シナリオ詳細
<クロトの災禍>朝に燃えるフェーローニア
オープニング
朝が燃えている。
ゆっくりと昇り行く太陽は、白ずんでいた夜明け前を鮮やかに彩っていた。
暗く陰ろう梢の向こうに、薄紅と淡い紫がコントラストを織りなしている。
その光景は、天国にもっとも近いとも伝承されていた。
――ここはフェーローニア。
時間は、そんな朝の『前夜』にあたる。
覇竜領域の東部に位置する高原であり、コル=オリカルカという真鍮鱗の竜将の住処である。
かつては光暁竜パラスラディエ(p3n000330)という金鱗の竜帝が愛し、ここを譲ったのだ。
以来、実に三百年ほどの長きに渡り、そこはこのエルダーブラスドラゴンに支配されていた。
「歓迎は致しかねるが、ゆっくりしていきなさい。帝竜に愛されし小さき者達よ」
人の姿をとったコルは、仏頂面のまま大理石のような玉座で頬杖をついていた。
どこかヘスペリデスの住居を思わせる白亜の神殿は広く、涼やかな風が駆けていく。
「コルは偉いですね、ちゃんとお掃除したんですか?」
パラスラディエがへらへらと話しかけた。
「……塵芥を一息に焼き払ったまで」
「えらい!」
「……」
「ありがとうございます、コル=オリカルカ」
「…………」
リースリット・エウリア・ファーレル(p3p001984)も謝礼を述べるが、コルはそっぽを向いた。
人嫌いとされる竜だが、今となれば、どことなく照れているような印象も受けるから面白い。
それにしても、思えば色々あったものだ。
黄金の夕陽を眺めながら、ジェック・アーロン(p3p004755)は瞳を細めた。
――始まりは悲劇だった。
冠位暴食に率いられた六体の竜が練達を襲い、凄惨な悲劇を起こしたのだ。
次に竜達は深緑の森にも現われた。
死闘の末、竜は――アウラスカルト(p3n000256)はイレギュラーズの可能性を信じた。
そして父祖と慕うベルゼーが、あくまで冠位魔種たらんとする姿勢を知った。
そしてアウラスカルトは冠位暴食陣営から離反したのだ。
そこに、一人の騎士が手を差し伸べた。
「皆、そろそろ食事の用意が整うが、どうだ」
そんなことを思い出している頃。
騎士――ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)が一行を呼びに来た。
「ケーヤもそれで大丈夫か?」
「はい、ありがとうございます」
「ケーヤは何が好きか」
アウラスカルトが問う。
「えっと、木の実とか果物です」
「竜の因子を持つならば、肉を食え」
「あの、はい!」
「デザストルマイマイトカゲはうまい」
騎士だけではない。
射手――ジェックもまた同じく。
アウラスカルトが初めて母――パラスラディエと邂逅した際。
よりにもよって狙撃手ジェックの後ろに隠れてしまったことも思い出す。
獰猛な竜が、文字通りの銃後へなんて笑い話も残して。
「ジェック、母が料理なるものをしてみよと言う……」
「一緒に挑戦してみようか?」
「汝が、そう言うのであれば……」
「今日はなんだろう?」
「知らんが、肉か?」
元気に駆けてきたセララ(p3p000273)が、あの日のようにアウラスカルトの手を取った。
二人(?)は少しはしゃぎ、夕食への期待を膨らませている。
食後にはきっとお気に入りのドーナツでも楽しむのだろう。
秋の夜なべに、ミルク入りの紅茶でも添えて。
「キミは、どれが食べたい?」
「我はチョコの味のがいい、あと、あと」
「知らないんですか! この料理はバーベキューっていうんですよ!」
「そ、それはしっている、なぜ近寄る」
「友達だからです!」
後ろから抱きついたしにゃこ(p3p008456)にアウラスカルトは頬を膨らませるが。
冠位暴食――優しすぎる魔種が黄昏の地ヘスペリデスへ抱いた『人と竜種(ドラゴン)に友情が結ばれる』という空虚な夢想は、イレギュラーズの手で、今や現実のものとなっていた。
それは全てではなく、けれどこの場所であれば確実にあったのだ。
「汝は、確かに我が友だ」
「それじゃああーちゃん、メイちゃん、私達も行きましょうか!」
「そうねえ、折角だし飲んじゃいましょ。ね、すーちゃん」
「ああ、うん。あーちゃん!」
「めぇ」
「メイちゃん、ちょっとおっきくなりました?」
「あ、あのっ。色々……ありまして」
「えー、いろいろってなんですか!?」
「……め、めぇ!」
くすりと微笑んだパラスラディエ(リーティア)と共に、アーリア・スピリッツ(p3p004400)とスフェーンと、それからメイメイ・ルー(p3p004460)の談笑が続く。
「……色々といえば、本当に色々あったよね」
「そうだな、汝等が居たからだ」
「うん。でも、一緒だったからかも」
「相違なかろう」
笹木 花丸(p3p008689)とアウラスカルトが手をつなぎ見つめる先。
アウラスカルトの母であるリーティアは、かつて滅びの途上にあった。
厳密には今も変わらないとは言えるが、紡いだ奇跡が花開き、その姿を安定させている。
きっとこの先、彼女の願いが叶うまで――イレギュラーズがもたらした優しい奇跡は続くのだろう。
「それで……その。どういたしましょうね、司令。いえシリングさん」
「あー……うん」
本件の依頼人である終焉の監視者(クォ・ヴァディス)に所属する、『鋼鉄竜騎兵』イワコフ・トカーチ(30)がマルク・シリング(p3p001309)へ首を傾げた。
「依頼は、これで一件落着かな」
ともあれ、この長い夜はそんな風に始まったのだ。
――
――――なぜ『こと』は『ここ』へ至ったのか。
それを説明する前に、経緯をおさらいしよう。
『近い将来、世界が滅亡する』
それはイレギュラーズであれば一度は耳にした言葉である。
酷く理不尽なプロローグを聞いたのは、人によっては遠い昔かもしれないし、ごく最近かもしれない。
ともかくこの世界『無辜なる混沌』は非情なる災厄の未来に瀕している。絶対に外れないとされる神託により、超終局型確定未来――通称<D>が世界を消滅させることが確定しているのだ。
あらゆる世界を包括する『混沌』の破滅は、他の全ての世界が破滅することをも示している。
だからこの世界の住人であろうと旅人であろうと、終末から逃れることは出来ない。
イレギュラーズはそんな未来を回避する『可能性』を帯びた存在なのである。
こうしてイレギュラーズは、この数年を戦い続けてきた。
滅びへ至る力を蓄積させる魔種を討伐し、七罪を冠する魔種オールドセブンは残り二体。
そして『原初の魔種』を残すのみとなった。
未来を変えるためには戦い続ける他になく――
そんな時、終焉(ラスト・ラスト)と呼ばれる『影の領域』の動きが活発になったのだ。
それを伝えてくれたのが、先の終焉の監視者『クォ・ヴァディス』に所属する、イワコフだった。
