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シナリオ詳細

<悠久残夢>傀儡は模倣に己を重ねて

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 境界図書館から至った世界、プーレルジールは滅びに面している。
 それは、『冒険者アイオン』からも語られた。
 混沌世界の下位に位置するこのプーレルジールは、やがて上位である混沌世界に呑み込まれてしまう。
 跋扈する終焉獣、明らかに魔種と思われる狂気を孕む病。
 さらに、魔王に率いられる者どもが、少なくなったプーレルジールの民を虐殺しているという。
 それによって、魔法使いは生活をサポートしてもらう為、ゼロ・クールを作り出したのだそうだ。
 彼らの協力を得て、プーレルジールの探索を進めるイレギュラーズだが、魔王の配下である四天王が姿を現して。
『我々はこの世界を滅ぼし、混沌世界へと渡航する事に決めた』
 イレギュラーズ、混沌世界を知る魔王軍。
 それに立ち向かうべく、アイオンは協力を申し出てくれた。
 彼との旅路は混沌にも伝わる勇者王アイオンの伝承をたどる。
「しかし、その存在は、混沌における魔王達と異なります」
 『穏やかな心』アクアベル・カルローネ (p3n000045)は断言する。
 四天王は終焉獣に寄生されており、魔王も旅人ではない。
 それらはゼロ・クールまでも取り込もうとしている。
 破滅を見守る少女・ステラの助けを得て、ゼロ・クールを寄生から救済しつつも、イレギュラーズは魔王を打ち倒すべくその居城サハイェル城を目指す。
「終焉獣を率いる強個体クルエラの邪魔もあっていますが……、別動隊が動いてくれているはずです」
 今は、魔王への道を切り開きたいところ。
「私の力が少しでも皆様のお力になるなら」
 ゼロ・クール『ECMk-Ⅱ』……双葉も幾度か交戦を重ね、多少なら外敵と立ち向かうだけの力を得た。
 彼女もまたイレギュラーズを手伝うという形で、共に魔王軍と戦うことに決めた。
「無理はしないでね」
「生きなければ何事も成せはしません。お忘れなきよう」
 そんな双葉の姿に、命名者であるアルテミア・フィルティス(p3p001981)、グリーフ・ロス(p3p008615)も思い思いに言葉をかけていた。
「私は更なる傷を負ってほしくはないのですが……」
 鵜来巣 冥夜(p3p008218)は些か否定的ではあったが、双葉が決めた事ならと了承することに決めたようだ。
 魔王軍に属する存在は全て倒さねばならない。
 それが、このプーレルジールを……しいては混沌世界を救うことにも繋がるはずだと、アクアベルは話を締めくくったのだった。


 影の領域へと踏み込んだイレギュラーズ。
 周囲で起こる剣戟、砲撃、術式などによる破壊音を耳にしながら、メンバー達は城の内部へと踏み込む。
 その外見は混沌に伝わる伝承を思わせる魔王城そのもの。
 黒をベースに築かれたその建物から漂う不気味さは、かつて聞いた物語を始めて聞いたときと同じような感覚を思い返す者も。
 内部の探索を進めるうち、一行が辿り着いたのは墓場だった。
 中庭という感じではない。
 室内であるはずなのだが、数々の墓標が立つその場所にはどこから吹き込んでいるのか風を感じる。
「邪魔は……させない……」
 ゆらりと立ち塞がる少女。
 その体のあちらこちらは骨と化していた。
 マドレーヌと呼ばれることの少女は、四天王『魂の監視者』セァハの配下だという。
 骸骨の姿をした終焉獣を従える彼女はさらに、2人の人影を呼び寄せる。
 1人は巨漢の男。
 かつて、魔王軍の師団と対したという斧使いの戦士ゾヴェル。
 そして、もう1人は修道服姿の女性。
 聖女ともてはやされたリリアは多くの魔王軍を殲滅した逸話がある。
 ただ、それは混沌での話。
「お前達の……世界の英雄さ……」
 マドレーヌはそれらが英雄譚に名前の残るかつての英雄だと語る。
 ただし、それらは滅びのアークによって形作られた、いわゆるコピーだ。
 真顔でそれらが身構えるのを見つめていたマドレーヌは、ふと何か思い至ったようで。
「コ……ピー……」
 そこで、何か思い立ったマドレーヌ。
 このしもべどもは自分の手駒として、上司である四天王によって与えられた。
 なんでも、四天王も混沌世界にかつていた存在であったというではないか。
 ならば……。
 目の前に立つイレギュラーズはこちらを睨みつけ、何かを叫びかけてくる。
 その言葉で我に返ったマドレーヌは小さく首を振って。
「行け……。奴らを……通すな……」
 この墓場こそが奴らの死地となる。
 地面から無数の骨の腕を呼び寄せ、マドレーヌはイレギュラーズを迎え撃つ。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様こんにちは。GMのなちゅいです。
 <悠久残夢>のシナリオをお届けします。
 サハイェル城の攻略に臨みます。
 立ち塞がる魔王の配下に、市松人形を思わせるゼロ・クールと協力して立ち向かってくださいませ……!
 
