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シナリオ詳細

再現性薩摩1XXX:オタク百姓くん、危機一髪

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●再現性薩摩とは
 薩摩をご存じだろうか。
 再現性東京よりも再現性沖縄よりも、更に昔の時代。
 まるで豊穣武者のような人々……サムライがいた時代があったという。
 その中でも特に猛々しく、強く、男っていうか雄の要素を極限まで煮詰めて固めて鋼みたいな硬さに仕上げた連中がいたという。
 そんな彼等がいたという薩摩を聞き込み情報を集め再現した……それこそが再現性薩摩である。
 再現性薩摩の最初の目論見としては、気合とか根性とか……あとは心身の健康とか。そういう目的であったはずなのだ。
 ではここで、完成した再現性薩摩における掟を見てみよう。
 1つ、女性を3秒以上見つめてはいけない。女々しいから死罪である。
 1つ、薩摩武士と5秒以上目を合わせてはいけない。喧嘩を売った判定される。
 1つ、薩摩武士から露骨に目をそらしてはいけない。間者認定されたら死罪である。
 1つ、嘘をついてはいけない。嘘つきは死罪である。
 1つ、言ったことは守らねばならない。二枚舌は死罪である。
 1つ、義を言う(言い訳する)奴は死罪である。
 1つ、余所者は間者かもしれないから死罪。
 1つ、軟弱者は女々しいから死罪である。
 1つ、薩摩芋に文句をつけたら死罪。
 1つ、潔く腹を切れ。
 よし、なんかもう何かの罰ゲームかというくらいに殺されやすい場所である。
 何故こんな場所になってしまったのか……しかし聞き込み情報を元にするとこんな場所になるのだ。
 朝昼夜に稽古による猿叫が響き、何かあれば刀を持った薩摩武士が飛んでくる。
 そう、再現性薩摩を作ったら薩摩武士が出てくるのだ。何故なのかは分からない。
 ともかく、再現性薩摩とは……そんな場所なのだ。

●オタク百姓くん救出作戦
 再現性薩摩は、とにかく度胸をつけるには良い場所だ。
 もう生活面を含むあらゆる全てが薩摩しているので、1か月もいれば立派な薩摩人になれると好評なのだ。
 今回も精神面で少しばかり軟弱な研究員を百姓と設定し再現性薩摩に送り込んでいた。
 しかしこの研究員、立派なオタクでありオタクハートは薩摩ハートを中々受け入れられずにいた。
 だって、こんな場所でも研究員はギャル薩摩武士の妄想などをしていた。
 オタク百姓君、年貢が重いとか言ってるってマジ女々ー♪ とか言ってくれたら奮起して頑張るというのに。
 部屋に貼ったアニメポスターを見ながらそんなことを考えていたら……「ぬううっ」という薩摩な唸り声に気付く。
「怪しか声ば聞こえたち狐狸の類が百姓になりすましたかと思えば、なんぞそん破廉恥な絵は……!」
 なんと、どうやらフヒヒという笑い声が外に漏れていて薩摩武士が何事かと家の中を覗きに来たようである!
「こん軟弱者があ! うったくってやっでこっちに来い!」
「ぎゃあ怖い!」
「逃がさん!」
 薩摩武士の蹴りが壁を破り、研究員は非常時用の抜け穴にスポンと入り逃げていく。後からは絶対に開かないように出来ている。
「ぬう!? 怪しか術ば使いよって!」
 薩摩武士はしばらく室内をウロウロして研究員の姿を見つけられずにいたが……研究員は指名手配されてしまったのである。
「……とまあ、そんな感じの経緯だそうでして。パニックルームにいるコードネーム『オタク百姓くん』の救出が今回の任務です」
 【旅するグルメ辞典】チーサ・ナコック (p3n000201)は集まった面々にそう切り出した。
 オタク百姓くんは現在、元居た家から2軒ほど離れた「無人の家」の地下に居る。
 向こう側からだけ開けられる扉になっているので、暗号を伝え開けてもらう必要がある。
 こういったときに備えた暗号は『マジカル☆キラリ2期希望』……そういうところだぞオタク百姓くん。
 しかし薩摩武士の口からは絶対に出て来そうにない暗号なので救出班だと確実に信じてもらえるだろう。
 オタク百姓くんを連れて無事に「関所」まで行ければ任務成功である。
「皆さんには今回『薩摩下級武士』の身分が仮に設定されるです。女性でも『男の薩摩武士』と認定されるですので……薩摩の掟を刻んで行ってくるですよ」

