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シナリオ詳細

<伝承の旅路>『管理人』

完了

参加者 : 15 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 イレギュラーズは如何なる行動も世界に対して『可能性』を紡ぐ。
 蓄積されたパンドラはやがて世界を救う可能性にすらなるのかもしれない。
 イレギュラーズとは、そういう特別な存在だ。
 プーレルジールでだって同じく希望を紡ぎだせる事だろう。
 それはきっと。ずっとずっと昔から不変の事なんだ。

 混沌世界に初めてのイレギュラーズが誕生しえた時から、ずっとずっと――


 ――ゼロ・グレイグヤード。
 その地はゼロ・クール達の墓場とも呼ばれる、もう動かなくなったゼロ・クール達が運ばれる場所であった。ゼロ・クールはプーレルジールに住まう者が生活の利便や、魔王の放つ軍勢と戦う為に作られた人形達……故、劣化や損傷によっていつかはその役割を終える。
 そんな者達の行き着く先。
 正に『墓場』――その呼び名に相違なく、其処には多くのゼロ・クール達が在った。
 いや……放置されている、と言うべきだろうか。

「ひでぇな、こりゃあ……墓参りにと思ってたんだが、ほとんどが野ざらしだ」

 紡ぐはゴリョウ・クートン(p3p002081)である。
 視線を巡らせる彼の瞳に映るのは廃棄されたゼロ・クール達の凄惨な状況……墓場というよりも、これは……誤解を恐れずに言うならばゴミ捨て場に近しい雰囲気だ。一部は人間のように墓らしきものが立てられてもいるが。
 しかし多くは放置気味。所詮人形は人形という扱いなのか――?
 墓参りにと思って来たのだが、よくよくもう一度観察してみれば状況が酷すぎる。
 この前に訪れた時は『管理人』を名乗る『魔法使い』がいたが、彼は何をしているのか。
「わわわ。こんなに沢山ボクの仲間達がいたなんて……
 少しぐらい綺麗にしてあげた方がいいかな、ファニー?」
「……あぁ、そうだな。それがいいかもしれねぇ」
 同時。その光景を眺めるのはリプリルなるゼロ・クールと、その知古たるファニー(p3p010255)か。元々この地はリプリルの案内によって辿り着いた場所。されどリプリルはこの地を情報としてこそ知れど、それ以上の仔細は把握していなかったようだ。
 せめて綺麗にしてあげようかとリプリルは廃棄されたゼロ・クールらの身体を磨く。
 ……流石に、完全に機能を停止している個体を救う手段は存在しない。
 だからこのゼロ・グレイグヤードに存在する個体が息を吹き返す事はないだろう。リプリルのように体を綺麗にして、改めて弔ってやるのが精々だ。しかし……
(生きてる連中なら、まだ希望はあるよな)
 斯様に完全に停止していない個体――生きている内に終焉獣に寄生された個体ならば、コアがまだ生きている個体ならば救う手段があるとファニーは思考を巡らせようか。それが『死せる星のエイドス』……奇跡をこの地で紡ぐ一端。
 たしか此処で出会った管理人は『人形を救う可能性はない』などと言っていたが。
 状況は変わりつつある。きっと救えるゼロ・クール達もいると思えば――

「やぁ。また来てくれたのかい♪」

 正にその時。どこからともかく現れようか。
 当の『魔法使い』だ。気配もなく、いつのまにやら其処にいた。
 本名は分からない。というよりも彼自体が一切語らぬ。
 聞いてものらりくらりと躱す男……
 なんとも怪しいが、わざと斯様な雰囲気を醸し出しているようにも感じる。
 更にはどこか――他のプーレルジールの住民とは気配が異なる気もしようか。
 具体的にどこがどう、と言葉にするのは難しいが。
「嬉しいなぁ、ゆっくりしていっておくれよ。
 まぁお茶を楽しむスペースなんてないんだけど♪ 墓石の上でいいかい?」
「……貴方は『魔法使い』なのですか、本当に?」
「ん。ああそうさ――うんうん、僕は『魔法使い』だよ♪ 嘘じゃないさ♪
 時々ゼロ・クール達の調子を見てたりするよ。メンテナンスさ♪
 まぁここにいるのは全部廃棄物なんだけどね、うん♪
 僕はラサに二十年ぐらい前に生まれてね。そこから各地を転々としてたんだが、深緑を追い出されてからは練達に住んでたかな。ははは、あの地域の幻想種たちは血気盛んで困るね――枝一本折っただけなのに追いかけ回された! あっ。ダージリンでいいかな? 蜂蜜入れる?」
 やたら饒舌に、やたら言を回しまくるその姿――
 グリーフ・ロス(p3p008615)は訝し気な視線を向けざるを得なかった。
 『魔法使い』。プーレルジールにおいてゼロ・クールを作る職人たち。
 グリーフにとっての同胞とも言える個体達を作る者と――どうしても思えないのだ。
 いや実際に嘘ではないのかもしれないが。しかし『本質』ではないように感じる。
 ……幸いにして表面上、彼は歓迎ムードだ。
 墓石の上でティータイムを誘うなどなんの冗談かと思うが。
 しかし語らいの暇があるというのなら彼の腹の内を探ってみるのもいいだろうか――
 と、その時。

「――これは。こちらに向かってくる『敵意』を感じますね」
「もしかしてル=アディンかな? ……いやあの時と同じ気配ではないね」

 紡ぐはリースリット・エウリア・ファーレル(p3p001984)にジェック・アーロン(p3p004755)だ。感じた敵意は、魔物……いや恐らくはプーレルジール各地に出現している終焉獣だろうか。
 周囲には廃棄されているゼロ・クールばかり。
 つまり寄生終焉獣達の乗り移り先が山ほどあると考えれば、此処は彼らにとっての餌場とも言える。むしろ出現するのが当然と言った所だろうか。
「おいおい終焉獣は『この辺りでは今の所見てない』って言ってなかったか?」
「あれ、そんな事言ったっけな♪ まぁ状況と言うのはすぐ変わるものさ……♪
 そんなに数は多くないように見えるし、放置してても良いんじゃないかい?」
 ゴリョウが吐息を零しながら『管理人』へと視線を滑らせようか。
 やはりこの男の言は数多が『軽い』
 何か言の葉を紡いでも次の瞬間には容易く翻っていてもおかしくない程に。
 しかし不思議と、目前の男からは敵意や悪意を感じえないのだ。
 むしろどこか――イレギュラーズに対して友好的なように見える。勿論、言は軽過ぎるが。
 ……ともあれどうしたものか。
 終焉獣にゼロ・クールを乗っ取らせてやる道理はない。
 数が多くないのなら今の内追い払っておくべきか? 恐らく左程苦戦はしないだろう。
「やや暴れる形になるかもしれませんが、構いませんね――? ええと」
「あぁ別に一切構わないよ。この辺りには人間も住んでないしねぇ……♪
 戦うのなら君達も好きにすればいい♪
 あ。それと僕の事、呼び辛いなら、そうだなぁ。
 ミスウォル、ダリア、ナハッター、ホワイダニー、クリケット……
 その辺りの名前を適当に使っておくれよ。全部捨て名だけどね♪」
 であればとリースリットは一度『管理人』へと語り掛けておこうか。
 管理人と言う事はこの地の主。ならば許可を取っておこうかと……
 しかし今、リースリットが過去に聞いたことのある名が一つ混じっていた様な。偶然か――?