●概要
 影の領域と称される場所に建てられたサハウェル城へと乗り込みます。
 黒をベースとした色調をしたその城は荘厳さと不気味さを兼ね備えております。
 戦場は城の一室のはずですが、西洋の墓場を思わせる場所です。
 周囲の闇が皆様を包み、浸食しようとしてきます。
 時に、地面から生えてくる手が皆様につかみかかってくることも。

●敵
◎マドレーヌ
 魔種。10歳くらいの黒フードの少女。『魂の監視者』セァハ麾下。
 身体の所々が骨と化しており、アンデッドになっています。
 短刀を使い、無数の骨の腕を呼び寄せ、怨嗟の叫びを発します。

〇英雄譚のしもべ
・戦士ゾヴェル
 かつて、魔王軍の師団を個人でなぎ倒したという逸話を持つ巨漢の男。
 巨大な斧を豪快に振り回して地面を割り、敵を粉砕したといいます。
 対多数だけでなく、四天王と渡り合って撃退したともいわれています。

・聖女リリア
 後光を背にした姿は聖女と呼ばれ、もてはやされたと伝えられます。
 それだけに、魔王軍に敵視されて囚われたことも。
 光を操り、仲間を回復支援することができます。
 その光は攻撃にも転用でき、敵対存在を殲滅するといいます。

〇終焉獣:傀儡の骸骨×5体
 全長2mほど。黒いスケルトンといった見た目の姿。
 関節部まで滑らかに動くその様は何かに操られているかのようにも感じさせます。
 直接殴り掛かったり、蹴りかかったりする他、眼光、奇怪な笑いでこちらに異常をもたらしてきます。
 また、直接噛みついて相手を侵食してくるようです。

●NPC
〇ゼロ・クール:双葉(生態番号;ECMk-Ⅱ)
 プーレルジールなる世界の案内役。
 とある魔法使いと呼ばれる職人によって作られた人形です。
 ある程度の知識をプログラミングされてはいますが、必要以上の知識は持っておりません。
 名付け親はアルテミアさん、グリーフさん両名です。

 全長120~130センチ程度、可愛らしい市松人形といった外見の女の子を思わせる見た目をしております。
 カミソリを武器とし、飛び込んで相手を仕留める戦法を得ています。

●サハイェル城攻略度
 フィールドが『サハイェル城』のシナリオにおいては城内の攻略度が全体成功度に寄与します。
 シナリオが『成功』時にこの攻略度が上昇し、全体勝利となり、プーレルジールにおける『滅びのアーク』が減少します。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 それでは、よろしくお願いします。

  • <悠久残夢>傀儡は模倣に己を重ねて完了
  • GM名なちゅい
  • 種別通常
  • 難易度HARD
  • 冒険終了日時2023年12月04日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)
白銀の戦乙女
アルテミア・フィルティス(p3p001981)
銀青の戦乙女
天之空・ミーナ(p3p005003)
貴女達の為に
ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)
奈落の虹
鵜来巣 冥夜(p3p008218)
無限ライダー2号
天目 錬(p3p008364)
陰陽鍛冶師
グリーフ・ロス(p3p008615)
紅矢の守護者
三鬼 昴(p3p010722)
修羅の如く

