シナリオ詳細
<再現性かちかち山2023>仁義なきうさたぬバトル! たぬきちは世界を救えるか!?
オープニング
●むかしむかしワンスアポンアタイム
ここは、練達のどこかに存在する、再現性かちかち山。
再現性かちかち山は秋の味覚の宝庫で、そこではたぬき獣人の旅人(ウォーカー)やたぬきっぽい獣種たちがすむ、練達でも特殊な土地じゃった。
練達で販売される秋の味覚の何パーセントかも、ここから供給されておるほどじゃ。なかなかの高級食材として販売されておるんじゃよ。左うちわじゃのぉ。
さて、そんな再現性かちかち山じゃが、前述したとおり、たぬき獣人たちがすんでおった。以下、すべてたぬきと呼称するが、とにかくたぬきたちが、今日も秋の味覚を収穫しておったのじゃ。
「たぬきちどん、たぬきちどん、今日もたくさん栗が取れたのう」
と、隣のたぬさくどんがいうので、たぬきちどんは「そうじゃなぁ」とうなづいたのじゃ。たぬきちどんは栗畑の主で、栗をと手生活しておった。嫌いなものはカミキリムシじゃ。こいつらは、生きた栗の木に食らいついて産卵し、木をだめにしてしまうのじゃ。それからクリタマバチ。こいつらは栗の木に産卵して、栗の木をだめにしてしまうのじゃ。もうマジ何回こいつらのせいで再現性洗井落雲の家の裏の栗の木ダメにされたり対策におわれたと思ってんだ、ほんと勘弁してくれ、こいつらは見つけ次第ぶっ殺してやる! と洗井落雲も言っておった。
そんなもんはどうでもよいのじゃが、とにかくたぬきちどんは、今日も栗を拾っては、背中の籠にぶち込んでおった。これを加工すれば、おいしいスイーツができたりするのじゃ。わしもモンブランがたべたいものじゃよ。
と、背中の方から、かちかち、かちかち、という音が聞こえてきたのじゃ。カミキリムシか? ぶっ殺してやる! と思ったのじゃが、しかしあたりにカミキリムシの姿はない。
「はて、なんじゃろなぁ、かちかち、とはのう」
そういったたぬきちどんの背中の方から、なんかASMRっぽいボイスでこう聞こえてきたのじゃ。
「ここはかちかちやまだから、かちかちするんだよ~」
と。
「そうかそうか、ここはかちかちやまだから、カチカチ音がするんじゃなぁ」
なるほどな、と栗を拾って背中の籠に放り投げておると、今度は背中から、ぼうぼう、ぼうぼうと聞こえてくるのじゃ。
「はて、なんじゃろうなぁ、ぼうぼうとはってアッツ!! 爆ぜた栗が当たってアッツ!!!
燃えてる! これ絶対もえてるよ!!! 背中が!!!! 背中の籠が!!!! 燃えてる!!!!」
「ははは、だまされおったな、たぬきどん」
と、ASMRみたいな声で笑うのは、
「ああっ! 最近近くに引っ越してきたウサギ獣人の皆さん……!」
と、そこには、ケモウサギとか、エッチなウサ耳とか、バニーガールとか、まぁ、とにかく君の性癖を如実に表したウサギ獣人さんがおったのじゃ。
「私たちウサギ獣人は、たぬき獣人とは犬猿の仲……遥か古の時代から、たぬき獣人をかちかちせねばという使命に縛られた存在……!」
「愚かな……憎しみの連鎖を令和の世にまで持続させて、何になるのだ……!」
背中の栗が爆発してくそ痛い。それはさておき、憎しみや怒りは、ほどほどにしておいた方がいいよ、うん。
「これは運命なのよ、たぬきちくん……運命……デスティニー……」
悲し気にそういうと、ウサギ獣人たちはかちかち山のはずれへ撤退した。たぬきの仲間たちが「たぬきちどん! 生きているか!」とやってくる。
「やられた! 俺達も、マツタケをかちかちされちまった……!」
「カキもだ! カチカチされちまったんだ!」
「隠語みたいにカチカチっていうのやめぇや」
たぬきちどんが頭を抱えた。