イワコフは鉄帝国動乱の際に、ルーチェ・スピカという部隊に所属していた退役軍人である。
元々は部隊にまるごと組み込まれた軽騎兵隊の下士官であった。
つまりリーヌシュカ(p3n000124)の元部下であり、上部組織である独立島アーカーシュ司令部、その司令官であるマルクの部下でもあった人物だ。
実のところ、二人は幾度も言葉を交したことがある。
若くして兵卒から下士官の頂点までたたき上げられたイワコフの視線は、現場の隅々まで広く深く行き届いていた。だから司令部としても大いに参考になったのだ。リーヌシュカなどは彼の退役を泣いて懇願してまで止めようとしたというが、イワコフの意思は硬かったという訳である。
ちなみに勤務中は真面目を絵に描いたような男だが、健啖家な上に大酒飲みの笑い上戸だ。ひょっとしたら独立島で、アーリアあたりは酒席を共にしたこともあるかもしれない。
結局イワコフは、戦後に鉄帝国を出奔した。
当時の上司にあたるマルク達、イレギュラーズを支援するためだ。
終焉の監視者の一員となって――
一行はそんなイワコフと、そしてケーヤやスフェーン達と共に、フェーローニアへ訪れて居た。
理由は二つある。
その一つは、多数の終焉獣達がその辺りへ向かうところが観測されたからだ。
もう一つは、ここで朝焼けを見ようとリーティアと約束したからである。
ところがだ。
現場に到着した時に、終焉獣の姿はどこにもなかったのである。
件のコル=オリカルカという竜が、一掃してしまったのだ。
だから仕事なんて、綺麗さっぱりなくなってしまったのである。
そこで一行は辺りを散策し、夕げの準備を始めた訳だ。
ちょうどそんな時だった。
「……何してるの?」
突如、姿を現したのは、場違いに美しいドレスを纏った愛らしい少女だった。
幼い亜竜種(ドラコニア)に見える。
「あらあ」
首を傾げたアーリアに、少女は満面の笑みを返した。
「どなたかお知り合い?」
竜はどうか。
リーティアやアウラスカルトはおろか、コルさえも首を横に振る。
「しらん」
「知らない子ですね」
「存じ上げませんが」
亜竜種(人類)はどうか。
ケーヤやスフェーン達も、やはりユニのことを知らないという。
こういう諸々に関して、何事も大雑把すぎる竜の見解は往々にしてあてにならない。
だが物知りケーヤがお手上げとくれば、為す術もなく。
さて困った。
一行は目配せし、少女にいくらかの質問を行った。
少女はユニというらしい。
どうも、過去の記憶がないとのことだ。
そしてこの近くの原野で亜竜と戦って暮らしていたようだ。とんでもない話だ。
「ユニ、おなかすいた!」
そんなこんなで一行はユニを保護し、夜を過ごすのだ。
一行がフェーローニアを楽しんだ数日後に、ユニは終焉の監視者に引き取られることになる。
そしてそれはケーヤやスフェーンも彼等に協力する理由にもなった。
更にはリーティアが「ユニちゃんはドラゴンなのでは?」などと言い出すことになるのだが――
いまだ見ぬ、近い未来の出来事はさておき。
ともかく今は、ただ楽しかっただけだった、この夜の話をしよう。
――終末が来る前に。
- <クロトの災禍>朝に燃えるフェーローニア完了
- GM名pipi
- 種別EX
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2023年10月21日 22時05分
- 参加人数12/12人
- 相談5日
- 参加費150RC
参加者 : 12 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(12人)
サポートNPC一覧(2人)
リプレイ
●
「私ちゃんも終焉獣をいっぱい倒すぜ!」
勇んだのは確かだ。
まずこの世界は、いずれ必ず滅ぶとされている。
それに抗う『可能性』を持つのがイレギュラーズ、即ち一行であり、皆が戦い続けてきた。
相対する者は魔種、即ち終焉(ラスト・ラスト)なる勢力だ。
終焉は西の最果てに位置する魔境であり、監視者クォ・ヴァディスに見張られている。
その監視者達が『終焉獣』なる怪物を観測し、一行はここフェーローニアへやって来た。
「……!?」
触れなば斬れんばかりの『音呂木の巫女見習い』茶屋ヶ坂 戦神 秋奈(p3p006862)は、闘志の行き場を失っていた。なぜならば――
「ハッ! 終焉獣はいったいどこへ!?」
――討伐対象が見当たらなかったのである。
「えーと、イワコフさん。『終焉の監視者』の依頼者としての初仕事、お疲れ様でした」
戸惑っていたのは、『ウィザード』マルク・シリング(p3p001309)も同じであり、もちろん依頼筋である終焉監視者の一員たるイワコフ・トカーチもまた。
「まさか、こんな事態になるとは……お疲れ様でした、シリングさん」
軍帽をかぶりなおしたイワコフも歴戦の勇士であるが、動揺を隠せずに居る。
なぜなら彼の眼前に居るのは伝説の竜種であり、どうやら終焉獣を打ち祓ってしまったらしい。
要するに『依頼は』、マルクいわく「何もしてないのに終わっちゃったね」という話になったのだ。
毎回こうであるなら楽で良いのだが。
「流石に竜種の前では、終焉獣程度鎧袖一触でしたか」
『当然です』
感心する『紅炎の勇者』リースリット・エウリア・ファーレル(p3p001984)に、竜――コル=オリカルカは長い首をもたげ、さも不快げに述べた。
己が住居を荒らす終焉獣共の出現は、さぞ面倒だったろう。
(……しかし、深緑だけなく覇竜領域にまで終焉獣が姿を現したというのが確定した)
リースリットは顎に指を添え、言葉を続ける。
「コル=オリカルカ。獣がやってきた方角は……もしや、西からですか?」
『西か北か、その間か。いずれにせよ終焉(ラスト・ラスト)でしょう』
「それも確定しましたか」
『ええ。無作法にも、ここへ来るなど』
「めぇ……コルさま、すごいです、ね」
終焉獣はかなりの数だと思われていたが、『これがわたしのアイ』メイメイ・ルー(p3p004460)は輝かんばかりの瞳をコルへ注いだ。
「ありがとうございます、コルさま……!」
「やっぱりすごいね」
感心したのは『堅牢彩華』笹木 花丸(p3p008689)も同じだ。
『あなた方が、それを言うのか』
コルは些か面食らったような素振りを見せ、巨大な尾を振るとそっぽを向いた。
以前、イレギュラーズはここ覇竜領域の戦いにおいて、コルと幾度か交戦している。
コルは強大な力を持っていたが、結果は一行の勝利だった。
それが故の反応ではあろうが、まんざらでもなさそうなあたり、可愛らしくも思えてくる。
ともあれイレギュラーズの得手は、どちらかといえば特記戦力の撃破であり、多量の敵軍勢を相手に捌ききる事ではない。だから助かったというのは事実だ。