「で、お茶飲む? 蜂蜜・あんみつたっぷりあげるよ♪」

 されど。彼を見つめても、彼は何も語らない。
 にこやかな笑顔が其処に張り付くように在るだけだった。


 はぁ、はぁ、はぁ――
 同時刻。息を切らしながらゼロ・グレイグヤードに隠れ潜む者がいた。
 廃棄されたゼロ・クール達の間に埋もれ、気配を潜めている。
 姿はまるで兎のように見える彼の名はパンタデュラス。
 このプーレルジールに住まう者の一人であり、少し前に甚大な負傷を負い――しかし辛うじて生き延びていた者である。彼はこの世界に増えている終焉獣の理由を調べんとしていた所で、何者かに襲撃されたのだ。
 それ以来、傷の治癒をしながら……再び見つからない様に調査を再開していた。
 完全に傷が塞がった訳ではないが、しかし。
「急がなければならない」
 焦燥が胸の内を包んでいたのである。
 大人しくしている暇がない――そんな直感がしているのだ。
 終焉獣達が急速に増えているのは理由がある。世界の各地に蔓延ろうとしているのも。
 それに何より『誰か』が意図的にそうしている可能性が高い。
 ……この認識は誰かに共有しなければならないとパンタデュラスは考えていた。
 自らの命がある内に。迂闊に動けばまた『奴』に見つかるが故に慎重だが。
 急げ――
「滅びを払いのける、者達に……」
 会うまで朽ちる事は出来ぬと、思考を巡らせながら。

GMコメント

●目的
 ゼロ・グレイグヤードで行動する事。

 皆さんはこの地で何をしても構いません。
 『管理人』を名乗る『魔法使い』と会話をしたり。
 出現する終焉獣と戦闘を行い、その性質を調査したり。
 ゼロ・グレイグヤード自体に何かないか調べてみたり。

 思い思いにお過ごしください。
(なお終焉獣の気配がするとOPでは語られていますが、戦闘は必須ではありません。終焉獣などを調べたい時は戦闘をする必要がありますが、仮に誰も戦闘を選ばなかったとしても不利になったり、問題が生じたりはしません。各々一番行いたい行動を行って大丈夫です)

●フィールド・状況
 ゼロ・グレイグヤード。『ゼロ・クール達の墓場』とも呼ばれる地です。
 周囲は薄暗い、陰気な場所です。
 人間同様の墓らしきモノが立てられている場合もありますが、大半のゼロ・クールは野ざらしだったり、大きな穴の中に放り込まれていたりと乱雑です。なお此処にいるのは全て機能停止している――人間的に言うならば『死』を迎えている個体ばかりです。

 あまり数は多くありませんが、時々終焉獣や魔王軍に属する者が近くに姿を見せる事があるようです。
 それらを叩きのめして、終焉獣などであれば生態の調査を行ってもいいかもしれません。

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●登場人物
●リプリル
 プーレルジールに住まうゼロ・クールの一体です。(画像右側の子です)
 せっせと廃棄ゼロ・クール達を綺麗にしています。なお後述する『魔法使い』とは知り合いらしく、以前にメンテナンスしてもらった事もあるそうです。

●パンタデュラス
 プーレルジールに存在する兎のような人物です。ゼロ・クール……かもしれません。(画像左側の兎です)
 少し前に何者かの襲撃で甚大な負傷を負っていた模様です。(TOP:『終焉の気配』:https://rev1.reversion.jp/page/top20230820201137)
 ゼロ・グレイグヤードの一角に隠れ潜み、終焉獣が増えている理由などの調査を行っていた様です。合流できればなんらかの情報が入手出来る可能性があります。

●廃棄ゼロ・クール
 劣化や損傷によって既に機能停止しているゼロ・クール達です。
 ゼロ・グレイグヤード各地に、大半は野ざらしで放置されています。
 寄生終焉獣にとっては餌ばかりな事でしょう。
 また完全に廃棄されている――つまり人間的視点だと『死んでいる』個体ばかりですので、語り掛けても反応などはありません。

●寄生終焉獣『グラィス』
 なんらかの存在に『寄生』を行う終焉獣の一種です。
 特にゼロ・クール達は乗っ取りやすい存在として狙う傾向があるようです。戦闘力自体は左程でもありませんが、ゼロ・クールの乗っ取りに成功すると、その個体が完全に粉砕されるまで動き続けます。

 ゼロ・グレイグヤード付近で数は多くありませんが幾らか目撃されています。
 周辺を警戒していれば発見する事もあるかもしれません。(戦闘に移った場合、ゼロ・クール乗っ取りを成功させない限り戦闘力は左程ではありません)

●『管理人(魔法使い)』
 正体不明。自らを『魔法使い』『ゼロ・グレイグヤードの管理人』と名乗る男です。
(TOP:『ゼロ・グレイグヤード』:https://rev1.reversion.jp/page/top20231002193424)
(TOP:『計算外の奇跡』:https://rev1.reversion.jp/page/top20231016203229)
 しかしゼロ・グレイグヤードが管理されている形跡はありません。ゼロ・クール達は適当に野ざらしとなっているのが大半です。普段は一体なにをしているのか……?

 質問したら色々応えてくれますが全ての言動が胡散臭いです。
 本当の事を言ってくれる保証はありません。
 非戦スキルなどを用いて調査してもOKですが非戦スキルが有効かは不明です。
 また逆に彼から何か干渉を受ける可能性もあるかもしれません。
 とにかく彼に関わろうとする場合不明な事ばかりです。ご注意を。

 胡散臭すぎるので攻撃してもいいですが、その際の対応は未知数です。
 一応、敵意は感じません。むしろ何故か友好的な雰囲気が感じられます……?

/////////////////////////

●情報精度
 このシナリオの情報精度はCです。
 情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。


行動方針
 以下の選択肢からメインとなる行動をご選択ください。

【1】『管理人』と語り合う
 『管理人』を名乗る謎の男と語り合います。
 なにが起こるかは未知数な点が多いです。

【2】『ゼロ・グレイグヤード』を見て回る
 ゼロ・グレイグヤード周辺を調査します。
 廃棄ゼロ・クール達の様子を見る事が出来たり、或いは終焉獣との戦闘もあるかもしれません。(倒せばその生態などを調査出来たりするかもしれません。ちなみに戦闘は必須ではありません。そういう可能性があるというだけです)

 こちらのルートを選んだ場合でも『管理人』と会話する事は可能です。
 ただ描写としては周辺調査が重点的となります。会話はちょっとだけになるかもしれません。

  • <伝承の旅路>『管理人』完了
  • 『深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ』
  • GM名茶零四
  • 種別長編
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年11月14日 00時00分
  • 参加人数15/15人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 15 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(15人)