リプレイ


 プーレルジール影の領域。
 イレギュラーズはゼロ・クール双葉と共に、足を踏み込む。
「イバラ退治以来か」
「はい、ご無沙汰してます」
 『修羅の如く』三鬼 昴(p3p010722)に、双葉は丁寧に頭を下げる。
「双葉さんとは名付け親として、師匠として何度も行動を共にしてきたけれど、ついにここまで来たかという感じね」
「双葉さんと出逢って。名前を考えさせていただいて。今、この世界の滅びの中枢、魔王城にまで一緒に来ることになるとは」
 同じ名前を授けた『銀焔の乙女』アルテミア・フィルティス(p3p001981)、『愛を知った者よ』グリーフ・ロス(p3p008615)は、同行を決めた双葉の様子に感慨深さを覚える。
 確かに、滅びに瀕した世界で生きる為に抗うならば、戦う力を持つ者がそうすることが選択なのだろうかとグリーフは考えて。
「いえ、私などよりも、この世界の住人である双葉さんこそ、本来戦うべき存在なのかもしれません」
 せめて、私がその支えとなれたなら。
 それが境界を越えて出会った同じ種の隣人の縁だとグリーフは語る。
「ありがとうございます」
 礼を返す双葉は少なからず、グリーフに親愛の念を抱いていたようにも見えた。
「魔王城の攻略ともなれば厄介な敵も多いようだが、ここで退くわけにもいかん。無理はするなよ?」
「承知しております」
「魔王軍にも簡単には後れを取らない位には戦い方を教えたから、きっと大丈夫」
 昴の確認に頷く双葉だが、そこでアルテミアが彼女の力に太鼓判を押す。
 彼女を信じて、自身はやるべきことを全うする。
「だから――背中は預けたわよ、双葉さん」
「分かりました」
 聞き分けの良い返事をする双葉を、アルテミアは微笑ましげに見つめていた。
 その間にも、メンバーは敵の出現を警戒しつつ先へと進む。
 事前に、『陰陽鍛冶師』天目 錬(p3p008364)は練達上位式を使って式神を作製、航空偵察を続ける。
 錬曰く、「狙われたらすぐ落ちるが目は多いにこした事はないからな」とのこと。
 やがて、一行が辿り着いたのは……。
「ついに魔王城か……」
 『奈落の虹』ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)はここまでプーレルジールの一件にあまり関われなかったそうだが、大事なところには間に合ったと気合十分な様子だ。