「なんてことじゃ……このままでは、練達に納品する秋の味覚が賄えん……」
「落ち着きなさい、たぬきども」
と、高らかに声が響いた。そこには、酒瓶を持った狸の修道女がおったのじゃ。
「修道女様……!」
修道女(ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ (p3p001837))が、厳かにマツタケを肴に酒のちびりとやりながら言うのです。
「ローレットへ行きなさい。ローレットには、困っているたぬきを助けてくれる白毛のたぬきの神様がいるのですわ」
ちびり、と日本酒を飲んだ。辛口できりっとした感覚が、口の中を駆け抜ける。
「ハーッ! ……あ、そのカチカチされたマツタケ、もったいないのでいただけませんこと?」
「はい、修道女様!」
たぬきたちがカチカチされた秋の味覚を奉納するのを眺めながら、たぬきちは力強くうなづきました。
「ローレット……!」
そうしてたぬき地の旅が始まります。再現性かちかち山を階層移動エレベータに乗って移動し、練達の町中にたどり着いたたぬきちは、案内ロボの案内に従ってローレットの支部にたどり着きました。およそ1時間ほどです。
「こ、ここがローレット……!?」
と、声をあげるのへ、そこにいたのは銀髪の女性でした。
「あら、あなたローレットは初めて? 力抜いた方がいいわよ」
そう爽やかに笑う、風(ゼファー (p3p007625))の様な女性に、たぬきちは事情を話します。
「というわけで、たぬきの神様を探しているのです」
「それには心当たりがあるわ」
そう言って、女性はにっこりと笑うのでした――。
「というわけで、ここまで来ました」
と、目の前で狸がなんか言ったので、仙狸厄狩 汰磨羈 (p3p002831)は絶望的な顔をした。
「どうして?」
「しかも、たぬきちさんなんだって」
マール・ディーネーがそういう。
「たまきちさんとなまえ一緒だね?」
「かすりもしてないが???????」
汰磨羈がそういうのへ、メーア・ディーネーがなだめにかかる。
「ご、ごめんなさい……! ほら、おねえちゃん、たまきちさんにあやまろ?」
「メーア???????」
汰磨羈ががるるって唸った。
さて、状況を解説すれば、どうも、再現性かちかち山と呼ばれるエリアに、たぬき一族に攻撃的なえっちなウサギ一族が現れたそうなのである。
ウサギ一族は、カチカチ山の制圧を目的に、たぬきたちに攻撃を仕掛けてきたのだそうだ。なんでも、たぬきとウサギはいがみ合っており、特に今期のウサギはたぬきたちにすごい攻撃的なのだという。
ちなみにマールとメーアは、ASMRボイス収録の帰りに何となくいるのである。
「そちらのウサギさんは、話の通じる方たちで助かります。かちかちしないし」
「そうだね~。あ、でもおタバコお吸いになれる、竜宮のお客さんのライターはかちってしたことあるかも」
「なぜか喜ばれる方いらっしゃいますよね……わたし、タバコはあまり得意じゃないんですけど、お客さんが喜んでるのは、うれしいですよね」
にこにこと笑うマールとメーア。まぁそれはさておき、汰磨羈がうんざりした様子で言う。
「ああ、なんか読めたぞ。
このまま、私はかちかち山で狸の神様扱いされる。
マールとメーアは、なんか楽しそうだからついてくる。
そこでえっちなウサギたちと、なんとなくエッチな感じになりながらていやーして、秋の味覚を食べて帰る。
そういう流れだな?」
「すごいですね、さすがたぬき神。エスパーですか?」
「PPPもこれだけ長くやっているとな!?」
汰磨羈ががーって吠える。
「まぁ、とにかく行ってみようよ! あたし、モンブラン食べたい~!」
マールは能天気にそういうので、汰磨羈は肩を落とした。
何はともあれ――お仕事である!