ヴァイス・ブルメホフナ・ストランド(p3p000921)
虹色
バクルド・アルティア・ホルスウィング(p3p001219)
終わらない途
リースリット・エウリア・F=フィッツバルディ(p3p001984)
紅炎の勇者
ゴリョウ・クートン(p3p002081)
ディバイン・シールド
シラス(p3p004421)
超える者
メイメイ・ルー(p3p004460)
祈りと誓いと
ジェック・アーロン(p3p004755)
冠位狙撃者
茶屋ヶ坂 戦神 秋奈(p3p006862)
音呂木の蛇巫女
ンクルス・クー(p3p007660)
山吹の孫娘
モカ・ビアンキーニ(p3p007999)
Pantera Nera
ルーチェ=B=アッロガーンス(p3p008156)
異世界転移魔王
グリーフ・ロス(p3p008615)
紅矢の守護者
ハリエット(p3p009025)
暖かな記憶
メリーノ・アリテンシア(p3p010217)
そんな予感
ファニー(p3p010255)

リプレイ


 ――陰鬱なる気配が広がっていた。
 ゼロ・クール達の墓場、通称『ゼロ・グレイグヤード』
 足音響かせ巡る一人は『白き寓話』ヴァイス・ブルメホフナ・ストランド(p3p000921)か。新発見された地であれば、いい機会だし少し見て回ろうかと……しかしゼロ・クール達に墓場があったとは意外だ。まぁ尤も……
「……こんなものを埋葬や弔いというのなら、だけれど」
「オイオイ、あっちのなんて苔まで生えてるぜ……
 胡散臭え墓場だな。いや墓場って呼んでいいのか? 何だってこんなになった?」
 続く言は『竜剣』シラス(p3p004421)であろうか。見渡す限りに存在するのは――どれほど以前から放置されているのかも分からぬゼロ・クール達の残骸。
 一部では金属の爛れだろうか異臭も感じられる。
 ゴミ捨て場。そんな印象を受けるも――だからこそ感じ得る疑問もあるものだ。
 管理されていないにしてもあまりにも度が過ぎている。
 これは……何か目的があって、あえて『こう』されているのではないかと。
「管理人がいる筈だけど、とても管理されてないよね。
 いや、或いは管理してるのは『何か別のもの』なのかな?
 ……墓荒らしみたいになるのはゴメンだけど、調査させてもらわないと、ね」
 そして『冠位狙撃者』ジェック・アーロン(p3p004755)も周辺の調査に赴いていたか。
 目と耳を用いて周辺に妙な地形やモノが存在していないか確認していく――
 反響音すら捉えよう。土の柔らかい場所や空洞がなんぞやの下にあってもおかしくない、と。あぁあの非常に胡散臭い『管理人』とやらが『管理』しているのは、一体なんだ? 少なくともゼロ・クール達の事ではあるまい――こんなに適当に野ざらしに捨て置き放っているのだから。
「……だからと言って、素直に聞いても絶対応えないタイプだよね」
 アレは、と言葉を続けながら彼女は己が直感をこそ信じようか。
 だが視線を巡らせる度に目に映るのは無残なるゼロ・クール達ばかり……
 完全に機能停止した者達を救う術はない。なんとも歯がゆいものだ。
「居た堪れないねぇ。曲がりなりにも何かの仕事をしてたんだろ?
 そのゼロ・クール達をこんな感じ野ざらしなんてよ……
 しかも終焉獣の気配がしやがる。チッ、ハゲタカかよ連中は」
「誰も彼ももう生きていないとは言っても、流石にあんまりな状況だね……
 これは弔ってあげたいね……一応、私はシスターだし」
 斯様な状況には眉を顰めるのはジェック達だけではない。『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)に『山吹の孫娘』ンクルス・クー(p3p007660)も視線を巡らせようか。ゼロ・クール達の悲惨な状況。彼らが命あるかないかは関係ない――
 少しでもどうにか出来ないかと思うものだ。故に。
「めぇ……あちらには大きな穴もあるみたいです。見て回ってみましょうか」
「そうだな――このままでは終焉獣の寄生対象になるばかりだろうし、な。
 それにしても酷い有り様だな、ゴリョウさん。
 此処には『管理人』とやらがいるそうだが、この状況で自称してるのか?」
「あぁ、だが胡散臭い野郎だったな。元から管理になんぞ興味のねぇ奴っぽいが」
「……成程。ゼロ・グレイグヤードがこんな酷い有様で、よくもまぁ……逢えば一言物申したいものだが、とにかく。今はゼロ・クールの遺体が好きにされないようにせねば」
 『ちいさな決意』メイメイ・ルー(p3p004460)に『Pantera Nera』モカ・ビアンキーニ(p3p007999)もゴリョウらに続いて行動するものだ。大きく分けて目標は二つ――ゼロ・クール達の状況確認と、彼らを狙わんとする終焉獣でもいれば排除する事。
 この量の廃棄ドールだ。終焉獣達にとっては格好の餌場になってしまうと『蛇喰らい』バクルド・アルティア・ホルスウィング(p3p001219)も思えばこそ、放置してはおけない。
「ったく。どっからこんなに湧いて出てくるんだかな……適当に蹴散らしておくがよ」
 バクルドは頭を掻きつつ終焉獣を見据えれば――銃撃一閃。
 連中を撃ち貫こうか。幸い、此処に来ている終焉獣は左程強くない様だ。
 注意警戒を行い先んじて発見する事さえ出来れば苦戦はしなかった――
 故。シラスも超速へ至る加速飛翔を行いながら、空より周囲を眺めようか。
 優れた視力もあれば彼の探知範囲は数多に広がりもする。そして終焉獣を見つければ即座に転進し、天上より強襲。格撃の一打と術式の混成撃を叩きこめ、ば。
「……此処にもいる、か。派手にぶっ壊れてるもんだな」
 同時。シラスは廃棄ゼロ・クールの一体を捉えよう。
 完全に朽ちている。やはり意思の疎通は不可能だろう……
 だがゼロ・クール達は――レガシーゼロに近しい存在の筈だ。
「なら、よ」
 出来るのではないだろうか。いや、在るのではないだろうか。
 彼らの霊魂が。彼らにも――魂が。
 ……彼は知覚せんとする。『俺のヒーローの技』を見習おうとしながら。
 瞼の裏に思い浮かぶは茶の髪の持ち主。
 皆の笑顔を護らんとする、唯一無二の――ヒーロー。
(ま。俺のは魔術だから見様見真似か……?)
 彼女はギフトだったな、なんて。
 微かに口端に笑みの色を灯したのは苦笑か、それとも。
 なんにせよゼロ・クール達にも残る意思もあるのではと彼は術を行使するものだ――
 何故ここに集められたのか、ここは何なのか。何か見たものはないか。
 ――俺達に何か出来る事はないか。
 問いかけんと探していく。霊魂たちを……その魂を救う為にも。
「ねぇ。あなたたちは何を見たの? どうして――此処に運ばれてきたの?
 どんな道を歩んで。どんな生を歩んで……どんな目的があったの?」
 然らばヴァイスもシラスと同様にゼロ・クール達に問いかけようか。
 彼女にも力が宿っている。万物と意志を交わす事の出来る祝福が……
 返答する意志さえあるのならばと――彼女はゼロ・クール達に手を添えよう。
 この墓所にどういった人やものが来て、どうなって……貴方達はこうなったのか。
 どうして終焉獣に狙われるのか。
「あなたたちは、お話しできるのかしら?」
 彼らが知っているとは限らない。彼らが応えるとは限らない。
 それでも、一体だけでもいいのだ。
 まだ意志を交わすだけの余地が残ってさえいればと――彼女は探ろう。
 もしもゼロ・クール達でなかったとしても。この地そのものでもいい。
 墓所自体にも根差した想いや記憶があるのなら。
『――――』
『――――――』
 さればまるでノイズの様にヴァイスの耳に届こうか。
 どれの声だろうか。分からないけれど、霊魂か墓所そのものか……
 応えてくれるだけの意思はありそうだ。故に彼女は耳を澄ます――さすれば。
『ガガ、ガ……』
「ハッ……! あちら、見てください! まだ、微かに生きてる個体も……!」