 その間にも、メンバーはサハイェル城へとへと接近する。
 城内に突入してもなお敵と遭遇せずに進んでいたが、墓場のような場所へと辿り着いたところで皆足を止めた。
「邪魔は……させない……」
 現れたのは、体の所々が白骨化したアンデッド少女、『魂の監視者』セァハ麾下マドレーヌである。
 内から放たれるオーラは滅びを感じさせ、魔種となっていることがはっきりと分かった。
 その後方には骸骨の姿をした終焉獣が5体控えていたが、マドレーヌはさらに2人の人影を呼び寄せる。
 巨漢の斧使いゾヴェルと修道服姿の聖女リリア。
 いずれも魔王軍と対し、大きな成果を上げた逸話の残る英雄だ。
「混沌の英雄の骸を利用するか、死霊術師らしいじゃないか」
 錬が皮肉を口にする横、『無限ライダー2号』鵜来巣 冥夜(p3p008218)が訝しむ。
 それらの英雄は、滅びのアークによって作られた存在、いわゆるコピーとのことだが。
「コピーともなれば、胸に抱いていた正義すらも忘れてしまうのでしょうか」
 いずれにせよ、生前のオリジナルである英雄達がこのような蛮行を望むはずがないと冥夜は断言して。
「……ならば、何を迷う事がありましょうか!」
「悪いですけど、私達はすでに物語を超えるためにここに来ているんです」
 『白銀の戦乙女』シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)も冥夜に続き、マドレーヌに敵対の意志を示す。
 ただ、魔種の少女は何か逡巡していて。
「コ……ピー……」
 呼びだした英雄が混沌にいた存在のコピーならば、自分は……。
 マドレーヌは初めてそう思い当たったのだろう。
「何が贋作で何が真作かなんて、それをぶつけ合う段階までくれば些細な問題だ」
 ……今は突破に全力を。
 錬もこのタイミングで前方の敵群を殲滅すべく符を手にして身構える。
「過去に囚われた人間と、未来を見つめる人形ならば。どちらが生きてるって言えるんだろうね」
 『紅風』天之空・ミーナ(p3p005003)はそこまで呟いて頭を振る。
「……いや、なんでもないよ。それよりも仕事をきっちりとこなそうか」
 ミーナもまた死神の大鎌を抜けば、メンバーの殺気を感じ取ったマドレーヌが我に戻って。
「行け……。奴らを……通すな……」
 小さく頭を振った彼女は、しもべ達をけしかけてくる。
「滅びは迎えさせません、貴方達の目的が滅びだとすれば、私達はそれを砕きます!」
「この戦いが少しでも良い結末となるように、全力でこの杖を振るわせて貰うよ!」
 英雄のコピーに黒い骸骨がわらわらと迫ってくる中、シフォリィもウィリアムも決起の声を上げ、向かい来る敵と対するのである。


 向かい来る敵へと真っ先に仕掛けたのはアルテミアだ。
(戦士ゾヴェルを抑えないとね)
 英雄譚で語られる活躍を考えれば、彼は強力なパワーアタッカーだ。
 そうなると、防御の上から叩き潰される可能性がある。
 ならば、回避に優れた自身が適任だとアルテミアは確信し、仲間達への被害を防ぐべく戦士ゾヴェルの抑えに当たる。
 アルテミアは一気にそいつへと肉薄し、激しい雷撃を叩き込む。
 流れるように、戦いの鼓動を高めた彼女は殺気をぶつけて。
「…………!」
 鼻息荒く猛然と斧を振り上げるゾヴェル。
 思惑通り、目的の敵を捉えたアルテミアは少しずつ敵を自身へと誘導する。
 頭上へファミリアーを放っていたグリーフは、交戦を始める仲間達を俯瞰する。
 同じくウィリアムも時折戦場を見下ろし、敵の動きを警戒する。
「さて、戦いのセオリーとしては回復役……リリアを先に潰すべきだろうな」
 昴もそうだが、攻撃に出るメンバーは聖女リリアへと火力を集中して速やかに排除へと乗り出す。
 錬はすでに仲間達がリリア撃破に集中できるよう、魔種マドレーヌを惹きつけに当たっていて。
「セァハの許しとやらは貰えたか? 悪役は二度の失敗が致命的らしいし今度こそ決着だな!」
「侮辱……許さぬ……」
 挑発に乗った敵は素早く、短刀で錬を切りかかる。
 錬も式符を使って地殻を操作し、地中より現れる絡繰兵士の助力を得て、しばらく魔種を抑える。

