非正規雇用(p3p009377)、『カースド妖精鎌』サイズ(p3p000319)、『半透明の人魚』ノリア・ソーリア(p3p000062)、『玉響』レイン・レイン(p3p010586)の4人は料理の試食会ついでの値段あてバトルをやっていた。目標金額に一番近い人が材料代をゴチになるバトルだ……これがなかなか盛り上がる。
「しかし外は気温が下がってきたが、沖縄は変わらないな……」
 常夏といっていい再現性沖縄は冬でも暖かく、とても過ごしやすい。
 これでクッキングモンスターさえ出なければさらに平和なのだが……。
「鍋奉行だー!」
「鍋奉行が出たぞー!」
 聞こえてくる悲鳴に「あ、やっぱり出た」と全員が立ち上がる。
 カフェの外に出てみれば、馬に乗り堂々とした姿で駆ける頭が鍋の男の姿。豊穣風の着物を着た姿は……なるほど確かに鍋奉行だ!
「ふははは! 名高きローレットの料理人諸君! 俺は鍋奉行! 貴様等にクッキングバトルを申し込む!」
「ちなみに受けなかったら?」
 非正規雇用がそう聞くと鍋奉行は「鍋だ」と答える。
「別に不戦敗しても構わん! しかしそうなれば今年の沖縄の冬はずっと鍋! 月曜は海鮮鍋! 火曜日はちゃんこ鍋! 水曜日はキムチ鍋! 木曜日は水炊き! 金曜日はカレー鍋! 土曜日はすき焼き! 日曜日は豆乳鍋! ふははははは! 怒涛の鍋祭りに皆ニッコリだ!」
「地味に……邪悪……」
 レインの言葉通り、どれだけ鍋好きでもそれ以外のものだって食べたくなる。なのに冬の間中ずっと鍋というのは、鍋料理そのものに対する風評被害。このまま放っておくわけには、どうやらいかないようだ……!

GMコメント

というわけで沖縄で「冬」をテーマにクッキングバトルです。
今回の相手は鍋奉行です。
どうやら蟹の出汁を贅沢に使い蟹、白菜、シイタケに豆腐を入れた海鮮鍋を作るようです。
意外に美味しそうだぞ皆さんの料理でぶっ飛ばすのです!

●翔波
 再現性沖縄20XXに存在する料理バトルの街。
 何かあれば料理で解決する料理馬鹿の聖域。
 ローレットのイレギュラーズの皆さんは料理人として参入することができます。
 此処では全てのステータスは無意味です。武器は振ってもハリセン程にも通じず、ギフトもスキルも無効化されてしまいます。
 ただし、相手より美味い料理を作れば大ダメージを与えて海老ぞりで大空に吹っ飛ばすことができます。
 相手の料理の方が美味ければ自分がそうなるってことですよ。
 なお、必要な食材や調味料は「基本的」にはその辺に生えています。
 豚肉の木とか砂糖の実とかあります。超怖ぇ。
 幻の食材と言われる類のものは特殊な場所、あるいは状況でしか存在しなかったりします。
(逆転が必要なシーンで偶然見つかったりするかもしれません)

●情報精度
 このシナリオの情報精度はRです。
 料理には常に想定外が付きまといます。
 プライドなんてミキサーにかけて飲んでしまいましょう。
 ハヴァナイスデイ。

  • 再現性沖縄20XX:鍋奉行がやってくる完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年12月07日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ノリア・ソーリア(p3p000062)
半透明の人魚
ツリー・ロド(p3p000319)
ロストプライド
ゴリョウ・クートン(p3p002081)
ディバイン・シールド
メイ=ルゥ(p3p007582)
シティガール
長月・イナリ(p3p008096)
狐です
佐藤・非正規雇用(p3p009377)
異世界転生非正規雇用
ことはる(p3p010563)
かけだしのエイリアン
レイン・レイン(p3p010586)
玉響