GMコメント

というわけで薩摩しようぜ!
再現性薩摩の「農業エリア」に行き、オタク百姓くんを救いましょう。
現在、農業エリアにいる「百姓」はオタク百姓くんだけです。他は緊急マニュアルに従い撤退済です。
10件ほどの農家と畑の並ぶ農業エリアには、薩摩武士がウロウロしています。
この農業エリアは再現性薩摩の入り口付近にあるため、薩摩武士だらけのエリアを抜ける危険性はありません。
オープニングの情報を確認しながら、オタク百姓くんを救出しましょう!

●今回の薩摩武士の皆さん
・薩摩下級武士×40
薩摩刀を装備した薩摩してるサムライたち。いざ攻撃となると最初の一撃で叩き割りにきます。
なおオタク百姓くんは女々しいし逃げるし義を言うしで本人と看破したら問答無用です。
・薩摩中級武士×5
下級武士に比べるとちょっと理性的。なお中級武士を倒すのは上役に逆らうことなので全ての薩摩武士が敵対的になり、薩摩下級武士が凄い勢いで何処かからたくさん増援に来ます。具体的には中級武士1人につき下級武士が40人くらい増えます。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はS(薩摩)です。
 腹を切ったり介錯されたりした場合、良い死に様なので重傷で済みます。
 何かあった場合は腹を切って責任をとる(失敗を1つ帳消しにする)ことができます。
 この時、誰かが介錯をすることで薩摩武士からの好感度が少し上がります。
 この場合、自動で外に運ばれるので追い打ちなどを受ける心配はありませんがシナリオ中の復帰は出来ません。
 
●じゃあ腹を切ればオタク百姓くんは許されますか?
 許されません。よくて真っ二つです。よくなかったら? ひえもんとりが始まるかな……

☆☆☆大事なお知らせ☆☆☆
 このシナリオでは死亡判定は発生しません。
 しかしそういった描写は頻繁に行われますのでご注意下さい。
 具体的には腹を切っても死にませんし薩摩武士に斬られても仲間に介錯されても死にません。
 練達は貴方の安全な薩摩ライフを薩摩的にサポートしています。

  • 再現性薩摩1XXX:オタク百姓くん、危機一髪完了
  • 薩摩しようぜ!
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年10月05日 22時20分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ノリア・ソーリア(p3p000062)
半透明の人魚
リカ・サキュバス(p3p001254)
瘴気の王
ルチア・アフラニア・水月(p3p006865)
鏡花の癒し
冬越 弾正(p3p007105)
終音
セレマ オード クロウリー(p3p007790)
性別:美少年
鏡禍・A・水月(p3p008354)
鏡花の盾
アーマデル・アル・アマル(p3p008599)
灰想繰切
レイン・レイン(p3p010586)
玉響