- <再現性かちかち山2023>仁義なきうさたぬバトル! たぬきちは世界を救えるか!?完了
- GM名洗井落雲
- 種別リクエスト
- 難易度-
- 冒険終了日時2023年10月28日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談8日
- 参加費150RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
サポートNPC一覧(2人)
リプレイ
●魔境
現在、現在。あるところに、『願いの星』ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)と『ヴァイス☆ドラッヘ』レイリー=シュタイン(p3p007270)という二人の酔っぱらいがおりました。
ある日、ヴァレーリヤは酒盛りに。
レイリーは酒盛りに。
やってきました――。
「元々かちかち山に居た方のたぬきちどん、約束通り貴方達の救世主を連れてきてあげたので、お布施を下さいまし。貴方達から集めたお金で、世の中をもっと平和でもっと豊かにして差し上げますわ。そうすれば貴方達も、世界を救う救世主の仲間入りでしてよ。はいまいどありー! もう返しませんわよクーリングオフなどという邪悪な制度はありませんわ流れるように自販機にコインをシュウウウウウット! そしてとりあえずビールで! エキサイティング! さぁ、レイリー、あなたのお酒ですわーーっ!!」
と、ヴァレーリヤが酒をぐびぐびと飲み干す隣で、うけとったビールをぐびぐび飲み干すばいす・どらっへ☆。
「ありがとうね、ヴァレーリヤ殿!!!
みてみてヴァレーリヤ殿! ウサギさんが!!!! たくさん!!!!
太腿とかお尻とか! 太腿とかお尻とか!!! 太腿とかお尻とかが!!!! 素敵な!!! ウサギさんが!!!
えっ、お酌してれるの!? この飲み会のマナーだとか男女平等がどうのこうのとうるさいご時世に!? なんて素敵なウサギさんなのかしらお酒もぐびーっ! わぁい、ありがとうウサギさん!! こんな理想郷あったなんて。カンパーイ!」
『ワーッハッハッハッハ!!』
と、冒頭600文字くらいで酔っ払いが二人出来上がったわけだが、そんな二人を胡乱な目で見つめるのは、いつもの被害者たち――。
つまり、
『猛き者の意志』ゼファー(p3p007625)
『Pantera Nera』モカ・ビアンキーニ(p3p007999)
『歪角ノ夜叉』八重 慧(p3p008813)
『華奢なる原石』フローラ・フローライト(p3p009875)
『黒鎖の傭兵』マカライト・ヴェンデッタ・カロメロス(p3p002007)
『陰陽式』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
である――!
「洗井落雲に、こうやって冒頭に雑に名前とIDをさらされるのにも慣れてきたな」
死んだ魚みたいな目でマカライトが言うのへ、レイリー(よっぱらい)がのんのん、と指を振った。
「そんな焼かれたアユみたいな顔しないで! 楽しみましょ!」
「いや、楽しむなよ」
汰磨羈がジト目を返した。
「御主ら、我々が何しに来たと思ってるにゃん(さりげない猫アピール)?」
「酒盛りでは?」
ヴァレーリヤがまじめな顔をして言うので、汰磨羈は憤懣やるかたないにゃん、という顔をした。
「違うよ? 言ってみろ、マール!」
と、汰磨羈が言ったので、いつものマール・ディーネーちゃんは、うーん、と小首をかしげて、
「汰磨羈さんをかちかちだっけ?」
といったものだから、メーア・ディーネーちゃんはすかさず突っ込んだ。
「ち、ちがうよ、おねえちゃん。秋の味覚とタヌキさんたちを守るんだよ!
その、いつもの変な奴だけど……!」
「……い、いつものと受け入れたらダメっすよ!」
と、慧が慌ててそう言ってから、
「そう、受け入れてはダメ……俺たちはふつう……ちゃんとまとも……!」
メーアを抱きかかえながら、超えてはいけないラインから引き離そうとするが、この姉妹は割ともう超えてしまっている気がする。
「まだまともでいられるつもりなのですわね。お酒でも飲みます?」
悪魔(ヴァレーリヤ)がビールを差し出すのを、慧が丁重にかぶりを振ってお断りした。
「っていうか」
と、レイリーが、たんっ、とビールの入ったコップを地面においてから、一息に言う。
「私の性癖である汰磨羈殿!!!
例えば今年の水着!
綺麗で神秘的であり見つめただけでドキマギしそうな白い髪!
黒ビキニから漏れる大きいのに綺麗な丸みを帯びた美乳!
巨乳と肉厚な鼠径部を引き立てる腰の括れ!
肉厚なのが見ただけで分かる枕に最適な太もも!
