PandoraPartyProject
嗤う乙女と不機嫌鴉
「ふ……ふふ……ふふふ、あはははははははは!」
混乱と混迷を極める幻想の情勢を前にルクレツィアはもう我慢が出来ないといった風に大声を上げて笑い出した。
何時もは『レディ』を気取り、口を開けて笑う事すら避ける女が『はしたない』笑みを見せている。
その美しい面立ちに浮かんだ実に下品な笑みは、むしろ彼女の本質を良く表していると言うに相応しいのだろうけど――
「本当に面白い位、順調に踊って下さるんだから……
誰も彼も皆、私を喜ばせてくれるのです。
殿方も女性も……『妹』には甘いという事ですかしら!?」
『史上最悪の妹系』に同意を求められればその気配――肉体を失した鴉殿は辟易する以外には無かった。
――見世物としてはもう少し我慢が欲しい所だと思うケドね。
君は手も口も出し過ぎなんだ。面白がりで実際、まるで堪え性が無い。
僕を見習えよ、ルクレツィア。『Paradise lost』で手本を見せてやっただろう?
「失敗のお手本を、ね。
それに手を出す――とは言いますけれど。私は『そこに居た』だけですわよ?」
性悪はうんざりした調子の歓談相手にまるで悪びれずまた鈴を転がすような笑い声を零していた。
観劇を気取る彼女は、成る程。自ら舞台に上がり強引に物事を進める事を嫌っている。
後ろ側で糸を引き、右往左往する劇中の人物を眺め、嘲り笑う事に重きを置いていた。
彼女の『雑』な拘りをパウルは認めはしないけれど、その辺りはお互い様といった所だろう。
幻想の闇に巣食う最も面倒臭い男女のペアは、他に相手が居ないからこそ楽しくもない会話を続けているのだから。
――それで、どうするんだい。この後は。
「どうもいたしませんわよ。ここまで来れば『分かる』でしょう?
物語に多少の指向性を与える事は範疇でしょうが、作り込んだお話に興味はありませんの。
宜しくて? 最低で最高な舞台は常に人の手によって作られるもの。
『最後の最後で大外しをして、その有様の貴方には分からない事かも知れませんけれどもね』!」
――言ってろよ。
鴉殿は不機嫌に黙り込み、冠位魔種との会話を閉じた。
彼は考える。
(趣味の悪い下手糞な舞台に興味はないケド――まぁ、『使える』状況を持ってきた事だけは評価してやるよ、ルクレツィア)
誓って七罪とこの魔術師は味方ではない。
当然、ローレットも味方という訳では無いのだがパウルは特異運命座標では、ある。
彼は最悪の面白がりだが、絶望を垂れ流し破滅を望む魔種とは在り方が違うのだ。
少なくともルクレツィアばかりが調子に乗る、こんな退屈な状況は望んでいない!
――さア、一体どうなるかなァ……?
※『双竜宝冠』事件が望まない形の進展を見せたようです……
※R.O.Oのエラー領域『ORphan』での事件が終結しました。
境界図書館から行なう異界渡航の準備を始めたようです――
※<月だけが見ている>の決戦に勝利しました!
※烙印状態が解除されました。
※烙印の後遺症には個人差があることが判明しました 。
※海洋王国方面にも『帳』が降り始めたようです! 神の国に渡り対抗しましょう――!
※天義騎士団が『黒衣』を纏い、神の代理人として活動を開始するようです――!
(特設ページ内で騎士団制服が公開されました。イレギュラーズも『黒衣』を着用してみましょう!)