 ウィリアムはその様子を確認しながら、魔術道具である魔封石を砕いていた。
 解放された魔力を纏い、彼は己を最適化してから立ち回り始める。
 仲間達が最優先討伐対象にと見定めた聖女リリアを模した存在と合わせ、他の敵も複数捉えたウィリアムは根源たる力を使う。
 本来、混沌に揺蕩うものを使うが、プーレルジールでも変わらぬらしく、汚れた泥となって敵陣へと流れ出す。
 ミーナもまたリリアへと仕掛けていて。
 身軽さを活かし、ミーナは一気に距離を詰めてから闘気の棘で貫く。
 そして、ミーナは影からの一撃でリリアを襲い、刹那恍惚とさせる。
 すかさず、シフォリィが双葉と共に攻め入る。
「双葉さん、私の攻撃目標と合わせてください」
「了解です」
 一言、彼女の言葉を聞き届けたシフォリィ。
 できる限り臨機応変に動けるようにと遊撃に出ていた彼女だが、ここは花吹雪が如き極小の炎乱を舞わせる。
 骸骨の姿をした終焉獣、傀儡の骸骨と合わせ、リリアの体を小さな炎が焼く。
 双葉がシフォリィの指示に従ってリリアに切りかかる。
 素早い動きでカミソリを操り、聖女の体に傷を増やす。
「…………」
 祈るような所作をするリリアはマドレーヌを含めた敵陣に力を与える。
 それは命なき者であれ、作用するのは滅びのアークのなせる業なのだろうか。
 仲間達の攻撃を低空から目にしていた冥夜は改めて地面に視点を降ろす。
 戦場は墓場であり、足場は土で盛られた箇所も多く安定しない。
 加えて、マドレーヌは地中から骨の手を出現させるという事前情報もある。
 それらを回避すべく飛んでいた冥夜は英雄叙事詩を紡ぎ、仲間達を奮い立たせる。
 その後、冥夜もまた攻撃集中し、聖女リリアを中心に終焉獣複数へと黒い雷を叩き落として攻め立てていく。
 直後、今度は破砕、金剛と2種の闘氣を練り上げた昴が仕掛ける。
 邪魔な終焉獣……骸骨どもに乱撃を叩き込んで前進していたが、リリアを捉えたところで一気に竜撃の一手を叩き込んで態勢を崩す。
 更なるコンビネーションをと身構える昴の傍で、グリーフが戦況をじっと見ていて。
(あちらが英雄を模した影や思考する魔種であれば、こちら同様、集団の弱いところをついてくることもあるかもしれません)
 味方がうまく抑えているが、警戒は怠らずにグリーフもまずは骸骨から相手取る。
 秘宝種としての希少性と合わせて魅惑の輝きを放ち、グリーフは相手の殴打、蹴りを受け止めて。
 確実に相手の侵攻を食い止めるべく、グリーフは呪術を発動させて敵陣を捕えようとした。
 骸骨数体が足を止め、満足に動けずにいた。
 ただ、聖女リリアが態勢を立て直してくる可能性もある。
 現状、メンバーが一気に攻め崩そうとしているが。
「こちらも手数で簡単に譲るつもりはありません」
 強い決意を抱き、彼は凛然と敵に立ち向かう。


 魔種マドレーヌの率いる敵との交戦は続く。
 クカカカ……。
 終焉獣の笑いも時折聞こえ、マドレーヌも無数の骨を呼び寄せてメンバー達の動きを止めようとしてくる。
 ウィリアムは逐一仲間が十全に立ち回れるよう号令を発し、体力気力を補填する。
 負担が大きいのは、ゾヴェルを抑えるアルテミアとマドレーヌを惹きつける錬だろう。
 アルテミアは大振りなゾヴェルの一撃をギリギリまで引き付け、斧の強撃を避けていた。
 錬は防御を高め、マドレーヌの引付と合わせてリリアを攻める。
 掴みかかる足をできる限り避け、双炎の蒼と紅を乗せた苛烈な攻撃で攻め立てる。
「…………」
 まだ相手も余裕綽々と言った印象。
 アルテミアも焦らずにジワジワとその体力を削っていく。
(まだ……まだ大丈夫)
 冷静に仲間の戦いを視認し、ウィリアムは的確に支援も行う。
 とはいえ、今はまだ攻撃も優先。
 四象の力を顕現させたウィリアムはマドレーヌの動きを可能な限り奪う。
 その間に、メンバーはリリアを追い詰める。
 態勢を崩す相手に、昴はミーナの攻撃直後を見計らうようにして対城技を叩き込み、大きなダメージを与えていたのだ。
 昴は栄光の一手を織り交ぜており、リリアを自由にさせない。
 仲間の攻撃の間隙を縫うように、彼女は徹底的に攻め立てて回復の暇を与えはしない。
「…………」
 明らかにその顔は引きつっており、できる限り仲間の支援をしようと癒しを振りまくことに注力する。
 模倣であっても、他人の為に注力しようとする辺りはさすが聖女というべきだろう。
 それでも、滅びのアークによって生まれた存在である以上、討伐せねばならぬ相手。
 昴がしぶとく攻撃に耐える間に、ミーナが流れるような動きで終焉を刻み込み、さらに赤い闘気を叩き込む。
 なおも影からの一打をと振りかぶったミーナだったが、2撃目でこと切れた聖女は前のめりに崩れ、塵のように消えていった。