「終焉獣も気付いて近付いてるみたいだね――あっちは任せてくれ!
 彼らの自由を奪い取って寄生して乗っ取るだなんて……趣味が悪いね!」
 物音がした。気付いたのはファミリアーの鳥を使役し周囲を観察していたメイメイ。それにンクルスもか――メイメイは皆に情報を伝えつつ駆け寄らんとし、ンクルスは即座に終焉獣へと対応へ赴く。
 跳躍。あえてこちらに注意が向くように大声張り上げながら、終焉獣を引き付けよう。
 強引に掴んでバックドロップ五連撃。ゼロ・クールらに近付かんとする彼らに怒りの一撃を叩きこめ、ば。
「よし、どきな! トドメをぶち込んでやる――!」
「どこから現れているのか知れないが、これ以上は進ませない……!」
 更に行動を共にしていたゴリョウやモカも至る。
 ゴリョウが掌から射出するは呪いを込めた結界そのもの。周囲を無為に巻き込まぬように注意しながら、ンクルスが距離を取ったと同時に一撃一閃。強烈なる撃が幾度も叩き込まれれば、それだけで終焉獣は瀕死へと。そこへ駄目押しのモカの速撃も届けば――抗う事さえ許されぬ。
 だが撃破したとて終わりではない。他に潜んでいる終焉獣がいないか、モカは空から俯瞰するが如き広き視点を持ちながら警戒。ゴリョウも次いで妙な温度――つまりは生物の気配がないかの確認も併用しようか。
 連中の好きには決してさせぬという強い意志を感じるが如しだ。
 そして安全であるのが確認出来れば――ゼロ・クールの下へと。
『あなたはまだ、動ける方です、か? ……すぐ、助けます、から』
『ガ、ギ……ガガ、ガ……』
 言の葉をマトモに紡ぐは恐らく無理だと感じたメイメイ。
 であれば念話の力を用いて語り掛けんとする。しかし……
「……ダメです、ね。恐らく、もうすぐ、亡くなって、しまいます……」
「くっ……私達の気配を感じて、最後に少しだけ息を吹き返したと言った所なのかな……? けれど」
「あぁ出来る限りの事をやってみよう」
 メイメイは首を振る。これは最後の灯に過ぎぬ、と。
 虫の息の状態であり意思疎通は困難だ――
 それでもンクルスは手を握り、無機質なる者と意志を交えんとする。
 微かなれど見えるモノがあればと……彼らの生き様を捉えるのだ。
 死したとしても己が覚えておく。君達が――確かに此処にいたことを。
 ……そして完全に機能停止してしまえば、せめてとばかりに修理をモカと共に行わんとしようか。それは生き返らせる為ではない。ただ綺麗に送ってやる為のモノ。弔いの為の儀式。
「私も彼らと同じ存在だ。生まれた世界が違うだけの、な。
 ……流石に、想う所が無い訳ではない。治療が届かぬまでもせめて、な」
「あぁ俺も賛成だぜ。死んだ後に放置されてるってのは、なんとも言えねぇしな。
 周囲の警戒は任せな――寄生生物共の餌場になんか絶対させねぇよ」
 モカは、内部を覗けば独特なる機械技術で構成されている事が窺えようか。
 念のため弄られているような跡が無いか解析も行っておく。
 そしてゴリョウはモカやンクルスが作業しやすい様に発光の力を齎しながら光源を確保。同時に保護なる結界も用いて、周囲地形に予測不可能な破壊が生じたりせぬように徹底しようか。
「……この先にはたしか大穴があるんだったか。後でそっちも様子見てみっか」
「そうだな――それから時間があれば管理人にも一言言っておきたい事がある」
「めぇ……こんな状態で『管理』とは……不思議な御方です……」
 この分では他の所も随分な惨状なのだろうと思考を一つ。
 ゴリョウは先にあるとされる廃棄に適した――逆を言えば終焉獣にとって獲物を探しやすい――大穴の所も窺わんと。然らば修理を終えたモカ、メイメイも立ち上がりてそちらの方へと意識を向けようか。
 そして歩みを進めれば――見えてきた。
「……なんて、酷い場所なんだ」
 思わず言葉を零したのはジェックだ。
 散乱しているゼロ・クール達のパーツで埋め尽くされている。
 腕だけがあり。足だけがあり。上半身だけ。下半身だけ。
 首なく。右腕なく。左足なく。胴なく。
 ――これが人間だったら死屍累々と表現しようか。
 それほどまでに酷い状況が広がっていた。
 ……あぁ片隅では動いている影もあろうか。終焉獣に乗っ取られた形か――?
「奇跡って、中毒のようだよね。一度使えたら、叶ってしまったら……次もと願ってしまう」
 然らばジェックは往こう。
 救うために。救うための力が、この手に宿っているなら……
 あぁ。奇跡とは、身の丈に余るものを願って、叶えてしまう。
 それに代償もあると分かっているのに。
 頼りすぎてはいけないって分かっているのに……
 身に余る願いだからこそ、頼らないわけにはいかないんだ。
「大丈夫。楽になるんだ」
「どうか、星の奇跡を……あの方、に。安らかなる眠りを、此処に……」
『――――』
 故に引き剥がそう。ここに眠るゼロ・クール達を侵食させはしまいと、決意を秘めて。
 メイメイも加われば他のゼロ・クールに取りつかんとしていた終焉獣も引き剥がせる。
 勿論、パンドラによる代償はそれぞれにあるが……あぁ。
 ……どうしてこうも感傷的になってしまったか。
 アタシ。前はこんなに情に脆くはなかった筈なのにね。
 それでも今はこの心と行動を信じよう。
 彼らの魂に安らぎを与えられることが――悪であるはずはないのだから。
「チッ。しかしいくら何でも多すぎだろ人形達がよ……
 下手に寄生されちゃ余計な手間が増えて仕方ねぇ……ん?」
「今そこで何か動きが――」
 と、その時だ。ジェックに次いでバクルドやンクルスも大穴へと至り。
 そして気付いた――人形達の残骸が微かに動いた、と。
 ……だれかいる? もしかすれば先の様に終焉獣だろうか。
 慎重に。様子を見ながら近付け、ば。
「よぉ、お前さん。ここで寝るのはあんまり感心せんな、体調悪く……いや始めから悪そうだな。どうした? 何があったか――喋れるか?」
「はぁ、はぁ……君達は、イレギュラーズ、か……? ッ、ンクルス!」
「あれ、君は夢で……いや、とにかく今は治療が優先だね!」
 残骸に紛れ込む様にして隠れていた兎――パンタデュラスを見つけるものだ。
 観察してみたがどうも終焉獣に寄生されている訳でも、死を待つだけのゼロ・クールでもないらしい。いやそもそも血の様子から見るにしてゼロ・クールではなく生物か……? とにかくとンクルスは即座に治癒の術を張り巡らせようか。
 同時にバクルドは周囲の警戒を強める。
 事情は分からないがパンタデュラスの傷は事故の類ではなさそうだ。
 ならば悪意をもった何者かが近くにいる事も考慮して。
「あら……ゼロ・クールや終焉獣以外にも紛れ込んでる人……いや兎、かしら? がいたのね」
「おいおいなんだ? 終焉獣に襲われたヤツって感じか――?
 なんか雰囲気がちょっと違う気がするが……」
「次々とイレギュラーズが……だ、だめだ、皆、ここから逃げるんだ……」
「めぇ……? それは、どういう事でしょうか? あ! あまり、動かれては!」
 そうしていれば何か仕込まれていないかと調査していたヴァイスや、終焉獣らを派手に弾き飛ばしていたシラスもまた辿り着こうか。傍にはファミリアーを渡し連絡を取っていたメイメイの姿も見える。
 然らばパンタデュラスは声も絶え絶えながらイレギュラーズ達に伝えんとしよう。
 迫りくる脅威を。いや……
「管理人……ここの管理人に気を付けるんだ」
「管理人……彼が何か?」
「奴は……危険だ……奴は――」
 ヴァイスらへ、パンタデュラスは告げる。管理人の危険性を。
 ……ここ暫くパンタデュラスは大きな傷を負いながらも調査を続けていた。
 終焉獣の動きを。そしてゼロ・クールを乗っ取るのであればゼロ・クール達が打ち捨てられる此処に至るだろうと踏んで、この一帯の調査を行っていた。傷を癒している暇もない程に、不安と焦燥が何故か湧き出てきていたから。
 その過程で掴んだのだ。
 このゼロ・グレイグヤードを作った者。
 管理人の、正体は――