感心したのは『黒狼の従者』リュティス・ベルンシュタイン(p3p007926)も同様。
果たして、努力すれば自身にも同じことも出来るのだろうかとも思う。
(日々精進あるのみですね)
「ありがとね、コル=オリカルカさ――うぅん、一人だけフルでさん付はもう他人行儀すぎるわね――」
竜を見上げた『キールで乾杯』アーリア・スピリッツ(p3p004400)は言ってのける。
「――今日からコルちゃん!」
「一体、何を」
「ふふ、りーちゃんすーちゃん組みたいにあーちゃんって呼んでくれたっていいわよぉ?」
真鍮のように煌めく鱗に手のひらをあて、アーリアが首を傾げた。
「そ、そのような」
動揺しているコルは、けれど拒否する様子はない。
「しかし竜が終焉獣をなぎ払うってのは、そりゃあ見たかったなぁ!」
『物好きなこと』
闊達に言った『運命砕き』ルカ・ガンビーノ(p3p007268)に、コルは再びゆっくりと首を上げる。
竜と戦うのも面白いが、その強さを間近で鑑賞するのもまた楽しいだろう。
いずれそんな機会も訪れようが。それは後の機会へと譲ろう。
「コル、人の姿をとってはいかがです?」
「……」
リーティア――パラスラディエ(p3n000330)が見上げるコルは黙ったままであったが。
「私に見上げさせるだなんて」
そんな一言で、ようやく人の姿へと転じた。
「全く竜帝陛下(バシレウス種)は手厳しい」
「そうしたら、ええ、と」
依頼主のイワコフはいくらか迷った後に、マルクへ視線を送ると言葉を続けた。
「周辺に終焉獣が残存していないことを確認した後、自由行動としましょうか」
妥当な案だった。
「さ、周辺調査くらいは真面目にやらないとね」
提案した『冠位狙撃者』ジェック・アーロン(p3p004755)に、一行が同意する。
一行はフェーローニアに位置する巨大な白亜の神殿を背に、散策を開始した。
切り立った岩場に咲き乱れる高山植物が美しい。
見下ろす湖は清涼な水を湛えていた。
時間は徐々に夕方へとさしかかっている。
「コルちゃんすごい! えらい! つよーい!」
本当に終焉獣が見当たらないものだから、『魔法騎士』セララ(p3p000273)が振り返る。
「……」
「閃いた! ボク達の任務全部にコルちゃんに付いてきて貰えば楽勝なのでは?」
「…………」
「ねぇねぇ、コルちゃんも一緒に世界を救おうよ。ねっ?」
「返答致しかねる」
名案だと思えたが、コルは素っ気ない。
人間嫌いで知られる竜ではある。ここまで態度を軟化させているのは一行が勝ち得た成果でもあった。
もっとも、こうして竜種達が終焉獣を蹴散らしてくれるなら、仕事自体は減るのだろう。
同行はせずとも、そんな絆をイレギュラーズは結んできていた。
「お仕事は終わっちゃったけど、約束があるもんね」
花丸がリーティアとアウラスカルト(p3n000256)へ視線を送る。
「ええ、約束しました」
「ここへ来て、朝焼けを見るのだったな」
ここはかつてリーティアが支配していた地域だ。
天国へ最も近い場所という伝承が残って居る。
それは朝焼けの美しさを例えたものだった。
周辺の散策を終えた一行は神殿へと戻ってきた。
「神殿にも興味あるんだよな」
そう述べたルカに、一同が頷く。
白亜の神殿はつるりとしており美しく、けれど細部はやや歪な作りになっていた。
「なぁリーティア。この神殿って誰が作ったんだ?」
「それはなんとなんとですね、私なんです!!」
リーティアが胸を張る。
「竜ってこういうのも魔法でパパっと作れるもんなのかね?」
「いえ、こういうのはさすがに。土を捏ねて火を吹いて固めました」
「やはり、スケール……」
「いや。天義には竜と心を通わせた聖女がいたって聞くし、はるか昔には人間と竜の交流があったのかも知れねえと思ってな」
メイメイが息を飲み、ルカが続ける。
「だってほら、態々人間サイズの寝床を用意する必要があるのかとか」
リーティアが答えるには、冠位暴食のベルゼーがヘスペリデスを竜と人の架け橋にしようと願ったのに由来するという。リーティアはならばと、自身が好むこの地にも、似たものをこしらえたらしい。
朝焼けの伝承を広めたのも、白亜の神殿を建てたのもリーティア自身であり、要するに彼女の自慢の風景なのだ。そしてここを、三百年ほど前にコルへと譲ったのだ。
それ以来、コルはこの地を守り続けてきたという訳だ。
「それにこのまま何もしないで帰るのも寂しいもんね、折角フェーローニアまで来たんだもん」
花丸が一行へ向き直る。
「戦いの心構えはして来た心算だったが、それが必要無いというのであれば切り替えざるを得ないか」
続けたのは『騎士の矜持』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)だ。
「ええと、では、それで良いでしょうか、司令。いえシリングさん」
「依頼主がそう言うなら、構わないんじゃないかな」
マルクが答える。
敵は確かに、ただの一体も存在しなかった。
「終焉獣をちぎ投げするしにゃをお見せしたかったんですけどね!」
「ならばあれを狩るのはどうか」
どや顔の『可愛いもの好き』しにゃこ(p3p008456)に、アウラスカルトが首を傾げる。
「え、デザストルマイマイトカゲを一人で!?」
アウラスカルトが指さす先には、巻き貝のようなものを背負った亜竜が見えた。
「あれはうまい」
「そうねえ、活躍したがっていたものね!」
アーリアの笑顔が眩しい上に、ポメ太郎も力強く吠えた。
「あーあー、急にお腹がですね!」
「腹が減ったなら、なおさらあれを――」
「いや痛くてですね!」
「あんなもの、造作もなく狩れましょうに」
コルもまた首を傾げた。
「流石に頼もしいね、オリカルカ……ありがとう、助かったよ」
そう述べたジェックに、コルが立ち止まる。
「一緒に世界を救うとか冒険するとか、未来のことは一旦置いておいてさ」
「……」
「ひとまず今は、一緒に朝焼けを見てみない?」
「それならば付き合いましょう」
こうして探索を終えた一行は、ショートバカンスを始めたのだった。
「って事で、思う存分遊んじゃおうーっ!」
迷惑はかけない程度に、と花丸が結ぶ。
●
――夕刻。
一行は神殿の外でキャンプの準備を始めていた。
薪を集め、水を汲み、火を焚いて。
アウラスカルトも魚などをとってきてくれるあたり、なかなかに献身的だ。
十月の太陽はすっかり沈み、ベネディクトが見上げれば一番星が輝いていた。
ちょうどそんな時だった。
「何してるの?」
現われたのは、可愛らしい亜竜種らしき少女だった。
秋奈が首を傾げる。何者なのか、やばい全然わからない。
「え、なにこの知ってる子の居なさ! ウケる!」
「なんだ汝は、突然どうした」
アウラスカルトが怪訝そうな視線を向けてきた。
「うー……っしゃあ、負けねー! みんなにかまちょする! じぇっく!」
