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シナリオ詳細

ドラゴン・スター・ナイト

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●夜空を見るものたち
『天智竜』アルテイアは、空を見上げていた。
 季節はすっかり秋。あの暑さも影を潜めてきて、場所によっては葉っぱが色づき始める時期だろう。
 しかしながら、空をここで見上げてみるといい。
 少しずつ気温が下がってきたせいか、空が大分澄んできたように感じられる。
 こうなってくると、夜に星が綺麗に見えるようになる。
 勿論、星なんて普段から見ている……という者もいるかもしれない。
 しかし覇竜の空は格別だ。他では見えないような様々な星が綺麗に輝き、星の海とはどういうものか教えてくれる。
 人の中には、そこに意味を見出そうとした者もいる。占星術などのはしりだ。あるいは星座などもそうだろう。
 けれど、そう。けれども。それは人間だけの特権ではない。
 竜種の中にも星に意味を見出そうとする者はいる。
 星の動き、輝き、位置……様々なものを元に独自の占星術を編み出したのだ。
 それはたとえ教えてもらおうと、人に理解できるものではないだろう。
 竜種にしか知覚できないもの、あるいは理解できないものなどが多く混ざっているからだ。
 同じ竜種でも理解できるものがいるかどうか。
 されどアルテイアはそれゆえに『天智竜』と呼ばれている。
 まあ……どうにも物凄く不機嫌に見えるのは……気のせいでは、ないだろうけども。

●夜空の邪魔者
「キャメムシ、知っとるかの?」
 『フリアノンの酒職人』黒鉄・相賀(p3n000250)は集まった面々にそう切り出した。
 キャメムシ。それは星空のような外殻を持つ虫である。
 キラキラと星空のように輝くキャメムシは美しいが、夜空を飛ぶキャメムシは星の光に混ざって凄い邪魔なのである。
 それだけなら別にいい……よくはないが……まあ、それだけの話だ。
 しかし今年はどうにもキャメムシが大量発生しているらしく、星見の邪魔になっているのだという。
「星見っていうと……」
 『【星空の友達】/不完全な願望器』ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)は『天智竜』アルテイアのことを思い出す。
 竜種の1人である彼女は星が好きで、独自の理論と感覚で星を見ている……雅な趣味を持つ竜種だ。
 しかしどうにもキャメムシのせいで星見を邪魔されているようで、イライラしている様子が見受けられたという。
「最近はフリアノンの近くまで来ておっての。こういうのが放り込まれとった」
 相賀の差し出した紙をヨゾラが開くと……それはどうにも、アルテイアが書いたものであるらしかった。
「同行を許します。虫を排除しなさい……かあ」
 その傲慢さは、まさに竜種らしいといえるだろう。
 同時に、こうして「敵ではない」関係を築けるのは、あの事件を乗り越えたがゆえ……といえるのだろうか?
 何はともあれ、この話を断るのはどうにも恐ろしい話だ。
 日付を見ると……指定はどうやら今夜だ。今フリアノンにいる人々を集め、この事態に対処するしかない。
 けれど、同時に……ヨゾラは、少しばかりワクワクする心を抑えられないのも、また事実であった……!

GMコメント

フリアノンから離れた夜の草原に行き、竜種であるアルテイアと散歩しましょう。
アルテイアは落ち着いて見えますが、かなりイラついています。
飛んでいるキャメムシを片っ端からぶっ飛ばして綺麗な空を取り戻すのです……!
終わったら夜の散歩です。バッチリ綺麗な星空を楽しみましょう!
※与太です。楽しくプレイングなさってください※

・『天智竜』アルテイア
最強生物である竜種にして将星種『レグルス』。今回は亜竜種の女性に似た姿をしているようです。
性格は非常に冷静で知的。尊大で傲慢なのは変わらないのですが、深い知識を下敷きにしている為か突発的な行動をあまりせず「一歩引く冷静さ」をも兼ね備えています。
 どうやらある種の星詠みの知識も所持しているようで、その精度は兎も角そうした浪漫を楽しむ洒落っ気も持ち合わせているようです。
 ただ、竜種としての星詠みは人間の星詠みとはあらゆる要素が違うのでそこで意気投合する……などといったことは無謀でしょう。
 自分を中心とした範囲に輝く「星」を降らせるメテオライト、指定した1人に天空より破壊の流星を降らせる「スターライト」、指先から星の輝きの如きレーザーを放つ「トゥインクルスター」を使ってくるようです。
今回は皆さんの敵ではありませんが開始直後は機嫌が最悪です。
キャメムシを倒すたびに機嫌が回復していくので頑張りましょう。

●キャメムシ×3000
全長30cmくらいの空飛ぶキラキラ輝く虫。notカメムシ。
弱いですがとにかく数が多い上に超広範囲に散らばっています。
攻撃方法は目茶目茶臭いガスを発する「臭いブレス」です。

●特別要素
・キャメムシストーン×2(希望する2人が所持できます)
持っているとキャメムシがたくさん寄ってくるという石。
え? 持ってるの? もうちょっと離れてもらっていいですかね?