 ――ゼロ・グレイグヤード各地で調査が行われている。
 同時に、この地の『管理人』たる者と言の葉を交わせる者もいようか。
 胡散臭い男だが『何か』知っていそうであるから。
「魔法使い先輩ちょりーす! ウェーイ!
 何々管理人って? こんな辺鄙な場所に住んでんの?
 てかこの墓場に合わないキャラ! ウケる!」
「だろう? 僕もそう思ってるんだ……♪ アンマッチすぎてウケるっしょ♪」
 だから『音呂木の巫女見習い』茶屋ヶ坂 戦神 秋奈(p3p006862)は彼に会う。
 初対面であるから挨拶を欠かさずに。
 しかし魔法使いもノリがいいのか秋奈とハイタッチ。いぇ~い♪ とばかりに陽気だ。
 ――より益々、こんな陰鬱とした地に似合わぬ人物である気配を感じさせる。
 というよりも墓場に対する敬意などが欠片もないような。しかし。
(うー……っしゃあ! ちまちま考えてても仕方ないよな、秋奈ちゃんは!)
 推察に力を裂いて言の葉が少なくなるのは己らしくなし、と。
 初エンカなんざ関係ないやい。会った時から全存在はズッ友だぜぃ!!
 故に言葉を紡ぎ続ける。とりま踊っとく? 何知ってる? サンボ?
「はじめまして、管理人のお兄さん。ねぇねぇ管理人ちゃんは、ずっと此処にいるのかしら? 此処ってすごくゴミゴミしてそうな場所だけど具合が悪くなったりしないのかしら? 大丈夫? ちゃんと自己管理出来てる?」
「はは。こんな所にずっといる訳ないじゃないか♪
 だって凄くゴミゴミジメジメしてるしさ……お肌にも悪そうだ♪
 まぁ僕はいつだって元気だよ。元気だけが取り柄でねぇ……♪」
 だが彼に言を投げかけるは秋奈だけではない。『狙われた想い』メリーノ・アリテンシア(p3p010217)も管理人たる彼に関わらんと赴こうか。
 同時に、彼女は温度を感知する術をもってして彼を探らんとする――
 もしかすれば人間ではなかったりゼロ・クールであったりすれば……通常の人間とは異なる結果が見えるのでは、と。しかし観察した限り彼は『人間』だ。少なくとも一般的な人間に近しい体温が其処に在る。偽装しているような跡も見られない。
(あれぇ? なんとなく、人間とは違うような気もしたんだけれどもねぇ……?)
 メリーノは首を傾げるものだ。だが、まぁいい。
 知りたいのはソレだけではないのだから。
「ねねね! あなた『魔法使い』なのよねぇ? と言う事は動かないモノを動かせるってことでしょう? それともなにか凄い魔法を使えたりするのかしらぁ? それはわたしたちの言う『奇跡』とは違うものなのよねぇ?」
「魔法使い? あぁ本来の意味はゼロ・クールを作る職人の事を指すからねぇ。必ずしも皆が魔法を使えるとは限らないんだよ――まぁ僕は魔法っぽいのを使う事も出来るけれど♪ 君達の使う奇跡とやらとはちょっと違うかなぁ?」
「わぁ! ならぜひ、その魔法を使う瞬間をみてみたいわぁ!」
「そーそー! マジでパないド派手なヤツ! めっちゃ期待しちゃーう!」
「ダメだよぉ。手品師が簡単にトリックを披露したりしないように、僕にとっての秘密だからねぇ……♪ もしかしたらその内に見せる機会もあるかもしれないから、その時を楽しみにしておきな♪」
「そう言わず、ほらぁ。おまんじゅうも持ってきたのよ? 食べる?」
「ほほう、これはいいものだねぇ……♪ ならあんみつ食べるかい?」
 とにかく管理人を探る。嘘? 化かし合い? あぁ望むところだと。
 彼の心の一片でも覗ければ良い。抉じ開ける事が出来れば万々歳だと――
 秋奈も続けざまには管理人の魔法を知るべく囃し立てようか。
 尤も、管理人は笑みに誤魔化しているものの、明かす気は頑なにないようだが……
 そして。