「え、どうしたの?」
ジェックは少し驚いた。
このままとりまかまちょするしかなかろうが。それはさておき――
まずは少女に事情を伝えた一行だったが、返ってきた言葉は「おなかすいた!」というものだった。
「食事が出来るまでに時間はあるか、しかし、こんな所で迷子とは」
ベネディクトが「ふむ」と首を捻る。
尋ねてみたところ、少女はユニという名前らしい。
ここは前人未踏の覇竜領域であり、極めて危険な場所だ。
なのに少女は、辺りに生息する亜竜を狩って生きていたのだという。
それ以前の記憶は、ほとんどないということだった。
「その上、記憶がないという訳か」
一行が押し黙る。
リーティアやアウラスカルトに知っているかと問えば、否。
ではとスフェーンに聞いても分からないという。
更にはフリアノンの知恵袋、ケーヤさえ知らないのであればお手上げだ。
ともあれ保護しない訳にも行くまい。
「それじゃあ、一緒にご飯にしましょ」
アーリアの提案に、ユニは両手をぶんぶんと振った。
「あー姉、大好き! えっとね、えっとね、ご飯なら!」
言うや否や、ユニが突然走り出す。子供か。
だがここは危険なデザストル。
向こうを見れば、亜竜が居るではないか。
亜竜は竜であるコルやアウラスカルトの気配に近寄ろうともしないが、こちらから向かったなら話は全く別であろう。幼い少女など噛み殺されてしまうに違いない。
それは一瞬の出来事だった。
危険を感じて追う一行を他所に、ユニは亜竜へ肉薄し――鋭い蹴りの一撃を見舞った。
冗談のように亜竜が倒れる。
「ナイスキック!」
秋奈がサムズアップと共に眩しい笑顔を見せた。
繰り返すが、ここは危険なデザストル。
竜や亜竜の生息する、前人未踏の地である――であった、イレギュラーズが踏破するまでは。
「これたべよ!?」
「えぇ……」
ユニは元気いっぱいに、亜竜を指さした。
その亜竜は、デザストルマイマイトカゲだった。
「いかつい、ですね」
しにゃこがちょっとひいている。
白目を剥いているデザストルマイマイトカゲは、全く可愛くない見た目をしていたから。
そんなこんなで、一行は火を囲んでいる。
リュティスがてきぱきと準備をし、ベネディクトが肉を炙り始めた。
近くでは犬のポメ太郎が、ユニと追いかけっこをしている。
ユニはおそらく竜には及ばないであろうが、ちょっと普通に一人分ぐらいの戦力があるらしい。
なんか無限に走り回っており、体力そのものも尋常ではなさそうだ。
(運動になって丁度良いですね)
「やっぱりこういう場所でのご飯って言ったらバーベキューだよねっ!」
「うん、とっても楽しみ!」
花丸にセララが頷いた。
「あ、しにゃこさんは今回も肉焼き係をお願いねっ!」
活躍機会がないと嘆いていたのはしにゃこなのだ。
ならば任せねばなるまいと花丸は思う。
「代わりに焼く――をしにゃがやるんですか!?」
仰天したのはなぜか。
「まあ焼くくらいなら俺にも出来るだろうし、その辺りは交代をしてだな」
ベネディクトはケーヤの姿を探した。
本を読んでいるアウラスカルトの横で、所在なさげに座っていた。
一行のお陰でケーヤはアウラスカルトと友人にはなれたのだが、まだぎこちないのか。
「ケーヤ」
「なんでしょうか?」
だったら、と声をかけてやる。
「ケーヤも焼いてみるか?」
「私が、ですか?」
「アウラスカルトに持って行ってみるのはどうだと思ってな」
ベネディクトの提案に、ケーヤが瞳を輝かせた。
さて、ならばとリュティスも腕の振るいがいがあるというもの。
付け合わせの野菜と、デザートも用意しよう。パンを焼いてもいい。
「前々から思っていたが、人は細かなことをするものだな、そのまま食ってもよかろうに」
アウラスカルトが、どこか感慨深げに呟いた。
「レクチャーも致しましょうか?」
「いいですね、お料理。してみなさいな」
リュティスが振り返り、リーティアも同意した。
「ジェック、母達が料理なるものをせよという」
自身の後ろへ隠れたアウラスカルトに微笑み、ジェックは提案してみた。
「だったら、一緒に挑戦してみようか」
「……わかった」
「じゃあ一緒に焼こうよ!」
「汝等がそう言うのなら……」
セララがアウラスカルトの手をひっぱってやり、いざ即席の調理場へ。
「ケーヤも一緒に習ったらいい」
「はい……!」
ベネディクトの提案に、ケーヤの顔がほころんだ。
「では包丁の握り方からですね」
リュティスが頷く。
食材の切り方、味付け、それから――
ケーヤ達は真剣な表情でリュティスのレクチャーを受け、調理を始めた。
「聞いて良いか?」
「もちろんです、何でも聞いて頂いて問題ありません」
「ならばこれは、どうやって切ればいい」
「それはですね……」
肉や野菜は食べやすいサイズに切り、魚は塩や酒で臭みを抜く。
そして下準備を終えたなら、串に刺して行く。
「とれてしまいます」
「それはですね、こうして波打たせるようにすると」
「……!」
大きめの魚はバターと、練達で仕入れた醤油を合わせる。
あとは同じく練達で仕入れた良い物――アルミホイルにくるんでホイル焼きだ。
「しにゃこは何をしている?」
不器用に野菜を切るアウラスカルトの問いに悪気はない。
「あっアウラちゃん……この事はどうか内密に……」
「もう食べて居るのか、料理をしているのではないのか」
「ここに焼けたお肉いっぱいあります! 全部あげちゃいます!」
「……?」
「こらポメ太郎! 足元ぐるぐるしないで! バレちゃう!」
ユニとポメ太郎もやってきた。
「お肉あげるから静かにしてください!」
「しにゃこ様」
「……!?」
巨大なステーキに油を塗るしにゃこへ、リュティスは静かに声をかけた。
「何もして、なにも」
「しにゃこ様」
「……はい」
慌てて口いっぱいの肉を飲み込み、振り返る。
だがお目付役には、全部バレていたらしい。
とはいえ、材料は多量にある。むしろ食べきれるかというほうが心配なくらいだ。
余ったら燻製にして日持ちさせようかとも思うが。
ともあれいたずらには牽制をいれ、リュティスは料理の続きだ。
あとはこの――
「デザストルマイマイトカゲはうまい」
さっきのやばげな獲物だ。
「こっちは終わったよ、後は焼き要員ぐらいにはなれると思うけど」
もろもろの支度を調えていたジェック達が戻ってきた。
目の前にあったのは――
「あっ待ってデザストルマイマイトカゲはアタシ焼き方分からない!」
なるほど竜種はこれを食べるのか。
「どなたか、捌き方など教えて頂いて良いでしょうか?」
「ああ、それなら何度か」
手をあげたのはアーリアの友人であるスフェーンだった。
亜竜種の里に暮らすドラコニアである。
「ありがとうございます」
未知の食材であっても、しっかりと料理してみせよう。
(ご主人様(ベネディクト)の為にも!)