リプレイ

●薩摩に来たぞ
 再現性薩摩、関所。「外」へと繋がるこの場所には薩摩武士もいない。
 ……何を言っているか分からないかもしれない。しかし此処は再現性薩摩。
 理解ではなく反射で行動しないとすぐに死にそうな場所である。
 そう、此処は再現性薩摩。此処に居るのは性別に関わらず皆「薩摩武士」なのでご承知おきください。
 そうして此処に集まったのは8人の薩摩武士たち。維霊牛羅亜頭とかいう連中ではござらん。
 皆とっても頑健で。雄々しくて。泣き言なんか一切言わない立派な再現性薩摩男である。
 違う? 義を言う奴は此処では切腹です。はい、これで何も問題はない。いいね?
「その 原因は ともかくとして つねに 命をうしなう覚悟が できているかれらは 捕食者に ねらわれることになれていた わたしにとって 親近感が ありますの ですから…… わたしも 覚悟を 決めますの それが 礼儀というものでしょうから……!」
 『半透明の人魚』ノリア・ソーリア(p3p000062)がそんな良い覚悟を決める。ちなみに薩摩武士は捕食者のほうなのでその親近感が大丈夫かどうかは分からない……!
「なんでこんな依頼に推薦されたんですか。いくら人間の精神構造してないとはいえ人生で2度も3度も首落とされるのはマジで嫌……こほん……介錯など女々しか! 男なら潔く腹を切って充足に死せい!」
 どうやら『夢の女王』リカ・サキュバス(p3p001254)も覚悟完了したようだ。台詞の流れを見ると微妙に覚悟完了してないが、言動と態度に出なければ平気だろう。
「普段はローマ市民として文明人たる振る舞いを心掛けているのだけれど、こう見えて血の半分はブリテン島を破壊し尽くした蛮族なのよね。サクソニアもサツマニアも蛮地だって意味では大きな違いはないでしょう」
 どうだろう、分からない。蛮族にも種類があるので……まあ、『高貴な責務』ルチア・アフラニア(p3p006865)は元より覚悟完了しているようだ。
「再現性薩摩、なんとCOOLな場所だ!異世界史の教師として非常に興味深い。ただ研究員殿を救う事は簡単だが、それでは研究員殿が指名手配されたままだ。再び修行を行う覚悟を決めた時、戻れるようにしてやりたい」
 『君を全肯定』冬越 弾正(p3p007105)の人情味(薩摩味)溢れた言葉はオタク研究員くんが聞いたら「やだあ!」と泣くこと必至だ。
「にし、ないしちょっとけ。こん、ばかすったれ、どんた。……こげおもれんなかしごつじゃ。だっもね」
「ん?」
「む?」
 『性別:美少年』セレマ オード クロウリー(p3p007790)の発した言葉に弾正が思わず振り向くが、セレマはいつも通りだ。となると……まあセレマだしいいか、という至極真っ当な思考が弾正の中で働く。
 まさかこの美少年が言語まで再現性薩摩ナイズしているとは誰も気付くまい。何してんだろうこの美少年。ないしちょっとよ、こんよかちごは。
「なんで薩摩。なんでセレマさんそんな流暢な。なんでルチアさんはノリノリなんですか。うぅ……どうしたらいいかわからないですがルチアさんの前では女々しいところは見せたくないですね。むしろ介錯なんてもってのほかですよ。守らなければ!」
 『夜鏡』水月・鏡禍(p3p008354)がそう決意を決めるが、気付いていない。ルチアが介錯のチャンスを狙っていることには……!
「危険な依頼の人助けって聞いたから……頑張る……」
 『玉響』レイン・レイン(p3p010586)もやる気は充分のようだ。
「薩摩武士に対しては4.5秒までならガンくれてもOK、完全に理解したぞ」
 『灰想繰切』アーマデル・アル・アマル(p3p008599)が再現性薩摩での掟に目を通しながら言う。
 そう、薩摩武士と5秒以上目を合わせてはいけない。喧嘩を売った判定される。
 しかし、しかしだ。5秒以下なら大丈夫とは何処にも書いていない……!
「弾正が研究員殿に成りすますのだな、ならば俺は当然そのサポートに回るだろう? 薩摩武士達の日頃の態度を観察してるような立場のアレに成りすますとしよう」
 おっと、今日の薩摩度が一番高いセレマが何とも言えない目でアーマデルを見ている。上役にせよ目付にせよ、薩摩武士相手にどの程度の抑止力になるかはまだ分からない。
 何はともあれ、怒涛の薩摩タイムの始まりである……!

