PandoraPartyProject
太陽に手を伸ばして

この世界へ手を引いたクレカは『世界を救う手伝いをしてもいい』と言ったが、救う手段があるかどうか……その時点から考えなければならない。
「だったらどうだろう。君の世界でいう『勇者の仲間たち』を探してみるのは?」
――冒険者アイオン
――魔法使いマナセ
――賢者フィナリィ
――天の翼ハイペリオン
など様々な人物が連想されるが、ここ『プリエの回廊』からすぐにアクセスできて手がかりがハッキリしているメンバーはこの中で誰だろう?
そう考えた時、最初に浮かぶのが『神翼庭園ウィツィロ』であり『天の翼ハイペリオン』だ。
ハイペリオンといえば勇者パーティーを背に乗せて大陸を飛び回り、幻想王国ではフィナリィと共に巨人族の封印を助けたという神鳥だ。もし見つけ出すことができ、中間にすることができたなら頼もしい戦力となるだろう。
このハイペリオンを見つけたのが、神翼庭園ウィツィロ。幻想王国の端にある土地で、勇者パーティーにおける戦士ウィツィロ・ポチトリの代から続く貴族家が治めていたという場所でもあった。今ではハイペリオンランドなんていう愉快なテーマパークになっているのだが。
「けどごめんね、そのハイペリオンさまというのが君の世界でどういう存在かは知っているんだ。けど、こっちの世界で今どうなっているかは知らないんだよ。
そのウィツィロって場所もなーんにもない荒野かもしれないし、モンスターが跋扈するヤバイ土地かもしれない」
ゼロ・クールQ-84ウ号、通称ウェントゥスは背の高い椅子にぴょんととびのるように座り、高さの余った足をぷらぷらとさせてみせた。彼の背丈に似合わぬ椅子と、テーブル。
ここはアトリエ・コンフィーの一角。ウェントゥスは帽子を被った少年のような容姿をしている。アトリエ・コンフィーがローレットの雰囲気に似ているせいもあって、なんだか情報屋の風情だ。
ウェントゥスは球体関節の腕を動かし、パッと手のひらを顔のあたりに翳してみせる。
「けど手がかりとしてはバッチリだよね。
神翼庭園ウィツィロ。確か、プーレルジール平原に相当する『レガド・イルシオン王国』に存在する土地だったはず。
だったら、こっちの世界にもそれに相当する場所があるはずだよ。そこへいってみれば、何か発見があるかもしれないよね?」
確かに、わかっているのはプリエの回廊から出たその周辺の事情ばかり。世界全体を示した地図を手に入れたわけでもない今、自分達の『マップ』はとても狭くて小さいものだ。
これを広げるという意味でもウィツィロに行ってみるのは意味があるし、なによりハイペリオンが見つかればマップを大きく広げる文字通りの足がかりとなるだろう。
なにせ、あの勇者パーティーを背に乗せて大陸を飛び回ったのだから。空中庭園もなくワープができない現状、こうした存在の助けは大きいはずだ。
「もし行くなら、馬車を出すよ。途中にどれだけのモンスターが現れるかわからないし、実際にウィツィロがどうなってるかもわからない。それでもいいならね」
ウェントゥスは椅子からぴょんと飛び降りると懐からマップを取り出して見せた。
手書きらしいそれはあまりに狭い。なにも書かれていない未知の土地にくるりと丸を描くと、ウェントゥスはウィンクスする。
「さ、『なにもわからない』場所へ『なにがあるかしれない』冒険に出よう! 未知を知己に。これこそ『冒険』ってやつなんじゃないかな?」
※『アトリエ・コンフィー』を拠点にプーレルジールの探索・調査が始まりました――
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