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • ドラゴン・スター・ナイト完了
  • 竜種と共に星空を
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年10月10日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

郷田 貴道(p3p000401)
竜拳
ウェール=ナイトボート(p3p000561)
永炎勇狼
ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)
【星空の友達】/不完全な願望器
ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)
願いの星
ニャンタル・ポルタ(p3p010190)
ナチュラルボーン食いしん坊!
ファニー(p3p010255)
ユーフォニー(p3p010323)
竜域の娘
セレナ・夜月(p3p010688)
夜守の魔女

リプレイ

●キャメムシをやっつけろ
 夜。覇竜の夜空は美しい。無数の星が煌く空はそれだけで素晴らしく。
 しかし大抵の人間は覇竜の夜が恐ろしいものだと知っている。
 見通しの効かない視界、活発になる亜竜やモンスター。夜は危険が一杯だ。
 しかし……そんな危険も一番危険な竜種がいれば全部「たいしたことはない」に成り下がる。
 そして実際、夜空の下に立っているのは『天智竜』アルテイア……最強生物である竜種にして将星種『レグルス』だ。
 大抵のモンスターはアルテイアからしてみれば塵芥に過ぎず……そんな彼女は今、少々苛立っているようだった。
 それはどうにも、夜空を覆うキャメムシにあるようだった。夜空を覆うようにキラキラ輝くキャメムシの群れは、彼女からしてみれば星見の邪魔なのは明らかだからだ。そのキャメムシは広範囲に広がっているようで、『竜拳』郷田 貴道(p3p000401)は夜空に混ざるキャメムシを見て静かに呟く。
「まあ、害虫ったって大抵は人間の都合で決めたもんだしな。決めてんのが人間か竜種かってだけで、大した違いはねえだろ。ミー自身は正直気が進まないんだが……仕事だからな、貰うもん貰う以上は手は抜けねえのさ」
「むはは! 何やら気持ち悪い意味での絶景じゃなあ! これを駆除かー、なかなかに骨が折れるが……やるっきゃNIGHT!! じゃな!!」
『ナチュラルボーン食いしん坊!』ニャンタル・ポルタ(p3p010190)も飛行しながら様子見しているが、涼しくなってきたせいか集まってきたキャメムシの数は3000匹。1匹が物凄く弱いので大した手間はかからないかもしれないが、なんとも凄い光景である。
「うわぁー……なんじゃかどデカい花火の中をドローン的なもんで空撮しとるような感覚に襲われるのう……嫌な花火じゃがー」
 そんな練達的な感想も思わず出てしまうが、『Star[K]night』ファニー(p3p010255)も嫌な光景というのには同意であるようだ。
「星座鑑賞が趣味のものとして、星見の邪魔をするやつは放置しておけねぇな。というか、星見とか関係なく3000匹のキャメムシは駆除対象だろ。生態系どうなってんだ」
「まあ、そこは覇竜だから……という感じではあるんですが……」
 ファニーに『相賀の弟子』ユーフォニー(p3p010323)も頷くが、それでも思うところはあるようだ。
「星見に限らずですが、虫に邪魔されるのは嫌ですね…それも臭い虫は特に……」
「わたしは夜が好き。星を見るのも同じくらい好き! だから、それが邪魔されて嫌な気持ちになるのはちょっと分かるかも……それが、臭いカメムシ、もといキャメムシなら尚更。うん」
「そうですよね……」
 『夜守の魔女』セレナ・夜月(p3p010688)とそんな話をしながらも、ユーフォニーはアルテイアに視線を向ける。
「アルテイアさん、初めましてです。雑用でも何でも、私たちを頼って貰えるのは嬉しいです。早く星見を楽しめるように頑張りますね!」