●薩摩しようぜ!
 農家エリア付近には、殺気だった薩摩武士たちがウロウロしている。
 たぶんオタク農家くんを真っ二つにするためなのだろう……普段より気が短そうだ。
 家が幾つかあるので、出来れば最短ルートで行きたいところではある。
「ゆるいばったいしおれば、日が暮るっど。ちんちんぼっぼっでっど」
 やはりセレマもそう考えているようだ。ノリアはでっかい疑問符を浮かべているが。
「しちけんかちょべ武士とけわがねたつとは思うちょらん。じゃかい、ねっかいとみ武士とは出遭わん・関わらんこっが吉じゃろ。おんどいとかんげればわかりやし」
「えーと、なんとなく言いたいことは分かりますけど……この状況だと中々無理そうですよね」
 鏡禍がそうセレマに返すが、実際薩摩濃度がこの辺りは濃いので上手くスルー……すると斬られそうなので上手くやっていくのが無難だろう。
「でもいいもならんが、いっじゃし広域俯瞰で周辺ば把握、武士ん位置をこましゅかきんでくっごつすっ。加えて感情探知で『薩摩』んかんずば探すこっもためいなっ。かんず『薩摩』ってなんじゃ。どっせん武士んめばとっときは、オタク百姓に幻影を被せつくい。いけんかこげんか関所さえはこいでいけんかなっちおもおごたっ」
「た、助けてくださいアーマデルさん! 心なしかセレマさんの顔が薩摩めいてきましたっ」
「何? うお、ほんとだ。苦悩と忍耐を生まれながら持ち合わせたような顔になっている……」
 薩摩めいた美少年になっているセレマは美少年ゆえにこの再現性薩摩で美少年としてあるべく薩摩めいてきたのか、それともこの再現性薩摩に何か人を薩摩させる微粒子でもあるのか。ともかく、段々セレマ(再現性薩摩地方の姿)が薩摩めいてきているので、早めになんとかしないとセレマ(再現性薩摩地方の姿)が外に放たれることになりそうな不安が増してくる。
「オタクさんの捜索はエキスパートで増幅した人助けセンサーで行うとしましょうか。入る家を間違える等薩摩の恥。それに助けを求める奴は薩摩に居ない。本で読みました」
「そうね。私も人助けセンサーでオタク百姓くんの居場所を探っておくわこんな所で他力本願な助けてオーラなんて女々しいもの出してる人、彼くらいしかいないでしょ。たぶん」
 リカとルチアがそんなことを言っているが、まああまり間違っていないかもしれない。薩摩も、オタク百姓くんも。
 そしてアーマデルは広域俯瞰で広く状況を、そして薩摩武士達の分布を確認しようとしていたが……なんか凄いいることが分かった。上手く抜けなければ大変なことになるだろうが……そこでアーマデルが試してみたのは物陰からこっそりハイテレパスで可愛く「ちぇすとーっ(はーと)」って囁きかけて武士を挙動不審にするという作戦だ。
「なんね、今ん気合入っちょらん声は!」
「何処ん軟弱者じゃ!」
「わるがならん、うっころすど!」
 何やら薩摩武士の攻撃力が上がってしまった……! 目測で3倍くらいだろうか、なんと生き辛そうな生態をしているのだろうか。再現性東京のASMRとか聞いたらプレイヤーを真っ二つにしそうだ。
(予想より大分アレな生き物だな……だが警戒網に隙は出来たぞ)
 アーマデルの仕業とバレたら大分危険だが、ハイテレパスなのでまあ大丈夫だろう。
「オタク百姓の家はあそこか……そこから2軒目……」
 そうしている間にレインがオタク百姓くんの逃げた先のあたりを確認し入っていく。
 静かに見つからないように扉に近付いて、呟くのは例の言葉だ。
『マジカル☆キラリ……2期……希望……」
(オタク百姓が出てくる呪文の言葉……お話で読んだ……岩から出てくるっていう神様みたい……)
 そんな言葉で出てくる神様はどうかと思うが、とにかく薩摩武士は絶対に言わない類の言葉にオタク百姓君が床から顔を出す。
「あ、薩摩武士っぽくない顔」
「うん……」
 薩摩武士っぽい顔がどういう顔かというと、先程から美少年(薩摩味)になっているセレマみたいな顔のことである。
 ともかく、あとはオタク百姓くんを連れて関所を目指すだけだ。