さて、ずいぶんと骨は折れたが。
リュティスの表情は真剣なものだった。
肝心の味のほどは、どうなのだろうか。
骨のスープや、カリカリに焼いた皮、それからお肉。
軽く味見をしたところ。
「ふむ……見た目からは想像できない味ですね」
かなり鶏肉に近いらしい。野性味はあるが、悪くはない。
ならばもう一手間加えたなら――。
●
そんなこんなで二時間ほどが経ち。
一行は火を囲みながらの夕食となった。
「改めて、私はアーリア。ユニちゃん、よろしくね」
「うん! あー、あーりあ。あー姉!」
「うんうん」
アーリアが頭を撫でてやると、ユニは嬉しそうにめをつぶった。なんだか猫めいている。
「ささ、皆も自己紹介を!」
「では、その……ユニ、さま?」
「うん!」
「メイメイ、です。宜しくお願いします」
「メイメイ! めぇ!」
「めぇ、お可愛らしい御方ですが……とても逞しく、過ごしていらしたのです、ね……」
「ごはんすきだから」
「ふふっ……ごはん、沢山食べましょう、ね」
そうして一行は一通りの挨拶を済ませた。
ユニと最初に視線が合ったのはアーリアだったが、先程からなんだか懐かれている気もする。
なんというか今し方は猫めいても感じたが、どこか鳥類のインプリンティングも思わせる。
ともあれ危なっかしい子ではあり、ならば離れないようにと手を繋いだ。
ユニは嬉しそうに足をぶらぶらとさせている。
「すーちゃんも手を繋ぐ?」
「え、あ、わ、私は別に、そういうのは」
悪戯な笑みを向ければ、慌てるスフェーンの様子がなんだか可笑しい。
スフェーンにとっては、つらい別れがあってしばらくの時が過ぎていた。
少し前から快活な笑顔も戻ってきており、きっと吹っ切りたいのだと思う。
「リュティスは俺の自慢の従者でな。料理もこなせるし、焼き加減も問題無い筈だ。美味しいぞ」
ベネディクトが並べた料理の数々は、かなり壮観なものだった。
「いただきます」
「いただきます!」
亜竜骨と根菜で出汁をとった澄んだコンソメスープ。
それから野菜の串焼き、魚のホイル焼き、何よりも串刺しのお肉。
どれもこれも丁寧に下処理されており、思わず舌鼓を打ってしまう出来映えだ。
「気の所為か、肉の量がすごく多いような……」
ただちょっと量が尋常ではない。
とはいえ――マルクは思い直す。
いや、ここには竜種のメンバーも居るのだった。人間の基準で考えても仕方ないか。
それからもう一つ――
「――お酒の量もちょっと」
酒樽を前に、イワコフが満面の笑みを浮かべている。
「……まあ、酒量には個人差があるからね」
「それで、これまでの生活はともかく、やはり里に一度連れて行くのが良いと思うが、どうなのだろう」
「うーん、そうですねえ」
給仕をするベネディクトに、ケーヤが思案した。
話題にあがったのは、やはりユニについてだ。
幼い少女を荒野で野放しにする訳にはいかないだろう。
「ユニはどうしたい、とかはあるのか?」
「ユニはね、ユニは、わかんない!」
いずれにせよ、周囲との関わり方をどうするかというのを、学んで見るのは悪くないと思えるが。
「けれど、さきほどのように飛び出していかれた場合、ほとんどの人には止められないと思います」
そう述べたのはケーヤだった。
「スフェーンさんならどうですか?」
「あーうん。あの動きだと、とめるのは、ちょっと厳しいかな」
スフェーンは手練れの戦士だが、戦闘中ならいざしらず日常を昼夜問わずとくれば、さすがに。
ユニは強く、幼く、無分別なのだ。
さてどうしたものか。
「それでは、こういうのはどうでしょう?」
一行が頭を悩ませていると、イワコフが口を開いた。
「ユニさんは我々終焉の監視者のほうで保護し、亜竜種の皆さんに教育を手伝って頂くのは」
なるほど。たしかにユニは亜竜種の里では存在が浮いてしまいそうだ。
だが終焉の監視者であれば、さすがに強者揃いである。
「だったら手伝うさ、ケーヤもどう?」
スフェーンの提案に、ケーヤも頷いた。
「それでしたら、大丈夫だと思います」
それに恐らく、亜竜種を蹴散らすことの出来るユニであれば戦力にもなるだろう。
「あー、しにゃこさんが焼くお肉は美味しいなーっ!」
花丸がお肉を頬張った。
そんなこんなで、食事の団欒が続いている。
「アウラさんとユニさん……だっけ? いっぱい食べて食べて!」
「ユニたべる、これ、おいしい!」
「たしかにうまい」
「しにゃこさんもアウラさん達が美味しそうに食べる姿を見て泣いて喜んでるよっ!」
「意味が違いますが」
「え……?」
ともあれこのデザストルマイマイトカゲなるものは――ベネディクトとマルクが息を飲む。
「いやアーカーシュにも奇妙な食材は色々あった。見た目で判断するのは良くないな」
「む……覇竜産の物は他にも食べた事はあるが、中々イケるな」
ベネディクトの言葉に背を押されるように、メイメイ深呼吸を一つ。
このトカゲ、かなり顔が怖かったのだが――アウラスカルトおすすめとあらばチャレンジはしてみたい。
目を閉じて、思い切って一口。
「………めぇ」
「これは意外と……コリコリとした食感がいいし、何より大きくて食べ甲斐のある所がいいね」
マルクが口にした肉団子のほうは、コリコリとした食感がいい。軟骨が入っているのだろう。
「身が大きいから煮込み料理なんかも良さそうだ」
メイメイの手にした串焼きは、やはり鶏肉に似ていると感じる。
おそらく本来はかなり硬い肉なのであろうが、串焼きは口の中でほろほろと溶けるようだ。
鶏肉よりは濃厚なコクがあり、旨味が強い。
それを支える塩味と、主張しすぎないスパイスの香りが上品だ。
丁寧な下味はリュティスの手腕だろう。
それからマルクからも持ち込み食材を一つ。
「じゃん。アーカーシュ名物『エリザベスアンガス正純缶詰』だよ」
「おお! いいですね!」
酒を片手にイワコフが喜びの声を上げた。
「なんだそれは、人間は鉄も食うのか」
「これはこうしてね」
アウラスカルトの質問に、マルクは缶詰を開けた。
そしてそのまま網の上へと乗せる。
「野外の行軍に便利って評判だったんだよね」
「そうなんですよ!」
マルクの記憶では、イワコフ達は野外の酒宴で肴にしていたような気がする。
缶のオリーブ油がぐつぐつと煮立ったあたりで――
「じゃあ一杯やりますか!」
「ごめん、僕は遠慮したいところだけど、どうかな?」
こういうのはとりあえずアウラスカルト(竜)に飲ませれば良いと、話を振る。
アウラスカルトは「なんだこれは苦い」などと言いながらウォッカを飲み始めた。
たぶん酔うことはないだろう。たぶん。
「そういやリーティアも酒を飲めるようになったんだろ?」
「ええ、この通り! 念!」
「念!」
ルカの誘いに、リーティアとアーリアが酒を『顕現』させる。
「外と言えば!」
「外と言えば!」
「プラカップのビール!」
「いぇーい!」
どうもアーリアが飲む酒を、リーティアが魔術でコピーしているようだ。
「なんでもありなんだな」
ルカが舌を巻く。
「えっへん!」
「じゃあ折角だから大人組は酒も楽しもうぜ」
「いいですねえ!」
イワコフも乗った。
「ほれ、メイドもここは俺がやっとくから一旦ベネディクトとメシ食ってこいよ」
ベネディクトも頷き、給仕に徹していたリュティスも食事だ。
焼きの手伝いもしつつ、大人組が酒席を囲む。
「しにゃこ、お前は食ってばっかりいねえで少しは働きやがれ」
「しにゃに働かせていいんですか!?」 ←前科がある。
「アウラスカルトはもっと食えよ」
「ん。くう」