最近のピンで分かる肉感たっぷりで尻尾が二本可愛らしく飛び出すお尻!!
そんな汰磨羈殿が目の前にいれば私はもう魅了
私が一番好きなシスター衣装(紺屋サキチIL全身図)の様に
衣装の合間から艶かしい肌色が、太腿が、腰が、乳が、髪が、何よりその微笑みが私の性癖!!
いつも思ってたけど貴女のセンスは私を悩殺!!マロい!尻神様!
だから、今日はこのバニースーツを着て下さい!!!」
ずどざぁ、とすごい勢いで土下座するレイリーに、汰磨羈がたまらず叫んだ。
「やめろやめろ! 洗井落雲にすごい勢いでプレイングをコピペされているぞ!
ここでプレイングを使い切ったら、あとの描写のバランスが悪くなる!」
「知ったことじゃないわ!!! 汰磨羈殿にバニースーツを着せられるかっていう瀬戸際なのよ!!!
わたしの出番!? 削りなさいよそんなの! そのかわり汰磨羈殿には絶対バニースーツだけは着てもらうッ!」
「これが魂の叫びって奴でしょうか」
フローラがぼんやりとつぶやいた。
「人の……もっとも純粋な叫び……。
魂の、咆哮……」
「もうよくわからなくなってきたからと言って、それっぽいことを言って現実から目を背けるのはよくないぞ」
モカがそういうので、フローラは悲しい顔をした。これが現実なのである。
「まぁまぁ、現地のたぬきちどんも困っているでしょう」
ゼファーが言う。
「話を進めましょ。とにかく、性癖バニー軍団を懲らしめればいいのよね」
「すごい文字列だ」
マカライトが言う。
「PPPが健全なゲームでよかったな。
さておき、俺も性癖バニー軍団には言いたいことがある。
いや、性癖に関してのことではなく。
かの兎達は大罪を犯した。季節の味覚を焼き捨てるという余りにも愚かな過ちを。
昔の名作文学に出てくる邪智暴虐の王が如き所業。なんたる邪悪か、魔王イルドゼギアですらここまでの事はしないだろう。
必ずやかの兎達を屈さねばならぬ。天誅だ、天誅あるのみ。
気合い入れるぞたぬきち(キメラの姿)、奴らを泥舟に乗せてやる」
「わたしはねこだが?」
と、汰磨羈が言う。その姿は、たぬきで、ねこで、バニーだった。
「耳と尻尾が邪魔なせいで、バニーキャットなキメラになってしまったが。
……おい、誰だ。『たぬきとバニーでタヌー』とか言ったやつは!?
ねこと! バニーで! ネコーだろうが!!
勢い余ってLV1装備を着たが、まぁ大丈夫だろう。洗井落雲のネタ依頼だし?」
こいつ絶対重傷にしてやるからな、覚えていろよ(執筆メモ)。
「そんなこといってたぬきちどん(ローレットのすがた)、さっきキノコ食べてましたわよね。
猫はキノコを食べませんが、たぬきはきのこを食べるんですのよ。
やっぱりたぬきちどんは、たぬき……!」
「ねこ! ねこなの!」
「わかっているとも、汰磨羈さんはねこだ。ね?」
ばちん、とウインクでアイコンタクトをするモカ。汰磨羈がよくわからないけどうなづいておいた。
「ま、まぁ、それよりも! 話が進まないっすよ」
慧が思わず声を上げた。今日の良心は慧である。
「とにかく……懲らしめましょう! バニーさんたちを!」
「そうね。というわけで、敵を欺くには味方から。
由緒正しいバニースーツ職人(WATARAI)が仕立てたスーツを着て、
うさぎさん達の味方のフリをして内部から破壊工作を試みるって寸法よ。
ね、たぬきちどん。なんだかんだ、頼りにする相手は間違ってなかったと思うわよ。
実際、たぬきに所縁のある神様みたいんもんですからね。
あらごめんなさい、あなた、うちのたぬきちじゃない」
と、汰磨羈の肩へと、ぽん、と手をやるのへ、汰磨羈がキレた。
「泣くぞ!?」
「話が進まない!!!」
慧が悶えた。可愛そうだった。
「ええと! バニーに紛れるのは、とてもよいと!」
もう一人の良心であるところのフローラが言った。
「とても気高くて綺麗で強いけれど、ふとした際にほんの少しだけ垣間見える弱気な所、をもった……あ、体型は小さくて細身な感じで!