リプレイ

●冬のメニューを作りだせ(前編)
「3GOLD……いや、やっぱり2GOLD! えっ、鍋奉行? うるせぇ! 俺の"ゴチになるバトル"を邪魔するな!!」
 『料理は勝負』佐藤・非正規雇用(p3p009377)が一通り敗北してお財布が軽くなったところで勝負開始である。
 料理もゴチも勝負だからね。仕方ないね。
 さて、今日の『半透明の人魚』ノリア・ソーリア(p3p000062)は、ちょっとだけ燃えていた。
 その理由は、まさに今の状況にあるだろう。
「よかったですの……「次の鍋の具はお前だー!」なんて、言われなくって。でも……ひとたび、難を、のがれてしまうと、こんどは、鍋奉行さんが、カニを主役にしていることに、やけてしまいますの……!」
 なんとも複雑な感情がノリアを襲っているようだが、だからこそノリアは今日のクッキングバトルの料理を決めたようだった。
「やっぱり……食べるなら、魚がいいですの! とくに、脂ののった、アンコウは、鍋にするのが、最高ですの……!」
 そんなノリアは今日、黄金海鮮出汁を持ち込んできている。昆布・鰹・いりこ等を配合したこの出汁は、とある豊穣の料理人が半生の中で見出した黄金比で作られているという。味わいこそ保守的ではあるが、それゆえに失敗が少なく、しかし伸び代のある味に仕上がっているこの出汁。まさに今日のノリアの必殺兵器の1つである。
「もちろん、出汁は、黄金海鮮出汁。卑劣な罠で、むさぼった、たくさんの命で肥えた、アンキモは、鍋の具材としては、究極にして至高。そして、身や、ほかの内臓も、コラーゲンが、たっぷりで、美容にもいいと、言われていますの」
 そう、コラーゲンは美容の代名詞。誰もが欲しがる素敵な栄養素だ。
「湯引きなどの、手間のかかる手順は、ありますけれど、手間をかけて、おいしくするのは、料理をたべる人にたいする、愛。そして、アンコウは、ほとんど、捨てるところのない魚。食べるからには、すべてを食べる……それは、食材にたいする、愛ですの
もしかしたら このアンコウは わたしの 卵のころの きょうだいを 食べていたかもしれない魚……。だとしても……いま、かれが、わたしの前に、食材として、あらわれた以上、つぎは、かれこそが、わたしたちの糧となってくれることを、感謝する気持ちで、いっぱいですの」
 そう、そんな想いを込めながらノリアのアンコウ鍋が調理されていく。
「カニも、おいしいことは、まちがいないですけれど、ここまでの愛の表現が、できるでしょうか……? 神聖な、料理勝負の場で、愛を、おろそかにするかたに、毎日の料理は、まかせられませんの…。これが、いかに、鍋が、おいしくても、毎日が鍋には、ならない理由ですの!」
 ビシッとキメるノリアを見ながら『カースド妖精鎌』サイズ(p3p000319)は頷く。そう、毎日鍋はちょっとどうかとサイズも思う。
「もはや常連とかした再現性沖縄……最近深緑が平和すぎてここにばっかきている気がする……」
 そう呟きながらもサイズは鍋について思いをはせていく。
「鍋か……実は味はあんまり好きじゃないんだよな、鍋……うん、カボチャとコーンスープ作ろう、好みの料理を作って勝とう! 出来たのは久しぶりに一緒に依頼に行くことになったメイさんに味見を頼むか……」
「遠慮なく味見するのですよ。あ、せっかくなので写真も撮ってメイのと一緒にSNSに上げるのですよ! こう撮影するときは、角度とか光とか色々大切なのですよ。いい感じに美味しそうに撮るのですよ!」
「え? 写真を取ってSNSにあげる? それなら写真映えできるように頑張らないとな」
 『シティガール』メイ=ルゥ(p3p007582)の言葉に、サイズはやる気が増していくのを感じていた。
 だからこそ、サイズは再現性沖縄の料理道具セットを取り出す。
 料理バトルの街で売られてただけに、サイズが驚くほどに高品質な調理道具……これがあるだけでも料理が出来そうな程の出来らしい逸品だが、サイズはそれに負けない腕を持っている。
