PandoraPartyProject

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滅びは足音をたててやってくる

 ――かつて。イレギュラーズとして選ばれた者は『その』言葉を聞いたことがある筈だ。

「明日、世界が滅亡しますです。
 あ、嘘です。明日じゃないかも知れませんが、近い将来、世界は滅亡するでごぜーます」


 それは空中神殿に座すざんげ(p3n000001)より告げられし一言。
 絶対に外れない神託により観測された超終局型確定未来――通称<D>の発生によりこの世界が消滅することを意味している。この混沌世界に住まう者たちならば当然のこと、その風下に位置する全ての世界の破滅も、ここには含まれているのだ。
 即ち、この世界の住人であろうと、異世界から召喚された来訪者であろうと、等しく訪れる滅び。
 それを回避するために、イレギュラーズはこれまで戦い続けてきた。好もうとも好まざるとも……
 幾度も滅びを齎さんとする者達と。そしてそれらが長である――冠位魔種とも。
 激戦の果てに討ち果たし続け、残る七罪も二柱となった……そんな中、冠位魔種のバランス変化により終焉(ラスト・ラスト)と呼ばれる『影の領域』の動きが活発になったと終焉の監視者『クォ・ヴァディス』より連絡が入った。
 まず観測されたのは終焉に隣接する国ラサ、深緑、そして覇竜。
 そこへ文字通りの終焉の獣こと『終焉獣』の出現が確認されたのである。
 彼らは滅びを身に宿す醜悪なる獣達――
 だが事態はそれだけに留まらなかった。

「星界獣(せいかいじゅう)――? それが新しい敵の名前、なの?」
 怪訝そうな表情を浮かべるのは『里長』珱・琉珂 (p3n000246)。彼女の下へ齎された一報は、新たなる脅威の名であった。
 星界獣。聞いたこともない名……であればこそ『花護竜』へと問いかけようか。
 『花護竜』テロニュクス。ベルゼー・グラトニオスに幼少期より世話になってきたという将星種(レグルス)である。
「姿を見せ始めた終焉獣とは別の存在ってことでいいのよね」
「はい。『凶星光るとき、星界獣きたれり』――あれは間違いなく星界獣でしょう」

 ことの切欠は、『覇竜観測所』が終焉獣や滅気竜とは異なる新たな適性体を発見したという報告である。
 その報告を受け、ヘスペリデスにて花咲く園の管理人であったテロニュクスの意見が求められた。
 テロニュクスが語ったのは覇竜に細々と伝わるという伝説である。その伝説にあるとおり、空を見上げてみればテロニュクスのいう通りの星がギラギラと光り始めているのがわかるだろう。
「その星界獣というのは、星から……空の彼方からやってきたものなのでしょうか」
 さすれば、そう問いかけたのはユーフォニー(p3p010323)だった。
 星に関連するのであれば、まさかその星界獣とやらは空の向こうから落ちてきたのか、と。
 だがテロニュクスは彼女の質問にはイエスともノーとも答えない。
 あくまでも星界獣とは伝説の存在に過ぎぬのだから――
「わかりません。ただ……」
「ただ?」
 琉珂が先を促すように言葉を重ねたのは、質問の答えを求めたからではない。
 テロニュクスがどこか不安そうな表情を浮かべていたためである。
「星界獣という怪物は、まるで飢えた獣のようにあらゆるエネルギーを喰らおうとすると伝えられています。
 そして、喰らったエネルギーによって成長する。もしも至っているのが真に星界獣であるならば……放置しておけばどこまで成長するかわかりません。早い内に、対処しておく必要があるでしょう」
「終焉獣とはまた別の脅威……ということなのですね」
 そうですね、とテロニュクスは告げようか。星界獣がどうして活動を開始したかは分からないが、新たなる脅威の出現には違いない。
 早めに対処すべき、という判断は正しいものであったろう。
 しかも――聞いた所によると、星界獣だけではないようなのだ。
「深緑の方では『大樹の憤怒』……それからラサの方では『不毀の軍勢』なる存在も確認されているとか。
 これらも終焉獣とはまた別の脅威なのでしょうか……?」
 ユーフォニーが紡いだのは、覇竜以外でも目撃されている存在達。
 深緑では『大樹の憤怒』。名前だけなら深緑の事件の折に出現した大樹の嘆きと似ているが……されど異なる存在。
 大樹の嘆きはあくまで大樹を、引いては深緑を護らんと出現する存在であったが。
 大樹の憤怒はなんぞやかにか憤っており、紅い焔をその身に纏っているそうだ――
 深緑では禁忌たる炎のようなモノを……
 同時にラサでは『不毀の軍勢』……『全剣王』と呼ばれる何者かの配下たちが観測された。
 自ら達を『最強』と自負し他者を蹂躙せんとしているとか――終焉獣とならんで脅威となっていると聞く。
「あちらもこちらも、同時に対処しなければならないのですね……」
 ユーフォニーは自らの手を胸に当て、ぎゅっと握りしめた。
 これらの出現は一体何を意味しているのだろうか。
 冠位七罪達は倒れ続け、世界の破滅たる要素は減っている筈だが――苛烈さを増しているようにも感じる。
 ……世界は滅びに向かって進んでいるのか?
 それが具体的な敵という姿をとって、世界に広がりつつあるのだろうか。
 ――だが。このまま滅びが侵食し続けるとは限らぬ。

 世界の滅びを厭い、戦い続けた英雄(イレギュラーズ)が此処にいるのだから。

 ※ラサ、深緑、覇竜それぞれに新たな敵の存在が確認されました!
 ※覇竜にて出現した星界獣の討伐作戦が開始されています!

これまでのシビュラの託宣(天義編)プーレルジール(境界編)

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