「こんにちは。先日振りですね――」

 そこへ言の葉を紡いだのは『愛を知った者よ』グリーフ・ロス(p3p008615)だ。
 グリーフはファミリアーの術にて操りし鳥を各地へ飛ばし、準備を整えてから管理人へと語り掛けようか。外も中もどちらの様子を共有できるようにと……あぁ外だけではなく『内』側も安全とは限らぬ――そんな可能性が。
(私の中で演算されてしまうのです)
 それでも警戒している事をなるべく悟られないようにグリーフは平静を務めよう。
 敵意を向けられる事も考慮せねばならぬと、感情を探知する術も巡らせながら。
 グリーフは――一言一言、慎重に言葉を選ばんとする。
「先日『彼らを修復する方法。或いは――救う方法が本当にないかどうか』とお尋ねしましたが。その後、寄生されたゼロ・クールから寄生獣を引きはがすことに成功しましたので、ご報告させていただきます」
「へぇ。それは僥倖だね……♪ 良かったんじゃないか?
 君達は随分と――ゼロ・クールに感情を抱いていたようだから♪」
「ええ。これなら貴方が生み出したゼロ・クールも救う事が出来そうですね。
 いますよね? 『魔法使い』であるというのなら」
「さて――どうだったかなぁ。自分で言うのもなんだけど、僕は飽きっぽい所があってねぇ……♪ 物事にはこだわらないんだ♪ だから完成させた玩具があったかどうか……」
「……玩具」
 管理人の表情の深奥に潜むものは……未だ感じられぬ。
 目を凝らせ。ほんの欠片の感情の動きも見逃すな――
 彼の様相を窺い続けるのだ。
 故に疑問の言葉を放ちて彼に暇を与えまい。だからこそ――
「管理人さんよ、その口ぶりだとアンタ、自分のゼロ・クールは所有してないのかい?」
 『Star[K]night』ファニー(p3p010255)も間髪入れず言の葉を交えるものだ。
「リプリルが言ってたがよ、アンタがリプリルをメンテナンスしたんだろ? メンテナンスが出来る、ということはゼロ・クールの構造を理解しているということだ。なら創造することだって決して無理な事じゃねぇだろ? てかそもそも――ここの人間はゼロ・クールを作りたいがために魔法使いを目指すのだと思っていたんだが……アンタは違うのか?」
「うーん。どうでもいいって所かな」
「どうでもいい?」
「僕って昔から器用なんだ♪ だからやろうと思えば玩具を作る事も出来ると思う♪
 でも途中でやる気を失っちゃうんだよねぇ……♪
 作った所でいつか滅んでしまうモノを新しく作る事に価値を見出せない」
 ファニーもまた、管理人の一挙手一投足を観察しようか。
 返答が真実かはさておくとしても彼が如何なる人物であるのか……
 判断材料にはなるだろうと。
 虚偽であるならば虚偽を弄する人物として。
 真実を織り交ぜるならばどこに声の抑揚が置かれているのかを観察する為にも。
「……そういやリプリル。おまえは戦闘用じゃないだろ? 劣化するにもまだ早い。なのにどうしてメンテナンスしてもらう必要があったんだ? 相手が魔法使いだからといって、自分のマスターでもない相手に任せて良かったのか?
 変に改造でもされたらどうするつもりだったんだよ?」
「えっ? うーん? え、なんでだろ。魔法使いさん、なんだったっけ?」
「イヤだなぁ。なんか眠る事が多くて調子が悪いって話だったじゃないか♪
 稀にあるんだよ――そういう不具合が、ね」
「あ、そうそう、そういうのだったよ確か!」
「……そうか」
 と。それはそうと近くで墓場を綺麗にせんとしていたリプリルにファニーは声を。
 ……何か怪しい気配がある。注意しておくべきかと思考し、て。
「――では、もう一つ。
 貴方は、ゼロ・クールを最初にうみだした、はじまりの『魔法使い』をご存知でしょうか?」
 再びにグリーフが質問を一つ。
 物事には必ず始まりが在る。このプーレルジールにおいて、ゼロ・クールを生み出す者達……はじまりの魔法使いなる存在がいてもおかしくはない筈だ、と。そもそも魔法使いたちはどこでゼロ・クール達を生み出す魔法を手に入れた――?
 何を目的にゼロ・クール達は生み出されたのか。
 何か。深淵なる目的があったのではないか?
 例えば――最初から『依り代』にするのが目的であったりと――
「――『魔法使い』の貴方は、どう考えますか?」
「――うーんそうだねぇ。はじまりの魔法使い、なんてのがこの世にいる……もしくはいたならそれはきっと、とっても優しい人物だったんじゃないかなぁ」
「優しい?」
「ゼロ・クール達は人の手助けになる事を目的に生み出されたんだ」
 では。はじまりの魔法使いは、他人を慮れる者であったのかもしれないと。
 管理人は紡ぐものだ。
 自分だけが独占しなかった。世に伝え、多くの助けとなった。
 それはきっと人に優しい者だったのだろうと――
 随分。口端に笑みを浮かべながら、管理人は紡ぐものだ。
「……貴方がここの『管理人』なんだってね。私はハリエット。よろしく。
 早速で悪いんだけれど――聞きたい事があるんだ。
 疑問なんだけれど、アナタは何を管理しているの?」
「然り。まず最初にシンプルな質問なのだが、どうやら貴様はまったく管理していないように見える。あちらを見れば分かるだろう――数多のゼロ・クールがいると。そのまま野ざらしにしておいて大丈夫だろうか?」
 次いで『暖かな記憶』ハリエット(p3p009025)や『異世界転移魔王』ルーチェ=B=アッロガーンス(p3p008156)も抱きし疑問を管理人へと。ゼロ・クール達の凄惨たる状況はとにかく口にせざるを得なかった……
「お茶でもご一緒したら、少しは話してくれる?」
「そうだね。うん、いいよぉ♪ 紅茶でも飲みながらゆっくり話そうじゃないか……♪
 それでなんだっけ、ええと。あぁあの玩具たちか。野ざらしでも問題なかったからそうしてるんだよ♪ 終焉獣とやらの存在はここ最近聞いてるけれど、それが来るまで適当に捨てておいて何も問題なかったからねぇ……♪」
 然らば管理人はハリエット達に紅茶を差し出すものだ。
 カップより揺蕩う湯気が暖かな気配を醸し出している。
 ――その下は、墓石をテーブルにするという罰当たりな事をしているが。
 されどハリエットは気にすまい。なぜなら……
(このぐらい、前の世界じゃ当たり前だった)
 かつての世では人形所か『さっきまで生きていた人間』の傍で飲食することもあった。
 慣れているのだ、こんな状況。死体が転がっていたら金になるものや食料がないかと漁って、食べ物があれば腐っていようが迷わず口にしていたんだ――
 混沌の世界に来てからは、そんな事をしなくてよくなったけれど。
 ……いやそんな事をしなくていいと教えてくれた人がいたから、だろうか。
 なんにせよ久しい感覚でこそあるが。全然、平気だ。
 注がれた紅茶を口にしよう――そして。
「でもそれは……今は問題あるって事だよね。終焉獣が来たら大変だよ?」
「そうだぜ。終焉獣の事を理解してるなら、穴を掘って埋めるなり焼いて灰にするなりしてやったほうがいいとオレは思うんだが? 終焉獣が来るのも時間の問題だろ――管理人さんよ。アンタの見解は?」
「うーーーーん。めんどくさくない、ソレ?」
「はっ?」
 ハリエットとファニーが寄生終焉獣の脅威に付いて口にしようか。
 此処は餌場になってしまうからこそ『管理人』として対応すべきでないかと。
 ――が。彼より零れたのは『めんどくさい』の一言のみ。
「此処にあるのは何十体レベルじゃないんだよねぇ。今から急いで片付けるなんて無理な事さ♪ 壊れた玩具を拾う者がいるなら拾わせてあげればいい♪ 大丈夫。まさか全部乗っ取られる事なんてないだろうさ。ハハハ♪」
「随分、楽観視するものだな……いやそもそも終焉獣とやらが至る原因……貴様はなにかしっているであろうか?」
「まさかぁ! 僕が一体あんな怖い化け物達の何を知ってるって!?」
 ルーチェの問いに大仰にポーズをとる管理人。
 ――あぁ少なくとも彼は管理人を名乗りながらも、管理を放棄してるのは明白だ。
 ハリエットが観察を続けるが深き闇底を覗けなくても、それだけは分かる。
(まだ何か隠してる)
 同時。腹の探り合いは不得手であるが故――もっと斬り込むべきか、とハリエットは想おうか。危険に踏み込めば、きっとまた心配を掛けてしまうかもしれないけれど……
(自分から掴みにいかなくちゃ)
 ――情報は得られないんだ。
 故にタイミングを見計らわんとする。のらりくらりと躱されぬ機を――と。
「えー管理人ちゃんマジでマジマジ? それ管理放棄ってやつよ、ダメじゃね?
 せめて寄生対策とかなんか案ないー? 私ちゃん、気になるー! フゥ~!」
「秋奈ちゃんは元気で可愛いなぁ。寄生終焉獣はとにかく寄生されるまでが勝負なんじゃないかなぁ……♪ 寄生されたらヤバヤバのヤバ寄りだからねぇ♪ ま、でもさっきグリーフが言ってたよね。『引き剥がす事が出来た』って」
「あ、それってコレコレのコレの事? 欲しい? 欲しいなあげちゃう!!」
「――救済する方法の核さ、って言ったらアンタは信じるかい?」 
 直後。秋奈とファニーが見せたのは――エイドスだ。
 死せる星のエイドス。この地で奇跡を紡ぐためのモノ……
 管理人はまじまじと見据えようか。
 珍しく、大仰にして芝居が掛かった声も出さずに。
「――なるほどねぇ。特別な力を感じ得る……これは捨てた方がいいよ」
「えぇ? 管理人ちゃん、それはどうしてぇ?
 これステラちゃんから貰った大事なものなのよぉ」
「安易な奇跡は麻薬さ。或いは人を堕落させるモノとでも言おうか。
 一度成せたのだから、次も成せると思い込んでしまう……♪
 そして人々はいつか己の力で事を成すを諦め――奇跡にだけ縋るだろう。如何なる危機も『奇跡を使えばなんとかなる』という無根拠な安心が根底に生まれてしまうんだ♪ だから、ソレを使うのは君達の為にならないよ。捨てるのをお勧めするね……♪ なんなら僕が責任をもって捨てておいてあげようか……♪」
「ふふ! 管理人ちゃんはエイドスが欲しいのかしら!
 ――ステラちゃんの事、もしかして苦手だったりする?」
 であれば。メリーノはのらりくらりと言及を躱し続ける管理人の変化の一端を――捉えようか。
 今までとは違う。明らかにエイドスだけは『邪魔』だとばかりの感情が見え隠れする。
 だから咄嗟にステラの名前も出そうか。ふわふわで、真っすぐで、かわいい子。
 ――ああいうタイプ苦手そうよね、なんて紡ぎながら。
「さぁ……? ステラ? 誰それ美味しいのかい? なんて冗談はともかくとしてもだ♪ とにかく終焉獣だのなんだのは、僕はめんどいから何もする気はない♪ まぁ君達は自由に動き回って何をしてもいいよ。今だって何人かグレイグヤードを巡ってる人達がいるんだろう? じゃそう言う事で――」
「――お待ちください。ナハッター卿」
 刹那。そろそろいいかな、とばかりに切り上げようとした管理人を。
 呼び止めたのは『紅炎の勇者』リースリット・エウリア・ファーレル(p3p001984)だ。
 ――彼女はずっと引っ掛かっていた名前があった。
 ナハッター……それにミスウォル。その名を口にした人物が以前にいたのを記憶している。
 偶然の一致? 偶々の定め? いいえあり得ない。間違いない。
「貴方が『そう』なのでしょう?」
「何の話かな、お嬢さん♪」
「ひとまずはナハッター卿とお呼びしますが――本物のナハッター卿は、既に殺したのですか?」
「おぉう綺麗な顔から物騒な話をしてくるものだねぇ♪
 一体誰の何の事なんだい? 同姓同名の人物かな? 僕は何もしらないよ!」
「アークの使徒としてはそう答えるより他ないでしょうね。
 ですのでこちらも勝手気ままに喋らせて頂きましょうか。
 私の知る、ある女性は『神の定めた法則を壊せばいい』などと言う事を言っていました」
「……うん。私も知ってる。少し前、幻想の住宅街が肉腫に襲われた事件があってね。
 その事件の首謀者が、ある名前を出したんだ。ナハッターって。
 ――貴方のことだよね」
「酷いなぁ。最初から犯人扱いだなんて……悲しくて泣いちゃう……♪」
 リースリットとハリエットはある種の確信をもって管理人に言の葉を紡ぐものだ。
 彼女が言うはこれまでの情報蓄積による推察。目の前にいる男が、かつてローレットに属する情報屋の一人を襲った者達と繋がっていると――確信している。『神の定めた法則』どうやって壊すつもりかは、知らないが。
「『照応』という概念があります」
 リーリスットは管理人の目をまっすぐに捉えながら、紡ごう。魔術においては別々の二つのものを照応させる事で、一方への干渉を他方へのものとして行い、他方へ干渉した場合と同じ結果を得る事が出来る。そんな概念の事だ……
 貴方はソレを狙っているのではないかと。
 混沌世界とプーレルジールは――概念的な意味でだが――かなり距離の近い世界である。
 ならば並行する可能性世界同士ならば『照応』の概念を適用する事が出来るのではないか。
 プーレルジールを滅ぼし。その結果を混沌世界に反映される。
 或いは混沌世界で何かを成す為にプーレルジールでまず先に実験している。
 ――未検証だ。其処に絶対の証拠がある訳ではない。
 されどROOと言った事例を踏まえた過去の出来事を考慮に加え。
 更に照応の件は、知り合いの魔術師にも知恵を貰いて一助とした。
 その結論が、これだ。
「貴方は……混沌を滅ぼす前に、先ずはプーレルジールを使って試そうというのでは?」
「想像力豊かだねぇ♪」
「想像力豊か、で終わればそれはそれでも構いませんが」
 如何ですか? と――彼女は再度真正面から見据えようか。
 一拍。二拍。
 またも言逃れをされるだろうか。いやそうだとしても手がかりは掴む。
 そう思考して――いれば。