「成長期だろ、多分。もっと食ってもっとデカいドラゴンになろうぜ」
「無論、母など相手にならんほどにならねばならんからな」
娘の言葉に、リーティアが微笑んだ。
しかし――アーリアは思う。リュティスの存在はあまりに頼もしい。
さすがに飲んでいるだけというのは、なんだかばつが悪いから手伝いはしたのだが。
それにしてもここまでのんびり出来るとは。
「BBQ! 当然だけどジュースしか飲めねえ! 花丸ちゃんもジュースだぞー」
秋奈がアウラスカルトの肩を組む。
本当に酔ってないか、大丈夫か。
「お肉とお魚! いっぱい焼いてあげるかんな!」
「そうか」
「アウラスカルトちゃんもいっぱい食べて大きくなるんだぞー」
ともあれ、焼いた肉は熱々で、口を火傷しそうなのが難しい。
ベネディクトを見ると、手を貸してくれるとのことだった。
「うえー! 全部ウマすぎんだけど!」
食材の持ち味を失わせず、ジビエを相手にここまでやるか。恐るべしリュティス。
「ぐえー!!」
賑やかであり、何より穏やかな夜だった。
「これも美味しいね、沢山たべちゃおう!」
「たしかにこれもうまい。セララ、これはなんという?」
「これはホイル焼きだよ!」
リースリットは、なんとも贅沢な光景だと思う。
「騒がしくして申し訳ありません、コル=オリカルカ」
「……別に、帝竜の友なれば拒む訳にはいかないだけ」
「リーティアさんとアウラスカルトも楽しそうにしていますし……貴女も、食事を一緒に如何ですか?」
そんな言葉にコルは心底嫌そうな顔をした。
「わたくしは亜竜しか口にしないと決めているのですが」
「コル、好き嫌いしたら大きくなれませんよ?」
「そうだぞ」
リーティアとアウラスカルトが口を揃えた。
「そうだ、アウラスカルトもオリカルカも、折角だし好きな物を自分で焼いてみない?」
提案したのはジェックだった。
網の上では、相変わらず肉や野菜が香ばしい匂いをたてている。
「やってみる」
アウラスカルトのほうは、やや不器用そうだが肉や野菜を焼き始めた。
肉以外にも美味しい食材があることに気付いたらしい。
一方コルのほうは、眉をひそめたままだ。
「それとも加熱した食べ物も『品がない』かな」
「やってみなさいな、コル。結構楽しいですよ?」
「……そこまで言うのなら」
コルも下味のついた牛肉を網へ載せる。
「トングで乗せて、暫く焼けたらひっくり返して、もう片面を焼くの」
「……」
「まだだよ、まだ……油の弾ける音を待って………今!」
「……!」
嫌悪の表情を隠さないまま、コルは牛肉を一口囓る。
「ふふ、自分で焼いたものの味はどうかな」
「……悪くはありませんね」
そのままペロリと数枚を平らげた様に、リュティスもまたついつい微笑んだ。
これでこそ、料理のしがいがあるというものだ。
そこからは胃袋を掴まれたコルも料理を食べ始める。
「あ、リーティアもユニもやってみたい?」
ジェックが問う。
「それではえへん、失礼して! 念!」
「ユニもやる!」
「良いわねぇ」
ほのかに髪を染めたアーリアが微笑んだ。
同じ食べ物も、飲み物も。『食べる場所』や『誰と食べるか』で、大いに様変わりするものだ。
こうしていろいろなものを一緒に楽しめることは――
(――幸せよ)
と、物思いにふけったところで。
「……ところでちょっと目を離してる隙にすごい食べ物減ってなぁい!?」
あれほどあった食材がほとんど消えているではないか。
「アウラスカルトちゃん!? しにゃこちゃん!?」
思い返せば、アウラスカルトとしにゃことユニは絶え間なく食べまくっていた気がする。
アウラスカルトはともかく、しにゃこもいいや。
けれどユニは。なんというミステリー。
「ま、まさかユニちゃん――?」
目を見張ったアーリアに、リーティアが頷く。
笑顔のリーティアだったが、瞳の奥の光は真剣なものだった。
何か考えているに違いない。
後で聞いてみようか。
●
――そして夜は更けていった。
空には満天の星空が広がっている。
「よっしゃー! 今夜はオールです! こんな楽しい時間を終わらせちゃうのは勿体ない!」
しにゃこの音頭に、一行は火の前で飲み物を掲げた。
「うん、大満足だけど、夜はまだまだこれからだーっ!」
花丸もナイトキャップティーを片手に立ち上がる。
「音楽もかけちゃうよ!」
セララもまた。眠くなるまでみんなでおしゃべりだ。
「シリングさん、どうです?」
ブランデーの瓶を片手に、マルクに語りかけたのはイワコフだった。
「うーん、お酒を飲むと眠くなっちゃうんだ」
かなり迷う。
ここまで来て、朝焼けに寝坊などしたら一大事だから。
けれど、なら。
「温かい紅茶に……少しだけ、ブランデーを入れようかな」
「おおっと、それは洒落てますね!」
目の前ではセララが踊り、愉快なメロディーを口ずさんでいる。
「今日のボクはパリピセララ! 眠くなるまでパーリィしちゃうのだー!」
スマートフォンから流れる音楽のリズムに合わせて、ちょっとしたキャンプファイヤーの風情だ。
「アウラちゃん、リーティア。ボク達と歌って踊ろうよ。これならリーティアも一緒にできるよ」
「起きてればボーナスタイムですよ! うおー! 終わらないでくれしにゃの青春ー!」
しにゃこはランプを持ったまま、謎のテンションでポメ太郎と踊り狂っている。
「アウラちゃんも一緒に踊りましょう」
「踊りは知らん」
「踊り方なんて適当でOK! ノリでしにゃが振り回してあげます!」
両手を繋いで――「重っも!」。
何だこれは、壁か。と思うほど動かない。壁か。
そういえば竜だった。
だがどうにか要領を理解したようで、アウラスカルトも踊り始める。
「パス! 一番可愛いと思う瞬間でシャッターを切ってください!」
しにゃこがリーティアにスマホを放った。
「はっ!」
しかしからぶり、リーティアの体を通り抜けたスマホが回転しながら硬い床へ。
「っと」
寸での所でキャッチしたのはルカだった。
「壊れるぞ」
「念写しますね!」
「じゃあ手伝おうか」
ジェックもカメラを構える。
動画に、写真に。
「後で漫画にも残しちゃうよ! じゃあ次は、はい! リーティアの番だよ!」
「はい!」
「リーティアは触れないけど喋れるし、動ける。つまり歌えるし、踊れる!」
そうなのだ。だからリーティアもまた踊って歌い出す。
「じゃあアウラスカルト、次はあなたの番です」
「歌など、しらん」
「歌っていうのはね」
セララは丁寧に教えてあげつつ、ふと思いつくことがあった。
「リーティアの得意な歌はあるのかな?」
「め、めぇ……!?」
セララの問いに、メイメイはリーティアが突然デスメタル歌い始めたのを思い出す。
「ええーと、じゃあいきますね。こほん」
――ロマンチック☆乙女パレエド!
リーティアの宣言に、アーリアがむせた。
幻影のマイクを片手に、衣装までふりふりのメイド服のようなものに変わっている。
「きゅあっ☆ きゅんっ☆ きゅん☆」
それはこの間、練達で流れていたごりごりのアニメソングか何かだった気がするから。
楽しげな様子に、ジェックはカメラを構えて微笑んだ。
そしてふと思う。
こんな楽しい時間、ずっとは続かないのだと。
いつまでもこうして隣に居られる訳ではない。
想い出だって永遠じゃない。
だからこそ、こうして記録に残す意味がある。
竜は永い時を生きる存在だ。
アウラスカルトも、コル=オリカルカも。
遙か未来でも、この優しい時間を思い出すことが出来るように。
あとできちんと渡しておこうと誓って。
●
そして深夜。
花丸もしっかりと目覚まし時計を確認して――ヨシ!