「材料は質の良いコーンとカボチャを使おう、カボチャはしっかり滑らかになるまでミキサーにかける! 後はしっかりコトコト煮込んで完成……やばいな、スープだけだと時間が有り余るな……」
 時間が余ったなら、更に作るのがサイズだ。では、何を作るのか?
「後は余ったカボチャで煮物でも作るか…少し鷹の爪を入れて、辛めにして、体が温まりやすいようにしよう。後はメイさんの写真映えの為に金箔と銀箔とか探してスープにかけてみようかな。後煮物とスープの見栄え良くなる材料はなんだろう? スープにミルクを足して素早くラテアートみたいにミルクで模様を描くか、木のマークをミルクで描こう、手先の器用さが必要だが、アイアンハンドの器用さと職人魂のエキスパートぷりを発揮してSNS映えできる模様を描こう!」
 メイが「おー」と歓声をあげながら写真を撮っていくが、我ながら映えるものを作れたとサイズは思う。
 そしてメイもクッキングバトルであるからには料理を作らねばならない。
「さて、UPしたところで……お料理バトルなのですよ! お鍋を使えばいいのですか? ふ~む? ふ~……む? そういえば、この前学校の帰りに有名チェーン店で食べたカツ丼おいしかったのですよ! デザートのパフェも最&高だったのですよ! ……ハッ!? これ、全部合体させてしまえば、バズリまくりの最強お料理になるのでは? お鍋+丼+パフェなのですよ!!」
 思いついたからには行動だ。さて、それではメイのレシピを大公開しよう。
1、鍋にお米を敷き詰める
2、上に豚カツを敷き詰める
3、彩りに千切りキャベツを盛る
4、さらに上に炙りカルビを並べる
5、もっと上にローストビースを並べる
6、頂上に大きい唐揚げを乗せる
「これで完成なのですよ! 名付けて『マウンテン鍋ドーン!!』なのですよ! aPhone10で撮影してSNSにあげておくのですよ。イェーイ、メイの手料理なのですよ! どうですか鍋奉行さん! これこそが最新のお鍋なのですよ。とっても簡単に作ることができて、お肉いっぱい食べられるのですよ」
 ドヤ顔をキメるメイだがなるほど、確かにデカ盛りは事あるごとに練達のテレビでも放映される人気コンテンツだ。バズも期待できる……!
 そんなメイのドヤ顔とはちょっと違うドヤ顔を浮かべているのは非正規雇用だ。
「鍋奉行が作るのは蟹鍋か、確かに美味そうだ。だがここは再現性沖縄……ずっと暖かいんだよぉ!! 暖かい日に鍋を食うヤツがいるか、マヌケめぇ~!!」
 おっと、ドヤ顔ではなく悪人だった。ゴチになるバトルで負けて闇落ちしたのかもしれない。きっともう少ししたら治るだろう。
「俺が作るのは、冬といえばこれ『ブッシュドノエル(薪型ケーキ)』だ!! 動物性の生クリームをふんだんに使い、チョコスポンジを丸める。あとは木の模様とイチゴのトッピングで……しまった!! マジパンのサンタ飾りを忘れてしまった!! こんな時に誰か助けてくれれば……」
「あ、非正規雇用だ」
「お前は!? いつも俺を助けてくれる、沖縄コーチン飼いの少女!! 頼む! もう卵と何も関係ないけど、俺にマジパンをくれ!!」
「いいよ!」
「ぐあー!! "マジパンチ"ありがとうございます!!」
 なんかそんな感じのドラマが挿入されつつ、非正規雇用はマジパンをゲットする。
「待たせたな! マジパンはどうにかこうにか用意した。こいつが俺特製の薪型ケーキ……ブッシュ・ド・アンフェール(地獄の薪)だ!!」
 表面をバーナーでキャラメリゼし、地獄を演出する非正規雇用だが、中々に芸が細かい。
「フッ……、冬といえばクリスマス。クリスマスといえばブッシュドノエル。寂しいクリスマスを思い出してしね!! ぐわぁーーっ!!」
 勝手に敗北した非正規雇用が吹っ飛ぶが、クッキングバトルとは無関係の人生的な敗北なので問題なかった。
「ククク……先にケーキなんかチラつかされたら、鍋に集中できまい。しかも一度ケーキを口にしてしまえば、二度と鍋には戻れないだろう。この勝負……俺の勝ちだ!!」
 確かにケーキのデザートパワーは強大だ……しかも此処から更に怒涛の料理人たちが待っている!