そんなうさぎさんがいたらドキドキしてしまいそう……ですけど!
とても良い案だと!」
なんか欲望が漏れてないか? 皆は訝しんだ。お嬢様はそういうところがかわいらしいのです。どこかのメイドが言った。
「えーと、とにかく。状況をまとめよう。もう3400字くらい使ってるからな。折り返しだ」
モカが言う。
「バニーの格好をして、バニーに紛れてていやーする。
そうでないものはそのままていやーする。
それでいい?」
「大丈夫だ。どうせ洗井落雲のネタ依頼だ」
あきらめた様子で、マカライトが言う。
「だがウサギたちのお仕置きだけは絶対させてもらう」
その瞳の中になんかすごい闘志が燃えている。秋の味覚をダメにするのはあまりにも罪深いことなのだろう。
「えっと、それじゃあ、そういう感じで……」
メーアがそういったので、慧がうんうんとうなづいた。
「そういう感じで」
というわけで――。
そういう感じである!
●カチカチ山サバイバル
かちかち。
かちかち。
音が聞こえます。
ここはウサギたちのエリア。
あなたの性癖を描いた兎さんたちが住んでいるエリアです。
「何の音かしら」
と、ウサギさんが言います。
すると、ゼファーがこう言いました。
「たぬきちの背中にかちかちしている音よ」
「なんだ、たぬきちの背中にかぁ」
そういって、ウサギさんは笑いました。
happy end――。
「熱い!!!」
と、汰磨羈が飛び出す! 背中が何かかちかちされた汰磨羈は、背中がかちかちなのだ!
「きゃあ! 狸だ!!!」
「どう見てもネコバニーだが!?」
くるん、とキャットが三回転する汰磨羈。
「ここまで来たら勢い任せだ!
性的魅力でウサギ集団をナンパして侍らせつつ、優しくていやー♡(重要)していってくれるわ!
思いっきり楽しまないと損だろう?
いやしかし、ほんと可愛いな御主等。どこ住み? うちの領地くる?
金髪ゆるふわロングヘアー眼鏡っ子包容力MAXむちむちお姉さんバニーとか特にどストライクだぞ?」
どん、と壁ドンならぬ大木ドンする汰磨羈。金髪ゆるふわロングヘアー眼鏡っ子包容力MAXむちむちお姉さんバニーが、ぽっ、と顔を染めた。
「えっと、あなたになら、身を任せてもいいかな、って……」
「うーん、PPPが健全なゲームでよかったわ」
うんうんとゼファーが言う。
「今回はお子様も見て安心、良い子のローレットで運がよかったわね。
一歩間違えれば(私が)監視対象一直線だったわよ」
何をする気なのだろう。
一方で、モカ・ビアンキーニはモカ・ビアンキ―二なので、当然のごとくウサギさんたちにも人気だった。
「どうかな? うちの店で働いてみるのは……?」
「えっ、いいんですか!? 私ぃ、田舎でかちかちしてるのもう限界でぇ……」
「ていやーってそういう?」
慧が頭を抱えた。
「ただのナンパじゃないっすか! どうなんっすかフローラさん!」
と、視線を送る慧の視線の先には、フローラが顔を赤らめながらもじもじしつつ、
「い、いたんです……とても気高くて綺麗で強いけれど、ふとした際にほんの少しだけ垣間見える弱気な所、をもった細身で小柄な感じのバニーさん……」
「ダメだこの人も結構染まってる!!!」
慧が頭を抱えた。でもそういうところが最高にかわいいんですよ、うちのお嬢様。どこかのメイドがそういった。
「あ、慧さん慧さん」
マールちゃんが、ぽんぽん、と慧の肩をたたく。
「あそこにスポーツやってそうな感じで美脚な引っ張ってくれる幼馴染系のバニーさんが」
「マールさん報告しないで!!!! ね、寝取られたくねえ! 寝たことねぇけど!!!」
「まぁ、まるでこの世の終わりのような光景ですわね!」
ヴァレーリヤがけらけらと笑った。その片手には酒瓶が握られている。
「もうこうなったら、このままここで新世界の神になるしかありませんわ、たまきち!