「ちゃんとセララは早く寝るのだぞー」
秋奈のテンションは止まるところを知らず。
「深夜こそテンあげしか勝たんくね? リースリットちゃんにすりすりする! うぇーい!」
「――!?」
突然のことにリースリットが驚いたと思いきや、秋奈が崩れ落ちる。
「アウラスカルトちゃんは、こんな、お姉さんになっちゃだめだぞー」
「な、なにごとだ」
「寝て、いますね」
電池切れか。
ともあれ、秋奈を寝かせたら大人達の酒盛りタイムだ。
気心の知れた仲間と過ごす夜。
今だけは終焉も、神の国も忘れて。願わずにはいられない。
――ずっとこんな日常が続けばいいのに。
「あー姉、ユニね。ユニ……」
「あらぁ」
アーリアも船を漕ぐユニを、膝に寝かせてやる。
「いやあしかし驚きました。三十年生きてきて、こんな出来事は初めてですよ」
「……!?」
今、イワコフは何と言った。
軍人になってから三十年という意味だろうか。それともまさか。
「イワコフさん、聞いたけど同い年なの……?」
「え、アーリアさんはもっとお若いばかり。ええ、三十になったばかりですとも。どうかされましたか」
「いえ、なんでも……」
イワコフは四十過ぎぐらいに見える、いかつい男だ。まさか三十路とは。
「じゃあ、ほら乾杯だ」
「乾杯!」
幾度目かの乾杯を交し、ルカは思う。
ルカ自身は鉄帝国動乱の際、別派閥だったアーカーシュの作戦には多少参加しただけだ。
だからマルクと違い、イワコフとはあまり馴染みはない。
だが同じ戦場を友にした仲間ではある。戦友といって差し支えないだろう。
「ベネディクトは最近メイドとはどうなんだ。なんか進展あったのか?」
いきなりぶっ込むものである。
「さて、進展はどうなのだろうな」
真面目に考え込むあたり、ベネディクトらしいが。
「此方は特に急いては居ないのもある、亀の歩みでも進んではいると思うが」
「マルクもリンディスとはどうなんだ」
やや慌てた様子で、マルクが思案する。
これはルカ、酔っているな。
というか珍しくぐいぐい来るというか、恋バナとかするタイプだったのか。
「いやまあ、リンディスさんとは黒狼隊で一緒だし、時々二人で出掛けたり。夏に海には行ったかな」
「まあ、で。イワコフはどうなんだ」
「私ですか」
「ていうか結婚してたりするのか?」
「いえ、これっぽっちも。軍人一筋でしたから、とんと縁がなく」
「リーティアは一人でアウラスカルト産んだんだったか?」
「ええー!? そんなの聞きます!? というかこの子はどうなんでしょうね?」
「汝等が先程から何の話をしているかわからんが、何用だ」
「ま……恋愛はまだ先って感じだろうな」
というかだ、そんなに言うなら。
「ルカさんこそ、ざんげさんとはどうなのさ」
「俺は前途多難ってところだな」
マルクは言ってからしまったと感じた。
思わず、口が滑ったか。いよいよ紅茶にいれたブランデーのせいかもしれない。
「いや、ごめん、これ質問が良くないよね」
それは高値の花どころの話ではなかったから。
神々の山嶺に挑むルカを尊敬すると思える。
「そういえば朝焼けが綺麗なのだと聞いた。明日の朝は見に行ってみないか、リュティス」
「はい、お供致します」
「あの」
「何でしょう?」
「リーティアさんは……以前人里に降りていたという頃にこういう経験がおありなのですか?」
リースリットが尋ねる。
「慣れていらっしゃるな、と。アウラスカルトもすっかり慣れたなと思いますけど」
「はい」
「こう、それと比べても慣れの度合いが違うと申しますか」
「ずいぶん、昔ですけどね。良く人界には行きました」
リーティアが語る。
「あまり良いことではないと思いつつ、やめられませんでしたね」
夜空を見上げ、言葉を続ける。
「私ね、人間が好きなんです、とても。たまらなく愛おしい」
そのあまりに短く、煌めくような生き様を。
絶え間ない出会いと別れと、高度で繊細な文化と。世代を重ねる継承と。
本も、音楽も、絵画も、衣類も、食事も。
かつてベルゼーが掲げたヘスペリデスの理想にも、深く共感したのだと続ける。
「昔々は、全然そうじゃなかったんですけどね。ねえコル」
「ええ、本当に。呆れるほど変わられたものです」
「そういえばメイメイさん」
「めぇ、はい」
「色々とは、何だったのでしょう?」
「リーティアさまに、お話しておきたいなって。思って……いました」
メイメイは語る。それは夏の日烈日の焦土でのこと。それから秋の初めのこと。
幻想北部のベルと呼ばれる山岳地帯での様々な出来事の話だった。
「わたし、ずっと帰る事が許されなかった、故郷に…帰る事が出来たの、です」
母にも会い、リーティアとアウラスカルトを見たこともあり、余計に嬉しくて。
「そうして不安だった気持ちもなくなって、少しだけ大きく……というか」
本来の年齢の姿となることが出来たのだ。
そんな話が続く頃、リースリットは神殿の屋根に腰掛けていた。
先程飛んで見渡したのだが、やはり夜景も美しい。
神殿も見事なものだ。
リーティアが気に入っていたというだけのことはある。
そうしていると、アウラスカルトが屋根に現われた。
「汝も居たのか。あれはさすがに騒がしい」
「お疲れ様です」
リースリットは、そうとだけ答えて、そっとしておいてやった。
なにせ今日はいつになく賑やかだったから。
この竜も一人でゆっくりしたい時間とて、あるだろうから。
●
――キュイー!