 オタク百姓くんが見つかったら薩摩武士によるオタク百姓くんを真っ二つにするお祭りが始まってしまうので、まずはレインはファミリアーで鳥を飛ばせて広域俯瞰より外まで広く見れるようにしていた。
 常に位置を確認しながら移動するためであり、もう1つの作戦のためでもある。
 そう、やり取りはハイテレパスで声での会話をしなくてもいいようにしているが、それは作戦の布石でもあるのだ。
 上空から得られた情報や味方の状況も確認して共有し、動物の様子をよく観察して薩摩武士と同じ雰囲気なら見つからないように注意して移動するつもり、なのだが。動物の顔もなんだか薩摩めいているのであんまり関わらない方がよさそうだ。
 さて、その「もう1つの作戦」は……弾正である。
(そう、俺の役割は陽動。研究員殿に変装+チェンジボイスで影武者を務め、男気を見せて指名手配を返上させる……!)
 すでにレインがオタク百姓くんの元へ向かったのは確認しているし、確保したことも確認した。
 だからこそ避難ルートから離れた場所で待機していた弾正は、陽動開始の合図に聖夜ボンバーをぶち鳴らし、シャイニーランプで輝いているのだ。
(そういえば研究員殿は特徴的な笑い方をするのだったな)
「フヒヒ……首じゃ。そん首、置いてけぇ!」
(よし、こんな感じだな!)
 そうだろうか。まあ、いいか。薩摩武士はその辺の細かいことを気にしない。
「逃げられんと思うて気ば狂うたか!」
「見苦しかあ。ここでうっころすのが慈悲じゃっと」
 まだブレイズハート・ヒートソウルも使っていないのに勝手に怒りが付与されている。
 あと攻撃力がまた上がっている。どんな戦闘民族なのか。
(アーマデルのいる場で格好悪いところは見せたくない……気合を入れなければな)
「戦場を前にして逃げ出せと? 命捨てまがるは今ぞ! 俺の大切な戦神の絵を『破廉恥』だと……そこまで言われれば、戦争だろうが! 腹を切るべきは因縁をつけた武士の方よ! 俺が鍛冶で鍛えたこの刀で介錯してやる。その後、俺もこの戦の責任をとって腹を切る!」
「よか覚悟じゃ」
「ああ、よかな」
「じゃが……」
 言いながら、薩摩武士はオタク百姓くんの家から没収してきたポスターをぺらりと広げる。
 まじかる戦神☆謙信ちゃん。なんという偶然か……! マジでニアミスである。しかもなんというか、ちょっとえっちなポスターである。よくもこんなもんを再現性薩摩に持ち込もうと思ったものである。
「こん外道があ! きさん、こげな目で普段仏像や具足を見ちょっか!」
「な、何ィィィ!?」
 また薩摩武士の攻撃力が上がっている。何処まで上がるのか。あとオタク百姓くんは後でしばくべきだと弾正は思った。
 そんな最中、アーマデルも弾正をサポートすべく動いていた。
(俺にはカリスマや人心掌握術、信仰蒐集がある、ついでに扇動もある。うまいこと薩摩武士どものハートをキャッチ&クラッシュしてヤツら同士をぶつけ合い、混乱、かく乱、対消滅(?)を狙うぞ)
 なるほど、それ自体は上手い戦術だろう。
「5秒以上目を合わせた? 貴様ァ! 義を申すか! ちきんれぇすを極めしこの俺が? 4.5秒で外した視線を追ったのは貴様の方では?」
「義を言うな! 何が5秒じゃ!」
 なるほど5秒の掟は練達におけるマニュアル……! 薩摩武士の導火線はこの緊急時において更に短くなっていたようだ……!
 そうして此処までと悟った弾正とアーマデルが見事な切腹転送(薩摩式)をきめた辺りで、関所近くまでノリアたちは逃げていた。
「もちろん 磁気感覚器で 追っ手の位置を 把握して できるかぎり 敵を 避けたいとは おもいますけれど どうしても 捨て奸らなければならないことも あるでしょう それが今…… おまかせくださいですの!」
 そう、迫ってきていた薩摩武士たちの前にノリアは立ち塞がる!
「わたしの覚悟に免じて、しばし、足をお止めくださいですの」
 なんと自ら腹を切ろうというのだ。だがそこに鏡禍が前に出る!