●冬のメニューを作りだせ(後編)
「鍋奉行に焼肉奉行……料理に関する奉行は碌なもんじゃないっておばあちゃんが言ってたでっす! 皆のウィンターグルメを守るために、ハルも頑張りまっす!! それはそれとして、お箸は持参しました!」
『かけだしのエイリアン』ことはる(p3p010563)が食べる準備もバッチリにそう叫ぶ。しかし、まずは調理だ。
 そんなことはるが今回作るのはお汁粉あるいはぜんざいと呼ばれるアレである。具体的にどう呼ぶかは地方によるのでさておきたい。今回は汁気が多く、粒餡を使った甘い汁物のことである。
「えっと……その辺で収穫できるんでっすよね?」
 そう、再現性沖縄では求めれば食材は見つかる。だからこそ、ことはるは周囲を探していく。
「なら、粒餡(甘さ控えめ)とオモチ、それから、塩と砂糖をとってきまっす! あ、佐藤さんではないっですよ!なんて!ハハッ…なんでもないでっす」
「ふふっ」
 非正規雇用が笑ってくれた。さておいて、ことはるのレシピはこうだ。
①粒餡と粒餡がひたひたになるくらいの水を鍋に入れて火にかける
②オモチを焼く
③汁がトロトロになるまで煮込む
※粒が潰れても気にしなくてOK!
④お塩を少々入れて味を整える。甘さが足りなければ砂糖を足す。
⑤器にオモチと汁を一緒に入れて完成!
「お料理って手間暇も大事でっすが、こうやって簡単に食べられる事も大事だと思うのでっす」
 そう、確かにそれは大事なことだ。
「手の込んだ料理は皆さんにお任せして、ハルはインスタントジャパニーズアッタカイノミモノをご用意しました! アンコを使うことで小豆を煮る手間を減らせて、面倒そうなお汁粉……ぜんざい……あ"ーっ!!」
 論争になりかねない事項に配慮するのにことはるの限界が来た! これはもう仕方がない。
「どっちでも良いでっす!! とにかく、甘い小豆の汁を楽しめるんでっすよ! お塩を少々入れるのがポイントでっす。寒い日の小腹を黙らせるには最適なので、お試しあれ! もちろん、こし餡でもできまっす!」
「冬……の料理……」
 ことはるを見ながら『玉響』レイン・レイン(p3p010586)も頷く。
「まだ難しい調理法は出来ないから……今回も簡単そうなのになっちゃうけど……頑張ってみるね……」
 そう、それでいいのだ。技法も大切だが、大事なのは心意気だ。料理は愛情と言われるのは伊達ではない。
「なんとなく……僕の感覚だけど……冬……疲れてると……優しい味のもの……白いもの……がいいな…って思う……」
 そう、レインが今日作るのはシチューということ、なのだが。
「温かいもの…だと……最初は水炊きがいいかな……鍋に鶏肉丸ごと……野菜を大雑把に切って投入……少しだけど……包丁……使えるようになったよ……後は……ブイヨンを入れて、コトコト……鶏からでるダシと、野菜の栄養が詰まったスープになるといい……少しの塩胡椒で味を整えて、優しい味にする……これを少しずつ食べたら……牛乳を入れて、シチューの素を入れて…クルクルする……馴染んだら……ホワイトシチューに変身……」
 そう、なんと途中での段階の変化も考えているのだ。まさにコース料理の如き優しさと言えるだろう。
「味もしっかりめになるから……元気が出てきたら、味の濃いものでも食べれるようになるし……満足感もでる……また減ってきたら……今度は白ワインと、少しのニンニクを投入……更に大量のチーズ……チーズが溶けるまで……パンやウインナー、茹でた野菜を1口ずつに切る……串に刺して……チーズと絡めて……チーズフォンデュにするよ……食べられるようになったら……胃も大丈夫だし……チーズも重くないよね……元気になったら…食べるの、きっと楽しい……1日1鍋じゃなくて……1日3段活用の鍋ざんまい……鍋を制覇する皇帝になれるし……元気になったら……別の料理も食べれるし……冬を満喫できる……」
 そう、寒い時には暖かいもの。それは『狐です』長月・イナリ(p3p008096)も同じ考えであった。
「私の料理は寒い地域の料理、そうボルシチよ。どうせなら料理中のBGMにクシュン! えーと、何の話だったかしら。まあ、寒い国の雰囲気を出しながら作るとしましょう。今回は牛骨のスープのボルシチにしましょうか」