「――ま、いっか! めんどくさいやもう!
 どうせこの世界だって『そう永くはない』んだし、もったいぶる事もないよね!
 僕も正直種明かししたくて仕方ないんだ♪」

 管理人たる者は突然に、手を叩いて称えるものだ。
 そこまで推察出来ているのなら今無理に隠す事はないと。
 そして何より『よく辿り着いてくれたね』と誉めんばかりに――そして。
「まぁまず結論から言うと僕はアークの使徒で間違いない。ぶっちゃけ終焉獣連れてきたのは僕だ♪ あー現地にいたのもいるから、全部じゃないかな? 寄生体は僕かも」
「うひょ~~! 管理人ちゃん、ソレめっちゃぶっちゃけたネ? いいのぶっちゃけて?」
「秋奈ちゃんエイドスくれたし、かまちょしてくれたし、カワイイからイイヨォ……♪」
「――貴方が寄生終焉獣を黒幕と言う事ですか?」
 秋奈、そしてグリーフの警戒度が上がる――
 あまりに陽気な声から、しかし内容は全く明るいモノではない。
 だが管理人は意にも介さず続けようか。
「そう考えてもらってもイイ♪ あ、とにかく照応ってのは良い線行ってるね……♪ 僕も正直最初はソレを目指してたんだが、色々調べた結果で途中から少し変えたんだよね――ねぇ知ってるかい? 混沌世界ってのは他の世界を飲み喰らう程に強い世界なんだ。
 全ての最上位。だからこそ数多の旅人を引き寄せる事すら可能」
「……それで?」
「ああ。だからこの世界はいつか混沌世界に呑み込まれる可能性がある。
 ――では。呑み込まれるこの世界に、滅びのアークが蔓延していたらどうなると思う?」
 食べ物の中に毒が仕込まれていたら?
 それは地上で魔種が行動するのとは訳が違う。
 滅びのアークが混沌世界の内部から犯していく。世界そのものへの攻撃を成す。