「そうですか。まあ、雑用を期待しているのです。せめてそれには応えるといいでしょう」
 どうやら雑用を頼むということもあって今日は会話が出来るらしい。
(アルテイアの星見に同行できるの嬉しい! ……けど不機嫌の原因であるキャメムシは全部倒さないとね)
 『【星空の友達】/不完全な願望器』ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)もそう考えながら保護結界を使用し、ハイセンスや広域俯瞰も用いて周囲を警戒していた。まあ、この状況……警戒する必要は無さそうなのだが。
「ふふん、お任せ下さいまし! 伊達にスラム出身ではありませんもの。例の黒いヤツでさえなければ、虫の一匹や二匹……多くありませんこと!? くっさ!!!!」
 『願いの星』ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)が早速ひどい目にあっているように、確かにキャメムシはあの黒いヤツほどにはキモくない。見た目は普通だ。しかし「あの臭いやつ」と言われる程度には厄介なのだ。
 そんなキャメムシたちをどうにかするためのアイテムが今日はある。その名もキャメムシストーン。キャメムシをおびき寄せるというそのアイテムはしかし、臭くなること請け合いだ。
 そんなものを担当しようという2人……居ないだろうと思いきや、なんと『永炎勇狼』ウェール=ナイトボート(p3p000561)、『【星空の友達】/不完全な願望器』ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)、『夜守の魔女』セレナ・夜月(p3p010688)の3人が希望していた。2つしかないキャメムシストーン……だったはずだが「そんなにやりたいなら」と3つに増えている。安心だ。しかも3人いれば1人あたり1500匹が1000匹になる。おお、なんという負担軽減だろうか!
「……この引き寄せる石使ってトラップとか組めば自動でムシが駆除できるのでは? 人が持ってないと効果が無くなるとか希少な物だから攻撃に巻きこまれて破壊されないよう持てってことかね。今のブチギレ天智竜が見ると半殺しにされそうだし、懐に隠しておくか……」
 ウェールの言う通り、人の組み合わせでこそ力を発揮するアイテムなので仕方がない。
 というわけでキャメムシストーンを持った3人の戦士たち。他の面々から少し離れて掲げたキャメムシストーンは、凄まじい勢いでキャメムシたちをおびき寄せ……あっというまにキャメムシまみれにする。見た目はキラキラして綺麗だ。
「わたしは結界があるから、集られてもちょっと……キャメムシ球になるだけで済むし!」
(臭いまで防げるかは分からないけど……)
「あ、くさっ! 臭い! すごく臭い!?」
 すごく臭い。臭いブレス×1000の予想以上の臭さにセレナは心折れそうになるが、気合で我慢する。
(臭くても我慢、早く数を減らす方が大事よね。正直ちょっとした苦行だけど、耐え忍んで頑張るわ)
 こんな臭さは正直夏の墓場に放り込まれても体験できないだろう。
 だからこそセレナは時折、アルテイアの方へ目を向けてみたりする。
「星を降らせる術、星のように輝く光条……ちょっと見惚れちゃうかも。綺麗……いけない、集中集中!」
 見惚れていると意識が飛びそうになるので、セレナは気合を入れ直して。
 ヨゾラもアルテイアにキャメムシが近づかないようにキャメムシを引き付けて離れ星空の泥でひたすらキャメムシを排除していく。
「できれば臭いブレスを使われる前に倒す……あ、くさっ! 呑み込め、泥よ……あのキャメムシを全部呑み込んで消すんだー!」
 涙目のヨゾラだが、ウェールのほうはどうだろうか?
 こちらはもう囲まれるのを最初から覚悟完了している。
 だからこそウェールは草原に着いたらすぐにアルテイアから離れるのを最優先し、同じく所有者であるセレナやヨゾラとはアルテイアを間に挟んで離れていた。