メイメイの秘密兵器、カピブタの目覚まし時計が早朝を告げる。
「……ふふー」
寝ぼけ眼で広間へ出ると、花丸が温かな飲み物を準備していた。
秋の高原、朝はずいぶん肌寒いから助かる。
大人達にとっては飲み倒した後の朝でもある。
「おはよう!」
そうしていると、突然秋奈も起きてくる。
「楽しいっていいじゃん? 良いってアガるじゃん? アガるって最高じゃーん?」
リースリットが深呼吸すれば、清涼な空気が胸いっぱいにやってきた。
こうして一行は、神殿の外へと足を運んだ。
眩いばかりの光が瞳に飛び込んでくる。
昨晩の火よりなお赤く、儚く。
朝が燃えている。
ゆっくりと昇り行く太陽は、白ずんでいた夜明け前を鮮やかに彩っていた。
暗く陰ろう梢の向こうに、薄紅と淡い紫がコントラストを織りなしている。
その光景は、天国にもっとも近いとも伝承されていた。
「――これが」
世界で最も美しいと伝承される朝焼けを前に、花丸は呼吸さえ忘れ。
これを見ることが出来たこともそうだが、何より――花丸が振り返る。
(何よりも皆でこの景色を見れたのが一番嬉しい…かな)
「約束、叶ったね」
アウラスカルトさえ目を見張る空の下で、ジェックが微笑んだ。
「天国に一番近い場所。キミ達と見に来れて良かった」
「りーちゃん、連れてきてくれてありがとう」
「……見て頂けて、私、嬉しいです。こういうのを幸せって言うんでしょうね」
あるいは歳を取ったからだろうか。
リーティアの言葉になぜだか不思議と泣けてきて、アーリアが目元を押える。
「──リュティス」
「はい」
「リュティスは天国はあると思うか?」
ベネディクトが問う。
誰も見たことのない、その場所について。
人も、魔も、竜も。
生きとし生けるこの世全ての生命が、誰一人目にしたことのないはずのそこへ。
「天国ですか……」
「俺はあれば良いなと思うよ」
その方が、救いがあるように思えるから。
望めるならば、その時には共にありたいとも願う。
「私はあると思います」
そうでなければ、亡くなった者達が浮かばれないではないかと思った。
思い浮かぶのは今はもう居ない友人達の顔だった。
きっと見守りながら、幸せに暮らしているのだと願っている。
「綺麗だな、とても」
「ええ、とても綺麗ですね。」
「終焉の監視者とは、引き続き連携を密に。よろしく頼むよ、イワコフさん」
「もちろんです、シリングさん」
もしコルが居なければ、この鮮やかな朝を埋め尽くしていたのは終焉獣だったのだろう。
一体この地に、何があるのだろうか。
それとも、いや、あるいは。全世界をも埋め尽くそうとでも言うのか。
マルクは大あくびをこぼし、苦笑する。
今頃になって紅茶にたらしたブランデーが利いてきたのだろうか。後で少しだけ寝ておこう。
「うう゛っ……朝日が眩しい……目に染みる」
呻きながら現われたしにゃこもまた深呼吸を一つ。
「眠そうだな」
アウラスカルトは本に視線を落としていた。
「世界の終末の前にしにゃには勉強という終末がやってくるんです……うぅ~」
黙々と読書が出来るというのが、ずいぶんうらやましく感じる。
自身は、すぐに眠くなってしまうから。
「そうだ、アウラちゃん!」
「どうした騒々しい」
「しにゃも苦手な事頑張るのでアウラちゃんも苦手な事頑張ってください」
「なぜ、なにを言い出す」
「例えば……アウラちゃんの満面の笑みとか」
「あー! いいですね! 笑ってくださいよ!」
そんなリーティアは完全に満面の笑みだったが。
「いやだ」
「今すぐじゃなくてもいいです! 全部終わったらよく頑張ったって、笑顔で褒めて欲しいです!」
「アウラスカルト、竜は挑戦に褒美をあげるものですよ」
リーティアが更に押す。
「……分かった。だが期待はするな」
その約束だけで頑張れる気がしてくる。
「いいですか、この朝日みたいに終わらないボーナスはない……明けぬ夜もないってことです」
そして続けた。
「終わるならまた始めればいいんですよ! 終末なんて余裕です!」
寝不足のまま、深夜のテンションが続いている。
「しにゃこ、頭に響くから静かにしてろ……」
ルカもまた呻いた。
大丈夫だろうか。昨日の話とか覚えているだろうか。
けれど、この絶景には満足だ。
それにしにゃこの言うことにも頷ける。
そしていつの日か、これを多くの竜や人が見ることが出来ればよいと。
コルは嫌かもしれないが。
ふと眺めると、コルは少なくとも不機嫌そうではなかった。
メイメイは思う。
終焉はもう、すぐそこまで来ているのだと。
今日のような日を、誰もが過ごせるように、立ち向かわねばならないのだと。
朝のフェーローニア。
目の前に広がる、どんな絵画より美しい景色。
それをメイメイは瞳の奥へと焼き付けていた。
胸に手を当て、誓う。
これこそが――
――わたしの、わたしたちの、守る……朝の光。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
依頼お疲れ様でした。
この光を、必ず守ってください。イレギュラーズ。
MVPは破竹の活躍を見せた方へ。
おそらく絶対に必要な人材でした。
それではまた、皆さんとのご縁を願って。pipiでした。
GMコメント
pipiです。
終末の脅威が迫っています。
終焉獣を倒し……いえ、状況に大きな変化があるようです。
なんとオープニング中に、勝手に依頼が完了してしまいました。なんてこった!
じゃああとは……遊びましょうか!
●目的
周辺調査と終焉獣の討伐……のはずでした。
とりあえず一晩過ごして遊んで、朝日を拝んで帰りましょう。
なあに、仕事に不測の事態は付きものです。
●フィールド
天気は晴れ。星が綺麗です。
覇竜領域東部のフェーローニアという美しい高原です。
秋の高山植物が咲き、ときおり涼やかな微風が吹いています。
朝焼けがたいへん風光明媚で、天国にもっとも近い場所と伝承されています。
近くには美しい湖があります。
ヘスペリデスにあったリーティアの家を思わせる様式の、巨大な白亜の神殿があります。
広大なエントランスはコル=オリカルカの(竜の姿での)寝床のようです。
奥にはいくつかの部屋があり、自由に使用出来ます。
ベッドらしきものも、なんか大理石みたいなので、寝袋とかは必要そうです。
勝手にもっていっている事にしますので、特に記載は不要です。
こういう系の所持品チェックは、やらない主義なのです。
●時間帯
『夜』
食事の時間です。
バーベキューと、子供はジュースに大人はお酒でも楽しみましょう。
新鮮なお肉と、湖のお魚、お野菜があります。きっと持っていきました。
ご飯とかパンなんかも、きっとあります。
その他何か特別なものはプレイングに記載ください。
『深夜』
お酒飲んで騒いでもいいですし、ナイトキャップティーも良いでしょう。
何人かで集まってパジャマパーティーでもしたり。
さっさと寝てもいいですし。
好きなように過ごしましょう。
『明け方』
折角なので朝焼けを見ておきたいところです。
●敵
『終焉獣』×たくさん でした……
どうもコル=オリカルカがなぎ払ってしまったようです。
●同行NPC
・アウラスカルト(p3n000256)
現六竜(バシレウス)の一体です。
皆さんによく懐いているドラゴンです。
・パラスラディエ(p3n000330)
アウラスカルトの母です。
人の身ではリーティアを名乗っています。
滅びの途上にあり、今はアーリアさんと結びつくことで自在に顕現出来るようになりました。
状態は非常に安定しています。
なんか幻影の飲食まで出来るようになったそうですし……。
きっとこの先、彼女の願いが叶うまで。皆さんがもたらした優しい奇跡は続くのです。
・『鋼鉄竜騎兵』イワコフ・トカーチ
終焉の監視者に所属する、元帝国軍人です。
依頼筋です。かなりいいやつです。
本件の予測不能事態は、マジモンの竜(ドラゴン)の仕業なので、彼は悪くありません。
マルクさんの関係者です。
・コル=オリカルカ
パラスラディエの眷属的な竜です。たぶんツンデレです。
皆さんの到着前に、終焉獣をなぎ払いました。
リースリットさんの関係者です。
・ケーヤ
フリアノンの知恵袋。
皆さんのおかげで、晴れてアウラスカルトの友人になれました。
ベネディクトさんの関係者です。
・スフェーン
亜竜集落の住人です。アーリアさんの飲み友達です。
最近つらい分れを経験しましたが、ふっきろうとしているようです。
アーリアさんの関係者です。
・ユニ
亜竜種に見えるとても可愛い少女です。
いや、種族はさすがに無理があるかな……。
行動がとてもじゃないですが、亜竜種にはみえんかもしれん……。
アーリアさんの関係者です。
●情報精度
このシナリオの情報精度はEです。
とんでもない不測の事態があったからです。
実際のところ安全ですが、敵なんて居やしなかったのです。
しかも謎の少女とか出てきたし。まさかこんなことになるなんて。
あと一応、覇竜領域ですもんね……だから一応は難易度ノーマルのままです。一応ね……。
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