 ――桁違いに滅びのアークが、混沌世界に蔓延る可能性があるだろう。

 それによる影響は悪い意味で未知数だ。
 概念的に内側から攻撃を仕掛けられるに等しい。
 管理人を名乗るこの男は、ずっと長い事その為に準備していたのだ。
 滅びのアークの使徒として。
「わぁわぁ凄いわねぇ。嘘じゃなさそうねぇ!
 でもそんな話を聞いたら逃せないんじゃない? 大丈夫、管理人ちゃん?」
「メリーノは優しいねぇ。まぁ心配しなくてイイヨォ……♪
 君達の事は、今日は見逃してあげるから♪」
 然らば、そんな事実を露呈されればこのままでは済まされぬ。
 捕らえるにせよ倒すにせよイレギュラーズが見逃す筈がない、と――
 しかし、管理人は余裕顔だ。
 何か確信を持って『君達が僕に勝てるはずがない♪』と告げている。
 ――同時。陰鬱としているゼロ・グレイグヤードへ近付く気配があった。
 これは……大量の終焉獣、だろうか……!?

「パラサイト共が押し寄せてきやがる! チッ、好きにはさせねぇぞ!」
 どうせならこの豚狙ってみろやパラサイト共!
 オラどうした、ビビってんのか!?」
「めぇ……! 此処は、静かに守られているべき、場所、です。
 好きには、させません、よ。来るのなら、迎え撃たせて、もらいます……!」

 その気配をいち早く察し、対応に動き出したのはゴリョウやメイメイだ。
 ゴリョウは保護したパンタデュラスや、廃棄ゼロ・クールを護るべく立ち塞がり。
 メイメイも邪悪を祓う光をもってして終焉獣を撃ち祓う。
「こっから先は通さん、踵を返してくれるなら後ろから撃ち抜くだけにとどめてやる。
 だがどうしても押し通るってんなら――覚悟してもらおうか。命をよ!」
「ゼロ・クール達が大勢寝てるんだ。墓場では静かにしてもらうぜ……!」
 更にバクルドやシラスも相対する。バクルドが次々と銃撃を重ね、シラスは卓越した加速の動きから前方より至る終焉獣を片っ端から薙ぎ払っていこうか。研ぎ澄ました体術から放たれる一撃が敵を穿つ――
「わぁ凄い凄い。流石あちらこちらで戦い抜いてきたイレギュラーズだねぇ……♪」
「テメェが管理人とやらか。陰気臭い場所で胡散臭いやつがいるのはきな臭い以外の何物でもねえし――鼻が捻子曲がりそうだと思ってたところだ。お似合いの匂いだなぁ」
「はははそんなに褒めなくてもいいじゃないか♪」
 直後。バクルドは管理人の姿を目に捉えようか。
 吐き捨てるように言葉を叩き込むが――管理人自体はどこ吹く風。
 奴にも銃弾一発撃ちこんでやろうかと思った、が。
 ゼロ・グレイグヤードに生じていた異変は外側だけに留まらなかった。
「うぅ、痛い、痛いよ、頭が痛いよ! 割れる、割れちゃう! あ、あ、あ――」
「リプリル!!」
 ファニーが駆けつけるは己が知古でもあるゼロ・クール……リプリルだ。
 悶え苦しんでいる。なんだ、この症状は。
 まさかメンテナンスと称して――何か仕込まれていたのか?
「勿論♪ ゼロ・クールは色々便利だからね。
 ちょっと手を加えておいた個体もあちこちいるんだ。
 こういう時に、いつでも手駒に出来るようにね♪」
「な、なんてことを……!」
「貴方は仕込みを加え続けているようですね……
 まさか――イルドゼキア。彼にも何か、干渉したのですか?
 旅人であったと伝えられるイルドゼギアが存在する理由は……」
「えぇ~どうだったかなぁ? なんでもかんでも僕の所為にするのは酷いと思うよ。そういうのって偏見って言うんだ。知ってるぅ? ……あーでもまぁホントに何もしなかったかって言われると、うん、まぁ、うん、まぁ……うん!」
 ハリエットは管理人の、とぼけた様子ながらゼロ・クールを苦しめる様子に眉を顰めようか。どうすべきか悩ましいが、しかし彼を逃す理由は無いとばかりに動かんとし――
 しかし。その刹那彼女は己に対する『視線』を感じえた。
 今、動けば何か危険が至るような。
 首元で揺れる蒼い石が目に映れば――その歩みを留める。
 そしてリースリットは周囲の終焉獣の気配を警戒しながら、それでもと管理人へ言を。
 相変わらずふざけた返答しかほぼ行わない男だ。
 ……或いは彼にとっては、本当に『その程度』なのか?
 何も興味ないのか。神のシステムを破壊する事以外。
 イルドゼキアも、ナハッターという名も、他の全ての事象も全て全て――
(なぜ、そこまで)
 しかし。
 事ここに至っても管理人自体がイレギュラーズを傷付ける様子は一切見られない。
 何故なのか? そもそも滅びのアークの使徒だというのなら何故。
 イレギュラーズとの語り合いに――興じた?
 この語り合いによって彼は何を得した?
「ねぇ管理人ちゃん。最後に聞かせて――『どうして』?」
「簡単だよ♪ 君達は僕の『後輩』達だからさ♪」
「――後輩?」
「あぁ。だって、僕が『世界で初めてのウォーカー』だからね♪」
 メリーノから貰ったおまんじゅうを喰らいながら、管理人は応えようか。

「僕の名前はナイトハルト。ナイトハルト・セフィロト。
 すぐまた会おう――愛しい僕の後輩達♪」

 滅びのアークの使徒が一人。この世のシステムを破壊せんとする者。
 その者は――『始原の旅人』
 終焉獣らの襲来による影響の最中に、彼は瞬時に姿を消そうか。
 何処へ消えたか。それは、終焉獣らが至っていた方角こそが応えなのだろう。

「サハイェル城……!」

 ジェックは見据える。きっとあそこに、四天王や魔王もいるのだろうと――思考しながら。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 お待たせしました。依頼、お疲れさまでしたイレギュラーズ。
 ――『管理人』は行動を開始します。
 また近い内に彼は顔を見せるでしょう。

 その時は明確な敵として。

 ありがとうございました。

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