(最悪のケースとして、ブチギレ天智竜が二人の石持ちに引き寄せられたキャメムシに思わずメテオライトをぶち込み、俺達が巻き込まれるのが特に怖い……そうならないようにしなきゃな。そのためにも、とにかく止まらず動き回る!)
事前に召喚したファミリアーの鴉達の視界でキャメムシたちの位置を把握して、できるだけ纏めるように動き回る……必要はない。凄く集まってきてるから。
「ぐあー! 臭い!」
 ウェールも地獄みたいなことになっている中で、石もないのに「持っている」ヴァレーリヤがよろよろと復活する。
「げほっげほっ。ひ、酷い目に遭いましたわ。石を持っている方が引き付けてくれているようですし、今のうちに数を……ちょっと、こっちに来ないで下さいまし!!私、今日、着替え持ってきていませんのよ!?」
 やはり持っている。ヴァレーリヤ、君が名誉キャメムシストーンだ……。
 しかしヴァレーリヤとしては、もう虫に集られたくないので、物陰から太陽が燃える夜で攻撃していく。
「主よ、天の王よ……よくよく考えてみると、主のご加護をこんなことに使っても良いのかしら。でも私、もうこの臭いに耐えられませんわ!主よ、お許し下さい。そして貴方達は塵になりなさい!!」
「うむ!  そんでは、星見の為に戦闘開始じゃ! 終わったらお茶か甘〜いカフェオレ、又は星見に合う粋な飲みもんであったまって、団子やら星型クッキーやら色々用意してあるのを楽しむぞい!」
 ニャンタルもそう叫びながら空で名乗り口上を響かせ……一帯のキャメムシを引き寄せようとした。なんてことするんだろう。
「充分引き寄せた所でぐっちゃぐちゃのメタメタに粉砕してやるぞい! ぐぁあああああああ!!!!!! めっちゃくさぁああああああああぁぁぁ!!!!!!!!!」
「ニャンタルさんが凄いことに!」
「キャメムシ玉ですわ!」
「ぎゃああああああああああ! うぬぅぅ、危うく墜落する所じゃったわ……恐るべしキャメムシ……」
 恐るべしは今のニャンタルの匂いだがさておこう。
「うむ、ここで我のアレを出す出番じゃな! テテーん!でっかいガムテープ〜」
 練達の例のアレの初代のほうの声に寄せながら言うニャンタルはどうやら粘着性の強いテープで直接キャメムシを捕まえるつもりのようだ。確かにキャメムシの弱さであればそれが出来る……!
「これで一気に引っ付かせて取る!! そんでもってガムテを折り返して密封しらこうじゃあああ!!!! ブチブチブチィ……と……ふぎゃああああ!! 感触!! そして染み出た汁が手に付いたァァァァァァ!!!! 後で入念に洗わんと! 手が臭い! 菓子が食えなくなる!! えぇい! ヤケじゃ! めちゃめちゃのギッタンギッタンにして全滅させたらシャワーを浴びるぞい!! 来いやァァァァ!」
「ニャンタルがとんでもねえことに……! とにかくやるぞ!」
 ファニーも降りしきる二番星を落としていくが、3000を倒すのは中々に手間だ。
「出来ることなら死骸も残さず塵にしたいよな……もしくは最後にかき集めて燃やすとか……いやだって、うっかり踏んづけて靴に臭いがうつっても嫌だろ?」
「早く終わらせたいですもん、飛行もしつつ、数が多く集まっているところにどんどん突っ込んで行っちゃいましょう! 大丈夫です、相賀さんのこういう依頼、与太しても何してもパンドラ減ったことないですから♪ ふふん、少しは詳しいんです」
 おっと、何やらユーフォニーがフラグをたてているが、臭くて死んだ人間はそれなりにしか居ないのでまあ平気かもしれない。
「臭いもなんだかんだで耐えられ…うっ、超嗅覚が仇に…!? そんなぁ……」
「HAHAHA! 大変なことになってきたな! しかしキャメムシって響きはどうにも頂けねえ。ぶっちゃけ理由がないなら手で触りたくはねえ。どうせ数ばっかりだ、拳を使うにゃ勿体ねえよ」
 貴道もそう笑って。
「ミーに落とされておきな、たぶん誰よりマシだと思うぜ?」
 ちなみにだが、最終的にキャメムシはアルテイアの一撃で1匹も残さず吹っ飛んでいく。
 まあ、そんなこんなでぴかぴかシャボンスプレーを持ってきた仲間たちのおかげでキャメムシ人間にならずに済んだニャンタルも幸せそうだったが……とにかく星見である。