 次なる狙いは終焉獣。
 冥夜は一気にケイオスタイドを巻き起こして骸骨どもを押し流そうとする。
 骸骨どもは比較的前方のメンバーを狙っていたようだが、時折遊撃に動くシフォリィや双葉に注意を払うのが気になるところ。
 ならばと、冥夜は再度自らを輝かせて注意を引く。
 その輝きに引き寄せられるのは、彼が秘宝種であるからか。
 それとも、イレギュラーズだからか。
 はたまた、生者に引き付けられているだけか。
 いずれにせよ、冥夜の思惑通りに近づいてくる相手を、他メンバーらは順当に相手取る。
 破邪の結界を展開し、聖女の力を封じたシフォリィ。
 反応速度を高めていた彼女は双葉が切り込む後ろから、目にも止まらぬ速さで刃を振り払う。
 前方にいた骸骨は音もなく崩れ去る。
 なおも双葉が攻め入ろうとするのを、シフォリィが気にかけて。
「無理せず、近くて弱っている相手から攻撃してください」
「は、はい」
 そこで、前に出すぎていることを自覚したのか、双葉はシフォリィの傍で次なる終焉獣を相手していた。
 直後、同じく終焉獣を捉えていた練が式符により陰る太陽を写す魔鏡を鍛造する。
 そこから放たれる黒い閃光に焼かれた骸骨達のうち、1体は抵抗すらできずに消し飛び、さらに別の1体も煙を上げながらもがいていたが、やはり耐えられずにその身を崩していく。
 ただ、すぐに錬はマドレーヌの抑えの為、手が塞がってしまう。
 入れ替わるように、グリーフが敵の接近を察して行く手を遮る。
 怪しげな眼光を放ち、ケタケタと耳障りな笑いを発する骸骨らを押さえつけるグリーフは、ルーンシールドと破邪の結界によって耐え凌ぐ。
 態勢を整えたグリーフは呪術で残る骸骨を捕える。
 メンバーの支援も大きかったが、グリーフの呪術から逃れられぬ骸骨どもはそのまま果てていった。