 というわけで、イナリが作るのはボルシチだ。
「牛肉(骨付き)を煮込み、完全に火が通ったら黒粒胡と月桂樹の葉を一枚。キャベツ、人参、セロリ、玉ねぎ、じゃが芋を刻んだ後、火が通りにくい物から鍋に放り込んで煮込む。途中、牛骨から牛肉を切り取って一口サイズにカットして再び鍋に投入。皮むきビーズを千切りにして入れて、塩、、黒オリーブ、香菜で味を調え、最後にレモン汁を絞って完成。後は各自の鍋?皿にボルシチ、スメタナを好みの量を入れて完成。こんな感じね、一緒に小さなライ麦パンも合わせておけば完璧でしょう」
 しかし、まだまだ時間はある。ならばとイナリは別のものも仕込んでいくことにする。
「後は次来た時の為に実験的な料理を作っておきましょうか。実験で作る料理は再現性アラスカという地域に住むエスキモーの民族料理であるキビヤック。捕獲したアザラシの腹を引き裂き、皮下脂肪だけ残して中身を抉りだした後、捕獲して冷やしたアパリアス(海鳥)を中身にギュウギュウに詰め込んで空気を抜き、アザラシの腹を縫い合わせる。縫い合わせたアザラシを日が当たらず温度が上がらない場所に深く埋めて、上に石を積み重ねる。これで数か月から数年放置して内部が発酵すれば完成だわ。次に来た時にどんな具合に仕上がっているか楽しみだわ」
 異臭騒ぎにならないか心配ではあるが、適切にやれば大丈夫だろう。
 さあ、そうして『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)は何を作ろうというのか。ノリアもすでにサポート態勢に入っている。
「ぶはははッ! 冬は鍋が定番だが他にも美味い冬料理はいっぱいあるんで鍋だけってのも勿体ねぇよな! てなわけで、俺の出し物は冬の定番! 肉まんだ! おいコラ誰だ共食いつったやつ。ゴリョウ専極・一茎秘訣書の効果を無駄に発揮した美味い飯を口にねじ込んでぶっ飛ばすぞ」
 というわけでノルマも終わったので料理である。
「こいつは沖縄固有の希少なアグー豚の肉をごろっと入れた肉まんだ。アグー豚は何より『脂が美味い』肉質をしている。こいつぁ肉まんとの相性が抜群に良くてな。油とは違う塊の脂はべちゃっとしない上に、凝縮された旨味と甘みを感じしつこくもない。肉と共に蕩ける触感を味わえるぜ。俺が練った皮と合わせて食うことで口腔調味が完成するよう計算している。寒空の下で頬張るのが最高に美味い逸品ってわけだ!」
 なんと凄まじい、料理人の意地を見せつけるかのようなものが出来上がっている。
「そして何より! 見るがいい! 俺と佐藤以外のかわいいボーイ&ガール&性別不明ズが両手でデカい肉まんもってもぐもぐしてる姿を!」
「え、俺はダメですか」
「ダメです」
 ふるふると首を横に振るゴリョウに非正規雇用はショボーンとしているが、可愛くないのでダメです。
「冬で一度はお目にかかりたい光景だろうが! 異論は認めるが我論を変える気はねぇぜ俺ぁ! 特に嫁さん(ノリア)とかめっちゃ似合うだろほら! ちょっと写真撮っても良い?」
「ええと……こうでしょうか!」
 ノリアはかかえた肉まんにかぶりついた勢いでくるん! と鉄棒の前回りをするみたいに空中で一回転してみせる。
 しかし、やった後で気恥ずかしくなったので無言でゴリョウの後ろに隠れてしまう。何も問題はない。
 ちなみに鍋奉行や他面子の料理も美味しくいただいて料理人視点での良い点や唸る点を解説するつもりだった。
 俺は基本的に褒めて育てるタイプなのだ、とはゴリョウの談だが。
「それはそれとして鍋の〆用に米と卵持ってきたんで雑炊しようぜ! 鍋の魅力は〆にもある! その辺りまで拒否するほど狭量じゃねぇさ!」
 ……ちなみに。結果としては沖縄の冬は鍋三昧ではなくなったそうである。

成否

成功

MVP

ゴリョウ・クートン(p3p002081)
ディバイン・シールド

状態異常

なし

あとがき

冬には美味しいものがたくさんありますよね。
よきかなー

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