●星見をしよう
 キャメムシの消えた空は、とても綺麗だ。覇竜らしい美しい夜空がそこには広がっている。
「わたし、あなたの星詠みに興味があるの」
 セレナは星を見ているアルテイアに、そう声をかける。今なら声をかけてもそんなに邪険にはされない。そう感じたのだ。
「竜たちは、どんな気持ちで星を見上げて、その星にどんな意味を見出すんだろう、って。実はわたしは星詠みの知識なんて全然無いんだけどね……えへへ。でもこうして星を見上げてるこの一時、わたし達は、同じ夜空の下に居る。それってきっと悪い事では無いと思うの。少しでいいから、あなたが見る星の話を聞きたいな、って。駄目かしら? 長い長い星の巡りの中で、わたし達人と、あなた達竜とが、今こうして交わり始めているように……なんて」
 そんなセレナに、アルテイアはしばらく無言。しかし、やがて空の星を指差す。
「星とは気まぐれなものです。同じに見えても常に変わり続けている……まずはそれを理解することから全てが始まるでしょう。もっとも、貴方たちは星よりも地上のあれこれに必死ではあるでしょうが」
「そうかもね」
 そこに、ユーフォニーもそっと混ざる。
「私の大切なひとに、元の世界では宇宙を飛びまわっていたひとがいて……アルテイアさん、星に近づくことってできるんでしょうか。星空へ向かって飛び立てば、この世界の宇宙に……辿り着けるのかな?」
「可能不可能で言えば、貴方たちが私たち竜種にこう近づいてくるのも不可能に近かったはずです。それが答えでは?」
「そう、ですよね♪ あ、でも……星詠みとは少し違う話になっちゃいましたね、すみません。アルテイアさんもみなさんも、良ければ温かいココアを飲みながら……なんてどうですか? 秋の夜は意外と冷えますから」
 大きな保温ボトルに用意し持参しやユーフォニーのココアは、しっかりと暖かい。
「竜種の星詠みと人間の星詠みは違う。違うからこそ興味があるんだ。同じものを共有することだけが感動じゃない。まったく違う観点から物事を見ることで新しい気付きを得る、それも大切なことだろう? そう、たとえば……人間は星に願いをかけたりするし、死んだら星になる、なんて話もあるんだ。竜種からしたら、そんな話は滑稽に聞こえるかい?」
「夢を見るのは自由です。実際の法則がどうとか、そういうものを持ちだす程私たちは狭量ではありません」
「だよな」
 ファニーはアルテイアらしい、そんな言葉に笑う。まあ、竜種によって答えは違うだろうが……少なくともアルテイアの答えはそうであるということだ。
 そんな中、ニャンタルは連れてきた足利 涼と共に星を見ていた。
「ほれ、涼! こんなに広い星空じゃ! なかなか見れんじゃろう! お主は意外と根詰めるからの。いい提案だと思うが……どうじゃ?」
「ああ、随分と綺麗な星だ」
 涼もそう答えるが……流れ星を見つけたニャンタルは、もう聞いていない。
「あ! 流れ星! 物攻1500! 1500!! 1500超えます様に!!!! うぉおおお!!! 依頼! 頑張る!!」
 頑張ってほしいところではある。
「申し訳ないのだけれど、石を持っていた方と、拳で虫を潰していた方は風下に回って頂いてもよろしくて? でも私にも何故か……となると、風下に回るのは、私……? いえいえ、でもシャボンで綺麗になりましたもの!」
 ヴァレーリヤが苦悩しながら自分の香りを確かめるが、たぶん大丈夫……大丈夫だ。
「それにしても、変わるものですのね。最初はあんなにピリピリしていたのに、すごく雰囲気が柔らかくなりましたわ。それだけ星見が魅力的、ということですのね。もし叶うのなら、後でちょっぴり教えてもらおうかしら」
 言いながらヴァレーリヤが見るのはニャンタルだ。星に願いを。それは人類の共通のお伽噺だ。
「あ、流れ星……」
 そんなヴァレーリヤのちょっと風下でニヒルに笑うのはウェールだ。ぴかぴかシャボンスプレーを持ってきた1人である。
(……レディファーストとかではなく、順番に使ったら数人分足りないとか、一人こっそり使ったとかだと後の空気が悪くなるのが嫌なんだよな……)
「狼、仲間大事スル。一時的デモ群れ、仲間。的な感じ……なんだよなあ」
 まあ、アルテイアのような仲間かどうかまだ分からないのもいるので「感じ」であってはいるだろう。
「綺麗な星空……僕も見れるの、本当に嬉しい」
(アルテイアも綺麗だよね、竜の姿も人型の姿も)
 本人に言えばどういう顔をするか分からないので、ヨゾラは心の中だけでそう付け加えて。
「アルテイアの星見で、今夜の星空がどう見えたのかも気になる……アルテイアの星見の結果、聞いてみたい……だめかな?」
「だめです」
「だめかあ……」
 バッサリである。
(アルテイアは竜種だし、僕よりずっと強いけど……)
「万一の事があればアルテイアをかばう等して守るよ。ごめんね……ここ最近心配性だからね、僕。大切な存在や幸せになってほしい仲間を傷つける輩は何であろうと許せない、って部分が強く出てる……かも。ここ最近は星界獣等が出てきてるし、アルテイアも気を付けてね」
「余計な心配です」
「そうかもね」
 様々な思惑が絡み合い、世界はまだまだ騒がしい。けれど、今日この夜だけは……きっと、素敵な星見の夜であった。

綺麗な竜種と眺める、素敵な星空の夜
気が向いたときでいいから
またこうやって、星見に同行出来たら嬉しいな

成否

成功

MVP

ウェール=ナイトボート(p3p000561)
永炎勇狼

状態異常

なし

あとがき

ご参加ありがとうございました!

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