 歯噛みするマドレーヌの前で、英雄と伝えられる戦士ゾヴェルを模倣した存在が巨大な斧で大地ごとこちらを切り裂かんとしてくる。
「…………!!」
 その声は聞こえぬが、英雄の雄叫びがこちらにも聞こえてくるようだ。
 肌で感じる威圧感も本物。
 だが、それらはやはり作り物でしかない。
 アルテミアは幾度目かに繰り出した突きで、ようやくゾヴェルの態勢を崩す。
 その力だけは本物と同等。
 仲間の力を借りて英雄譚の一端に触れたアルテミアは剣を握り直して。
「コピーとはいえ、古の英雄と剣を交えれた事、光栄に思うわ」
 一気にその全身を切り刻み、戦士もまた聖女と同じように消えてしまう。
 一息ついたアルテミアはマドレーヌへと向き直って。
「このまま押し通らせてもらうわ!」 
 仲間と共に、残る敵との直接対決に臨む。
 闘氣を解き放って打撃と同時にプレッシャーを与えんとする昴。
 続き、ウィリアムが泥の濁流で相手を呑み込まんとするが、マドレーヌは悠然と歩み寄ってくる。
 加速したミーナが一気に血色の滝の如くその体を切り裂き、赤い闘気を叩き込むが、アンデッドとなった魔種は血すらほとんど流していない。
 墓場から生える無数の腕。
 その数が魔種の力を実感させる。
 それでも、イレギュラーズはそれらの腕を振り払う。
「ここにも、傀儡が……」
 歩み寄るマドレーヌは、どうやら双葉へと狙いを定めたらしい。
「魔種は見た目によらないと聞きますが……」
 冥夜が目視する魔種は10歳の少女。
 ホストの癒しを知っていようはずもない。
「ならば、心行くまでご堪能戴きましょう。輝けるMy Face、気高きHeart!」
 双葉を護るべく、冥夜は盛大に声を上げて。
「今宵、貴方の心をシャンパングラスの様に鮮やかに満たす男、鵜来島 冥夜をどうぞお忘れなきよう!!」
 身を挺する冥夜に、マドレーヌはゆっくりと近寄り、短刀を突き出す。
 その刃から発せられた見えない一閃が冥夜の体を裂いた。
「理解、不能……」
 何が起こったのか把握できぬ双葉を、シフォリィもまた守りに回る。
(相手は魔種。何が起こるか分かりませんでしたからね)
 呼び声などの影響を予め考えていたシフォリィだ。
 救いの欠片を使った彼女は危機を察してカミソリでマドレーヌを切りつけた双葉を遠くへと離す。
 ただ、その代償はパンドラ。
 シフォリィは自らのそれが零れ落ちるのを確認しつつも、双葉を護り切る。
 2人が双葉を助ける間に、残るメンバーが態勢を整え直して再度攻め入る。
 身を焦がさんばかりの恋焔で魔種をも包み込もうとするアルテミア。
 錬も以前の戦いの経験を活かしつつ、敵の意識を仲間から逸らそうとする。
(闇の侵食や地面から生える手にも気を付けなければな)
 実際、先ほど仲間がそれを思しき力に倒されかけている。
 式神でそれを察しても、瞬時に解き放たれれば対処も難しい。
 マドレーヌは錬を気にかけながらも、グリーフへと手を伸ばす。
 振りまく暖かな光、慈愛の息吹は魔種には不快と感じたのだろう。
 グリーフも直観で危機を察して。
(死せる星のエイドス、貴方に奇跡を願います)
 ――どうか、私たちを私たちのままに。
 呼び声を伴って刃から放たれる死の力。
 グリーフは運命に縋りながらも、なんとか意識を保つ。
 ただ、今回は錬も対処が間に合い、魔鏡に移る魔種の虚像から溢れる暗黒の雫が本人をも黒く染め上げようとする。
 それは色としてでなく、彼女の運命を、である。
「……くっ」
 始めて呻いたマドレーヌへと、ウィリアムが直接神秘の力を叩き込み、さらにミーナが連撃を繰り出した後、影からの一撃を見舞う。
 ここにきて、刹那呆けたマドレーヌに、昴が仕掛ける。
「この世界を貴様らの好きにはさせんぞ!」
 足場から生えていた腕に煩わしさを感じていた昴だが、それらを一気に振りほどいてから栄光を勝ち取るべく闘氣を叩き込む。
「こ、これほど、とは……」
 今回は上司のセァハに陳謝すら叶わず、墓場の土と同化するようにその身を崩していったのだった。


 まだ、先へと進まねばならぬイレギュラーズ。
 だが、グリーフがせめて英雄達に弔いをと願い出る。
「コピーでも私が憧れる英雄なのですから」
 例え魔王軍のしもべとなろうとも、その立ち振る舞いは英雄を思わせる何かがあった。
 その英雄達に改めて敬意を抱きつつ、メンバー達は更なる敵と対するべく城の奥を目指すのだった。

成否

成功

MVP

三鬼 昴(p3p010722)
修羅の如く

状態異常

シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)[重傷]
白銀の戦乙女
鵜来巣 冥夜(p3p008218)[重傷]
無限ライダー2号

あとがき

 リプレイ、公開です。
 MVPは魔種の討伐に至った貴方へ。
 今回はご参加、ありがとうございました。

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