ここに祭壇を立てますわよ!
そこにいるいい感じのバニーさん! 手伝ってくださいまし!」
「そうだね、ヴァリューシャ!」
どっかで見たようなバニーさんがそううなづいて、たまきち祭壇を建築し始める。ヴァレーリヤは笑った。この世の終わりのような風景だった。
「さぁ、ここにたまきちを入れて火をつけるのですわ!」
「ウィッカーマンじゃねぇか! ンァー!! やめろヴァリューシャ!
たぬき神になんてならないッ! HA☆NA☆SE! ぶっとばすぞォ!」
この世の終わりのような光景だった(三回目)。
「ああ、どんどん大変なことに」
メーアちゃんが困っているのへ、マカライトがうなづく。
「大丈夫だ。俺が何とかしよう」
と、一人だけまともだったマカライトが、
「アルビノ系スタイリッシュバニーだろうが黒系無口バニーが居ようが今はそれどころじゃない!
食と睡足りて色を知る!! 食を蔑ろにする貴様らに使う色目など持ち合わせてないわぁ!!!」
まともじゃなかった。雄たけびを上げてバニーさんたちを……いや、うさぎ……いや、もうバニーさんでいいか……とにかくバニーさんたちをていやーして懲らしめるマカライト。
炎上するたぬきち。
笑うヴァレーリヤ。
なんだかんだ楽しんでいるゼファー。
怒れるマカライト。
ナンパするモカ。
汰磨羈の性癖を延々と語るよっぱらいレイリー。
ドキドキしているフローラ。
諦観の慧。
「どうしよう、これ収拾つかないね」
マールが小首をかしげた。
「たぶん、みんなおなかがすいたら戻ってくると思うよ」
メーアが苦笑した。
秋の空は高く、紅葉があたりを彩っている。
秋の味覚の香りが漂うここはカチカチ山。
この世の終わりのような光景である(四回目)――。
●それで
「ハーッ!!」
ヴァレーリヤが、たん、とグラスをテーブルに置く。
なんやかんやあって(ほんとになんやかんやあって)事態は収束した。
あとはもう、流れでみんな仲良くなって、みんなで秋の味覚を堪能するだけである。よかったね。
「やけっぱちの流れを感じる……」
モカが嘆息する。とはいえ、隣にはいい感じにバニーさんやたぬーさんたちを侍らせているので従業員もまた増えることだろう。よかった。
「秋の風
狢も騒ぐ
紅葉山」
マカライトが一句詠んだ。そのまま、舞茸のバター焼きを摘みつつ、ビールをあおる。紅葉を見ながらのレジャーは最高である。多分パンドラ回復するんだろうな。よかった。
「秋の味覚のさつまいも。焼いて食べるのがおいしい、ですよね。
ところでここにはおいもと、集めた落ち葉もあるけれど、ちょっと火種が用意できていなくて。
あ、あー、どこかにカチカチしてくれる人がいたら、一緒においもを食べられるんですけどー……けどー……!」
と、フローラがそういうのへ、『とても気高くて綺麗で強いけれど、ふとした際にほんの少しだけ垣間見える弱気な所をもった小柄で細身のバニーさん』が、
「かして。かちかちしてあげるから」
ぷい、と、そういった。フローラのほほが赤く染まる。お嬢様、そのバニーさん連れて帰ってきていいですよ、とどこかのメイドが言った。
「まあ他所での因縁だとか使命だとか、ウォーカーにはありがちよね」
ゼファーがそういう。いい感じのバニーさんを無意味に大木ドンしつつ。
「だけど此処は混沌ですからね。たぬきとうさぎが仲良くしたって良いと思うわよ。
ほら、私達とたぬきちを見てみなさい」
と、ゼファーがヴァレーリヤと汰磨羈のほうへ視線を向ける。
「たぬきち、そこに立って下さいまし。ここで鎖で縛りつけて差し上げます。
あらかじめ疑問に答えるならば、お賽銭を集めるために決まっているでしょう?
ありがたーい御本尊も無しにお賽銭箱だけ置いてあったとして、貴女はお賽銭を入れる気になりまして?