「事情もなしに彼は追えない、どうしてもというのなら僕を切り捨ててからにしてほしい。ルチアさんが腹を切るなら僕が代わりに腹を切ります。彼女の失敗、罪は全部僕のものです。詫びるためならこの体いくらだって差し出しましょう」
「それでも足りないなら みずから お腹を かっさばいてみせますの! それも…… 下半身を 切り取るくらい!」
(わたしなら ちょっとやそっと 体を切られたくらいで 意識をうしなったりは しませんから 切り取った つるんとしたゼラチン質のしっぽを すりこぎで すりつぶし 野菜や 調味用の 特級天然海塩とともに 肝練りならぬ 魚肉練りを つくりあげ
油で揚げて 薩摩揚げこと 『つけあげ』に してみせますの! まさか 薩摩武士ともあろう かたがたが 薩摩揚げを食べないとは おっしゃらないでしょう……?)
 ノリアの考えが薩摩とは別ベクトルの何かを感じるが、さておいて。薩摩武士たちは顔を見合わせ「よか」と頷く。
「介錯まで用意しちょるとは潔か」
「えっ」
 ルチアが神妙な顔で雪月花を構えているが、なんかもう喜々として介錯の態勢に入っている。
「介錯させて貰うわ。わざわざ持ち込んだ刀が味方の血を吸うのは残念だけれど、これも必要な犠牲ってことで」
「え、ええー?」
「あと大丈夫よ。此処での切腹は切腹(薩摩)らしいから」
「切腹(薩摩)!?」
 サパっと死ねる(薩摩の外に転送される)ので安心してほしい。
(いや。万一の時はオタクくんを庇って逃がす必要があるけれどこの切り札は依頼的にちょっとね……てか腹斬りのスプラッタ地獄になってない? これやばくない?)
 再現性薩摩のやべーところ(鏡禍の切腹とルチアの介錯、からのノリアの切腹コンボ)を充分に見たリカだが、薩摩武士たちが「よか」「ああ、よかな」と頷いているのを見てオタク百姓くんを連れて関所の外に出る。
 サキュバスの姿になる切り札は使わずに済んだが……関所の向こうにいる切腹勢(アーマデル、弾正、ノリア、鏡禍)を見るとなんとも変な笑いが出てしまう。4人も腹切ってる。
「でも……薩摩の人……気持ちが強いって言うより……どちらかと言うと……陸で言う、宗教……みたいだね……陸の人でも生まれた所によって信じてるものが違うから……仕方ないのかな……」
 レインがそんなことを呟くが、どっちかというと再現性薩摩だからなので練達のせいである。たぶん本物の薩摩はもっと良いところのはずだ。
「気持ちが……敵より強くあれば……人を助けられる……なら……僕は強いオスになる……死にかけても……出来るだけ強く、多く、敵を掴んで離さない……ここから誰も通さないって決めた……決めたら……それをやるだけ……強くて……真っ直ぐで……優しいオス……僕の……理想のオス……」
「それってあんな感じ?」
 リカの指さす方を見ると、セレマ(再現性薩摩の姿)がいる。まだ顔が戻ってない。
「もう普通に喋っていいか? どうせ混沌肯定あるから全部通じてたろうが、あれ喋るのは面倒なんだよ」
 全く通じてなかった。
 崩れないバベル仕事しろ。
 崩れてんじゃん。
 ていうか顔いつ戻るの?
 1度決めたことを面倒とか女々しかあ……。
 そんな無数のツッコミが全員の中を駆け抜けては消えていく。
「今薩摩武士混ざってませんでした!?」
 鏡禍が慌てて振り向くが、関所のこっち側に薩摩武士がいるはずはない。
 けれど、なんだか薩摩芋の香りが漂ったような……そんな気が、したのだ……。

成否

成功

MVP

セレマ オード クロウリー(p3p007790)
性別:美少年

状態異常

ノリア・ソーリア(p3p000062)[重傷]
半透明の人魚
冬越 弾正(p3p007105)[重傷]
終音
鏡禍・A・水月(p3p008354)[重傷]
鏡花の盾
アーマデル・アル・アマル(p3p008599)[重傷]
灰想繰切

あとがき

たぶん誰に聞いても満場一致のMVP、セレマさん。

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