この山を救った熱狂がピークになっている今こそがチャンスですのよ!!
大人しく私達の楽しい夜の礎になりなさい!!!」
「なるほど! 汰磨羈殿は神! わかる! 神! あなたが神ね!!!」
レイリーが追従するのへ、汰磨羈が悲鳴を上げた。
「やめろ!! 今やけどですごいことになってるんだぞ! 背中が!
というか、私は猫!!!!」
ぎゃあぎゃあと追いかけっこをする三人が視線に入ったので、ゼファーは苦笑する。
「……うん、あれも友情の一つの形よね」
適当にごまかすことにした。
まぁ、実際のところ、友情の一つの形なのは間違いないのだろう。
嫌いなメンバーと、バカ騒ぎなんてしないのだから。
こういうめちゃくちゃな時間も、きっと終わってみれば愛おしい。
「というわけで、めでたしめでたしっすね」
すべてをあきらめた顔で、慧は言った。
「じゃあ、終わったんで一緒にスイーツ頂きましょう、美味しそうっすね!
あ、メーアさんマールさんは何食います?」
「あ、モンブラン食べたい!」
「わたしは……んー、悩みますね……」
「モンブラン? 俺食べたこと無いっすね、どんなんだろ~ワハハ!
ま、なんでも食べましょ! 終わったんで! 終わったんで!」
それは現実逃避だったかもしれないが、めちゃくちゃな現実を生き抜く生活の知恵でもある。
そんなわけで。
めでたしめでたしっす。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
あとがき
ご参加ありがとうございました。
皆様のおかげで、秋の味覚は守られました。
守られたのかな。
多分守られたのだと思う。
GMコメント
お世話になっております。洗井落雲です。
秋の味覚。良いですよね。僕はナシが好きです。
●成功条件
エッチなウサギ集団をていやーしたあと、秋の味覚を食べて帰る。汰磨羈はたぬきの神として末永く祭り上げられる(確定ロール)。
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
●状況
再現性かちかち山。ここは、練達の秋の味覚を供給する地の一つ。たぬき獣人(風の旅人(ウォーカー)や獣種)たちが生活する、練達でも珍しい地です。
しかし、ここにはえっちなウサギ(君の好きな性癖を入れよう。ケモとかバニーガールとかうさ耳とか獣人とか。全部旅人(ウォーカー)か獣種だぞ!)たちも住んでおり、彼女たちはたぬきたちを追い出そうと、DNAに刻まれた先祖の因縁とかそういうので日夜攻撃を仕掛けていました。
このままでは、秋の味覚が大変なことになってしまいます。
謎の修道女と銀髪の女性に導かれたたぬきたちは、汰磨羈のもとへとやってきます。そして、たぬきの救済を願うのでした。
まぁ、要するに、うさぎたちを物理で説得してこらしめ、最終的に秋の味覚を食べるストーリーです。ただし汰磨羈には最終的に狸の神になってもらう。
作戦結構エリアは再現性かちかち山。特に戦闘ペナルティなんかは発生しません。
●エネミーデータ
うさぎさん ×30
えっちなウサギさん。様々な属性を網羅。どんな癖の人も一発で仕留める、えっちスナイパー。
戦闘能力としては平凡かそれ以下ですが、なんとなくエッチなため、見てるとなんかドキドキしてしまいます。これはBSです。また、倒される際も、なんかエッチな倒れ方をするので、皆さんに能力低下のBSを与えてくるでしょう。ちなみに、BSとは「バッドステータス」の事で、「僕が先に好きだったのに」ではありません。そういう性癖があってもいいです。
なんかこう……心を強く持って倒しましょう。兎ってえっちですよね。僕はエッチだと思います。
●味方NPC
たぬきちどん
再現性かちかち山のタヌキです。皆さんを頑張って応援していますが、特に何の効果もないです。
マール・ディーネー&メーア・ディーネー
たまたま遊びに来ていたうさぎです。うさぎじゃないよ、海種だよ。
みんなを応援してくれています。あわよくばモンブランとか食べようとしています。
普通に強力なバッファーです。
以上となります。
それでは、皆様のご参加とプレイングを、お待ちしております。
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